日本酒でもつ焼き … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)
東京での仕事を終えて、久しぶりに沼袋の「ホルモン」に顔を出してみました。なにしろこの店は午後10時閉店なので、横浜からの帰りに寄ろうとしても、すでに閉店時刻を過ぎてしまっていることのほうが多いのです。
午後6時半の店内は8割程度の入り。しかし、ひとり客のしめる割合が多いこの店にあって、今日はテーブル席の入口側に8人組くらいのグループ客が陣取っていて、すでに大いに盛りあがっています。こりゃちょっとまいったなぁ。大勢で飲むときは、それに見合った店があると思うんですけどねぇ…。
ま、それはさておき、ビールの小瓶(310円)とお新香(100円)をお願いします。
おや? 焼き台のところにいる店主と、奥の冷蔵庫スペースにちらちらとかいま見えるおかみさんの他に、今日はもうひとり若い長身のおにいさんがいて、すばやい動きでビールとお新香を盛ってきてくれます。
小瓶のビールはサッポロ黒ラベル。今日のお新香はキュウリです。なにしろここのお新香は人気があって、ほとんどのお客さんが注文する品物なのです。
まずはビールをググゥ~ッと1杯。いつもであればプハァ~ッと歓喜にむせぶところですが、実は今日は寒いのです。とはいえ、気温でいうと今でも22~3度はあります。ところが、昨日までしばらく暑さが続いていて、特に昨日は東京地方で最高気温33.6度! この温度から、1日のうちに10度近い温度変化があったために、体感上とっても寒い感じがするのでした。
車の運転のときに「急ハンドル、急ブレーキなどの“急”がつく行為は避けましょう!」と言われますが、できれば気候も急変は避けてもらいたいですねぇ。身体がついていけないや。
目の前を通るおにいさんに、レバとコブクロのちょい焼きを2本ずつお願いします。もつ焼きはすべて1本100円で、1本単位で注文できます。“ちょい焼き”というのは、文字どおり、もつ焼きを炙る程度にちょっとだけ焼いたもの。普通のもつ焼きはタレ焼きもしくは塩焼きでいただきますが、ちょい焼きの場合には刻みネギをたっぷり添えて、ショウガ醤油でいただくのです。
今日は、ちょうど燗付け器の目の前に座っています。夏場は暑いと感じたこの席が、今日は燗付け器のぬくもりが心地よい。久しぶりに燗酒をいってみますか。この店で燗酒をたのむのは初めてじゃないかなぁ。
日本酒は福島は仁井田本家の普通酒「淡醸(たんじょう)」。「ほ里乃家」で出される「剣(つるぎ)」や「穏(おだやか)」なども同じ蔵のお酒です。
その「淡醸」が一升瓶からチロリへ。そしてそのチロリのお酒が燗付け器の上の口から注ぎ込み、すぐに同じチロリで下の蛇口から出てくるお酒を受けます。燗付け器の中ではいつも湯が沸いていて、その中にあるらせん状のチューブを通って、上から下へとお酒が流れていく間に燗がついてしまうのだそうです。そして、目の前に置かれた受け皿に乗せたコップに、ちょっとあふれるまでついでできあがりです。お酒は燗も冷やも260円。
さあ。この日本酒がもつ焼きに合うかどうかが問題ですね。ど~れ。……。合うよねぇ、不思議と! 普通酒だからいいのかなぁ。
そういえば、私がもつ焼きの道(そんな道があるのか!?)に進むきっかけを与えた友人Kw(←なんと今も同じ職場にいる!)は、もつ焼き好きながら、飲物はいつもほぼ日本酒。しかも、純米とか吟醸といった上品な酒はイヤみたいなのです。「こりゃあ好かん。酒は醸造用アルコールがたっぷり入っとらなつまらん」となかなか手きびしい。「ワンカップみたいな酒が一番うまい!」と公言してはばかりません。
う~む。もつ焼きと焼酎とは明らかに合う。その焼酎に梅シロップをたらしたり、ホッピーを入れたり、炭酸を入れたりしても合う。醸造用アルコールたっぷりの普通酒は、考えようによっては甲種焼酎に梅シロップを入れるかわりに本当の日本酒(いわゆる純米酒)を入れたものと考えることもできそうです。となると、普通酒というのはもしかすると「焼酎の日本酒割り」かぁ??
そう考えると、普通酒の中で醸造用糖類が入っていないもの(これを「無糖加酒」と呼ぶそうです)がもつ焼きに合うというのはちっとも不思議なことではないですね。
燗酒で心地よく温まってきましたねぇ。上着を脱いで、ヤッコ(250円)をもらいましょうか。トマトと月見は今日はないようで、メニューの短冊が隠されています。
ヤッコが出てきたところで燗酒(260円)もおかわりです。
店も満席に近くなり、店主は焼き台からまったく離れられないくらいの忙しさです。しかし、おにいさんがひとり加わったことで店の中のやりくりは爆発的によくなったように思います。
先ほどから、何人かが出ては、何人かが入るという状態が続いていますが、そのお勘定の計算もおにいさんがやっている。お勘定まで任されるというところをみると、もしかするとこのおにいさんは店主夫婦の息子さんなのかな? そう思ってもう一度観察してみると、顔の周りにはうっすらとおしゃれなヒゲ。汗を浮かべながら、懸命に働いています。
さてと。日本酒をもう1杯もらって、オッパイとヒラを2本ずつお願いします。塩でね。
さあ。これらはどうかな。どっちも脂肪の甘さと、独特の食感が特長のもつ焼きです。ほぉ。これもいけますねぇ。「十四代」なんかだと絶対に合いそうにないのに、こ~んな普通酒がピタリと決まっちゃうところがおもしろいですね。
今日は燗酒でもつ焼きという楽しみを発見したところで終了にしますか。シャカシャカとおにいさんが計算してくれます。1時間半ほどの滞在で、今日は2,240円でした。
他の店でも試してみたいですね、もつ焼きと燗酒。そういや、以前、俳優の大滝秀治さんももつ焼きと燗酒をやってましたねぇ。よ~し。この秋冬の楽しみがひとつ増えたぞ!
| 固定リンク | 0
コメント