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2004年7月

松山弁にくつろいで … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

帰省後1軒目の酒場は、松山で45年以上続いているという老舗バー「露口(つゆぐち)」です。「昔はよく通ってたんだけど、勤務先が松山じゃなくなってから、10年以上ごぶさたしてるなぁ」という旧友の案内で、「露口」の入口をくぐったのは午後10時前。

われわれが店に到着する直前に3人組の男性が店から出てきていて、直線カウンターだけの店内は、ちょうどその3人分の席が空いている状態。これはラッキーですね。

席につくわれわれに、おしぼりを出してくれながら朝子ママが「あらぁ?」とちょっと考えるそぶり。「10年ぶりぐらいに来たんよ」と旧友。「そうじゃろ。どうも見覚えがある思たんよ」と朝子ママ。

店はカウンターの入口側にいるマスター(露口貴雄氏)と、こちら奥側にいる朝子ママの2人で切り盛りしている様子。直線カウンターの席数は全部で13席という、比較的こぢんまりとしたバーです。

「なに飲む?」「ハイボールください」「私も」と、まずはハイボールでスタートです。「は~い。なにしろ『元祖』じゃけんね」と朝子ママ。

この店の開店は、昭和33(1958)年8月15日。その当時は、なんと「寿屋(ことぶきや)チェーンバー(KCB)」(←現在の「サントリーチェーンバー(SCB)」の前身)としてスタートしたそうで、店内中央にもそのプレートが飾られています。ハイボールは、そのころからの自慢の一品。中野のサントリーバー「ブリック」が昭和44(1969)年の開店ですから、その10年以上前からハイボールを出し続けてるんですね。

飲み物はすべて、バーテンダーでもあるマスターが作ります。「はい。ハイボールです」。2人の前にハイボールが出てきました。ハイボールがトンと置かれた1枚板のカウンターは、あちこちに傷があり、やわらかくカマボコ型(凸型)にそりかえっていて、46年の年月を感じさせます。

グラスをちょいと持ち上げて乾杯し、ツゥーッとひと口。ほぉ。けっこう濃い口ですねぇ。「最近はハーフロック(1対1の水割り)なんかもあるぐらいですから」とマスター。たしかにこのほうがウイスキーの味はよくわかる。なにも銘柄指定せずに作っていただいたハイボールは、サントリー「角瓶」のダブルぐらいの濃さのハイボール(たぶん800~900円ぐらい)でした。

お通しとして出てきたのはポップコーンです。特に食べものメニューもなく、まわりを見ても料理を食べている人はいない。飲むことが中心のバーのようです。あ。メニューがないのは料理だけではなくて、お酒のほうもメニューはありません。

旧友によると、昔からこの店は冷蔵庫がなくて、ビールも置いていないのだそうです。「冷蔵庫は今もないの?」と聞く旧友に、「今もないんですよ」と朝子ママ。

ハイボールのおかわりをもらおかな。旧友は、2杯目として「スティンガー」を注文します。すると朝子ママが、「あ。思い出した。いっつもスティンガーを飲んどったお客さんじゃ。あぁあぁ。ほら、スティンガーのお客さんよ」とマスターにも報告。マスターも向こうでウンウンと笑顔でうなずいています。

そうかぁ。私自身、「スティンガー」というカクテルは彼から教えてもらいましたからねぇ。

13席しかないカウンターには、地元の放送局のアナウンサー氏や、新聞社の松山支局の人たちなど、マスコミ関係の人が多いようで、みなさんそれぞれに顔見知りの様子。なにしろこれだけしか席数がないから、何度か来るうちにわかっちゃうんでしょうねぇ。もともとが同業者だし。さらには京都からいらした染物の先生や、その同行者。そして、京都から観光でいらしたという御夫婦なども混ざって、ときに個別に、ときにお店全体として盛り上がっていきます。

京都のご夫婦は、太田和彦さんの本(「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」)を見ていらしたのだそうです。「京都はサンボアもいいですねぇ」なんて話題も飛び出します。

そういえば、私も去年の6月、三条寺町の「京都サンボア」と、祇園の「祇園サンボア」の2軒に行きました。特に、「京都サンボア」の店の雰囲気は、ここ「露口」と似てるかもしれませんねぇ。

私自身、さっきの「ニッポン居酒屋放浪記 立志編」や、「京都大衆酒場」などを見ながら、見知らぬ京都の土地を歩いたのを思い出します。

旧友がモスコミュールを間にはさんで、本日3杯目のカクテルとなるスティンガーを注文するタイミングで、私もスティンガーをいただくことにしました。私はハイボール3杯のあと、4杯目となるカクテルです。ハイボールが濃いので、けっこう効いてきますねぇ。

つまみのほうは、ポップコーンが底をついてくると、カウンターの中からつぎ足されるので、つきることはありません。

カウンターの中のマスターや朝子ママは、常にしゃべりっぱなしの状態。それも、あっちに行っては話し、こっちに来ては話しと、まんべんなく店全体に気を配った話し方で、はじめていらした京都のご夫婦も、もちろん私も、疎外感はまったくありません。はじめてなのに、もう何度も通っているかのようにくつろげる。

そのくつろぎが、お客さんの長っ尻(ながっちり)にもつながっていて、みなさんなかなか席を立たないのです。そうだろうなぁ。だから、13席しかない店内は、いつも満席の状態。2人連れぐらいのお客さんが多いようで、2人が出ては、新しい2人が入ってくるといった感じです。

さて、次はなににしようかな。友人はここでハイボールに戻ります。私は…、「アレキサンダー」はありますか? 「クリームがないんですよ。冷蔵庫がないもんで」と、すまなそうにマスター。「カカオ系の味がよろしいようでしたら、ルシアンはいかがでしょうか。カカオが入るとルシアン。カカオの代わりにコーヒーが入るとブラック・ルシアンというカクテルになるんですよ」とていねいに教えてくれます。じゃ、その「ルシアン」を試してみましょうか。

ほぉ。ベースがウォッカとジンという、かなり強力なお酒なのに、カカオの甘さでまったく強さを感じさせないですねぇ。これは危ないカクテルです。

の~んびりと過ごしているうちに、もう12時ではありませんか。この店の閉店時刻は12時のはずなのに、ほとんどのお客さんはまだゆっくりとくつろいでいる。さっきなんか、いったん帰ったお客さん(年配の男性ひとり客)が、また来店しましたからねぇ。「お帰りなさ~い」なんて迎えられてました。

それじゃ、ラスト1杯ずつをいただきましょうか。なににする? 最後はカクテルの雄、マティーニにしようか。

こうして、ハイボールからスタートして、ラストのマティーニまで、ふたり合わせて13杯のカクテルをいただいて、今宵はふたりで12,000円。こんなにがぶ飲みしなければ、だいたいは2杯のカクテルをいただいて、ひとり2,000円程度という、とってもリーズナブル・プライスのお店のようです。そもそもカクテルを13杯も飲んだのに12,000円というのがリーズナブルの証し(あかし)とも言えますね。堪能いたしました。ごちそうさま。おやすみなさ~い。

店情報

《平成16(2004)年7月26日(月)の記録》

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店情報: バー「露口(つゆぐち)」(松山)

  • 店名: サントリー・バー「露口」(つゆぐち)
  • 電話: 089-921-5364
  • 住所: 790-0002 愛媛県松山市二番町2-1-4
  • 営業: 19:00-00:00、日祝休
  • 場所: 大街道、角に服部時計店がある路地を東に入り、数ブロック行った先、右手。路面電車「大街道」停留所から徒歩約5分。
  • メモ: 直線カウンター13席のみ。昭和33(1958)年8月15日創業。店内には冷蔵庫はなく、ビールも置いていない。トリハイ700円、角700円、オールド800円、カクテル各種900円など。

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なつかしの“す”うどん … うどん「かめや」(松山)

新宿から一夜あけて松山です。道後温泉(どうごおんせん)で下車して、朝風呂(朝温泉?)をいただいてから実家に向かうか、終点・松山市駅前まで行って、うどんを食べてから帰るか、ちょっと迷ったのですが、結局うどんコースに決定。終点までやってきました。

目当てのお店は、「かめや まつちか店」。「かめや」といううどんチェーン店の1軒なのです。

松山には、核となるような駅がふたつありまして、ひとつはJR松山駅。そして、もうひとつが、今居るところ。私鉄(伊予鉄)の駅である松山市駅(まつやましえき)です。この2駅は、路面電車で10分ほどかかるぐらいの距離があります。福岡と同じような感じですね。あちらはJRが博多駅。私鉄は西鉄福岡駅と、こちらも地下鉄で移動しなきゃならないぐらい距離があります。

そして、その松山市駅の前、銀天街(ぎんてんがい)という商店街に続く地下街が「まつちかタウン」です。この中にあるから「かめや まつちか店」なのです。

「かめや」の開店は、ちょうど高速夜行バスが到着する午前7時半。まるでねらったようなタイミングですね。その開店直後の「かめや」に入ります。「いらっしゃいませ」とクラッシュ・アイスのたっぷり入ったお水を出してくれたおねえさんに、「肉うどん」を注文します。

私がこの街で3年間を過ごした高校時代には、もっと「かめや」の支店数も多くて、中間試験や期末試験などで、午前中で学校が終わったときなどに、よく友だちと連れ立って昼食としてうどんを食べて帰っていたのでした。注文してたのはいつも普通の「うどん」。いわゆる「すうどん」ってやつですね。ただし、盛りは「大」。

この店では、「大盛り」のうどんのことを「大増し」と表記してあります。本当はどう読むのか、いまだによくわかりませんが、当時はだれが言いだしたか、みんなで「だいまわし」と呼んでました。「だいまわしうどんください」で、ちゃんと注文が通ってましたから、本当は「だいまし」と読むのかもしれませんね。(地元の方々からの、正確な情報をお待ちします。)

さぁ。その当時は大ぜいたく品で、決して注文することができなかった「肉うどん」がやってきました。普通のうどんの上に、佃煮(つくだに)風に甘から~く煮た牛肉と牛蒡(ごぼう)、そして刻みネギがぱらぱらと乗せられています。

「代金を先にいただいてよろしいでしょうか。350円です」とおねえさん。通常は「肉うどん」は400円なのですが、朝7時半から10時までの間は、モーニングサービス(?)で、麺類(「かめや」にはそばやそうめんもあるのです)はすべて50円引き。今日のように日曜日でもサービスがあるのがうれしいですね。

それにしても、当時はあんなにぜいたく品だと思っていた「肉うどん」。今は普通の「うどん」が300円なので、100円しか違わないんですね。しかも、件(くだん)の「大増し」は100円アップなので、料金的には「肉うどん」=「うどん(大)」なんですね。

ちょっと肉が入るだけで、汁ごと全体がとっても甘~くなって、独特の味わいになります。こういう甘~い「肉うどん」は、他の土地ではあまり食べたことがないので、もしかすると愛媛県中予(ちゅうよ)地区(松山界隈の市区郡の総称)独自のものなのかもしれませんね。

これはこれでとっても美味しいものの、なにしろこちらにいたころにほとんど注文したことがない品ということもあって、あまり懐かしさは感じない。ここはやっぱり「すうどん」を食べとかなきゃね。「今度はうどんをください」。

すぐに出てきた「うどん」(通常300円だが、朝は250円)。鼻を近づけるとプ~ンとなつかしいダシの香りがします。そうそう。これこれ。この香りですねぇ。薄~く色付いたダシにうどんがおよぎ、刻みネギがぱらり。スライスされた竹輪(ちくわ)が2枚のってるのも昔のままです。

けっしてうまくてたまらないことはない(失礼!)のですが、なつかしいこと、なつかしいこと。その土地に行ったときに食べたいうどんのひとつですね、ここの「うどん」も。

ある店の味がなつかしいということでは、ここ「かめや」の「(す)うどん」や、広島駅1番ホームの「天玉うどん」などが。特定の店ではなくて、なんとなくその土地の味ということでなつかしいのは、ここ松山地区の「肉うどん」や「鍋焼きうどん」などの甘~いダシのうどん。博多の「○天(まるてん)うどん」や「ごぼう天うどん」などの、ちょっとやわらかめの太いうどん。広島県・呉地区のよくダシがからむ細麺のうどんもいいですねぇ。

どうもごちそうさま。さぁ、これから1週間。ゆっくりとくつろぎますか!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月25日(日)の記録》

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店情報: うどん「かめや」(松山)

【このお店は現在閉店しています】

  • 店名: うどん「かめや」まつちか店
  • 電話: 089-947-2288
  • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町5-1-1
  • 営業: 07:30-21:00、第3水休
  • 場所: 松山市駅前、まつちかタウン内。
  • メモ: うどん 300円、たぬきうどん 350円、肉うどん 400円、天ぷらうどん 450円など。朝7時半から10時までは、モーニングサービスで各50円引き。
  • HTML版(2003年以前): (02.08.02)

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元気丼で腹ごしらえ … 大衆食堂「つるかめ」(新宿)

1週間の夏休みに突入しました。新宿バスターミナルから、高速夜行バスに乗って松山まで移動です。でも、その前に腹ごしらえが必要ですね。せっかくの新宿なので、ション… いや思い出横丁で食べていきましょうか。現在午後6時。バスの出発は7時過ぎなので、1時間程度は大丈夫ですね。となると、ちょっと飲んで、夕食も食べられるところがいいですね。久しぶりに「つるかめ食堂」にしましょうか。そう、ソイ丼で有名なお店です。(注:タウンページ等に登録されている正式名称は食堂「つるかめ」のようですが、店頭には「つるかめ食堂」という表示がたくさんあるのです。)

西武新宿駅側(JR新宿駅からは遠い側)の入口から思い出横丁に入ります。途中、かくんとクランクしたところに、うなぎの串焼きが食べられる「カブト」があるのですが、土曜日でも満席です。なにしろ、夏はうなぎの季節ですからねぇ。

そして「つるかめ食堂」。こっちもお客さんが多いですねぇ。向こう側(JR新宿駅寄り)にちょっと空きがありそう…と思っていたら、私の前を歩いていたおじさんがガラリと引き戸をあけて、そこに入っちゃいました。残念。ちょいと引き返して、手前側の角のところに座ります。

店内は、だいたい8割程度の入りです。ただし、これは1階のカウンター席のこと。私は入ったことがありませんが、実は2階にも席があるらしいのです。

スッと目の前に来てくれたお店のおにいさんに、まずはビールを注文します。ビールは、サッポロ黒ラベルの大ビンのみで600円。「ビール!」とたのむだけで、「ハイヨッ」と出てくるスピードです。

大衆食堂といいながらも、入っているお客さんのほとんどはビールや、酎ハイ(350円)などを目の前に置いて、いっぱいやっている状態です。ま、なにしろメニュー構成からして、大衆酒場風ですからねぇ。目玉焼き、玉子焼きなどの150円にはじまって、塩辛、マカロニサラダ、ポテトサラダ、トマトサラダなどなどが200円、そして300円メニューが続き、マグロ刺しやシメサバなどが400円。ほかにも、トンカツや天ぷら、焼き魚などなど、つまみにもなるし、おかずにもなるメニューがずらりと勢ぞろい。これらのすべてがプラス300円で定食になるのです。

思い出横丁自体が観光地化していて、周辺のお店と比べるとやや高めの価格設定の店も存在する中、ここ「つるかめ食堂」のような、まさに大衆食堂らしい価格設定はとってもうれしいですね。だからいつもお客さんが多いんでしょう。

私は、今日は元気丼(げんきどん、500円)をもらいましょうか。

元気丼は、その名のとおり丼物(どんぶりもの)なのですが、ごはんの上にのっかってるのが牛スジ煮込みと牛タンマリネなのです。どちらも単品メニューとしても存在していて、牛スジが250円、牛タンが300円です。

牛スジ煮込みや、牛タンマリネをはじめとするサラダ類など、すぐにできる品物は、カウンター正面にど~んと据えられたガラス製のタネケースの中や上にずらりと並んでいて、丼メシの上に、そのタネケースの中の鍋やバットからひょいひょいと盛りつけるとすぐにできあがります。牛タンマリネの中央に1個、煮とろけんばかりのニンニクが乗ってるのがうれしいですね。

まずはごはんには手を付けず、上に乗っている煮込みやマリネをちびちびつまみながら、ビールをいただきます。

1階の店内は、コの字型のカウンターのみ。コの字の右側全体が入口になっていて、コの上のほうがJR新宿駅側になります。私が今座っているのは、コでいうと右下隅の角のところ。角の位置に陣取ると、左側のカウンター(コの下の部分)も、右側のカウンター(コの右の部分)も、どちらも一望できておもしろいですね。

私のすぐ右側にいるひとり客は、肉のフライ(“フラメンキン”というここの名物料理のひとつかも。お皿の上の残りがわずかになっているので判別しにくい)をつっつきながらビールを飲んでいる。野球帽を後ろ向きにかぶった青年かと思っていたのですが、その人の携帯に電話がかかってきてしゃべりはじめるとなんと女性の声。あらためてよく見ると、みなりは青年風ながら、若い女性ひとり客だったのでした。

そして左側、コの字でいうと下の辺にあたる部分は、どうやらこの店の大常連さんたちが居ならぶ常連席のようです。ここに並んだ3~4名ほどの人たちは、キンミヤマークが燦然(さんぜん)と輝くサワーグラスを片手に、後ろの壁にもたれるようにして、ゆっくりと飲み、しゃべっています。カウンターの中の店員さんのみならず、奥の厨房のおじさんからも名前で呼ばれながら親しげに話しているところを見ると、この人たちも、まさに二日とあけずに通ってるんですね。

あ。念のために言っておきますと、キンミヤマークはすべてのサワーグラスについてますからね。常連さん用のグラスにだけついているということはありません。ちなみにキンミヤマークというのは、「亀甲宮(きっこうみや)」という甲類焼酎のブランドマーク。六角形の亀甲の中に「宮」という字が金色で書かれているので、通称「キンミヤ」と呼ばれているのです。

なぜ、コの字の上ではなくて、こちら下側が常連席になったのかと考えてみると、どうやら壁にもたれかかることができるかという点にあるようです。この店には2階があるということを書きましたが、その2階へ上がる階段は、コの字でいうと左上の部分にあるのです。つまり、コの上側の辺のところが、まさに2階にあがるための通路になっているわけで、なかなか落ち着いて壁に寄っかかることもできない。というか、通路なので、こちら側よりも多少幅が広くて、壁にもたれられないじゃなかったかなぁ。(←未確認です。)

お。ちびちび飲(や)ってるうちに、もう6時半をまわっちゃいましたか。時間的に余裕があれば、もう1品ぐらい(できればマカロニサラダかポテトサラダがよかったなぁ)たのんで、酎ハイの1杯も飲んでいこうかと思っていたのですが、そこまでの余裕はないようですね。それじゃ、いよいよごはん部分に突入しますか。

そば屋で、「おかめそば」を注文して、その具の部分(カマボコやフ、ワカメなど)でお酒を飲んで、最後にそばをすすってお腹も満たすなんて食べ方をしたりしますが、この店の丼(どんぶり)もそれに近いものがありますね。名物「ソイ丼」(500円)もそうです。なにしろ「ソイのあたま」(400円)といって、「ソイ丼」の具のところだけがつまみとして存在しているぐらいです。まるで、そば屋の「抜き」(具入りのそばから、そばを抜いたもの)のようですね。

はい。どうもごちそうさま。お勘定は1,100円。コの字の左上の部分に陣取る女将さんはじめ、お店のみなさんからの「ありがとうございましたぁ」の声に見送られながら、店を後にしたのでした。

さぁ、松山に向けて出発だ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月24日(土)の記録》

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店情報: 大衆食堂「つるかめ」(新宿)

  • 店名: 大衆食堂「つるかめ
  • 電話: 03-3343-4078
  • 住所: 160-0023 東京都新宿区西新宿1-2-7
  • 営業: 12:00-23:15、水休
  • 場所: 新宿駅西口の思い出横丁の中。
  • メモ: 1階はカウンターのみ20席、2階は20席の合計40席。
    〔どんぶり物〕ソイ丼(大豆・ヒキ肉・カレー味)500、元気丼(牛すじ・牛タンマリネ)500、健康丼(大豆の酢の物・わかめ酢)500、ベーコン丼600、ソースかつ丼550、玉子丼500、ポジャ丼(牛スジをササミで挟んだフライ)500、イカ天丼500、天丼500(どんぶり物の大盛りは100円増し)。
    〔飲み物〕ビール(大)600、生酒600、日本酒400、黒霧島(芋焼酎)450、酎ハイ350。
    〔一品料理〕バカでアホでフラメンキン(牛肉のガーリック味天ぷら)450、トルティジャ(トマトと卵の炒め)500、バカコンポジャ(牛スジをササミで挟んだフライ)350、ソイのあたま(ソイ丼のおかず)400、牛すじ煮込み300、ナスの煮付け300、きんぴら250、肉じゃが200、厚揚げ煮付け200、ひじき200、大根の煮付け200、ほうれん草200、やっこ豆腐150、大根おろし150、大豆の酢の物150、わかめの酢の物150、白菜のお新香150、納豆100、焼きのり100。
    〔サラダ〕トマトサラダ250、マカロニサラダ250、ハムサラダ250、ポテトサラダ250、ハムマリネ300。
    〔一品料理・天ぷら〕アジ天ぷら300、ナマズ天ぷら300、ささみ天ぷら300、キンプラ(きんぴらの天ぷら)250、イカ天ぷら200、イカゲソ天ぷら200、豆腐天ぷら200、ちくわ天ぷら200、ピーマン天ぷら200、ベーコン玉ネギ天200、春菊天ぷら200、あしたば天ぷら200、わかさぎ天ぷら200、カボチャ天ぷら200、ゴーヤ天ぷら200、ミックス天ぷら(アジと野菜の天ぷら)300。
    〔一品料理・揚げ物〕チキンカツ350、とんかつ350、レバかつ300、レバ唐揚げ300、イカフライ300、ナス生姜250、さつま揚げ250、メンチカツ250、とり皮酢醤油200。
    〔一品料理・魚〕さんま焼き350、しゃけ300、サバ焼き250、ハラス300、うるめいわし300、たらこ(生/焼き)400、お刺身(各種)450。
    〔一品料理・炒め物〕肉野菜炒め500、レバ野菜炒め500、ホルモン炒め500、ベーコン野菜炒め500、にら玉500、レバ生姜炒め350、肉生姜炒め350、鶏肉の炒め350、ハムエッグ250、玉子/目玉焼き各150。
    〔その他〕ライス(大)250、(中)200、(小)150、しじみの味噌汁150、豆腐の味噌汁100、とん汁300。一品料理は、プラス300円で定食になる。(2007年7月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (02.09.14)(00.10.19)(99.11.29)(99.11.25)

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夏休み突入 … 居酒屋「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)

今週も無事終わり、明日から1週間の夏休みです。仕事仲間との暑気払い(しょきばらい)が終わり、鷺ノ宮駅まで帰ってきたのは午後11時45分。間もなく日付けが変わってしまうなぁと思いつつも、つい足が勝手に「ほ里乃家(ほりのや)」へ。

「いらっしゃいませ」と店主に迎えられつつ入る店内には先客が2人。奥に座っているのは、私がこの店に来ると必ずいるKtさん。手前には、あまりお会いしたことのない男性ひとり客。しかし、キープボトルを目の前に飲んでいるところをみると、この方も常連さんなんでしょうね。

そのふたりの間あたりに座り、まずはビールを注文します。なにしろ、横浜からここまでは1時間半ぐらいかかりますからねぇ。いい気分で酔ってても、ここまでたどり着くうちに酔いが少し醒(さ)めてしまうのです。

ビールはアサヒスーパードライの大瓶で550円。今日のお通し(200円)は、小鉢に盛られたポテトサラダです。ポテトサラダは大好きなので、うれしいですねぇ。中に混ざっているキュウリのパリッとした食感も心地よい。

つまみにはマグロブツ(400円)をもらおかな。暑気払いのときは、季節ガラもあって生ものはでないのです。しかも、明日はもう松山に帰省してしまう予定なので、最後にマグロは押さえておこうという考えなのです。いや、こんなに流通がいい時代なので、松山でももちろんマグロは食べることはできるのですが、せっかく瀬戸内の海の幸がたくさんあるのに、わざわざマグロというのもねぇ。そんなわけで、東京の居酒屋の華(はな)、マグロとも、これでしばらくお別れなのです。そう思いながら食べると、一段とうまく感じますねぇ。

12時も回り、入口近くのお客さんは腰をあげ、かわりにKtさんの知り合いの女性が入ってきて、一番奥側に陣取ります。ここは午前1時までの営業なので、この時間になってもまだお客さんが入ってくるんですね。Ktさんも、この女性も、そして私もそうですが、みなさん、この近所に住んでいて、あとはもう文字通り這(は)ってでも帰れるぐらいなのです。

「こんばんは。いらっしゃいませ」と、おかみさんが2階から降りてきました。きっと帰り支度をして、一足先に帰宅されるんだと思うのですが、せっかくいらっしゃったので、やきとり(4本1皿で350円)を焼いてもらいましょうか。この店では焼きものは、おかみさんが担当していることが多いのです。塩とタレとが選べるので、塩にしてもらいました。塩とタレとで、4本の内容が若干異なるようなのです。出てきたやきとりは、カシラ、シロ、レバー、ハツの4本です。

やきとりに合わせて、飲みものはチューハイ(320円)をいただきましょうか。

よく書きますが、看板に「焼き鳥」と書かれているときは鳥の串焼きのことが多く、「やきとり」の場合は鳥もあり、牛・豚の内臓もありといった感じ。これが「やきとん」とか「もつ焼き」になると、今度は鳥がなくなって、内臓専門になるのです。ここの「やきとり」も、実際にはもつ焼きなのです。このもつ焼きも、帰省先ではあまりお目にかからない一品なので、じっくり味わっておきましょう。

やぁ。もう1時ですか。それじゃ、私はこれで。お勘定は1,820円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月23日(金)の記録》

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月曜日は「川名」デイ … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

「海の日」とくっついた三連休も今日で最後。終わってみると早いですねぇ。今日は月曜日なので「川名」は定休日。今日の夕方散歩は荻窪の名立ち飲み屋、「やき屋」をねらっているのです。先日、オリジナルつまみ「いか刺しのワタ和え」を教えてくれたKさんから、「実は「やき屋」は祝日がすいてるんですよ」と教えてもらってたのです。

たらりたらりとチャリンコを走らせて荻窪へ。暑いなぁ、今日も。

「やき屋」に到着したのは午後4時半。ほんとだ。開いてる。ちゃんと祝日は営業してるんですねぇ。はい、こんにち…… エェ~~ッ! お客さんでいっぱいじゃない! 右手のメインカウンターから、左手のサブカウンター、さらには左奥のテーブル席まで、人人人…。

よく見ると、メインカウンターは本当にいっぱいなんだけど、サブカウンターには2人しか立っていないので、まだもうひとりぐらいは立てそうです。うまく立てば、サブカウンターには4人ぐらい立てるんだけど、今立っているおふたりが比較的ゆったりと、まるでワープロの均等割付といった感じで飲んでいるのでした。その奥側にまわりこむようにして、サブカウンターの一番奥に向かいます。

「ここも空いてるよ」と、奥から声がかかります。あ! “1番のおにいさん”! この人は、いつも「川名」のカウンターの一番入口側、お店の人たちからは“カウンター1番”と呼ばれる席に座っている常連さんで、私がひそかに“1番のおにいさん”と名付けている人なのです。

見れば、テーブル席に座っている3人は、いずれも「川名」の常連さんたち。「ありゃぁ、こんにちは。すみません、入れてもらいます」とあいさつしながら、“1番のおにいさん”が立ちあがってくれた後ろを通って、テーブル席の奥側に陣取ります。後ろからニッコリとのぞいてくれる女将さんに、「ホッピーとイカ刺身をお願いします」と、例によってホッピー(300円)の注文し、つまみにはイカ刺し(150円)です。

「どうしたんですか。みなさんおそろいで」と聞くと、「月曜日は、みんなここなんだよ。ほら、“イトーさん”もあそこ」。指差されたメインカウンターを見ると、いつもは「川名」の“カウンター7番”で飲んでいる“イトーさん”が、メインカウンターのちょうどテレビの下あたりで、ホッピーを飲(や)ってます。

ひやぁ。みなさん本当に毎日飲んでるんですねぇ。火曜日から日曜日は「川名」に通い、「川名」が定休の月曜日には、大挙(たいきょ)して、ここ「やき屋」にやってきてたとは…! う~む。達人ですなぁ。

「4時になるのを待ちかねてやってきてるんだよ。このあたり、早くから開いてる酒場がないからねぇ。「川名」かここぐらいだ。4時から開いてるのは」。へぇ。そういやそうですねぇ。「年寄りが多くなってきてるんだから、この辺の酒場ももっと早くから開けてほしいよなぁ」という声に、テーブル向こう側の“現場の親方”から「オレは今日は昼からやってんだよ」という返事がかえります。「知り合いが入院したんで見舞いに行ったら、仕事仲間が集まっちゃって。そのまま帰りに1杯よ」と言いながら、ホッピーをググゥ~ッと飲み干して、「ナカお願い!」。

それにしても、いつもは「川名」のカウンターにずらりと横に並んだ状態でお顔を拝見するか、カウンター席とテーブル席という距離感でときどき話をするかどうかといった感じで飲んでるのに、こうやってひとつのテーブルの周りで顔を付きあわせて飲んでると、なんだかこっぱずかしいですねぇ。

“1番のおにいさん”がホッピーを注文するタイミングで、私もナカ(150円)を注文します。それと、串焼フランク(150円)もください。右前の“現場の親方”が食べているフランクフルト・ソーセージが、とってもおいしそうに見えるので、思わず私も注文です。

その“現場の親方”、「今日は息子の誕生日だから、これから行ってくるよ。どうせ、孫の子守りだけどな」と言いながら、またまた残りのホッピーをググゥ~ッと干して、「じゃ!」と立ちあがります。まったく小気味よい飲みっぷりですねぇ!

“現場の親方”が出たかどうか。もしかすると店の外ですれ違ったかもしれないぐらいのタイミングで「よぉっ! ここいいかいっ!」と入ってきたのは、なんと“役者さん”です。なんだよぉ。ほんとに月曜日はみんなここに来てたんですねぇ。

“役者さん”はホッピーとシメサバを注文します。シメサバは、「150円均一」というこの店のつまみの中で、唯一200円。この店の中では高級品で、「はいっ! シメサバぁ!」とゲンさん(カウンターの中で調理全般を担当している店長)の復唱が聞こえると、「や。すごいのをたのむ人がいるねぇ」なんて思っちゃうぐらいです。

“1番のおにいさん”がつついているのは枝豆(150円)です。小さいザルに盛られています。前回来たときは、メニューの枝豆のところが紙で隠されていたのに、今日はあるようです。仕入れ値が高い間は、メニューに並ばないのです。そういえば、ウナギのキモ串(1本150円)も今日はありますねぇ。「ここは、安いのにどれを食べてもハズレがないのがすごいんだよな」。まったくそのとおりだと思います。

“イトーさん”が「それじゃ、お先に!」と、テーブル席のみなさんに声をかけながらお店をあとにし、“1番のおにいさん”も「オレもそろそろ…」と席を立ちます。しかし、まだまだこれでは終わらない。「こんばんは」とテーブル席に入ってきたのは、「川名」のカウンター3~5番あたりでよく見かける、いかにもマジメそうな会社員のおじさんです。

「ホッピーとシメサバ」。お。“役者さん”と同じ注文ですね。このシメサバはうまそうですよねぇ、量も多いし。「うまいよぉ! 袋入りのものなんだけど、半身丸ごとなんだよ。とても…とは思えないよ」と、指でVサイン(200円のこと)を出しながら話してくれます。「ほんとだよなぁ。普通の居酒屋だったら5百円ぐらいはとるよなぁ」と“役者さん”。“役者さん”は、今週は「水戸黄門」の撮影で京都に出かけるのだそうです。京都もいい酒場が多そうですよねぇ。

私も適量のホッピー2杯(ソト1にナカ2)を飲み終わったのですが、話も楽しくて、もうちょっと飲みたい気分です。「すみません。ウーロンハイ(280円)とイカナンコツ焼き(150円)をください」。

もうひとりの、私の正面に座っているおにいさん(この人も「川名」の常連さん)も役者さんのようですが、“役者さん”ほど活躍はされていないようで、普段は道路の誘導員なんかの仕事をしたりしている様子。しかし、なにしろ舞台や映画は大好きなようで、同じ趣味らしい“役者さん”とも、大いに話があいます。こうやって、普段の生活ではあまり聞くことができない話が聞けるのもおもしろいところですねぇ。

それにしても、このテーブル席は3方向をすっぽりと壁に囲まれて、まるで穴倉の中で飲んでいるように落ちつきます。こんないい席だったんだ。テーブルの向こうとこっち側に3個ずつ椅子が並び、メインカウンター側の短辺のところにも1個椅子があります。向こうとこっち3個ずつの椅子は、ほとんどすき間なく並べられてはいるので、かなりギューギュー詰めの状態にはなりますが、7人は座れるってことですね。

あぁ、よく飲んだ。それじゃ、私はこの辺で。お先にぃ!

今日は座って飲んだこともあって、2時間弱という長時間の滞在で、お勘定は1,239円(1,180円+税)。6時を過ぎた店内は、比較的ゆったりとしてきたようです。休みの日の早い時間帯(4~6時ごろ)は(他に開いている店がないということもあって)ひどく込んじゃうんでしょうね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月19日(月)の記録》

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久々のカウンター席 … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

三連休の中日(なかび)です。図書館をまわって「川名」についたのは、午後4時ちょっと過ぎ。

「こんにちはぁ」。「いらっしゃいませぇ」と迎えてくれた店主は、一番奥のテーブル席(C卓)でホワイトボードのメニューを書き込み中です。まだ開いたばかりなのに、カウンターにはずらりとお客さん。みんな早いなぁなんて思いながら、例によってテーブル席側に足が向きますが、ふと見るとカウンター1番席(一番入口に近い席)が空いている。まずカウンターから埋めなきゃね、なんて思いながら、久しぶりにカウンター席に陣取ります。

これでカウンターは満席(7人)。あとは順次テーブル席に入れ込みです。

「いらっしゃいませ」とミーちゃんがお通し(サービス)のブドウ(小粒のデラウェアの部分房)を持ってきてくれます。「(生)グレープフルーツ(サワー)をお願いします」(←カッコ内の語句は、実際には口に出していません)。「はぁ~い」。

今日も例によって生グレープフルーツサワー(336円)です。なにしろ、ジョッキいっぱいの酎ハイに、大きなグレープフルーツが半玉ついてきますからねぇ。グレープフルーツジュースたっぷりの酎ハイ・カクテル。なんだかとっても身体に良さそうな気がするのです。

サワーを持ってきてくれたミーちゃんは、すぐ横でレシートを取り出しますが、私が「う~ん」と迷ってる様子を見て「後にしますか?」とニッコリ。「うん。そうします」。ちょうど本日のメニュー(ホワイトボード)も書き終わったみたいなので、それを見てからにしましょう。

どれどれ。刺身は「まぐろぶつ」「まぐろ山かけ」「ほたて貝刺」「わらさ刺」「あじ刺」が各294円ですか。「ほたて貝刺」も、別にゆでてくれるプリップリのキモ(実は卵とのこと!)がうまいんですよねぇ。ワラサって、ブリのちょっと小さいのだったっけ? 夏だからアジもいいですねぇ。なにを見てもおいしそう。

その下は焼き物ですか。「ほたて貝焼」「あおやぎ貝焼」「生さば炭焼」が各231円。サバもいいなぁ。しかも“生”サバというのがいいじゃないですか。これお願いします。

そうこうしている間にも、次々とお客さんは入ってきます。まずやってきたのは、いつもはカウンター7番席に座っている“イトーさん”。今日は7番席が埋まっているので、テーブルC卓(一番奥のテーブル席)に座ります。それに続くように、「水戸黄門」などにも出演されている“役者さん”の登場です。いつものように「こんばんはぁ!」とみんなに元気よく声をかけて、テーブルA卓(一番入口側のテーブル席)に陣取ります。「じゃ、オレも移るか」と、カウンター4番席に座っていた“バンダナのおっちゃん”(←この店のマーボ豆腐がおいしいことを教えてくれた人)がA卓の“役者さん”の前に移ります。「昨日(土曜日)なんて、こっちがいっぱいで小上がりで飲んだからねぇ」と“役者さん”。そんなにいっぱいだったんだ。

そこへ、私がひそかに“1番席のおにいさん”と呼んでいる男性が入ってきました。この人も、“7番席のイトーさん”と同じように、かならず1番席に座っているのです。ところが、今日は私が1番席に座っちゃったので、「すみません」とあいさつします。「いいよいいよ」と“1番席のおにいさん”は、さっきまで“バンダナのおっちゃん”が座っていた4番席に座ります。「その席は、実は暑いんだよ」と言われて、ふと上を見ると、なるほどちょうどエアコンの真下に当たっていて、ここには吹き出し口がないのです。へぇ、知らなかった。

ちょうどミーちゃんが横を通りがかったので、「生グレープフルーツサワー(336円)のおかわりと、にんにく丸焼(294円)お願いします」と注文します。「にんにく丸焼」は、カウンター上部にずらりと並んだ短冊メニューの中の一品です。ホワイトボードのメニューが日替りなのに対して、短冊メニューのほうはいわゆる定番メニューで、年中この場所に張り出されているのです。「マーボ豆腐」や「湯ギョーザ」なども、短冊メニューです。

あれ? 「おひたし」や「おしんこ」などのメニュー(ホワイトボードの右下の位置)の中に「たらの芽」(147円)なんてのがある。「たらの芽」も、春先に天ぷらとしていただくことは多いのですが、それ以外の食べ方は知らなかったですねぇ。「にんにく丸焼」が焼きあがるまでの間に、これをいただいてみましょう。

出てきたのは、やわらかく煮た「たらの芽」のおひたしです。カツオ節をかけて、酢醤油で味付けられています。春先の「たらの芽」は、ほろ苦くてヒトクセある感じなのですが、このおひたしはすっかり丸くなってますねぇ。まるで元気でとんがってた青年が、ふんべつのついた大人になったよう。

そしてニンニクです。「にんにく丸焼」の名のとおり、まるまるひと塊のニンニクを、そのまま焼き上げたもの。ところどころ焼け焦げている皮をパリッと破ると、中からホクホクのニンニクの身が、湯気を立てながら出てきます。ふだんなら食べられないところだけど、「明日も休み(「海の日」で祝日)だから、ま、いいかな」なんて思いながらたのんだ一品なのでした。予想どおり、とってもおいしい。さっきの生サバといい、このニンニクといい、さすがは炭火焼ですねぇ!

さてと。それじゃ、そろそろ腰をあげますか。どうもごちそうさま。

1時間15分ほどの滞在で1,344円。「それじゃ、お先にぃ!」と、満員の店をあとにしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月18日(日)の記録》

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楽しさたっぷり … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

沼袋の「ホルモン」をあとに鷺ノ宮へ。今日の2軒目はバー「ペルル」です。

金曜日、午後9時過ぎの店内は、6割程度の入り。「ペルル」は遅い時間ほどお客さんが多くなってくるので、これからですね。L字(左右は逆)カウンターの中央付近に陣取ります。

この店にくると最近は水割り(350円)をいただくことが多いのですが、今日は久しぶりにハイボール(たぶん450円)をいただきましょうか。ハイボールも、銘柄を指定しない場合は、この店のハウス・ウイスキーらしき「ブラック・ニッカ」が使われます。

このところ、あまり書いていませんが、個人的なジャパニーズ・ウイスキー・ブームはまだ続いていて、自宅では主として「サントリー角瓶」の水割りやハイボールを、そして横浜の単身赴任寮では「ブラック・ニッカ」のストレートを、チェイサーのお水とともにちびりちびり飲(や)ることが多いのです。やわらかい甘みと香りが、ジャパニーズ・ウイスキーの特徴で、これはサントリーにもニッカにも共通しているようです。ピート(泥炭)による薫製の香りがないからかな。

マスターから「Nkさんからのいただきものです」と、小魚の釘煮(くぎに)が出てきます。これこれ。こういうのにまったく良く合うんですよねぇ、ジャパニーズ・ウイスキーは。ど~れ。「Nkさんいただきまぁ~す」と心の中でつぶやきながら、さっそく小魚に箸をのばします。

ふたり、ひとり、またひとりとお客さんが増えて、10時ぐらいまでには店内も満席状態に。ギターの上手なSzさんもやってきて、店の中にはギターの音色と、みんなの歌声が響きます。もちろん、歌わずにしゃべっている人、ひたすら飲んでる人と、それぞれが、それぞれに楽しめるのがバーのいいところ。生ギターの場合は、カラオケなんかと違って、店内に大音響が響き渡ることもないのがいいですよねぇ。

「ハイボール、おかわり」。すでに3杯目のハイボールです。だれかが、赤ワインを1本あけて、そのおすそわけも回ってきました。

今月の24日(土)には、またお店のお客さんたちで集まるイベントがあるらしく、私にも「どう?」と声をかけてくれたのですが、残念ながらちょうどその日から会社の夏休みで、田舎(愛媛)のほうに帰る予定なのです。

となりのカップルの男性から、「アレキサンダー」(500円)の注文が入ります。この店には毎月1品ずつテーマ・カクテルがあって、今月のカクテルが「アレキサンダー」なのです。「私もそれ!」と便乗注文。

「アレキサンダー」は、ジンとクリームをシェイクして作るカクテルで、とろりとしたクリーミィな舌ざわりの中に、ピリッとジンの強さを感じる不思議な一品。名前はよく知ってても、なかなか注文する機会がなかったカクテルなので、ちょうどいいチャンスでした。

そうこうしているうちに、もう閉店時間の11時半になり、飲んでる間にひとりずつ順番に会計です。私は今日は1,950円。

酒、話、歌の三拍子がうまく途切れたタイミングで、「じゃ、私はこれで。ごちそうさま。お先にぃ!」とあいさつしながら、店をあとにしたのでした。たっぷりと、楽しい夜でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月16日(金)の記録》

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ズバリ直球勝負 … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

あっという間の1週間が終わり週末です。このところ、時間がたつのが速い速い。年とったのかなぁ…。明日からは、月曜日の「海の日」もくっついた三連休。気分も軽く、横浜の会社から、自宅に向かいます。

途中、西武新宿線の沼袋(ぬまぶくろ)駅で途中下車。向かう先は、先日、雨の中をやってきたのに満席で入れなかった「ホルモン」です。今日はどうかな。

「ホルモン」のある路地は、「ホルモン」の手前でやわらかくカーブしていて、そのカーブを曲がるまで店の様子がわかりません。しかし、そこを曲がると、のれんの下、引き戸のガラス越しに、ずらりと並んだお客さんの背中が見えるのです。お。まだけっこう空いてそう。7時半なので、1巡目のお客さんたちが一段落した頃合いなのかな。

ガラリと引き戸を開けて「こんばんは」と店内へ。手前側カウンターの一番左端、焼き台のところに座ろうとすると、店主が「そこは熱い席だから、ひとつ横にずれたほうがいいですよ。そこしか空いてないときはしょうがないんですけどねぇ」と笑いながら教えてくれます。おすすめにしたがって、ひとつ内側にずれて、さっそくビールとおしんこを注文です。ビールは、今日は大きいほうをもらいましょうか。ラガーをお願いします。

ビールは大瓶の場合は、サッポロのラガーもしくは黒ラベルが選べて490円。小瓶だと黒ラベルだけで310円です。おしんこ(100円)は、今日はキュウリです。おしんこはほとんどのお客さんが注文する人気の品です。

それじゃ、例によってレバーとコブクロのちょい焼きを2本ずつお願いしましょうね。もつ焼きはすべて1本100円です。

この店は、もつの刺身こそないものの、このレバー、コブクロのちょい焼きはそれをおぎなって余りある一品ではないかと思っているのです。なにしろ、ちょっと火が通ったことで、表面のプリッと感が増している上に、内部はほとんど刺身状態ですからねぇ。

飲み物のほうは、焼酎(210円)にしましょうか。冷蔵庫でキリッと冷えた焼酎が、グラスからあふれるまで注がれます。表面をちょっとすすっておいて、あいたすき間に角瓶の梅シロップです。あぁ。んまいっ。

8時を回ると、店内もほぼ満席。みなさんおいしそうにもつ焼きをほおばっています。こんなに暑いんだけど、煮込み(290円)は相変わらずの人気。飲み物は、酎ハイやウーロンハイ、焼酎水割りなども人気があるようです。

私も焼酎に合わせてオッパイとアブラを焼いてもらいましょうか。2本ずつ、塩でお願いします。オッパイとアブラは、ともに脂のうまみと、それぞれプリプリ感(オッパイ)、クニュクニュ感(アブラ)が楽しめます。

まわりの人たちの注文を聞いていると、内臓系で人気が高いのはシロ、ヒラ、テッポウです。シロは小腸、テッポウは直腸、そしてヒラはその中間なのだそうです。タレ焼きでいただいている人が多いようですね。ヒラは他のお店であまり聞いたことがない品です。もしかすると別の名前で出てるのかな?

焼酎をおかわりして、最後にさっぱりと冷奴(250円)をいただこうかな。

このところ、自分の中で冷奴ブームが起こっていて、自宅でも、居酒屋でも、酒の肴(さかな)に冷奴をいただくことが多いのです。子どものころは、まったく味がないように感じて、あまり好きではなかったのですが、大人になって、お酒を飲むようになってからどんどん好きになってきたもののひとつです。最近は、いい作りの豆腐が増えてきているようで、心のそこから「うまいっ」と思えるものに出会うことも多いのもうれしいところですね。

今日は、約1時間半の滞在で、2,060円でした。お客さんが多かったので、注文回数を少なくして、ズバリと自分の好物だけを食べちゃいました。あぁ、おいしかった。どうもごちそうさまでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月16日(金)の記録》

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さっぱりとトマト割り … 居酒屋「茶や(ちゃや)」(野方)

「竹よし」での夕食会を終えて、フラフラと都立家政の商店街へ。今日は同じ方面に帰るメンバーがいないので、ひとりで二次会に向かいます。夕食会の後、バー「ピュアー」に行くことが多いのですが、今日は、前に四次会で行って、あまり記憶が残っていない(汗)「茶や」にもう一度行ってみることにしましょう。「ピュアー」と「茶や」とは、同じ通りの同じ側。ほんの数軒分離れているだけです。

引き戸を開けて店内に入ると、白髪の店主と、ショートヘアーのおかみさんが「いらっしゃいませ」と迎えてくれます。午後10時前の店内は、先客は右手のカウンターにひとり。私と同じぐらいの年配の男性です。

店内は、右手が“Γ”の形をしたカウンターになっていますが、奥の短辺の部分には、お酒のボトルなども置いているので、もしかすると縦の直線部分だけ使っているのかも。先客は、縦の一番奥の部分に座っています。私も、一番手前あたりに陣取ります。この直線部分には、6~8人ぐらい座れるでしょうか。左手にはテーブル席が並んでいます。

さて、なにをもらいましょうか。カウンターのこちら側(入り口側)に座ると、目の前には自家製果実酒がずらりと並んでいます。この中からいただいてみようかな。「自家製プラム酒(400円)をお願いします。」「う~ん。プラム酒はちょっとできが悪いんですよ」「そうなんですか。じゃ、梅酒(400円)をいただこうかな。ロックでください。」「はいはい」と梅酒のフタが開けられ、ロックグラスに注いでくれます。仕上げに、お酒の中に漬け込んでいる大きな梅をひとつ。

カラカラカラと氷を回して、まずひと口。はぁ。ちょっと甘いけど、おいしい。

お通し(たぶん300円)は、小鉢に盛られた「肉ジャガ」です。「煮込みすぎて玉ネギがとろけちゃいました」と店主。おかみさんは、横のほうでやわらかく笑っています。楽しく明るいご主人に、控えめな奥さんといった感じです。

ガラリと引き戸が開いて、これまた同じ年配ぐらいの男性ひとり客です。カウンターの中央あたりに座ります。向こうの男性もそうですが、今日は土曜日なので私服姿ですが、普段はきっと背広を着た会社員なんだろうなぁ、といった風情です。近所に住んでる人たちなんでしょうね。

メニューは壁にずらりと並んでいます。一番安いつまみは「いかわた」の300円。それ以外は400円のつまみが多くて、「冷やっこ」「肉豆腐」「冷やしトマト」「牛スジ」「おひたし(いろいろ)」「らっきょう(酢・塩)」などなど。「牛スジ、ください。」「今、牛スジが切れてるんですよ。月曜日には入るんですが…」と店主。そうかぁ。それは残念。

「じゃ、タラコを焼いてください。」「は~い」。メニューでは「たら子(生・焼) 600円」となっているものです。

飲みものはと。…。「トマト割り」(400円)なんてのがあるなぁ。おそらく焼酎のトマトジュース割りなんだろうけど、どんな味なんだろう。ちょっと飲んでみましょうか。

またまたガラリと引き戸が開いて、今度は女性客です。「こんばんはぁ」と店主夫婦に声をかけながら、奥の男性客のとなりへ。どうやら、奥の男性客の奥さんのようです。ご夫婦そろって、店主夫妻と親しげに会話を交わしているところをみると、かなりの常連さんのご様子。「竹よし」や「ピュアー」もそうですが、ご夫婦でいらっしゃるお客さんが多いのです。

さぁ、トマト割り。へぇ。これはほとんどトマトジュースそのものですねぇ。ある意味、危ないお酒かも。トマトジュースなので、スクリュードライバ(オレンジジュース)のような甘みはないのですが、冷たい飲み口が心地よく、ついククゥ~ッと飲んじゃいそうです。でも、普通の酎ハイと同じ濃度ですからねぇ。要注意です。

タラコ焼きも出てきました。表面を炙(あぶ)る程度に焼いたタラコを、厚さ4~5ミリ程度にスライスしたものが、刺身のようにお皿に並んでいます。炙られてちょっと白っぽい外側からジワッと赤身が増していって、内部はほとんど生。カツオのたたきのような状態ですね。ん~。ちょうどいい塩加減で、いいつまみですね。

「ここは何時に開くんですか?」「7時半から8時の間ぐらいに開けるんです。」「終わりは?」「だいたい2時か3時ぐらいなんですけど、お客さん次第ですね」と笑っています。定休日は日曜日だそうです。

「焼そば・うどん」(500円)、「茶や ぞうすい」(600円)、「茶や鍋」(650円)など、食事系のメニューもありますが、生ものは「まぐろ」があるぐらいです。

やぁ。トマト割りがさっぱりとおいしかったですねぇ。どうもごちそうさま。1時間強の滞在で、1,700円でした。

「それじゃ、お先にぃ」と席を立つと、店主夫婦に加えて、3人のお客さんたちがそれぞれに「おやすみなさぁ~い」と笑顔で見送ってくれました。とってもいい気持ちで、家路についたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月10日(土)の記録》

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年に一度はハモですね! … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

深川な夜から一夜明けて、今日は「竹よし」の夕食会です。お店についたのは、午後5時ちょうど。まずは例によって生ビールからスタートです。

今日のメイン食材は鱧(ハモ)と岩牡蠣(イワガキ)。どちらもとっても夏らしい食材ですね。

ハモや岩ガキの準備ができるまでの間は、ちょっとしたお通し(今日は海ブドウ)や、おかみさんが腕によりをかけて作った料理をつっつきながらの歓談タイムです。

おかみさん料理のひと品目は、ひき肉のレタス巻き。カレー風味のひき肉炒めが小鉢に用意されており、それをシャッキリと冷えたレタスの葉っぱにくるんでいただくのですが、これがまたシャキシャキとした歯ごたえもよく、カレーのスパイシーさともあいまって、絶好の前菜となって食欲中枢を刺激します。

ふた品目は、冷製のえのき茸に、たっぷりのとろろ昆布と細切りのシソの葉(大葉)を乗せたもの。このあたりからそろそろ日本酒をいただきたいですね。

「今日は愛媛の地酒があったんで、仕入れてみました」と店主。え、どれどれ。あ。「梅錦(うめにしき)」(つうの酒 吟醸酒)だ。久しぶりですねぇ。さっそく1杯いただきましょう。ほぉ。味の系統としては、東北のフルーティ系のお酒に近いように思います。あそこまでのフルーティさはなくて、かすかにフルーティの片鱗を感じる程度ですけど…。

ミントを散らして「アサリジャガ」を仕上げるおかみさんおかみさん料理3品目は、これはなんて言えばいいの。肉ジャガならぬアサジャガかな。アサリの酒蒸しに、ジャガイモの煮たのが入って、ミントの葉っぱがパラパラリ。「へぇ。はじめて食べるよ」。参加者一同からも、同じような感想が聞かれます。

そこへ。メイン食材のひと品目、ハモの白焼の登場です。どれどれ。さっそくワサビ醤油でいただきます。このハモという魚は、脂がたっぷりとのっているんだけど、ぜんぜんそれを感じさせないですよねぇ。本当にサッパリといただけます。

ハモおとしそして、ハモおとし(ハモの刺身)。ハモといえば「ハモおとし」というぐらい有名な一品ですが、梅肉といっしょに食べるのでよりサッパリ感が広がります。

「次は、岩ガキをいきましょう。実はうちのと岩ガキの食べ方について議論しましてね」と店主。「うちのはせっかくの岩ガキだから、まるごと出すのがいいという意見なんです。しかし、なにしろ身が大きいので、特に女性は食べにくいんじゃないかと思いましてね。私はいくつかに切ってお出ししたほうがいいのではないかと思うんですが、みなさんどう思いますか」。「切って出てくるお店も多いですよね」。「ボクはまるごとのほうが、岩ガキを食べたって感じがしていいなぁ」などなど、いろんな意見が出てきます。結局、意見はまとまらず、それぞれ自分が食べたい方法で出してもらうことになりました。

ところが! 「ごめんなさい。私、生ものはダメなの」という人もいて、まるごとの岩ガキ、スライスした岩ガキのほかに、なんと岩ガキのカキフライという3種類の食べ方が選べる状態になったのでした。この岩ガキ、仕入れ値でも1個500円近く。売り値だと千円を超えるようなお店が多いのに、それをカキフライとは! なんと贅沢な!

岩ガキとなりに座っているIwさんは、「まるごと」を選択。大きな岩ガキがふたつ、ドカンと出てきます。Iwさんは、その身をまるごとチュルンといただいて、「すっごいミルキー!」と大喜びです。

じゃ、私は喜びを長引かせたいので「スライス」でお願いします。うわっ。ほんと! これはまた、とてつもなくミルキーなカキですねぇ! こんなに味が濃いんだ。

生ものが苦手な人は、結局2人いて、カキフライ用に揚げ油が用意されます。油の温度が上がってきたところで、まずはおかみさん料理の4品目、そら豆フライです。シャーッと揚げて、ササッと塩をふっただけの簡単な料理なのに、そのうまいこと。

そして、カキフライです。けっこう大き目のお皿にドーンと2個分の岩ガキフライ。小皿に乗った普通のカキフライを、お皿もいっしょにスケールアップしたような感じですねぇ、これは。でっかい。

ハモ唐揚げ「せっかくですから、ハモの内臓や、お腹のまわりの小骨の部分なんかも揚げてみましょうか」と店主。さっそくおかみさんが、醤油で下味をつけて唐揚げをはじめます。

「さぁ。どうでしょうか」。大きなお皿にたっぷりのハモのアラの唐揚げ。これがまた、予想通りうまいのです。そりゃそうですよねぇ。ウナギで考えても、キモやバラの部分ですもん。まずいわけがない。たっぷりの唐揚げが、あっという間になくなってしまいました。

さっきの岩ガキフライといい、このハモのアラの唐揚げといい、普通はあまりお目にかからない料理に出会えるのも、夕食会ならではですね。

ハモ吸いメイン料理の最後を飾るのは、ハモの吸い物です。昨年京都でいただいたハモしゃぶもそうだったんですが、こうやって汁に入れると、表面に脂がたっぷりと浮いて、はじめてこの魚の脂ののりを感じることができるのです。まさに「淡白なんだけど、とっても濃厚」という相反する性格を持ち合わせてますねぇ。

メイン食材をいただき終わったところで、テーブル席からの「酎ハイをお願いします」の注文に合わせて、私も酎ハイをいただくことにしました。この店の酎ハイ用の焼酎は、なんと亀甲宮(キンミヤ)。店を開店して以来、ずっとこれを使ってきているのだそうです。

「おしんこでも召し上がりますか」と店主がお新香の盛り合せを出してくれます。

最後に、ウイスキー(シーバス・リーガル12年)を1杯(1ショット)いただいて、本日は終了。午後5時から、午後9時過ぎまで、4時間強の夕食会でした。やぁ、おいしかった。ごちそうさま。

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《平成16(2004)年7月10日(土)の記録》

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深川の夜は更けて … スナック「エコー」(門前仲町

だるま」をあとに、3軒目として向かった先は、辰巳新道(たつみしんみち)にあるスナック「エコー」です。

「こんばんは。2人です」。「あら、いらっしゃい。久しぶり。お元気でしたか」。いやいや。お元気でしたかは、こちらが聞きたいセリフです。ここの女将さんも、そろそろ80に手が届くかといった年齢ながら、たったひとりでお店を切り盛りされているのです。

それじゃ、例によって「いいちこ」(麦焼酎)をロックでお願いしますね。

ここ辰巳新道は、門前仲町を代表する飲んべ横丁。路地の中には2箇所の共同トイレ(男女兼用)があって、各店のお客さんはそこまで用を足しにくるのです。

「一見(いちげん)さんは入りにくい」と言われているこの横丁も、私の場合は、たまたま会社が近くにあったので、先輩から後輩へと、紹介によって引き継がれてきたのでした。同じ会社でも、部署によって行きつけの店が違うので、飲んでるその場でいっしょになることは少ない。ところが、なにしろ共同トイレは2箇所しかないので、そのトイレで「おぉ!」とか「やぁやぁ」なんて鉢合わせが多いのも、この横丁のおもしろいところだったのです。

うちの部署は、たまたま工場ごと横浜に移っちゃいましたが、ほかの部署の人たちは、あいかわらずここ門前仲町一帯で楽しく過ごしてるんだろうなぁ。ちょっとうらやましいですね。

Frさんも、もともとこの地元の人だし、女将さんなんて、この界隈の生き字引といって言いぐらいいろんなことをご存知なので、地元話に花が咲きます。

やっぱりいいなぁ、深川界隈は。飲んでることが自然、酔っ払ってて当たり前のようなゆったり感を感じるのです。もともとが辰巳芸者に象徴される花街や、洲崎遊郭などの、いわゆる三業地(さんぎょうち。芸者屋と料理屋と待合(マチアイ)という三業の営業の許可の出されている地域)なんかが近くに控えていたせいでしょうか。今でも場外馬券場(ウィンズ)なんかがある地域には、いい飲み屋が多いですからね。

深川・門前仲町のふところにゆったりと抱かれながら、ヘロヘロになるまでたっぷりと飲んだのでした。

たくさんおつきあいいただきまして、どうもありがとうございました。ぜひまた飲(や)りましょう! > Frさん

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《平成16(2004)年7月9日(金)の記録》

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店情報: スナック「エコー」(門前仲町)

  • 店名: スナック「エコー」
  • 電話: 03-3641-0752
  • 住所: 135-0048 東京都江東区門前仲町2-9-4
  • 営業: 18:00-24:00、日祝休
  • 道順: 地下鉄門前仲町駅3番出口から徒歩2分。門前仲町交差点から、森下方面に向かって清澄通りを北上し、すぐ先右手のガソリンスタンドの手前を右折して、次の角を左折すると辰巳新道に入る。次の逆トの字を左に曲がった左側の店。
  • メモ: 高齢の女将がひとりでやっている店。基本的には焼酎(いいちこ)かウィスキー(オールド)をキープして飲む。
  • HTML版(2003年以前): (03.11.08)(01.09.19)(01.05.24)(00.02.25)

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たっぷりサラダ … 居酒屋「だるま」(門前仲町)

河本」を出て、Frさんとともに、永代通り(えいたいどおり)を西へ進みます。

安い魚料理で有名な「魚三酒場(うおさんさかば)」は、店内に待ち行列ができている様子が、通りのこちら側からもうかがえます。そこから路地に入り、深川不動尊の前の通りへ。「だるま」に入ります。

「こんばんは」。以前と変わらず、入口引き戸のところに立って、「いらっしゃいませ」と、店に入ってくるお客さんを歓迎してくれるオヤジさんの姿に安心しながら店内へと進みます。

午後6時半ごろの店内は、まだ客は少なくて数名がカウンターで飲んでいる程度。われわれも、そのカウンターの奥のほう、ちょうど角の手前に陣取ります。

「酎ハイ(400円)、お願いします」と2人とも酎ハイを注文。ここの酎ハイは、焼酎を炭酸で割っただけのシンプルなものが、氷入りのジョッキで出されます。カウンターの上には、3~4人置きぐらいの間隔で、レモンサワーとライムサワーのペットボトルが置かれており、勝手に使っていいのです。

私も、レモンサワーの素をほんのちょっとだけ入れます。本当は、レモンの絞り汁だけがありがたいぐらいで、このレモンサワーの素はやたらと甘いのです。だから、入れすぎると飲めたもんじゃないぐらいに甘くなってしまうのです。

つまみはどうしましょ。ここのつまみは、値段も600~800円ぐらいと、下町酒場にしては高いのですが、量も明らかに2~3人前はあるのです。もともと、東京商船大学(現在は東京海洋大学)の学生さんたちがよく飲みに来てたお店らしいので、食べ盛りの学生さんたちのグループにあわせたメニュー構成になっているのかもしれませんね。

「量が多いので、ひとつもらって二人で分けましょうね」ということで、「サラダ盛り合わせ」(600円)をもらうことにしました。

「サラダね」という注文に、「はぁ~い」という軽快な返事は、美人姉妹のおねえさんのほうです。いやいや。このおねえさんも変わらなくて、ひと安心です。ま、美人の顔立ちはもって生まれたものなので変わんないんでしょうが、スラッとしたその体形も維持し続けてるというのがすばらしい。

出てきたサラダは、大きなガラスの器に、レタスがたっぷりと敷かれ、その上に手前にポテトサラダ、中央に冷やしトマト、向こうにマカロニサラダと、それぞれが普通の大衆酒場だとゆうに1人前ずつはある量で盛り付けられているのです。この半分の量を、半分の値段で出してくれると、ひとり客にはありがたいんだけどなぁ。

けっきょく、つまみはこのサラダだけで十分で、酎ハイをもう1杯ずつおかわりして、2人で2千円ちょっとだったのでした。

店情報 (前回)

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店情報: 居酒屋「だるま」(門前仲町)

  • 店名: 居酒屋「だるま」
  • 電話: 03-3643-7902
  • 住所: 135-0048 東京都江東区門前仲町2-7-3
  • 営業: 16:00-23:00(土日は -22:00)、不定休(年末年始、GW、お盆など)
  • 道順: 地下鉄門前仲町駅3番出口から徒歩2分。門前仲町交差点から、森下方面に向かって清澄通りを北上し、すぐ先右手のガソリンスタンドの手前を右折して、しばらく進んだ右側。
  • メモ: 家族を中心に、年中無休で営む大衆酒場。美人姉妹や、注文時の「1発」「2発」という掛け声でも有名。つまみの値段は400~800円と決して安い方ではないが、量は多い。カウンターとテーブルを合わせて約40席。
    ホヤ塩辛400、煮こごり450、ホタテ串焼き700、マグロ串焼き700、ニラ玉炒め600、豚キムチ炒め800、サバ塩焼700、おでん700、鳥つくね焼600、鳥あみ焼800、くじら刺800、コロッケ500、唐揚600、手作りメンチ800、牛もつ煮込み600、アサリ酒蒸し800、コハダ600、シメサバ700、たこブツ650、まぐろブツ600、ゲソ揚げ600、川エビ600、コマイ600、シシャモ600、ポテトフライ600、いわし丸干600、串カツ600、魚フライ600、イカフライ700、イカ丸焼き700、イカ納豆700、ブツ納豆700、ウインナー炒め600、ベーコンエッグ600、まぐろ山かけ700、月見600、サラダ盛合せ600、揚げギョーザ600、揚げシュウマイ600、自家製ぬか漬450、キムチ450、谷中生姜450、枝豆600、焼うどん500など。チューハイ400、ビール大瓶550、日本酒一級500、二級350、生ビール(大)850、(小)550など。(2007年5月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.11.08)(02.11.11)(02.09.28)(01.05.24)

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変わったのは鍋ぐらい!? … 居酒屋「河本(かわもと)」(木場)

久しぶりに東京の南東部(深川方面)への出張です。仕事が終わるのを待って向かったのは、懐かしの「河本」です。前回行ったのが、平成13(2001)年の夏なので、実に3年ぶりになりますねぇ。女将さんのますみちゃんは元気なのでしょうか。

それにしても暑いですねぇ。店までの道中で汗だくです。なにしろここ3日間ぐらい、最高気温が35℃近いですからねぇ。昨日なんか35℃を超えたんじゃなかったっけ? 今日も相当暑いなぁ。

お。開いてる開いてる。変わってないなぁ、外観は。しかし、こうやって明るい中で見ると、相当ボロボロの建物ですねぇ。(失礼!)

「こんちは」「いらっしゃいませ」と答えるますみちゃんも、全然変わってないですねぇ。まずはひと安心です。横浜・野毛の「武蔵屋(むさしや)」の姉妹ほどではありませんが、ますみちゃんも、私なんかよりはグンと年上なのです。

期待すべくもないですが、店内はエアコンなし。その割りには涼しいなぁ。中央に煮込み鍋まであるのに、それほどモワッとした感じもない。

左右が逆の「リ」の形をしたカウンターだけの店内(客は「リ」の外側に座る。中はますみちゃんのスペース)には、長い側の中央あたりに先客がひとり。冷奴をつっつきながらホッピーを飲んでいます。私もその奥の、「リ」の字で言えば、一番右上(左右逆なので、実際には左上)のあたりに座ります。いや、この椅子も懐かしいですねぇ。四角い長方形の木の椅子で、長方形の部分を縦にして座る人、横にして座る人と、いろいろいるのです。丸い木の椅子もあります。

まず、なにはさておきホッピー(300円)でしょう。ここのホッピーは、まさに正統派(?)のホッピーで、氷は入れない。焼酎・ホッピー共にしっかりと冷やす。焼酎とホッピーは別々に出して客が自分で割る、という「ホッピーのベストの飲み方三カ条」(「下町酒場巡礼」より)がしっかりと守られているのです。

あぁ、うまいっ。まわりは暑いんだけど、ホッピーは冷たいっ!

先客として座っている初老の男性も、「エアコンも最初からないとなると、それはそれで過ごせちゃうんだよなぁ」と汗を拭いています。うん。言われてみればそうですよね。ときどき、窓のすき間からフッと吹いてくる風が妙に心地よかったりします。

それにしても、エアコンのない酒場というのも、もうここ「河本」と、先ほどの「武蔵屋」、そして神楽坂の「伊勢藤(いせとう)」ぐらいじゃないでしょうか。「武蔵屋」「伊勢藤」の両店が燗酒主体の店なのに比べると、ここはよく冷えたホッピーが主体なので多少過ごしやすいですけどね。(注:実は「武蔵屋」にはエアコンがあるんだけど、あまり効かせている様子はないのです。)

さてと。つまみは「かけじょうゆ」(400円)と、私もとなりの先客が食べている「冷奴(小)」(100円)をもらいますか。

「かけじょうゆ」。この名前がまた懐かしいですよねぇ。以前は、月島の「岸田屋(きしだや)」にも、「まぐろかけ醤油」(当時600円)という品があって、「牛にこみ」とならぶ人気のメニューだったのですが、オヤジさんが亡くなってから、メニューから消えたらしいのです。そんなこともあって、この「かけじょうゆ」の名前が残っている店も数が少ないのではないでしょうか。

小鉢にキャベツの千切りが入り、マグロのぶつ切りが5~6切れ。横にちょいとワサビが添えてあって、メニューの名前どおり、醤油があらかじめかけられています。

この店のメニューは10品ぐらいしかないのですが、この「かけじょうゆ」の400円というのは、その中で最高値です。また、生ものもこの一品だけ。マグロというのは、昔から東京の酒場ではつまみの華(はな)だったそうですから。創業以来70年というここ「河本」でも、歴史的に最高級品の地位を保ち続けてるんでしょうね、きっと。

一方、冷奴はというと、どかんと大きいこのひとかたまりが、サイズ的には「小」で100円。私は食べたことがないのですが、「大」(200円)だとまるごと1丁の豆腐なのだそうです。お皿には豆腐だけ。醤油皿のほうに刻みネギとショウガが入っています。

豆腐の一片を箸で切り取り、しょう油をつけてスルッとすすり込みます。うだるような暑さの中で、口の中に豆腐の冷たい感覚が心地よい。いえね。けっして豆腐を冷やしてあったりするわけではないんですよ。水の温度としての常温状態なんです。でも、まわりがあまりに暑いので、その常温を冷たく感じちゃうんですね。あ~、うまい。

あれ? なんにも変わんないように見えたんだけど、この煮込み鍋は妙に新しい。鍋、変えたんですか?

「春ごろだったかなぁ。穴が開いちゃってねぇ。昔だったら、鋳掛(いかけ)屋さんで直してもらうところなんだけど、今はないから、新しいのにしたのよ」とますみちゃん。「ポコッと丸~い穴が開いちゃったからねぇ」と、となりのお客さんもそのときの様子を話してくれます。へぇ~、そうだったんだ。なにしろ、毎日毎日煮込んでますからねぇ。

そこへ、ガラリと引き戸が開いて入ってきたのは、なんとFrさん! 「えぇ~っ!」「あ。どうもお久しぶりです!」なんて、びっくりしながらあいさつです。考えてみると、昨年の大晦日にお会いして以来です。

Frさんも、私のさらに奥側(ここが一番奥)に陣取り、黒ホッピー(300円)と煮込み(200円)を注文です。私も、ホッピー(300円)をおかわりします。

Frさんは、すっかりこの店の常連さんのようで、ますみちゃんからも「知り合いなの?」なんて聞かれています。

そのFrさんの話によると、この店は70年ほど続いていて、ますみちゃんは2代目の店主なのだそうです。チャキチャキの下町っ子風に見えるますみちゃんも、実は広島のご出身なのだそうで、12才のときにこちらに出てこられたのだといいます。この古い建物は、昭和21(1946)年の築ということですので、あと2年ほどで築60年を迎えるか、といったところなんですね。

奥の厨房で、「かけじょうゆ」なんかを作ってくれる男性は、ますみちゃんのご主人かな、なんて思っていたのですが、実はますみちゃんの弟さんなのだそうです。

「冷奴ですね。私も冷奴を塩辛で食べた話を読んで、この店でやってみたんですよ。うまいですねぇ、塩辛で食べる奴は」とFrさん。そうかぁ。この店の冷奴は、なにしろ豆腐だけが皿にのっているので、塩辛と合わせて食べるのもやりやすいですね。ちなみに、塩辛も200円です。先ほどの「かけじょうゆ」以外のつまみは、200円か300円なのです。

店には、以前来たときも見かけた常連さんたちが、ひとり、またひとりとやってきて、だんだんとにぎやかになってきました。

Frさんが黒ホッピーをおかわりし、私も3杯目に突入です。

ホッピーの焼酎は、コカ・コーラの1リットルビンで冷やされてるんですが、このビンも見なくなりましたよね。なにしろ、ガラス瓶ですからねぇ。棚の上には、2~3本の1リットルビンがスタンバっているのですが、よく見ると微妙に形状が違う。これも面白いなぁ。

その1リットルビンから、ちょっと目線を右にずらすと、ぶら下がっている木札に「真寿美」と書かれています。「ますみさんの名前は、この字なんですか?」「うん。そうよ」。へぇ、そうだったんだ。この「寿(ことぶき)」という字が入った「ますみ」という名前も珍しいんではないでしょうか。今日は発見が多いですねぇ。

「よ~し。じゃ、次に行きましょうか」と、Frさんとの話もまとまり、お勘定をしてもらいます。

「はい。それじゃ、こちらはイチ・ヨン・マルです」とますみちゃん。やぁ。懐かしい。そういやそうやってお勘定してもらってたなぁ。はい、1,400円ね。

今日は1時間ちょっとの滞在でした。そういえば、煮込みを食べようと思ってたのに、Frさんと話をするのに夢中になってて、忘れてました。また煮込みを食べにいかなきゃね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月9日(金)の記録》

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店情報: 「河本(かわもと)」(木場)

    河本
  • 店名: 河本(かわもと)
  • 電話: 03-3644-8738
  • 住所: 135-0042 東京都江東区木場1-3-3
  • 営業: 16:00-20:00(土は -19:00)、日祝と第2土休
  • 場所: 地下鉄東西線・木場駅の4aまたは4b番出口を出て、永代通りを門前仲町(大手町)方面に4ブロック進む。左手前角にサンクスがある信号交差点(木場二丁目交差点、左向こう角はガソリンスタンド)を左折して、緩やかな上り坂をのぼって橋(平野橋)をわたった先の右手角。駅から徒歩10分ほど。
  • メモ: 昭和7(1932)年創業。現在は二代目の店主である真寿美さんが姉弟で営む大衆酒場。ホッピーが誕生した昭和23(1948)年から、ずっとホッピーを出している、ホッピーの元祖的なお店。名物の牛煮込みとホッピーの相性が抜群である。20:00ジャストに閉店。19:45ごろが雰囲気的にラストオーダー。 ホッピー400、にこみ400、(冬)おでん400、(夏)やっこさん大200・小100、(冬)ゆどうふ小100、かけじょうゆ400、さらしくじら400、柿の種200、しおから200、バタピーナツ200、ビール大600・小400、焼酎300、酎ハイ300など。(2014年12月調べ)

    ホッピー300、にこみ300、おでん300、やっこさん(大)200、(小)100、かけじょうゆ400、しおから200など。(2008年4月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (01.08.29)(01.02.28)(00.11.17)

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若い女性とふたり酒!? … バー「ピュアー」(野方)

夕食を食べ終えて、寝る前にちょいと一杯いっときますか。わが家から徒歩圏内にあって、日曜日でも開いている食後酒のお店となると…。「ピュアー」ですね!

「こんばんはぁ」と店に入ったのは午後8時過ぎ。店内は奥のほうに先客が3人。そのうち2人は女性です。いつも必ず女性客がいますよね、ここも。じゃ、私は一番手前のあたりに陣取りますか。

ん~と。あ。カクテルのメニューが変わってる。そうか、7月になりましたもんね。この店は、毎月12品ぐらいのカクテルを「おすすめメニュー」という形で、カウンターの奥に掲示しているのです。その中から、まずは「ウイスキー・スマッシュ」(630円)をいただきましょうか。

注文も終えて、ゆっくりしていると、奥から「こんばんは」と声がかかります。あ! Ykさん! 5月以来ですね、お久しぶりです。

3人連れだと思っていた先客は、1組の夫婦と、一番奥にはYkさんが座っていたのでした。このご夫婦と、Ykさんはともにこの近くに住む常連さん同士で、親しげにお話していたので3人連れに見えちゃったんですね。

先日、ちょうどYkさんが帰ったすぐあとに「竹よし」に行ったんですよ」「え~っ。そうなんですか」なんて、カウンターの奥と、一番手前でやりとりしてたら、「せっかくだから、Ykちゃん移れば」なんて店主(マスター)とご夫婦からも声がかかり、Ykさんが近くの席に移ってきてくれました。Ykさんは、いつものように生ビールです。ここの生ビールは、背の高いビアグラスに入って400円。バーの生ビールはおいしそうですよね。

「ウイスキー・スマッシュ(Whisky Smash)」は、オールドファッションドグラス(ロックグラス)にクラッシュアイスを入れて、ウイスキーと生のミント(葉っぱのミント)です。最後にレモンスライスとサクランボが1個。ウイスキーなんだけど、ミントの清涼感もあいまって、さっぱりといただけます。

そして、今日のお通し(310円)はバイ貝です。お通しでバイ貝というと、居酒屋でもときどき出てきますよね。小鉢に2個ぐらいがコロンと入って。ところが! さすがに「ピュアー」だけあって、同じバイ貝でも出方がおしゃれです。丸い平皿に、グリーンに色付けられた塩が敷きつめられ、その上に飾り付けるようにバイ貝が2個。まるで浅い砂浜に横たわっているような感じで並べられているのです。

横に添えられた小さいフォークで中身を引っぱり出します。「上手にとると、先っぽまできれいに出てきておいしいですよ」とYkさん。あっ。途中で切れちゃった! 「入口を下にして、トントンとすれば出てくるんじゃない?」というYkさんの助言にしたがって、トントンとしてみますがダメでした。残念。

2個目は慎重に慎重に。やったぁーっ。先っぽのクルクルっとした部分まできれいにとれました。ほら、どう!? なんて、Ykさんにも見せびらかしたりしながらおいしくいただきます。

向こうのご夫婦は、ここから約2分ぐらいのところに住んでいるそうで、まさしく「這ってでも帰れる」状態で、よくこの店にもいらっしゃるのだそうです。Ykさんの家は、それよりは遠いものの、私の家よりははるかに近い。いいですねぇ、「ピュアー」近くて。なにしろ、年中無休ですからねぇ、ここは。思いついたらいつでも飲みにこれる。(笑)

ご夫婦の奥さんと、Ykさんとは冷製パスタを注文していたらしく、盛り付けも美しく、豪華なパスタが登場します。この店では、料理は1人前と半人前が選べるようになっていて、Ykさんは半分のほうを注文したらしいのですが、そのYkさんが「マスター、これが半分?」と思わず確認するぐらい、量もたっぷりです。

さて、私のほうは2杯目の飲みものをもらいますか。同じく今月のメニューから、「オールド・グランダッド 114 (Old Grand Dad 114)」(630円)をいただいてみましょうね。オールド・グランダッド(おじいちゃん)というのは、バーボンウイスキーの銘柄のひとつで、後ろについている114という数字は、114プルーフ、つまりアルコール度数が57度であることを示しています。樽から直接ボトルに詰められた最強のバーボンなのだそうです。ッカァ~ッ。本当に強いですね。アルコール度数の高いお酒に共通する、アルコール甘さみたいなものを感じます。

Ykさんは、こういうお酒飲まないんですか? 「私は、強いお酒は苦手みたい。この前も“スティンガー(Stinger)”を試してみたんだけど、全部飲めなかったんですよ。ウォッカをオレンジジュースで割ったのは大丈夫でした」。スティンガーは、ブランデーをそのまま飲んでるのと変わんない強さだから、たしかにきついいかもしれませんね。ウォッカにオレンジジュースは、“スクリュードライバー(Screwdriver)”ですね。アルコール度数がわかりにくくて、レディーキラーとも言われているお酒だから、本当は危ないかも…。あ。でもそうか、Ykさんは「お酒に弱い」わけではなくて、「強いお酒が苦手」というだけなので大丈夫なんですね。

寝る前にちょっと一杯のつもりで出かけたのですが、Ykさんとの会話も楽しく、午後10時近くまで2時間近くくつろいでしまいました。

お勘定は1,570円。そういえば、この店には回数券があって、5千円で500円券×11枚と、さらにおまけでカクテル1杯券がついてくるのです。私もだいぶ前にこの券を購入してたのですが、その券があとちょうど1,000円分残っていたので、それプラス残りを現金で支払います。もともと値段が安いのに、この券を使うともっと安くなるのでした。

どうもごちそうさま。Ykさん、今回もどうもありがとう。それじゃ、みなさん、お先に。おやすみなさ~い。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月4日(日)の記録》

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軽~く焼き鳥 … 焼き鳥「くしとも」(鷺ノ宮)

今日も暑くて、昼間は自分の部屋で過ごします。夕方になって、ちょっと近場を散歩しつつ、鷺ノ宮駅(西武新宿線)近くの焼き鳥屋、「くしとも」に入ります。

右手のカウンターには、先客の女性客がひとり。後ほどご主人もいらっしゃるとのことで、一足早くやってきて食べ始めてるのだそうです。他は、左手のテーブル席も、奥の小上がりも空いています。なにしろ、まだ5時過ぎですからね。

それじゃ、生ビール(中ジョッキ、550円)と、焼き鳥はおまかせ5本セット(700円)をお願いします。お通し(たぶん350円)は枝豆(茶豆)で、ビールにぴったりです。

定番の大根おろしも出てきます。酢で軽く味付けされていて、刻みネギがぱらり。焼き鳥の合間にちょっとつつくと、口の中がすっきりとするのです。

さぁ、まず焼きあがってきたのは正肉とネギのタレ焼き、そしてレバーとハツのタレ焼きです。正肉もさることながら、レバーとハツがいいですねぇ。最近、いろんな焼き鳥屋でいただくレバーの質がうんとよくなってきたように感じます。口の中でトロンととろける感じが、よりフォアグラなんかの感じに近くなったように思うのです。昔は、ちょっと苦味というか、エグ味のような味がある店が多かったんですけど、最近はそういう鶏レバーにあまりあたらないのです。ときどきそういうエグいレバーにあたると、逆に鶏らしい感じがして、とっても懐かしく思うぐらい。(苦笑)

そして、ツクネの大葉巻きは塩味です。これもいいですねぇ。

ビールがなくなったので、つぎは梅酒サワー(400円)をもらってみましょうか。梅酒サワーは、梅酒の炭酸割り。さっぱりとはするんですが、ちょっと甘みが強いかな。

焼きものはアスパラの豚肉巻です。アスパラの味が濃くていいですねぇ。豚肉は、うす~く切ったバラ肉を巻いたもので、脂がとってもうまい。

そういえば、店の表に「うなぎ」なんて幟(のぼり)が出てたけど、うなぎもはじめたんですね。うなぎは静岡・浜名湖産のもので、白焼・蒲焼が小600円、大700円。うな丼は小750円、大850円だそうです。もともと、焼き鳥用に備長炭を熾(おこ)してるわけだから、そこでうなぎも焼いちゃおうってことなんでしょうね。

最後はギンナンをいただいて終了です。

さてと、夕方散歩の軽めの晩酌はこれくらいにしておいて、あとは家に帰って夕食にしますか。どうもごちそうさま。お勘定はちょうど2千円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月4日(日)の記録》

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天羽のエキス入荷 … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

夕方から図書館散歩。今週は鷺宮図書館の日です。

日本酒ソムリエが通う東京のizakaya(居酒屋)」(神沢柚実子著)なんて本を見つけました。各お店の紹介に、「女性比率」なんて項目もあって、前半のカラーページは女性比率の高い、いわゆる「おしゃれな居酒屋」が紹介されています。たとえば「IZAYOI(いざよい)」(麻布十番)や、「バードランド」(銀座)、「豆柿(まめがき)」(中野坂上)、「といち」(荻窪)などなど。しかし、後半は「日本酒通に愛されてきた名店」ということで、たとえば「シンスケ」(湯島)、「真菜板(まないた)」(高田馬場)、「(なごみ)」(恵比寿)、「善知鳥(うとう)」(阿佐ヶ谷)などなどが、こちらは女性比率なしで紹介されているのです。

著者の神沢柚実子さんは、とっても日本酒が好きな方のようで、本の全編を通して、それがひしひしと伝わってきます。「中央線にはなぜかカレーを出す居酒屋が多い。そして、なぜかウマイ」なんて記述もあります。私の好きな、いわゆるオヤジ酒場系ではあまりお目にかからないのですが、おしゃれな居酒屋はそうなんですね。「善知鳥」の茄子カレーも、野菜の水分だけで2日間かけて作るイチ押しの品で、「なぜか不思議と日本酒とも合う」のだそうです。私も、自宅の夕食がカレーのときに、ルーだけを深めの小皿に入れてもらって、それをつまみにビールを飲むことは多いのですが、日本酒と合わせてみたことはなかったですねぇ。今度やってみるかなぁ。

よ~し、借り出してじっくりと読んでみることにしましょう。他の何冊かとともに貸し出して続きをすませ、いよいよ居酒屋タイムです。今日向かっているのは、野方の「秋元屋」です。前回、満席では入れなかったのですが、今日はまだ開店時刻の5時を少し回ったばかりだから大丈夫でしょう。

「こんちはぁ」。ありゃ、それでももうお客さんが多いですねぇ。コの字カウンター全面にほぼ均等にお客さんが入っていて、全体としてすでに8~9割の入り。入口すぐのところの空席に陣取ります。

なにしろ暑いので、まずはビールをもらいましょうか。大ビンで、ラガーのほうをお願いしますね。

大ビンのビール(480円)はサッポロですが、ラガーと黒ラベルが選べるのです。

1杯目のビールをプハァ~ッとやったところで、ちょうどゆき子さん(若いおかみさん)がマカロニサラダ(280円)の準備をはじめます。「私も、マカロニサラダをお願いします」。見た目もおいしそうで、思わず便乗注文です。

マカロニサラダは、大きなタッパー(プラスチック製密封容器)にたっぷりと作っているものを、注文に応じて小皿に山盛りに取り分けてくれます。最後にササッと胡椒(こしょう)を振りかけて「はい、どうぞ」。やぁ、うまい。マカロニサラダやポテトサラダ(こちらも280円)は、なぜかひかれる大衆酒場の友なんですよね。大好きです。

マカロニサラダをつっつきながら、ビールをいただいているうちに、店主(マスター)の焼き物も一段落してきたようです。ニコッとこちらを向いて「なにを焼きますか」と聞いてくれます。「ハラミとナンコツを、今日は塩でお願いします」。やきとんは1人前2本で180円です。

「ちょっと強力な換気扇をつけたんで、店内の煙が減ったでしょう」と店主。エアコンの季節になって、入口扉を閉め切ると、店の中に煙がただよう状態になり、換気扇のパワーアップをはかったのだそうです。店主の手が開いたのもつかの間。すぐにまわりから焼き物の注文が続々と入り、もう焼き台の上は満杯です。

ハラミとナンコツが焼きあがってきたタイミングで、酎ハイをお願いします。「キンミヤとニホンシトロンにしてくださいね。あと、梅シロップもお願いします」。酎ハイは、普通のもの(宝焼酎+ハイサワーの炭酸)は340円で、キンミヤ+シトロンにしてもらうと370円です。

その酎ハイを出してくれて、「ちょっと待っててくださいね」と奥の部屋に向かった店主。なにやら一升瓶を抱えて出てきます。「天羽の謎のエキスを仕入れたんですよ」。

ほぉ。これがうわさの「Aハイボール」、ハイボールの素ですか。赤いラベルの焼酎用ですね。(ちなみに、ウイスキー用は、おなじ「Aハイボール」という名称ながら、黄色いラベルなんだそうです。)

となりの人は、キンミヤ焼酎(270円)をストレートで飲んでいるのですが、これにはおなじ天羽の「うめ」という青いラベルのシロップを入れています。立石の「宇ち多(うちだ)」のシロップも、これなのだそうです。

店主が、天羽飲料まで足を運んで仕入れをしてきたそうなのですが、そのときに「宇ち多」を知ってるか、と聞かれ、「知ってる」と答えたところ、じゃ、ということでなんとブドウのシロップも入手することができたのだそうです。ここ野方の地で、「宇ち多」のブドウ割りを楽しむことができるんですね。

となりのお客さんたちが、「テッポウをミソで焼いてもらうのがうまい」という話をされていたので、さっそくとなりの人たちと同じタイミングで、私もテッポウのミソ焼き(2本で180円)を注文します。

前回もいただいたのですが、テッポウの食感とミソ味とが本当によく合うんですよね。

約1時間の滞在で、今日は1,670円でした。次回はブドウ割りを飲んでみなきゃね!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月3日(土)の記録》

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ネクタイゆるめて週末だ! … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

あっという間に1週間が過ぎて、もう金曜日です。時間がたつのが早いなぁ、このところ。

西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅についたのは午後11時。遅くなっちゃいましたが、ちょっと「竹よし」によって帰りますか。

「こんばんは」と入った店内には、先客がふたり。それぞれ男性ひとり客でカウンターの手前側と奥側にひとりずつ座っています。それじゃ、真ん中に入れてもらおかな。なにしろまずはビール(スーパードライ中ビン、500円)を…。なにをおいてもこの1杯ですよね。プハァ~ッ。うまいっ! ちょっとお行儀悪いけど、ネクタイもゆるめさせてもらいますか。あぁ、くつろぐ。

「今日のお通し(200円)は、マグロのぬたです」と店主(マスター)。「今日はItさんたちもいて、ついさっきまでは、Ykちゃんもいたんですよ」。そうだったんですか。それは残念。楽しく盛りあがったんだろうなぁ。

さてと。まずはお刺身かな。お。大分産・真サバ(650円)がある。これをいただきましょう。「佐賀関(さがのせき)の近くの港に上がったものだそうですよ」といいながら、店主が真サバを見せてくれます。ほぉ。これはまた立派なサバですねぇ。

佐賀関漁協のブランド戦略なのか、厳密に佐賀関にあがったものしか「関サバ(せきさば)」とは呼んではいけないことになっているので、同じ漁場でとれても別の港にあがると単なる「豊後水道のサバ」になっちゃうんですね。そういえば、愛媛の佐田岬漁港でも、この「豊後水道のサバ」を「岬サバ(はなさば)」としてブランド化しようとしているようです。消費者側から見ると、こういうサバが、より安い値段で食べられる状況がありがたいので、あまりブランド化されないほうがうれしいですね。

来た来た。ほぉ~ら。プリップリ。これですよねぇ! 箸で持ち上げても、しっかりとその形を保っている。いい身の張り。醤油につけると表面にサッと脂が広がります。あぁ。うまい!

これは日本酒ですね。大分のサバだから、お酒のほうも九州(熊本)の「美少年」(吟造り純米酒、450円)にしようかな。

さっき入ってきたお客さんは、活じめのヒラマサ(600円)を注文。これもうまそうですねぇ。カンパチやハマチ、ブリなどと似た刺身です。

本格的な日本料理屋などだと、「金に糸目をつけず」といった感じで、とにかくいい魚が仕入れられるんでしょうが、居酒屋で「手軽に食べることができる値段」という条件つきで仕入れるというのはかえってむずかしいのではないかと思います。

それじゃ、次はサザエのつぼ焼き(500円)をいただきましょうか。

しばらくすると、サザエを焼くいい香りがただよってきます。なんだか夏っぽい感じですね。貝の焼ける匂いは。

つぼ焼きというと、こうやって貝殻ごと焼いたままの状態(これを「苦焼(にがやき)」とも言うそうです)で出てくることも多いのですが、「竹よし」ではここからひと手間。焼きあがった身を殻から取り出して、一口大にカットし、薄切りにしたシイタケといっしょに殻に戻します。そしてだし汁や調味料も加えて再び加熱して完成となるのです。

「はい。お待たせしました」。ど~れどれ。あ。うま~い。焼いた貝と、煮た貝のいいところをあわせもってますねぇ。芳(こお)ばしくて、味わい深くて。サザエとシイタケって、合うんですねぇ。「そうねぇ。サザエとシイタケがこんなにも合うというのを、だれが発見したんでしょうねぇ。今日のシイタケは、たまたま非常にいいものなんですよ」と店主。なるほどねぇ。それにしても、いいつまみだなぁ、これは。

お酒のほうは、今度は富山の「銀盤」(純米大吟醸・播州50、600円)をいただきますか。

奥に座っているおにいさんは、ここでヤリイカ焼き(550円)を注文。イカを焼く匂いもいいですね。ヒラマサを食べていたおじさんは、「サバの刺身とはめずらしいなぁ。ボクもそれをもらおうか」と大分産の真サバ(650円)を注文です。

「サバを召し上がりますか。これで、今カウンターにいるみなさん全員にサバを食べていただくことになります」と店主。へぇ。そうだったんですか。おにいさんも食べたの? あ。そうですか。おいしいですよねぇ、このサバは。どうやら、本日の一番人気のようですね。

ありゃ。気がつくともう12時半。閉店時刻(12時)を過ぎてるではありませんか。お勘定をお願いします。「夏場はだいたい遅くなるんですよ」と店主。今宵は1時間半ほどくつろいで、2,900円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月2日(金)の記録》

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あの土鍋はなんだろう … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

土曜日は例によって図書館から居酒屋への夕方散歩です。図書の貸し出し期間は2週間。わが家から徒歩10分ぐらいずつのところに杉並区立阿佐谷図書館と、中野区立鷺宮図書館の2館があるので、今週は阿佐谷図書館、来週は鷺宮図書館と、1週間ごとに交互に通うと、貸し出し期間とぴったりマッチになるのです。(最近気がついたのですが、地図上で阿佐谷図書館と鷺宮図書館を直線で結ぶと、そのまさに中点のあたりにわが家があるのでした。)

図書館での貸し出しも終えて、「川名」に到着したのは午後4時半。「いらっしゃいませぇ。テーブルにどうぞ」という声に迎えられながら店内へと進みます。今回も、カウンター7席はすでに満席。みっつあるテーブル席もA卓、C卓にはすでに人が座っており、空いているのはB卓のみ。

入口からB卓に進む私と、カウンターの奥からお通しのスイカを持ってきてくれるミィさんとが、同じタイミングでB卓につきます。「生グレープフルーツサワー(336円)ください」とその場で注文。最初は常連さんたちのまねをして飲み始めた生グレープフルーツサワー。今ではすっかりなじみのお酒になっちゃいました。なにしろ、大きなグレープフルーツ半個分のジュースがたっぷりと入るので、本当にフルーティなんですよね。

え~と。今日の刺身はイカ刺し、イサキ刺し、カツオ刺しにホヤ酢の4品(各294円)ですか。イサキにもひかれるけど、今日はカツオ刺しをもらいましょうか。「は~い」と伝票に記入して、カウンター内に戻るミィさん。

最近、図書館で借りている本の中で、おもしろいなぁと感じているのが、以前にもちょっとご紹介した「蕎麦屋酒」(古川修著)です。題名のとおり、そば屋と、そこで飲むお酒のことが書かれているのですが、その内容が、居酒屋にもつながるものなのです。

たとえば「私がいい蕎麦屋だと考えるのは、蕎麦を提供するということに関する店主の考えがしっかりしていて、おいしい蕎麦をお客に食べさせようという情熱と努力が伝わってくる店である」と書かれていて、「儲けだけを考えている蕎麦屋は論外」。「形態だけ手打ちとか自家製粉とかして客を呼び、実質が伴っていない蕎麦屋」もはずれとしています。

逆に「いい店は暖簾(のれん)をくぐって店に入ると、適度な緊張感と気持ちよく迎えてくれる心地よさを兼ね備えているものだ」。「いい店は、客に対するそれとない気配りが感じられるはずだ。これで蕎麦も酒もうまければ最高の店である」と書かれているのです。居酒屋についても、まったく同じことが言えるのではないでしょうか。

お客のあり方についても言及されています。「お客側もできるだけ店のコンセプト、ご主人の考えを汲み取り、それを理解する必要がある。よく、自分の好きなイメージの枠を持ち、それに当てはまらない蕎麦屋は駄目な蕎麦屋と決めつける客がいるが、指向する方向が自分と違っていたというだけのことが多い」。「蕎麦屋で蕎麦と酒を最高に楽しむには、その蕎麦屋の個性と流儀を理解することが必要である」。「いいお客は、お店の個性・流儀を理解して、その店に合った注文をし、酒、酒肴、蕎麦を店のサービス、雰囲気と一体となって楽しむ。これが粋である」とされています。

いい店は店主の志が高く、その指向にあったいい客が集まってくる。店と客とが融合し、一体化してよりいい方向に向かっていくんですね。私なぞ、まだまだ精進が必要そうです。

もう何年も前のことになりますが、蕎麦関連のメーリングリストのオフ会で、この本の著者、古川さんのご自宅にもうかがったことがあるのです。当時は、まだ自動車会社にお勤めだったのですが、その後、現職である芝浦工大教授に転身されたんですね。なにしろ工学博士だけあって、理論に裏付けられた蕎麦と酒の話が盛りだくさんで、読めば読むほどおもしろい本です。

さてと。生グレープフルーツサワー(336円)をおかわりして、つまみはホワイトボードメニューから「山いもねぎチーズ」(294円)というのをたのんでみましょうか。どんなつまみなんでしょうねぇ。楽しみです。

この店の(ホッピーのナカも含めて)サワー類のおかわりは、必ず新しいジョッキで出てきます。生グレープフルーツサワーの場合は、新しいジョッキに満杯の酎ハイと、半個分のグレープフルーツが出てきて、古いジョッキと、前回のグレープフルーツの絞りかすが下げられるのです。よく知った常連さんたちは、古いジョッキの中にグレープフルーツの絞りかすを入れて、新しいグレープフルーツが出てくるのを待ってます。そうすると、ミィさんたちお店のおねえさんが、新しいグレープフルーツを絞り器の上にトンと置いてくれるのです。

このままでは、とても半個分のグレープフルーツジュースは入りませんので、まず酎ハイのままで、ジョッキの上から1.5~2センチぐらいをググッと飲んで、それからおもむろにグレープフルーツを絞りいれます。私がやると、種までたっぷり入ってしまうのですが、上手な人はうまくジュースの部分だけを入れているようです。

「お皿も熱いですから、気をつけてくださいね」と、山いもねぎチーズが出てきました。なるほどぉ。薄くスライスした山芋を層状に重ねて敷きつめた上に、これまた斜め方向にスライスした白ネギを重ねて、その上にチーズをのせてオーブンであっためてトロトロにしてるんですね。

アチチ。たしかに皿まで熱いや。ど~れ。箸で一片をつまみあげると、トロ~ンとチーズが糸を引きます。アッツッツ。山芋が生と煮えた感じの中間的になっていて、新しい食感ですね。おもしろい。

この場所から、奥の座敷の一部分が見えるんですが、そこのお客さんがなにやら土鍋に入った麺類っぽい感じのものを食べているのがさっきから気になっているのです。この店には麺類のメニューはありません。何なんだろうなぁ、あれは。店のメニューの中で、ああいう細長いものがありそうなのは、マーボ春雨(399円)ぐらいかなぁ。う~む。そうだとすると、テレビCMなどで見るマーボ春雨とは、明らかに違う外観だけどなぁ。いまだに謎も多い「川名」の定番メニューの数々なのです。

さぁ。今日はこのぐらいで切り上げますか。お勘定は1,260円。おかみさんに支払いを済ませて、「どうもごちそうさま」と声をかけたところへ、店主からも「毎度どうもありがとうございます」と笑顔が返ってきます。約1時間の滞在で、店を出るとまだ午後5時半。真昼間のような明るさの中を、ちょうどよい酔い心地で家に向かったのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年6月26日(土)の記録》

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締めの黄金スープ … 焼き鳥「鳥久(とりきゅう)」(阿佐ケ谷)

金曜日です。首都圏だけの販売だろうと思うのですが、「散歩の達人」という雑誌がありまして、その今月号(2004年7月号)が、なんと高円寺・阿佐ヶ谷特集。6月21日(今週の月曜日)に発売されたばかりのこの雑誌を、湘南新宿ラインの車内で読みながら帰ってきたのでした。

特集の中では、高円寺・阿佐ヶ谷界隈の飲食店も何軒か紹介されているのですが、そのうちの1軒が先日はじめて行ったばかりの焼き鳥屋さん、「鳥久」だったのです。記事の中では、店主が団扇(うちわ)であおぎながら焼き鳥を焼く姿や、伊達地鶏やさつま地鶏の焼き鳥、さらには鳥スープなどが写真付きで紹介されています。

特に、前回最後にいただいてとってもおいしかった鳥スープについては、記事の中でも「締めの一杯は黄金スープだ!」「丸々仕入れるからできる鳥スープ」「脂ののった伊達鶏のガラで取った鶏スープは黄金色に光り、スープで鶏の甘さとすっきりとした後味を味わうもよし、ぞうすいや茶漬けにして締めるもよし」と、まさによだれが出そうなコメントがついているのです。

新宿で中央線に乗り換えて、阿佐ヶ谷駅に到着したのは午後10時。よ~し。「鳥久」だ。もしかすると、雑誌発売後初の週末なので込んでるかもしれないけど、ひとまずのぞいてみるか。

店の前まで行くと、ちょうど店内から3人組のグループ客が「ごちそうさまぁ」と出てきたところ。やったね。確実に3人分は空きがあるということですね。その3人と入れかわるように、傘をたたんで店内に入ります。

「いらっしゃいませ」。店主とおかみさんから声がかかります。左手の8席程度の直線カウンターには、奥に若い男女、手前に若い男性ひとり客がいるだけで、後は空いてます。右手にふたつあるテーブル席は、手前側にサラリーマンらしき男性3人連れ、奥はさっき出てきた3人組が使っていたらしく、おかみさんが片づけているところです。

カウンターの中央あたりに座ろうとすると、おかみさんから「傘とおかばん。おあずかりしましょうか」と声がかかります。「あ。お願いします」。そうそう。普段でもカバンの置き場には困ることが多いのですが、今日のように雨の日は、さらに傘まであるのでなかなか大変なのです。こうやって、すっとあずかってくれるとありがたいですね。

カウンターの中から、笑顔でおしぼりを渡してくれる店主に、まずは瓶ビールを注文します。ビールはサッポロ黒ラベルの大ビンで、550円。生ビールもあります。

ビールといっしょに、すっと出てきたお通し(たぶん150円)は、切干大根を煮たものです。前回のトンブリといい、呑んべ好みのする和風のお通しが出てくるんですね。

この席は、ちょうど左手にガラスのタネケースがあって、材料がよく見える場所です。私に一番近い側に、串に刺されたレバー、心臓がならび、その先にバラの砂肝(すなぎも)が置かれています。赤は赤なりに、ピンクはピンクなりに、いずれもいかにも新鮮といったつややかな輝きをはなっていて、見るからにおいしそう。その先に並ぶ、地鶏の串も、皮の部分が黄色っぽくて、身もしっかり。これまたうまそうですねぇ。ブロイラーの白っぽいい皮とはまるで違います。

となりから心臓の注文がはいり、タネケース内の心臓はあと1本となりました。鶏の心臓は大好物なので、これは押さえとかなきゃね。私も大あわてで「レバーと心臓。それと砂肝をお願いします」と、こちらに近い側の3つを注文します。

メニュー上は、「れば」「しんぞう」が各110円。「砂きも」は350円となっています。値段から考えると、「砂きも」はバラで別に焼いて、お皿に盛ってくれるのかな。そう思いながら見ていると、店主が砂肝をチャチャッと切り分けて、串に刺してくれました。なるほど。レバーや心臓といっしょに注文したので、同じように串焼き版にしてくれたんですね。メニューにはありませんが、串の「砂きも」は110円のようです。

その3本が、備長炭(びんちょうたん)の焼き台の上にのると、カウンターの下から新たな心臓が何本か取り出され、タネケースに入れられました。なぁ~んだ。あわてることはなかったのか。タネケースの中で表面が乾いてしまわないように、すぐに使う何本かだけを出してるんですね。

来た来たぁ。レバーです。う~む。前回もそうだったけど、この大き目のレバー。いい焼き加減で、口の中でとろりととろけるのです。これを110円で出されると、まわりの焼き鳥屋さんはたまったもんじゃないですね。この一品だけとっても、いつもお客さんが多いのがわかるような気がします。

心臓や砂肝も言わずもがな。プリプリ、クリクリと実にいい食感、味わいです。

さてと。今日はなんだか燗酒の気分ではないので、ウーロンハイ(370円)をいただきましょうか。つまみは「かわ焼おろし付」(350円)にしてみるかな。

鳥皮は、バラのままで焼き台上の網(あみ)にのせられます。なるほど。本当は砂肝もこういうスタイルで焼かれるんだったんでしょうね。焼きあがった皮は、お皿に盛られ、大根おろしが添えられます。「はい。カワオロシです」。なるほど、「かわ焼おろし付」は、店の中では“カワオロシ”と呼ばれてるんですね。

やぁ。脂のうまみたっぷりのいい皮ですねぇ。

空いていた奥のテーブルには男女ふたり連れが入りました。「おまかせで何本か焼いてください」と男性が注文します。なるほど、こういう注文の仕方もあるのか。店主は、焼き鳥(正肉)、レバー、つくねなど4~5種類をみつくろって焼きはじめます。

ガラリと入口引き戸が開き、「今日は空いてるね」と男性ひとり客が入ってきて、私の横に座ります。「いつもいっぱいで入れないからねぇ」とその男性。そうかぁ。私が、これまで2回来て、2回とも入れたというのは、もしかするとラッキーなのかもしれませんね。「遅い時間帯なら大丈夫ですよ」と店主。そういえば、私が来たのも1回目は午後9時過ぎ。そして今日が午後10時過ぎです。夜は1時まで開いてるみたいですので、遅く来たほうが入りやすいのかもしれないですね。

さぁ。いよいよ「鳥スープ」(250円)いってみますか。「はい」と返事した店主、大きなスープ鍋から少量のスープを小鍋に取り分け、火にかけます。けっこうグラグラ沸くぐらいまで火を入れた後、再度スープ鍋からスープを足して、再加熱してできあがりです。

「熱いので、気をつけてくださいね」と出てきたスープ。さっそくズズゥ~ッとひと口いただきます。なにしろ香りもいいので、蕎麦をすするときのようにズズゥ~ッと空気といっしょにすすり込むのがいいのです。ふわぁ~っと口の中、鼻の奥にいい香りが広がります。うまいなぁ。日本酒(燗酒)が飲みたくなるなぁ。たしかに、このスープで作る雑炊(ぞうすい)や鳥茶漬け(どちらも480円)ならうまいだろうなぁ。

いやいや。おいしかった。どうもごちそうさまでした。今日のお勘定はちょうど2千円。1時間の滞在でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年6月25日(金)の記録》

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奴を食べて全品制覇! … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

都内での仕事を終え、荻窪へ。久々の「やき屋」です。午後5時半をまわったところだけど、どうかな。わぁ。この時間帯でもいっぱいか。

メインカウンターは、ほぼ満席ながら、一番手前のおじさんがレジ側に回り込むようにして立っているため、その隙間(すきま)に入れそうです。「ここ、入れてもらっていいですか」「どうぞ」と、その隙間に入ります。サブカウンターにも2人の先客。ただし、奥のテーブル席は空いているようです。このテーブル席だけ、普通の座り飲みの席になっていて6人ほど掛けられるのですが、みなさん立ち飲みのほうがお好きなようで、ここが一番人気がないようなのです。グループ客が座っていることが多いですね。

さてさて。いつもはホッピーからはじめるところですが、ホッピーだとググゥ~ッとはいけませんので、まずはビールをもらいましょうか。ビン(スーパードライ、中ビン、380円)でお願いします。

すぐに出されたビールを、トトトッとグラスについで、まずは1杯グィ~ッと飲み干します。あぁ~っ。生き返った。この瞬間が大好きです。なかなかねぇ。ほかの飲みものでは生き返れないんですよねぇ、これが。

ビールに合わせて「枝豆」(150円)でもいこうかと思ったのですが、メニューの「枝豆」の文字は、まだ紙でおおい隠されています。なにしろ、つまみは全品150円ですからねぇ。その値段で出すのに見合った仕入れ価格になるまでは、メニューに登場しない、いや、登場してるけど隠されてるのです。

それじゃあ、「いかげそ揚げ」(150円)をもらいましょうか。ビールには、どういうわけだか枝豆や唐揚げがよく似合う。この店には鶏の唐揚げはないので、かわりに「いかげそ揚げ」にしてみたのでした。「いかげそ揚げ」は、すでにできあがって大皿に山と積まれているのを取り分けてくれるだけなので、出てくるのが早いというのもいいところです。

私の次に入ってきたお客さんは、メインカウンターの奥のほうに知り合いが立っているらしく、その辺の隙間(すきま)に入れてもらっています。いやぁ、いっぱいに見えてても入れるもんなんですねぇ。さすが立ち飲み。でも、その次に入ってきたお客さんは、いよいよテーブル席。まわりを見渡して、仕方なさそうにテーブル席に座ってます。

ビールとともに「いかげそ揚げ」を完食です。

次は夏らしく穴子にするかな。「きざみ穴子」(150円)をお願いします。夏らしくと言ったものの、実は「きざみ穴子」は年中あるつまみなのです。穴子もけっこう高いイメージがあるのですが、150円で出せちゃうんですねぇ。飲みもののほうは、もちろんホッピー(300円)です。

開けっ放しの入口から、何人かがのぞき込んでは、残念そうに立ち去って行きます。

この店は、マスコミの取材を受けないお店なので、ほとんどマスメディアに出ることがないのです。このページも含めて、インターネット上にときどき登場するぐらいでしょうか。それなのに、いつもいっぱいというのがすごいですよねぇ。みなさん呑んべの嗅覚(きゅうかく)で吸い寄せられてくるんでしょうか。私がはじめてこの店に来たときも、いつ見ても人があふれそうにいっぱい入っている様子に、つい引き寄せられて入っちゃいましたからねぇ。

あ。そういえば、最近、「ビバ・オヤジ酒場」という本に、「カッパ」や「鳥もと」とならんで登場したからなぁ。もしかすると、それせいでお客さんが増えちゃったかな。

よく「ネットでお店を紹介すると、(お客が増えて)自分が入れなくなっちゃうんじゃないの」と言われたりしますが、それでもいいかなぁなんて思いながら書いてます。自分が「いいなぁ」と思っているお店が、人気店になってお客さんでいっぱいになる。すると、そういうタイプのお店が新しくできてくる。そんな志(こころざし)の店ができたら、たとえ店は新しくても、お客さんはすぐに集まってくれるのではないかと思うのです。「秋元屋」などが、そのいい例なのではないでしょうか。

なにもしないでほっとくと、経営効率重視の大手居酒屋チェーン店ばかりが増えてきそうな勢いです。「家族経営に近い大衆酒場を応援してるぞ!」「居酒屋は効率よりもくつろぎだ!」という波が広がっていけばうれしいですね。

さてと。ナカ(150円)をもらって、あと「いかなんこつ焼」(150円)もお願いしますね。

そうそう。今回は、できるだけ店内のメニュー表記に近い形でつまみを表記しています。じっくりと観察してみたところ、カタカナを使っているのは「フランクフルト」(150円)のみで、他はすべてひらがな+一部漢字の表記であることに(今さらながら)気がついたのでした。

「いかなんこつ焼」は、長方形のお皿に6切れ並べられて出てきます。この6切れでホッピー1杯をちょうど飲み終えます。

ナカ(150円)をもう1回おかわりして、いよいよ「冷奴(ひややっこ)」(150円)をいきますか。これで、現在メニュー上にある品物は全品制覇となりました。やったね!

あ、そうだ。「冷奴」といっしょに「塩辛(しおから)」(150円)もください。せっかくだから、醤油ではなくて塩辛でいただきましょうね。

ど~れどれ。「冷奴」の上のネギやショウガをちょいと横にどけておいて、箸で一片を切り取り、「塩辛」を数切れのっけてパクリ。おぉ。これはいいですねぇ。

沖縄のほうにスクガラスという、アイゴの稚魚を塩漬けにしたものがあるのだそうです。このスクガラス、単品では相当塩がきついものらしいのですが、島豆腐に乗せて食べるといいつまみになるのだといいます。私自身はスクガラスは食べたことがないのですが、この塩辛乗せ豆腐のような感じなのかなぁ。いい出会いですね、豆腐と塩辛。

午後7時が近くなって、何人かがお勘定をはじめます。店内にも、ぼちぼちと空きができてきました。なるほど。この時間ぐらいまでが、まず1回目の6時前後のピークなんですね。そして8~9時ごろに2回目のピークがやってくる。この値段でやってるので、本当はもっとお客さんが回転してほしいところでしょうが、けっこうみなさん長っちりなんです。立ち飲みなのに、なんだかくつろぎますからねぇ、この店は。お店の態度もキチッとしてて、いい意味でやわらかい緊張感があるところがいいんでしょうね。

かくいう私も、もう1時間半もくつろいじゃいましたか。何にもなしに立ってたり、電車の中で立っている1時間半はつらいんですが、ここの1時間半は「もうそんなに経(た)った?」と思うほど早いですね。

じゃ、私もお勘定をお願いします。今日はビールとホッピー(ソト1、ナカ3)に、つまみが5品という、まさに酒池肉林(?)の楽しみ方をしたので、1,817円(1,730円+税)かかってしまいました。だいたいは千円もあれば十分(じゅうぶん)なお店ですから、今日は大ぜいたくですね。「毎度どうも」とニッコリ笑顔で見送ってくれる女将さんに、「どうもごちそうさま」とあいさつをしつつ、まだまだにきわいの続く「やき屋」を後にしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年6月24日(木)の記録》

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暑い日は穴倉で … バー「ブリック」(中野)

暑い暑い真夏のような一日。背広の上着はズゥ~ット手に持ったまま。ん~? そういえば、ちょっと前にもこんな暑い日に都内に来たなぁ。「ブリック」で生ビール飲んだっけ。よ~し。ちょっと暗めの穴倉のような空間で、ググゥ~ッとビールを飲みますか、今日も!

ギッコロと、入口ドアを開けて店内へ。午後7時半の店内は、ウィークデイにもかかわらずL字カウンターはほぼ満席。カウンター内のバーテンダー氏に、「こちらへどうぞ」と、スッと手を伸ばして示されたところに、かろうじて空席が1個。いやぁ、よかったねぇと思いながらその席に座ります。

「いらっしゃいませ」と差し出されたおしぼりを受け取りつつ、「生ビールの小(400円)をお願いします」と、なにしろビールを注文です。これを楽しみに来ましたからね!

すぐに出されたグラスの生ビール。泡もしっかりと美しい。さすがにお酒のプロがついだビールですねぇ。んじゃ、いただきますか。ッカァ~ッ。んまいっ!

お通し(400円)として出てきたのは今回も枝豆。夏らしいですね。じゃ、つまみも涼しく野菜スティック(400円)にしますか。

ビールを飲み干しました。私が座っているカウンター中央部は、実に微妙なポジションでして、これより入口側は、カウンターの入口側にいる若手バーテンダー氏の担当場所。そしてこれより奥側はチーフ・バーテンダーの菊地店長の担当場所なのです。ちょうど目が合った菊地店長にトリハイ(トリスのハイボール、200円)を注文します。

菊地店長も、若いバーテンダー氏も、忙しそうに働きつつも、常にまわりに目線を向けてくれているため、「注文しようかなぁ」と顔をそちらに向けると、あまり待つこともなく必ず目が合うのです。

さてトリハイ。ホワイトや角瓶などのほかのウイスキーは、水割やハイボールなどを注文すると「シングル(30ml)ですか? ダブル(60ml)ですか?」と量を確認されるのですが、トリハイの場合は必ず1ジガー(45ml)使うと決まっているので聞かれないのです。

サントリーのホームページ内にある、「吉村喜彦のトリスバー探訪」というページによると、元々トリスバーとして誕生したこの「ブリック」には、トリスを置いていない時期があったそうなのです。そのトリスが復活したのは昭和60(1985)年。そのころブームになっていた酎ハイに対抗するために、トリスのハイボールを復活させたのだそうです。ウイスキーを1ジガー使うというのも、そのときに決められた酎ハイへの対抗戦略のひとつなんですね。

最後にレモンの皮をピッと絞ってトリハイのできあがりです。

サントリーのウイスキーラインナップの中で見ても、トリスはそれほどいいお酒ではないはずなのですが、このバーのカウンターにひじをついていただくトリハイのうまいことといったら。

野菜スティックも出てきました。角瓶と同じデザインのロックグラスにクラッシュアイスが入れられ、細長く切られたセロリが3本、キュウリも3本、そしてニンジンが3本。横には辛子マヨネーズの小皿が添えられています。

この野菜スティックも好物のひとつなんです。いつも感動するのがこの歯ごたえ。セロリの歯ごたえは、ま、当然としても、キュウリもシャキッと。ニンジンなんて、パキッていう音とともに割れるように口の中に入ってきますもんねぇ。噛みしめると甘いし! そういえば、となりのおじさん(ひとり客)も野菜スティックをかじりながら、角の水割りを飲んでいます。ひとり客同士が、となりあってポリポリやってる姿もなんだかおもしろいですね。

トリハイ(200円)もおかわりです。

そこへ、入口横のテーブル席に座っている男女ふたり連れからフライドチキン(500円)の注文が入ります。や。それはおいしそうですねぇ。私もついでに作ってもらいましょう。「じゃ、こっちも、フライドチキンをお願いします」。「はい」と菊地店長が準備をはじめます。

いろいろなバーを見てみると、ほとんどつまみを置いてなくて、どっちかというと飲むことが主体のお店と、料理の種類も多くて、たっぷりと食べることもできるお店の2つに大別できますが、ここ「ブリック」は後者です。大好きなポテトサラダ(400円)、マカロニサラダ(400円)のほか、お腹がすいてるときにはグリルドサンド(450円)なんかもいいんです。この3品は、数あるつまみの中でも特に人気が高いようで、いつ来ても、だれかが必ず食べています。

私自身はまだ食べたことがないのですが、プレーンオムレツ(450円)やスペイン風オムレツ(600円)といった、オムレツ系のメニューも人気のようです。スペイン風オムレツなんて、厚みもたっぷりで、これだけで満腹になっちゃうんじゃないかなぁというボリュームです。

ふたたびトリハイ(200円)をおかわりし、野菜スティックもちょうどなくなったところへ、フライドチキンの登場です。

丸お皿の手前側に、まん丸く整形されて熱々に揚げられたフライドチキンが4つ。とてもおいしそうな香りをはなっています。皿の奥側には千切りのキャベツたっぷりの上に、細くスライスされたニンジンがきれいに整列して乗っかっていて、自家製らしきマヨネーズがかけられています。

どれどれ。まず1個目をハフハフとほおばります。出てきた瞬間からそうでしたが、本当にいい香りですねぇ、この鳥肉は。自分が注文してないときに、となりで食べられたりするとたまりませんなぁ、きっと。

私が入った後からも、お客さんは続々と入ってきており、1階はいっぱいなので、次々に2階に上がっていきます。店の中はお客さんでいっぱい。火曜日でも、午後8時をまわるとこういう状況になるんですね。

あら。トリハイがなくなっちゃった。本当はビール1杯と、ハイボール2~3杯というあたりが、気持ちよく酔えて、翌日にも残らないちょうどいいぐらいの量なんですが、まだフライドチキンも残ってるので、今日は4杯目をいただいちゃいますか。「すみません。トリハイ、もう1杯」。

トリハイは、さっき書いたとおり、ちょうど1ジガー(45ml)ずつ、メジャーカップできっちり計量して作られますので、4杯飲むと、ウイスキーを180ml(1合。1/4ボトル)飲んだことになります。アルコール度数が、日本酒の3倍ぐらいなので、日本酒に換算するとちょうど3合分ということですね。

それにしても、ハイボールは、そのシュワシュワとした炭酸の口当たりのせいか、すいすいといくらでも飲めちゃって困りますねぇ。酔いが後から効いてくるタイプの飲みものです。

この穴倉のようなほの暗いバーの空間に、まだまだずっと抱かれていたいところではありますが、なにしろ火曜日。今日はこの辺にしておきますか。

お勘定は2,530円。1時間強の滞在でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年6月22日(火)の記録》

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