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2004年11月

今月の夕食会はカワハギ … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

「竹よし」は、第37回目となる夕食会です。今日のテーマはカワハギなんですが、それだけじゃさみしかろうと店主(マスター)が選んだのが生ガキと秋サバの棒寿司。カワハギは三崎産、生ガキは三陸産、そしてサバは三重産と、“三”のつく産地3つのそろい踏みとなったのでした。

このところ、台風に見舞われたりしたこともあって人数が少ない会が続いていたのですが、今日は久しぶりに13人という満席状態です。(ギッチリと詰めれば14人は入れるそうです。)

前菜まずは例によって生ビール。つまみはママの手料理からはじまります。チコリにのってるのはひとつはトンブリ。もうひとつは玉子の黄身の味噌漬けです。

今日のポジションはカウンターの一番奥。となりにはItさん、そのまたとなりにはTa奥さん、そしてTkさんと常連さんが居並びます。もちろんメンバーは常連さんばっかりではなくて、新しくいらっしゃった方々もいるのですが、たまたまこの付近がそういう並びになっているのでした。

うしろのテーブルのほうにも、最近はめっぽう役者稼業のSkさんと、Skさんが元いた会社の女性社員の方(みんなからは“Skさんの愛人”なんてからかわれてますが、Skさん本人は一所懸命否定しています。)、さらには大常連Tmさんおよびその御一行の方々もずらりとそろって、いつものように地元のご隠居Ssさんも入って盛り上がりはじめます。

カワハギ刺身出てきたのは三崎産カワハギの刺身です。もちろんキモの小皿付き。この小皿に醤油を入れて、キモをよぉ~く溶いていただきます。ん~。カワハギだけだとさっぱりと淡白な白身なんだけど、キモと混ぜ合わせることで濃厚な味わいになりますねぇ。

これは日本酒を合わせなきゃね。私の座っているカウンターの一番奥は、すぐ横が日本酒の保冷庫。夕食会のときは飲み放題なのです。さて、どれにしようとながめていると、うしろのTmさんから「今日はいいお酒がありますよ」と声がかかります。ん?とTmさんのほうを見てみると、なんと「酔鯨(すいげい)」のいつもとは違うバージョン。どうやらTmさんが持ち込まれたようです。さっそくごちそうになることにしました。私と同じ四国生まれのお酒(「酔鯨」は高知の酒)ということもあってか、このお酒はとっても好きなお酒のひとつです。

生ガキそこへ出てきたのは三陸産の殻付き生ガキ。これもまた、見た目からすでにおいしそうですねぇ。まず1個目はいつものようになにもつけずにそのままツルリ。この塩味が絶妙です。

こうやってメインの魚介類をいただいている間も、ママの手料理は常に大皿にど~んと用意されていて、いつでもちょいちょいとつつくことができます。たとえば厚揚げの煮たものや、さっぱりモヤシのおひたし風、野菜入りさつま揚げや春巻、さらにはゴボウ煮やポテトサラダ、そしてズワイガニなどなど。こちらもこちらで、お酒が進む逸品ぞろいなのです。

秋サバ棒ずしそして三重産の秋サバが棒寿司になって登場します。これはまた、きれいなサバですねぇ!

お酒のほうも「酔鯨」がなくなったので、次は「天狗舞(てんぐまい)」の山廃仕込み純米酒です。これもいいお酒です。いつもはビール中心のYkさんも、「これなら大丈夫」と日本酒に切りかえます。本当にすっきりと入ってくる日本酒です。

最後の締めははカワハギの鍋。飲んで、食べて。ヘロヘロになりながら一次会はお開き。このあと、有志4人で「ピュアー」での二次会だったのですが、これはもうほとんど記憶にないくらいよく飲んだ夕食会でした。

ますます冬が近づいてきて、来月の夕食会(12月11日(土)予定)も楽しみですね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月13日(土)の記録》

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燗酒でウナギ串焼き … うなぎ「川二郎(かわじろう)」(中野)

先日食べたばかりなのに、またウナギです。でも今日は白焼(しらやき)や蒲焼(かばやき)ではなくて串焼き。こうやって食べるウナギの各パーツがまたうまいのです。

ウナギ串焼きの「川二郎」は、中野駅の北側に広がる飲み屋街の一角、それもかなりマニアっぽい一角にあります。小さい店内はいつも満席のことが多いのですが、どういうわけだか金曜午後8時半の店内は、先客はカウンターの2人だけ。

だいたい週末は都心部(山手線の内側あたり)で飲んでる人が多いようで、中央線のこっちのほうは遅い時間にならないと込まないことが多いのですが、それにしてもこんな「川二郎」はじめて見ました。先客の二人がL字カウンターの縦棒のところに座っているので、私はバランスをとって横棒のところ、入り口のすぐ右手に座ります。この横棒の部分の内側がちょうど焼き台になっているので、ウナギを焼いてる様子をよ~く観察することができます。(だからってどうということはないのですが…。)

まずはビール(キリンラガー、大ビン、500円)をもらい、いつものように「ひと通り」を注文します。「ひと通り」というのは、文字通りウナギの各パーツをひと通り焼いてくれるもので、通常は八幡巻(やわたまき、250円)、串巻(くしまき、200円)、キモ焼き(200円)、ヒレ焼き(150円)、エリ焼き(150円)、レバ焼き(170円)の6本、金額にして1,120円です。「今日はレバーが売り切れたんですけど、いいですか」と店主(マスター)。遅い時間(この店は午後10時まで営業)になると売り切れの品も多くなってしまうのです。

お通し(サービス)のキャベツの漬物を、串で突っつきながらビールを1~2杯飲んだところへ「ひと通り」が焼きあがってきました。私は「ひと通り」と呼ぶことが多いのですが、みなさん「セット」とか「ひとそろえ」とか「一人前」とか、いろんな呼び方をされてるようです。

なるほど、レバ焼きの代わりに串巻になりましたか。もともとの「ひと通り」の中にも串巻が入っているのですが、今日のは1本は塩焼き、もう1本はタレ焼きと、味にもバリエーションをつけてくれています。まずはこの2本の食べ比べからいきますか。(ちなみに、普段は塩焼きのほうが出てきます。)

串巻というのはウナギの身を縦に細く切って、クネクネと身をよじらせながら串に刺したもの。なにしろウナギの身そのものですから、うまくないわけがない。塩もタレも、それぞれにホッコラと実にいい味わいです。鶯谷(うぐいすだに)の「鍵屋」などで出される「くりから」なんかもこのスタイルですね。なお「くりから」というのは「龍が剣に巻きつく様子」のことなんだそうです。

次はキモ焼きかな。レバ焼きは文字通りレバー(肝臓)だけを串に刺して焼いたものですが、こちらキモ焼きはレバー以外の内臓全体を焼いたものです。レバーのほうが貴重そうに感じますが、実は値段はこちらが高い。レバ焼きの170円に対して、キモ焼きは先ほどの串巻と同じく200円なのです。うなぎ屋さんで「肝吸い」になるのも、この内臓全体の部分のようですね。内臓らしい歯ごたえ(もつ焼きの“シロ”なんかと共通するタイプの歯ごたえ)の上に、ちょっとした苦味もあって、酒飲みにはぴったりの1本です。

そんなぴったりの1本にあわせて、今日は日本酒(260円)をもらいましょうか。燗でお願いしますね。

目の前には、受け皿とコップが用意され、あらかじめ燗がつけられてポットに入れられている日本酒がつがれます。ここの日本酒は秋田の「新政(あらまさ)」。店主が仕事の合間合間に湯のみでチビチビやっているのもこのお酒です。「1日じゃかなりの量になるんじゃないの」とカウンターの常連さんがからかいますが、「そんなことはない。3合くらいだよ」と店主。う~む。私が来てからだけでもそれくらいいったような気がしますけどねぇ。(笑)

続いてはヒレ焼き。ウナギの背びれや腹びれをニラやバラ(腹骨)といっしょに巻いたものです。ヒレという言葉だけを聞くと骨々した食感をイメージするかもしれませんが、そんなことはまったくありません。これも大好きな1品です。

そしていつもはエリ焼き(首まわりの肉。いわゆるカブト)が出ることが多いのですが、今日はバラ焼きが出ているようです。腹骨、牛肉でいえばカルビにあたる部分ですね。

最後は八幡巻。この店の串焼きの中でも、短冊とならんで1本250円という最高価格の品です。ゴボウのまわりに、串巻と同じ細く切った身をくるくると巻きつけたもので、ウナギとゴボウの相性も非常にいいことをわからせてくれます。

お酒(260円)おかわりお願いします。あと、カルシューム(300円)ください。

カルシュームというのはウナギの中骨を油で揚げて塩をふりかけたもので、ポリポリとした歯ごたえも爽快で、いいつまみになるのです。

私以外のお客さんふたりは相当な常連さんのようで、いつもは比較的無口な店主も、おかみさんも気楽に会話を繰り広げています。お客さんが少ないから、それほど忙しくないということもあるんでしょうが、こういう空気(雰囲気)ははじめてですねぇ。話の内容(この地域の昔の話や今の話などなど)もおもしろいので、もうちょっと聞いて帰ることにしましょう。「短冊(たんざく、250円)とエリ(150円)を1本ずつ焼いてください。塩で」。

短冊は、蒲焼なんかにするのと同じ身を、串にさせるくらいの大きさにカットして串焼きにしたもの。それを塩で焼いてもらうとウナギの「白焼」に近い感覚で楽しめるのです。タレ焼きにしたら「蒲焼」風になるんでしょうね、食べてみたことがないですが。

さらにお酒(260円)をおかわりし、お新香(300円)を注文しますが、これまた売り切れとのこと。じゃ、キャベツ(200円)ください。キャベツは、お通しとして小皿で供されるものを別注するもので、小鉢にたっぷりと出てきます。

焼きものはバラ焼き(150円)とヒレ焼き(150円)をお願いします。「バラは、今度は塩で焼いてみましょうか」と店主。へぇ。バラも塩焼きができるんですねぇ。ぜひそうしてみてください。

ウナギは身もうまいですが、こういう腹骨の部分や、ひれの部分もまたうまいですよねぇ。堪能いたしました。

今日は閉店の10時まで、じっくりと1時間半楽しんで3,650円。今までで最高の支払額になりました。ちなみに、これまでの最高額は、一番最初にこの店に来たときの2,280円でしたから、いっきに60%アップとなっちゃいました。大満腹、大満足でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月12日(金)の記録》

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飯田橋でも鳥豆腐 … 居酒屋「三州屋(さんしゅうや)」(飯田橋)

今日は飯田橋(いいだばし)あたりで仕事が終了。この界隈も久しぶりです。燗酒の季節なので「伊勢藤」にもぐっと心を引かれますが、今日は新しいお店に行ってみようと思ってるのです。そのお店は、中野の「八千代」と同じく、吉田 類(よしだ るい)さんの「酒場歳時記」の中で紹介されている大衆酒場「鳥城酒蔵」(03-3261-2600、千代田区富士見2-7-16)です。なにしろ豚のナンコツのタタキが人気らしいのですが、本数に限りがある(8本のみ)そうなのでこの時間(午後7時前)になるともうむずかしいかもね。

お店は、JR飯田橋駅東口を南側に出てホームに沿って1本目の路地に入ったところにあります。「もつ焼き」「やき鳥」と大書された看板にもそそられますねぇ。わぁ。店内は35人くらい入れるらしいのですが、外から見てもわかるくらい満席。ちょっと時間帯がまずかったか。テーブル席主体の店内はほとんどが会社帰りのグループ客の様子です。なるほど、こんな店なんですね。今日は場所と、外からの雰囲気のチェックくらいにとどめておきますか。

実はこの界隈、前から気になっているお店がもう1軒あるので、そちらにまわってみることにしましょう。駅の東口までもどり、歩道橋を渡って駅の北側へ。渡りきったところのブロックをちょうど反対側へ回り込んだところにあるのが「三州屋」です。

新橋銀座、神田などに何軒かある「三州屋」ですが、ここ飯田橋や六本木などにもあるらしくて、機会があればぜひ行ってみようと思っていたのでした。

ガラリと引き戸を開けて入った店内は、左手に鍵形(左右逆のL字形)カウンターがあって、ここに10人くらい座れそう。そして右手には8人掛けの長方形テーブルが2つ並んでいて、その奥の小上がりにも8人掛けの長方形の座卓です。ということで、全体では34人くらい入れるお店です。カウンターの一番奥側が3席分程度あいているので、一番奥に陣取りますか。

カウンターは奥から2席目くらいまでは、2段カウンターの上の段があるのですが、一番奥だけ2段目のカウンターがなくなっているため、すっと平面のカウンターだけがあるような造りになっています。こういうカウンターも珍しいですね。

厨房を男性陣が、ホールを女性陣が担当しているのも他の「三州屋」と同じ感じ。ここは厨房2人、ホール2人の基本的には4人体制のようですが、ホールの一番奥、厨房との境目におばあさんがひとりいて、ホールの様子をながめています。この人がきっと大女将なんですね。ホールを担当している2人のうちのひとりが女将のようです。

女将じゃないほうのおねえさんが注文を取りに来てくれます。「ビールをお願いします。それと鳥豆腐(とりどうふ)」「は~い」。すぐにサッポロラガーの大瓶(600円)とお通し(たぶん210円)のヒジキ煮の小鉢が出されます。

先ほどの「鳥城酒蔵」はほとんどがグループ客らしかったのと比べると、こちらはひとり客もそこそこ入っているようです。

つまみの単価は比較的低く、焼き海苔の210円からはじまって、板わさなどが320円、塩辛やおひたし、しらすおろしなどの370円と続き、最高値はマグロ刺身、カツオ刺身、ハマチ刺身、刺身盛合せなどの950円です。銀座店などと同じく、昼間は定食もやってるようですね。

来た来た。鳥豆腐(480円)です。なにしろ「三州屋」といえば「鳥豆腐」というくらい、どの「三州屋」に行っても必ずあるメニューですね。同じ鳥豆腐でも、店によって味のあまりついていない水炊きタイプのものと、しっかり味のついた寄せ鍋タイプのものがあるようで、ここのはしっかり味がついてるタイプ。丼にいっぱいの鳥豆腐に、小鉢に入ったポン酢醤油。供されかたも各「三州屋」共通ですね。鳥豆腐の中味はその名のとおり鶏肉と豆腐。そして春菊です。あぁ~っ。うまい。

お酒を燗でもらいましょう。ここのお酒は「白鶴」の上撰で340円。鳥豆腐と燗酒は相性ぴったりですね。

となりにやってきたおにいさん(ひとり客)は、座りながらビールとタコワサ(470円)を注文。サッポロラガーの大瓶を飲み切る間にタコワサも食べ終えて、お酒を大徳利で注文するのといっしょに今度は湯豆腐(400円)を注文です。

しばらくして出てきた湯豆腐。長方形の平皿に、同じような長方形の湯豆腐がどんとのり、その上に左半分には刻みネギが、右半分にはカツオ節がたっぷりとのせられています。な~るほど。こういうタイプの湯豆腐なんですね。これで豆腐の上に練ガラシを塗れば、横須賀は「銀次」の湯豆腐と似たような感じになりそうですね。

おにいさんはタコワサを食べ終わったあとの醤油を、湯豆腐の上にサァ~ッと回しかけて食べ始めます。う~む。うまそうですねぇ。

そういえば、神田の「三州屋」でもこのスタイルの湯豆腐が出てくるそうですから、この湯豆腐ももしかすると「三州屋」グループの看板商品なのかもしれませんね。今日は豆腐が重なっちゃうのでやめときますが、次の機会には食べてみたいですね。

午後8時まで、ちょうど1時間ほどの寄り道で、今日は1,630円でした。どうもごちそうさま。場所は違えどやっぱり「三州屋」。ゆっくりとくつろげました。

店情報

《平成16(2004)年11月9日(火)の記録》

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店情報: 居酒屋「三州屋(さんしゅうや)」(飯田橋)

  • 店名: 居酒屋「飯田橋三州屋」(いいだばしさんしゅうや)
  • 電話: 03-3267-2465
  • 住所: 162-0822 東京都新宿区下宮比町1-7
  • 営業: 平日16:30-22:30、日祝16:00-21:00、年中無休(だけどときどき休むそうな。ランチタイムもやってるみたい。)
  • 場所: JR飯田橋駅東口を北側に出て歩道橋を渡った先、生研建設のある三角地帯の裏手。
  • メモ: サッポロラガー大瓶 600円、白鶴 340円。鳥豆腐 480円。焼き海苔 210円、板わさ 320円、塩辛やおひたし、しらすおろしなどが370円。以下、数百円台のものが続き、最高値が刺身の950円。カウンター10席、テーブル16席、座敷8席の全34席。

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シメサバ&イカワタ … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

恵比寿界隈での仕事を終えて、仕事仲間たちとどういうわけだか小じゃれたチェーン居酒屋へ。いや、けっしてここをねらったわけではなくて、もともとこの場所にあったビアホール(これまた大規模チェーン店)でビールを飲んで帰ろうという計画だったんだけど、しばらくぶりに来てみると店が変わっちゃってたんですねぇ。

ちょっとしたつまみにしたって、つけあわせの大根の千切りがキューンと天をつくようにとんがって盛りつけられたりしていて、それはすごい。見ていて恥ずかしいくらいなんだけど、まわりは男女の二人連れか若い男女のグループばっかり。おじさんたちだけで来てるのって、うちのグループくらいじゃない?

やや居心地の悪い思いをしつつも、2杯目のジョッキを飲み干すころにはいつものペースで、まわりも気にならずの状態になってきます。酔っちゃうと結局どこでも一緒だな。

そんなおしゃれな(?)飲み会を終えて、恵比寿駅で仕事仲間たちと別れ、電車でゴトゴトと都立家政へ。ひとりでの飲み直しはいつもの「竹よし」です。午後9時の店内は先客はやや年配の男性客ひとり。私もそのおじさんの逆サイド、カウンターの一番奥に陣取ります。

「今日はもうひとしきり飲んできたので、いきなり燗酒からいただこうかな。」「それがねぇ。ちょうど「菊正宗」が切れてて、今日の燗酒は「爛漫(らんまん、400円)」なんですよ。ちょっと好みよりも甘口かな」と店主(マスター)。ほぉ。じゃ、それをいただいてみましょう。

入り口側のおじさんはと見ると冷酒をいただいているようです。冷酒は気がつかないうちに酔っ払ってるから怖いんですよねぇ。お酒の強い人にはどうってことないんでしょうが、私の場合は、量はそんなに飲めないですからねぇ。昔からよく「二合半(こなから)」なんてことを言いますが、まさにそのくらいがちょうどよい。気持ちよく酔えて翌日に残らない量です。これより多くなれば多くなるだけ、徐々に二日酔いに近づいていくのでした。

そんなことを考えているところへ、お酒が出てきました。この店は、湯煎(ゆせん)で燗をつけるのでちょっと時間がかかるんですよね。でもその分お酒もうまいってもんです。ど~れ。ックゥ~ッ。温かい酒がしみわたりますなぁ。たしかに甘口だけど、嫌いじゃないぞ、この酒は。

お通し(200円)として出てきたのは小鉢に入った「タラコ煮」です。丸いボール状に整形されたタラコが2個。魚の子(卵)は大好きです。

おじさんのところになにやらつまみが出され、「よかったらどうぞ」とこちらにもそのおすそ分けがきました。「ん。こりゃいいよ。これだけでお酒が2~3本いけちゃいますよ」とおじさん。どれどれ。あ、ほんとだ。「大根の葉っぱの塩もみです」と店主。へぇ。これはいいつまみですねぇ。

「もう1本いただきましょう。こいつぁいいね」。このおじさん、背筋もピシッと伸びて、声もよく通るし滑舌(かつぜつ)もいい。しかも語り口調も咄家(はなしか)さん風。「どっかの咄家さんなのかなぁ」と思わず顔を見てしまったくらいです。(実際には近所に住んでる普通の方とのことですが…。)

「なにか作りますか」と店主が声をかけてくれます。「さっきからシメサバ(500円)やイカワタのルイベ(400円)が気になってるんですけど、あんまりお腹もすいてないんでどっちにしようかと思って…。」「どっちもおすすめですよ。じゃ、半分ずついきましょうか」。ありゃりゃ。わがままを言ってすみませんねぇ。そうしていただけるとありがたいです。

まず出てきたシメサバは、店主が「今日のサバはいいですよぉ」と言ってたとおり、まさに光り輝くようなきれいな切り身です。ん~。食感もしっかりしてますねぇ。お酒のおかわり(400円)をお願いします。

そしてイカワタのルイベ。丸まるのイカワタの塩辛をルイベ状にしたものなんですが、とけてくるにつれて中がトロットロになってくる。最初のシャリッとした状態も好きなんですが、とろ~んとなってきてからもまたうまい。日本酒にぴったりのつまみです。

咄家風のおじさんは「最後にマグロの赤身を握ってもらいましょうか」と寿司を注文します。トロではなくて、赤身というところがまた江戸っ子風でいいですね。

マグロの握りを食べ終わったおじさんが店を出て、入れ替わるように入ってきたのはYkさんです。「こんばんは」とあいさつしながらカウンターへ。Ykさんは、いつものように生ビールからスタートです。

テレビではちょうど10月23日に発生した新潟県中越地震関連のニュースが流れています。「私、阪神淡路大震災(平成7(1995)年1月17日に発生)のとき大阪に住んでて、あの地震を体験したんですよ」とYkさん。最初にゴォ~ッという音が聞こえてきて、なんだろうと思っていたらカタカタカタと箪笥や棚が揺れはじめ、次の瞬間にはドッカァ~ンと、立っていられないほどの大きな揺れがやってきたのだそうです。「大きな地震の時には、普通の地震と違って音が先にやってくるんだ」と思ったそうです。

ここでYkさんはタラの白子を「焼き」で注文。なるほどなぁ。メニューには「タラ白子酢」しかのっていないのですが、たしかにタラの白子を焼いたものはうまいですからねぇ。さすが、通ですなぁ。ほかにもタラ鍋やカキ鍋なんかもメニューに登場していて、冬の訪れを感じさせます。

さて。今週も始まったばかりなので、今日はこの辺で引き上げますか。どうもごちそうさま。1時間半の滞在で、今日は1,600円でした。それじゃ、Ykさん、お先にぃ!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月8日(月)の記録》

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黄金の輝き、ブルショット … バー「HIGHLANDER(ハイランダー)」(虎ノ門)

たっぷりとうなぎを堪能し終わったのが午後2時前。さ~て二次会。なにしろ日曜日ということもあって、普通は昼間やっているお店でも開いていないことが多いのですが、そんなときの強~い味方がホテルのバーなのです。

たとえば帝国ホテルのメインバー「オールドインペリアルバー」は11:30~24:00(LO)で年中無休。ニューオータニのメインバー「バー・カプリ」は平日は午後4時からなんだけど土日祝日は13:00~01:00の営業。ウェスティンやヒルトン、センチュリーハイアットなどの外国系のホテルは、バーは夕方からなんだけどロビーのラウンジで昼間からカクテルが飲めたりする。値段も安くはないものの、銀座のクラブなんかのように座っただけで何万円というほど高くもなくていいのです。

友人といっしょによく行くのはホテルオークラのバー「ハイランダー」です。オークラのメインバーは「オーキッドバー」なんですが、昔、「オーキッドバー」が満席だったときに、一度「ハイランダー」に入って、そこにボトルキープをして以来、あとはずっと「ハイランダー」に行っているのでした。

もっとも、最初からキープしているボトルに引っ張られて行ってるのではなくて、「オーキッドバー」よりも静かで居心地がよかったので「これはいいね」とボトルを入れた。ボトルを入れちゃったら、それに引っ張られて「今回もハイランダーにするか」ってな感じのスパイラルに入っているのでした。

「ハイランダー」に到着したのは午後2時半頃。昼下がりの店内は、ホールの手前に外人客がひとりと、一番奥のテーブルに3人連れが座っているだけで広い店内はガラ~ンとした状態。われわれ(3人)も窓際中央のテーブルに陣取ります。身体全体をすっぽりと包み込むような革張りの椅子に座ると、それだけでもうゆったり気分。このくつろぎ感が「ハイランダー」の真骨頂です。

このくつろぎ感は、カウンターに座った場合も同じです。カウンターはさすがにこういう包み込むような椅子ではないのですが、そのかわりにカウンター手前のひじ乗せの部分が、ほんわりとした皮製のクッションになっていて、そこにひじを乗せて上体の体重をあずけるのがいいんですよね。いろんなバーのカウンターの中で、ここのカウンターが一番好きです。

キープしている何本かのボトルのうち、「グレングラント (Glen Grant) 31年」がもうちょっとで空きそうになっているので、これからやっつけちゃいますか。ストレートでお願いします。

スコッチウイスキーの産地は、大きく分けると北のハイランドと南のローランド、そして西側の各島(アイラ島など)に分かれています。北のハイランドの中でも、特にスペイ川という川の流域に多くの蒸留所が集まっており、これらの蒸留所で造られるモルトウイスキーのことを、特にスペイサイドモルトといったりするようです。この「グレングラント」もスペイサイドモルトのひとつで、シングルモルトとして世界ナンバー2の売り上げ(2002年実績)を誇っているのだそうです。ちなみにナンバー1は、三角形のユニークなボトルでもおなじみの「グレンフィディック (Glenfiddich)」だそうです。これもやっぱりスペイサイドモルト。「グレンフィディック」もおいしいスコッチですよね。

互いに2杯ずつくらい飲んで「グレングラント」のボトルは終了。

続いては「ザ・マッカラン (The Macallan) 20年」にいきますか。これはまだ8分目くらい入っている。「ザ・マッカラン」も同じくスペイサイドモルト。さっきの「グレングラント」はとってもやわらかでデリケートな味わいですが、こちら「ザ・マッカラン」はパンパカパ~ンとファンファーレが聞こえてきそうなくらい華やか。スカーッと明るいスターのようなお酒です。ちなみに世界での売り上げは第5位ながら、日本では堂々の第1位です。日本で最も好まれてるシングルモルトウイスキーなんですね。英国では“モルトのロールス・ロイス”なんて言い方もされるそうですよ。

「最後にブルショット飲もうね」なんてことで、このあたりで「ブルショット (Bull Shot)」(1,785円、サ別)を注文しておきます。このカクテルはコンソメスープをキリッと冷やして、ウォッカ少量と合わせ、塩・胡椒とともに出されるもので、コンソメを冷やすのに20~30分くらい時間がかかるために、少し早めに注文しておかなければならないのです。

つまみに出されたピーナッツ、アラレ(柿の種)、そして枝付き干しぶどうをつっつきながら「ザ・マッカラン」をチビリチビリ。実にゆったりとした午後の時間ですなぁ。

バーのスタッフの人たちは、遠くから様子を見ていて、グラスが空きそうになるとスゥ~ッと近づいてきて「同じものでよろしいですか?」と確認して、ウイスキーをついでくれます。こういう至れり尽くせりのサービスがホテルならではですね。

そのスタッフの人から「ブルショットもいつでも準備できる状態になりましたので、お声をかけてください」というメッセージが伝えられます。コンソメも冷えたようですね。じゃ、さっそくいただきますか。

「ブルショット」を作るには、なにしろコンソメスープがいりますから、なかなか普通のバーでも出しにくい一品のようです。ホテルにはバーのほかにレストランもついてますから、こういうことができるんですね。ホテルオークラのコンソメは『厳選した和牛の後足のスネだけをふんだんに使用し、一昼夜、約17時間煮込んだブイヨンに、挽き肉、野菜、卵白を加えて、更に4時間』(ホテルのホームページより)かけて作ったものだそうで、カクテルになってもその深い味わいは失われていません。

よく汁物をつまみにお酒を飲んだりしますが、この「ブルショット」の場合は1杯のカクテルの中に汁物(それも最高のコンソメ)もお酒(ウォッカ)も両方含んでいるので、これだけで自己完結してる。そんな意味でも大好きなカクテルのひとつです。

やぁ。昼間からよく飲んだ。おいしかったね!

羽田空港へと向かう友人を見送ってから、夕方(とはいえまだ4時過ぎ)の町をフラリフラリと家路についたのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月7日(日)の記録》

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老舗のうなぎでまた一献 … うなぎ「尾花(おばな)」(南千住)

昨日に引き続き、またまた友人およびその息子と3人で、今日は南千住のうなぎの老舗、「尾花」です。「11時半の開店と同時になだれ込まないと、けっこう待つようになるからね」ということで、ちょうど11時半に店の前に着いたところ、そこにはずらりと行列です。わぁ。すごいねぇ。「夏はもっとすごいよ。でも、店内が広いから、これくらいなら入れると思うなぁ」と友人。

店が開いたのか、行列がぞろぞろと前に進みます。入口のところまで進むと「こちらは何人さん?」と店のおねえさんがたずねてきます。「3人です」。「はい。ちょっと待ってくださいね。え~と。はい、3人さん店内にどうぞ。靴はそのまま脱いでおいてください」と店内に案内してくれます。靴は下足番の人がちゃんと靴箱にしまってくれて、かわりに番号札をくれます。

店内は60~70人は入りそうな大広間。そこへ入れ込みで入っていくのですが、2人用の座卓をうまく組み合わせて、同じグループだけでテーブルを囲むように設定してくれています。向こうには、ひとりで来ているお客さんもいるのですが、彼も2人用の座卓をひとりで使ってゆったりと座っています。入れ込みとはいいながらも、これはなかなかいいですね。

ここは注文を聞いてからうなぎを割き、紀州備長炭で焼き上げるという昔ながらのスタイルを保っているお店なのだそうで、焼きあがるまでたっぷりと1時間ほどは待たないといけないとのこと。それはそれは。お酒でもいただきながらじっくりと待とうではありませんか。

とはいえ、まずはやっぱりビールかな。「ビールは何にいたしましょう」とおねえさん。「何がありますか?」「アサヒ、サッポロ、キリンとございます。」「じゃ、サッポロ」。なるほどなぁ。どの銘柄を指定されてもOKなようになっているんですね。ちなみにビールは大瓶が750円。メニューにはないのですが、向こうのひとり客は小瓶をもらってるようですので、小瓶もあるみたいです。

「うな重」は、一番大きそうな3,200円のものを3人前ね。え? 「肝吸い」(きもすい、300円)は別? じゃ、「肝吸い」も3人前。それと「白焼」(2,800円)は2人前。あとはつまみか。え~と。「うざく」(700円)と「う巻き」(900円)を1人前ずつと、「焼き鳥」(900円)は1人前何本? あ、そう2本。じゃ3人前。あと、子供用にウーロン茶(350円)ね。以上です。

すぐに飲みものと、小皿にちょっとしたお新香(刻んだキュウリ漬けのようなもの)、そして1品目のつまみである「うざく」が用意されます。「うざく」はうなぎとキュウリの酢の物で、昨日ちょっと飲み過ぎた舌に心地よい。うなぎがちょっと温かいところがまたいいんですよねぇ。

「う巻きです」と出てきた「う巻き」。でかぁ~っ! すごいねぇ、これは。大きなお皿にドカンとこれまた大きな玉子焼きが2切れ。中がポカンとくり抜かれたようになってて、そこにミンチ状になったうなぎがたっぷりと詰め込まれています。というか、本当はくり抜いたんではなくて、このミンチ状のうなぎを芯にして大きな玉子焼きを焼いていったんでしょうけどね。あまりにたっぷり感があるために、後で詰め込んだようにさえ見えてしまうのです。やぁ。これもうまいねぇ。すみません。ビールをもう1本。

昨日、たっぷりと飲んだので、今日は控えめにしておこうなんて思いながら来たのですが、こうやって「うざく」や「う巻き」を突っつき始めるともういけません。控えめなんてとんでもないことで、グイグイとビールも進みます。

「焼き鳥、お待たせしました」。2本が900円もする焼き鳥を食べるのは、きっとこれが初めてだと思います。なるほど、ビックリするほどうまくはないものの、炭火で上手に焼かれています。タレはうなぎ用と同じものなのかな。

ビールもなくなり、今度はお酒(700円)を燗でもらいます。今日は注文していませんが、メニューには「鯉のあらい」や「鯉こく」などの鯉(こい)料理も並んでいます。

まわりを見渡してみると、だいたいの人たちがわれわれと同様に「うざく」や「う巻き」「焼き鳥」などを注文して、お酒やビールを飲みながらうなぎの焼き上がりを待っている。みなさん徐々にメートルが上がってきて、まっ昼間なんだけどすっかり盛り上がり気味。蕎麦屋で飲むときは、みなさん比較的静かに飲んでることが多いように思うのですが、ここは入れ込みの大広間だけに盛り上がりやすいんでしょうね、きっと。

われわれも燗酒(700円)をおかわりです。

店の外には、空席待ちの行列ができていますが、なにしろ焼き上がるのに1時間はかかるので、開店と同時(11時半)に入ったわれわれが店を出るのは、早くとも1時前くらいにはなってしまいます。友人が「開店と同時に入らなきゃね」と言ってたとおりですね。

さあ。われわれより先に店に入った人たち(開店前の行列の先頭のほうだった人たち)のところにうなぎが出はじめました。おいしそうですねぇ。

「白焼(しらやき)です。お待たせしました」。はいはい。待ってましたよぉ。「白焼」は1尾のうなぎをまん中で2分して、その切った部分がちょっと重なるように長方形のお皿いっぱいに盛られています。ど~れ。うわぁ。箸を当てただけでやわらかさがわかる。まずはひと口。ん~。表面は炭火で炙られてちょっとだけしっかりめの歯ごたえなんですが、そのはかない歯ごたえの中はトロットロ。溶けますなぁ、これは。

「うな重と肝吸いです」。おいおい。これはちょっと早すぎるよ。「白焼」を2~3口しか食べていないところで「うな重」の登場です。これまでゆっくりゆっくりと飲み食いしてきただけに、「白焼」から「うな重」の速攻は予想外でした。せめて「白焼」を食べ終わってから出てきてほしかったなぁ。

大急ぎで「白焼」を片づけて「うな重」に移ります。「うな重」に取りかかってからは、3人ともほとんど無口でガバッ、ガバッとうなぎとご飯を口にほうり込んでいきます。うまいよなぁ、なにしろ。あっという間に完食です。

最後は「うな重」に付いてきたお新香(白菜とタクワン)と肝吸いをつまみに、残しておいた日本酒をいただいて終了です。

たっぷりと2時間。3人で26,000円(ひとりあたま9千円弱)でした。うぅ~。昨夜に続いて、120%の満腹です。

店情報

《平成16(2004)年11月7日(日)の記録》

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店情報: うなぎ「尾花(おばな)」(南千住)

    081207a
  • 店名: うなぎ「尾花」(おばな)
  • 電話: 03-3801-4670
  • 住所: 116-0003 東京都荒川区南千住5-33-1
  • 営業: 11:30-13:30、16:00-19:30(土日祝は中休みなし)、売切れ次第閉店、月休
  • 場所: JR南千住駅西口を出て左(駅沿いに三河島・西日暮里方面)へ。バス通り(県道464号線)を渡った向かいにある回向院の左脇の、線路沿いの道を道成りに約3分、左手。地下鉄南千住駅の場合は南口を出て右へ。バス通りにそってちょっと歩くと、左手の回向院方向に渡る横断歩道がある。
  • メモ: 60~70人は入りそうな入れ込みの大広間でいただく。予約は受けないので、行列覚悟。
    白焼3,300、うな重3,000、3,500、4,000、蒲焼3,200、3,700、4,200、中串蒲8,000位より、筏蒲焼13,000位より、うざく1,500、う巻1,800、柳川2,300、鯉あらい1,000、鯉こく1,200、焼鳥(2本)1,100、焼鳥重2,500、茶碗蒸し(10月~3月)1,100、お新香600、御飯400、小250、きも吸350、日本酒750、冷酒(300ml)1,000、凍結酒(150ml)1,100、ビール大瓶(キリン、アサヒ、サッポロ)850、ビール小瓶(アサヒ)550、ウーロン茶、キリンレモン、オレンヂジュース各400。(2008年12月調べ)

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食後のカクテル … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

四ツ谷の「北島亭」をあとに、友人とふたりで野方のバー「ピュアー」にたどりついたのは午後11時半。もうすぐ日付が変わっちゃいますね。

「スティンガー(Stinger、680円)お願いします」と友人。「私も!」とまずはブランデーとミントすっきりのショートカクテルから入ります。

今日のお通し(310円)は野菜サラダ。満腹でもこういうのであれば入りますね。

スティンガーが大好きな友人は、あっという間に1杯目のショートカクテルを飲み干して「スティンガー、おかわりお願いします」。はやっ! こっちはまだ半分くらいしか飲んでないのに。

店内は先客が4人。一番手前に男性ひとり客がいて、その奥に女性ふたり客、さらに女性ひとり客と続き、一番奥がわれわれです。女性率が高いお店ですね。

スティンガーを飲み終わるころには日付けも変わり、女性3人は席を立ち、かわりに男女ふたり連れが入ってきました。これから来るお客さんもいるんですね。

友人は最後に「エッグノッグ(Eggnog)」を注文。玉子や牛乳も入って、ぐ~んと力がわきそうなカクテルです。私は「サイドカー(Sidecar、680円)」にするかな。

最後の1杯ずつをググゥ~ッと飲み干して、本日は終了。ちょうど1時間の滞在。お勘定はふたりで4,160円(ひとりあたま2,080円)でした。どうもごちそうさま。おやすみなさ~い。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月6日(土)の記録》

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120%大満腹! … フランス料理「北島亭(きたじまてい)」(四ツ谷)

昨夜の大阪からの友人に続いて、今日は四国の友人が上京です。久しぶりに向かった先はフランス料理の「北島亭」。まずはいつものように「クリュグ」(シャンパン)をいただきながら、メニューを選びます。

われわれが店に入ったのは午後7時半。この時間が「北島亭」に予約を入れられるもっとも遅い時間です。なにしろスタートしてから最後のコーヒーまで、たっぷりと2時間以上かかりますからねぇ。

この時間になると、6時ごろに店に入っていた人たちのところへちょうどメインディッシュが出てきはじめるころ。われわれのテーブルの横を美味しそうな肉や魚が通り過ぎていきます。

「う~む。ジビエ、あんまりないねぇ」。11月だからジビエ(野生の肉類)を楽しもうと楽しみにしていたのですが、ちょっと残念です。「ホロホロ鳥と鴨なんてどう?」「仔羊も食べたいなぁ」なんてことで、メインは「ホロホロ鳥のソテー(4,500円)」「鴨のロースト(5,000円)」、そして「オーストラリア産仔羊フィレ肉の塩包み蒸し焼き(2人前、11,000円)」に決定。

ちなみにテーブルを囲んでいるメンバーは友人と私も含めて全部で4人です。けっして友人とふたりで4人前の肉料理を食べるわけではありません。なにしろ「北島亭」はひとり分の量がとってもたっぷりとしていることでも有名で、気をつけて注文しなければ、とても食べられない量になってしまうのです。

「魚も1つだけもらっとこうか」と、「白甘鯛の皮カリカリ焼き(5,500円)」を1人前だけもらうことにしました。

さぁ。あとは前菜だ。注文するときは食べるのと逆の順番に考えていくんですよね。われわれはこうやって食べたいものを勝手に言ってるだけですが、友人は「それじゃ、ワインはどれにするかなぁ」なんて、みんなの注文に合わせてワインも選んでる。これが難しそうなんですよね。私にやれといわれるとできない。(ワインだから選べないというわけでもなく、日本料理に合わせる日本酒だって選べないかも…。)

前菜は「生ウニのコンソメゼリー寄せ(3,000円)」は絶対にもらおうね。看板メニューだからね。「この前(2週間くらい前)来たとき、うさぎもうまかったよ」と友人。じゃ、それももらわなきゃ。サバもうまいよね。それと、11月といえばセップ茸も食べなきゃ。「アカザエビも食べたら」と友人。彼は自分自身では甲殻類は食べない(食べられない)のですが、みんなにはすすめてくれるのです。じゃ、それも1人前。本当はこうやって1人前ずつたのんでシェアするのはマナー違反かもしれないのですが、なにしろ食べたいものがたくさんあるにもかかわらず、自分の胃袋には限界があるので、「食べたいっ!」という欲求の前にはマナーもぶっ飛んでしまうのでした。

シャンパンを飲みながら歓談することしばし。まずはウニのコンソメゼリーから登場です。これは人数分注文したので全員に。いつも書いてるんですが、ウニのやわらかさと、コンソメゼリーのやわらかさがちょうど同じくらいに仕上がっていて、口の中でトロリンととろけるんですよね。思わず笑いがこみ上げる一品です。

そして真鯖のマリネ。これはいわゆる洋風シメサバなんですが、その切り身のきれいなこと。このまま刺身で食べてもうまそうな絶品のサバです。野うさぎのパテは、野うさぎの肉をパイ生地でくるんで焼いたもの。彼が「おいしかったよ」と言ってたとおりのいい味わいです。

ここでシャンパンが終了し「ニュイ・サンジョルジュ(94年)」が出てきます。これは、ロマネ・コンティと同じく、ブルゴーニュの赤ワイン。タンニンの渋みがコクを感じさせて、大好きなワインです。

セップ茸は、ヨーロッパでは「キノコの王様」といわれているくらいのものだそうで、秋の味覚の代表格なのだそうです。ぷくんと丸いその形は、おとぎ話の絵本に書かれているキノコの姿そのもの。それをスライスしてソテーしたものが出てきます。ムフフ。これもまた、笑いがこみ上げる一品ですね。続いてはアカザエビとアスパラ。ひと皿ひと皿に、シェフの全力投球の意気込みを感じます。

やぁ。おいしかったねぇ。居酒屋で飲む場合には、もう満足というくらい食べてますが、これがまだ前菜。これからいよいよメインディッシュに突入です。

厨房からは若い衆が「今日の白甘鯛です。これを焼きます」と見せに来てくれます。こりゃまた、ものすごく立派な甘鯛ですねぇ。ま、そういう甘鯛が仕入れられたからこそ、シェフが「見てもらってこい!」と、見せに来てくれたんでしょうね。

ワインも2本目。今度はボルドーの「シャトー・ムートン・ロートシルト(83年)」に切り替わります。こっちは柔らかで、とってもふくらみを感じる、包容力のある赤ワインです。

「白皮(しらかわ)です」と、白甘鯛の皮カリカリ焼きが出てきました。外パリッと、中トロッとというこの焼き加減は「北島亭」ならではのもの。こんな焼き魚、ほかでは食べられませんなぁ。

そしていよいよメインの肉料理、ホロホロ鳥ソテー、鴨ロースト、そして仔羊の蒸し焼きが出てきました。ホロホロ鳥は頭の部分も含めて丸々1羽分。鴨や仔羊の肉のピンクも絶妙ですねぇ。もう満腹と思っていたのに、こういうのが出てくるとどんどん食べることができるのが不思議です。

うわぁ。飲んだ、食った。もう本当に満腹。胃袋120%くらいです。でも、昔はたのみ過ぎちゃって、最後に食べられないくらいだったのに、最近は自分たちの食べられる量がちゃんとはかれるようになってきました。なにしろ注文するときには空腹だから、いくらでも食べられる気がしちゃうんですよね。

デザートは、私はシャーベットの盛り合わせにするかな。これが一番さっぱり系なのです。ほかはケーキなどですからねぇ。コーヒーはエスプレッソをお願いします。

もうほかのお客さんたちもいなくなって、厨房からは北島シェフも出てきました。

最後の最後にテーブル上に出てきたのは焼き栗です。まわりは真っ黒に焼け焦げてるんだけど、中の実のうまいこと。

やぁ。もう動けないくらい満腹。どうもごちそうさまでした。3時間のディナータイムでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月6日(土)の記録》

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ニッカのハイボール … バー「羊仔(ようこ)」(中野)

北国」を出て、まずは博多ラーメンの「長浜食堂」(03-3385-8671、中野区新井1-2-10)へ。本当は、最後の仕上げにこの店に来ようと思っていたのですが、お腹がすいているため順番変更。先にラーメン屋にしたのでした。

「こってり長浜とんこつラーメン(619円)をふたつ、硬麺(かためん)でお願いします」。さっそく出てきたラーメンに、ゴマ、紅ショウガ、コショー、そしておろしニンニクをたっぷりと入れていっただきまぁ~す。友人は明日も仕事があるのでニンニクはやめておくとのこと。これが入ると入らないではうんと味が違うんだけどなぁ。

学生のころは自動車部に入っていて、夜なか中、福岡、佐賀の山中を走り回り、明け方近くに長浜屋台でラーメンを食べたものでした。この友人は、その屋台で「かえ玉5個」という大記録を持っていたのでした。「さすがに今はそんなに食えない」といいつつも、ふたりで替え玉を注文します。あぁ~。満足。

店を出て、再び中野駅方面に戻りつつバー「羊仔」です。

午後9時半の店内は先客はなし。やわらかくS字に曲がったカウンターには店主夫婦とそのおかあさん(大ママ)が座って談笑しているところ。「あ。いらっしゃいませ。久しぶりですねぇ」とニッコリと笑顔で出迎えてくれる3人。店主(マスター)とママさんがカウンターの中に移っておしぼりを渡してくれます。

われわれもどっかりとカウンター中央部に腰を落ち着け、私はハイボール(400円)を注文。友人は水割り(300円)を注文します。

ここのハイボールや水割りに使用されるウイスキーは、こちらから特に銘柄指定しなければニッカのクリアブレンドです。私が寮で飲んでいるのもこのお酒。とってもマイルドな味わいで、飲みやすいウイスキーなのです。ただ、寮で飲むときはほとんど水割りで飲んでるので、今日はハイボール(炭酸割り)をいただいてみたのでした。ハイボールにすると、炭酸のシュワシュワとした発泡があるからか、味も香りもよりわかりやすくなる感じがします。

友人はというと、学生時代に数カ月間、余市(よいち。ニッカの蒸留所があるところ)の近くの牧場でバイトをしていたこともあって、ニッカはとてもなつかしいお酒なのだそうです。「今日はホワイトの水割りといい、ニッカの水割りといい、なつかしくておいしいなぁ」と友人。「いつもはなにを飲むの?」「ふだんは車で会社に行ってることもあって、ほとんど飲まない」とのこと。会社にもけっこう長時間いるようで、晩酌の時間もとれない様子です。

それぞれ2杯目をおかわりしたところで、マスターから「なんかちょっとつまむものでもお出ししましょうか? お腹はすいてますか?」「いや、さっき食べてきたからお腹はすいてません」と答えると、ピーナッツや豆菓子、あられなんかを盛り合わせたお皿(たぶん500円)を出してくれました。

この店では、約2時間の間にもう1杯ずつ、都合3杯ずつの水割りとハイボールをいただいて、ふたりで2,600円(ひとりあたり1,300円)でした。どうもごちそうさま。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月5日(金)の記録》

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ママが入院! … 居酒屋「北国(きたぐに)」(中野)

大阪から出張で上京している友人から「今晩、こっち泊まりなんだけど、飲みに行かない?」という電話があり、急きょ中野で飲むことにしました。待ち合わせ時刻は午後7時。横浜の事務所を5時半に出発してギリギリ到着する時間です。

「おーい。久しぶり」と落ち合って、向かったのは中野駅南口・丸井の裏にある酒坊「北国」です。

「こんばんは」と店内へ。金曜日の店内は、すでにカウンターは8割方埋まり、右手のテーブル席にもお客さんが1人座っています。どういうわけだかカウンターの中にいるユミさんから「二人ならこっちにあがる」と声がかかります。「こっち」というのは、右手テーブル席のさらに奥にある小上がりの座卓です。この小上がりは普通はお客さんの荷物を置いたり、厨房の仕事が一段落したときにユミさんが腰をおろしたりするために使われることが多いようで、私自身、ここに座ったことはありません。この機会にぜひ座ってみましょう。

カウンターの中からおしぼりを渡してくれるユミさんにまずはビールをお願いします。「キリンのラガーと一番絞りがあるけど」「ラガーのほうで。ところでママさんどうしたの?」「昨日急に調子が悪くなってねぇ。救急車で入院したんですよ。肺に水がたまってるんですって」。この間来たときにはお元気そうだったのになぁ。ちょっと心配です。

ラガーといっしょに出されたお通しは筑前煮の小鉢。見れば、ずらりと並んだみなさん全員がこの小鉢でしのいでいる。そりゃそうですよねぇ。なにしろふだんは厨房にいるユミさんがカウンターの中で大奮闘中ですから、料理をたのもうにも作る人がいない。

われわれもビールで乾杯し、その筑前煮をつまみながら近況を報告しあいます。

友人は「東京の、しかも中野駅のすぐ近くにこんな古びた酒場があるとは知らなかった。お客さんも年配の人ばかりで落ち着くねぇ」と喜んでいます。たしかにわれわれよりも若そうなのは1~2名くらいしかいなくて、その若い人もせいぜい30代くらい。

われわれ二人以外はみなさん「超」が付くくらいの常連さんのようで、「昨日は驚いたねぇ」なんて、昨日もここにいらしてた様子。そして、今日も今日とて来ないではいられない心境だったようで、あいたお皿を下げたり、新しいビールをもって来たりと、かいがいしく手伝いをしている人もいるくらいです。

1本目のビールはすぐになくなり、2本目に。ほかのお客さんたちからも燗酒などの注文が入りはじめます。「○○さんは、いつもどれ飲んでたっけ?」と確認するユミさん。カウンターの中には、日本酒が4種類くらい置いてある。ママさんは、どのお客さんがどの銘柄というのを把握していて、別に銘柄指定しなくてもその人の好みのお酒が出てくるんですが、いつもは厨房にいるユミさんにはそれがわからない。聞かれたお客も「オレが飲んでたのなんだっけ?」なんてまわりの人に聞いたりしてる。あげくのはてに「いいや。なんでも」だって。

2本目のビールも飲み終わり、「次はどうする? お酒? 焼酎?」と友人にたずねます。「いつもはなにを飲んでる?」「いつもはウイスキー。」「えっ? ウイスキー?」「そう。このところちょっと安めのジャパニーズ・ウイスキーにはまってて…。」「じゃ、俺もそうしてみる」ということで、さっそくユミさんに水割りを2つ作ってもらいます。

「うわぁ。懐かしいねぇ、ホワイト!」とグラスを持ち上げる友人。「でしょ」と笑いながら、私もグラスを持ち上げてカチンと乾杯です。学生時代に彼といっしょによ~く飲んだ洋酒(この言葉が懐かしい)がこのサントリー・ホワイトなので、こうやって飲んでると二十数年の時をさかのぼって、まるで学生時代に戻ったようです。

このくらいまできたところで、やっとまわりからもポツポツとつまみの注文が入りはじめます。それでも忙しそうなユミさんを気遣って「塩らっきょう」や「白菜漬け」「小なす漬け」なんかの手のかからないものをたのんでるところに、みなさんのやさしさを感じますねぇ。

「ユミさん。僕らもなんか欲しいんだけど、なにができる?」と聞いてみると、「時間がかかるのはできないからねぇ。サツマとか、ホヤ塩辛とか…」と、さっきのもの以外のものを教えてくれます。「じゃ、そのサツマとホヤをひとつずつ」。サツマは「野菜さつま」(たしか380円)というのが正式名(?)で、野菜入りのサツマ揚げをあぶってショウガ醤油で食べる一品。温かさが身体に染み込みます。「これは赤ホヤの塩辛よ」と出してくれたホヤ塩辛。これがジャパニーズ・ウイスキーにも合うのが実におもしろい。(ホヤ塩辛はたぶん280円)

「ウイスキーおかわりお願いします!」と2人分のおかわりをお願いすると、カウンターのお客さんが空のグラスをユミさんに手渡してくれます。

カウンターの中でウイスキーのおかわりを作りはじめたユミさん。「あら? こっちはウイスキー入れたかな? ま、いいや念のためもう1回入れとこう。濃かったら言ってね。水足すから」といいながらグラスを渡してくれます。念のため入れたほうだったのは友人のグラス。う~む。見るからに濃いぞ、これは。チビッ、と一口飲んだ彼も「やぁ、濃い濃い。でもちょうどいい」、なんて逆に大喜びです。そうかぁ、私のにも念のため入れてくれればよかったのになぁ。

ママさんが緊急入院し、いつもと違う状況ながら、お客さんはいつものようにいっぱい。われわれも結局2時間も腰を据えてしまったのでした。お勘定は2人で3,660円(ひとりあたる1,830円)。ママさん、ちょっと心配ですね。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月5日(金)の記録》

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ホット・カクテルがメニューに … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

秋元屋」を出て、みつわ通りを歩くこと約10分。「ピュアー」です。「こんばんは」「いらっしゃいませ」。マスターのいつも通りのやわらかい笑顔が迎えてくれます。

午後11時前の店内の先客は入り口側に2~3人程度。彼らの後ろを通ってカウンターの奥側に腰掛けます。お。11月に入ったのでメニューも変わってますね。まずは飲んだことのないカクテルにしてみましょう。え~と。「カミカゼ・スペシャル (Kami-Kaze Special)」(680円)をお願いします。

なんとも力強いネーミングのこの「カミカゼ・スペシャル」は、第二次大戦中にアメリカで生まれたカクテルだそうで、名前のとおり、ウォッカとライムでビシッときびしいはずなのですが、わりとスゥ~ッと入ってくる味わいです。酔ってんのかなぁ…。

今日のお通し(310円)は「ニンジン・サラダ」。すっごく細い千切りのニンジンがシャクシャクと心地好い。

さーて。2杯目は何にしましょうか。今月のメニューには、晩秋らしくホットカクテルが2品のっているので、久しぶりにホットをいってみましょうか。「ホット・バタード・ラム (hot buttered rum)」と「ホット・カーボーイ (hot Cowboy)」か。じゃ、飲んだことのない「ホット・カーボーイ」(520円)をお願いします。

マスターはIWハーパー(バーボンウイスキー)のボトルを取り出し、温かいミルクで割っていきます。へぇ。バーボンのホット・ミルク割りなんだ。西巣鴨のもつ焼き「高木」に焼酎のミルク割りという名物があるらしいのですが、バーボンもこうやって飲むこともあるんですね。温まります。

ちょっと前にとなりに入ってきた体格のいいおにいさんが「カキ三色焼き」を注文します。おぉ! 先日から気になってた一品です。マスター、私もそれください。そのかわり“S”でいいです。

この店のつまみには、全部ではありませんが“M”サイズと“S”サイズがあるものが多いのです。メニューによると、“M”が1人前で、“S”がその半分。「カキ三色焼き」の場合は“M”が840円、“S”は520円です。

待つことしばし。カキが焼きあがってきました。丸~いお皿に放射状に殻に入ったカキが3個。ひとつはポン酢で、もうひとつはチーズで、そして最後のひとつはマヨネーズで味付けられているのです。いやいや。見た目も実にいいですねぇ。

となりのおにいさんのは…。アレッ? これも同じ丸いお皿に3個なの? 「殻の中に、2つずつ身が入ってるんですよ」と笑いながらマスターが教えてくれます。なぁるほど。すっごくわかりやすい明らかさで、倍の量になっているんですね。

じゃ、このカキに合わせて「シェリー」(520円)をいただきますか。となりのおにいさんも「シェリー」を注文します。

「シェリーは、酒精強化ワインって言うんですって?」とおにいさん。「え…。そ、そうなんですか」。以前、自分でそんな話題をここに書いたばっかりなんですが、なかなか「そぉーなんですよ! この店はポートもおいしいですよ!」なんてノリでも答えられず、ついあいまいな答え方をしてしまいます。

さあ。カキもシェリーもちょうど終わったので、そろそろ腰をあげますか。マスター、お勘定をお願いします。ありゃあ、もう1時だ。けっこうくつろいじゃいましたねぇ。

マスターから「ありがとうございます」と手渡されたお勘定は2,550円。どうもごちそうさまでした。

席を立ったところで、となりのおにいさんが「私、黒ジャージです」とニッコリ。なぁ~んだ、そうだったんですか。それならそうと、早く言ってくれれば良かったのにぃ! ちょっと警戒しちゃったじゃないですか。

黒ジャージさんは、ここの掲示板にもよく書き込みをしていただいている方ですが、お会いしたことはなかったのです。というか、前に一度この店で同じ時空を共有したことはあったようなのですが、そのときはお互いに認識できなかったのでした。

「またよろしくお願いしま~す」なんてごあいさつをして店を後にしたのですが、翌日の掲示板情報によると、黒ジャージさんは、このあとまだ数軒ハシゴされたのだそうです。 … すごいっ!

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月2日(火)の記録》

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再開おめでとう! … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

1ヶ月ほどお休みしていた「秋元屋」が、昨日、11月1日に再開しました。私自身は昨日は横浜だったので、再開二日目の今日、行ってみることにしたのでした。

掲示板によると、初日の昨夜は大盛況だった様子。今日は祝日前なのでもっと多いかなぁ。もしかしたら座れないかも。なんて思いながら西武新宿線・野方駅を出ます。時刻は午後9時ジャスト。

どうかなぁ? と店をのぞき込むと、まず店主のあったかそうな笑顔が目に飛び込んできます。いやぁ。まずはひと安心。や。カウンターの奥のほうは空いてますね。よかったよかった。さっそく開けっ放しの入口から「こんばんは」と店内に入ります。「あ。いらっしゃいませ」と迎えてくれる店主もうれしそうです。

コの字カウンターの一番奥に陣取り、ヨッちゃん(店を手伝っている女性)にも「久しぶりです。よかったですね」とあいさつをしながら、まずサッポロラガーの大ビン(480円)をいただきます。

ググゥ~ッと1杯目のビールを飲み干して、店内の様子を確認します。再開にあわせて、壁のメニューを新しく作り直したんですね。でも、それ以外は変わっていない。あ、ゆき子さんがいないか。

しばらくして、焼き台から手があいた店主が「なんにしましょう?」と声をかけてくれます。「レバ生(300円)をお願いします」。「はい」とニコッと笑った店主、「ちょうどこれでレバ生は終わりです。今日はいいレバーが入ったんですよ」とのこと。

店主が冷蔵庫からレバ生を取ってきてくれて、「“”さんと違って、あらかじめ切ってますが」なんて笑いながら出してくれます。レバ生は、いわゆるレバ刺しです。これはまた、血管の穴もくっきりと見た目もきれいな、本当にいいレバーですねぇ。さっそく小皿にゴマ油+塩を用意し、まず1切れ、プリンといただきます。ックゥ~ッ。うまいっ! うまいですよこれ!

ここは一発「特製ハイボール」(300円)をいただきますか。「特製ハイボール」は、いわゆる昔の下町風ハイボール。ハイボールの素で味付けしているよ~く冷えた焼酎をグラスに入れて、そこにニホンシトロンの炭酸をそそぎ込みます。氷は無し。シュワワワワァ~ッと派手に泡が立ったハイボールが目の前に出てきます。「女性に人気があるんで、ジョッキからグラスに変えました。そのかわり値段も下げたんですよ」と店主。

それじゃ、やきとん(1本100円)もいっときますか。テッポウは味噌で。あとナンコツとコブクロと。それと、新たにメニューに加わってるチレもお願いします。「ナンコツとコブクロは塩にして、チレは味噌で焼いてみましょうか」。そうしてください。なにしろ店主自身が大のもつ焼き好きなので、店主のおすすめに従っておくとほぼ間違いはないのです。

そのやきとんを食べるころには、もうすっかり以前と同じ感じにくつろぎます。まわりで飲んでるお客さんたちも、まるでずぅ~っと毎日飲んでいたかのよう。

テッポウの味噌焼きがうまいのは当然のこととして、チレ(脾臓)もいいですねぇ! さっと火を通した程度に仕上がっていて、プリプリ感はレバーよりも強い。レバーの場合は、外がプリッとしていて、中はトロリととろける感じなんですが、チレはズゥ~ッとプリプリした感じです。

となりに入ってきたお客さん。いきなりチューハイと、それとは別に生(き)のキンミヤ(焼酎)をグラスでもらって、チューハイをチェイサーに、キンミヤをぐいぐいとやりはじめました。これはすごい!

そのお客さんがポテトサラダ(280円)を注文すると、ヨッちゃんから「ポテトサラダ、これで終わりです」と声がかかります。しまったなぁ。ポテトサラダも楽しみにしてたのになぁ。久しぶりの「秋元屋」は、見るもの、聞くものみんな食べてみたい状態です。

そこへ、向こうのお客さんから「マカロニサラダ」(280円)の注文が入ったので、「じゃ、私も!」と便乗注文。ついでに「トリハイ」(トリスのハイボール、280円)もいただきます。「トリハイ」と「マカロニサラダ」なんて、この組み合わせだけ見ると、まるで「ブリック」で飲んでるみたいですねぇ。っかぁ~っ。久しぶりの「トリハイ」がうまいっ!

「焼きコロッケください」と注文の声がひびきます。「はいっ」と店主がコロッケを取りに来たところで「こっちも1個」とまたまた便乗注文です。「焼きコロッケ」(180円)も、「秋元屋」ならではのメニューですね。最初のころは、「買ってきたコロッケを炙ってるだけですよ」なんて店主も恥ずかしそうに話してたのですが、いまやすっかり看板メニューのひとつです。

「焼きコロッケ」が出てきたところで、「トリハイ」もおかわり。この「トリハイ」、最後にピッと絞ってくれるレモンピールがよく効いてて、飲むほどに、酔うほどに、ますますスイスイと喉をとおってしまう危ないお酒なのです。サントリーの中でも1、2を争うくらい安いウイスキーなのにねぇ。うまいんですよ、これが。

今日はこの辺にしとこかなぁ、と思いながらもついつい「トリハイもう1杯ね」。

目の前でヨッちゃんがウズラの玉子の殻をむいています。「普段は下ごしらえして置いておくんだけど、今日はちょっと間に合わなかったの」。むきたての玉子を串に刺して焼くというのがいいじゃないですか。私も1本ください。それとハラミも1本。(ともに1本100円)

ところがこのウズラ。店主が冷蔵庫までほかのネタを取りに行ってる間にボッと燃え上がった炎に炙られて、真っ黒になってしまったのでした。「すみません。最後のウズラだったのに」と店主。ん~。残念だけどいいですよ。次回の楽しみにとっておきます。じゃ、今日はかわりにチキンボール(120円)をもらいましょ。

やぁ、おいしかった。たっぷりと1時間40分。休店前とちっとも変わらない「秋元屋」に大安心しながら、ゆっくりとくつろぎました。お勘定は2,900円。「どうもごちそうさま」と店主とガッシリと握手して店をあとにしたのでした。

なお「秋元屋」の再開情報は「寄り道Blog」や「レバサシ日誌」の各サイトにもありますので、あわせてご覧ください。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年11月2日(火)の記録》

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ここでも生ガキ … 居酒屋「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

10月最後の日曜日。図書館によって「川名」を目指しますが、「川名」に向かう松山通り(旧・中杉通り)は「ゆうやけ市」という催しが行われていて、露店もたくさん、人もたっぷりです。途中でどっかの落語家さんがやってる南京玉スダレに見入ったりしているうちに、もう開店時刻4時になってしまい、大あわてで「川名」に飛び込みます。

開店直後なのに、店内はすでにお客さんでいっぱい。7席あるカウンターに数席の空きがあり、私も3番の席(入り口から3番目の席)に陣取ります。いつもはすぐに注文をとりに来てくれるミィさんも、あっちにいったり、こっちに来たりと忙しそう。横を通過しながら「グレープフルーツ?」とミィさんのほうからたずねてくれて、私は「ウン」とうなずくだけで1杯目の飲み物の注文が通ります。

その瞬間、「奥、満席で~す」の声が店内に響きます。なんとねぇ。「ゆうやけ市」でグループ客が多いようで、奥の座敷席から埋まっちゃったんですね。

さあて。生グレープフルーツサワー(336円)が出てくるまでに1品目のつまみを選ばなくっちゃね。今日の刺身はマグロがブツと山かけに、シメサバとサンマ(それぞれ294円)ですか。シメサバがメニューにあるのも珍しいですねぇ。ん? その下に「生ガキ(大) 336円」なんてのがあるじゃない。今日はこれかな。

そこへちょうどミィさんがジョッキに入った酎ハイと、それとは別にグレープフルーツ半個と絞り器を持ってきてくれます。そしてポケットからレシートを取り出して「なんにしますか?」「生ガキ、お願いします」「は~い」。

ここの酎ハイはジョッキにすりきりいっぱい。このままではグレープフルーツを絞っても入れるところがない。まずは1センチほどプレーンな酎ハイとしていただいて、ジョッキの上にすき間を作るところからはじめます。ちょっとしたことだけど、日本酒を受け皿にあふれさせてくれるのと同じくらいうれしい(笑)。あいたすき間に、ギュギュッと絞った生グレープフルーツジュースを、絞ったときに落ちてきた果肉といっしょに投入します。どういうわけだか、この果肉は酎ハイの表面に浮かび、飲むたびにちょっとずつ口の中に入ってきておいしいのです。

その後、7番席が常席の“イトーさん”も入ってきますが、7番席には別のお客さんが座っているためC卓(三つあるテーブル席の一番奥)へ。すぐあとに“1番のおにいさん”、“役者さん”と相ついで入ってきて、他はまったく空いていないためC卓に相席となりました。

このあと入ってきたお客さんたちには「すみません。満席です」。なんと、開店後10分で、店内がすべて満席になっちゃいました。(おそらく、「ゆうやけ市」なので、奥の座敷は少し早めにオープンしてたんでしょうね。)

カウンターの中では店主が「カキ、これで最後ね」とホワイトボードの生ガキの文字を消して、カキの準備にかかります。店主の声を受けて、女店員が奥の座敷のホワイトボードからも生ガキの文字を消します。なぁ~んと、私がたのんだカキで終わりだったんですね。

その生ガキが目の前に出てきました。おぉ。メニューに「大」と書いてあるとおり、たしかに大きいですねぇ。しかもプリプリと実においしそう。まず最初の1個はこのままいただきましょうね。プルプルふるえる身を箸で持ち上げて、チュルンと吸い込むように口に入れます。むぉ~っ。身が大きいから、口の中いっぱいがカキって感じ。ん~。いい塩加減ですねぇ。うまいっ。

2個目はレモンを絞ってプクンとした身の部分をかじります。残った部分にはちょいと醤油も落として食べてみます。う~む。おいしいけど、あっという間になくなっちゃうのが難点ですねぇ、このつまみは。

ミィさんが、お通しのミカンの小皿を、私も含めて新しく来た人たちに配っています。いっきに大勢のお客さんが入ってきたので、お通しを出すのが遅くなっちゃったんですね。

「マグロも売り切れ!」と店主の声がひびきます。まだ4時半なのに、すごいことになってます。

生グレープフルーツサワー(336円)をおかわりして、つまみには豚軟骨もつ煮込み(231円)をもらいますか。

私の右側(4番席)には“4番のおじさん”が座っていて、今日も燗酒を大徳利でチビチビとやっています。

左側(2番席)には、メガネをかけたおにいさんが座っているのですが、話をしてみると荻窪「やき屋」の常連さんで、ここ「川名」にははじめていらっしゃったそうなのです。実は先日、「やき屋」でMsさんと話しをしていたのが、このおにいさんだったとのことで「えぇ! そうだったんですか」なんて話もはずみます。

生グレープフルーツサワーを飲み終えて時計を見るともう5時20分。5時を回ると、開店と同時に入っていたお客さんたちもボチボチと腰をあげ始めています。私もそろそろ引き上げますか。どうもごちそうさま。ちょうど店主がお勘定に来てくれたので「今日のカキ、おいしかったですねぇ」と声をかけると「一番いいのを箱でくれ、って箱ごと買ってきたんですよ」と笑顔で答えてくれます。今日は1,239円でした。

店を出ると、外はまだ「ゆうやけ市」でにぎわっています。そのにぎわいの中をフラリフラリと自宅に向かったのでした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年10月31日(日)の記録》

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仕上げはロングカクテルで … バー「日登美(ひとみ)」(新井薬師前)

仕事関係の飲み会で、おいしい地酒をたっぷりといただいたあと東中野まで帰ってきました。ここから新井薬師前駅に向かって歩いて15分ほど。一見スナックかという造りのこの店がカクテルラウンジ「日登美」です。

「こんばんは」。金曜午後10時半の店内は7~8割ほどの入り。店内はL字カウンターのみなのですが、そのL字の長辺はすべて埋まっている状態。久しぶりにL字の短辺に座ります。

もう量はたっぷりといただいてきちゃったので、最後にさっぱりした感じの飲みもので仕上げましょうか。「ソルティドッグ (Salty Dog)」(900円)をお願いします。

マスターはオールドファッショングラス(ロックグラス)を取り出し、レモンでさっと縁の部分をぬらし、さらさらっと塩をふってスノースタイルに。そこへ氷、ウォッカ、グレープフルーツジュースを入れてステア。ソルティドッグの完成です。

ん~。んまい。このところ、「川名」なんかでも生グレープフルーツサワーをいただくことが多いせいか、とってもなじみのある味わいです。ちょっとずつグラスを回転させながら飲むと、縁に飾られた塩もちょっとずつ口の中へ入ってきて、それがまたさっぱり感を増します。今まで、あんまり飲んだことがなかったカクテルですが、いいですね、これも。

長辺のまん中あたりに座っている体格のいい男性は、早いペースで小気味よくカクテルを空にし、今度は「ニコラシカ (Nikolaschka)」を注文しました。「ニコラシカ」は、足つきの小さいグラスにブランデー。そのグラスにふたをするようにレモンスライスを1枚おき、その上にメジャーカップでギュッと固めた砂糖の山を乗せてできあがり。レモンスライスで砂糖を包むようにして口に入れて、ひと噛みしてからブランデーをいっきに流し込んで、口の中で仕上げるカクテルなのです。私は飲んだことがないのですが、内容的には「サイドカー (Sidecar)」のような味なんでしょね。

さすがにショートカクテルの「サイドカー」はきつそうなので、2杯目は「ブランデーサワー (Brandy Sour)」(900円)をいただくことにしました。内容的には先ほどの「ニコラシカ」とほぼ同じ。ブランデーとレモンジュース、そしてスプーン1杯の砂糖をシェイクして足つきの細長いおしゃれなグラスに注ぎ、最後にグラス上部に炭酸水を入れてできあがり。シュワッとしたロングカクテルの「サイドカー」といった感じですね。

11時半をまわると、お客さんたちが三々五々帰りはじめます。ここからはJR中央線、地下鉄東西線、西武新宿線の3線に出ることができるのですが、どの駅にも10分以上かかってしまう。だから、みなさん少し早めに帰路につくんですね。

それでもまだ、それから店に入ってくる人たちもいる。ドヤドヤと入ってきたのは、なんと愛媛出身という若い6人連れ。それぞれ同級生なのだそうで、友人のひとりがたまたま上京してきたのでみんなで集まったのだそうです。愛媛の言葉がの~んびりと耳に心地よい。

ゆったりとくつろいだところで、ちょうど12時。私もぼちぼちと失礼しますか。お勘定はロングカクテル2杯で1,800円でした。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年10月29日(金)の記録》

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ponちゃんはママさん!? … バー「PURE(ピュアー)」(野方)

横浜での仕事を終えて、明日の仕事に備えて都内の自宅に向かいます。その途中、西武新宿線・野方(のがた)駅で下車し、駅前商店街からみつわ通り商店街へ。すでに時間が遅いこともあって、今日は1軒目から「ピュアー」に行こうと思っているのです。

「ピュアー」の扉を開けながら「こんば…」。わぁい。木曜午後10時の店内はなんと満席。直線カウンター10席程度の店内は、入り口から一番奥までずらりとお客さんが座っています。その一番手前のお客さんが「今、会計をしてもらってますから、ここへどうぞ」と席を譲ってくれます。あぁ、よかった。どうもありがとうございます。

なにはさておき、まずはビールでしょ。手渡されたおしぼりで手を拭きながら、生ビール(400円)を注文します。「はい。生ビールね」と返事したマスター。カウンター内、一番奥にある生ビールサーバーに向かいつつ、カウンター中央部にいる女性にちょいと一声。「えぇ~っ。こんばんはぁ、お久しぶりですぅ~っ!」とこちらに向かって手を振ってくれる女性。なんと、ponちゃん(=「野方の女神」)ではありませんか。お~い。元気でしたかぁ?? と、こっちも手を振りますが、そこは満席のカウンターの中央と端っこ。あまりみんなの迷惑にならないように、ここはひとまずごあいさつ程度にとどめます。

「はい。生ビールお待たせ」。足の付いたグラスに注がれた生ビールは、まるで宣伝用の写真で見るような美しい泡立ち。チョチョイとついだように見えたのに、さすがですなぁ。ップハァ~ッ。このひと口目のビールのうまいことといったら…。この瞬間がとっても好きですねぇ。

今日のお通し(310円)はタコのカルパッチョ。大きなまっ白い生ダコのスライスが、くし切りにしたトマトと交互に並んでお皿を一周しています。紅白くっきりと、見た目も華やかです。

近くにきたマスターに「手があいたところで牛スジ洋風煮込み(520円)をお願いします」と先に料理を注文しておいて、今日は赤ワイン(520円)をいただきます。なにしろここはマスターひとりで切り盛りされてますから、お客さんが多いと大変なのです。

ponちゃんの横にいた女性がお勘定をすませて席をたちます。ありゃ、Erさんだったんですね。「それじゃお先にぃ」と店を出るErさんを「おやすみなさぁ~い」と見送ります。入れ替わるように新しい男性客が入ってきて、みんながギュギュっと店の奥につめる方向に移動して、新しい席のできあがりです。

その移動のついでに、ponちゃんもカウンター中央から入り口側、私のとなりへと移ってきてくれました。ponちゃんは、今日はどうしてもホタテが食べたくて(比較的マスターの手がすいている)早い時間からお店に来ていたのだそうです。「最初は一番奥に座ってたから、バッグなんかはそこにあって、小物入れはさっきまで座ってたカウンター中央に。端から端まで、痕跡を残しながらの移動なの」と笑っています。

なにしろponちゃんはいつも明るくて人気者。お勘定をすませて店から出ていく人も、新たに店に入ってくる人も、必ずponちゃんにはひと言ふた言声をかけていくのです。「まるでママだわ」。その通り! まるでこの店のママさんのような存在でもあるのです、ponちゃんは。

「牛スジの煮込み、お待たせしました」。ほぉ。これが洋風の牛スジ煮込みですか。デミグラスソースでジャガ芋やニンジンといっしょに煮込まれていて、まるでシチューのような。ど~れ。なるほど味もシチューですねぇ。牛スジ肉は硬からず、軟らかすぎず。絶妙な歯応えを残した仕上がりになっています。例によってパンもひと切れ添えられて、これはもうつまみというよりもひとつの立派なお料理です。ワインもおかわりです。

ponちゃんによると、今日のメニューの中ではローストポークやカキの三色焼なんかもおいしいんだそうです。「ていうか、ぜ~んぶ美味しそうなの。つま先まで全部胃袋だったらいいと思うわ」。…。さすがponちゃんです。

寄り道Blogに飲んで記憶が飛ぶ話があったけど、寄り道さんでもそんなふうになることがあるんですねぇ」。寄り道さん(=Hsさん)は、もとから物静かな紳士なんですが、酔ってもその雰囲気はちっとも乱れず、おもしろおかしくトホホ話を聞かせてくれるのです。

「そういえば居酒屋礼賛にもときどき“記憶がない”なんて書いてますけど、飲んでもあまり変わらないですよね」とponちゃん。ん? ん~~っ。実はそれは違うんですよ。あまり変わらずに飲んだときのことしかここに書いてない(書けていない)から、「居酒屋礼賛」だけ読むと、とっても理性的に、生真面目に飲んでるように見えるんですねぇ。職場の仲間と飲みに行ったり、オフやなんかで大騒ぎしたりしたときは、そもそもここに書けるほどのことを覚えていない。ヘタをするとどこへ行ったのか、お金を払ったのかどうかすら覚えてなかったりするんですよね。

「なぁ~んだ。安心したよ」と言いながら、ponちゃんはシェリーをおかわりします。「あ。あいちゃった」とマスター。ティオペペ(←シェリーの銘柄)のボトルの最後の1滴までグラスについで、ボトル終了! このボトルはponちゃんが今日来たときに新品を開けたのだそうです。ponちゃん、カウンターの端から端まで移動しつつ、シェリーを1本飲みきっちゃったんですね! それでちっとも変わってないんだから、ponちゃんこそ一番強いんじゃない!? あ…。ウォッカを1本あけちゃうマスターがいたか…。

おぉ。知らぬまに12時だ。まわりを見ると、あんなにいっぱいだったお客さんも、われわれと、もうひとり常連さんらしき男性客を入れて3人だけ。ponちゃんと話したり、鈴を鳴らしたり(謎!?)してるとすぐに時間がたってしまいますねぇ。

さあ。明日(金曜日)も仕事だから、今日はこの辺にしとこう。今日のお勘定は2,270円。同じくお勘定をすませたponちゃんと一緒に「ごちそうさまぁ!」と店を出ます。店を出てほんの数歩のところにある四つ角がponちゃん家へと続く道の入り口。ホントに近いですねぇ。

真夜中だというのに「それじゃ、またあ!」なんて大きな声で手を振ってあいさつしながら別れます。わが家は昼間帰るとここから約10分。夜は千鳥足で帰るせいか15分くらいかかっちゃうのでした。あぁ楽しかった。

店情報 (前回)

《平成16(2004)年10月28日(木)の記録》

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ちょっとおしゃれに … バー「Alfonso(アルフォンソ)」(阿佐ヶ谷)

立ち飲みの「富士屋本店」を出て、渋谷駅前から路線バスに乗って阿佐ケ谷に向かいます。電車で行けば30分かからないような距離ですが、バスだと1時間近くかかる。しかし、このゆっくりとした時間がちょうどよい酔いざましにもなり、また車中からながめる町にも新しい発見があるのです。しかも、始発から乗るので座ってられるのでした。

バスは環七通りを左折して青梅街道に入ります。地下鉄丸ノ内線・新高円寺駅を過ぎたかなというあたり左側に、なにやら心ひかれる風情のお店を発見。お客さんもびっしりと入っている。なになに、やきとり「屯」か。これは要チェックですね。

さらにバスは中杉通りへと右折し、阿佐ケ谷駅前に到着です。

さあ、どうしましょ。まだ9時なので、もう1軒寄って帰りましょうか。向かったのは阿佐ヶ谷駅北口すぐのところにあるバー「アルフォンソ(Alfonso)」です。この店には昨年のオフのときにみんなで寄っているのですが、すっかり酔っぱらった後に行ったので記憶に残っていないのです。

ちょうど「アルフォンソ」の前まで行ったところで、向こうから来たバーテンダー・スタイルのおにいさんが先に扉を開けて店内に入ります。私もそのおにいさんに続いて店内へ。「あ。いらっしゃいませ」。そのおにいさんが振り返りながら迎えてくれます。どうやらこのおにいさんが店主(マスター)で、店はひとりで切り盛りしているようです。

店内の先客はなし。お客さんがいなかったので、ちょっと近くに出てたところだったようです。

「バーボンのソーダ割りをいただきたいんですけど…。え~と。I.W.ハーパーでお願いします」。すぐにI.W.ハーパー(12年)のバーボンソーダが用意され、お通しで小皿にポップコーンが出てきます。

「たまたま私と目が合ったから入ってこられたんですか?」とマスター。「いえ。寄り道さんから、よくこちらの話をうかがっていたので、今日はここを目指してきたんです」。「あぁ。そうでしたか。よくいらしていただいてるんです」。

これは後で知った話なのですが、実はこのとき寄り道さんは阿佐ヶ谷駅南口側のバー「ミスティ・オパーズ(MISTY OPARS)」で飲んでいたのでした。両店は2分かかるかどうかという距離。ものすごいニアミス状態だったんですね。

I.W.ハーパーのソーダ割りをおかわりしたところへ、男性ふたり連れが入ってきて、カウンターの入口側に座ります。店内は7~8人座ればいっぱいのカウンター。背後の壁に作りつけの小さいテーブルがありますが、こちらは緊急時(カウンターがいっぱいのとき)に使える程度でしょうか。

そのふたり連れのうちのお一人はこの店の常連さんのようで、マスターの名前も下の名前(英語風にいうとファースト・ネーム)で呼んでいます。連れの方が出張で出て来られたのでこの店にご招待したのだそうです。

私がこのところよく行っているバーは「ピュアー」「ブリック」「ペルル」「日登美」など。これらのお店は造りも古くて、お世辞にも「おしゃれなバー」とは言いがたい(失礼!)。ところが、ここ「アルフォンソ」や、駅の反対側の「ミスティ・オパーズ」なんかは、内装や照明なども含めて、とってもおしゃれな雰囲気なのです。

え~と。おかわりなんですけど、今度は違うバーボンで…。「そうですねぇ。これなんかもコクがあって、ちょっとメーカーズマークの味わいに近い感じだと思います」とマスターがすすめてくれたのはジョニードラム。じゃ、さっそくそれをお願いします。

ジョニードラムのバーボンソーダを飲んでるうちに、もうひとり新しい男性客が入ってきてカウンターの一番奥へ。おしゃれな外装、内装なのでチャラチャラとした若いカップルなんかが入ってくるのかと思いきや、さにあらず。みなさんけっこう本格的な洋酒好きって感じです。

この店は午前3時まで開いてるらしいので、これからますますお客さんが増えてくる時間なのかもしれませんね。しかも、「ピュアー」同様、年中無休の営業というのがうれしいではありませんか。

マスターやお客さんとの話も楽しく、気がつくともう10時半。1時間半もたっちゃいましたか。明日は熱海で大酒を飲まないといけないので、ボチボチと失礼しますか。お勘定をお願いします。「はい。チャージを300円いただいて、2,300円です」。

おしゃれなお店ながら、値段のほうは「ピュアー」「ペルル」なんかと同じような低価格路線で、これもうれしいですね。どうもごちそうさまでした。

店情報

《平成16(2004)年10月22日(金)の記録》

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店情報: バー「Alfonso(アルフォンソ)」(阿佐ヶ谷)

  • 店名: バー「Alfonso」(アルフォンソ)
  • 電話: 03-3330-5602
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-2-1
  • 営業: 17:30-03:00、第1、3、5水休
  • 場所: JR中央線阿佐ヶ谷駅北口を出て左折。中央線ガードにそって徒歩約30秒、右手。
  • メモ: チャージ300円。飲み物も600円くらい(カクテルは700円)で飲めるものが多く、リーズナブル。紹介web

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