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びっくり南蛮漬け … おでん「いこい」(松山)

私の生家がある町は、今でこそサラリーマン家庭が多いものの、昔は農業・漁業で生計をたてていた土地。今も、朝になると近所でとれた魚を、小さい手押し車にのせて売りにくるおばさんがいるのです。他の土地でなかなか食べることができないのが、こうやって売りにくる瀬戸内の雑魚(ざこ)ですね。

たとえば、今日の朝ごはん。小さいカレイ(ミスキガレイやウシノシタの小魚などが混ざったもの)を一部ムニエルにし、また一部はそのままみそ汁に。なにしろ体長6~8センチぐらいしかないカレイなので、中骨以外はそのまま食べられます(好きな人だと、中骨まで食べちゃうかも)。干して“デベラ”みたいにしてもうまいんですよねぇ。

夕食にはギゾを焼いたもの。ギゾというのは、こちらでの呼び方でしょうか。標準的にはベラとかキュウセン(求仙)、関西地区一帯ではギザミともいう、まるで熱帯魚のようなケバケバしい小魚です。焼いて、味噌をちょいと付けながら食べるとうまいのです。

さらにはタコです。一部はさっとゆでて刺身で。これが一番タコの味がよくわかります。瀬戸内海はエビ、カニ、貝など、タコの餌(えさ)になる生き物が多いので味がよくなるのだそうです。そして天ぷら。大きい部分はそのままタコ天に、小さいところは何切れかを寄せ集めて、かき揚げ風タコ天になるのです。熱いうちにハフハフと。なんで瀬戸内以外ではタコを天ぷらで食べないのかなぁと、この天ぷらを食べるたびに思います。タコの唐揚げの比じゃないですよぉ、天ぷらは!

これで“タコ飯”でも食べれば完璧だなぁ、なんて思っているところへ、友人から「今夜も行こう!」と飲みのお誘い。ホイホイと喜んで出かけます。今回は、会社の夏休みと子供たちの予定とがおり合わず、私ひとりで帰省しているので、フットワークがより軽いのです。(笑)

出かけた先は、昨日に引き続いて松山・二番町です。

松山の繁華街は、松山城の南側に、お城に近いほうから一番町、二番町、三番町と広がります。その三つの町を大街道(おおかいどう)という商店街が、ずどんと直角につらぬいているのです。中でも今向かっている二番町界隈は、夜になってますます繁華街になる感じの、まさに夜の街。派手なネオンと、呼び込みのおにいさんたちが道行く人々を誘います。ま、だいたいは誘われたい人たちが集まってきてるんですけどね…。

現在、午後8時。友人がまだ食事をとっていないというので、まずは食べものもある店をさがします。なにしろ、私は夏休みですが、友人をはじめ、みなさんにとっては普通の平日ですからねぇ。やっと仕事が終わって、これから飲むぞという時間帯なんですね。

「おでんのおいしい店があるよ」と、友人を連れて入ったのは、2年ぶりの「いこい」です。昨年は帰省できなかったからなぁ。間があいちゃったのです。

「こんばんは」と入ると、すぐ右手のカウンターの入口側には、以前と変わらず女将(ママ)さんがいて、なつかしい笑顔で迎えてくれます。いやぁ、この時間、左手の小上がりまで含めて、お客さんが多いですねぇ。L字カウンターの短辺のところだけがかろうじて空いていたので、2人でそこに座ります。

「生ビールをお願いします」と注文する友人に、「生ビールはアサヒとキリンがありますが」と女将さん。そうでしたねぇ。2銘柄あるところも変わっていない。「キリンで」と友人。「同じく」と私。まずはジョッキで乾杯です。

L字カウンターは、Lの縦の辺(長辺)に9人、横の辺(短辺)に3人の都合12人が座れますが、どうもいつ来ても短辺のところは人気がない。なぜかというと、この席からはカウンター中央部に掲げられた、本日のおすすめが書かれた黒板メニューが見えないからなのです。かわりに、紙に書かれたメニューを見せてくれるのですが、黒板のほうは、品がなくなった時点でどんどん消されていくのに対して、紙のほうは最初のままなので、やっぱりちょっと不便なんですね。だから、この席が最後まで空いてるんだと思います。

私はもう、ほとんど満腹の状態できてるので、おでんの玉子とスジ(牛スジ)の2品ぐらいにしとこかな。「はいはい」と、カウンター中央にふたつドンと据えられているおでん鍋から、女将さんが取り皿にとってくれます。そして、やわらかく溶いた辛子味噌を、お皿の空いてる部分にシャーッとかけ入れて「はいどうぞ」。

辛子味噌は、ホットドッグにケチャップやカラシなんかをかけるような、最近ではお好み焼きなどにマヨネーズをかけるような、とんがった口の容器に入れられていて、逆さにして絞り入れるようになっているのです。

友人も玉子とジャコ天というおでんからスタートです。

カウンターの上においてある大きな鉢のなかみは、南蛮漬けかな? メニューには「アジ南蛮漬け」とあり、友人がそれを注文します。

南蛮漬けというと、小さいアジを揚げて、玉ネギなんかといっしょに酢に漬け込んだものという印象がありますが、出てきたのはお皿いっぱいの大きな魚が2尾。しかし、いっしょに漬け込まれていた玉ネギがまわりに並んでいるところをみると、これが南蛮漬けなんですね。

1尾はアジ、もう1尾はキスのようです。ど~れ。私にもひと口ちょうだい。あまりにおいしそうなので、満腹にもかかわらずつい箸がのびてしまいます。

なるほどぉ。これだけ大きい魚なので、唐揚げではなくて、焼き魚にしてから漬け込んでるんですね。身はしっかりと肉厚。しかも酢のすがすがしさで、暑い中でも食べやすい。これはいいですねぇ。

「ここはねぇ。豆腐もおすすめだよ」と話すと、それじゃと友人は生ビールをおかわりして、豆腐とスジをもらいます。

そう。今私が食べている、このスジもうまいんですよねぇ。スジといいながらも、かなり肉肉した一品で、ボリュームもあるのです。

そして豆腐はこの店の人気の品。ちょっと深いお皿に取られ、カツオ節と刻みネギをたっぷりかけて出てきます。

カウンター中央付近に座っている若いおにいさんは、さっきから豚肉の生姜焼きや、炒め物などをたのんで、もりもりと食べています。なるほど、ああいう定食のおかず風のつまみもあるんですね。

さあ。腹ごしらえも終わったところで、次へ向かいますか。ちょうど1時間の滞在で、お勘定は、2人で3,000円でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月27日(火)の記録》

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