夜の部の常連さん … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)
今週も金曜日がやってきました。横浜での仕事を8時に終えて阿佐ヶ谷駅(JR中央線)へ。「川名」に到着したのはちょうど午後10時です。この店はラストオーダーが午後11時なので、1時間程度は飲んで帰れますね。
ありゃぁ。この時間でもお客さんがいっぱいですねぇ。逆にこの時間だから多いのかな? この界隈、金曜日は遅い時間にお客さんが多くなるお店が多いようなのです。
かろうじて空いていたカウンター2番席(入口から2番目の席)に座り、すぐにお通しのリンゴを持ってきてくれたミィさんにまずはキリンビールを注文します。ビンビール(大瓶、504円)はアサヒとキリンが置いてあるので、きちんと銘柄指定をしなければならないのです。
ミィさんがビールをとりに行ってくれてる間に、今日のおすすめメニューが書かれたホワイトボードを確認します。わぁ。さすがにこの時間は刺身はないんだ。右の3番席のおじさんがイワシ刺しを食べてるので、ちょっと前まではあったようです。ホワイトボードは、品切れになるとどんどん消されていきます。ボードの左上側のところがぽっかりと空白になっているあたりが刺身が並んでいたところなんでしょうねぇ。
ん~。なんにしようかなぁ、と思っているところへビールが到着します。「なににしますか?」とミィさん。「え~と。あのナントカ豆腐って書かれているのはなんて読むの?」 ホワイトボードには「呉豆腐 189円」と書かれているのです。「なんて読むんですか?」と、ミィさんは1番のお客さんに確認します。1番のお客さんも「“ご”どうふかなぁ、“くれ”どうふかなぁ。なんて読むんだろうなぁ。どんなものなの?」「お餅みたいな感じの豆腐なんです」とミィさん。「じゃ、それをひとつください。あと、厚焼き玉子(189円)もひとつお願いします」と、読み方はわからないながらも注文をすませます。
まず出てきたのは厚焼き玉子。もとは大きいダシ巻玉子を、薄くスライスしたものが6切れ(3切れにスライスしたものを真ん中で2分している)盛られ、大根おろしが添えられています。醤油をさっとかけていただきます。すでにできあがって冷蔵されていたものをスライスしているため、冷たいのが残念ですが、飲んでるときに不思議とほしくなるのが玉子料理なんですよね。
そして呉豆腐。見た目は杏仁豆腐(あんにんどうふ)みたいな感じで、食べやすくひと口大に切り分けられています。横に添えられた酢味噌をつけてパクリ。なぁるほど、たしかにモチモチですねぇ、これは。
カウンターの中での仕事も一段落したのか、店主(マスター)もレジのところへやってきて、1番席のお客さんと話をはじめます。さっき、ミィさんが声をかけたのをみてもわかるとおり、1番席のお客さんも大常連さんの様子。しかし、私が知ってる1番席の常連さんとは違う人です。
「なんでここにこんな記事が張ってあるの?」という1番席のお客さんの声に、1番席の左手側の壁を見ると、喫煙が体に及ぼす影響のことが書かれた新聞の記事が拡大コピーされてそこに張られています。店主は「1番席が好きなお客さんは、どういうわけだかヘビースモーカーの人が多いので、目につくところに出しとこうと思ってね」といたずらっぽく笑っています。1番席のお客さんは「まいったなぁ」なんて言いながらも、次のタバコに火をつけています。なるほどねぇ。各時間帯に1番席の常連さんがいるんですね。まもなくラストオーダー時間になるので、この人が一番遅い時間の1番席の常連さんなんですね、きっと。
1番席に限らず、他の席もほぼ同じような状況らしく、私自身は知らない人ばかりなのですが、そのほかのお客さんたちはそれぞれがひとり客同士の様子ながら、お互いに親しげに会話を交わしたりしているところは4時台、5時台のお客さんたちと同じです。ときどきいつもと違う時間帯に来てみると、いつもとは違ったお店の様子を知ることができるんですね。
ちょうど近くに来たミィさんに生グレープフルーツサワー(336円)を注文します。
ここらで男性2人組が来店。先ほど席が空いたばかりのB卓に座ります。ラストオーダーまで、あと30分もないので急いで注文しなきゃ飲めないですよ。人ごとながら心配してしまいます。彼らはホッピーをもらって、つまみにはトマト玉子焼き(399円)とポテトコンビーフチーズ(504円)を注文しています。
ほぉ。どちらも興味はあったものの、一度も注文したことないし、他の人が注文するのも聞いたことがないので、今日はじめて見る品物ですねぇ。これは楽しみ。
この店は玉子焼きの系統はボリュームもあって人気が高いのです。ゴーヤチャンプル、玉子タクワン焼き、ニラ玉などもその一連です。ほ~ら、来た来た。あれがトマト玉子焼きか。くし型に切り分けられたトマトが、玉子といっしょに焼かれています。ゴーヤチャンプルのゴーヤと豆腐の代わりにトマトが入ったって感じかな。トマトは形をしゃっきりと保った状態で仕上げられています。
そしてポテトコンビーフチーズ。なぜこの品に興味があるかというと、この504円(480円+税)という値段が、この店のつまみの最高値なのです。「一番高いつまみはどんなものなのかな?」とカウンターのところから振り返ってB卓を観察します。う~む。これは名前どおり、ポテトとコンビーフをグラタン風に仕上げたものですねぇ。ゴーヤチャンプル、トマト玉子焼きなどのボリュームと同じくらいの量なので、けっこうボリュームはあります。
ここらで店のほうはラストオーダー。最後の注文を受けに、ミィさんが各お客さんの間を回ります。「もう注文ありません」となったお客さんの分はもとより、追加注文があった人の分も、その追加注文への対応と同時にレシートも締められて、カウンター内で先に計算されます。
私も、最後の生グレープフルーツサワーをグイッと飲み干して席を立ちます。レジのところへ行くと、あらかじめ計算を終えているレシートが出されて「ありがとうございます。1,218円です」。「どうもごちそうさま」。ちょうど1時間の滞在でした。
なお、その後の調べによりますと「呉豆腐」は“ごどうふ”と読み、佐賀県は有田の郷土料理なのだそうです。豆乳をかためるのにニガリを使わずに片栗粉を使うのが特徴なのだそうで、今回のように酢味噌でいただくほか、ゴマ醤油や黒蜜などで食べることもあるそうです。
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