恵比寿な夜 … 居酒屋「さいき」(恵比寿)
「たつや」をあとに、所用で帰宅したひとりを除いた3人で二次会に向かいます。恵比寿界隈にもいいお店が多くて本来ならば迷うところですが、今日は3人の中に「さいき」の大常連さんであるK氏が含まれているため、ちぃ~っとも迷うことなく「さいき」に向かいます。道すがら、K氏がお店に電話を入れて、3人入れることも確認がとれたので、大安心です。
入口の引き戸を元気よく開けると、「お帰りなさぁ~い!」と、「さいき」ならではのお迎えの声がひびいてきます。午後8時前の店内は7~8割程度の入り。右手のテーブル席にも空きがあるようなので、われわれはそっちに案内されるかな、と思いきや、店主のクニさんが指差したのは、なんとL字カウンターのLの短辺。一番入口に近い部分の3席です。
「えぇ~~っ! いいんですか!」と確認しつつ、その席にずらりと並んで座ります。私なんて一番奥の壁際。このL字の一番手前は、いつも本当に大常連さんが座っている席で、この店に通い続けた人たちの「上がりの席」とも呼ばれているくらい。なにしろ、カウンターの中、この目の前が店主・クニさんの席。ここにでんと座って、お客さんたちとの会話をくりひろげる場所ですからねぇ。自然とそのまわりに大常連さんたちが多くなるようなのです。
さっそくK氏がキープしている焼酎「吉四六」を水割りで作ってもらって乾杯です。お通しは小鉢に入った煮物。これをチマチマとつつきながら二次会のスタートです。
カウンターのお客さんたちは、われわれを除いてはひとり客。それぞれが別々に入ってきて、別々に飲んでいるのに、それぞれの人たちがみんな顔見知りの様子。「この前、あれからどうした」「ん~。あの後? あれからねぇ、……」なんて会話からすると、顔見知り以上の、まさに『さいき同好会』の面々が集う場といった雰囲気ですね。
つまみのほうは、トマト(450円)と冷やっこ(450円)に、シメ新子(750円)をもらいます。新子(しんこ)はコハダの幼魚のこと。私自身、今シーズン初の新子ですが、新子が出るのは7~9月くらい。これで今年は最初で最後になるかもね。
そういえば前回、常連のお医者さんがこの店のことを書いた本を出版する予定であるということを書きましたが、いよいよその本が出版されました。前回の議論にもあったとおり、本の名前は「恵比寿な夜」。
「さいき」で出会った人々を題材としたエッセイ集なのですが、それぞれの人に、それぞれのドラマありで、「さいき」を知らない人が読んでもとてもおもしろいのではないでしょうか。しかし。「さいき」に行ったことがある人が読むと、なにしろどの人のことを書いているのかというのもよくわかって、よりいっそうおもしろいのではないでしょうか。さらにさらに、「さいき」のお店の様子そのものも浮かんでくるので、本を読んでいるだけで「さいき」に行った感じになるのです。
午後10時半をまわるころまで、常連のみなさんたちの輪の中で楽しく過ごし、お勘定です。「今日は39円です」。この店では100分の1の単位でお勘定が告げられるので39円は3,900円のこと(ひとり平均1,300円)。K氏のキープをいただいたおかげで安くつきました。どうもごちそうさま。
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