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2004年8月

トロリとレバーステーキ … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

おいらせ」を後に、都立家政商店街をぐ~んと南下。「ピュアー」に入ります。午後7時半過ぎのカウンターだけの店内は、手前に男女2人連れ、中央に以前にもお会いした常連さんご夫婦のご主人が座っています。その後ろを「すみません」と通り、カウンターの一番奥側に。

ありゃ。エアコンは結局買い換えちゃったんですね。店内のほかの部分とは不釣合いな新品のエアコンが、奥の壁の上部にデンと据えられています。(事の詳細は前回記事を参照ください。)

やぁ。カクテルメニューも夏から秋へと変化してますねぇ。梨(ナシ)のカクテルが出てきました。1杯目は、その梨のカクテル「ハッピー・プリンセス(Happy Princess)」(630円)をいただきましょう。

「はいはい」と、いつもニコニコ顔のマスターが、さっそく梨の準備にとりかかります。この店の大きな特長のひとつとして、『フルーツを使うカクテルには、必ずフレッシュ・フルーツを使う』ということがあげられます。だから店内にはいつもあふれるほどたくさんの果物があるのです。言ってみれば当たり前のことなんですが、最近のおしゃれなだけのバーではそういう様子(使うための果物が積み上げられてたりするところ)を見かけないお店もありますよね。

「はい。ハッピー・プリンセスです」。コクッとひと口、口に含むと、梨の風味が口の中、鼻の奥に広がります。う~む。このところ、ちょっと涼しくなってきたこともあって、初秋を感じますねぇ。

居酒屋のつまみで季節を感じることが多いのですが、ここ「ピュアー」では、カクテルで季節を感じることができるんですね。

お通し(310円)は、シュリンプ・カクテル(海老のケチャップソース添え)です。

さ~て。今日は1軒目をつまみセーブ気味にしたため、まだお腹がすいている。実はインターネットでここ「ピュアー」を検索していたときに「おぽんちNote♪」というブログを発見しました。このブログの作者は、「ピュアー」のごく近所に住んでる若い女性のようで、「ピュアー」で出される食べものメニューの様子が写真付きで記録されているのです。このページを見て、一度「ピュアー」の食べものメニューも食べたいなぁと思っていたので、今日はとてもいい機会です。

今月の食べものメニューの一番てっぺんにあるのが「牛レバーのガーリック・ステーキ」(650円)。なんとねぇ。もつ(内臓)好きの私にぴったりのメニューではありませんか。さっそくマスターに注文します。「このレバーはおいしいですよ。おすすめです」と、いつにも増してニコニコ顔のマスターです。

入口近くの男女2人連れの男性は席を立ち、常連さんらしき女性だけが店に残ります。なにやら仕事関係の打ち合わせを兼ねたお食事会だったようで、仕事も終えてすっかりくつろいだ様子です。

そして、中央付近に座っていた男性のとなりには、以前お会いした奥さんもやってきて、すっかり常連さんたちばかりの雰囲気になってきました。

さぁ、出てきました。「牛レバーのガーリック・ステーキ」です。650円という値段から、レバニラ炒めなんかに入っている程度のレバーを想像していたのですが、さにあらず。大きな丸皿の中央にドカンとすえられたレバーステーキは厚さ約1.5センチ。大きさも12センチ四方はあろうかという大きさで、その名のとおりたしかにこれはステーキです!

横にはフランスパンも添えられて、これはもうメインディッシュ。

いっしょに出してくれたフォークとナイフを両手に握り、大きなレバーにナイフを入れます。そしてまずひと口。オーブンで焼き上げられたレバーステーキは、表面はカリッとしていて、そしてそのカリッとした表面の部分を歯が破ると、プチンとはじけるようなその中はまるでフォアグラのとろり感。いや、さすがにフォアグラにはかなわないものの、それにかなり近いとろり感です。これはうまいっ!!

「すみません。赤ワイン(520円)をお願いします」。思わずたのむ赤ワイン。まいったなぁ、これは。「レストラン&バー」という看板にいつわりなしですね。

「Rmちゃん。この人がこの店のことをインターネットに書いてる人だよ」。マスターが、入口近くに座っている女性に話しかけます。「えぇ! そうなんですか」なんてことで、入口側と奥側で、以前と同じような感じで、常連さんご夫妻をはさんで話がはじまりました。

聞けば、そのRmさんと呼ばれた女性もブログをおもちとの事。へぇ、そうなんだと思ってるところへ、その女性がシェリーを注文。なぬ? シェリー!? 件の「おぽんちNote♪」の中でも、その作者の女性がシェリー好きだということが書かれているのです。もしかして…。

確認してみると、やっぱりそうだったのでした。そうですか。あなたが「シェリーな彼女」でしたか。ネット上で、互いに読んでることも知らずに互いの記事を読みあってて、こうやって現実世界で会うというのもおもしろいもんですねぇ。

そんな「シェリーな彼女」、Rmさんとお話をしていると、マスターが「アレキサンダーズ・シスター(Alexander's Sisters)」というカクテルを作ってくれました。

「アレキサンダーズ・シスター」は、名前でもわかるとおり「アレキサンダー」の姉妹版カクテルです。違いはベースがブランデーからジンになったことと、副材料のクレム・ド・カカオがクレム・ド・グリーンになっていることの2点。淡いクリームグリーンで、見た目もとってもきれいです。

Rmさんはシェリーをおかわり。ご自分でも書かれているとおり、やはり相当なシェリー好きなんですね。

思わぬ出会いと、トロリととろけるレバーステーキで2時間ほど楽しんで、今日は2,110円でした。

Rmさんのブログ上でのこの日の様子はこちらです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月16日(月)の記録》

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まるでバーのように … 居酒屋「おいらせ」(都立家政)

お盆休みの4連休もいよいよ最終日。カミサンや子供たちは、近所のお母さんや子供たちとともに「としまえん」に遊びに行ってるので、しかたなく(内心は大喜びで!?)お父さんはひとりで夕食です。

向かった先は、以前に1度行ったことのある居酒屋「おいらせ」です。

開けっ放しの入口から店内に入ったのは午後5時ちょうど。店内にはすでに3人の常連さん(それぞれ男性ひとり客)がカウンターで飲んでいます。

店内はカウンターが6~7席。後ろに2つあるテーブルにそれぞれ4人ずつ座れるようにはなっているのですが、奥のテーブルの上には扇風機が置かれていて、店内全体に風が当たるように首振りモードで回っている。

私もカウンターの一番手前に座り、まずはビールを注文です。ここのビールはスーパードライの中ビン。すぐにお通しの野菜の煮物の小鉢が出てきます。

お店は本当は店主とその奥さんの2人で切り盛りしているのですが、今の時間、店主がひとりです。

先客のみなさんは、まだだれも何も注文していないようで、それぞれ目の前にチューハイや日本酒を置いて、お通しをつまみにチビチビとやっているようです。私も、常連さんたちの様子を見ながらたのむことにしましょう。あまり知らない店に行った場合には、こうやって常連さんの様子を観察しながら、その人たちが注文するやり方で、その人たちが注文する品物を食べると間違いが少ないように思うのです。飲みものもそうですが、多くの常連さんたちが注文するものが、その店の名物であることが多いですね。

「これは京都のお土産」と言いながら、漬物と1片の生八橋をのせた小皿をみんなのところへ出してくれます。「京都はどうだった?」と問う常連さんに、店主がおもしろおかしく旅の様子を語ってくれます。どうやら、お盆休みの間、店主夫婦で京都旅行をしていて、今日、久しぶりにお店を開けたところのようです。

京都土産の漬物は、ひとつがキュウリに海老を挟んで昆布を巻きつけたもので、もうひとつはカボチャのつけもの。緑のキュウリ、赤い海老、そしてまわりが昆布の黒でピリッとしまった色合いの美しさもさすがですね。それにしても、カボチャの漬物とは珍しい。

中ビンのビールは、お通しと京都土産で飲みきって、次に日本酒(「多聞(たもん)」生粋辛口)を冷やで出してもらいます。

しかし、すでに入店後20分くらいが経過してるのですが、だれもなにも注文しないですねぇ。それどころか、お酒のおかわりもしない。みなさん、目の前に4~6割ぐらい入ったグラスを置いて会話に夢中です。3人とも前回来たときにもカウンターで飲んでた人たちです。

そのうち、一番手前、私のとなりにいる人が席を立ちます。お通しにお酒1杯で700円。

さっきから、カウンターの上の段のバットで漬け込んでいるシメサバが気になっているので、これをもらうかな。「このシメサバは、もうすぐできますか?」「えぇ。もうちょっと漬けたら食べられるようになりますよ」「じゃ、できあがったら1人前切ってください」「はいよ」と店主。

しばらくすると、これまた常連さんらしき女性ひとり客の登場です。実は私もちょっと面識のある女性なので「こんばんは」とあいさつ。女性はカウンターのまん中の席に座って、生ビールからスタートです。しかし、この女性も他の常連さんたちと同じく、ときどきお通しに手を伸ばす程度で、どっちかというと会話が中心。ふ~む。まるでバーのような感じのお店ですねぇ。

そこへ新たな男性ひとり客が入ってきて、すでに5人が座っているカウンターではなくて、後ろのテーブル席のひとつに座りかけます。しかし、カウンター中央のさっきの女性客から「あら。せっかくだからこちらに座ったら」と声がかかり、私のとなりの席にやってきました。パッと見た様子では、近くの人ながら、あまり常連さんといった雰囲気ではないようです。

その人は、カウンターに腰をおろして「ビールと刺身の三種盛り(1,000円)をお願いします」と注文。おぉ。やっと私以外の人から食べものの注文が入りました。

店主も、バットの中のシメサバの状態を確認して、おもむろに刺身の準備をはじめます。しばらくして、まず私のところにシメサバ(600円)が出てきました。生でもなく、酸っぱすぎもせず、ちょうどいいシメ具合です。お酒のおかわりもお願いしますね。

となりのお客さんの三種盛りも完成。シメサバとマグロ。そしてスジコともう一品(忘れた!)が盛り付けられています。前回私がたのんだときもそうでしたが、三種盛りといいながらも、実は4種類が盛られてるのです。

そして、だれも食べものをたのまないで会話が盛り上がるという流れが変わったのは、開店から2時間近くが経過した午後6時45分。やっと奥のお客さんから「冷やっこ(300円)もらおうか」という声があがり、それに呼応するように「じゃ、私も冷やっこ」ともうひとりも注文。やぁ、これはすごい。

ひとりで飲みに行くと、はじめのうちは間がもたないこともあって、やたら飲みものを飲んだり、食べ物を食べたりしてしまいがちになります。私も、このところやっとひとりで飲みに入ってもそれなりのペースでゆっくりと飲めるようになってきたんではないかと思ってるところなんです。そういう観点から見ると、ここの常連さんたちはもう達人の域を大きく超えてるかもしれません!

まわりからも注文が入ったので、私も遠慮なく次の品を注文しましょうか。これまたカウンターの上につややかなナスビがあるのが気になっていたのです。「それじゃ、私はナス焼き(500円)をお願いします」。

待つことしばし。ナス焼きは、2本分のナスビが焼き台で焼かれ、カツオ節がたっぷりかけられて出てきます。ん~。ショウガ醤油で食べる焼きナスのうまいことよ。

お酒も次をおかわりしようかなぁ、と思っているところへ、店主から「京都の帰りに、忍者の里で買ってきた日本酒だけど」と、お酒を1杯出してくれました。ありゃ。これはどうもありがとうございます。

こうして7時半近くまで、2時間半弱腰をすえて、今日は2,700円でした。まだまだ会話が続いている常連さんたちにあいさつし、楽しそうな店を後にしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月16日(月)の記録》

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たっぷり食べて、たっぷり飲んで … 台湾料理「龍(りゅう)」(東小金井)

このところ毎年、盆と正月に上京されるNさんを迎えて、今年も東小金井で飲み会です。幹事で小金井市在住のEさん、そしてS新聞のOさんも含めて4人で集まったのは、Eさん行きつけの台湾料理屋「龍」です。

ここはラーメン屋でもあり、中華の定食屋でもあり、そして飲むこともできるといったお店。美人のおねえさん(きっと店主)と厨房担当の若いおにいさんの2人で切り盛りしていて、店内はカウンター席とテーブル席で合わせて20名くらいのキャパシティでしょうか。

まずは生ビール(中450円。ちなみに大は620円)をいただいて乾杯です。お通しで出てきたのは油でさっと炒めたようなピーナッツ。ちょっとしっとりした感じのピーナッツをかじりながら、それぞれ近況報告です。

注文したつまみは「豚肉の腸詰(580円)」、「骨付豚足の煮込み(800円)」、「プリ海老マヨネーズ(600円)」と、名称はわかりませんがナスと豚肉の煮物です。最後のは「ナスが入った料理で、あまり辛くないの」という注文に対して、おねえさんが選んでくれたものなのです。(その後の調査によりますと、この一品は「茄子の辛薬味煮」だそうです。)

豚肉の腸詰「豚肉の腸詰」は、いわゆるソーセージ風のものが出るかと思いきや、たっぷりの白髪ネギの上に、スライスした腸詰を揚げたものが盛られ、食べるときにちょっと辛子味噌をつけて食べるもの。腸詰の甘さと味噌の辛味が絶妙のバランスです。

プリ海老マヨネーズ「プリ海老マヨネーズ」のほうは、その名のとおりプリッと揚がった海老の揚げ物に、マヨネーズと赤い一片がのせられて、見た目もかわいらしい。海老とマヨネーズは合いますよねぇ。

茄子の辛薬味煮ナスと豚肉の煮物はいかにも台湾風の煮物で、野菜もたっぷり。そして豚足(とんそく)。ここの豚足は煮込んだ豚足なのです。ゆでて冷やした豚足を酢味噌でいただく食べ方はよくしますが、こういう煮込んだものはあまり見たことがないですねぇ。豚足の皮の部分もトロトロで、口に含めば骨以外の部分がチュルンとはずれてしまう。

骨付豚足の煮込みじゃ、飲みもののほうも紹興酒をもらいますか。さっそくおねえさんを呼んで、何種類かある紹興酒の中からおすすめの「淡麗紹興酒 陳年(黒ラベル)」(600mlボトルで2,500円)を紹介してもらいます。「陳年」というのは陳○年と書いて○年物という意味なのだそうです。ビンごと燗してもらって出てきた紹興酒には「陳年5年」と書かれているので、5年物なんですね。

話題のほうも、携帯端末の話から、ブログの話、さらにはコトラーの経済学の話や人材育成の話、高齢社会の話などなど、どんどん膨らんでいきます。(台湾料理も含めて)中華料理というのは、こうやってガンガン話しながら飲み食いするのにとっても向いているように思います。大きな皿から、小皿に取り分けて食べるので、ある意味、全部が鍋料理みたいな雰囲気になるからなのかなぁ…。

経済学の話といっても、そんなにむずかしい話ではなくて、「新規顧客を得るためのコストは、既存の顧客に満足してもらうコストの5倍。満足させることに失敗して失ってしまうと、同程度の利益を得るためには16倍かかってしまうんだって」なんてことを、最近の時事問題と合わせながらおもしろおかしく語り合ったもので、他の話題もだいたい同様です。

つまみも次をたのもうということになり、「海老チリソース煮(1,200円)」「カニ玉(900円)」「手羽先の醤油煮(500円)」を追加注文です。この店のメニューには、普通の皿のほかに、小皿料理なんてのも用意されていて、こちらをたのむと通常の半分ぐらいの量で出てくるみたいです。1~2人ぐらいでチンマリと飲むときにはうれしいですね。

紹興酒も、同じものをもう1本おかわりです。

手羽先の醤油煮海老チリ、カニ玉の2品は有名品ですから、説明の余地はないですね。期待どおりの味わいです。「手羽先の醤油煮」は、煮込んで冷ました手羽先を、食べやすい大きさに切って出される一品。温かくして食べてうまいもの、冷ましてうまいものと、その料理によって切りかえてるのが台湾料理のおもしろいところですねぇ。今日は食べてません(この店のメニューにあるかどうかも未確認です)が、シジミの醤油煮なんかも、冷まして出される台湾料理のひとつです。

追加した紹興酒も残り少なくなったところで、食事物の注文です。もともと麺類や定食類などもたくさんある店なので、食事系のメニューも豊富です。個人的に気になったのは、「水ぎょうざ(450円)」や「胃袋入りそば(650円)」「大腸入りそば(680円)」などなど。特に“胃袋入り”とか“大腸入り”という文字は、もつ(内臓)好きにはたまらぬ響きですねぇ!

牛肉かけご飯(左上は雲呑酢)でもって、われわれが選んだのは「牛肉かけご飯」と「焼ビーフン」。そして「雲呑(ワンタン)酢(580円)」です。「焼ビーフン」はよ~くダシ汁を吸った細麺。パリッと揚げた雲呑(ワンタン)にとろりと甘酢餡がかけられた雲呑酢。そして、「牛肉かけご飯」は深皿に盛られたご飯の上に青椒肉絲(ちんじゃおろーす)をのっけたような一品。すっかり満腹です。

午後5時半から9時まで。たっぷりと3時間半楽しんで、今日は4人で17,800円でした。ちなみに、本日のところは居酒屋風に飲んでたのはわれわれと、最後のほうにわれわれの後ろのテーブルに座った2人連れの2組だけで、他はラーメン屋、定食屋として食事をしに来たお客さんでした。飲まずに食べるだけでも楽しめるお店のようです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月15日(日)の記録》

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店情報: 台湾料理「龍(りゅう)」(東小金井)

  • 店名: 台湾料理「龍」(りゅう)
  • 電話: 042-387-9011
  • 住所: 184-0011 東京都小金井市東町4-38-26
  • 営業: 11:30-15:50、17:30-23:30、第1・3土休
  • 場所: JR中央線東小金井駅(改札口1つ)の南側の階段を下りて右折。突き当り(「笑笑」や「炎」などがあるところ)を左折して直進約3分。右手上方に「龍」の看板があるところを、右に入り込む。
  • メモ: お店は台湾出身らしき若い女性と、男性スタッフでやっている。定食類のほか、一品料理、ラーメンなどもあり、居酒屋風にも楽しむことができる。スタッフ同士の会話は台湾語なのが本格的。
  • HTML版(2003年以前): (03.08.15)

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ヒゲのニッカを水割りで … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

午後8時前には夕食も終わり、Nkさんの携帯に「今どこ?」という問い合わせメール。すると「ちょうど『ペルル』に入ろうとしたところです」という返信があり、私も「ペルル」に向けて出発です。

「ペルル」の店内には、カウンター中央部にギターの上手なSzさん、そして奥にNkさんというふたりが先客として座っています。「こんばんはぁ」とマスターやみなさんにあいさつしながら、奥のNkさんの横に座ります。

「それじゃ、(ウイスキーの)水割りをお願いします」と注文したところ、Nkさんが「これを一緒にどうですか」とキープされているブラックニッカのボトルをすすめてくれて、それをいただくことにしました。Nkさんは、ビール(スーパードライ大瓶、800円)を飲んでいたようですが、ハイボール(ウイスキーの炭酸割り)に切りかえです。

個人的なジャパニーズ・ウイスキー・ブームはまだ続いていて、現在自宅での晩酌にはサントリー角瓶、そして単身赴任寮でのチビチビ飲みにはニッカのブラックニッカ・クリアブレンドと、日本を代表する両社のウイスキーを楽しんでいるところなのです。

この店のボトルであるブラックニッカは、正式にはブラックニッカ・スペシャルという、昭和40(1965)年から続いているブランドです。「ヒゲのニッカ」という愛称もついていますが、このボトルに描かれたヒゲのおじさんは、キング・オブ・ブレンダーズと呼ばれる、ウイスキーのブレンダーの姿なのだそうです。ニッカウイスキーの創業者である竹鶴政孝氏は、ウイスキー作りにおいてブレンドという作業がいかに大切かを常々説いていた。そしてその想いの理想像としてラベルにキング・オブ・ブレンダーズの姿をしるしたのだそうです。水割りにして薄めても、しっかりとこのウイスキーとしての味わいが残るいいお酒です。

それはそうと、カウンターの中のお嬢さん。はじめてだと思うんですが。「そうそう。今日から手伝いに来てくれたアズサさんです」とマスター。アズサさんはこの近くの私立大学の学生さんで、現在20歳。土曜日だけのアルバイトなのだそうです。

さて、Nkさんは実は鷺ノ宮よりは下井草が最寄り駅。西武新宿線の駅でいうと鷺ノ宮よりもひとつ所沢寄りの駅です。とはいえ、このあたりの駅は、それぞれとなりの駅から両サイドの駅が見えそうなぐらいの距離なので、自転車での移動が可能なのです。

その下井草には、長浜ラーメンの「御天(ごてん)」や、その「御天」の経営するバー「GOTEN'S BAR」があり、Nkさんも毎日のように入りびたっているのだそうです。「飲んだ後にラーメンを食べるのは良くないとは思ってるんですが、ついつい食べてしまうんですよ」とNkさん。飲んだ後は、どういうわけだかラーメンが食べたくなるんですよねぇ。私も、たくさん飲んだ帰りには、よくラーメン屋さんに引っかかっちゃいます。

お客さんも、いつもの常連さんを中心にだんだんと増えてきて、Szさん得意のギターの音色も響きはじめます。

さっきの「川名」といい、ここ「ペルル」といい、お盆の最中でも常連のみなさんたちはちゃんとやってくるんですね。だからお店も休めないのか…。

結局、午後11時まで3時間。途中で新しいボトルも1本入れて、今日は2人で7,100円。たっぷりと楽しんだ盆休み2日目でした。Nkさんどうもありがとう!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月14日(土)の記録》

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ゴーヤたっぷりサラダ … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

お盆休みの2日目。家族も帰ってきて、すっかり普通の土曜日です。私も、いつものように午後3時頃に図書館に向かって出かけ、しばらく図書館で過ごした後、例によって夕方の居酒屋散歩です。

夏場だけ開けっ放しになっている入口から「川名」の店内に入ったのは午後4時半。土日はだいたい4時半~5時の間に満席になるので、この時間ならまだ大丈夫かな。やぁ。それでももうお客さんが多いですねぇ。カウンターの1番にはいつもの“1番のおにいさん”が座り、2番には“棟梁”、3番に“現場の親方”、…と続き5番席が空いて、6番に男性ひとり客、そして7番が空いている状態。カウンターは、入口に近い側から1番、2番と番号で呼ばれていて、一番奥が7番席なのです。7番にはきっといつもの“イトーさん”がいらっしゃるでしょうから、5番に入りますか。

よっこいしょと、図書館で借りた本の入ったデイパックをカウンターの下に置き、両側にすみませんとあいさつしながら5番席へ。すでに横でスタンバイしてくれているミィさん(店を手伝っている女性)に、生グレープフルーツサワー(336円)を注文します。

飲みものの注文も終えて、ゆっくりとカウンターに向き直ったところで、6番のお客さんから声がかかります。なんと、6番に座っていたのは地元の酒場通のひとり、Nkさんだったのです。やぁ、ごぶさたしています。先日は、お土産の釘煮をいただきまして、どうもありがとうございます。なんて、あらためてごあいさつです。

Nkさんの席には、チューハイのジョッキの横にラムネの瓶が1本。「ラムネハイ(336円)を試してみたんですけど、かなり甘めになっちゃいますね」とNkさん。そこへ、私の生グレープフルーツサワーも到着です。じゃ、カンパ~イ。

さ~て。つまみ、つまみ。右に座るNkさんや、左の“4番席の常連さん”と話をしながら、その合間合間に今日のメニューや、ガラスケースの中のタネをチラチラと確認します。

刺身はいつものマグロブツのほかに、Nkさんが食べているイカ刺し、そして“4番席の常連さん”が食べているイサキ刺しなどが並んでいて、それぞれ294円。あ。イサキがメニューから消えました。もう売り切れちゃったんですね。

温泉玉子(147円)なんてメニューがあるので、今日はこれからスタートしましょうか。

すぐに出てきた温泉玉子は、小鉢にワカメを敷いた上に、とろとろの半熟玉子です。すでにダシ汁で味がついていて、一緒についてきたスプーンでとろんとすくって食べると口の中に玉子のうまみが広がります。ゆで玉子もいいつまみになるんですが、温泉玉子はさらにその上をいきますねぇ。

「これ、店長からね」と、梅干の入ったプラスチック容器(タッパーウェアみたいなの)が回ってきます。この梅干が、昔風にしっかりとしょっぱいもので、1粒あれば十分お酒が飲めるという一品なのです。梅干はこうでなくっちゃね。どうもありがとうございます、と1粒もらいNkさんに回します。おや。いつの間にやってきたのか、Nkさんの奥、カウンター7番席にはいつもの“イトーさん”が座っています。

テレビでは、今日からはじまったアテネ・オリンピックのソフトボールの試合(対オーストラリア戦)が中継されているのですが、残念ながら負けてるのです。「ピッチャーの球速が遅いなぁ」と“イトーさん”。「5時ごろに、谷亮子(柔道女子48kg級)の予選も始まるからね」と他のお客さんからも声がかかります。ソフトボールと柔道女子は中継しているチャンネルが違うので、ときどきあっちに回したり、こっちに回したりしながらの観戦です。

店には“役者さん”と“バンダナのおにいさん”がいっしょに入ってきて、奥の小上がり席に向かいます。好んで奥に行ったわけではなくて、すでにこちら側はカウンター、テーブル席ともにいっぱいなので、奥に行かざるを得ない状態なのでした。

“役者さん”は、前にも書いたとおり「水戸黄門」に出演されてるんですが、最近までどれが“役者さん”なのか、私にもわからなかったのです。というのも、普段この店などでお会いするときは、まったくラフな普段着姿だし、髪だって普通の状態です。ところが、テレビでは着物の侍姿の上に、髪の毛も侍風のチョンマゲ姿なので、よくわからなかったのです。

この店で何度かお会いして、しっかりと顔の特徴などがわかるようになるにつれて、「水戸黄門」の中で拝見してもわかるようになってきました。だいたいは悪いお奉行さん役として、キラキラ光る着物姿で出ていることが多い。「この紋所(もんどころ)が目に入らぬか!」とやられると、一番前で「へへぇ~っ」とやっているうちのひとり(たいていは一番えらい人)が“役者さん”。毎週ではなくて、3週間おきくらいに出番が回ってくるようです。

生グレープフルーツサワー(336円)のおかわりと、つまみはゴーヤサラダ(189円)をお願いします。

ゴーヤサラダは、お皿に山盛りでやってきます。その量は、横で見ていたNkさんから「すごいボリュームですねぇ」と声があがったくらいです。しかも、ゴーヤの部分の量が多いのがすごいところ。たっぷりとゴーヤなのです。

ここで、またまた店長から、今度はシュウマイが回ってきます。ときどき、お客さんが「これ食べて」なんて店長にお土産を持ってきてくれて、それがみんなに回ってくることがあるのです。これももしかすると、どなたかお客さんのお土産なのかもしれませんね。

楽しく過ごすうちに、もう6時が近くなってきている。Nkさんのところは、このお盆休み中にご家族が帰省されているそうで、おひとりなのだそうです。それじゃ、せっかくなので、夜の部でまたご一緒しましょうかなんて約束をして、いったん夕食をとりに帰らることにしました。

約1時間半で、今日は1,008円でした。どうもごちそうさま。それじゃ、Nkさん、あとでね!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月14日(土)の記録》

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夏が旬。シマアジ! … すし「魚がし寿司(うおがしずし)」(都立家政)

夕方になって家族が田舎から帰ってきたものの、みんな新幹線の中でダラダラと食べながら帰ってきたのでお腹もすいていないとのこと。夜になっておとうさんひとりだけが、夕食もかねて近くへ出かけます。

入ったのは「魚がし寿司」。午後9時の店内は大丈夫かと思いきや、まだお客さんが多い。

土日の「魚がし寿司」は、開店直後からお客さんでいっぱいになり、午後9時ぐらいまでは満席状態が続く人気店。なにしろ、カウンターのみで十数席しか席がありませんからねぇ。すぐにいっぱいになるのです。

カウンターの中の大将が、カウンターの角のところを指差しながら、「ここか、奥の席かになりますけど、奥のほうがいいですかねぇ」とすすめてくれます。なるほど、一番奥のところが空いてるんですね。じゃ、ちょっとうしろを失礼、と先客のみなさんの後ろを通って、奥の席へ。すでにおかみさんがおしぼりを出して待ってくれてます。

そのおしぼりを受け取りながら、まずはビールを注文。すぐに出されるビールはスーパードライの中ビンで500円。ググゥ~ッと1杯目のビールを飲み干して、おもむろに左壁(店の入口から見ると正面の壁)の刺身メニューを確認します。

お。シマアジ刺身(600円)があるので、これをもらいましょうね。

大将がスィ~ッ、スィ~ッと刺身をひいて、ほ~ら出てきましたシマアジです。こりゃまた、大きな刺身ですねぇ。なにしろシマアジも夏が旬(しゅん)。この季節の刺身の中でも、最高においしい魚のひとつですよねぇ。うっすらとピンクののった身は、見た目もきれい。ど~れ、まずひと切れ。っかぁ~っ。んまいっ!!

刺身の下に、ツマとしてたっぷりと切り昆布(きりこぶ)が敷かれています。その切り昆布をつまんで、醤油をちょいとつけてつまみにしていると、後ろから女将さんが、「よかったら、これで食べてみてください」と、シソ・ドレッシングと小鉢を渡してくれました。あ、どうもありがとうございます。小鉢にちょっとドレッシングを入れておいて、切り昆布を少し入れてパクリ。ありゃ。本当においしいじゃん。シソのさっぱりとした風味がまたいいですねぇ。こうなると、ツマもしっかりとつまみになりますね。

ビールもなくなり、おかみさんに日本酒(500円)を冷や(常温)でお願いし、大将にはにぎりの特上(1人前、1,300円)を注文します。ここは、飲みものなどはカウンターの外にいるおかみさんが、そして寿司や刺身などはカウンターの中にいる大将がそれぞれ担当しているのです。もちろん、注文するときにはそれを意識する必要はあまりなくて、近くにいるほうに注文すれば大丈夫。ふたりでうまく役割分担してくれます。

つけ台(カウンターとガラスケースの間にある寿司を乗せるところ)に、4貫、4貫…と特上にぎりが出されます。タイ、シマアジ、マグロ赤身、トロ、ホタテ、甘エビ、玉子という7貫のにぎりと、ウニ、イクラの軍艦巻き。そしてカッパ巻です。

この店は、同じ10貫ずつながら、並が500円、上だと800円、そして今目の前に並んでいる特上だって1,300円ですからねぇ。

おや? 店の入口近くに、カレンダーが張り出されているのですが、その「お休み」情報を見ると、毎週金曜日が休みになっている。前は月曜日が定休日だったのですが、変わったのかな、もしかすると。それとも8月だけのものなのか。(帰りに確認しようと思いながら、確認するのを忘れてしまいました。)

最後にアサリの味噌汁(200円)をいただこうかな。こうやって、アサリの身や、そのダシがたっぷり効いた味噌汁をつまみに飲む日本酒もいいもんですよねぇ。

やぁ、おいしかった。どうもごちそうさま。1時間の滞在で、今日は3,100円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月13日(金)の記録》

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駅前の雑踏で昼間酒 … やきとり「鳥もと(とりもと)」(荻窪)

今日から4日間のお盆休みに入りました。本当は、昨日の夜のうちに自宅まで帰って来る予定だったのですが、会社の近くで会社の仲間たちと飲んだくれてて、結局昨夜は横浜の単身赴任寮で過ごし、やっと今、東京の自宅に向かって移動中なのです。

湘南新宿ラインから中央線に乗り換えて、荻窪駅に到着したのは昼の12時半。

家族たちはお盆の帰省中で、今日の夜戻ってくる予定。それまでの間は、先週同様、またまた自由時間なのです。となると、昼めし代わりに、ちょいとひっかけて帰りますか。

向かうのは、駅の北口を出てすぐのところにある、昭和27(1952)年創業のやきとり屋、「鳥もと」です。ここは、12時開店。さすがに赤羽のように、朝7時から、朝9時からというわけにはいきませんが、この店も昼から酔客が多いのです。

や。みなさんすでにやってますね。なにしろこの「鳥もと」。正面から見ると屋台に毛がはえたような感じで、店の内外の区別がつきにくい。冬場になると、寒さよけのシートが張られるので、その中が内側だろうとわかるのですが、夏場の今は、台があって椅子が並んでいるところから先はこの店のテリトリーなんだろうなぁ、ということがかろうじてわかる程度。

しかし、焼き台から内側はカウンターもあったりして、普通の店っぽいところもあるのです。実は2階に座敷席もあるらしいのですが、見たことはありません。

そのカウンターには、4人ほどお客がいて飲んでいます。店の表のテーブルには、おじさんがひとり。サワーをチビチビとやっています。

私も表のテーブルの、おじさんの向こう側の角あたりに陣取ります。すぐに店のおにいさんが近くまで来てくれたので、まずはビールを注文。ビールはビンと生とがありますが、普通に注文すればビンビールが出てきます。ビンビールはスーパードライの大瓶で、500円。

店の表は、夏ガンガンの陽射しですが、このテーブルのところには屋根がついているので直射日光は当たりません。しかし、エアコンも何もない野外と同じですので、暑い暑い。ググゥ~ッと飲み干す1杯目のビールのうまいこと。

外を行きかう人々の暑そうな様子を眺めながら、汗をふきふきビールです。とはいえ、さっき書いたとおり、内外の区別はほとんどないので、すぐ目の前を夏らしい格好をしたおねえさんや、この暑い中、しっかりと背広を着てネクタイを締めたおにいさんらがぞろぞろと歩いているのでした。

考えてみりゃ、今日は金曜日か。お盆休みもなく働いてる人たちも多いんだろうなぁ。

2杯目のビールを飲み干したあたりで、お店のおにいさんのほうをふり返り、おもむろに塩焼きセット(5本1人前で600円)を注文。やきとりは1本ずつでも注文できるのですが、めんどくさいときはセットメニューが便利です。

塩焼きセットのほかには、タレ焼きセット(5本500円)、野菜セット(5本600円)、野鳥セット(うずらとすずめで600円)などがあります。

この店は、あらかじめ焼いたやきとりを大皿に並べておいて、お持ち帰りの人にはそのまま、店で食べる人には改めて焼き台で温めなおして出すスタイルなので、出てくるのはなにしろ早いのです。その分、味のほうはというと、注文を受けて生から焼き始めるものとは比較できない状態になってしまいます。これはまぁ、仕方ないのかなぁ。

ほら来た。塩焼きセットです。お皿にのっているのは手羽先(150円)、とりま(120円)、砂肝(100円)、タン(120円)、カシラ(120円)の5本です。最初の3本が焼き鳥。後の2本が焼きとんですね。それぞれカッコ内の値段が単品の値段です。単品をたし合わせると610円になるので、セットのほうがわずかに10円だけどお得ってことですね。

この店では、塩・タレの味付けが選べるものと、最初から「これは塩」「これはタレ」と決まっているものがあります。さっきのセットでは、砂肝だけが塩・タレが選べるだけで、ほかのものは塩焼き限定です。基本的には、最初から焼きあがって大皿に盛られているので、あまり味付けを変える余地はなさそうですね。

温めなおしただけのやきとりなのに、なんだかうまいなぁ。こうやって駅前の雑踏のどまん中で食べているのに近い状態の中で食べるからそう感じるのかなぁ。

ちょっと、おにいさん。今度はハイサワー(350円)をください。あと、やきとりは1本ずつで、レバー(100円)、ハツ(100円)、つくね(100円)に“皮とピーマン”(100円)ね。

“皮とピーマン”は、これで1本の串の名称なのです。さっきも、ふらりと入ってきたおとうさんが、「皮ないの?」とたずねたところ、焼き台で焼いてる大将が「皮の単品はなくて、こちらの“皮とピーマン”になるんですよ」と大皿を指差してました。

ちなみに、今たのんだ4本は塩・タレが選べます。今回は無指定でたのみ、全部タレ焼きで出てきました。東京では、タレ焼きがデフォルトっぽいですよね。博多で食べてたころは、むしろ塩焼きのほうがデフォルトっていうか、タレ焼きなんてあったっけ?

お客さんも徐々に増えてきて、カウンター席はいっぱい。こちらのテーブル席も8割ぐらい人が入り、大皿前の立ち飲みポジションにも3人ほどの立ち飲み客がついている状態。こうなると、外からのながめも、いかにもやきとり屋といった風情でしょうね。

ときどき、道行く人たちとフト目が合ったりするのが面白いところ。たいていの人は、「うまそうだけど、暑そうだよなぁ」ってな顔をしながら行き過ぎていきます。

私のとなりに座った男性二人組みは、シラスおろしなんてたのんでいる。やきとりだけじゃなくて、そういう普通の居酒屋メニューみたいなのもあるんですよね。じゃ、私も板ワサ(250円)をもらおかな。ほかには、冷しトマトや冷やっこなども250円メニューです。

荻窪にもよく来るんですが、夕方以降は、北口を出るとつい「やき屋」や「カッパ」に向かっちゃって、なかなか「鳥もと」も来ることがなかったですねぇ。今日は、実に4年ぶりくらいの「鳥もと」でした。雰囲気、味ともに全然変わってないですね。

安心したところでごちそうさん。お勘定は2,100円。約1時間の昼酒タイムでした。

さぁ。お盆休みはどこで呑もうか!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月13日(金)の記録》

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店情報: やきとり「鳥もと(とりもと)本店」(荻窪)

    鳥もと本店
  • 店名: やきとり「鳥もと(とりもと)」本店
  • 電話: 03-3392-0865
  • 住所: 167-0043 東京都杉並区上荻1-4-3
  • 営業: (月~金)13:00-24:00、(土)12:00-23:30、(日祝)12:00-23:00、無休(盆と年始に2日ずつ休)
  • 場所: JR・地下鉄の荻窪駅北口出口の上り階段を出て右へ。道なりに中野・新宿方面に向かうと、線路沿い右手に見えるのが「鳥もと2号店」。そこを通過して、左手のパチンコ屋の先、「ダンダダン酒場」と「串カツ田中」の間の路地を入った先、右側の狭い路地に入ってすぐ。
  • メモ: 昭和27(1952)年創業。荻窪駅北口駅前のランドマーク的な存在だったが、駅前再開発のため、平成21(2009)年8月31日をもって閉店。現在はそのすぐ近くに本店と2号店の2店舗を構えて営業中。
    〔飲みもの〕《ビール》瓶ビール(大)650/(小)450、生ビール(中)500、ドライブラック(小瓶)450、ドライプレミアム(400mlタンブラー)550。 《酎ハイ》酎ハイ400、レモンサワー400、ゆずサワー400、すだちサワー550。 《梅酒》梅酒400、とうがらし梅酒500、鍛高梅酒500。 《ウイスキー》ブラックニッカハイボール450、リタハイボール400、竹鶴ハイボール600、ジャックダニエル(ロック/ソーダ/水)550、ジャックハニー650。 《変りダネ》カルピスフルーツ(発酵仕立て)(ラ・フランス/ブルーベリー/マスカット)500、みなニコリ(ヨーグルトのお酒)650、とろりんご(ロック/サワー/ホットティー割)550、スタミナハイボール・ストロング(マカ×ハイボール)650、スタミナハイボール・マイルド(マカ×ハイボール甘口)650、澪(みお、日本酒スパークリング300ml瓶)1,000。 《ワイン》グラスワイン(赤/白)450、ボトルワイン(赤/白)2,000。 《焼酎》ウーロン割り400、緑茶割り400、芋焼酎「かのか」(水割り/お湯割り/ロック/ソーダ割り)400、芋焼酎「かのか」(水割り/お湯割り/ロック/ソーダ割り)400、麦焼酎「一番札」(水割り/お湯割り/ロック/ソーダ割り)400、しそ焼酎「鍛高譚」(水割り/お湯割り/ロック/ソーダ割り)450、芋焼酎「一刻者(赤)」(水割り/お湯割り/ロック/ソーダ割り)650、芋焼酎「武流」(360ml瓶)1,400。 《ノンアルコール》ビールテイスト・ドライゼロ400、ゼロカク(カシスオレンジテイスト/ジントニックテイスト/シャルドネスパークリングテイスト)400。 《ソフトドリンク》ウーロン茶250、鍛高ラムネ(赤じそ/青じそ)350、トマトジュース(北海道びらとり町・ニシバの恋人、100%りんごジュース)350。
    《プレミアム焼酎》〈奥の松酒造生産〉麦650、芋650、粕取り650。〈札幌酒精工業生産〉芋焼酎「喜多里」650、芋焼酎「咲未(さくみ)甕貯蔵」650、昆布焼酎「喜多里」550、じゃがいも焼酎「喜多里」550。 《日本酒》「山手(冷や)」(小)400/(大)700、「奥の松(常温・熱燗)」(小)400/(大)700、「松竹梅 豪快 上撰(冷や・常温・熱燗)」(小)400/(大)700、「国士無双 烈 特別純米(冷や)」(一合)800、「松竹梅 豪快 生酒(冷酒300ml瓶)」850。
    《限定日本酒「豊盃」(一合)》 ん600、特別純米700、純米吟醸(豊盃米)800、純米吟醸(華想い)900、純米吟醸(山田錦)1,500、アップル&ドッグ(全国限定111本)900、純米大吟醸(山田錦)2,000、純米大吟醸(大寒仕込)2,200、純米吟醸(大寒仕込プレミアム300ml瓶)4,000円。〈季節限定品〉モヒカン娘700、ビキニ娘700、ん(生酒おりがらみ)800、裏ビキニ娘900、ひやおろし900、豊盃純米しぼりたて生酒1,000、豊盃チャレンジタンク1,100、豊盃純米さくら1,200、純米大吟醸(雄町)1,200、純米大吟醸(山田錦)2,000、生酒レインボー2,500、つるし酒(大吟醸)2,500。
    〔食べもの〕《やきとり》手羽先(塩)180、ねぎま(塩)150、とりま(塩)150、砂肝(塩・タレ)150、レバー(タレ)150、皮とピーマン(タレ)120、ハツ(タレ)120、ヒナ(タレ)120、つくね(鳥ナンコツ入り、タレ)200、牛タン入りつくね250、うずら姿焼き400。 《セット(5本)》タレ盛合せ600、塩盛合せ700、野菜盛合せ700。 《限定串》かた(タレ)200、鳥精(塩)200、かもねぎ(塩・タレ)200、トロハツ(塩・タレ)250。 《やきとん》タン(塩)150、カシラ(塩)150、シロ(タレ)150、ナンコツ(タレ)180、バラ(塩)180。 《野菜焼き》ししとう(塩)150、ねぎ(塩)150、しいたけ(塩)180、にんにく(塩)180。
    《一品料理》無臭梅ニンニク250、塩辛250、ホタテ串塩焼き250、銀皮(砂肝皮)白ワイン煮250、シラスおろし300、モロキュー300、鮭とば300、ラワン蕗(ふき)300、ボイルウインナー300、冷やしトマト300、つるつるワカメ300、じゃがバター300、紫オニオンサラダ300、冷奴300、厚揚げ300、一味厚揚げ350、黒胡椒厚揚げ(夏季限定)350、茶豆350、こまい一夜干し350、生たらこ400、鳥ジンギスカン400、煮込み(季節限定)450、肉厚しいたけバターソテー500、焼鳥丼600、豚丼600、鳥ジン丼700、ごはんセット(味噌汁、ライス)250。
    《黒板の日替り手書きメニュー(北海道白糠漁港直送魚介類 & 自家農園完全無農薬有機野菜)(2017年7月某日の例)》天然のキングサーモン(マスの介)1,200/(鮭児)1切800、日糠沖漁獲本まぐろ2,500、まつかわさくらマス・黒そい1,200、北海しまえび400、たこわさび300、ぎばさ(海草)佃煮250、松前漬400、本ししゃも干物2尾500/天ぷら2尾500、特大柳カレイ一夜干2,000、しじみ汁250、仙鳳趾(せんぽうし)カキ1個700、カジカザンギ400、毛ガニのほぐしみ400、あら汁(中)300/(大)400、まぐろアラステーキ800、にしんの切り込み300、ハタハタ飯寿し(こうじ漬)400、銀皮(砂肝皮)白ワイン煮250、山菜みず油炒 or おひたし300。 浅漬け200、おひたし250、酢の物250、いんげんナムル300、にらキムチ300、夏野菜サラダ400、あげもち納豆400、新庄ねぎ天400、行者にんにく正油漬 or 酢味噌400、ミートグラタン500、フライドポテトアンチョビバジル400、マカロニポテトサラダ300、いんげんマヨ300、いんげんガーリックソテー400、焼きなす300、茄子トマトチーズ焼500、万願寺揚浸し300。(2017年7月調べ)

    焼き鳥、やきとん、野菜など約20種、100円~。煮込み400円。ビール(スーパードライ)大瓶500円、日本酒(「山手」←自社ブランド)1合350円、ハイサワー350円。2階に座敷席もある。地元の文豪・井伏鱒二や将棋の大山康晴名人がひいきにしていたそうである。
  • HTML版(2003年以前): (00.09.06)(00.01.09)

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環七をバスで野方へ … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

いこい」「まるます家」の2軒で飲み終えて、再び赤羽駅前へ。ここから、前もって立てていた計画第2弾の実行です。(ちなみに、計画第1弾が早めの夕方の「いこい」「まるます家」でのひとり飲みだったのでした。)

第2弾計画は、ここ赤羽駅から高円寺駅に向かうバスに乗り、その途中、野方駅前で下車して「秋元屋」に向かうことです。なんと、ここ赤羽から高円寺までは、環状七号線(環七通り)だけでグルッと結ばれてるのです。われわれ、中野界隈に住んでいる人間から見ると、環七や環八は南北に走っている道路なのですが、ここ赤羽界隈の人から見ると東西に走る道路なんですね。こんなちょっとしたことが新鮮でおもしろい。

バスに乗り込み、一番前の「幼児のひとり掛けはやめましょう」の席へ。せっかくだから、前方風景をじっくりと楽しみながらいきましょうね。

赤羽駅東口のバス停を出発したバスは、南下して環七に入り東十条、中十条の各町を過ぎていきます。赤羽~十条~東十条あたりは都内でも有数の居酒屋トライアングル地帯で、同好者たちの注目を集めるエリアです。そんな中、昭和24(1949)年創業の「大林酒場」(東十条)が今年の3月末に惜しまれつつ閉店してしまいました。

ご主人なきあと、ひとりで「大林酒場」を切り盛りしてきたおばあちゃん。息子さんが手伝うようになり喜んだのもつかの間、何年か前にその息子さんも交通事故で帰らぬ人となり、その後はずっとおばあちゃんひとりでやってきたのだそうです。閉店前にもう一度訪問したかったのですが、ついに行けずじまいでした。

十条、東十条界隈にも、近いうちにまたやって来たいですね。名著「下町酒場巡礼」でも『都の北は宝の山』と紹介されているとおり、とにかくこの辺りにはいい大衆酒場が多いのです。

バスは北区を抜けて板橋区へ。東武東上線の中板橋駅入口のバス停を通り、地下鉄有楽町線(小竹向原)も横切って、練馬区です。西に向かって走っていたバスも、じょじょに南向きになってきました。西武池袋線も横切って、いよいよ中野区へ。野方駅南口のバス停で下車します。もっと時間がかかるかと思いきや、30分ぐらいで到着しちゃいました。

「こんばんは」と、「秋元屋」ののれんをくぐったのはちょうど午後6時。本当は、赤羽を回った後、「秋元屋」の開店時刻である午後5時ちょうどに野方に戻ってくるというのが当初の計画だったのですが、だれもいない自宅でちょっとうたた寝をしてしまい、出発が1時間ほど遅れちゃったのでした。(汗)

6時だったら入れないかもなぁ、とちょっと心配していた「秋元屋」の店内は、カウンターの奥側に何席か空きがあり、無事に入ることができました。まずはひと安心です。

「まずは例の氷なしのホッピーをお願いします」。このところ、このページの掲示板に、「秋元屋さんで、氷なしの正統派ホッピーが飲めるようになりました」という書き込みがあり、楽しみにしていたのです。

キンキンに冷えたジョッキに、よく冷えたキンミヤが注がれ、それとは別にこれまたよく冷えた瓶のホッピーが渡されます。これぞ人呼んで「三冷主義」の正統派ホッピーなんですね。っかぁ~っ。ウマイッ!

この店では普通のホッピーは380円。焼酎をキンミヤにしてもらうと30円アップの410円になります。これは氷なしでたのんでも、氷入りでたのんでも同じです。

さて、7月から1本100円となったかわりに、1本ずつ注文することができるようになったとうやきとん(もつ焼き)をいってみましょうか。レバーとコブクロ、ハラミを1本ずつ、塩でお願いします。(100円×3本)

お店のほうは、これまで店主の秋元さんと、ゆき子さんのふたりで切り盛りしていたのですが、お手伝いをする女性がひとり増えたようです。いつもお客さんが多くて、てんてこ舞いの状態のことが多いようだったので、ちょうどいいかもしれませんね。

レバーはちょい焼き(半生)の状態で出してくれます。おぉ。このレバーは甘みがあっていいですねぇ。大きさも、前よりもちょっと大きくなったような気がしますが、気のせいかな。追いかけるようにコブクロとハラミです。うん。これもいいですねぇ。

中野の「」、沼袋の「ホルモン」、新井薬師前、沼袋、高円寺などにある「四文屋」、そしてここ「秋元屋」と、いいもつ焼き屋さんが集結しつつある感がありますね。もつやき屋さんではないものの、とてもおいしい肉や内臓が食べられるという「やっちゃん」も近くにあるので、もつ好きにはいい地帯になってきたかも。

ナカ(ホッピーの焼酎部分のおかわり)をもらって、今度は、ハムカツ(200円)をもらいますか。これまた掲示板上で盛り上がっている、「秋元屋」のカツです。

ハムカツや、メンチカツ、トウフカツ、コロッケなど、材料そのものは市販のお総菜だそうなのですが、これをもつ焼きの焼き台で炙って出してくれるのです。好みに応じて自慢のミソダレもつけてくれるそうですが、私自身は今日が初の注文ですので、そのままいただいてみましょう。

ほぉ。なるほど。表面はカリッと、中はホッコラと熱くなって、いい味わいです。これぞ炭火の力です。人気の品であることがわかりますねぇ。最初は、下町酒場や、この界隈の人気店のいいところを、店主が自分で飲み歩いて勉強し、それらを真似するところから入った「秋元屋」も、このハムカツ(200円)、メンチカツ(200円)、トウフカツ(250円)、コロッケ(180円)などの、独自のメニューが出るようになってきました。店主は「買ってきたものを焼いてるだけですよ」と謙遜されてますが、そういう小さいところから、だんだんとその店ならではの品が生まれてくるんでしょうね。その過程が見られる意味でも、楽しいお店です。

さらにさらに。最初は真似でも、1月末の創業以来、半年も続けていれば、もうそれはしっかりと「秋元屋」の特長の一部になってしまいます。味噌ダレのもつ焼きも、キンミヤ焼酎も、ガツ酢も、キャベツも、ジャガバタも、ニホンシトロンの炭酸も、トリハイも、「秋元屋」に行けば呑める・食べられるという一品になってきましたよね。

さて、焼酎をおかわりなんだけど、もうソト(瓶入りホッピー)もなくなったので、今度はキンミヤ(270円)のブドウ割りをもらってみましょうか。これは、前回来たときに、「宇ち多」(立石)のと同じブドウエキスが入手できたと言っていたあれです。

ツツツゥ~ッと、コップの上の部分数ミリ分を残して、まずキンミヤが注がれます。そして、残った空間からあふれ出すようにブドウエキスが入れられて、コップの中にはサァ~ッとムラサキ色が広がります。

つまみのほうは、さすがにもうお腹もいっぱいになってきたので、ここはあっさりとオニオンスライス(220円)でもいただきましょうか。「は~い。オニスラひとつぅ」と、ゆき子さんが復唱。オニスラって呼ぶんですね。そのオニスラは、お皿にたっぷり山盛りです。

それにしても、赤羽~野方(高円寺)間が路線バス(系統番号「赤31」)でゆったりと移動できることがわかったのは大収穫でした。こうなると、北区もあまり遠くない感じがしますね。

ほかにも、浅草から、三ノ輪、滝野川を通って池袋に抜ける「草64」路線。新橋から銀座、月島、豊洲、木場、本所吾妻橋を通って業平橋までの「業10」路線。渋谷から幡ヶ谷、笹塚を通って新高円寺、阿佐ヶ谷へと抜ける「渋66」路線など、呑んべ好みのする路線は多いのです。

「秋元屋」では、ゆっくりと2時間近く過ごして、今日は1,450円でした。夏場を過ぎると、レバ刺しもはじまるといううわさもあるので、ますます楽しみですね。

さて、今日の復習です。4時前から赤羽で飲み始め、1次会の「いこい」が640円、2次会の「まるます家」が1,550円。そしてバスで野方へ戻り、3次会の「秋元屋」が1,450円と、3軒合わせて3,640円、移動時間も含めて4時間強の小飲み旅行でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月7日(土)の記録》

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カワイコちゃん一丁!? … 居酒屋「まるます家(まるますや)」(赤羽)

立ち飲みの「いこい」を後に駅前のバスロータリーを横切って「1番街」と書かれたアーケード街へ。向かう先は鯉とうなぎの「まるます家」です。さっきの「いこい」の朝7時開店ほど早くはないのですが、こちらも朝9時開店! どうなってんだ!? 赤羽の人たちは!(笑)

交差点の角を、斜めに切り落としたような形で建つ木造モルタル2階建て。店の表に向かって設置された焼き台からは、うなぎを焼く煙がもうもうと出ています。角を挟む両側にある入口の、駅に近い側から店内へ。すぐに店のおかあさんの「いらっしゃいませ!」という元気な声がひびきます。「おひとりさま、こちらへどうぞ!」と、入ってすぐのコの字カウンターの手前左側を指示されます。

まだ4時半なのに、ダブル「コ」の字カウンター+テーブル席3つ(40人くらいは座れそうかなぁ)の1階フロアは満席! おかあさんに指示されるまでもなく、開いている唯一の席がこの場所なのでした。

私のあとに続くように入ってきた男性3人連れは、入ってくるなり「いらっしゃいませ。お2階を見ていただけますか」と2階席へと回されています。開店時刻もさることながら、飲み始めるのも早いんですね、このあたりの人たちは! ま、「川名」(阿佐ヶ谷)なんかも、土日は4時半には満席になっちゃうから、似たようなもんか。

「はいっ。なんにしましょ」と微笑みながら、おかあさんが割り箸をもってきてくれます。それぞれのカウンターにひとりずつ担当のおかあさんがいるほか、両方のカウンターの付け根の中央部のレジのところに女将さんと思しき女性が立っています。その他に、フロアにも1~2人のおねえさんがいる。調理を担当しているのは男性陣で、店正面の焼き台のところに2人ほど、そして奥の厨房にも何人かいます。奥の厨房は、「金田」(自由が丘)と同じく、窓のようなすき間ごしにしか見ることができないので、正確な人数が把握できないのでした。

「じゃ、チューハイ(350円)お願いします」「はいよっ。食べものの決まったら呼んでね」と軽快に、元気よく、歌うように言って、カウンターの奥のほうへチューハイを作りにいきます。

といっても、ここのチューハイはいたって簡単。ニッカの「ハイリキ」という300ml入りの瓶入りチューハイの栓を開けて、ジョッキの上にひっくり返して乗せる。その間に、おかあさんはほかの注文を取りにいったり、できあがった品物をお客さんに届けたりということを、20秒ぐらいの間にやっつけてしまって、またジョッキの前に戻ってきます。空っぽになった瓶を、カウンター下の空瓶置き場に片づけて、ジョッキの中に氷をたっぷりと入れるとできあがり。「はいっ。チューハイお待たせ」と、これまた歌うように微笑みながら持ってきてくれます。

なぁ~んと。市販のチューハイじゃん。といったところですが、考えてみれば、ビールにしたって、日本酒にしたって、市販のものをそのまま出しているだけ。チューハイだけが自分のところで焼酎と炭酸を混ぜ合わさなければならないなんて道理はないですよね。たぶん自分のところで混ぜ合わせたほうが原価は安くなるんだろうと思いますが、なんだかちょっと、目からウロコでした。

ちなみに、チューハイは大瓶(1リットル入り)を注文することもできて、こちらは950円。普通瓶の3倍強の量が入ってるので、ひとりでも3杯以上飲む人や、グループのお客さんは大瓶をたのむと2割り近くお得になるようですよ。

さてと。つまみですね。この店の名物は、なにしろ店の表看板にも出ているとおり「鯉とうなぎ」です。まわりを見ても、うなぎの白焼きや蒲焼きをつまみながらお酒を飲んでいる人が多い。鯉の洗いなんかも好きなんですが、まだ昨年発生したコイヘルペスウイルス(KHV)病に対する蔓延防止措置が国のレベルで検討されていたりする段階なので、ちょっとやめとこうかな。農林水産省からは「KHVが人に感染することはありません」という報告はされてるんですけどねぇ。

「すみません」「はいよっ。ちょっと待ってね」とニッコリとおかあさん。この間髪を入れずという対応がうれしいですね。もちろん、大勢のお客さんを少ないおかあさんたちで切り盛りしているので、すべて同時に対応というわけにはいかない。しかし、声がかかると「はいよっ!」と元気よく答えて、「ちょっと待って」と歌うように伝える。この反応が大事なんですね。最近の大手居酒屋チェーン店では、忙しくなると、客の呼びかけが聞こえないふりをしながら、真横を通り過ぎていくなんてケースをよく見かけます。ぜひ、ここ「まるます家」や「大はし」(北千住)の客あしらいを見て、勉強してもらいたいですね。

「はいっ。なんでしょう」。おかあさんのニコニコ笑顔がやってきました。「うざく(450円)をお願いします」「はいよっ。うざく、いっちょ!」と尻上がりに軽快に、カウンター中央の女将さんと厨房とにいっぺんに注文を通します。女将さんはこれをレシートにつけて、厨房では料理の支度に入ります。

うざくは、キュウリとワカメの酢の物の上に、ザク切りにしたうなぎの蒲焼きが数切れのっかっています。冷たい酢の物の上に、温かいうなぎ。この取り合わせもおもしろくて、大好きなのです。メニュー上で発見すると、ついたのみたくなる一品です。

それにしてもこの店は品数が多い! 100品近くあるんじゃないかなぁ。店の壁をずらりとメニューの短冊が取り囲んでいるといった感じです。そのメニューを改めてじっくりと観察しながら、うざくをちびちび、チューハイをクイクイ。

あ。そうだったなぁ。ここはスッポンもあったんだ。なにしろスッポン鍋が750円ですからねぇ。ありますか、こんな値段で出す店! 今もメニューにのってるということは、夏場もあるんですね。でもやっぱり、冬場に食べたいなぁ、スッポン鍋は。もうちょっと涼しく、いや、寒くなってからまた来なきゃ。前もそんなことを思いながら帰って、結局、今日まで来れなかったんですけどね…。

とそのとき、おかあさんが「バラミポン酢どうですか? 待たずに食べられますよ。バラミポン酢!」と、カウンターのお客さんたちに手に持った小鉢をかざします。「ほい。こっちでもらおう!」と、ひとり客らしきおじさんの手があがります。「はいっ。どうもありがとう」と、小鉢が手渡されます。

この店では、だれかが注文した品物を、ちょっと多めに作ったり、あるいは厨房側でたまたま材料がそろったときにそれを作ったりしたものが、現物売り込みの形で出てくることがあるのです。前者は通常のメニューにある品物と同じものですが、後者はメニューにないこともあるので、注意して聞いておく必要があります。今まで聞いたことがある後者の例では、「スッポンの生き血(500円、2杯限定)」「ホウボウの潮汁(350円、5杯限定)」などなど。「スッポンの生き血」はだれかから注文があってスッポンをさばいたときにだけ、「ホウボウの潮汁」もホウボウをさばいてアラが出たときにだけしか作れない一品ですからねぇ。

それにしても、バラミポン酢ってなに? あらためて壁のメニューを確認します。ん~と。あった、あった。うなぎメニューのひとつか。なるほど、どうやらうなぎのバラ(お腹のまわりの小骨がたくさんある身の部分)の部分にポン酢をかけていただく一品のようですね。値段は350円。そういえば、「川二郎」(中野)でもバラの串焼きは人気の品だし、先日「竹よし」で食べたハモのバラやキモの唐揚げだってうまかったからなぁ。このバラミポン酢も、次回来たときのおつまみ候補ですね。今日はすでにうざくをいただいてるので、お酢っぽいものがかぶっちゃってダメですが…。

その間にも、おかあさんたちは大忙し。「はいっ、8番さん、うなぎ出たわよ!」「はいよっ。こちらおあいそね! 6番さん、おあいそ!」「はいっ。ジャンチューいっちょ! 15番さん!」と、まさに八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍です。ちなみに「ジャンチュー」というのが、チューハイ大瓶(ジャンボチューハイ)の通し言葉のようです。席にはすべて番号がついていて、その番号で注文を通したり、お勘定をしたりしています。

こんな忙しさなんだけど、けっして笑顔を絶やすことがない。また、声の調子も元気よくて明るい。カウンターという舞台の中でチャキチャキのおかあさんを演じている風情ですらあって、見ているだけで実に心地よい。

「はいよっ。12番さん、カワイコちゃんいっちょ!」 ぬわにぃ! いったいなにが出るんだ、と興味津々。あっという間に準備できたカワイコちゃんは、すぐに12番に座るおじさんの手に。このカワイコちゃんは、この店の日本酒「富久娘(ふくむすめ)」(350円)の符丁だったのです。お酒は普通には「金升」(300円)と「富久娘」の両方が選べて、なにも指定しないと「金升」になっちゃうようなので、こういう符丁が用意されたんですね。

ほかにも、にごり酒や生酒など、何種類かのお酒があるほか、焼酎も甲類が250円、乙類の芋焼酎(五代)が300円。さらにはウィスキー、ワインなどもあります。ただし、店内には「まるます家だけの決まり。酒類は3杯まで」の張り紙もありますので、気をつけましょうね。(一度出て、入り直すなんてことをしないように! ただし、午前中に1回3杯、午後に1回3杯なんてのはありかも…。)

となりのおにいさんがエビステーキカツ(400円)を注文します。そのメニュー、私も気になってたんだ。おかあさんがもう一度こちらにきたタイミングで「私もエビステーキカツお願いします。それとチューハイおかわり」「はいっ。エビステーキカツ、もういっちょ! 都合、2ちょおっ!」と厨房に通して、チューハイのおかわりを作りに戻ります。

今がちょうど5時ぐらい。ふと振り返ると、店の入口付近(つまり私のすぐ背後)には、何人かのお客さんが立って待っている状態。ひやぁ、まるで「魚三」(門前仲町)のような人気なんですねぇ。

ここ「まるます家」は、ライスやみそ汁などのメニューもあって、食事処(定食屋)としても楽しめるので、お酒を飲まないお客さんも来ているのです。だから、立って待ってても、比較的回転がはやいのかもしれませんね。この時間帯は、さすがに飲んでるお客さんのほうが多いようですが…。

「はいっ。エビステーキカツ、お待たせ!」 ほぉ。やや大きめの丸皿の向こう側にキャベツの千切り、そして手前側には横方向に4つにカットされたエビステーキカツが置かれ、湯気がほわんとあがっています。左にはタルタルソース、右には練りカラシが添えられ、タルタルソースで食べるもよし、ウスターソースをかけて練りカラシで食べるもよしといった状態になっているのがうれしいですね。

エビステーキカツは、エビのすり身を卵白でつないで、長方形に整形し、衣をつけて揚げたもののようです。すり身とはいえ、ところどころにエビの身そのものも混じり、エビそのものの歯ごたえや風味も味わえるようになっているのがいいところ。こういうつまみは好きですねぇ。

このお店の創業は昭和25(1950)年。今年で創業以来54年にもなる老舗なのです。初代の主人は昼間からふらふら飲みに出かけるような大の酒好き。それならいっそと自分で居酒屋を始めたのがきっかけなんですって!

やぁ、おいしかった。どうもごちそうさま。お勘定は、1,550円。ちょうど1時間の滞在でした。実に雰囲気のいい、居心地のいい酒場であることを再認識いたしました。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月7日(土)の記録》

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店情報: 鯉とうなぎの「まるます家」(赤羽)

  • 店名: 鯉とうなぎの「まるます家」(まるますや)
  • 電話: 03-3901-1405(18:00までに入店の場合のみ予約可)
  • 住所: 115-0045 東京都北区赤羽1-17-7
  • 営業: (火~金)10:00-20:30LO、(土日祝)09:00-20:30LO、月休(月祝の場合は営業し、火休)
  • 場所: JR赤羽駅の東口を出て、ロータリーにそって左に進むと、信号付き横断歩道の向こうに「1番街」と書かれたアーケード。アーケードに入って、2ブロックほど進んだ左手がこの店。駅から徒歩3分程度。
  • メモ: 昭和25(1950)年創業。禁煙。1階はダブル「コ」の字のカウンター席とテーブル席で40席、2階は座敷席(11:00から3名以上で予約可。席料5%)で35席、総席数75席。
    〔鰻蒲焼・白焼〕大きさにより2,300か2,800。うなぎカブト焼2本300。
    〔うな重(きも吸、お新香付き)〕亀重2,500、特上重3,000。
    〔鯉料理〕鯉あらい400、鯉生刺600、鯉こく(みそ汁)400、鯉うま煮800。
    〔鍋料理〕スッポン鍋(1人前)850(雑炊はプラス200)・(2階座敷のみ、3~5人用、雑炊付)4,000。
    〔お刺身〕まぐろ中とろ刺900、まぐろ赤身刺800、まぐろぶつ切り500、たこ刺750、たこ酢750、馬刺900、つぶ貝刺600、刺身盛合せ4,000。
    〔揚げもの〕とんかつ650、メンチかつ(ママさん手造り)650、いかフライ450、げそ天350、里いもから揚5個350、なまずから揚4個600、激からチョリソー3本450、にんにく揚(丸1個)600、カキフライ(10月~4月)3個600、玉ねぎフライ2本400。
    〔おつまみ〕しらすおろし400、くじらベーコン800、アスパラ400、生野菜500、本場キムチ400、いか浜やき450、明太子500、おもち煮おろし450、水餃子450、サーモン刺800、牛すじ煮こみ450、どじょうとぢ(丸煮)650、サバみそ煮500、いかなっとう600、まぐろ納豆600、ねぎぬた400、まぐろぬた600、生湯葉刺500、たぬき豆腐500、キムチ奴550、冷奴350、とり皮ポンズ350、ほや塩辛400、かにみそ(冷凍)400、もずく酢400、岩のり300、韓国のり300、いか焼450、いかげそ焼350、たら子焼450、お新香400、モロキウリ300、トマト400。
    〔本日のおすすめ〕以上のグランドメニューの他に、刺身類や季節の料理などが短冊メニューで貼り出される。
    〔生ビール〕大生750、小生450。
    〔瓶ビール(大瓶)〕サッポロラガー600、エビスビール650、エビス黒ビール(小瓶)500、ドラフトギネス(缶/びん)650。
    〔日本酒〕「金升(かねます)」(新潟)1合350、生酒「金升(かねます)」(新潟)300ml瓶800。
    〔ワイン〕赤・白各250ml瓶900、フルボトル2,600。
    〔サワー各種〕ジャン酎(ジャンボチューハイ1リットル瓶)1,100(モヒート100、梅干し150、レモン150、グレープフルーツ200、カルピスの素200、ポッカレモン200)、チューハイ・レモンハイ・ライムハイ・青リンゴハイ・カルピスハイ・梅ハイ・ウーロンハイ・緑茶ハイ各400、生レモンハイ550、生グレープフルーツハイ600、梅干しチューハイ550、徳用ピッチャー(緑茶ハイ or ウーロンハイ)3杯分1,100・6杯分2,200。
    〔焼酎(ロック・水割・湯割)〕甲類300、芋350、麦350、梅酒350(プラス150でソーダ割り可)。
    〔ボトル〕芋焼酎「からり芋」(720ml)2,900、麦焼酎「壱岐の娘デラックス」(720ml)2,500、「トライアングル」(700ml)2,000、「サッポロ焼酎」(一升)3,700、芋焼酎「黒五代」(一升)6,000、ウイスキー(ミニボトル)1,100・(ボトル)3,850、炭酸150、氷(小)200・(大)300、ミネラルウォーター(2リットル)300、湯(2リットル)300、ウーロン茶(2リットル)1,000。
    〔ソフトドリンク〕オレンジジュース200、コーラ200、サイダー200、カルピス200、ウーロン茶200。(2019年7月調べ)

    〔鰻蒲焼・白焼〕大きさにより1,800か2,300。
    〔うな重(きも吸、お新香付き)〕うな丼1,500、亀重2,000、特上重2,500。
    〔鰻料理〕バラミポンズ和え350、カルシュウム350、かぶと焼(1人前2本)300、きも吸250。
    〔鯉料理〕鯉あらい400、鯉こく(みそ汁)350、鯉のうま煮800、鯉生刺600。
    〔鍋料理〕すっぽん鍋(1人前)750(雑炊はプラス200)・(2階座敷のみ、3~5人用、雑炊付)4,000、キムチちげ鍋(1人用鍋)650。
    〔お刺身〕まぐろ中とろ900、まぐろ赤身700、まぐろぶつ切り500、江戸前たこ刺750、いか刺500、つぶ貝刺500、馬刺800、刺身三点盛800、おすすめ刺身盛合せ(5~6名用)3,500。
    〔焼きもの〕いかやき450、げそやき350、たらこやき450。
    〔揚げもの〕いかフライ350、フライドポテト350、げそ天350、カキフライ(季節限定)3個600、里芋唐揚5個350、激辛チョリソー3本450、にんにく揚(丸1個)500、地どり唐揚600、なまず唐揚500、とんかつ650、自家製ジャンボメンチカツ650。
    〔おつまみ〕牛すじ煮込み450、おもち煮おろし400、水餃子5個450、さばみそ煮500、どじょうとじ(丸煮)650、まぐろヌタ600、江戸前たこす(タコ酢)750、生ゆば刺(さっぱりポンズで)500、月見(鰻と一緒に合います)550、山かけ600、いか納豆450、まぐろ納豆600、冷奴350、たぬき豆腐500、キムチ冷奴450、とり皮ポンズ350、明太子400、かにみそ(冷凍)350、ほや塩辛(仙台)350、自家製いか塩辛350、もずく酢400、岩のり300、韓国のり250、お新香400、キムチ400、しらすおろし350、ネギヌタ400、もろきゅう300、トマト400、アスパラ400、生野菜(自家製ドレッシング)500。
    〔生ビール〕小生450、大生750、特大生1,050。
    〔瓶ビール(大瓶)〕サッポロ黒ラベル600、サッポロラガー600、エビスビール650、エビス黒ビール(小瓶)500、ドラフトギネス(缶/びん)650。
    〔サワー各種〕チューハイ・レモンハイ・ライムハイ・青リンゴハイ・カルピスハイ・梅ハイ・ウーロンハイ・緑茶ハイ各400、モヒートハイ500、梅干チューハイ550、生レモンハイ(丸1個)550、生グレープフルーツハイ(丸1個)600、ハイボール(ウィスキー)500。
    〔徳用〕ジャン酎(ジャンボチューハイ1リットル瓶)1,100(モヒート100、梅干し150、レモン150、グレープフルーツ200、カルピスの素200、ポッカレモン200)、緑茶ハイ or ウーロンハイのピッチャー(3杯分)1,100・(6杯分)2,200。
    〔日本酒〕「長陵(ちょうりょう)」(新潟)1合350、「丸眞正宗」(赤羽)1合400、生酒「金升(かねます)」(新潟)・「丸眞正宗」(赤羽)各300ml瓶800。
    〔ワイン〕赤・白各250ml瓶900、フルボトル2,600。
    〔焼酎(ロック・水割・湯割)〕甲類300、芋350、麦350、梅酒350(プラス150でソーダ割り可)。
    〔ボトル〕芋焼酎「からり芋」(720ml)2,900、麦焼酎「壱岐の娘デラックス」(720ml)2,500、「トライアングル」(700ml)2,000、「サッポロ焼酎」(一升)3,700、芋焼酎「黒五代」(一升)6,000、ウイスキー(ミニボトル)1,100・(ボトル)3,850、炭酸150、氷(小)200・(大)300、ミネラルウォーター(2リットル)300、湯(2リットル)300、ウーロン茶(2リットル)1,000。
    〔ソフトドリンク〕オレンジジュース200、コーラ200、サイダー200、カルピス200、ウーロン茶200。(2017年4月調べ)

    〔THEおつまみ〕牛すじ煮込み450、おもち煮おろし400、水餃子450、さばみそ煮500、どじょうとじ(丸煮)650、まぐろヌタ600、たこす600、生ゆば刺500、月見400、山かけ550、いか納豆450、まぐろ納豆550、冷奴350、キムチ冷奴450、とり皮ポンズ350、明太子400、かにみそ(冷凍)350、ほや塩辛(仙台)500、いか塩辛(自家製)350、もずく酢400、岩のり300、韓国のり250。〔お野菜〕おしんこ350、キムチ400、しらすおろし350、ネギヌタ400、もろきゅう250、トマト400、アスパラ350、生やさい400。〔焼きもの〕いかやき450、げそやき350、たらこやき350。〔鯉料理〕鯉のあらい400、鯉こく(みそ汁)350、鯉のうま煮750、鯉生刺600。〔鰻料理〕バラミポンズ和え350、カルシュウム350、うざく(酢の物)450、かぶと焼(1人前2本)300、きも吸250。〔蒲焼(白焼)〕大きさにより800、1,000、1,200、1,500。〔うな重(きも吸、お新香付き)〕寿重1,000、鶴重1,200、亀重1,400、特上重1,700、まんぷく重2,700、うな丼750、うな茶漬650。〔お刺身〕まぐろ赤身700、まぐろブツ切500、たこ刺600、たこブツ切650、いか刺500、つぶ貝刺450、馬刺800、刺身三点盛800、おススメ刺身盛合せ3,200。〔揚げもの〕フライドポテト350、いかフライ350、げそ天350、エビステーキカツ400、辛口チョリソー450、にんにく揚500、地どり唐揚500、なまず唐揚500、とんかつ550、ジャンボメンチカツ550、ジャンボエビフライ1本800・2本1,500。〔鍋〕すっぽん鍋(1人前ナベ)750・(3~5人前・雑炊付)4,000、ちげ鍋(1人前ナベ)650。
    〔瓶ビール(大瓶)〕サッポロ黒ラベル550、サッポロラガー550、エビスビール600、エビス黒ビール(小瓶)450、ドラフトギネス(缶 or びん)600。〔生ビール〕小生350、大生650、特大生850。〔サワー各種〕チューハイ・サワー・レモンハイ・ライムハイ・青リンゴハイ・カルピスハイ・梅ハイ各350、生レモンハイ500、生グレープフルーツハイ550、梅干チューハイ450。〔焼酎(ロック・水割・湯割〕源氏250、麦(5年物)300、芋300、梅酒300。〔ワイン〕イエローテイル(フルボトル、赤・白)2,300。〔日本酒〕1合300、生酒「初花」(新潟)700、生酒「丸真正宗」(赤羽)700。〔グループで〕ジャンボチューハイ(1リットル)950、ウーロンハイピッチャー(3杯分)950。2階席の利用は原則2時間以内で、席料5%が付く。(2010年12月調べ)

    〔お刺身〕まぐろ赤身700、まぐろぶつ切り400、まぐろ中おち400、たこ刺600、たこぶつ切り650、いか刺500、げそわさ400、馬刺800、刺身三点盛800、刺身盛合せ3,150、〔揚げもの〕ジャンボメンチカツ500、黒豚とんかつ500、わかさぎフライ350、イカフライ350、クリームコロッケ350、エビステーキカツ400、地どり唐揚500、げそ天350、にんにく揚450、なまず唐揚500、辛口チョリソー450、フライドポテト350円、ジャンボエビフライ(1本)700、(2本)1,300、〔うなぎ料理〕バラミポン酢350、カルシウム350、うざく(酢の物)450、かぶと焼(1人前2本)200、きも吸250、蒲焼(白焼もできます)800、1,000、1,200、1,500、〔うな重(きも吸、お新香)〕寿重1,000、鶴重1,200、亀重1,400、特上重1,700、うな丼750、うな茶漬650、さけ茶漬450、〔飲みもの〕生ビール(大)650、(小)350、(特大)950、びんビール(大びん)500、日本酒1合300、ジュース200、〔一品料理〕まぐろ納豆550、いか納豆450、まぐろぬた550、山かけ550、月見400、もずく酢400、お新香300、キムチ350、もろきゅう250、冷しトマト400、アスパラ350、明太子400、ねぎぬた350、岩のり250、カニみそ(冷凍)350、しらすおろし350、冷奴300、キムチ奴450、ほや塩辛350、いか塩辛350、たこ酢600、さばみそ煮450、生ゆば刺500、いかわた珍味400、生野菜400、生ハムカルパッチョ450、牛すじ煮込み450、どじょうとじ(丸煮)650、おもち煮おろし400、水餃子450、韓国のり250、〔焼きもの〕いか焼き450、げそ焼き350、たらこ焼き350、〔鯉料理〕鯉のあらい400、鯉こく(みそ汁)300、鯉のうま煮650、鯉生刺600、〔サワー350〕チューハイ、レモンハイ、梅ハイ、ライムハイ、カルピスハイ、ウーロンハイ、青リンゴハイ、梅干しチューハイ、生レモンハイ、生グレープフルーツハイ、〔その他〕すっぽん鍋(1人前)700、2階だけで食べられる3~5人前のすっぽん鍋(雑炊付き)は3,000円。2階席の利用は原則2時間以内。(2007年2月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (01.08.28)(01.02.23)

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500円で酔えます! … 立ち飲み「いこい」(赤羽)

さぁ! 家族は合宿中! フリーな土曜日がやってきました。この日のために、しばらく前から行き先を検討してきた先は赤羽(あかばね)です。

北区のこの地域は、別名「東京の北のゲート」とも呼ばれ、旧・中山道(なかせんどう)の交通の要所としても栄えた場所です。実際は、中山道は現在の国道17号線、板橋~蕨(わらび)~浦和を結んでいくラインなので、赤羽はちょっとだけはずれてるんですけどね。今のように城北の玄関口として発展してきたのは、明治になって鉄道の駅ができてからだそうです。

話はそれますが、この旧・五街道沿いの、江戸から出てすぐのあたりにいい酒場が多いように思いませんか? 東海道なら大井町~蒲田~川崎界隈。日光街道/奥州街道(この2つは宇都宮まで同じルート)なら、なんといっても千住界隈。甲州街道だと、幡ヶ谷~下高井戸、少しずれるけど下北沢界隈。そして中山道は、(鉄道の影響か)全体的に旧街道よりは東にずれて、王子~十条・東十条~赤羽界隈。この論でいくと、新宿(甲州街道)、品川(東海道)あたりにもいい酒場が多そうなのですが、この2つは、その後の街化の進み方がはや過ぎたのか、残念ながら現在は(古くから続く大衆酒場という面で)あまりいいところを見つけられませんねぇ。

さて、赤羽駅におりたったのはまだ午後4時前。向かう先は、東口に広がるピンクゾーンの一角にある立ち飲み屋、「いこい」です。

この店はなんと朝7時からの営業! 本当は朝から飲みに来ようかと思ったぐらいなのですが、さすがに朝から飲んじゃうと昼頃にはヘロヘロになっちゃうなぁと、その後の展開も考えて、自宅を出発するのを午後3時にしたのでした。(というか、本当は午後2時出発という計画だったのに、ちょっとうたた寝してる間に出遅れちゃったのでした。)

「いこい」の斜め筋向いが、〈キャバレー太郎〉こと福富太郎氏のキャバレー「ハリウッド」です。先日、この店でずっとNo.1を続けているホステス、千尋さんが書かれた「赤羽キャバレー物語」を読んだところだったので、「あぁ、この店だったんだ」なんて、妙に感心してしまいました。しかしながら、この店は初めての人用の見学コース(60分)でも7,350円ですからねぇ。エコノミー・コースと銘打たれているコースでも16,800円と、われわれ一般サラリーマンにはとても行けそうにないお店です。みのもんたさんなんかが、よく来られてるそうですよ。でも、こうやって料金をはっきりと明示しているだけでも良心的といえるのでしょうか。

そんな開店前の「ハリウッド」を横目にみながら「いこい」の店内へ。や。この時間(4時前)でもお客さんが多いですねぇ。入口側から見るとコの字(コの右側が入口)に見えるカウンターはお客さんでいっぱいです。右手に並んだ立ち飲み用のテーブル席にも、何組かのお客さんがついています。店が開くのも早ければ、お客さんたちの出足もいいようですねぇ!

入口から見て左手奥、コの字でいうと、左下のほうに空きがあるようなので、奥へ入りますか。こっち側に入るのは、私自身はじめてです。奥に進んでいくと、カウンターがそのままΠの形にまわりこんで、今度は人が内側に立つようなカウンターになります。Πの中央部には、立ち飲み用のテーブルもひとつあって、かなり広い空間です。こんな風になってたんですねぇ。こちらの空間には、現在のところ若い男女3人組みが1組入っているだけ。

私も、手前のカウンターから奥の空間に切り替わるあたりに陣取ります。ちょうど目の前がつまみの陳列ケースになっていて、どんなつまみがあるのかがわかりやすいのです。さらに、この場所からは厨房の様子も真横から見ることができます。

その厨房から、おかみさんと思しき女性が出てきて「いらっしゃいませ。なんにしましょう?」と声がかかります。「ハイボールください。あと、これ」と、台の上に並んだつまみの中から、おからを指差します。

まず、トンとおから(110円)が出され、追いかけるようにハイボール(180円)が出てきます。「あと、ホルモン焼き(220円)もお願いします」と追加注文。「全部で510円です」とおかみさん。この店はキャッシュ・オン・デリバリー。そのつど、そのつど、清算するのです。

通常は、カウンターの奥のほうにいくらかを置いておくと、そこから必要な分だけとって、おつりを同じ場所に置いておいてくれます。その後も、注文のたびにそこからお金が取っていかれるのです。だから、「今日は千円分だけ飲もう」というときには、最初から千円札を1枚だけまず置いておいて、それがなくなるまで飲み食いすればいいということになります。

『通常は』と書いたのは、今日立っている場所は、目の前にケースがあるために、そういうお金のやり取りができないからです。「はい」とケースの横から手を回すようにしてお金を払い、もらったおつりはカウンターのところに置いておきます。

ハイボールは、180円ながらもジョッキ入りの酎ハイで、レモンスライスまで入っています。これとは別にレモンハイというメニューもあって、こちらは220円。こっちになると、レモン果汁がたっぷりと入るのかなぁ…。

ちなみに日本酒も180円で、ビールはビン(サッポロ大ビン)、生ともに360円。エビスの黒ビールは380円です。

そのハイボールをいただきながら、合いの手につっつくのはおから。この、やや甘めに味付けられた、具だくさんのおからもいいつまみです。ポテトサラダ(110円)にするか、おからにするか、ちょっと迷ってこちらにしたのでした。「武蔵屋」(横浜・野毛)で、必ずおからが出てくるのですが、ほかの店ではあまり見かけないので、なんだか久しぶりですね、おからも。

厨房の中でおねえさんがフライパンで作ってるのがホルモン焼き(正式には「スタミナ ホルモン焼」)かな。ちょうど今、できあがってお皿に盛られている。ほ~ら、出てきましたよ。これはシロ(腸)とモヤシをフライパンで炒めたもので、塩コショーでピシッと味付けられています。なにしろできたてなので、モヤシはしゃっきり、シロは熱々プリプリ。お腹がすいていたこともあって、思わずバクバクと食べてしまいました。

110円のつまみが多い中、このホルモン焼きは220円。この店にあっては、超高級品なのですが、さすがにそれだけのことはありました。おいしかったです。

立ち飲み酒」という書籍によると、この店の前身であるアサヌマ酒店がこの地で開業したのが昭和24、5年のこと。そのころから、店内の一角で立ち飲みをやってたのだそうです。その後、昭和45年ごろに酒屋の一部が移転したのを機に、店内の三分の一ほどを立ち飲みコーナーとして区切り独立。さらに残った酒屋も全部移転して、完全に現在のスタイルの立ち飲みだけとなったのは平成に入ってからなのだそうです。

店内のテレビでは、今日からはじまった第86回全国高校野球選手権大会の中継が流されており、この時間、ちょうど第1日め第2試合で浦和学院(埼玉)と広島商(広島)が試合中。店内はほぼ浦和学院の応援一色です。なるほどなぁ。ここ北区は、川口市(埼玉県)と隣接した関係にあることや、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、埼京線などの電車がすべて赤羽駅を通るということもあって、埼玉も地元といった感覚なんでしょうね。

カウンターの入口付近に、キュウリがたくさん積み上げられています。「すみません。キュウリください」と注文し、110円を握りしめて到着を待っていると、「はい、キュウリ。130円です」って!? おっとっと。あわててあと20円追加して支払いです。

野菜は魚以上に値動きが激しくて、この店のように原価ギリギリのところで商売をしている店にとっては安定しない食材なのだそうです。

そのキュウリは、丸いお皿に丸のままのキュウリが2本。ころんと乗せられていて、お皿の横には味噌が添えられています。その丸のままにかじりついて、パキッと軽快な音とともにひと口分。シャクシャクと噛むと、水分もたっぷりでなんだか涼やか。実に夏らしい食べ物ですねぇ。

本当は、この店でもうちょっと飲(や)っていきたいところなんですが、ここでたっぷり飲んじゃうと後が続かない。ガマン、ガマンでこの辺で切り上げます。

滞在時間は約30分。ジョッキのハイボール1杯と、つまみが3品。全部で640円でした。

この滞在時間は、けっして短いほうではなくて、さっき私の横に来たおじさんも、マグロ刺し(これも4切れぐらいで110円!)をつっつきながら、お酒を2杯、ツゥ~ッ、ツゥ~ッと飲んで、ほんの15分ぐらいで帰っていきました。470円です。“せんべろ”ならぬ、500円玉1個持ってれば飲めるんですねぇ、この町では!

もちろん、じっくりと腰をすえて(とはいえ立ち飲みだが…)長い時間飲んでいる人たちもいますので、じっくり飲みたい方もどうぞ。

件の「せんべろ探偵が行く」ご一行様も、ここでたっぷりと飲み食いしたものの、2人で3千円いかなかったそうです。店の入口に「酔って来る方、一切お断りします」と書かれていることをもじって、『酔って入るのはダメだが、酔っぱらわなくては出られないのだ』と締めくくられています。さすがプロの物書きですね。(笑)

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月7日(土)の記録》

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店情報: 立ち飲み「いこい」(赤羽)

  • 店名: 立ち飲み「いこい」
  • 【本店】
    • 電話: 03-3901-5246
    • 住所: 115-0045 東京都北区赤羽1-3-8
    • 営業: 11:00-22:00(日 -21:30)、月休
    • 場所: 赤羽駅東口を出て、バスターミナルを右側に回り込むようにして右前の通りに入り、十字路を右に曲がった右手。駅から徒歩1分ほど。
  • 【支店】141118z
    • 電話: 03-5939-7609
    • 住所: 115-0045 東京都北区赤羽1-5-7 クレアシオン赤羽ビル1F
    • 営業: 07:00-22:00(日 -12:00、祝 -21:30)、不定休
    • 場所: 赤羽駅東口を出て、バスターミナルを右側に回り込むようにして右前の通りに入り、十字路を右に曲がった右手。駅から徒歩1分ほど。
  • メモ: 公式サイトあり。生ビール360、エビス黒生420、ハーフ&ハーフ420、ビール大瓶410、日本酒200、樽酒300、菊水・純米酒330、宝寿・特別純米酒330、仁勇・生貯300ml 450、赤ワイン270、焼酎ハイボール190、ゴールデンハイボール230、レモンサワー230、ウーロンハイ230、玉露茶割り290、青汁割り310、生グレープフルーツサワー290、生すだちサワー290、生ゆずサワー290、青リンゴサワー230、梅サワー230、男の潰し梅サワー290、ジンジャーハイ270、カミナリハイ290、樽詰ウイスキーハイボール230、黒ホッピー340(そと230、なか180)、たんたかたん(しそ)310、
    麦焼酎310、芋焼酎310、特製シャーベットハイボール(酎ハイ260、レモン、290、生グレープフルーツ360)。ポテトサラダ110、マカロニサラダ110、ひじき150、かぼちゃの煮付150、厚焼きたまご150、きりぼし大根150、めんたいしらたき150、里芋の煮付150、おひたし110、おから110、きんぴら150、お新香110、小松菜の煮びたし150、ぬた(たこ)180、やっこ110、揚げ出し豆腐150、ねぎとろ210、まぐろ130、あじたたき150、あじなめろう180、げそわさ110、野菜天ぷら150、きす天ぷら160、あなご天ぷら160、アジフライ150、かきフライ150、かにクリームコロッケ160、もつ煮込み110、なす生姜150、肉豆腐150、自家製チャーシュー150、レバホルモン220、その他日替わりメニューあり。(2014年11月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (01.11.14)(01.08.28)

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エアコン故障中!? … バー「ピュアー」(野方)

竹よし」を出たのは、そろそろ日付けが変わろうかという午後11時半。しかし、なにしろ他の家族が合宿中なので、もう1軒酔って…、いやいや寄って帰りましょうか。

西武新宿線の踏切を渡り、都立家政の商店街を南下。バー「ピュアー」に向かいます。

あれ? なぁ~んでバーなのに、のれんみたいなのがはためいてるんだぁ!?

「こんばんは??」「あ。いらっしゃい」とマスターのいつもの笑顔。「エアコンが壊れちゃって、大変な状態なんですよ」とマスター。なるほど。それで入口を開けっ放しにして、それじゃ店内が丸見えになるので、のれん代わりの布をかけたんですね。

先客は、入口近くに女性客がひとり。じゃ、私は奥のほうへ、と奥へ向かったところ、マスターから「奥は暑いですよ」と警告が発せられます。それはいけませんねぇ。すぐに入口近くに取って返し、女性客のふたつ分ぐらい奥に座りなおします。

8月になったんで、おすすめのカクテルメニューも変更になったんですね。じゃ、リストの1番の「マジィルージュ」(スイカとウォッカのカクテル、630円)を飲んでみようかな。「スイカのカクテルも今月までですからね」とマスター。おぉ。危うく飲み逃すところでしたねぇ。スイカのカクテル、飲みたい人は今月中ですよ!

お通し(310円)はクラッカーにのったチーズ。ミニトマトも添えられています。

「エアコンがないと大変ですねぇ」と聞くと、「なにしろ古いエアコンですから。部品がないらしいんですよ。1週間ぐらいはこの状態が続きそうです」とのこと。それはまたとんでもない事態ですね。「でも。おかげで私はこの店に入れたんです」と入口近くの女性。「いつも気になってたんですけど、扉を開けてはいる勇気はなくて…。今日はのれん越しに店の中が見えたので、入ってみたんです」。

そうかぁ。たしかにそれはありますね。私なんか、もうすっかりすれちゃいましたから、はじめてのお店でも「入っちゃえ!」なんてドンと踏みこみますが、若いうえに、女性ですから、敷居はもっともっと高いんでしょうね。たまにはこういう状態にしておくのもいいかもね、マスター。(笑)

そこへ、またひとりお客さん(男性客)が入ってきて、私と同じで奥へ行こうとするのを、マスターに「そっちは暑いよ」と引き戻されて、私のふたつ奥ぐらいに着席です。「注文の品物、入りましたよ」と、マスターがカウンターの中から取り出したのは「ラガヴーリン(Lagavulin)16年」です。アイラ・モルトと呼ばれている、アイラ島で造られるモルトのひとつで、「ジョニーウォーカー・ブラックラベル(Johnnie Walker Black Label)」を構成しているモルトのひとつとしても有名です。

へぇ。普段置いてないお酒も、事前に注文しておけば入れてくれるんですね。

このおにいさんは、すでに「ボウモア(Bowmore)」(同じくアイラ・モルトのひとつ)はすでにキープしていて、それもある状態でこの「ラガヴーリン」も入れたようです。となると、目的はひとつ。飲み比べですね。ふたつのショットグラスを並べて、両方のウイスキーを注ぎ、ちびりちびりと味わっています。

それじゃ、私も次の飲みものをもらいましょうか。赤いスイカのカクテルではじめたので、今度も赤にしましょうね。「ヨコハマ(Yokohama)」(630円)をロックでお願いします。

ヨコハマは、オレンジジュースやグレナデン(ざくろ)シロップが入っているので、赤くて甘い味わいの飲みやすいお酒ですが、実はジン、ウォッカ、アブサンまで入っているのです。

入口近くの女性客は帰り、入れかわるように男性客。そしてちょっと遅れて連れの男性客が入ってきます。

じっくりゆっくり飲むうちに、もう1時半。私はこの辺で引きあげますか。どうもごちそうさま。「今日はエアコンが壊れてるから、カクテルは3割引き。1,190円です」。いやぁ、それはどうもすみません。

でも、もともとバーの造りとして、入口側1箇所しか開口部がないから、こうやって空調設備が壊れちゃうと、とっても弱いんですね。まったく風が通らない状態になってしまいます。早く直るといいですね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月6日(金)の記録》

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脂ののった三者三様 … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

なんと、私が愛媛で楽しい夏休みを過ごしている間に、かの中島らも氏が酒に酔って階段から転落し、脳挫傷、外傷性脳内血腫のため、7月26日に死去されてました。52歳という若さでした。

らもさんは『大阪の釜ヶ崎に「ジャンジャン横丁」っていう、立ち飲み屋がずらーっと並んでいる労務者の街があるんですよ。以前、そこで飲んでいたときに、横でパチンという音がした。振り向くと、カウンターに200円おいてあって、酒がすーっと出されたんです。それからおれは別のことを考えていてふと振り向くと、その客がもういない。だから、約20秒ぐらいで1合飲んで、出ていってしまったんでしょうね。

おれの飲み方はそれに近い。17、8歳ぐらいから飲んでますけど、ドラッグとしてアルコールを採ってましたから。酔う過程より、酔ってからのほうが大事。酔うための道具として酒を飲んできたから、ある意味シャブと一緒です。一緒ですよ』(「男を上げる!正しい酒の飲み方」より)と語っています。

以前、そばが好きな人には「そば好き」と「そば屋好き」が存在するのと同じように、酒が好きな人にはおいしいお酒が好きな「酒好き」と、お酒の味よりもむしろ酒場のもつ雰囲気が好きな「酒場好き」がいるということを書きましたが、実は酒が好きな人にはもう1タイプ。とにかく酔ってフラフラしている状態が好きな「酔い好き」という人が存在するんですね。

このタイプは、酒の味や、酒を飲む雰囲気なんてさておいて、なにしろ一刻も早く自分を酔った状態にもっていきたい。夕方になると、立ち飲み屋までたどりつくこともガマンできず、駅のキオスクなどでワンカップをクィ~ッ、クィ~ッと続けざまに2本ほど飲み干しているおじさんたちが、きっとこの代表格ですよねぇ。この飲みっぷりは、見ていて実においしそうです。

「麻薬(まやく)」が、「麻酔作用をもち、習慣性・耽溺(たんでき)性を生じやすい薬物の総称」であるならば、お酒も確実に麻薬の一種だと思います。サァ~ッと、軽い麻酔状態に入って、フゥ~ワリフワリと幽明(ゆうめい)の境をさまよう。これもまたお酒の大きな楽しみのひとつですね。

昨年出版された中島らもさんの「せんべろ探偵が行く」の中で、この「居酒屋礼賛」ページのことが紹介されていることなどもあって、以前よりもうんと親近感をもって活躍を見ていただけにとっても残念です。合掌。

らもさんの訃報を悲しみつつも、夏休み後の1週間の勤務を終えて、横浜から自宅へ。

実は、今日、明日と家族がサッカーの合宿に出かけているので、自宅に帰っても、寮と同じく私ひとりなのです。そんなわけで、横浜からの帰り道、夕食もかねて自宅近くの居酒屋「竹よし」に向かいます。

「こんばんは」と「竹よし」の入口をくぐったのは午後8時半。「いらっしゃいませ」という店主(マスター)の声にかぶさるように、「あら。こんばんは」とカウンターの奥側に座っているTA奥さんから声がかかります。「あ。ごぶさたしてます」と、TAさんご夫妻とあいさつ。手前には、この近くに住んでいる大学教授ご夫妻の奥さんが座っていて、帰り支度に入っています。どうやらちょっと前までご主人(教授)もいらした様子です。

「それじゃ、私はお先に」と席を立つ教授夫人と入れかわるように、カウンター中央部に腰をおろします。いつものように瓶ビールを注文しようと思ったところへ、TA奥さんから「生ビールおかわり!」の注文。じゃ、私も生ビール(500円)にしてください。

生ビールは飲み口がいいし、「泡があっておいしそうな間に飲まなきゃ」なんて思いもあって、ついグイグイと飲みすぎてしまうのです。ま、いいか。金曜日だし。

今日のお通し(200円)は、酢の物盛り合わせの小鉢です。

TAさんご夫妻と、ごぶさたの間の状況報告や、常連さんたちの動向などを話しているうちに、案の定、1杯目の生ビールはアッという間に飲み干してしまいました。じゃ、次はチビチビと瓶ビール(スーパードライ、中ビン、500円)をお願いします。

それと、つまみは…と。う~ん、今日も迷いますねぇ。迷ったときには刺身の盛り合わせ(1,000円)をお願いします。なにしろここの刺盛りは間違いなくうまいですからねぇ。「うちもお刺身の盛り合せをいただいたんですよ」とTA奥さん。

TAさんご夫妻は、実は大学の推理小説同好会の先輩・後輩だったのだそうです。今はお子さんも大学生になられて、ときどきご夫婦で飲みに出たりされている。今日も、すでに1軒行ってこられて、ここが2軒目なのだそうです。先ほどの教授夫妻もそうでしたが、子供から手が離れるぐらいになってから、ご夫婦でゆっくりとお酒が楽しめるというのもいいですね。ただし、TAさんご夫妻、特に奥さんのほうは、とても大学生のお子さんがいるような年齢には見えませんが…。

さぁ。刺身の盛り合わせが出てきました。今日の盛り合わせは、カツオ、トロ、カンパチに、手前にはホッキ貝と、アカエビです。赤を基調としたグラデーションある色合いも美しいではありませんか!

まずはカツオから。ど~れ。うわぁ。すっごい脂がのってますねぇ。まるで戻りガツオみたいです。「そうねぇ。この時期になると、もうだいぶ脂ものってきますねぇ」と店主。

まだビールも1杯分ぐらい残ってますが、ここはいっちょ、日本酒をいきますか。カツオだからっちゅうことはないんですが、土佐の「酔鯨(すいげい)」(特別純米酒、500円)をいただきましょうか。

次はトロです。わ! すごいですねぇ、これ! 「今日はいい本マグロが入りました」。そうかぁ、本マグロだったんだ!

カンパチ刺身そしてカンパチ。カツオ(戻りガツオ風)、本マグロのトロと、脂がのった刺身が続きましたが、なかなかどうして、このカンパチも見るからに脂がのっています。身もしっかりプリッとしていて、いいですねぇ。

こうやって並べて食べると、三者三様に、それぞれ脂のうまみが違うのがよくわかります。

その中にあって、ホッキ貝はさすがにさっぱりとしています。身(足?)が厚くて、食べ応えがありますねぇ。

エビはアカエビなのだそうですが、けっこう大ぶりで、見た目はまるでボタンエビ。ぷりっとした身の弾力がいいですねぇ。

TAさんご夫妻は、最後にお味噌汁を作ってもらって終了です。「それじゃまた。お先に」と席を立たれるご夫妻を見送って、私のほうは、さらにお酒(酔鯨、500円)をおかわりです。

さっきから、メニューの中央付近に掲げられている「真鯛かぶと蒸し」(600円)に惹かれているので、これをいただきましょうか。どういうわけだか、愛媛に帰っているときには真鯛を食べなかったのに、帰ってきてから活ジメ真鯛の寿司を食べたり、今日かぶと蒸しをいただいたりと真鯛づいているのでした。

大きい真鯛ですねぇ、これは。頭の部分とカマの部分が、丸皿からはみ出さんばかりに盛られています。横にはポン酢醤油の小鉢が添えられ、チョイチョイと骨ぎわから取り出した身を、さっとポン酢醤油をくぐらせていただくのです。

そこへ、新しいお客さんの登場です。カウンターの入口近くに座り、生ビールとカンパチの刺身を注文します。あ。思い出した。このお客さんは、前に活締めのヒラマサを食べていた方ですね。いやぁ、やっぱり今日のカンパチは見た目も美しいですねぇ。

やぁ、おいしかった。どうもごちそうさまでした。今日は午後11時半まで、ゆっくりとくつろいで、3,800円でした。

最後に、「ちょっとこれを食べてみて」と、シメサバのにぎりを2貫ずつ、私と、入口側のお客さんに出してくれたのですが、そのシメサバのシメ具合のいいこと。生過ぎず、酸っぱ過ぎず。実に絶妙のシメサバです。そうかぁ。これも自慢の一品だったんですね。

さらにさらに、最後の最後で、さっきTAさんご夫妻に作っていたお味噌汁も1杯いただいちゃいました。出汁のうまさのみならず、たっぷりと入れられた野菜の甘みもよく効いて、おいしい味噌汁でした。そういえば、夕食会のときはけっこう汁物が出てくるのに、普段はほとんど食べたことがなかったですねぇ。

ところで、今月は第2土曜日が8月14日、第3日曜日が8月15日と、連続する上にお盆に重なってしまうので、夕食会は中止だそうです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月6日(金)の記録》

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生ホッピーで鹿シチュー … 居酒屋「丸山(まるやま)」(阿佐ケ谷)

8月に入りました。今日で1週間の夏休みも終了です。いろいろと酒場をまわった1週間でしたが、締めの今日は、ごくごく近場で夕食前の居酒屋散歩といきましょうか。

実は昨日、「花すし」に寿司を買いに行ったときに、近くの居酒屋「丸山」の店頭にある、本日のおすすめメニューが書かれた行灯看板に「鹿シチュー」とあったのが気になっているのです。

「丸山」も前回行ってから、もう2年ほどごぶさたです。店の前はよく通るのですが、この店も今やかなりの人気店で、いつ見てもお客さんでいっぱいで、入れなさそうなことのほうが多いのです。

現在、午後5時半。この店は5時開店なので、この時刻ならまだ大丈夫かな。ガラガラと引き戸を開けて店内へ。「いらっしゃいませ」の声に迎えられます。

うん。さすがにこの時間なら大丈夫ですね。先客は2名。テーブル席にひとりと、カウンター席の一番奥にひとりです。私もカウンター席の一番手前に陣取り、さっそくホッピー(370円)を注文します。

店内は、左手が直線のカウンター席になっているのですが、カウンターの長さは、店の奥行きの半分ぐらいしかなくて、5人分の席しかありません。どっちかというと主力は右手のテーブル席で、手前から4人、4人、6人、4人と、全部で18人座れるテーブル席が店の奥まで続いています。テーブル席は、2人用のテーブルをくっつけて4人掛けのように使っているものも多く、グループの人数によっては、くっつけたり離したりして融通がつけられるようです。

左手のカウンター席のさらに左側が、ひかくてき大き目の厨房スペースになっていて、店主はここで調理を担当しています。注文を取ったり、料理を運んだりしているのは、手伝っているらしい若いおにいさん。そのおにいさんが、ホッピーとお通しを持ってきてくれました。

ホッピーは、ジョッキに入ってすでにできあがった状態。ん? と思って、壁のメニューを見直してみると、なんと久しぶりの生ホッピーです。生ホッピーは、度数も軽くて、味もマイルド。これはこれで、ググゥ~ッと飲んだりするときにはおいしいですね。

お通し(200円)は、ソーセージ(スライスしたもの)とキャベツの炒め物の小鉢です。なんでもない料理なのに、生ホッピーにもぴたりと合って、なんだかうれしい。

ん~と。シマアジ刺(600円)、カンパチ刺(600円)、マグロ刺(630円)などの本日の刺身類も並んでいますが、なんとなく生ホッピーのスッキリ感は刺身と合いそうにないので、まずはイイダコ串焼き(400円)をもらいましょうか。

イイダコは、1串に3個ずつ。それをじっくりと焼き台で焼いたものが2串。長方形のお皿にのって出てきました。砂糖しょう油の、とろりとした甘辛いタレがかけられています。ありゃりゃぁ。イイダコの卵が楽しみだったのですが、卵は入ってないようですねぇ。これは残念。

ホッピー(370円)をおかわりして、いよいよ満を持して鹿シチュー(600円)をいってみますか。

「はぁい。鹿シチューですね」と返事した店主。大鍋から1人前の鹿シチューを移して、温めます。待つことしばし。ちょっと大き目の深いスープ皿にたっぷりの鹿シチューが出てきました。鹿肉もたっぷりですが、ジャガイモもまるまる2個分がどかんとはいっていて、ボリュームもたっぷり。

シチューは、ボルシチと同じような、トマト酸っぱいスープ。そして、よく煮込まれた鹿肉は、まるで鯨の大和煮のように、口に入れるとほろりとくずれる食感です。

「この鹿は?」と店主にたずねてみたところ、「エゾシカです。去年の12月に、北海道の知り合いから、エゾシカのモモ肉を生のまま送ってもらいまして。なにしろ生だったので、刺身でたっぷりと楽しんだんです。その残りを冷凍しておいたものがこれなんです」という返事。なんとねぇ。居酒屋さんでエゾシカとは。しまったなぁ。去年の12月に来てみればよかったなぁ。

たっぷりのシチューに、ホッピー(370円)もさらにおかわりです。

この店のつまみは、冷やっこなどの250円クラスからはじまって、ポテトサラダ(420円)、トマトサラダ(470円)などなど、居酒屋の定番メニューがずらりとならびます。そのほかに、本日の刺身や、この鹿シチューのようなスペシャル品が500~650円ぐらいで10品ほどラインナップされているのです。定食物もあるので、夕食がわりに来る人も多いんでしょうね、きっと。

約1時間。生ホッピー3杯に、つまみを3品(お通し含む)いただいて、今日は2,310円。いやいや、このシーズンに鹿シチューが食べられるとは思いませんでした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月1日(日)の記録》

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店情報: 居酒屋「丸山(まるやま)」(阿佐ケ谷)

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  • 店名: 居酒屋「丸山」(まるやま)
  • 電話: 03-3339-4030
  • 住所: 167-0022 東京都杉並区下井草1-1-18-103
  • 営業: 17:00-03:00、水休
  • 場所: 中杉通りと早稲田通りの交差点から、中杉通りに沿って西武線鷺ノ宮駅方向へ徒歩30秒ほど。左手。
  • メモ: 生ホッピー(400円)の飲める店。店の表の看板に、本日のおすすめニューが書き出されるので、店に入る前におすすめの品がわかる。カウンター5席、テーブル18席。
    〔おつまみ〕冷奴250、セロリ250、冷やしトマト320、みそ胡320、板わさ260、お新香320、キムチ350、しらすおろし320、なめこおろし370、たらこおろし370、明太子おろし370、納豆おろし370、梅胡420、山芋千切410、山芋梅和へ490、きゅうり梅和へ580、月見370、月見納豆420、とろろ納豆370、キムチ納豆400、スタミナ奴530、山かけ600、山かけ納豆680、餃子390、からすみ490、エイヒレ580、松の実580、ソフトサラミ420。
    〔揚げ物〕鳥唐揚420、たこ唐揚420、川えび唐揚400、下足唐揚400、砂肝唐揚ポン酢450、ニンニク唐揚400、チーズ揚420、竹輪磯部チーズ揚420、コロッケ1個250、メンチカツ1個250、春巻420、納豆天ぷら490、揚げ出し豆腐490、揚げ出しなす490、ポテトフライ400。
    〔炒め物〕コーンバター400、鳥軟骨炒め450、厚揚みそ炒め500、なすみそ炒め500、豚生姜焼500、豚キムチ炒め530、レバニラ炒め550、肉野菜炒め650、焼うどん650、焼そば650、皿うどん680。
    〔お刺身〕仕入れにより黒板に記載。
    〔串焼き(1人前2本)〕焼鳥300、鳥皮300、砂肝300、つくね300、鳥ひざ軟骨360、手羽先360。
    〔酢の物〕わかめ酢300、きゅうり酢300、わかめぬた350、ねぎぬた350、まぐろぬた600。
    〔サラダ〕生野菜470、ワカメサラダ480、トマトサラダ480、オニオンサラダ480、コーンサラダ480、ポテトサラダ430。
    〔焼き物〕厚揚焼390、ししゃも390、うるめいわし390、さば塩焼400、なすピザ450、ポテトピザ450、ホッケ600、こまい一夜干し580、当たり目一夜干し600。
    〔お食事〕玉子丼690、肉丼690、親子丼(鳥肉)750、他人丼(豚肉)750、茶そば650、とろろ茶そば750、おにぎり(鮭・梅・たらこ・明太子・しらす・おかか)1個200、お茶漬け(鮭・梅・たらこ・明太子・のり)430、雑すい(納豆・梅・玉子・明太子・たらこ・鮭・しらす・鳥)540、みそ汁(わかめ・なめこ・豆腐)300。
    〔ハイボール〕角ハイボール390、コークハイ450、ジンジャーハイボール420、ジムビームハイボール390、ターキーハイボール480。
    〔サワー・酎ハイ〕生グレープフルーツサワー420、クエン酸サワー300、レモンサワー390、梅干しサワー400、アセロラサワー450、シークワーサーサワー450、塩みかんサワー400、ラムネサワー480、カルピスサワー480、南高梅酒サワー・ロック480、マンゴーサワー・ロック480、電気ブランロック490、酎ハイ270、ウーロンハイ390、玄米緑茶ハイ390、麦茶ハイ390、ジャスミン緑茶ハイ400、紅茶ハイ420、トマトハイ490、レッドアイ520、樽生ホッピー400。
    〔焼酎(ロック・水割・お湯割)〕いいちこ(麦25度)400、いいちこ深薫(麦25度)450、赤黒壱(紫芋25度)500。
    〔各種ボトル〕鏡月(甲類25度)1,900、いいちこ(麦25度)2,000、いいちこ深薫(麦25度)2,400、丸山(麦25度)2,000、黒壱(芋25度)2,000、赤黒壱(紫芋25度)2,500、サントリー角瓶3,200。
    〔生ビール〕ザ・プレミアム・モルツ(小)300・(中)520。
    〔瓶ビール(中瓶)〕アサヒスーパードライ520、サッポロラガー520。
    〔ワイン〕カルロロッシ(赤・白)300。
    〔日本酒〕あさ開(1合)350・(2合)690、あさ開本醸造(300ml瓶)780、各種地酒400より。
    〔ソフトドリンク(各300)〕ウーロン茶、麦茶、玄米緑茶、コーラ、ラムネ、カルピスソーダ、オレンジジュース、アセロラジュース、トマトジュース、カルピスウォーター。
    〔日替りの黒板メニュー(ある日の例)〕沖めばる刺身450、めじな刺身400、あじ刺身400、宮城産・生カキ酢450、ミミガー450、しゃけみそ漬け焼450、めかぶ山芋納豆400、ニラナムル(生卵のせ)450、わさび風味豆腐300、鳥ささみ串焼300など。(2016年3月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (02.07.05)(02.04.23)(02.04.14)

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持ち帰り専門。10貫500円! … すし「花すし(はなすし)」(阿佐ケ谷)

うちの近所に不思議な寿司屋があります。基本的には持ち帰り専門ですが、持ち帰りを待つためのカウンターで立ち食いすることもできる。

おどろくのはその値段で、1パック10貫で500円(もちろん税込み)なのです。

10貫の内容は、マグロ(インドマグロ)が5貫(トロが3貫に赤身が2貫)に、エビ、タイ(真鯛)、イカ(モンゴウイカ)、玉子、穴子が各1貫。何度かの変更をへて、最近はこの内容で安定してきているようです。

店は早稲田通りに面していて、アルミサッシの入口の店舗は、電光掲示の「持ち帰り寿司」の表示がなければ、とても寿司屋とは思えない。入口には、「1人前(10ケ)500円」と書かれた怪しげな張り紙まであるし、なんだかとってもうさんくさいのです。

そのアルミサッシの引き戸をガラリと開けて店内へ。店に入るとすぐに持ち帰り用のカウンターがあって、その奥が寿司の握り場兼、店主の生活の場(?)になっています。

店主は、たいていは握り場の奥にひとつ置かれたひとり用のソファーに座って、テレビを見ています。そして、お客さんが入ってくると、おもむろに「いらっしゃいませ」と腰をあげて、右手側にある水道で手を洗い、握り場にやってくるのです。

さっそく2人前をお願いします。

冬場は握り場のところにタネが置かれていることもあるのですが、さすがにこの季節は握り場下の冷蔵ケース内に置いていて、握る直前に出してきます。なにしろ、(よく言えば)オープンキッチンなので、やってることが良く見えるのです。

そして、この店主は話し好き。握りながら、たいていの場合は、この店のお寿司の自慢話を聞かせてくれるのです。(笑)

自慢のマグロは、インドマグロ。この値段でトロが3貫入ります。さらには赤身も2貫入って、マグロだけで1人前10貫の半分を占めるのです。なにしろ、東京地方ではマグロがとってもありがたがられますからねぇ。

そしてタイは活ジメの真鯛。「お客さん、活ジメってわかりますか?」と店主。「えぇ、なんとなく」とあいまいに答えると、「活きてる魚をスパッと締めて血抜きしたもので、市場でも上ものなんですよ」と説明してくれました。

「エビはね」と店主。「自分のところでゆでて作ってます。今どき、自分でゆでる寿司屋も少なくなってるんだけどね。サッとゆでてるから、いいエビの味が楽しめますよ。この玉子焼きもそう。自分で焼いてるんですよ」と、でっかい玉子焼きを取り出して、スイィ~ッと1人前を切り取ります。

こうやって、まずはタネの部分を10貫×2人前分、握り場の上に用意した上で、おもむろに握りはじめるのです。

「この米だってねぇ。魚沼産のコシヒカリで、5キロで5千円するものなんですよ。ワンコイン(500円玉のこと?)で出してるんで、変なものを使ってるように思ってる人もいるみたいだけど、全部いいのを選んでるんですよ」。

いつ来ても、だいたいこんなような会話をくりひろげながら、最後にパックに詰められた寿司が出てくるのでした。(笑)

子供といっしょに行ったりすると、「待ってる間にこれでもつまんどきな」なんて、1貫サービスで出してくれたりする、憎めない店主なのです。

はい、じゃ2人前で千円ね。「どうもありがとうございます」という声を背に受けながら、店をあとにしたのでした。実におもしろいお寿司屋さんです。でも、おいしいですよ!

店情報

《平成16(2004)年7月31日(土)の記録》

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店情報: すし「花すし(はなすし)」(阿佐ケ谷)

残念ながら「花すし」は平成16(2004)年12月30日をもって閉店いたしました。

  • 店名: 持ち帰り「花すし」
  • 電話: 03-3338-9870
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北4-25-13
  • 営業: 11:00-21:30、年中無休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅と、西武新宿線鷺ノ宮駅のちょうど中間あたり。どちらの駅からも徒歩約15分程度。中杉通りと早稲田通りの交差点近く。
  • メモ: 持ち帰り専門の寿司屋で1パック10貫が500円。他にカッパ巻、納豆巻、カンピョウ巻、鉄火巻、タクアン巻などの巻物(100円)が何種類かある。店内カウンターでの立ち食いも可。

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終わりのはずが、また「かめや」!? … そば「かめや」(新宿)

高速夜行バスに揺られること(台風10号接近中の中での移動でしたので、文字通り揺られました!)12時間。新宿バスターミナルに到着です。

思えば松山は、到着直後の「かめや」の肉うどんにはじまり、昨夜、出発直前の「かめや」のきつねうどんに終わりました。ところが! ここ新宿にも人気の「かめや」があるのです!

場所は、「つるかめ食堂」と同じ、新宿・思い出横丁の中。しかも、ちょうどどまん中の、横丁がカクンとクランクするところ。横丁を歩くと「天玉そば」と書かれた行灯看板が目に飛び込みます。

「そばは自家製麺のゆで立て。天ぷらは揚げ立て」というのがこの店のセールスポイントで、24時間営業ということもあって、昼夜はもちろんのこと、平日の朝から朝食がわりにそばを食べる人たちでにぎわうお店なのです。

半熟卵が入った人気の天玉そば(370円)を食べようかと思ったのですが、なんと小銭が350円しかない。あとは1万円札だけです。こんな朝っぱらから1万円をくずすのもなぁ。松山の「かめや」と違って、こっちの「かめや」はしょっちゅう来れるので、今日は天ぷらそば(320円)にしときますか。

「はいよっ。天ぷらそばね」と2人いる店員さんの1人から、元気のいい返事が返ってきます。もう1人は、次々と天ぷらを揚げている最中で、続々と天ぷらが揚げあがっていきます。

まずは大きな丸皿にのせられている何玉かの麺のひとつを深ザルに入れて、湯であっためたうえで、湯切り。天ぷらを1枚と、刻みネギをのせたら、ダシをそそいでできあがりです。

あぁ。うまい。四国の、ドンブリの底まで見えそうな薄いダシのうどんもうまいですが、この、1センチ先も見えないぐらい色濃いダシのそばもいいですよねぇ。天ぷらも、しっかりと野菜の味が味わえるし。

私のあとからも、何人かのお客さんが来て、大皿の上の麺も少なくなってきました。すると、奥の木箱に並べられた生麺を何個か取り出して、鍋の中に投入です。こうして、必要に応じて何玉かずつ麺をゆでて、それを大皿の上に並べてスタンバイしてるんですね。

「お客さんが来て」と書きましたが、この店は、店の外と内の境目がはっきりしていなくて、L字型のカウンターの外に7つだけならんだ椅子に腰掛ければ、その人がお客さん。しかし、その椅子のすぐうしろは、思い出横丁の通りそのもので、どんどん人が行き来してるのです。

私自身はこの店しか知らないのですが、実はこの「かめや」もチェーン展開しているらしいのです。ここ新宿思い出横丁が本店で、あとは神田に2軒、新橋に2軒など、全部で7店舗あるそうですよ。他もみんな、似たような感じなのかなぁ。

やぁ、うまかった。どうもごちそうさま。

店情報

《平成16(2004)年7月31日(土)の記録》

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店情報: そば「かめや」(新宿)

  • 店名: そば・うどん「かめや」
  • 電話: 03-3344-3820
  • 住所: 160-0023 東京都新宿区西新宿1-2-10
  • 営業: 24時間営業(土は ~03:00)、日休(祝は営業)
  • 場所: 新宿駅西口の思い出横丁の中。
  • メモ: 「元祖 天ぷら・温泉玉子そば」の店。そばは打ちたて、ゆでたて。天ぷらは揚げたてがモットー。かけ、もり(各230円)、たぬき、玉子(各280円)、とろろ昆布、わかめ、きつね(各290円)、ざる(300円)、天ぷら、天もり(各320円)、天玉、天玉せいろ、冷やしたぬき、冷やしきつね、冷やし天玉そば(各370円)。玉子(温泉玉子)50円。大盛りは各100円増し。

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はじまりも終わりも … うどん「かめや」(松山)

おでんの「いこい」をあとに、高速バス乗り場に到着したのは、午後6時50分。バスの出発は7時10分なので、最後にもう1杯うどんをいただいて帰りますか。こちらに着いたときにも行った「かめや」に再訪です。

おりょ。前回着たときには気づかなかったけど、「今週のうどん」なんて張り紙がある。「今週のうどん」に指定されたうどんは、通常よりも50円引きになるのだそうで、今週の「今週のうどん」はきつねうどん(普段350円が、今週は300円)です。じゃ、そのきつねうどんをくださいな。

ところで、松山でうどんといえば有名なのが、鍋焼きうどんの「アサヒ」と「ことり」。どちらの店も、うどんメニューは鍋焼きうどんしかない。したがって、客も席に座って、いなり寿司を追加するかどうかを注文するだけなのです。

実は先日もバー「露口」で、この2店が話題にりました。他所(よそ)から来たお客さんに、松山のうどんのことを聞かれたのに対して、朝子ママがこの2店の話をしたのでした。場所的も、メニューも、そして味も(さらには定休日や営業時間までも!)非常に近い2軒ながら、松山の人たちの間ではきっちりと人気が二分されているのだそうで、アサヒ派の人たちと、ことり派の人たちがいるんだそうです。「私はどっちかというとことり派かな」と朝子ママ。

これら2店にも行ってみたかったのですが、なにしろどちらも午後6時までの営業なので、なかなか時間が合わないのでした。

  • 店名: 鍋焼きうどん「アサヒ」
    • 電話: 089-921-6470
    • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-10-11
    • 営業: 10:00-18:00、水休
    • メモ: アルミ鍋で出される鍋焼きうどん430円、鍋焼きうどん玉子入り480円、いなり(2個)180円が全メニュー。昭和22(1947)年創業。支払いはうどんが出たとき払い(キャッシュ・オン・デリバリー)。

  • 店名: 鍋焼きうどん「ことり」
    • 電話: 089-921-3003
    • 住所: 790-0012 愛媛県松山市湊町3-7-2
    • 営業: 10:00-18:00、水休
    • メモ: アルミ鍋で出される鍋焼きうどん430円、いなり(2個)220円が全メニュー。こういうメニューなので、注文するのは「いなり寿司」をたのむときだけ。昭和24(1949)年創業。支払いはうどんが出たとき払い(キャッシュ・オン・デリバリー)。映画「がんばっていきまっしょい」にも出た店。

昔は人気絶頂だった、ここ「かめや」も、今はそれほどでもない様子。なんでかなぁと思っていたら、なんと全国展開中の「はなまるうどん」が松山市内にも展開していて、たとえばこのすぐ近くだけでも銀天街店、大街道店という2店があるのです。

「かめや」も安くてそこそこのうどんが食べられるのが魅力だったのですが、「はなまるうどん」はそれよりも安いですからねぇ! たとえば「かめや」の(素)うどんが300円なのに対して、「はなまる」のほうは中サイズで210円。小サイズなら105円なのですから!

タネものになると、たとえば肉うどんだと「かめや」が400円、「はなまる」(中サイズ)が504円と、「かめや」のほうが安いものもあるんですけどねぇ。

いずれにせよ、うどんの世界も、居酒屋の世界同様に、地元で昔からやっていたお店のお客さんを、全国展開の大規模チェーン店がうばっていっているようです。経営効率がいいので安くなったり、ある程度のサービスレベルが確保されるという点ではいいかもしれないのですが、その土地その土地の特徴などがじょじょになくなっていくのが寂しいですね。

お。7時だ。さぁ、バスに乗りますか。どうもごちそうさま。

当初の予定であれば、ちょうど今の時間(午後7時)から、旧友たちと二番町の割烹「志季(しき)」に集まって、瀬戸内の夏の魚“アコ”などをつつきながら楽しむ予定だったのに、実に残念です。幹事役としてみんなを集めてくれたTさん、そして集まってくれたみんな、ごめんね。次回はぜひ!

本当に台風は来てんのかなぁ、なんて感じで乗りこんだ高速夜行バスでしたが、東へ向かうにつれて風が強くなってきて、瀬戸大橋(児島-坂出ルート)の上では大きなバスが(大きなバスだから!?)ゆらりゆらりと煽られるほど。

後日談にはなりますが、翌朝には瀬戸大橋が通行止めになったので、この夜のうちに東京に向かったのは、結果としては大正解だったのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月30日(金)の記録》

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エビマヨとホウタレイワシ … おでん「いこい」(松山)

台風10号が、あろうことか東から近づいてきてるのです。台風といえば、南西からやってきて北東に進むもの。ずっと昔からそう思い込んでいたのに、まさか東京のほうから四国に台風が近づいて来ようとは!

現在すでに太平洋上を紀伊半島に向かって、歩くぐらいのゆっくりとしたスピードで進みつつあり、明日の午後にはこのあたり(松山付近)にやってきそうです。本当は明日の夜行バスで帰る予定だったのですが、急きょ予定を変更して今日の夜東京に向かうことにしました。

今日は金曜日なので、旧友たちが何人か集まってくれる予定だったのに残念です。

発行済のチケットは、現地窓口でないと変更ができないということで、早めの夕方にバス乗り場に出かけ、今夕出発の夜行バスに変更します。今日も松山はカンカン照り。ものすごく暑い1日です。本当に台風は近づいてるのかなぁ。

無事にチケットが変更できたあとは、午後7時過ぎの出発時刻までに腹ごしらえです。新宿思い出横丁の大衆食堂「つるかめ」で腹ごしらえをして、東京を出発したのがつい昨日のようです。さあて、今日はと。そうだ。先日お腹がいっぱいで、あまり食べることができなかった「いこい」にもう一度行っときましょうかね。

時刻は5時ジャスト。ぴったり開店時刻です。のれんをくぐり「こんにちは」と店内に入ると、店内はまだゆったりと開店準備中の様子です。おでん鍋の中のタネをちょいちょいとつつきながら、「いらっしゃいませ」と女将さんの笑顔に迎えられます。にっこりふくよかな女将さんは75~6才になったのではないでしょうか。いつも笑顔のイメージです。

先客はだれもいなくて、私が第1号です。東京あたりだと、開店を待ちわびるように呑んべが集まってくるのですが、ここはそこまでの出足はないんですね。住宅街じゃないからなぁ、この辺は。

カウンターのまんなか、ちょうどおでん鍋の前あたりに陣取ったところ、「そこは熱いよ。ふた~つぐらい入り口側に寄ったほうが涼しいかもしれん」と女将さん。そうかそうか。おでん鍋のまわりは熱いんだ。

女将さんのすすめにしたがって、少し入り口側にずれて、まずは生ビールを注文します。キリンのほうをくださいな。生ビールはアサヒとキリンが選べるのです。

ゴクゴクっと、ジョッキの3分の1ぐらいを一気に飲んで、ひと息つきます。バス乗り場の松山市駅前から、ここ二番町の「いこい」までは歩いて15分ほど。夕方5時とはいえ、まだまだ相当暑くて、汗をかきかきここまでたどりついたのでした。

「メニューがまだ昨日のままやからちょっと待ってね。おでんはもう全部できとるよ」と女将さん。「もうちょっと汗がひいてからたのむね」と私。おでん以外のメニューはカウンター内の壁、中央付近にある黒板に書き出されるのです。

小上がりの机を拭いたりしていたおねえさんたちもカウンターのほうに集結してきました。なるほど。若いおねえさんたちが3人と、それよりは年上のおねえさん(もちろん女将さんよりは若い)がひとり。若い3人はアルバイトのようです。

私のほうも、生ビールを3分の2ぐらい飲むころには暑さも落ちついてきて、まずは目の前のおでん鍋の一番近いところにあるジャコ天をもらうことにしました。「このジャコ天は八幡浜のよ。こっちが宇和島」。へぇ。ジャコ天も2種類あるんだ。じゃ、両方入れて。

八幡浜のほうは色が濃くて、1枚のジャコ天を1.5センチぐらいの幅にスライスして、串に刺してあります。いっぽう宇和島のは白っぽい色で、小判型に近い四角形。こちらはスライスしないで、1枚まるごとです。プリッとした身のおいしさの八幡浜のジャコ天、そして砕けた小骨の歯応えも心地よい宇和島のジャコ天。どっちもそれぞれにうまいですねぇ。カラシ味噌ともよく合います。

さあ、今日のメニューもできあがったようです。「マリちゃん、書いてくれる」と女将さん。マリちゃんがやってきて、黒板に書きはじめます。「マリちゃんは背が高いから、そのまま書けるんよ」。なるほど。それがマリちゃんが呼ばれた理由でしたか。たしかに黒板は少し高いところにあって、身長が低い人だと書きにくそうです。

じゃ、メニューの中からエビマヨをお願いします。「は~い。エビマヨ通しといて」と、女将さんが奥の厨房に向かって注文を通します。何人かの男性が奥の厨房で働いている様子が、ときどきかいま見えます。

そこへ、サラリーマンらしき背広姿の男性客が入ってきます。「あとでもうひとり来るけんの」といいながらカウンターの奥のほうへ陣取り、生ビールを注文します。「豆腐もらおかぁ」とお客さん。そう、このおでんの豆腐がうまいんですよね。私にも豆腐ください。

豆腐は、アルバイトのおねえさんが用意してくれます。おでん鍋から、少し深めのお皿に豆腐を移し、その上にカツオ節と刻みネギをたっぷりとのせ、おでんのダシをかけて完成です。こう書くと簡単そうですが、実は豆腐がトロンととろけるほどやわらかいので、それをくずさずに取るのがものすごく大変。女将さんが横で見ながら、気をつけなければいけないポイントを伝授しながらの作業なのです。

あぁ、うまいっ。この豆腐は、本当にうまいですよねぇ。女将さんによると、さすがに冬のほうが人気があるとのことですが、おでん鍋の中にも豆腐がずらりとスタンバイされているところをみると、夏でもかなりの数は出る品なんですね。

新しい男性客がふたり続けて入ってきました。ひとりは先ほどのお客さんの同僚のようで、そのとなりに座ります。もうひとりはちょっと年配のお客さんで「3人になるけど、あとは○○さんと、××さんよ。」「そしたら、奥の小部屋にする」。どうやら3人とも常連さんのようです。「そろうまで、ここで飲みよったら」と女将さん。「そうしょうわい」と、私のすぐ近くに座り、生ビールの小ジョッキ(アサヒ)を注文します。

女将さんに「前に、大学院にいってる女の子がいましたよねぇ」と聞いてみます。「あぁ。あの娘(こ)は神戸の大学院におって、同じ学生のご主人と結婚したらしいから、学生、奥さん、アルバイトの三役よ。がんばるねぇ。郷里(くに)に帰って先生になるんやて」。へぇ。そうだったんだ。

「今の娘(こ)らは、みんな地元の娘よ。ユカちゃんは宇和島の南の方。もうひとりのユカちゃん、ほんとうはユカリちゃんなんやけど、この娘は松山。ご両親は八幡浜じゃけどね」と女将さん。え。こっちもユカちゃんで、こっちもユカちゃん!? ふたりがこっちを向いてニコッとほほ笑みます。「最初は、別の曜日に来てたから、ま、いいかと思とったんじゃけどね。いつの間にか一緒の曜日になって、ユカちゃん同士になったのよ」。

「ええ娘(こ)ばっかりよ、ここの娘は」。私の横で生ビールを飲んでいる年配のおじさんから合いの手が入ります。「今の時代には珍しいぐらいええ娘らじゃ。ママさんの教育がしっかりしとるけんのぉ」と感心しています。そうかぁ。横浜の「武蔵屋」と同じ感じなんですね、この店も。

「エビマヨ、お待たせぇ」と、エビマヨが出てきました。なんと。注文したときの私のイメージとしては、ゆでたエビをマヨネーズで合えた、洋風にかっこよく言えばシュリンプ・カクテル風のものが出てくるのかと思っていたのですが、さにあらず。これは、フリッターと言うんでしょうか。裸の小さいエビを、ひとつひとつうす~く衣がついた天ぷら風に揚げて、その揚げたての熱々に、ちょっとやわらかめのマヨネーズがかけられている。その熱いのをホフホフとほおばります。うまいなぁ、これも。てっぺんには、彩(いろど)りのためかオクラのフリッターもひとつ添えられています。

ここはひとつ酎ハイをもらいましょうか。普通、酎ハイというと甲類焼酎で作ることが多いのですが、ここのはなんと「いいちこ」(乙類、麦焼酎)の酎ハイです。エビマヨともよく合いますね。

となりのおじさんが、おでんのジャガイモを注文したのですが、そのジャガイモのホクホクとでかいこと! なんだか、見るおでん見るおでんのすべてがおいしそうですねぇ。

しかし、もう6時を回っているので、そろそろ個人的にラストオーダーかな。最後は、なにしろ瀬戸内なので、ホウタレイワシの刺身をもらいましょうか。ホウタレイワシというのは、カタクチイワシのことなのですが、「頬(ほお)がたれるほどうまい」ので、この辺ではホウタレイワシと呼んでいるのです。

待つことしばし。長方形の刺身皿に5~6切れ(1尾が1切れなので5~6尾分)の輝く刺身が出てきました。「ごめんねぇ。新鮮すぎて、骨がうまくとれんのよ」とおねえさん。ほんと。身の回りに小骨が少~し残っている。しかし、もともとが小魚なので、大丈夫ですよ。横に沿えられているスダチ(徳島原産の小さい酢みかん)をちょいと絞って、しょうが醤油をちょいとつけて。…。おぉぉぉ。なんちゅう旨さよ。小さいのに、いっちょまえに脂がのって! ホントに頬がたれそう!

「美味しいですねぇ、この刺身は!」「ホウタレの酢漬けもあるけと、食べてみる?」「食べる食べる」「酸っぱいから、ちょっとだけにしとこうね」と、女将さんが小皿に2切れ(=2尾)のホウタレ酢漬けを入れてくれます。へぇ。見た目の輝き具合は岡山のママカリに似てるんだけど、表面の酢の部分がうっすらと濁っていて、いかにも脂たっぷりといった感じ。ど~れ。はぁぁ。これもまた酸っぱ旨いですねぇ!

本当は、日本酒をもらいたいところだけど、残念ながら時間がない。夜行バスは7時過ぎの出発だから、そろそろバス乗り場に向かいますか。どうもごちそうさま。1時間半の滞在で、今日は2,800円。女将さんの、あったかい笑顔に見送られながら、店をあとにしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月30日(金)の記録》

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やきとり天国 … 焼き鳥「世渡(せと)」(今治)

わが生家から、JR予讃線で南西に向かうと松山に。それと同じくらい北東に向かうと今治に出ます。この今治が、知らぬ間に「やきとり」シティになっているのです。

火付け役は愛媛県今治市在住の土井中照氏。その著書「やきとり天国」(平成11年4月1日発刊)の中で、「今治市が焼鳥日本一である」ということを述べて以来、こういう状況になってきたようなのです。この図書の内容は、土井中照氏のホームページ「モンドえひめ」の一部である、「やきとり天国」上にも公開されていますので、興味ある人は見てみてください。

今治の焼き鳥の特徴は「鉄板で焼く」ことと「センザンギ」と「生キャベツ」。

一般的に焼き鳥というと、「紀州備長炭使用」なんてことが看板に出てたりするぐらい「炭火焼」の店が多いものですが、今治の焼き鳥は「鉄板で焼く」のです。鉄板の上に串刺しの焼き鳥などを置いて、上からプレスという重しで押さえて焼く。これが、今治の焼き鳥なのです。今治の人はせっかちなので、注文したものがすぐに焼きあがるように、こういう焼き方を考え出したのだそうです。

次に「センザンギ」。これは鶏の唐揚げのことです。土井中氏は、中国語で骨付鶏の唐揚げのことを示す「軟炸鶏(エンザーチ)」が転じて「センザンギ」になったのではないかと推測されています。

そして「生キャベツ」。大阪の立ち飲み串カツ屋さんで、おかわりし放題の生キャベツが出てくるそうですが、今治の焼き鳥屋さんでの「生キャベツ」も同様らしいのです。

この3点が守られていることが、「今治の焼き鳥」の条件であると言えそうですね。

件の「やきとり天国」によりますと、今治に現在のような鉄板焼き鳥の店が誕生したのは昭和36(1961)年のことなのだそうです。センザンギのほうは、戦後すぐからあったらしいので、「鉄板で焼く」というほうがあとからできたんですね。この「鉄板で焼く」をはじめたのが「五味鳥(ごみどり)」(0898-32-3753、今治市旭町1-5-20、17:00-23:00、日休)です。

当時、「五味鳥」の前には人の列がとぎれることがなく、その人気に刺激されて、続々と鉄板焼鳥屋が誕生したそうです。それらの各店が研鑽を重ね、昭和40年代には「五味鳥」「無味」「八味鳥」「鳥林」が、焼鳥四天王と称されたのだそうです。それぞれ「甘くてうまい」「むつこくうまい」「上品でうまい」「深くてうまい」という特徴があるそうです。これらのうち、「無味」はもう今治に店がないそうで、「世渡(せと)」がその味を継承しているとのことです。

  • 「八味鳥」(0898-22-1127、今治市常盤町4-3-23)
  • 「鳥林(とりばやし)」(0898-32-1262、今治市南大門町1-6-21、17:00-22:00、木休)

さて、どこに行ってみようかとやや迷ったのですが、「鳥林」は残念ながら、今日木曜日は定休日。両親も一緒に行く予定なので、店内がきれいといううわさの高い「世渡」にしてみましょうか。

「世渡」に到着したのは、開店時刻の午後5時をちょっと回ったころ。正面に駐車場まである店は焼き鳥屋さんというよりは、ちょっとした料理屋さんのよう。のれんをくぐり、入口引き戸を開けます。

「いらっしゃいませ」。正面右手のカウンターの中にいる店主らしき男性から声がかかります。「3人ですけど」「お好きなところへどうぞ」。

右手に回ると、カウンターの後ろ側にテーブル席と、小上がり席がそれぞれひとつずつあったので、その小上がり席に陣取ります。6人ぐらいは座れるところに3人なので、とってもゆったりですね。

店内は、入口を入って左手側に行くと、個室風の座敷席が何個かある造りになっていて、かなり大勢入れそうです。

まずはビール(キリンラガー、大ビン、600円)をもらって乾杯し、ちびちびと飲みながら、なにを注文するか選びます。

鉄板焼きの焼き鳥の中でも、特におすすめなのが「皮焼き」(350円)らしいので、これははずせませんね。2人前ぐらいもらっときましょうか。すると、店主が「皮だけはぜひ1人前ずつ食べてみてください」とのことで、3人前もらうことにしました。「焼き鳥は、それぞれ3本が1人前ですから」と店主。じゃ、「キモ焼」(300円)2人前と「砂ズリ」(300円)1人前をお願いします。それと、「センザンギ」(4個1人前で400円)も2人前ね。

すぐに出てきたのは「皮焼き」です。鉄板の上で、肉もついた皮の部分を焼いて、上からプレスで押さえつけるので、余分な脂が抜けています。「キャベツもこのタレにつけて食べてください」と、小鉢に盛られたキャベツが各人に出てきます。皮自体は塩焼きなのですが、お皿には甘いタレがたっぷり入っていて、それをつけて食べるのです。

「砂ズリ」は、砂肝のことですが、1串に3個刺さっている中で、砂肝は両側の2個。中間の1個は、なんと心臓(鶏ハツ)です。これは塩焼きでとってもいい味です。鉄板がやや傾いているのか、焼いているときに出た脂は流れ落ちるようなのです。

「キモ焼」も塩焼き。これはちょっと、いかにも鶏のキモという味でした。最近、都内の焼き鳥屋などでも地鶏をあつかうお店が増えています。地鶏を、鉄板焼き鳥にすると、とってもおいしいのではないかと思いました。

6時が近くなると、店主の奥さんや、手伝っているらしいアルバイトの男子学生もやってきます。お客さんも、ひとり客、ふたり客と入ってきて、カウンターでやっぱり「皮焼き」から食べ始めます。

われわれもビールを1本追加し、燗酒(1合、400円)をひとつもらいます。燗酒は、今治の地酒「山丹正宗(やまたんまさむね)」の普通酒です。

「センザンギ」が来ました。ほぼ同じぐらいの大きさの唐揚げがずらりと並んでいます。骨はあったりなかったり。

注文はいっぺんにしているのですが、カウンターの中の店主が、われわれの食べるスピードを見ながら、前のを食べ終わると、次のが出てくるというように出してくれているのです。焼き鳥や唐揚げは、熱々の状態をいただきたいので、この心配りはとてもありがたいですね。

「センザンギ」がなくなりかけたところで、店主のおすすめにしたがって「ピーマン」(3個1人前、300円)を2人前追加しましょうか。このピーマンはつくねを中に詰めて、いわゆる肉詰め焼き状態になっているのだそうです。

このほか、注文していないけど気になったつまみは、「せせり焼」(くびの肉、350円)、「鳥酢」(300円)、「チキンステーキ」(450円)などなど。でも今度は、四天王のほかのお店にも行ってみたいですね。

午後7時前まで、約1時間半の滞在で、3人で5,550円でした。

店情報

《平成16(2004)年7月29日(木)の記録》

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店情報: 焼き鳥「世渡(せと)」(今治)

  • 店名: やきとりの店「世渡」(せと)
  • 電話: 0898-31-1614
  • 住所: 794-0037 愛媛県今治市黄金町1-5-20
  • 営業: 17:00-23:00(22:30LO)、月休
  • 場所: JR予讃線今治駅から徒歩10分
  • メモ: 皮焼(350円)、センザンギ(4個1人前で400円)、せせり焼、手羽先(各3本1人前で350円)、とり酢、白身焼、キモ焼、砂ズリ、ピーマン焼(各3本1人前で300円)、玉ねぎ焼(280円)、モモ焼(700円)、鳥天、チキンステーキ(各450円)、山かけ豆腐(380円)など。ビール(大)(600円)、生ビール(大)(800円)、(中)(550円)、お酒(400円)、チューハイ(450円)。焼にぎり(170円)、めし(200円)、茶漬け(400円)。

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三夜連続! … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

三夜連続となるバー「露口」です。午後11時の店内は7割がたぐらいの入り。空いていた奥から3番目、4番目あたりに陣取ります。初日と同じ場所ですね。

友人は例によってスティンガー。私はハイボールでスタートです。

一番奥に座っている人は、大手家電メーカーの松山支所長さん。インターネットでこの店を知って来てみたのだそうです。プリントアウトした記事も見せてもらったのですが、なんと、「吉村喜彦のトリスバー探訪」にここ「露口」が載ったんですね。7月26日に載ったばかりなので、まだ二日ぐらいしかたっていない。よく見つけましたねぇ。

その支所長さんは、仕事柄ということもあるのでしょうが、店内一番奥の天井にぶらさがっているJBLのスピーカーにとっても興味があるようです。「ツイーター(高音を出す部分)が分かれてるのが珍しいなぁ」。へぇ、そうなんだ。

支所長さんの飲んでいるカクテルは「ラスティーネール(Rusty Nail)」。スコッチと、ドランブイという蜂蜜と薬草系の甘いリキュールを混ぜたカクテルで、労働者に好まれて飲まれるのだといいます。「ラスティーネール」というのは「錆びた釘」という意味。色合いがそんな風に見えるからかなぁ。

日本でも「直し(なおし)」とか「柳蔭(やなぎかげ)」といって、焼酎を味醂(みりん)で割って(場合によっては蜂蜜や氷砂糖なども加えて)冷やしたものを暑気払いで飲んだりしてたらしいので、洋の東西を問わず、甘いお酒は労働者に人気なんですね。

今日は約1時間であっさり目に飲んで、ふたりで2千円。閉店時刻を過ぎても、まだまだ毎日やってきている常連さんたちでにぎわいの続く店をあとにしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月28日(水)の記録》

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地酒でいただく地の魚 … 居酒屋「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」(北条)

楽しい夏休みも、もう週半ば。水曜日になってしまいました。仕事のときも、1週間、1週間が飛ぶように流れさりますが、休みのときも速いですねぇ。仕事のときは、1日1日がとっても速い感じ。休みのときは1日1日はけっこうのんびりゆったりなのですが、振り返ってみると「もうこんなに経っちゃったか」という感じです。

「今日は近場に行ってみよう」と、友人と連れ立って出かけた先は、「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」という居酒屋です。

「こんばんは」と店に入ると、店の人はもとより、店に来ているお客さんたちから、友人に声がかかります。なにしろ小さな町なので、この町で暮らしている友人は、どこへ行っても知り合いばかりなのです。

店内は、左手に直線のカウンター席、まんなかにまるで中の島のような小上がり席があり、さらに右手にも小上がりの座敷があります。われわれは入口のすぐ左手、カウンター席の一番手前に陣取ります。

ここはちょうどおでん鍋の前。ここ松山・北条界隈に限らず、四国地方のうどん屋さんや食堂、そしてもちろん居酒屋にはおでんを置いてあるところが多いのです。われわれも「生ビール2つね」とビールをたのみ、まずはおでんでスタートします。「玉子とぉ、チクワとぉ…」と思い思いに注文。夏でもおでんは人気ものです。

この店の名、「富屋勧商場」というのは、早坂暁の私ドラマ(?)「花へんろ」に出てくる商店の名前です。「勧商場」というのは「百貨店」のこと。元々は普通の商店だった「富屋」さんが、大正15(1926)年に木造建築3階建ての、今でいう百貨店に建て替えるのにあたって付けた名前が「富屋勧商場」。実際に、この場所に存在していたお店の名前なのだそうです。

私が子どものときには、ここにこんなお店はなかったような気がするのです。子どもだから、お酒を飲む場所が目に入らなかっただけなのかなぁ。もしかすると、これがいわゆる「バカの壁」?

せっかくの北条なので、魚を食べようよ。イカ好きの友人は、まず「みずいか糸造り」(700円)を注文。そんならオイラは「たこぶつ」(500円)だい。夏場の瀬戸内のタコは、毎日食べても食べ飽きないんだから。あとはぁ。「青ぎぞ活造り」(700円)と「どんこ活造り」(600円)! どうです! こんなの食べたことないでしょ!?

なにしろ、私自身「青ぎぞ」や「どんこ」を刺身で、それも活造りでなんて、生まれてこのかた食べたことがありません。

子どものころ、この辺の海岸で釣りをするとあがってくるのが、このギゾやドンコ。あ。もうひとついた。カラコギという、赤い小さい毒をもった魚です。あんまり「食べたい」って魚じゃなかったし、食べなかったよなぁ…。

まず出てきたのはミズイカとタコです。ミズイカの正式名称はアオリイカ。「イカの中で一番おいしい」という人も多いイカで、うまみ、甘みが味わえます。

そして青ギゾとドンコ。活造りというだけあって、どちらもまだピクピクと動いています。青ギゾの正式名称は、ベラ科のキュウセンです。メスは赤色、オスが青色で、このオスのほうが青ギゾと呼ばれます。実にサッパリとした刺身ですねぇ、これは。感覚的には、小さいヤガラの刺身に似てるかなぁ。ドンコはハゼ科の魚。これもほとんどクセのない白身です。

お酒も、地元の「雪雀(ゆきすずめ)」に切りかえます。

向こうの男女ふたり連れがつついている「にし貝刺身」(800円)もおいしそうです。

この北条という土地は、昔は愛媛県風早郡(かざはやぐん)北条村から、明治30年に愛媛県温泉郡(おんせんぐん)北条村に編成替えとなり、昭和33年の市制施行により、現在の愛媛県北条市になりました。来年度には松山市との合併により、愛媛県松山市北条になるのだそうです。時代の流れとはいえ、風早という名前がなくなり、北条も市でなくなってしまうということには一抹の淋しさを感じますね。昨日乗ったタクシーの運転手さんは、「この北条の白い砂浜が松山市の一部になると思うと、うれしいですねぇ」と話してましたが…。

愛媛といえば、高校野球の盛んな土地。私も昼間は親父といっしょにビールを飲みながら高校野球を見て過ごしていたのですが、昨日、(愛媛県大会の)決勝戦も終わってしまいました。一昨日の準決勝が「済美(10) VS 宇和島東(0)」と「新田(7) VS 松山商業(0)」。そして昨日の決勝が「済美(4) VS 新田(2)」(それぞれカッコ内は得点数)と、どの学校が代表になっても知名度が高い中、春の選抜大会優勝校である済美高校がみごとに代表の座についたのでした。

済美の上甲監督が、もともと宇和島東の監督として選抜で優勝していたり、新田の監督が、松山商業出身であったりするところも、なにやら因縁めいておもしろいですね。それにしても、準決勝がそれぞれ10対0、7対0と、古豪・宇和島東、松山商業をそれぞれコールドゲームで打ち負かしての決勝ですからねぇ。私立高校同士の決勝戦は、愛媛大会はじまって以来、はじめてのことだそうです。

済美高校は、私が高校生だったときは女子校だったのです。というか、明治34(1901)年にその前身である「松山裁縫傳習所」を開設以来、平成14(2002)年に共学に移行するまで、100年間の間、ズゥ~ッと女子校。だから今年度になって、やっと男子の3年生ができたところなんですね。それなのに春の選抜に優勝したり、夏の代表校に登りつめたりできるというのもすごいですよねぇ。

そんな地元話で盛り上がりつつも、「さぁ、今夜もちょっと露口をのぞいとこうか」という話がまとまり、席を立ちます。お勘定は2人で6,000円。ちょうど1時間の滞在でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月28日(水)の記録》

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店情報: 居酒屋「富屋勧商場(とみやかんしょうば)」(北条)

  • 店名: 居酒屋「富屋勧商場」(とみやかんしょうば)
  • 電話: 089-993-3522
  • 住所: 799-2430 愛媛県松山市北条辻1387
  • 営業: 17:30-24:00(23:30LO)、月休
  • 場所: JR予讃線・伊予北条駅から徒歩約10分。
  • メモ: 「花へんろ」(早坂暁著)の舞台となった店を、居酒屋として復刻。
  • HTML版(2003年以前): (99.07.27)

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ブランデーづくし … バー「露口(つゆぐち)」(松山)

おでんの「いこい」をあとに、昨日に引き続いて、またまた「露口」です。

「あらあら。いらっしゃいませ」と笑顔で迎えられた店内は5~6割の入りというところでしょうか。ちょうど9時を回ったところなので、最初のお客さんが一段落したのかな。先客のみなさんは、どういうわけだか手前のほうにかたまって座っているので、一番奥に陣取ります。奥にグループ客でもいたのが、一片に抜けちゃったのかな。

昨日は友人が右で、私が左だったのですが、今日は並びも変えて、私が右(カウンターの一番奥)で、友人が左です。友人は座るなりスティンガー(Stinger)を注文。じゃ、私もスティンガーをお願いします。

カウンターの入口側に座ってる6~7人のお客さんのうち、半分ぐらいは昨夜もお見かけした顔です。この店もご多分にもれず、二日とあけずやってくる常連さんたちがいるんですねぇ。

カンパ~イ。あれ? スティンガーの味が変わった?「今日はブランデーがマーテルです」とのこと。へぇ。こんなにあきらかに味が変わるんですねぇ。ちなみに、昨日のはサントリーのVSOPだったのだそうです。

一番入口側に陣取って、ときどき写真を撮ったりしている男女ふたり連れは、雑誌の取材の方なのだそうです。なるほど、雑誌の取材はこうやって普通のお客さんたちの中に混ざってできちゃうんですね。あ。そういえば、「全国居酒屋紀行」だって、テレビなんだけど、太田和彦さんがお客さんたちの中に混ざって飲んでるか。そのほうが臨場感があっていいんでしょうねぇ。見てるほうもおもしろいし。(雑誌はたしか「西の旅」だったと思います。9月の発売だそうです。)

友人は早々と1杯目のスティンガーを飲み終えて、2杯目には先ほどのマーテルを使ったブランデーのハイボールをもらっています。私も、今日はブランデーにするかな。じゃあ、スティンガーなんだけど、ミントを普通のグリーンミントに変えてもらって、それをロックスタイルでください。「はい。そのカクテルは、デビル(Devil)と言うんですよ。よくご存知ですね」と店主(マスター)。おぉ。すごい。あまり知ったかぶりして「デビルをロックで」なんて注文するのも恥ずかしいので、ちょっとまわりくどい注文の仕方をしちゃったのですが、それを聞いただけでカクテルの銘柄もサッとわかるんですね。さすがです。

2杯目を飲み終えた友人が、3杯目として選んだカクテルはブランデー・コリンズ(Brandy Collins)。これは、ブランデーにレモンジュースと砂糖をちょっと入れて、あとはソーダです。酔ってくると、ミントやレモンが心地いいんですよね。

マーテルのデビルは、どす緑色(!?)が一段と強くて、本当に「デビル」って感じですね。ロックスタイルにしてもらってるから、まだやわらかいですが、普通のショートスタイル(三角のカクテルグラスに入れてもらう形)で出してもらってたら、きっと強烈な色だったでしょう。

それじゃあ、私も3杯目はレモン系でいくかな。「サイドカー(Side-Car)」をお願いします。

友人はここで「バラライカ(Balalaika)」です。ブランデーからはいったん離れたものの、見事に私のサイドカーと連携をとってるところがおもしろい。サイドカーとバラライカは、ベースがブランデーからウォッカにかわっただけの兄弟カクテルなのです。このシリーズは兄弟が多くて、ベースがテキーラだと「マルガリータ(Margarita)」、ジンだと「ホワイトレディ(White Lady)」などなど。甘酸っぱい冷たさが、このシリーズの特徴ですね。

ずぅ~っとポップコーンだけだったつまみですが、何度目かのおかわりのときにクルミが出てきました。へぇ。こんなのも置いてるんですねぇ。

取材の人たちも帰り、夜が更けるにつれてだんだんと昨夜と同じような顔ぶれになってきました。

友人が、もう1杯スティンガーを注文し、チビチビとやり始めたところへ10名ぐらいの団体が入ってきます。「あらぁ。○○先生、お久しぶり」なんて、朝子ママもあいさつを交わしています。こちらに仕事でやってきた演出家の先生と、その関係の人たちだそうで、松山に来るたびに顔を出してくれるのだそうです。座れる人だけ座って、あとはうしろの壁際においてあるベンチのところに腰をおろします。

時間も11時半。ちょうどいい頃合いなので、われわれはこれで引き上げて、うしろのみなさんに席をゆずりますか。どうもごちそうさま。今日はカクテルが8杯で、ふたりで9,000円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月27日(火)の記録》

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びっくり南蛮漬け … おでん「いこい」(松山)

私の生家がある町は、今でこそサラリーマン家庭が多いものの、昔は農業・漁業で生計をたてていた土地。今も、朝になると近所でとれた魚を、小さい手押し車にのせて売りにくるおばさんがいるのです。他の土地でなかなか食べることができないのが、こうやって売りにくる瀬戸内の雑魚(ざこ)ですね。

たとえば、今日の朝ごはん。小さいカレイ(ミスキガレイやウシノシタの小魚などが混ざったもの)を一部ムニエルにし、また一部はそのままみそ汁に。なにしろ体長6~8センチぐらいしかないカレイなので、中骨以外はそのまま食べられます(好きな人だと、中骨まで食べちゃうかも)。干して“デベラ”みたいにしてもうまいんですよねぇ。

夕食にはギゾを焼いたもの。ギゾというのは、こちらでの呼び方でしょうか。標準的にはベラとかキュウセン(求仙)、関西地区一帯ではギザミともいう、まるで熱帯魚のようなケバケバしい小魚です。焼いて、味噌をちょいと付けながら食べるとうまいのです。

さらにはタコです。一部はさっとゆでて刺身で。これが一番タコの味がよくわかります。瀬戸内海はエビ、カニ、貝など、タコの餌(えさ)になる生き物が多いので味がよくなるのだそうです。そして天ぷら。大きい部分はそのままタコ天に、小さいところは何切れかを寄せ集めて、かき揚げ風タコ天になるのです。熱いうちにハフハフと。なんで瀬戸内以外ではタコを天ぷらで食べないのかなぁと、この天ぷらを食べるたびに思います。タコの唐揚げの比じゃないですよぉ、天ぷらは!

これで“タコ飯”でも食べれば完璧だなぁ、なんて思っているところへ、友人から「今夜も行こう!」と飲みのお誘い。ホイホイと喜んで出かけます。今回は、会社の夏休みと子供たちの予定とがおり合わず、私ひとりで帰省しているので、フットワークがより軽いのです。(笑)

出かけた先は、昨日に引き続いて松山・二番町です。

松山の繁華街は、松山城の南側に、お城に近いほうから一番町、二番町、三番町と広がります。その三つの町を大街道(おおかいどう)という商店街が、ずどんと直角につらぬいているのです。中でも今向かっている二番町界隈は、夜になってますます繁華街になる感じの、まさに夜の街。派手なネオンと、呼び込みのおにいさんたちが道行く人々を誘います。ま、だいたいは誘われたい人たちが集まってきてるんですけどね…。

現在、午後8時。友人がまだ食事をとっていないというので、まずは食べものもある店をさがします。なにしろ、私は夏休みですが、友人をはじめ、みなさんにとっては普通の平日ですからねぇ。やっと仕事が終わって、これから飲むぞという時間帯なんですね。

「おでんのおいしい店があるよ」と、友人を連れて入ったのは、2年ぶりの「いこい」です。昨年は帰省できなかったからなぁ。間があいちゃったのです。

「こんばんは」と入ると、すぐ右手のカウンターの入口側には、以前と変わらず女将(ママ)さんがいて、なつかしい笑顔で迎えてくれます。いやぁ、この時間、左手の小上がりまで含めて、お客さんが多いですねぇ。L字カウンターの短辺のところだけがかろうじて空いていたので、2人でそこに座ります。

「生ビールをお願いします」と注文する友人に、「生ビールはアサヒとキリンがありますが」と女将さん。そうでしたねぇ。2銘柄あるところも変わっていない。「キリンで」と友人。「同じく」と私。まずはジョッキで乾杯です。

L字カウンターは、Lの縦の辺(長辺)に9人、横の辺(短辺)に3人の都合12人が座れますが、どうもいつ来ても短辺のところは人気がない。なぜかというと、この席からはカウンター中央部に掲げられた、本日のおすすめが書かれた黒板メニューが見えないからなのです。かわりに、紙に書かれたメニューを見せてくれるのですが、黒板のほうは、品がなくなった時点でどんどん消されていくのに対して、紙のほうは最初のままなので、やっぱりちょっと不便なんですね。だから、この席が最後まで空いてるんだと思います。

私はもう、ほとんど満腹の状態できてるので、おでんの玉子とスジ(牛スジ)の2品ぐらいにしとこかな。「はいはい」と、カウンター中央にふたつドンと据えられているおでん鍋から、女将さんが取り皿にとってくれます。そして、やわらかく溶いた辛子味噌を、お皿の空いてる部分にシャーッとかけ入れて「はいどうぞ」。

辛子味噌は、ホットドッグにケチャップやカラシなんかをかけるような、最近ではお好み焼きなどにマヨネーズをかけるような、とんがった口の容器に入れられていて、逆さにして絞り入れるようになっているのです。

友人も玉子とジャコ天というおでんからスタートです。

カウンターの上においてある大きな鉢のなかみは、南蛮漬けかな? メニューには「アジ南蛮漬け」とあり、友人がそれを注文します。

南蛮漬けというと、小さいアジを揚げて、玉ネギなんかといっしょに酢に漬け込んだものという印象がありますが、出てきたのはお皿いっぱいの大きな魚が2尾。しかし、いっしょに漬け込まれていた玉ネギがまわりに並んでいるところをみると、これが南蛮漬けなんですね。

1尾はアジ、もう1尾はキスのようです。ど~れ。私にもひと口ちょうだい。あまりにおいしそうなので、満腹にもかかわらずつい箸がのびてしまいます。

なるほどぉ。これだけ大きい魚なので、唐揚げではなくて、焼き魚にしてから漬け込んでるんですね。身はしっかりと肉厚。しかも酢のすがすがしさで、暑い中でも食べやすい。これはいいですねぇ。

「ここはねぇ。豆腐もおすすめだよ」と話すと、それじゃと友人は生ビールをおかわりして、豆腐とスジをもらいます。

そう。今私が食べている、このスジもうまいんですよねぇ。スジといいながらも、かなり肉肉した一品で、ボリュームもあるのです。

そして豆腐はこの店の人気の品。ちょっと深いお皿に取られ、カツオ節と刻みネギをたっぷりかけて出てきます。

カウンター中央付近に座っている若いおにいさんは、さっきから豚肉の生姜焼きや、炒め物などをたのんで、もりもりと食べています。なるほど、ああいう定食のおかず風のつまみもあるんですね。

さあ。腹ごしらえも終わったところで、次へ向かいますか。ちょうど1時間の滞在で、お勘定は、2人で3,000円でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年7月27日(火)の記録》

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店情報: おでん「いこい」(松山)

【このお店は現在閉店しています】

  • 店名: おでん「いこい」
  • 電話: 089-921-0875
  • 住所: 790-0002 愛媛県松山市二番町2-3-1
  • 営業: 17:00-22:30、日祝休
  • 場所: JR松山駅から、道後温泉行きの伊予鉄市内電車にのり、大街道(おおかいどう)下車。大街道の商店街に入り、2ブロックほど進む。左手の二浪証券と服部時計店の間の路地に左折し、次の角を右折。すぐ右側。
  • メモ: おでん各種 100円~、かんぱちの刺身 700円、ほごの煮付け 700円、カニの塩茹で 700円、サザエのつぼ焼き 600円、ほうたれ鰯の天ぷら 400円など。酒はすべて正一合で350円から。
  • HTML版(2003年以前): (02.08.02)(01.08.03)

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