月曜日は「川名」デイ … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)
「海の日」とくっついた三連休も今日で最後。終わってみると早いですねぇ。今日は月曜日なので「川名」は定休日。今日の夕方散歩は荻窪の名立ち飲み屋、「やき屋」をねらっているのです。先日、オリジナルつまみ「いか刺しのワタ和え」を教えてくれたKさんから、「実は「やき屋」は祝日がすいてるんですよ」と教えてもらってたのです。
たらりたらりとチャリンコを走らせて荻窪へ。暑いなぁ、今日も。
「やき屋」に到着したのは午後4時半。ほんとだ。開いてる。ちゃんと祝日は営業してるんですねぇ。はい、こんにち…… エェ~~ッ! お客さんでいっぱいじゃない! 右手のメインカウンターから、左手のサブカウンター、さらには左奥のテーブル席まで、人人人…。
よく見ると、メインカウンターは本当にいっぱいなんだけど、サブカウンターには2人しか立っていないので、まだもうひとりぐらいは立てそうです。うまく立てば、サブカウンターには4人ぐらい立てるんだけど、今立っているおふたりが比較的ゆったりと、まるでワープロの均等割付といった感じで飲んでいるのでした。その奥側にまわりこむようにして、サブカウンターの一番奥に向かいます。
「ここも空いてるよ」と、奥から声がかかります。あ! “1番のおにいさん”! この人は、いつも「川名」のカウンターの一番入口側、お店の人たちからは“カウンター1番”と呼ばれる席に座っている常連さんで、私がひそかに“1番のおにいさん”と名付けている人なのです。
見れば、テーブル席に座っている3人は、いずれも「川名」の常連さんたち。「ありゃぁ、こんにちは。すみません、入れてもらいます」とあいさつしながら、“1番のおにいさん”が立ちあがってくれた後ろを通って、テーブル席の奥側に陣取ります。後ろからニッコリとのぞいてくれる女将さんに、「ホッピーとイカ刺身をお願いします」と、例によってホッピー(300円)の注文し、つまみにはイカ刺し(150円)です。
「どうしたんですか。みなさんおそろいで」と聞くと、「月曜日は、みんなここなんだよ。ほら、“イトーさん”もあそこ」。指差されたメインカウンターを見ると、いつもは「川名」の“カウンター7番”で飲んでいる“イトーさん”が、メインカウンターのちょうどテレビの下あたりで、ホッピーを飲(や)ってます。
ひやぁ。みなさん本当に毎日飲んでるんですねぇ。火曜日から日曜日は「川名」に通い、「川名」が定休の月曜日には、大挙(たいきょ)して、ここ「やき屋」にやってきてたとは…! う~む。達人ですなぁ。
「4時になるのを待ちかねてやってきてるんだよ。このあたり、早くから開いてる酒場がないからねぇ。「川名」かここぐらいだ。4時から開いてるのは」。へぇ。そういやそうですねぇ。「年寄りが多くなってきてるんだから、この辺の酒場ももっと早くから開けてほしいよなぁ」という声に、テーブル向こう側の“現場の親方”から「オレは今日は昼からやってんだよ」という返事がかえります。「知り合いが入院したんで見舞いに行ったら、仕事仲間が集まっちゃって。そのまま帰りに1杯よ」と言いながら、ホッピーをググゥ~ッと飲み干して、「ナカお願い!」。
それにしても、いつもは「川名」のカウンターにずらりと横に並んだ状態でお顔を拝見するか、カウンター席とテーブル席という距離感でときどき話をするかどうかといった感じで飲んでるのに、こうやってひとつのテーブルの周りで顔を付きあわせて飲んでると、なんだかこっぱずかしいですねぇ。
“1番のおにいさん”がホッピーを注文するタイミングで、私もナカ(150円)を注文します。それと、串焼フランク(150円)もください。右前の“現場の親方”が食べているフランクフルト・ソーセージが、とってもおいしそうに見えるので、思わず私も注文です。
その“現場の親方”、「今日は息子の誕生日だから、これから行ってくるよ。どうせ、孫の子守りだけどな」と言いながら、またまた残りのホッピーをググゥ~ッと干して、「じゃ!」と立ちあがります。まったく小気味よい飲みっぷりですねぇ!
“現場の親方”が出たかどうか。もしかすると店の外ですれ違ったかもしれないぐらいのタイミングで「よぉっ! ここいいかいっ!」と入ってきたのは、なんと“役者さん”です。なんだよぉ。ほんとに月曜日はみんなここに来てたんですねぇ。
“役者さん”はホッピーとシメサバを注文します。シメサバは、「150円均一」というこの店のつまみの中で、唯一200円。この店の中では高級品で、「はいっ! シメサバぁ!」とゲンさん(カウンターの中で調理全般を担当している店長)の復唱が聞こえると、「や。すごいのをたのむ人がいるねぇ」なんて思っちゃうぐらいです。
“1番のおにいさん”がつついているのは枝豆(150円)です。小さいザルに盛られています。前回来たときは、メニューの枝豆のところが紙で隠されていたのに、今日はあるようです。仕入れ値が高い間は、メニューに並ばないのです。そういえば、ウナギのキモ串(1本150円)も今日はありますねぇ。「ここは、安いのにどれを食べてもハズレがないのがすごいんだよな」。まったくそのとおりだと思います。
“イトーさん”が「それじゃ、お先に!」と、テーブル席のみなさんに声をかけながらお店をあとにし、“1番のおにいさん”も「オレもそろそろ…」と席を立ちます。しかし、まだまだこれでは終わらない。「こんばんは」とテーブル席に入ってきたのは、「川名」のカウンター3~5番あたりでよく見かける、いかにもマジメそうな会社員のおじさんです。
「ホッピーとシメサバ」。お。“役者さん”と同じ注文ですね。このシメサバはうまそうですよねぇ、量も多いし。「うまいよぉ! 袋入りのものなんだけど、半身丸ごとなんだよ。とても…とは思えないよ」と、指でVサイン(200円のこと)を出しながら話してくれます。「ほんとだよなぁ。普通の居酒屋だったら5百円ぐらいはとるよなぁ」と“役者さん”。“役者さん”は、今週は「水戸黄門」の撮影で京都に出かけるのだそうです。京都もいい酒場が多そうですよねぇ。
私も適量のホッピー2杯(ソト1にナカ2)を飲み終わったのですが、話も楽しくて、もうちょっと飲みたい気分です。「すみません。ウーロンハイ(280円)とイカナンコツ焼き(150円)をください」。
もうひとりの、私の正面に座っているおにいさん(この人も「川名」の常連さん)も役者さんのようですが、“役者さん”ほど活躍はされていないようで、普段は道路の誘導員なんかの仕事をしたりしている様子。しかし、なにしろ舞台や映画は大好きなようで、同じ趣味らしい“役者さん”とも、大いに話があいます。こうやって、普段の生活ではあまり聞くことができない話が聞けるのもおもしろいところですねぇ。
それにしても、このテーブル席は3方向をすっぽりと壁に囲まれて、まるで穴倉の中で飲んでいるように落ちつきます。こんないい席だったんだ。テーブルの向こうとこっち側に3個ずつ椅子が並び、メインカウンター側の短辺のところにも1個椅子があります。向こうとこっち3個ずつの椅子は、ほとんどすき間なく並べられてはいるので、かなりギューギュー詰めの状態にはなりますが、7人は座れるってことですね。
あぁ、よく飲んだ。それじゃ、私はこの辺で。お先にぃ!
今日は座って飲んだこともあって、2時間弱という長時間の滞在で、お勘定は1,239円(1,180円+税)。6時を過ぎた店内は、比較的ゆったりとしてきたようです。休みの日の早い時間帯(4~6時ごろ)は(他に開いている店がないということもあって)ひどく込んじゃうんでしょうね。
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