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煮汁もおいしいメバルの煮付け … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

先週、図書館で「漁師の食卓」という本を借りてきました。この本は、漁師生活40年にして料理人でもある著者・魚見吉晴氏が、旬の魚のおいしさを語り、その選び方や味の楽しみ方を、地元の愛媛弁(っていうのかな?)丸出しで指南するエッセイなのです。

ここ1週間、通勤や出張の道々でその本を読んでいたせいか、今日金曜日は、先週末にも増して魚気分いっぱいで都立家政(とりつかせい)界隈です。

もしかすると、常連さんたちでいっぱいかなぁ、なんて思いながら、午後9時半の「竹よし」へ。「こんばんは」。店内は意外にも先客どころか、店主も含めてだれもいません。あれぇ? と奥を見てみると、店主は裏口の外で竹をキコキコ切っています。近寄って「こんばんは」とあいさつすると、驚いたように顔をあげた店主、「あぁ、お帰りなさい。Myさんから竹をもらいましてね。器を作ってたところなんですよ」とのこと。

カウンター内の厨房に引き返した店主、ていねいに手を洗って、あったかいおしぼりを出してくれます。あぁ、気持ちいい。なにはさておき、まずはビールをお願いします。ビンのほうで。

すぐに出されたスーパードライ(中ビン、500円)をグラスになみなみと注ぎ、ググゥ~ッと1杯飲み干します。んまいっ!

今日のお通し(200円)はホウレン草のおひたしの海苔巻です。芯の部分は菊の花が巻き込まれていて、黄色と緑の対比も美しい。醤油をタラリとたらしていただきます。

さ~て。魚、魚。なんにするかなぁ。お。煮魚のところにメバル(850円)がある。これください。「はいはい。メバルになさいますか。いいのが入ってますよ」と、メバルが4~5尾並んだバットを見せてくれます。わぁ。目がキラキラと、いいメバルですねぇ。

じゃ、メバルができるのを待つ間は枝豆(400円)をください。カウンターの上には空豆の器と、枝豆の器がならんで置かれています。「市場に行っても、もう空豆は出てないですねぇ。枝豆になりました。このあと茶豆(ちゃまめ)が出てきて、8月ごろにダダ茶豆(だだちゃまめ)になりますね」と店主。なるほど。同じ枝豆でも、季節とともにジワリとその内容が変わっていくんですね。おぉ。ビールと合う合う。さすが枝豆。

そうこうしているうちに、メバルの煮付けもできあがります。ほぉ。生の状態もきれいでしたが、煮上がったものもいいですねぇ。包丁の切り目にそって、身がプチンとはじけていて、いかにもプリプリ。煮付けはこうでなくっちゃね。

飲み物は冷酒かな。「竹よし」には300ml瓶の冷酒が2種類あって、どちらも600円。すっきり辛口のほうが「高清水(たかしみず)」で、芳醇なほうが「北の誉(きたのほまれ)」なのだそうです。今日は「北の誉」かな。

ここでサラリーマン2人組の来店です。ふたりで並んで、カウンターの一番奥へ。さっそくビールと中トロの刺身(850円)などを注文しています。このお二人のうち、ひとりが元々この近くに住んでいた常連さん。今は違う沿線にお住まいなんだけど、ときどき顔を見せてくれるのだそうです。そういえば、ときどき夕食会でご一緒するHrさんもそうです。家が離れても来てくれるというのはうれしいですね。

そこへ入ってきたのは、ご近所の常連、Wdさん。なにしろ開店当初からいらっしゃってるそうですから、大常連さんですね。Wdさんは、カウンターの入り口側に座り、「今日はよそで飲んできたから。最後に1杯だけ」と言いながらシマアジの刺身(700円)を注文です。

「竹よし」も、カウンター6席、テーブルまで入れても12席ぐらいの小規模なお店なので、メニュー自体もそれほど品数は多くないのですが、こうやって並ぶといい品ぞろえですねぇ。入口に近い側から脂がのって、刺身のエッジもキリッとシマアジ。そして私のはじけそうなメバル。ピンクも鮮やでしっかりと厚みのある中トロ。

「実は尻尾に近いあたりの中トロで、安く仕入れることができたんですよ。ちょっと食べてみますか。となりの刺身の皮目の部分ですけど」と、Wdさんと私にちょっとずつ出してくれました。おぉ。見た目もきれいだけど、身もしっかりしてますねぇ。あんまりトロトロには溶け出さないんだけど、かむとジワッと脂です。これはいい中トロですねぇ。

あ。お酒がなくなっちゃった。ビールとお酒2合ぐらいが私の適量(気持ちが良くて、翌日に残らない量)なんですけどねぇ。う~ん。金曜日だからいいか。「北の誉」、もう1本お願いします。

メバルのほうはパッととれる身の部分は食べ終わり、いよいよ背ビレの付け根のあたりのチマチマした身(ヒラメでいえばエンガワの部分)や、頭のまわりの身をつつきながら、ツィ~ッと冷酒をいただきます。

ひとしきり食べ終わったところで、件(くだん)の「漁師の食卓」に書かれていたことがフッと頭をよぎります。その部分を引用してみましょう。

『メバルの煮付けはもうひとつ、楽しみがあるんよ。全部食べ終わったら、アラや骨をおわんに入れて、熱湯をそそぐ。少しの煮汁とほんの数滴しょうゆを足したらメバルの即席吸い物の出来上がり。水から炊いとる煮汁やけん、くさみもなくうまみが出とるし、骨からメバルのエキスがしみ出て、そらうまいんよ。』

せっかくのメバルの煮付けですから、私も最後にこの即席吸い物を試してみようかな。「すみませんが、お湯を沸かしてもらえますか。メバルの残りをお吸い物風に食べたいので…」と店主にお願いします。「あぁ。それはいい考えですねぇ」と店主もすぐにお湯を沸かしてくれます。

ちょっと意図を伝えきれず、今回は骨の部分ではなくて、残った煮汁が中心の汁になりましたが、そばつゆをそば湯でのばしていただいているのと同じように、けっこう薄くのばしてもしっかりとうまみが残っています。これ自体もいいつまみになりますねぇ。

電車で帰らなければならないサラリーマンお二人は途中で帰路につきましたが、自宅がすぐ近くのWdさんと私とは、店主も含めて話が盛り上がります。今日の話題は、もっぱら横浜。店主はご出身が横浜、Wdさんも若いころはよく横浜に遊びに行っていたらしくて、古きよき伊勢佐木あたりの話でいっぱいです。

気がつくと、もう午前0時を回っているではありませんか! いやいや。今日も楽しいお酒でした。どうもごちそうさま。お勘定は3,150円でした。来週土曜日は夕食会ですね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年6月4日(金)の記録》

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受信: 2004.06.20 17:04

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