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2004年9月

もつ好き向けレバニラ炒め … 中華「仙楽園(せんらくえん)」(阿佐ヶ谷)

うちの近所に普通の中華風定食屋さんのように見えるのに、やたらレバニラ炒めというかレバーのおいしい店があるのです。

今ほどもつ焼きなどにも精通していなかったころには、「こんなプリプリしたレバーはあるもんか。レバニラといいながらも、これは絶対レバーじゃないに違いない!」なんて思っていたくらいです。

今日はたまたま家族がみんないなくて、昼食をひとりで食べなけらばならない。久しぶりにレバニラをねらってみるかと出かけてきたのでした。

もつ好きのみなさんはおわかりと思いますが、レバーがプリプリした状態で出てくるということは、ものすごく新鮮なレバーであるということです。スライスしたときに角がシャキッとして、血管の穴が丸々と残るくらいのものでないとプリッとした歯ごたえは出ないのです。

そんなわけで、この店の場合も新鮮なレバーの仕入れができなかった日には、注文をしても「今日はレバーの仕込みがなかったんで…」と断られちゃうのです。「幻の…」とまではいかないものの、あればラッキーというメニューでもあります。

さぁ、今日はどうかな??

暖簾(のれん)をくぐり、入口引き戸を開けて店内に入ると、テーブル席のみ4~5卓(くっつけ方によって変わる卓がある)の店内は、それぞれの卓に1~2人ずつ程度のお客さんがいる状態。右手奥側の2人用テーブルが空いてるので、そこに腰をおろします。

テーブル席のみと書きましたが、実際には奥の厨房の手前に若干のカウンター席があります。しかし、ここが使われてるのは今まで1回しか見たことありません。そのときは、店主の友人と言っていいくらいの超常連さんが、ここでビールを飲みながら中で料理を作る店主と話してたなぁ。

さて、メニュー。通常のメニューのほかに、(土曜日も含む)平日の昼のみ日替わりの手書きランチメニューが出されます。今日のランチは……。お。やったぁ~っ。ランチの中の一品に「レバニラ玉子炒め」があります。

「いらっしゃいませ」とお水を持ってきてくれたおねえさんに、さっそく「レバニラ玉子炒め」を注文し、「それとビールね」と付け加えます。ここのレバーは、ご飯を食べるだけはもったいないですからね。

そういえば、以前はご夫婦で切り盛りされてたのに、今日は奥さんの姿は見えず、かわりにさっきのおねえさんがホールを担当しています。

そのおねえさんが大きな冷蔵庫からビールをもってきてくれました。ビールはキリンクラシックラガーの大ビンで550円。小ビンも選べて、こちらは400円です。ッカァ~ッ。真っ昼間からいただくビールのうまいこと。

あら。お通しもついてきますか。こりゃどうも。お通しは小鉢に入った酢の物。キュウリとワカメ、それとほぐした感じの肉です。このお通しは、そば屋のお通しと同じく、酒類を注文するとサービスとして付いてくるもののようです。

今日のランチメニューは「レバニラ玉子炒め」の他、「トリ肉カラアゲ」、「マーボドーフ」の3品。それぞれ750円です。ビールを飲みつつ、まわりの状況を観察してみると年配の2人は「マーボドーフ」、中年のひとりは「レバニラ玉子炒め」(私も含めると2人となる)、そして若い2人は「トリ肉カラアゲ」と、年齢層によってきっちりと好みが分かれているのがおもしろい。

さあ「レバニラ玉子炒め」が出てきましたよぉ。お盆の上にはお皿に山盛りのレバニラ玉子炒めのほか、小皿に千切りキャベツとアジフライ、そしてご飯、スープ、漬物です。

ランチメニューではなくて、通常のメニューのほうにある「レバニラライス」の場合は、同じくお皿に山盛りのレバニラ炒めのほかにご飯、スープ、漬物で700円なので、ランチメニューの中にレバニラ系があった場合には、ランチメニューで注文するほうがお得なんでしょうね。

それにしても、どうよ、このレバー。想像どおりプリップリのレバーで、口に入れて噛むと、プッツンと感じる歯ごたえです。新鮮なレバーは、生でも、もつ焼きでも、そしてこうやって完全に火を通して調理してもうまいんですねぇ。

今回、1年ぶりくらいに来たのですが、まったく変わらぬレバニラの味。あぁ、よかった。安心しました。

ビールとランチで1,300円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月18日(土)の記録》

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店情報: 中華「仙楽園(せんらくえん)」(阿佐ヶ谷)

【このお店は現在閉店しています】

  • 店名: 中華「仙楽園」(せんらくえん)
  • 電話: 03-3330-5809
  • 住所: 167-0022 東京都杉並区下井草1-1-3
  • 営業: ランチタイムと夕方は17:00~(何時までか未調査)、月・第3火休(日祝はランチなし)
  • 場所: JR阿佐ケ谷駅北口から、中杉通りにそって鷺宮方向に徒歩約15分。交差する早稲田通りを渡り、早稲田通りにそって左折。15mほど進んだ右手。西武新宿線の鷺ノ宮駅からも徒歩約15分。(同じ杉並区ということから、タイトルの場所表記は「阿佐ヶ谷」としています。(鷺ノ宮は中野区))
  • メモ: ランチ(750円)は日替わり(日祝はなし)。中華一品料理各種のほか、肉ヤサイライス(700円)、レバニラライス(700円)、ヤサイ炒めライス(650円)、ギョーザライス(550円)、ラーメン(500円)、タンメン(600円)など。飲物はビール(大瓶)550円、(小瓶)400円、黒ビール(450円)、酒(400円)、焼酎(サワー、ウーロン、レモン、梅)350円など。
  • HTML版(2003年以前): (00.08.06)(99.08.01)

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日本酒でもつ焼き … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

東京での仕事を終えて、久しぶりに沼袋の「ホルモン」に顔を出してみました。なにしろこの店は午後10時閉店なので、横浜からの帰りに寄ろうとしても、すでに閉店時刻を過ぎてしまっていることのほうが多いのです。

午後6時半の店内は8割程度の入り。しかし、ひとり客のしめる割合が多いこの店にあって、今日はテーブル席の入口側に8人組くらいのグループ客が陣取っていて、すでに大いに盛りあがっています。こりゃちょっとまいったなぁ。大勢で飲むときは、それに見合った店があると思うんですけどねぇ…。

ま、それはさておき、ビールの小瓶(310円)とお新香(100円)をお願いします。

おや? 焼き台のところにいる店主と、奥の冷蔵庫スペースにちらちらとかいま見えるおかみさんの他に、今日はもうひとり若い長身のおにいさんがいて、すばやい動きでビールとお新香を盛ってきてくれます。

小瓶のビールはサッポロ黒ラベル。今日のお新香はキュウリです。なにしろここのお新香は人気があって、ほとんどのお客さんが注文する品物なのです。

まずはビールをググゥ~ッと1杯。いつもであればプハァ~ッと歓喜にむせぶところですが、実は今日は寒いのです。とはいえ、気温でいうと今でも22~3度はあります。ところが、昨日までしばらく暑さが続いていて、特に昨日は東京地方で最高気温33.6度! この温度から、1日のうちに10度近い温度変化があったために、体感上とっても寒い感じがするのでした。

車の運転のときに「急ハンドル、急ブレーキなどの“急”がつく行為は避けましょう!」と言われますが、できれば気候も急変は避けてもらいたいですねぇ。身体がついていけないや。

目の前を通るおにいさんに、レバとコブクロのちょい焼きを2本ずつお願いします。もつ焼きはすべて1本100円で、1本単位で注文できます。“ちょい焼き”というのは、文字どおり、もつ焼きを炙る程度にちょっとだけ焼いたもの。普通のもつ焼きはタレ焼きもしくは塩焼きでいただきますが、ちょい焼きの場合には刻みネギをたっぷり添えて、ショウガ醤油でいただくのです。

今日は、ちょうど燗付け器の目の前に座っています。夏場は暑いと感じたこの席が、今日は燗付け器のぬくもりが心地よい。久しぶりに燗酒をいってみますか。この店で燗酒をたのむのは初めてじゃないかなぁ。

日本酒は福島は仁井田本家の普通酒「淡醸(たんじょう)」。「ほ里乃家」で出される「剣(つるぎ)」や「穏(おだやか)」なども同じ蔵のお酒です。

その「淡醸」が一升瓶からチロリへ。そしてそのチロリのお酒が燗付け器の上の口から注ぎ込み、すぐに同じチロリで下の蛇口から出てくるお酒を受けます。燗付け器の中ではいつも湯が沸いていて、その中にあるらせん状のチューブを通って、上から下へとお酒が流れていく間に燗がついてしまうのだそうです。そして、目の前に置かれた受け皿に乗せたコップに、ちょっとあふれるまでついでできあがりです。お酒は燗も冷やも260円。

さあ。この日本酒がもつ焼きに合うかどうかが問題ですね。ど~れ。……。合うよねぇ、不思議と! 普通酒だからいいのかなぁ。

そういえば、私がもつ焼きの道(そんな道があるのか!?)に進むきっかけを与えた友人Kw(←なんと今も同じ職場にいる!)は、もつ焼き好きながら、飲物はいつもほぼ日本酒。しかも、純米とか吟醸といった上品な酒はイヤみたいなのです。「こりゃあ好かん。酒は醸造用アルコールがたっぷり入っとらなつまらん」となかなか手きびしい。「ワンカップみたいな酒が一番うまい!」と公言してはばかりません。

う~む。もつ焼きと焼酎とは明らかに合う。その焼酎に梅シロップをたらしたり、ホッピーを入れたり、炭酸を入れたりしても合う。醸造用アルコールたっぷりの普通酒は、考えようによっては甲種焼酎に梅シロップを入れるかわりに本当の日本酒(いわゆる純米酒)を入れたものと考えることもできそうです。となると、普通酒というのはもしかすると「焼酎の日本酒割り」かぁ??

そう考えると、普通酒の中で醸造用糖類が入っていないもの(これを「無糖加酒」と呼ぶそうです)がもつ焼きに合うというのはちっとも不思議なことではないですね。

燗酒で心地よく温まってきましたねぇ。上着を脱いで、ヤッコ(250円)をもらいましょうか。トマトと月見は今日はないようで、メニューの短冊が隠されています。

ヤッコが出てきたところで燗酒(260円)もおかわりです。

店も満席に近くなり、店主は焼き台からまったく離れられないくらいの忙しさです。しかし、おにいさんがひとり加わったことで店の中のやりくりは爆発的によくなったように思います。

先ほどから、何人かが出ては、何人かが入るという状態が続いていますが、そのお勘定の計算もおにいさんがやっている。お勘定まで任されるというところをみると、もしかするとこのおにいさんは店主夫婦の息子さんなのかな? そう思ってもう一度観察してみると、顔の周りにはうっすらとおしゃれなヒゲ。汗を浮かべながら、懸命に働いています。

さてと。日本酒をもう1杯もらって、オッパイとヒラを2本ずつお願いします。塩でね。

さあ。これらはどうかな。どっちも脂肪の甘さと、独特の食感が特長のもつ焼きです。ほぉ。これもいけますねぇ。「十四代」なんかだと絶対に合いそうにないのに、こ~んな普通酒がピタリと決まっちゃうところがおもしろいですね。

今日は燗酒でもつ焼きという楽しみを発見したところで終了にしますか。シャカシャカとおにいさんが計算してくれます。1時間半ほどの滞在で、今日は2,240円でした。

他の店でも試してみたいですね、もつ焼きと燗酒。そういや、以前、俳優の大滝秀治さんももつ焼きと燗酒をやってましたねぇ。よ~し。この秋冬の楽しみがひとつ増えたぞ!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月15日(水)の記録》

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霧のカクテル … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

竹よし」での夕食会を終えて、Skさん、Hsさんと3人で近くのバー「ピュアー」で二次会です。

土曜日、午後10時過ぎの店内は、入口近くに常連の女性客Eさん、その向こう側に男性客と、先客はおふたり。われわれ3人はカウンターの一番奥あたりに陣取って、思い思いのカクテルを注文します。

私は今日の1杯目は「マイ東京(My Tokyo)」(580円)をいただきましょうか。

「マイ東京」はウイスキーベースのカクテルで、ウイスキー、オレンジキュラソー、ライムジュースを3:2:1の割合でカクテルしたもの。昭和39(1964)年、東京オリンピックを記念して行われたカクテルコンテストの優勝作品なのだそうです。

日本の都市の名前が付いたカクテルは「ヨコハマ(Yokohama)」くらいだと思っていたのですが、こんなカクテルもあったんですね。実は、今日の昼間、別件でこのあたりを通ったついでに、店の外に張ってあるカクテルメニューをじっくりと見ていて気になってたカクテルだったのでした。

3人それぞれのカクテルが出された後、お通し(310円)としてクラッカーにのったチーズが出てきました。さっきまでお魚系だったので、このちょっとした乳製品がなんだか新鮮でうれしいですね。

2杯目のカクテルは「ジャマイカ・ラム・ミスト」(520円)。これはマイヤーズ・ダーク・ラムをミスト・スタイルにしたものです。

マイヤーズ・ラムというのは、ジャマイカの砂糖農園主だったフレット・ルイス・マイヤーズが造ったラムで、通常はダーク・ラム(濃厚で香り豊かなタイプ)のことを指します。近ごろ、同じマイヤーズ社から、もっとライトなホワイト・ラムが売られるようになったため、それとあえて区別するときにダーク・ラムという表現が使われるようです。

ミスト(Mist)・スタイルというのは、ロック・グラスにクラッシュド・アイスをいっぱいに詰め、その中にお酒を直接注いで作る方法を指します。言ってみればオン・ザ・ロック(On the Rocks)の一種なんですが、クラッシュド・アイスのほうが冷却力が強いので、グラスの表面にうっすらと霧(Mist)のように細かい水滴がつくことから、この名が付けられたのだそうです。

なにしろロックなので、アルコール度数はかなり高い。これをチビチビとなめるようにいただきながら、Skさんのテレビ出演の話、Hsさんの「野方の女神」(=前回の「シェリーな彼女」)の話と、次々と楽しい話に花が咲きます。

楽しんでいるうちに真夜中(午前0時)になり、花小金井まで帰るSkさんの電車がなくならないうちにお開きにしました。マスターに「お勘定を」とお願いすると、特に事前にたのんでおいたわけではないのに、ひとりひとり別々に計算してくれていて、ひとり分ずつ小さい紙が渡されます。私は1,410円。みんな2杯ずつくらい飲んだので、だいたい似たようなところです。どうもごちそうさまでした。おやすみなさ~い。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月11日(土)の記録》

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究極の海鮮丼 … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

「竹よし」で第35回となる夕食会が開催されました。今回のテーマは「究極の海鮮丼(北海風)」。これも以前から店主(マスター)が「やってみたいなぁ」と口にしていたテーマのひとつです。

「生湯葉の刺身」(左)と「きのこ類の茶碗蒸もどき」(右)その海鮮丼(かいせんどんぶり)を待つ間に、まずスターター(前菜)として登場してきたのが「生湯葉の刺身」と「きのこ類の茶碗蒸もどき」。きのこそのものも秋だけど、こうやって温かい汁っけのあるつまみがおいしい季節になってきましたねぇ。

こりゃ、やっぱり日本酒ですね。生ビールを1杯で終えて、すぐに日本酒に切りかえます。「今日は賀茂鶴(かもつる)もありますよ」ということで、さっそくその「賀茂鶴」をいただくことにしました。このお酒は、吟醸とか純米とかいったタイプのものではなくて、いわゆる普通酒。しかし、私の勤務先が広島県呉市だった時代によく飲み親しんだ、なつかしいお酒なのです。有名な「賀茂泉(かもいずみ)」と同様、広島は西条(さいじょう)のお酒なのですが、「賀茂泉」のほうはよそゆきのイメージ、そして今飲んでる「賀茂鶴」のほうは普段着のイメージというのが私の印象です。

「海鮮丼」さあ「海鮮丼」です。これはまた、見た目も鮮やかですねぇ。「お酒を飲みながら楽しめるように、ちょっと深めの平皿にご飯を平たく盛って、その上につまみとして楽しめるようにたっぷりと海の幸をのせてみました」。

ウッホッホ。思わず笑いがこみあげてきますなぁ。まずはまん中左寄りで、オレンジ色の光沢を放っているウニからいってみますか! ん~。なんちゅう甘さよ。口に含んだだけでトロリととろけ、甘さが口いっぱいにふくらみます。へぇ。礼文島(れぶんとう)で獲れたバフンウニなんですか。バフンウニ自体がウニの中でも最高級品に位置づけられる中で、礼文島物は特に最上級なのだそうです。

その横、ちょうどお皿のまん中が、緑の卵をたっぷり抱えたボタンエビ。プリッと締まった身を噛みしめると、これまたとろける甘みです。だいたい、海の中の高級品と言われるものは、甘みをともなったものが多いですね。

カニもいってみますか。これはタラバガニですね。「北海風」と銘打つだけあってイクラやホタテ貝も、紅白の輝きで存在を示しています。

マグロが自慢の「竹よし」らしく、マグロも赤身とトロがのっています。タイも2種類。透き通るような白さは真鯛(マダイ)。そしてきれいなピンクが、本日のサブテーマの食材でもある尾長鯛(オナガダイ)です。

なにしろ丼の頭(トッピング)の部分がつまみになり、ときどきつつくご飯でお腹も満足。先日、「つるかめ食堂」(新宿・思い出横丁)でいただいた「元気丼」もそうだったのですが、この「海鮮丼」も、つまみと食事をかね合わせているという意味で、酒飲みにとっての完全食と言えそうです。

「尾長鯛しゃぶしゃぶ」そんなわけで、この一品でかなり長い時間楽しんだあと、やっと本日のサブテーマである「四国産尾長鯛(オナガダイ)しゃぶしゃぶ」に突入します。「本当は四国産の真鯛(マダイ)を使いたかったんですが、ここ数日、天気が悪かったらしくて真鯛が入らなかったんですよ。それで尾長鯛(オナガダイ)にしてみました」と店主。

この「尾長鯛(オナガダイ)」というのは通称だそうで、正式な名称は「浜鯛(はまだい)」。大きな目をのせいか、頭のほうだけ見ると「金目鯛(キンメダイ)」のような感じですが、身体はずいぶんスマートで、尻尾はさすがに尾長鯛というだけあって長い! ピンクの色合いも美しく、先ほど海鮮丼でいただいた刺身もうまかったですが、しゃぶしゃぶでちょっと温めて食べるのもまたいいですねぇ。

お酒のほうは、先日もいただいた「想天坊(そうてんぼう)特別純米」(新潟)から、Ssさんの差し入れである「雪下香梅(せっかこうばい)大吟醸」(新潟)へと飲み進みます。

そこへ、近所の常連さんであるWdさんから電話がかかってきて、ものの数分後にはWdさんの登場です。「夕食会とは知らなかったよ」と言いながらの飛び入りですが、すぐにWdさんの分の夕食会メニューが準備されます。大人数の飛び込みはダメかもしれませんが、通常は1~2名分の飛び込みならなんとかなるみたいですので、当日になって行けそうになった場合には電話で確認してみるのがよさそうですね。

獲れたばかりの「カツオの刺身」さらには「カツオが釣れた」と言いながら2人連れのお客さんも登場し、急きょ獲れ獲れの「カツオの刺身」が出されます。やぁ、どうもありがとうございます。カツオとくれば、お酒も「酔鯨(すいげい)」(高知)をいきましょうか。

味噌汁最後に出されたのは味噌汁。昔から汁物は好きだったのですが、その好きな度合いが年齢とともに増してきているように思います。

山口瞳の「行きつけの店」という著書の中に「並木の藪の鴨なんばん」と題した一文があります。この中でも『並木の藪に行くと、それが冬時分であったら、まず鴨南蛮のソバ抜きを注文する。これを鴨ヌキという。春とか秋とかには、天ぷらのソバ抜き、つまり天ヌキを頼む。黙っていても酒が出てくる。』『鴨ヌキで飲む酒がいい。スープで飲む酒がもっともうまい。体にもいいと私は信じている』と書かれているのです。

「きのこ類の茶碗蒸もどき」でスタートし、海の幸のダシたっぷりの「味噌汁」で締めて。まさにスープで飲む酒が堪能できました。

そういえば、常連さんのおひとりで、以前「水曜プレミア」(TBS)に出演されたSkさん。今度は10月26日(火)放送予定の「たけしの本当は怖い腰痛の医学」(テレビ朝日)で、個人タクシーの運転手さん役として出演される予定だそうです。すでに収録は終えており「前よりは長時間出ると思うんだけど、最後は帰らぬ人となる役なんだよ」とのことでした。

さらに、これまた常連さんのおひとりで、この界隈の居酒屋通、Hsさんも「寄り道Blog」というブログを立ち上げたのだそうです。このブログでも、今日の様子が紹介されています。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月11日(土)の記録》

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夜の部の常連さん … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

今週も金曜日がやってきました。横浜での仕事を8時に終えて阿佐ヶ谷駅(JR中央線)へ。「川名」に到着したのはちょうど午後10時です。この店はラストオーダーが午後11時なので、1時間程度は飲んで帰れますね。

ありゃぁ。この時間でもお客さんがいっぱいですねぇ。逆にこの時間だから多いのかな? この界隈、金曜日は遅い時間にお客さんが多くなるお店が多いようなのです。

かろうじて空いていたカウンター2番席(入口から2番目の席)に座り、すぐにお通しのリンゴを持ってきてくれたミィさんにまずはキリンビールを注文します。ビンビール(大瓶、504円)はアサヒとキリンが置いてあるので、きちんと銘柄指定をしなければならないのです。

ミィさんがビールをとりに行ってくれてる間に、今日のおすすめメニューが書かれたホワイトボードを確認します。わぁ。さすがにこの時間は刺身はないんだ。右の3番席のおじさんがイワシ刺しを食べてるので、ちょっと前まではあったようです。ホワイトボードは、品切れになるとどんどん消されていきます。ボードの左上側のところがぽっかりと空白になっているあたりが刺身が並んでいたところなんでしょうねぇ。

ん~。なんにしようかなぁ、と思っているところへビールが到着します。「なににしますか?」とミィさん。「え~と。あのナントカ豆腐って書かれているのはなんて読むの?」 ホワイトボードには「呉豆腐 189円」と書かれているのです。「なんて読むんですか?」と、ミィさんは1番のお客さんに確認します。1番のお客さんも「“ご”どうふかなぁ、“くれ”どうふかなぁ。なんて読むんだろうなぁ。どんなものなの?」「お餅みたいな感じの豆腐なんです」とミィさん。「じゃ、それをひとつください。あと、厚焼き玉子(189円)もひとつお願いします」と、読み方はわからないながらも注文をすませます。

まず出てきたのは厚焼き玉子。もとは大きいダシ巻玉子を、薄くスライスしたものが6切れ(3切れにスライスしたものを真ん中で2分している)盛られ、大根おろしが添えられています。醤油をさっとかけていただきます。すでにできあがって冷蔵されていたものをスライスしているため、冷たいのが残念ですが、飲んでるときに不思議とほしくなるのが玉子料理なんですよね。

そして呉豆腐。見た目は杏仁豆腐(あんにんどうふ)みたいな感じで、食べやすくひと口大に切り分けられています。横に添えられた酢味噌をつけてパクリ。なぁるほど、たしかにモチモチですねぇ、これは。

カウンターの中での仕事も一段落したのか、店主(マスター)もレジのところへやってきて、1番席のお客さんと話をはじめます。さっき、ミィさんが声をかけたのをみてもわかるとおり、1番席のお客さんも大常連さんの様子。しかし、私が知ってる1番席の常連さんとは違う人です。

「なんでここにこんな記事が張ってあるの?」という1番席のお客さんの声に、1番席の左手側の壁を見ると、喫煙が体に及ぼす影響のことが書かれた新聞の記事が拡大コピーされてそこに張られています。店主は「1番席が好きなお客さんは、どういうわけだかヘビースモーカーの人が多いので、目につくところに出しとこうと思ってね」といたずらっぽく笑っています。1番席のお客さんは「まいったなぁ」なんて言いながらも、次のタバコに火をつけています。なるほどねぇ。各時間帯に1番席の常連さんがいるんですね。まもなくラストオーダー時間になるので、この人が一番遅い時間の1番席の常連さんなんですね、きっと。

1番席に限らず、他の席もほぼ同じような状況らしく、私自身は知らない人ばかりなのですが、そのほかのお客さんたちはそれぞれがひとり客同士の様子ながら、お互いに親しげに会話を交わしたりしているところは4時台、5時台のお客さんたちと同じです。ときどきいつもと違う時間帯に来てみると、いつもとは違ったお店の様子を知ることができるんですね。

ちょうど近くに来たミィさんに生グレープフルーツサワー(336円)を注文します。

ここらで男性2人組が来店。先ほど席が空いたばかりのB卓に座ります。ラストオーダーまで、あと30分もないので急いで注文しなきゃ飲めないですよ。人ごとながら心配してしまいます。彼らはホッピーをもらって、つまみにはトマト玉子焼き(399円)とポテトコンビーフチーズ(504円)を注文しています。

ほぉ。どちらも興味はあったものの、一度も注文したことないし、他の人が注文するのも聞いたことがないので、今日はじめて見る品物ですねぇ。これは楽しみ。

この店は玉子焼きの系統はボリュームもあって人気が高いのです。ゴーヤチャンプル、玉子タクワン焼き、ニラ玉などもその一連です。ほ~ら、来た来た。あれがトマト玉子焼きか。くし型に切り分けられたトマトが、玉子といっしょに焼かれています。ゴーヤチャンプルのゴーヤと豆腐の代わりにトマトが入ったって感じかな。トマトは形をしゃっきりと保った状態で仕上げられています。

そしてポテトコンビーフチーズ。なぜこの品に興味があるかというと、この504円(480円+税)という値段が、この店のつまみの最高値なのです。「一番高いつまみはどんなものなのかな?」とカウンターのところから振り返ってB卓を観察します。う~む。これは名前どおり、ポテトとコンビーフをグラタン風に仕上げたものですねぇ。ゴーヤチャンプル、トマト玉子焼きなどのボリュームと同じくらいの量なので、けっこうボリュームはあります。

ここらで店のほうはラストオーダー。最後の注文を受けに、ミィさんが各お客さんの間を回ります。「もう注文ありません」となったお客さんの分はもとより、追加注文があった人の分も、その追加注文への対応と同時にレシートも締められて、カウンター内で先に計算されます。

私も、最後の生グレープフルーツサワーをグイッと飲み干して席を立ちます。レジのところへ行くと、あらかじめ計算を終えているレシートが出されて「ありがとうございます。1,218円です」。「どうもごちそうさま」。ちょうど1時間の滞在でした。

なお、その後の調べによりますと「呉豆腐」は“ごどうふ”と読み、佐賀県は有田の郷土料理なのだそうです。豆乳をかためるのにニガリを使わずに片栗粉を使うのが特徴なのだそうで、今回のように酢味噌でいただくほか、ゴマ醤油や黒蜜などで食べることもあるそうです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月10日(金)の記録》

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穴子の押し寿司 … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

明日の仕事に備えて、横浜での仕事終了後に自宅に移動し、西武新宿線・都立家政駅で下車したのは午後10時半。ちょっと腹ごしらえをしてから帰りましょうね。

「竹よし」の前で傘をたたんでいると、店の中から店主が「いらっしゃいませ」と出てきて、あわてて外においていたもの(濡れては困るもの)を店内にしまいこみます。どうやらこちらの雨はついさっき降り始めたばかりの様子。私が傘をたたんでいるところを見て、はじめて雨に気づいたようなのです。

横浜では雨が上がったのに、こちら東京は今がまさに雨のピーク。雨雲を電車で追いかけてきちゃったんですねぇ。

なにはさておき、まずはビールかな。ビン(スーパードライ、中ビン、500円)でお願いします。温かいおしぼりで手を拭き、顔を拭きながら、飲みものの注文です。

お通し(200円)はサバの味噌煮。刺身風にスライスされたサバの切り身を使った味噌煮です。やぁこれは日本酒、それも冷酒にピタリと合いそうなつまみですねぇ。

そうそう。今日は夕食もかねて来てるので、お腹にたまりそうなつまみをもらいましょうね。ん~と。「穴子の押し寿司」(800円)にしようかな。

この時間、先客はカウンター奥側の男性ひとり。不思議なことにカウンターの上には、飲みものも食べものも何も置かれていません。どうしたのかなぁ、と思っていると「穴子の押し寿司」が登場。このお客さんも穴子を注文してたんですね。

聞けば「竹よし」のすぐ近くに住んでる人だそうで、奥さんが風邪かなんかで具合が悪くてご主人だけが「竹よし」に食事に来た。その帰りに「穴子の押し寿司」を奥さんのお土産に買って帰ったところ、これが大好評で、もう一度買いに来られたのだそうです。

そのお客さんは「穴子の押し寿司」を受け取って席を立ちます。

ここから私用の穴子がさばかれはじめます。なるほど、1尾の穴子をさばくところから作りはじめるんですね。なにしろ店主が料理好きですからねぇ!

なにやら新しいお酒が入ってるようなので、それをいただいて、あとは穴子待ちの間に「自家製 塩辛」(350円)をもらいましょうか。

新しいお酒は「想天坊(そうてんぼう)特別純米・生貯蔵酒」(600円)という新潟のお酒です。ガラス製の徳利(とくり)に入れられて、ガラスのお猪口(ちょこ)とともに出てきます。どれどれ。ほぉ。これはまた飲みやすい。メーカーはすっとキレのある淡麗“旨”口をねらっているようですが、そのとおりになっているのではないでしょうか。塩辛なんかにも抜群に合いそうな…。

じゃ、その塩辛をひと切れいただきましょうね。お。いいですねぇ。これこそまさに淡麗旨口(笑)の塩辛です。店主もカウンターの中で塩辛をちょっと味見。「今回は、耳(エンペラ)の部分もいっしょに塩辛にしてみたんですよ。身の部分よりもややコリッとした食感があって、好きな人が多いんですね。どうですか」と店主。なるほど。私なんか、もとから耳の部分は大好きなので大歓迎ですね。ゲソ(イカの足の部分)は使わないんですか? 「以前はゲソも使ってたんですけど、口あたりの硬さを嫌がるお客さんが多かったのでやめたんですよ」。

保存のためのやたら塩っ辛い塩辛ではなくて、イカをうまく食べるために刺身にキモ(イカワタ)の旨みを加えてちょっと熟成させた程度の塩辛は、旨味がぐ~んと突き抜けています。日本酒と本当にいい相性ですねぇ、これは。

「そのイカワタだけのところもありますよ。やってみますか」と店主がルイベ状になったイカワタを2切れほど小皿に切り分けてくれます。うわぁ。これはまたさらに濃厚で、旨旨旨味って感じですね。「塩は使ってないんですよ。自然の味です」。う~む。自分でちょうどいい味わいになるとは、なんとすごいヤツなんだ。

穴子の押し寿司カウンターの中には、焼きあがった穴子にタレが塗られ、最後の仕上げに入っています。酢メシとともに巻き簾(まきす)で巻いて、ひと口大に切り分けるとできあがり。やぁ、おいしそう。なにしろ、まわりの穴子はできたて熱々ですからねぇ。

お酒のほうは、今度は「朝日山(あさひやま)特別純米」(500円)にしてみましょうか。「朝日山」は「久保田」と同じ朝日酒造(新潟)のお酒。

天保元(1830)年、現在と同じ場所で久保田屋として創業し、その後、大正9(1920)年に社名を朝日酒造とした老舗です。有名な「久保田」は、昭和60(1985)年に創業時の屋号を冠して発売されたお酒なのだそうです。

シメサバ前回のシメサバもよかったですが、今回もまたいいのができまして」と、小皿に3切れほど出してくれたシメサバのきれいなこと! こりゃまた、なんともいえず艶やかですねぇ。

塩辛と日本酒も合いますが、シメサバと日本酒も相性抜群です。

「先日整理をしてたら、昔の店の写真が出てきたんですよ」と店主が古いアルバムを見せてくれます。見れば、昔店主が神奈川県のほうでもっていたお店の写真。なるほど、昔の店も「竹よし」となんですね。3階建ての大きな建物です。店内を写した写真を見ると、フロアは床全体が生簀(いけす)になっていて、座敷の床がガラス張り。座っている下を魚が泳いでいます。「なにしろ、バブルに向かうころだったんで、店の造りもいかにもバブルですねぇ」と店主も苦笑しています。「バブルがはじけたとたんに、お客さんがぱたっと来なくなって、つぶしてしまいました」。それから10年以上たって、今やっと笑い話として語れるといったところなんでしょうか。それにしても、ものすごいお店だったんですね。

昔話に花を咲かせているうちに、気がついたらもう12時をまわっています。それじゃ、ボチボチとおいとましましょうか。今日のお勘定は2,950円でした。

この週末は夕食会だそうで、そっちにもエントリー(予約)しておきました。夕食会は、今年に入ってからは月に2回ずつあったのですが、月1回のほうがピシッと締まっていいということもあり、これからはまた月1回(第2土曜日)に戻すそうです。

9月に入り、メニューにもサンマ塩焼きやキノコの精進蒸し、さらには湯豆腐なんかも登場し、いよいよ燗酒がおいしい季節も近くなってきましたね。楽しみです。

どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月9日(木)の記録》

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たっぷりと肉ドーフ … 居酒屋「金田(かねだ)」(自由が丘)

会社のイベント(工場祭)で午前中から飲み続け、東京に向かう電車に乗ったのは午後7時半ごろ。ウィ~ッ、よく飲みました。しかし、屋外での行事だったこともあって、つまみも汁っけがないもの(乾き物や、焼き鳥、焼きイカ、フランクフルトなど汁がポタポタと落ちないもの)中心。最後はなんとなく汁っけたっぷりのもので締めたいですね。

そんな思いで東急東横線・自由が丘駅で途中下車です。ここには、東京で1、2を争う居酒屋の名店「金田」があるのです。

先ほどから急に降り出した雨の中、入口の引き戸を2回くぐって店内へ。入口を二重構造にしているのは、風雨を避け、冷暖房時の室内温度を維持したりすることが目的なんでしょうね、きっと。

午後8時20分の店内は7割程度の客の入り。「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた店主に指し示されるまま、ダブル「コ」の字カウンターの小さいほうのカウンターに腰をおろします。そして、すぐに来てくれたおねえさんに、まずは「花の井」(燗酒、380円)を注文。おもむろにA3用紙にコピーされたメニューを確認します。

「花の井」とともに出されたお通しはミニ冷奴です。お通しとしてミニスープ豆腐が出ることが多いのですが、夏場はミニ冷奴なんでしょうか。つるんと喉越しもいいですね。

そうそう。汁っけのものでしたね。それじゃ「サンマ団子汁」(500円)をお願いします。

「金田」のメニューは100品近くあるのですが、お造り、蒸し物、鍋物、煮物、酢物、串焼、焼物、揚物、その他一品料理、飲物ときっちりと分類されて表記されています。サンマ団子汁は、この中で「鍋物」に分類されている一品です。

来た来た。蓋付きのお椀で出てくるところがいかにも「金田」風。居酒屋なんだけど、ちょっとした小料理屋風の出てきかたをするのです。

お椀を鼻の近くまで持ってきて、ヨッと蓋を取ります。フワリと香るダシのいい匂い。これが蓋付き椀のいいところですねぇ。そのまま汁をひとすすり。ッタァ~ッ。ずぅ~っと乾いていた体の中に、ダシ汁が染みわたります。

お椀の中には、大きな団子(サンマのツミレ)が2つ。シイタケと白ネギが添えられ、ダシ汁がたっぷりと張られている。見た目も実にうまそうじゃありませんか!

団子もサンマの味がしっかりとしています。それにしてもこのダシがねぇ。……。なんてことで、実をつつき、汁を飲みしているうちに、お酒もほとんど飲まないままに、サンマ団子汁はすっかり胃袋の中に納まってしまいました。なにしろ汁っけに飢えてましたからねぇ。しかたない。もう一品いきましょう。同じく「鍋物」の中から、今度は「肉ドーフ」(700円)をお願いします。

9月に入り松茸も出始めたようで、メニューの中には「松茸土瓶蒸し」(1,500円)、「松茸茶碗蒸し」(900円)なんて品もあります。それらにも非常に引かれたのですが、今日はなにしろ午前中から飲んでるもので、すでに酔いが相当進行してしまっている。こんな状態で松茸もなぁと、今回のところはあきらめておいたのでした。

さあ来ました。肉ドーフです。お盆の上に鍋敷きが置かれ、その上にひとり用の鉄鍋がすえられています。手前にチリレンゲ、そして左には取り分けるための小鉢が置かれ、これまた小料理屋風の上品さでの登場です。

肉ドーフは、豚肉と豆腐、それにたっぷりの玉ネギをちょっと甘めに煮て、最後に玉子をフワリと仕上げた一品。ボリュームもたっぷりです。

あったかい豆腐をつついて、酒をひと口。肉をつまんでは、酒をひと口。そしてズズッと汁をすすってまたひと口と、つまみもお酒も進みます。

本当はお酒をもう1本いただきたいところですが、土曜日はいつもより30分早くて、午後9時にラストオーダーになり、午後9時半が閉店なのでした。

たっぷりの肉ドーフも食べ終わり、最後の日本酒もグイッと飲み干して、お勘定をお願いしたのは午後9時20分。少なくとも1階カウンターでは最後のお客になってしまってました。(2階から上にまだお客さんがいるかどうかは不明。)

「1,630円です」。ニッコリ顔の店主が、いつものようにしっかりと区切るようにお勘定を告げてくれます。はい。どうもごちそうさんでした。

すでに後片付けの段階に入っていた厨房の人たちも含めて、店中の人たちからの「ありがとうございました」の大合唱をうけながら、店をあとにしたのでした。やっぱり「金田」はうまいなぁ。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年9月4日(土)の記録》

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人気の定食屋が復活! … とんかつ「鉄路(てつろ)」(阿佐ヶ谷)

JR中央線阿佐ヶ谷駅のガード下に「鉄路(てつろ)」という名のトンカツを中心とした定食屋さんがあります。この店の売りは盛りの多さと肉のうまさ。ところがここ数年、店が閉まっていることが多かったのです。「どうしたのかなぁ」と思いながら、この近くを通るときにのぞいてみるようにしていたところ、先日、ついに開いているのを発見。とはいえ、ちょっと遅い時間だったので、店はおかあさんと息子さんとか片付けをしている最中。「またやるようになりましたか?」と聞いてみたら、おかあさんから「はい。前のように5時からすぐということにはならなくて、少し遅れて開店ということになるかもしれませんが、やっていきたいと思います。よろしくお願いします」とうれしい返事が返ってきたのでした。

すぐにでも行ってみたいと思っていたのですが、なかなか「鉄路」の営業時間内に阿佐ヶ谷まで帰って来ることもままならず、今日になってしまったのでした。

「こんばんは」と久しぶりに「鉄路」の入口を入ったのは午後7時40分。以前と同じようにカウンターに座ろうとしたところ、おかあさんから「テーブル席にどうぞ」と声がかかります。「え? いいんですか?」

以前はとにかくいつ入っても満席。ひとりで入ってテーブル席に座るなんてことはあり得なかったのです。ところが今は3割程度のお客さんしかおらず、テーブル席にもゆったりと空きがあります。しばらく閉めてたからしかたないのかなぁ。

店内は入口を入るとまずL字型のカウンター(Lの左側が入口)があり、ここに10人ばかり座れます。そしてそのカウンターの右奥すぐのところにテーブル席(4人掛け)が2つ。さらにもっと右奥にウナギの寝床状にテーブル席が2~3個続いているのです。(ウナギの寝床の奥のほうにはほとんど行ってみたことがないので、どうなっているのかよくわかりません。)

さて。この店で私が大好きだったのはポークソテーライス。再開一発目はぜひそのメニューでいきたいですね。どれどれ。壁のメニューを確認してみると、なんとポークソテーがない! ポークソテーばかりか、メニューの半分くらいは上から紙が貼りつけられています。

この店は、以前来てたときはおとうさんとおかあさん、そして息子の3人に、手伝いのおばちゃんが入って4人の体制でやってたのです。ところが、先日も今日も、フロアを担当するおかあさんと、調理を担当する息子の2人で店を切り盛りしている。

どうやら、以前はほぼひとりで調理を担当していたおとうさんになんらかの異変があってしばらく休業状態が続いていたものを、息子ができるレパートリーだけで再開したといった状態のようです。

ポークソテーはないものの、チキンソテーはあるようですね。「チキンソテーライス(950円)をお願いします」。水をもってきてくれたおかあさんに注文したところ、以前と同じように「チキンソテーは少し時間がかかりますが、よろしいですか」という確認が入ります。「はい、大丈夫ですよ。それとビールをください」「はいはい」。

すぐにビール(キリン一番絞り、中ビン、450円)とお通しの冷奴が出されます。さっそく1杯目のビールをプハァ~ッとやり、冷奴をひとつまみしたところで、2品目のお通しであるお新香(キュウリと大根のヌカ漬け)も登場します。そうそう、忘れるところだった。「ご飯は少なめでお願いします」。

なにしろ、ここのご飯は普通だと丼2杯分くらいありますからねぇ! 少なめでも丼1杯分よりは多いかも…。昔はバクバクかっこめてたんですが、さすがにこの年になるとビールも飲んで、普通の量のご飯を食べてというのはむずかしいですからねぇ。

カウンターの中には調理人(昔はおとうさん。今は息子)を取り囲むようにコの字型の三つの辺にそれぞれコンロがスタンバイされていて。コの字のど真ん中に立つと、コの上の辺(調理人の左手)にトンカツなどの揚げ物用の鍋が、右の辺(調理人の正面)には生姜焼きなどのフライパンを振って調理をするためのコンロが、そして下の辺(調理人の右手)に味噌汁用、デミグラスソース用、そしてソテーなんかをするためのフライパン用のコンロがずらりと並んでいるのです。

わがチキンソテーのチキンも下ごしらえが終わり、フライパンに乗せられて下の辺のコンロに乗せられます。「北島亭」(四ツ谷)の焼き肉もそうですが、ここ「鉄路」の焼き肉(ソテー)も、それほど強くない火でジワリジワリと肉に熱が入れられるのです。このあたり、おとうさんの技を息子さんも引き継いでくれていて、とってもうれしく思います。

前にポークソテーを食べたときは、たしか息子が作ってくれたので、彼もポークソテーは作れるんではないかと思うんですけどねぇ。おとうさんが横で目を光らせてたからできたのかなぁ。

ビールを飲みながらチキンソテーの焼き上がりをじっくりと待っている間にも、お客さんは次々と入ってきます。「ランチ(700円)ください」「トンカツライス(950円)ね」「チキン唐揚ライス(950円)お願いします」。なんだか、みなさんが注文しているそれぞれの品物が、みんななつかしいですねぇ。

ここは根がトンカツ屋さんだけあって、トンカツ系は3種類のメニューがラインナップ。まず普通のトンカツである「トンカツ定食(800円)」。ぐんとトンカツが大きくなって「トンカツライス(950円)」。さらにはそのグンと大きいのが2枚のった「大カツライス(1,200円)」です。そうそう。「ヒレカツ定食(1,000円)」というのもあります。

そういえば、昔社宅に住んでたときに、向かいに住んでた奥さんがこの店のスパゲティ・ナポリタンを注文し、(あまりにも大盛り過ぎて)「食べても食べても終わりが来ない」と言っていたのを思い出します。え~と。あ。スパゲティもなくなっちゃいましたか。あのナポリタンもおいしかっただけに、ちょっと残念ですね。

さぁ、来ましたよぉ。懐かしの「チキンソテーライス(950円)」です。銀色の長円形のお皿の右側に主役であるチキンソテーが2塊り。そして左側にはこれまたたっぷりのつけ合わせであるキャベツの千切り。そして左手前にはポテトサラダと、スライスされたゆで玉子(1個分)が添えられています。さらには別皿でご飯と味噌汁、そしてお新香です。

ポークソテーはあらかじめカットされてるんですが、チキンソテーはまるごと出され、いっしょに出てくるナイフとフォークで切り分けながら食べるというのも以前どおり。

ど~れ、まずひと切れ。う…、うまいっ! ちゃんと味を維持してるじゃありませんか。見直したぞ、息子!

そうしてみると、メニューを半分くらい消しちゃったというのは、おとうさんのやってたメニューをすべてやろうというのではなくて、ひとまず自分が自信を持って出せるところに絞ったということなんでしょうね。そうか、そうか。ポークソテーもスパゲティ・ナポリタンも、きっとおいおいと復活してくることでしょう。

長く閉まってましたからねぇ。常連だったお客さんたちにできるだけ早く戻ってきてほしいですね。

どうもごちそうさま。ちょうど1時間の滞在で、今日は1,400円でした。また来なきゃね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月30日(月)の記録》

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店情報: とんかつ「鉄路(てつろ)」(阿佐ヶ谷)

【このお店は現在閉店しています】

    S1080881
  • 店名: とんかつ「鉄路」(てつろ)
  • 電話: 03-3338-4788
  • 住所: 166-0004 東京都杉並区阿佐谷南2-42-1
  • 営業: 11:30(土日祝は12:00)-14:30、17:00-20:30、水休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅東口を出て、中央線高架にそって高円寺方向に横断歩道を渡ると、ガード下の建物がゴールド街。その1階の一番奥、左手が「鉄路」。
  • メモ: 小カツ定食(トンカツ定食)900、中カツ定食(トンカツライス)1,200、大カツ定食(大カツライス)1,600、豚生が焼ライス750、鳥から揚ライス950、ハンバーグ定食(ハンバーグライス)750、イカキスフライ定食750、魚フライ定食700、イカフライ定食700、ランチ750、チキンソティライス950、ハヤシライス700、野菜サラダ600など。(2007年4月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (01.08.25)(01.03.18)(00.08.14)(00.08.11)(00.05.01)(00.04.08)(99.08.23)(99.08.05)(99.08.02)

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ウナギの白焼を塩で … うなぎ「ばんば」(中野)

ブリック」を出て、中野駅北口のバスターミナルを回りこむようにして中野通りに出ます。このまま中野通りに沿って南下すると、目的の「中野センター」に出ることができるのですが、せっかくですので中野通りの1本西側を平行して通っている「ファミリーロード商店街」を南下しましょうね。どの街もそうだと思うのですが、バスも通るような大通りよりは、その1本か2本かはずれたところにあるのが飲み屋街。どうせ歩くのなら飲み屋街の中を歩くほうが楽しいですからね。

この「ファミリーロード商店街」の中ほどにあって、今日もたっぷりのお客さんでにぎわっているのが立ち飲み・焼き鳥の「やきや」です。名前からもわかるとおり荻窪の「やき屋」の姉妹店。両方くらべると中野のほうがやや高いものの、それでも界隈の標準的な居酒屋価格とくらべると安いのが特長です。

「やきや」を通り過ぎると、間もなく大久保通りに突き当たります。そして、その大久保通りの横断歩道を渡った先、右手側にど~んと横たわっている古びた建物が「中野センター」なのです。2階か3階部分にあたる壁のところに「中野光座」と書かれているところを見ると、昔は映画館かなんかだったんでしょうね。

「中野センター」の大きな建物にそって、時計まわりに回り込むように進むと、ラーメン屋や古びた小料理屋「わか松」などがテナントとして入っていて、なんだかそそられます。他にも食料品店などの店も入っているようです。

へぇ~っと思いながら歩いていると、その並びに漫画風にかわいいうなぎの絵が描かれた電燈看板があるお店を発見。開けっ放しの入口からは、何人かのお客さんが飲んでいる様子も垣間見えます。よし。この「ばんば」というお店に入ってみましょうね。「こんばんは」。

「いらっしゃいませぇ」と迎えてくれたのは、ご夫婦と思しき店主とおかみさん。店内は入口の正面から右手にかけてL字型カウンターがあり8人くらいはかけられそう。左手側と、右手手前側にそれぞれ1卓ずつテーブル席があり、それぞれ4人ずつ座れます。

午後8時半の店内は、カウンター右手奥に若い3人連れ(男2、女1)、カウンター左手奥には年配の男性1人客が座っています。私も入口を入ってすぐ、ちょうど両者の中間あたりでもあるカウンター角のところに陣取ります。

「なんにしましょう」と店主から声がかかります。「お酒をお願いします」「え~と。お酒はここに並んでるのになるんですけど」と指し示された壁際を見ると、「辛丹波」「一ノ蔵(特別純米)」「高清水」「上善如水」などの一升瓶が何本か並んでいます。それぞれの値段は明記されてないので、まずはだいたい値段がわかるところでいきますか。「高清水(たかしみず)を!」「冷たいのですか」「ええ。冷たいのでお願いします」。

すぐにカウンターの中で受け皿とコップが用意され、目の前に置かれます。そして店主がカウンターの中から出てきて、入口左手手前にある冷蔵庫から「高清水」の一升瓶を取り出して、トトトトッとあふれるまで注ぎこぼしてくれます。コップがビールメーカーのものなので、注ぎこぼれるまでいくと1合以上ですね。

その間に、カウンターの中のおかみさんが、カウンター上段に並んでいる大皿の中から、ヒジキの煮物を小鉢に取り分けて、お通しとして出してくれました。

まずは「高清水」を口から迎えにいって、ツツゥ~ッとひとすすり。ッカァ~ッ。染みますなぁ。

東北のお酒(「高清水」は秋田の酒)はすっきりとした味わいが多くて、珍味的な味付け(塩辛い系統のもの)にとってもよく合うように思います。それにくらべると、広島(西条)や愛媛などの瀬戸内のお酒は、つまみが瀬戸の小魚などの淡い味わいが多いからか、お酒のほうはいかにも日本酒といった感じの濃い味のものが多いように思うのですが、どうなんでしょうね。

それにしても、このヒジキの煮物。おいしいですね。上にのってるのは身欠きニシン。具の一部として入っている油揚げもいいバランスをかもし出していて、これだけでしばらくはいけちゃいます。

右側に座っている若い人たちは、肩から腕にかけてタトゥー(入れ墨)を入れていたり、姿かたちもいかにも今風なのですが、店主夫婦としゃべっているのを聞いていると常連さんの様子で、言葉遣いも「レモンサワーをお願いします」などときちんとしている。

若い人も年寄りも、どっちもが遠慮なく入れるようなお店は意外に少ないのですが、どうやらここはそういうお店のひとつのようですね。

さてさて。私もつまみを選びますか。さっき若い人たちはウナニラ(400円)なんてたのんでました。ウナギの入ったニラ玉なのかなぁ。カウンターの上から壁にかけて、ずらりとメニューの短冊が並んでいますが、値段は書いてあったりなかったり。若い人とお年寄りが多いお店は、(自分のお金で飲んでる人が多いので)それほど高くないことが多いので安心です。

焼き鳥、うなぎ串焼き系が各種、さらにカウンター上段にはおかみさんの手作りと思われる料理類が並んでるんだけど値段は明記なし。珍味類は塩らっきょう(300円)、鯛しおから(350円)、酒盗(350円)などなど。そしてウナギ。今日は初回だから「うなぎ白焼」(1,200円)にしてみるかな。

「白焼をお願いします。」「はい。白焼ね」と返事した店主。右に続くカウンターよりもさらに右奥側にあるらしき焼き台に向かいます。

この店は昼間もやってるようで、うな重が2,500円、うな丼(定食とも書かれている)は1,200円。壁のメニューにはなにやら割引情報(特定の曜日は安いといったことなど)も書かれています。

このあたりで年配の男性客が帰り、入れかわるようにこれまた男女3人連れ。こちらは私と同じくらいの中年のお客さんで、高円寺の阿波踊りを見に行って、その帰りにここにやってきたようです。この3人もいかにも常連さんのようで、注文もそこそこに盛り上がりはじめます。

さぁ、白焼も出てきました。四角いお皿の上側に腹の部分。下側に尻尾の部分と2列に並べられた白焼は、見た目も実に美しい。まずはひと切れ切り分けてパクリと口に含みます。

ん~。このアブラののりが白焼きですねぇ。蒲焼きにするには、ここから「蒸し」の工程に入り、最後にタレをつけて焼き上げていきます。その「蒸し」が入ってない分、白焼はカリッとアブラがのった感じで仕上がるんですね。個人的には蒲焼きよりもむしろ白焼が大好きです。

次のひと切れは定番の食べ方でワサビ醤油。うまいよなぁ。蒲焼もさることながら、実はこの食べ方が一番うまいんじゃないかなぁ。すくなくとも酒を飲んでるときには。ただ、表面積が広いということもあって、すぐに熱々の状態じゃなくなってしまうことだけが欠点なんですよねぇ。ひと口ごとに、いつまでも熱々で食べられる白焼があると本当にいいんだけどなぁ。

お酒。「高清水」のおかわりをお願いします。

「は~い」とまたまたカウンターを出て、こちらの冷蔵庫から高清水を注いでくれた店主。そのついでに「この白焼は山椒粉と塩で食べてもうまいんだよね」といいながら、四角い皿の横っちょのほうにちょいちょいと山椒粉と塩を入れてくれます。そして「これで試してみて」と言いつつカウンターの中へ。

どれどれ。ほぉ。もつ焼きの塩焼きと同じように、塩だけで食べるほうがウナギそのものの味がダイレクトに入ってきます。たしかにこれはうまい。しかしこれまたもつ焼と同じように、この食べ方でこうやって「うまい」と感じるのは、素材も相当良いんですね。そうでなければこの食べ方はすすめられませんもん。

やぁ。おいしかった。どうもごちそうさま。初回の今日は1時間の滞在で、お酒を2杯にお通しと白焼で2,400円でした。

中野も、このあたりまで来るとまだまだ発見が多いですねぇ。『恐るべし、中野!』ですね。

店情報

《平成16(2004)年8月27日(金)の記録》

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店情報: うなぎ「ばんば」(中野)

  • 店名: うなぎ「ばんば」
  • 電話: 03-3381-8344
  • 住所: 164-0011 東京都中野区中央4-61-4
  • 営業: 12:00-13:00(月火木金のみ)、17:30-23:00、日と第3土または第3月休
  • 場所: JR中野駅南口を出て、中野通りに沿って南下すること約5分。大久保通りなどと交わる「中野五差路」の先左側が中野センターで、「ばんば」もその中にある。
  • メモ: うな丼(鰻定食、1,200円)、うな重(2,500円)、鰻骨(300円)、生ビール(500円)、お酒(350円)。他に鰻キモ焼、ヒレ焼、カブト焼など。

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バーテンダーの心得 … バー「ブリック」(中野)

私の横浜での単身赴任生活もそろそろ丸3年になろうとしています。金曜日の仕事を終えると、電車で東京の自宅に向かいつつ、途中でどっかの酒場に引っかかるのも定番となってきました。たいていは東京へ向かう電車の中で「しばらくもつ焼きを食べてないなぁ」とか、「刺身が食べた~い」というところからはじまって、それじゃと店が決まっていくパターンなのですが、なぜか今日はボォ~ッと半分眠ったような状態で、気がつくともう中野。う~む。今宵どこで飲むかについては「ブリック」で飲みながら決めることにするか。

午後7時過ぎの「ブリック」の店内は1階カウンターが6~7割程度の入り。金曜日は都心部で飲んでから郊外で二次会、三次会という人が多いのか、この界隈のお店はいずこも早い時間は比較的ゆったりめのようなのです。

私もL字カウンターの短辺の角に近い位置に座り、まずは生ビールの小(400円)をもらいます。生ビールからのスタートするというのも、このところの「ブリック」の定番になってきましたが、なんでもなくスゥ~ッとついでくれるこの店の生ビール(モルツ)がとっても喉越しがよくて好きなのです。

お通し(400円)は何種類か用意されているようなのですが、飲み物として生ビールをたのむと枝豆がお通しになることが多いようです。少なくともここ3回くらいはそのパターンが続いています。

この店では、席につくとまずメニューの飲みもののページを開けて渡してくれます。そして飲みものの注文を終えると、今度はつまみのページを開けてくれるのです。今日はポテトサラダ(400円)をもらいましょうか。(ただし、すっごく常連さんで、注文するものもほぼ決まってるような人にはメニューは渡さないようです。)

生ビール(小)をググゥ~ッと3口くらいで飲み干して、トリハイ(トリスのハイボール、200円)をもらいます。

注文をすると、普段は目の前に立ててあるレシートが、さっと横向けに寝かされます。そしてバックバーからグラスをひとつ取り出して、メジャーカップでちょうど1ジガー(45ml)分のトリスを量ってグラスに入れます。そしてカウンターの中に山と詰まれた氷をカラカラとグラスに入れて、炭酸をシュワァ~ッと注ぐ。クルクルッとステアしたあと、ピッとレモンピールし、その皮もグラスに入れてできあがりです。

「はい、どうぞ」とコースターの上にトリハイを出してくれ、レシートにチェックを入れると、また元のようにレシートが立てられます。つまり、レシートが横になっている人は現在注文待ちの状態だということなんですね。

サントリーのトリスバーのページの中で、ブリック店長の菊地さんが「バーテンダーの心得は五つあります。公平であること。正確であること。親切。丁寧。スピード。これは接客の五原則です。この底にある一番大切なものは『こころ』。この一点です」ということを述べられていますが、これは店内でも徹底されていて、単価200円のトリハイでも1杯1杯をきちんとメジャーカップで計量しながら正確に、丁寧に作られるのです。バーテンダーのみなさんがきちんきちんと仕事をこなしていくさまは見ていて実に心地よい。

ポテトサラダにはマスタードが添えられているのですが、このマスタードがいつもピリッとよく効いてるんですよねぇ。ポテトサラダが出されるのと同時に、ウスターソースの瓶も出てくるところが、いかにも古くから続いているバーらしいですよね。

トリハイのおかわりをもらいましょうか。

そうそう。今宵どこで飲むかを決めなきゃね。この界隈だと、もつ焼きならば「」、魚ならば「第二力酒蔵」や「らんまん」。グダグダとしゃべりながらくつろぐのであれば「路傍」や「北国」なんかがパッと思いつきます。

ん? そういえば先日南口界隈を散策してるときに、急にノスタルジックな一角を見つけたなぁ。飲み屋っぽいのも何軒かあったような…。よし、あそこに向かってみよう。

そんなわけで、どうもごちそうさま。約1時間の滞在で、1,540円。お店のみなさんの「どうもありがとうございました」の声に見送られながら中野駅南口方面へと足を踏み出したのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月27日(金)の記録》

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恵比寿な夜 … 居酒屋「さいき」(恵比寿)

たつや」をあとに、所用で帰宅したひとりを除いた3人で二次会に向かいます。恵比寿界隈にもいいお店が多くて本来ならば迷うところですが、今日は3人の中に「さいき」の大常連さんであるK氏が含まれているため、ちぃ~っとも迷うことなく「さいき」に向かいます。道すがら、K氏がお店に電話を入れて、3人入れることも確認がとれたので、大安心です。

入口の引き戸を元気よく開けると、「お帰りなさぁ~い!」と、「さいき」ならではのお迎えの声がひびいてきます。午後8時前の店内は7~8割程度の入り。右手のテーブル席にも空きがあるようなので、われわれはそっちに案内されるかな、と思いきや、店主のクニさんが指差したのは、なんとL字カウンターのLの短辺。一番入口に近い部分の3席です。

「えぇ~~っ! いいんですか!」と確認しつつ、その席にずらりと並んで座ります。私なんて一番奥の壁際。このL字の一番手前は、いつも本当に大常連さんが座っている席で、この店に通い続けた人たちの「上がりの席」とも呼ばれているくらい。なにしろ、カウンターの中、この目の前が店主・クニさんの席。ここにでんと座って、お客さんたちとの会話をくりひろげる場所ですからねぇ。自然とそのまわりに大常連さんたちが多くなるようなのです。

さっそくK氏がキープしている焼酎「吉四六」を水割りで作ってもらって乾杯です。お通しは小鉢に入った煮物。これをチマチマとつつきながら二次会のスタートです。

カウンターのお客さんたちは、われわれを除いてはひとり客。それぞれが別々に入ってきて、別々に飲んでいるのに、それぞれの人たちがみんな顔見知りの様子。「この前、あれからどうした」「ん~。あの後? あれからねぇ、……」なんて会話からすると、顔見知り以上の、まさに『さいき同好会』の面々が集う場といった雰囲気ですね。

つまみのほうは、トマト(450円)と冷やっこ(450円)に、シメ新子(750円)をもらいます。新子(しんこ)はコハダの幼魚のこと。私自身、今シーズン初の新子ですが、新子が出るのは7~9月くらい。これで今年は最初で最後になるかもね。

そういえば前回、常連のお医者さんがこの店のことを書いた本を出版する予定であるということを書きましたが、いよいよその本が出版されました。前回の議論にもあったとおり、本の名前は「恵比寿な夜」。

「さいき」で出会った人々を題材としたエッセイ集なのですが、それぞれの人に、それぞれのドラマありで、「さいき」を知らない人が読んでもとてもおもしろいのではないでしょうか。しかし。「さいき」に行ったことがある人が読むと、なにしろどの人のことを書いているのかというのもよくわかって、よりいっそうおもしろいのではないでしょうか。さらにさらに、「さいき」のお店の様子そのものも浮かんでくるので、本を読んでいるだけで「さいき」に行った感じになるのです。

午後10時半をまわるころまで、常連のみなさんたちの輪の中で楽しく過ごし、お勘定です。「今日は39円です」。この店では100分の1の単位でお勘定が告げられるので39円は3,900円のこと(ひとり平均1,300円)。K氏のキープをいただいたおかげで安くつきました。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月26日(木)の記録》

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店情報: 居酒屋「さいき」(恵比寿)

  • 店名: 酒寮「さいき」
  • 電話: 03-3461-3367
  • 住所: 150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-7-12
  • 営業: 17:00-24:00(22:45料理LO)、土日祝
  • 場所: JR・営団恵比寿駅徒歩2分
  • メモ: 創業昭和23(1948)年。酒は賀茂泉、一ノ蔵各500円など。
  • HTML版(2003年以前): (03.12.22)(03.10.10)(02.12.13)

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おすすめはハラミとナンコツ … やきとり「たつや」(恵比寿)

恵比寿での仕事を終えて、仕事仲間たちと4人で「たつや」です。店の前に立つと、ガラリと引き戸が開き、中から出てきた店のおにいさんが「4人? じゃ、地下でどうでしょう。携帯電話も使えますよ」と、入口右手の地下への階段を指し示してくれます。グループでやって来ると、こうやって地下へ案内されることが多いのです。

この「たつや」。赤羽もびっくりの午前8時開店。朝から飲み始めることができるのです。しかも、閉店は翌日の午前5時! な~んと1日21時間もの営業時間なのです。

そんなこともあって、カウンターが主体の1階フロアは早い時間から年配のお客さんが多くて、われわれがやってくる午後6時前くらいにはもうほとんど満席状態なのです。しかし、地下のフロアは、たしか午後5時のオープンなので、1階が満席になってから、じわりじわりと地下にもお客さんが増えていくのでした。

まずはそれぞれホッピーや生ビールをもらって乾杯です。

注意しないといけないのは、この店では生ビールや日本酒などの飲みものが高いということ。生ビールは中ジョッキが710円。日本酒は大徳利が1,000円なので、普通のお店の感覚でおかわりを繰り返すと、お勘定のときにビックリということになるのです。

したがって、最初の1杯を生ビールで乾杯したら、それ以降はホッピー(410円)に切りかえてチビチビとやる。あるいは、ホッピー好きな人であれば、最初からホッピーですっ飛ばすというのがいいと思います。ちなみに、ホッピーは赤黒そろっています。

お通しのキンピラゴボウをつっつきながら、おつまみを選びます。やっぱり「たつや」といえば、まずは「ガツ刺し」(340円)でしょう。それと「やきとり盛合せ(5本)」(800円)ももらっときましょう。どっちも2人前ずつね。やきとりは塩でお願いします。

それにしても、やきとりも高くなりましたねぇ。1本160円ですか。夜中も営業してるから、その分、割り増し的な価格設定になってるのかもしれませんね。

「ガツ刺し」は、丸い深皿に細切りになったガツ(豚の胃袋)が盛られ、酢醤油がたっぷりと張られています。上にはこれまたたっぷりと刻みネギがのり、皿の縁には練りガラシが添えられています。いろんな流儀があるんでしょうが、私はいつもこのカラシを酢醤油の中に落として、グリグリとかき回し、全体を一体化した状態にしてから食べはじめるようにしています。こうすると、最初から最後まで、同じような味わいでガツをいただくことができるのです。

「やきとり盛合せ」は、ハツ、カシラ、レバー、タン、ツクネで1人前。塩焼きと指定して、レバーとツクネが入っているところに、店の自信のようなものを感じますね。レバーは素材が、そしてツクネは下ごしらえがしっかりしていないと、なかなか塩焼きでは出せませんもんね。

飲みものも随時おかわりしながら、食べものも人気の「川エビ」(450円)のほか、やきとりもハラミ、ナンコツを2本ずつ塩焼きで追加します。この店のやきとりの中では、私としてはハラミとナンコツが最もおすすめです。

ひとりでチンマリと飲むときのおすすめとしては、まずホッピー(410円)とガツ刺し(340円)を注文する。するとお通し(400円くらいなのかな?)も出てくるので、1杯目のホッピーはこれらでいただき、ホッピー(410円)をおかわりするときにハラミとナンコツ、そして好みに応じてレバーなんかを、それぞれ1本ずつ塩焼きしてもらう(160×3=480円)。これで「ごちそうさん」と席を立てば、お勘定は2,000円ちょっと。毎日飲める額ではありませんが、ま、これくらいなら許容範囲かな、というところではないでしょうか。

われわれのほうは、さらにハラミをもう1回と、タンシタ、ギンナンをそれぞれ2本ずつ追加です。ハラミはやっぱり人気がありますね。

今日は約2時間過ごし、4人で10,680円(ひとり平均2,670円)でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月26日(木)の記録》

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店情報: やきとり「たつや」(恵比寿)

    05092101
  • 店名: やきとり「たつや」駅前店
  • 電話: 03-3710-7375
  • 住所: 150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-8-16
  • 営業: 08:00-(翌日)05:00(日祝は -22:00、月曜は14:00- )、連休の2日目が休み
  • 場所: 恵比寿駅西口から徒歩3分。
  • メモ: 1階と地階があって、1階はカウンター中心、地階はカウンターのほかにテーブル席も何席かある。焼鳥(もつ焼き)は1本160円で、1本単位で注文可。おすすめはガツ刺し(340円)。ホッピーおよび黒ホッピーあり(410円)。他に南店と西店もある。(値段は2004年8月)
    〔名物やきとり(注文は2本から)〕お徳用・盛合せ1人前(5本)800、ナンコツ180、ネギマ180、ハラミ180、テッポー180、シロ180、コブクロ180、ガツ180、シイタケ180、ギンナン180、カシラ170、タン170、ハツ170、レバ170、タンシタ170、ツクネ170、ミックス170、シシトウ170、ニンニク170、ネギ170、ピーマン170。〔一品〕お通し200、焼おにぎり480、焼そば510、がつ刺し360、ホタルイカ沖漬310、みそ田楽400、キムチ400、さんま420、いかいろり焼530、げそ焼420、ウルメイワシ400、ほっけ530、ししゃも400、氷下魚490、煮込どうふ450、肉じゃが480、ジャガバタ400、川えび420、ポテト揚420、ゲソ揚420、厚揚380、若鶏の唐揚480、イカリング420、さつま揚400、塩から400、しらすおろし400、いか納豆480、おくら納豆400、冷奴300、お新香300、もろきゅう400、生野菜480、らっきょ320、とまと400、なす1本漬400、枝豆370、みそニンニク400、タコ唐揚460、おでん480、ピリカラコンニャク420。〔飲み物〕ホッピー450、レモンハイ450、ウーロンハイ450、梅サワー450、グレープフルーツハイ450、黒ホッピー450、焼酎450、おはら焼酎470、サッポロビール大640、生ビール大740、ギネス690、地酒370、ウーロン茶320、サイダー320、オレンジジュース320、ウイスキー角320、ウイスキーオールド420、サッポロワイン赤・白(300ml)690。(2009年8月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.05.21)(01.03.15)(00.10.19)(00.07.21)(00.06.20)(00.06.15)(00.02.23)(98.01.22)

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仕事帰りにおいしいお酒 … 立ち飲み「鈴傳(すずでん)」(四ツ谷)

四ツ谷界隈での仕事を終えて、四ッ谷駅まで来ましたが、ふと思い立って「鈴傳」です。時刻は午後6時ですが、さすがに月曜日とあって店内はカウンターこそ満席に近いものの、まわりの立ち飲みテーブルには比較的空きがある状態です。

この店は、カウンターの一番手前側が注文場兼受け取り場、支払い場になっていて、そこで飲みものなどを注文する仕組み。私もさっそく「小瓶のビール(350円)。サッポロをください!」と元気よく注文。するとカウンター内を仕切っている玲子さんから「小瓶はサッポロはないんだけど、キリンでいい?」と確認が入ります。「いいです。それと刺身(350円)ください」「は~い。両方で700円ね」といいつつ、まずは冷蔵ケースの中から取り出した小瓶のビールの栓を抜き、そしてカウンターの上に並んだバットから、小皿に刺身を取り分けてくれます。今日の刺身はいつものマグロの他に、タコの頭の部分が加わっています。最後にちょいとワサビを添えてできあがり。千円札を渡して、300円のおつりをもらいます。

その注文場、支払い場のすぐ横のカウンターが、ちょうどひとり分くらい空いているので、そこで飲むことにしました。

まずはグイッと1杯目のビールを飲み干して、おもむろに刺身に醤油をまわしかけます。お。刺身には刻みミョウガも添えられてるんですね。ミョウガも好きなんですねぇ、実は。

クイクイと2杯目、3杯目とビールを飲み干して(小瓶のビールはだいたいグラス3杯分なのです)、いよいよ日本酒です。どれにするかなぁ。注文場横の壁には、おすすめの日本酒が10品ほど、短冊(たんざく)に書き出されています。530円(税込み)という価格帯のものが多いようです。う~ん。迷うなぁ。一番左上端の「呉春(ごしゅん)」を飲んでみましょうか。これも530円です。

ちょっと大きめの受け皿に、ビールメーカー(アサヒビール)のマークが付いたコップが乗せられ、そこに一升瓶からお酒が注(つ)がれます。ちょうどコップにすりきりいっぱい分。ここの受け皿は、注ぎこぼすためではなくて、この注文場でお酒を入れてもらって、自分の場所に運ぶまでの間にお酒がこぼれてしまわないようにするために付いているものなんですね、きっと。

私の席は、注文場のすぐ横なので、こぼす間もなくすぐに移動でき、まずはツツゥ~ッとひと口。うわぁ。これはしっかりとした、濃い口のお酒ですねぇ。

「呉春」は、大阪府池田市にある呉春株式会社で造られたお酒です。池田市が昔「呉服(くれは)の里」と呼ばれていたことと、昔の中国(“唐”のころ)でお酒のことを「春」と言ったことから付いた名前が「呉春」なのだそうです。つまり「池田のお酒」という意味の名前なんですね。谷崎潤一郎が愛飲したお酒でもあるそうです。

今飲んでるのは「呉春」の中でも「本丸」と呼ばれる特別本醸造クラスのお酒なんですが、「白鷹(はくたか)」なんかと似た旨口の酒って感じです。燗をつけて飲んでもうまいでしょうね。

次のつまみは何にするかな。なにしろカウンターの上のケースにずらりとつまみが並んでいて、どれもこれもおいしそうなのです。煮玉子、串カツのほか、筑前煮なんかもいいですねぇ。や。一番向こうの下側はマカロニ・サラダですね。これも大好きなのです。「サラダください」とさっそく注文です。このマカロニ・サラダは350円。マカロニのほかに、キュウリやツナも入っていて、食感も味わいもいいのです。

そして、お酒のほうは前回はじめて飲んだ「伯楽星(はくらくせい)」(生詰特別純米、530円)をもう一度飲んでみましょう。ん~。そうそう。このフルーティさでしたね。「ポスト十四代の食中酒」とうたわれているお酒です。

店の中は、徐々にグループ客も増えてきて、立ち飲みテーブル席もお客さんで埋まった状態になりました。あとは入口通路側に何卓かある立ち飲みテーブル席が空いてるくらいかな。

グループの人たちは3合瓶でお酒をもらったりしています。どのお酒も「3合で」と注文すれば青い3合瓶に入れてくれるのです。

私のほうは「伯楽星」を飲み切ったところで今日は終了。ちょうど1時間の立ち飲みで、支払い総額は2,090円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月23日(月)の記録》

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テッポウ味噌を樽酒で … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

日曜日です。今日も今日とて夕方の居酒屋散歩。単身赴任寮の交通の便が悪いこともあって、平日は飲みに出かけることが少なくなってしまい、週末のこの居酒屋散歩が、私にとって重要な居酒屋タイムになりつつあります。

今日向かっているのは「秋元屋」。一昨日、もつ焼き「」で急にお客さんが増えて、もつ焼きを食べそびれちゃったので、もつ焼きが食べたくて食べたくて。

「こんちはぁ」。5時開店の「秋元屋」は、まだ開店から10分くらいしかたっていないはずなのに、もう8割がたお客さんが入っている。私も、両側の先客にあいさつしながら、入口すぐのところ(“コ”の字で言うと、下の辺の真ん中あたり)に陣取ります。

まずはやっぱりビールでしょ。久しぶりに大ビンにしようかな。ラガーのほうね。

この店のビールはサッポロですが、大ビン(480円)は黒ラベルとラガーから選択できるのです。どっちがうまいかはよくわからない(どっちもうまい)のですが、赤い星のマークがなんとなく懐かしくて、ラガーを置いてある店ではついラガーをたのんでしまいます。ッカァ~ッ、うまいっ! 1杯目のビールは他のなにものにも代えがたいですねぇ!

店主は、開店とほぼ同時にドカッと入ったお客さんたちのもつ焼きの注文に大いそがし。ここはしらばく別のつまみで乗り切りましょうか。ちょうど目の前に来たヨッちゃん(だったかな?)にガツ酢(180円)を注文します。なにしろガツ酢は、あらかじめ作ってタッパーに保存されているのを小鉢に入れてもらうだけ。煮込みとどっちが早いかというくらい、すぐ出るメニューのひとつなのです。しかも、うまい!

「昨日(土曜日)、お客さんがたくさん来てくれたんで、今日は(もつ焼きが)終わりじまいなんですよ」と店主。「日曜日は仕入れがないんです。だから、普通のもつ焼き屋さんは日曜日が定休日なんですよね」。なぁ~るほど。言われてみればそうだ。日曜日に開いてるもつ焼き屋さんって、ここくらいですねぇ。われわれからすると、日曜日にでももつ焼きを食べることができてうれしいのですが…。

お。焼き台に少し空きができたようですね。それじゃ、私も焼いてもらいましょうか。レバーとコブクロ、ハラミを1本ずつ、塩でお願いします。(もつ焼きは1本100円)

そのとたんに、まわりからも続々ともつ焼きの注文が入り、店主も、おかみさんのゆき子さんも、そして手伝っているヨッちゃんもてんてこ舞いです。「ホルモン」(沼袋)や「カッパ」(荻窪)もそうですが、ここ「秋元屋」も、焼く前のもつは別室にある冷蔵庫で保存されていて、焼く直前に、はじめて焼き台の前にやってくるのです。

カウンターの右側(“コ”の縦の辺)のところで盛り上がっている男性ふたりは、この店に来る前からもう飲んでたらしく、とっても楽しそう。今日は、ここ野方地区の夏祭りで、さっきも御神輿(おみこし)が練り歩いてた。その御神輿の休憩所で、ふるまい酒として缶ビールを2本もらって飲んだのだそうです。この時期、夏祭りが続きますからねぇ。今週は高円寺の阿波踊り。これがこの界隈では一番盛大かな。

おぉ、来た来た。まずはレバーですね。なんか、1本100円になってからサイズも大きくなったように感じるのですが気のせい? ん~。いい焼き加減ですねぇ。夏が過ぎると、レバ刺しも出せる予定なのだそうです。これも楽しみですね。

さて。ビールもなくなってきたし、今日はお酒(日本酒)にしてみようかな。この店には、日本酒もいろんな種類がそろってるんですが、今日はごくスタンダードに菊正宗の樽酒(400円)をもらいましょうか。

店の内外に菊正宗の樽(たる)がある様子でもなかったのですが、いったいどうやって出てくるのかな。興味津々でながめていると、冷蔵庫から「菊正宗・樽酒」というビン入りのお酒が取り出されて、それをトクトクと注いでくれました。なるほどぉ。樽酒をこうやってビンに詰めた状態で販売してるんですね。これならわが家でも樽酒の味を楽しめそう。いい香りですねぇ。大好きです、このお酒も。なんだか条件反射的に蕎麦がたぐりたくなるなぁ。もうすぐ新蕎麦の季節だし…。

「もつ焼きには焼酎!」と思ってきたけれど、こうやって飲んでみると日本酒もおいしいねぇ。

追加で、テッポウ(直腸)も1本焼いてもらおかな。テッポウはなにしろ味噌ダレでお願いしますね。他のものもおいしいのですが、テッポウは特に味噌ダレによく合うのです。

楽しい時間はすぐ過ぎて、もう6時過ぎ。後ろ髪を引かれつつも、この辺でお勘定。今日は1時間で1,460円でした。どうもごちそうさま!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月22日(日)の記録》

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常連さんは野菜系!? … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

土曜日です。いつもは図書館のあと「川名」に向かうことが多いのですが、気候もよくなってきたので今日はちょっと遠出をしてみようと、荻窪まで出てきました。せっかくなので、本屋さんや、昔の闇市の面影をかすかにとどめるタウンセブンの地下商店街も散策します。この地下商店街には魚屋をはじめ、八百屋、肉屋、鶏屋、乾物屋、惣菜屋、さらにはお菓子屋なんかもあって、見てるだけで楽しいのです。この地下街では「うなぎの尾張屋もおいしいよ」という情報をいただいてるのですが、まだ行けていない。今日もお客さんが多いなぁ、「尾張屋」は。

地上に出て、いつもの飲み屋横丁へ。向かう先は立ち飲みの「やき屋」です。土曜日5時前の店内は、なんとお客さんがいっぱい。ちょうど左手サブカウンターの手前側にいた人がお勘定をしはじめたので、その人と入れかわるようにサブカウンター手前側に陣取ります。もしかすると、私が入ってきたから場所を譲ってくれたのかなぁ。その場ではお礼できませんでしたが、ありがとうございます。

荷物(図書館の本が入ったデイパック)を置いて振り返ると、女将さんが「何にしましょう?」と目顔(めがお)で聞いてくれます。「ホッピー(300円)お願いします」と、いつものホッピーを注文し、そのホッピーを出してもらうタイミングで「いかなんこつ焼き」(150円)を注文します。

「いかなんこつ焼き」でナンコツと呼んでる部分は、イカのゲソ(足)とワタ(内臓)の中間の、目や口などがある部分の近くの肉のこと。ナンコツというものの、本当に軟骨があるわけではないのです。私はこの「いかなんこつ焼き」が大好きなんです。1人前6切れで普通はタレ焼き。ときどき「塩で焼いて」なんていう人もいますが、その場合は塩で焼いてくれます。

女将さんが「最近、若い人で塩で焼いてって人が多いんだけど、塩で焼けないものはあるの?」と店長のゲンさんに尋ねたところ、ゲンさんの答えは「なんだって塩で焼けるよ」とのことでした。

イカは、その身がけっこう淡白な味わいなので、個人的にはタレ焼きが好きなんですけどね。タレの甘辛い味わいのあとに、噛み締めてるとイカのうまみがジワッと出てくる。この感じが好きなんですよねぇ。

それにしても、土曜日の店内は近所の常連さんたちばかりという雰囲気。みんなそれぞれひとり客として入ってくるのですが、店に入ると互いに名前や愛称で呼び合ってるのです。なにしろ背広姿の人がひとりもいないところが土曜日らしいですね。

さてと。ナカ(焼酎のおかわり、150円)をもらって、つまみのほうは、前回「川名」の常連さんたちに人気が高かった「しめさば」(200円)をいってみましょうか。「つまみ全品150円」というのが売りのこの店にあって、シメサバだけが掟破りの200円なのです。なにしろ、袋入りの市販のシメサバとはいえ、半身まるごとが1人前ですからねぇ。驚きの安さです。

まわりのお客さんの注文を聞いていると、今日は「枝豆」(マメ、150円)と「みそきゅうり」(ミソキュウ、150円)が人気があるようです。ちなみに、カッコ内のカタカナ表記は、ゲンさんが女将さんにできあがった品を伝達するときの符丁です。

そういえば普段から「つけもの」(150円)も人気が高いですよね。意外と呑んべには野菜系のつまみがうけるのかもしれませんねぇ。う~む。そうしてみると、私なんか「いかなんこつ焼き」と「しめさば」と、まだまだタンパク質系の領域から抜け出せてませんなぁ…。

それじゃ、今日はこの辺にしときますか。どうもごちそうさま。ちょうど1時間の滞在で、840円(800円+税)でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月21日(土)の記録》

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おすすめは玉ブタ … 中華「朝陽(ちょうよう)」(阿佐ヶ谷)

もつ焼き「」からの帰り道に寄ったここ「朝陽(ちょうよう)」は、居酒屋というよりは定食屋。ビールやお酒も置いてあるよといったお店なのです。ここに書くのははじめてですが、夜遅くまで開いているということもあって、呑んだ後にちょいとお世話になることが多いお店です。

今日はラーメン(500円)をお願いしますね。

直線カウンターだけの店内は10席あるかないか。その席に、おそらくこの界隈に住んでるんだろう若者たちが5~6人座って食事をとっています。

店は、テキパキといつも中華鍋をふってるイメージの強いお父さんと、ふっくらおっとりのお母さんのふたりで切り盛り。こんなにおっとりした感じに見えるのに、ときどきけんかをしたりしているところもおもしろいところ。

店内のテレビを見ながら、出てきたラーメンをズズッとすすります。ラーメンは、特にうまくてたまらんということもないのですが、なんとなく食べたい味なのです。チャーシューメンだと650円。この季節だけ出される冷し中華の750円が、この店の最高価格です。

私が好きなのは玉ブタかな。その名のとおり、玉子と豚肉を炒めたもので、単品が500円、玉ブタ定食にすると600円。ちょっと甘めの味付けが特徴です。

こういう定食系の10品ほどが550円、600円、700円といった価格帯。それぞれ単品だと100円安です。そしてチャーハン(500円)などもある。

飲みものはビールと酒があるのですが、逆にビールと酒しかありません。(チューハイとかはない。)

昔は、換気扇の出口が、ちょうど人の高さくらいのところにあって、炒め物のおいしそうな匂いが通りを歩く人たちに襲いかかっていたのです。私も、最初はその匂いにさそわれて、店に入ったのでした。その後、換気扇の出口が、ちょっと高いところに移ったので、あのおいしそうな匂いがあまりしなくなったのが残念です。あいかわらず、ザッザッと炒め物をする音は響いてきますけどね。

どうもごちそうさま。はい、500円ね。

この店の向かいには、ワインやビールに力を入れている酒屋、「升要」があって、こちらも店内のお酒をながめてるだけでもおもしろいところです。

店情報

《平成16(2004)年8月20日(金)の記録》

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店情報: 中華「朝陽(ちょうよう)」(阿佐ヶ谷)

  • 店名: 中華定食「朝陽」(ちょうよう)
  • 電話: 03-3339-4650
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北4-7-12
  • 営業: 17:00-24:00、毎月22日定休
  • 場所: JR中央線阿佐ヶ谷駅から、旧・中杉通りに沿って北上すること約10分。右手。店の向かい側は酒屋「升要」。
  • メモ: 夜遅くまでやっている定食のお店。ちょっと甘めの「玉ブタ定食」(600円)がおすすめ。定食は550円、600円、700円の価格帯で10品程度。直線カウンター8席程度の店内は、遅くまでにぎわっている。
    〔飲物〕ビール中瓶500、お酒400。〔定食(ライス、みそ汁、お新香付き)〕餃子550、コロッケ550、ニラ玉600、ナスからみそ600、麻婆豆腐600、玉ブタ600、とんかつ700、焼肉700。〔サイド〕生玉子50、納豆100、冷奴120、目玉焼150、ハムエッグ200。〔御飯物〕ライス200、半ライス100、大盛ライス+100、チャーハン500、カレーライス500、玉子丼500、中華丼550、天津丼550、細切肉御飯600。〔麺類〕ラーメン500、タンタンメン600、タンメン600、みそラーメン600、モヤシソバ650、焼ソバ650、ナスソバ650、天津メン650、五目ソバ650、チャーシューメン650、細切肉ソバ700。〔一品〕餃子400、野菜イタメ400、レバイタメ450、レバニラ500、レバー野菜500、肉ニラ500、肉野菜500、春雨500、回鍋肉500、麻婆豆腐500、ナスからみそ500、玉ブタ500、肉うまに650。〔スープなど〕玉子スープ300、野菜スープ320、青菜湯350、みそ汁50。(2009年1月調べ)

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東十条から中野へ … もつ焼き「春(はる)」(中野)

斎藤酒場」を後に、久しぶりに十条~東十条をブラブラしてみます。JR線の踏切を越えて演芸場通りに入ります。すぐ左手にあるのが、ここも人気の大衆酒場「田や」。煮込みが300円、煮込み豆腐が500円といったお店です。外から垣間見える店内には年配客が多い様子。大衆酒場の世界は、今でも年の功が信頼できるので、年配客が多いお店は安心ですね。今度入ってみたいお店のひとつです。

その先、右手が人気の讃岐うどん屋、「すみた」です。外には若い男女ふたり連れなどが5~6人ほど行列しています。

東十条駅を通り過ぎて坂を下ると、交差点の右手側にあるのがもつ焼きの「埼玉屋」。ここのもつ焼きも、都内で五指に入るほどうまいのですが、前回訪問時(3年前)に1串100円だったのに、その後120円の時代をへて、今は1串130円になっているそうです。氷を入れると水っぽくなるという理由で、焼酎自体を凍らせた生ホッピーやレモンハイ。「肉を食べるときは野菜も食べてね!」と、半ば強制的に注文させられる生野菜(クレソン、大根など。3年前は400円だった)も懐かしいですね。

今日は、同じ交差点の左側にあるもつ焼き屋、「新潟屋」をのぞいてみようと思っていたのですが、ガラリと引き戸を開けて入ってみると、店内は満席。この店はもつ焼き屋さんにしてはけっこう大きいですねぇ。もしかすると、練馬の「金ちゃん」や恵比寿の「たつや」と同じように、もつ焼きもあるけど、ほかのつまみもいろいろとそろってるタイプの居酒屋なのかな。しばらく入口のところで待ってたものの、(店員さんが近くにいるのに)「いらっしゃいませ」の声もかからないほど忙しそうな状況だったので、今日はやめておくことにしました。

再び電車に乗って、自宅のある中野方面へ。そうです! もつと言えば中野の「春」があるじゃありませんか! しかも今日は金曜日。レバ刺しの食べられる日ですからね。(「春」では、月・水・金曜日のみレバ刺しが食べられるのです。)

どうかなぁ? と思いながら「春」の店内をのぞき込んでみると、午後8時過ぎの店内はカウンターの手前側に先客が2人いるだけ。さっそく一番奥に陣取って、例によってホッピー(380円)をいただきます。お通しはいつもの豚耳刺しです。

この店は、午後7時半~8時半くらいに開店となるので、今の時間はまだ開いたばかりなんですね。

先客が注文していた品も一段落し、店主が「なににしましょう」とたずねてくれます。「レバ刺し(380円)と、ガツ刺し(380円)をお願いします」。

この店では、レバ刺しもガツ刺しも、注文に応じて塊りの豚レバーや胃袋からスライスして出してくれるのです。もつ焼きも同じ。レバーを注文すると、その時点で下ごしらえをはじめて焼いてくれます。魚の刺身だと、注文してから刺身にしていくのは比較的当たり前のことなんですが、もつの場合はあまり見かけません。この強烈な鮮度が「春」の人気の秘密なのです。

しかし、なにしろほぼ店主ひとりでこれらの支度をやらなければならないので、お客さんが多くなってくると大変なのです。

こうやってレバ刺し、ガツ刺しの出を待っている間にも、お客さんは続々と入ってきて、私が入ってから15分もたたない間に、直線カウンターだけ7席分(つめて8席分)の店内は、もう満席です。

さあ、レバ刺し。どうです、このエッジがピシッと立ったきれいなレバー。これは、ごま油に塩をちょいちょいと入れて食べるとうまいんですよね。ん~。とろけます。ここのレバ刺しを食べると、ほかの店ではなかなか食べる気にならなくなっちゃうんですよねぇ。困ったもんだ。

そしてガツ刺し。こちらは酢味噌で。どういうわけだか、ガツとお酢とは合うんです。

ホッピーのほうも、ナカ(焼酎部分のおかわり)をもらいましょうね。

その間にも、満席(8人)のお客さんから次々に注文が入り、もう店主は一瞬も休めないくらいの忙しさになってきました。その状態でも、入口から店内をのぞきこんで、残念そうに帰っていく人もいる。

本当は、もつ焼きもいくつかいただいて帰りたかったのですが、少し時間がかかりそうなので、この辺にしておきますか。どうもごちそうさま。

1時間半の滞在で、今日は1,540円でした。

店主に「どうもありがとうございました」と見送られながら、カウンターのお客さんたちの後ろを通って入口へ向かいます。あ。なんと、一番入口の席にいるのは、先日、「秋元屋」でお会いしたお客さんです。もつ好きの集まる店のひとつですからね、ここも。「どうも、どうも」なんてあいさつをしながら店を後にしたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月20日(金)の記録》

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町内に越してきて!? … 居酒屋「斎藤酒場(さいとうさかば)」(十条)

恵比寿界隈での仕事を終えてJR埼京線で北に向かうこと20分弱。十条駅に到着します。駅前のロータリーを右に回りこむようにして右側の路地に入ると、左手に大きく大衆酒場と書かれた紺ののれん。ここが「斎藤酒場」です。

いい居酒屋が居並ぶ北区でも、この「斎藤酒場」は1、2を争う名居酒屋。いや。東京全体で見ても五指に入る店なのではないかと思います。

大きなのれんをくぐり、引き戸を開けて店内へ。午後6時過ぎの店内は、もうたくさんの人です。「いらっしゃいませ。おひとりさん? こちらへどうぞ」と、店のおばちゃんのひとりが店内右手のテーブル席を指し示してくれます。

この店にはカウンター席はなくて、すべてテーブル席。しかもそのテーブルがすべて形が違う天然木のテーブルなのです。

お客さんは、仕事帰りのひとり客といった感じの男性客が多いのですが、それぞれがテーブルの空いているところへひとり、またひとりと案内されて入れ込み状態で入っていくのです。

「小瓶のビールをお願いします」。まずは例によってビールからスタートです。ビールはサッポロ黒ラベルで小瓶は330円。ちなみに大瓶だと440円。壁のメニューに「冷やしビール」と書かれているのがおもしろいですね。昔はキュ~ンと冷えてるということが売りだったのでしょうか。なにしろ、昭和3(1928)年創業。今年でもう創業以来76年になるという老舗ですからねぇ。

そのビールといっしょに出てくるのはお通しの小皿です。このお通しはサービスで年中同じで、殻付き落花生が3つ。そして割り箸が出されます。

1杯目のビールをググゥ~ッと飲み干してひと息つきます。やぁ、今週の仕事も終わりました。ほっとしながらもう1杯。小瓶のビールは、コップに3杯ぐらいの量(350ml)なので、「なにはさておきまずビール」というときにちょうどいいのです。

ものの10分くらいの間に、落花生3つ(中のピーナッツでいうと6粒分くらい?)をつまみに小瓶のビールを飲みきります。

その場で軽く(顔の前くらいの高さに)手を上げて合図を送ると「は~い」とおばちゃんがやってきてくれます。「お酒とマグロブツをください」「お酒は冷たいのにしますか」「えぇ、そうしてください」「は~い」。

この店では、フロアは昔から3人ほどのおばちゃんたちが切り盛りしているそうなのです。もちろん、昔はおばちゃんではなくて、おねえさんだったんでしょうが…。そんな大ベテランのおばちゃんたちなのに、いい意味で可愛らしいのです。

だいたいは3人が店内に目配りしているのですが、お客が多くなってくるとやはり目の届かないところも出てくる。そんなときに店内から「すみませ~ん」と声がかかると、「は~い。お声かけどなた?」と声がかかったあたりにすぐ出向いていきます。

そして、お客さんが「スジコひとつと…、あと冷やっこもらおうかな」と注文すると、「は~い。あら、スジコとヤッコで覚えやすいわ」なんて、ものすごく忙しそうな状況下にもかかわらずニッコリと微笑みながらの切り盛りなのです。有名になってくると、やたら店員さんがえらそうな態度になったりする店もあるのですが、ここ「斎藤酒場」にはそういうところは微塵(みじん)も見られません。

「はい。お酒はこちらでしたね」と、受け皿に置いた分厚い多角形のコップ(←よく、屋台で出てくるヤツです)にトトトッと、受け皿にあふれるまでお酒を注いでくれます。このお酒(清龍)がなんと160円。

そして、東京の居酒屋の華(はな)、マグロブツは小皿に盛られて250円。どうです。お酒とマグロブツで合わせて410円ですよ!

ちなみにマグロブツは250円ですが、マグロ刺しは450円です。そして、このマグロ刺しの450円というのが、この店で最も高いつまみなのです。2番目に高いのは、さっきとなりのお客さんがたのんでたサンマ塩焼きの400円かな。

逆に一番安いのは花らっきょうの150円。2番目はワサビ漬けの180円と続き、その次は冷やっこ、ポテト野菜サラダ、カレー野菜コロッケ、串カツ、イカ塩辛、お新香盛り合せなどなどの200円ものとなり、250円、280円、300円、350円と続きます。

目の前に置かれている伝票にも一番左の縦の列には150円、180円、200円、……と先ほどの値段が印刷されていて、その右側に1、2、3、4、……と数量が書かれています。飲んだり食べたりするたびに、その数量のところにチョンと印が付けられます。最後にこの伝票でお勘定してもらうという仕組みなのです。

さっき入ってきた常連さんと思しき男性客。空いてる席に座ると、おばちゃんのほうから「お酒と煮込みでいいの」なんて、先に声がかかっています。ほぼ毎日やってきてはお酒と煮込みを注文してるんでしょうね。この店に限らず、私がとっても好きな「毎日でも行くことができる大衆酒場」にはこういうお客さんが多いように思います。

横浜・野毛の「武蔵屋」なんて、この究極的なもので、店の側で固定したメニューにしてるくらいです。同じ人に迎えられ、同じ席に座り、同じ肴をつまみに、同じ酒を飲む。たとえ昼間の仕事が波乱に富んでいたとしても、夕方のこの瞬間にフゥ~ッとくつろげるのではないでしょうか。

さてさて。お酒(160円)をおかわりして、この店の名物料理のひとつポテトサラダ(正確にはポテト野菜サラダ、200円)をもらいましょうか。ポテトサラダも、東京の大衆酒場ではマグロブツと並び立つ主力メニューのひとつですね。

「斎藤酒場」というのは、斎藤さんがやってる店だから「斎藤酒場」かと思いきや、実は違うらしいのです。中島らも、小堀純共著の「せんべろ探偵が行く」の中で、このあたりを女将さんに確認していて、それによると、女将さんのお父さんが働いていた酒屋が斎藤酒店で、そこからの暖簾分け(のれんわけ)で今の場所に酒屋を出したのがはじまりなので、店の名前も「斎藤」を引き継いでいるのだそうです。

その後、「女手でもできるように」と、女将さんのお父さんが接客中心の大衆酒場にしてくれたのが今に続いているのだとか。ちなみに女将さんは吉田さんなのだそうです。

そうそう。その「せんべろ探偵が行く」の中で、故・中島らも氏が次のような文章でこの店のことを書かれていて、それがこの店のことを実によく表していると思いますので、引用させていただきますね。

【引用開始】
今回、「斎藤酒場」で飲んでいて、蕎麦屋で飲んでいるときのあの感じを思い出した。店内はとても静かで一人一人の客が自分のためだけの酒を飲んでいる。1杯160円なので、千円でベロベロになろうと思えば不可能ではないが、そんなことをする客はいない。3杯くらい飲んでほんのりと潤ったらサッと帰る。

おれが自分の町内に求めていたのはこれだ、と思った。いつも通りの簡素な肴があって、ほど良く冷やした酒があって、そして必ず自分のための席がある。ぼんやり何も考えないで小一時間を過ごす。今の日本に失われてしまったのはこういう空間なのだ。

十条に引っ越そうかという考えが本気で脳裡を過(よぎ)った。「斎藤酒場」がおれの町内に引っ越してきてくれたら一番いいのだが……。
【引用終了】

ちょうど1時間の滞在で、今日は1,100円でした。どうもごちそうさま。

そういえば、太田和彦さんの番組「新全国居酒屋紀行」でも、ここ「斎藤酒場」が紹介されました。このたび、その番組のDVDができたのだそうで、「太田和彦のニッポン居酒屋紀行(1)東日本篇」の中で「みますや」、「さいき」、「銀次」など14軒のうちの1軒として、ここ「斎藤酒場」も入っているそうです。

こういうのがあると、自分の行けない地域の居酒屋の様子も知ることができていいですね。なお同じシリーズで「(2)中日本篇」「(3)西日本篇」も出ているそうです。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年8月20日(金)の記録》

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店情報: 居酒屋「斎藤酒場(さいとうさかば)」(十条)

    斎藤酒場
  • 店名: 大衆酒場「斎藤酒場」(さいとうさかば)
  • 電話: 03-3906-6424
  • 住所: 114-0034 東京都北区上十条2-30-13
  • 営業: 16:30-23:30、日休
  • 場所: JR埼京線十条駅の西口から、駅前ロータリーにそって右に周り、すぐの路地を右折した左手側。駅から徒歩30秒程度。
  • メモ: 昭和3(1928)年創業。お酒160円、焼酎160円。串揚げ(2本)200円、ポテト野菜サラダ200円、自家製カレーコロッケ200円など。
  • HTML版(2003年以前): (01.08.28)(01.05.16)(01.02.23)

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