満席の金曜日 … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)
1週間の仕事を終えて金曜日がやってきました。今週は月曜日から木曜日までの4日間休肝日。なにしろ腹痛を伴う風邪もはやっていたりするので、なるべく体力を蓄えておくように心がけているのです。
しかし、金曜日の仕事が終わるとガクンと力が抜けて「さぁ飲んで帰ろ」というモードになります。横浜から湘南新宿ラインでビュイ~ンと新宿に向かいながら「今日はどこで飲もうかなぁ」。今日はなんとなくもつ焼き気分。元旦に「秋元屋」でもつ焼きを食べて以来、もう2週間近くもつ焼きから遠ざかってますからねぇ。となると西武新宿線に出て新井薬師前の「四文屋」か沼袋の「ホルモン」、野方の「秋元屋」。あるいは中央線側に回って中野の「春」か荻窪の「カッパ」。そういえば「四文屋」も高円寺店(03-3330-7273、杉並区高円寺南3-69-1 )のほかに阿佐ヶ谷店(03-3223-9030、杉並区阿佐谷北2-2-6
)もできてたなぁ。
こうやって、頭の中でどこにしようかと思いながら電車に乗っているのもまた週末の楽しみのひとつ。迷いに迷いながら自宅の方へと向かっていくのです。
本当はもっと手前、たとえば恵比寿とか渋谷などで途中下車して飲むのも楽しいんだけれど、金曜日に大きな街に出るとやたらと人が多くて、店に入れなかったりすることもあるのです。飲み終わった後の電車も、金曜日の夜は特にこんでますからねぇ。そんなことを考えると、ついつい候補店は自宅近くの店が多くなってしまうのでした。
悩んだ挙句に絞り込んだ今日の候補店は沼袋の「ホルモン」。あとは席が空いていることを祈るだけです。店に到着したのはちょうど午後8時。一番お客さんが多そうな時間帯ですね。どうかなぁ。おりょ。これはもう店の外からガラス越しに見てもわかるくらいの満席状態。まいったなぁ、これは。う~む。もうここまで来ちゃってるので、この先の焼き鳥屋「鳥まさ」に向かうか、それとも沼袋駅までもどって「四文屋」の沼袋店(03-3387-0510、中野区沼袋3-4-18 )にしようか。と考えているところへガラリと引き戸が開いて、お客さんがひとり出てきました。ラッキー。入れかわるように店内にすべり込み、まださっきのお客さんのコップやお皿が残る席に腰をおろします。
すぐに「いらっしゃいませ」と片づけてくれる店のおにいさんに「ビールの小瓶とおしんこをお願いします」とひとまずいつものセットを注文。ビールの小瓶(310円)はサッポロ黒ラベル。そして今日のおしんこ(100円)は白菜の漬け物です。
今日の場所は2列に並んだカウンターのうち、手前側(沼袋駅に近い側)のカウンターの一番右端。非常にテレビが見やすいポジションであり、また店のおにいさんに近いので注文もしやすいポジションなのです。
1杯目のビールをググゥ~ッと飲み干して、目の前のおにいさんに「レバーとコブクロのちょい焼を2本ずつお願いします」と、これまたいつものようにちょい焼きから入ります。「すみません。コブクロが売り切れたんです」と申しわけなさそうにおにいさん。それは残念。じゃ、レバーのちょい焼きだけでいいです。(もつ焼きは各1本100円)
お客さんが多いので、焼き台の前の店主も大忙し状態。ま、おしんこでもつっつきながらゆっくりと待ちますか。
ここのカウンターは男性ひとり客がずらりと座っていることが多いのですが、今日は正面のカウンター中央に若い女性ふたり連れが座って、ふたりとも煙草をプカァ~ッとふかしながらもつ焼きをつっついてます。なんだかとっても板についた飲み方で、こうなるとまわりの男性もちっとも声をかけない。「どうやってたのめばいいの?」みたいなおどおどとした雰囲気だと、まわりの親切なおじさんたちがすぐに教えてあげたりするんですけどね。(笑)
焼き台のところから「レバーのちょい焼きの方は?」と店主。「はい、こっちです」と手を上げます。「お待たせしました」とレバーちょい焼きが目の前にやってきます。ちょい焼きというのはレバーの表面をちょっとだけ炙った感じの焼き方で、ネギをたっぷりと添えて生姜(しょうが)醤油でいただきます。ポン酢醤油でいただくこともできるようです。
飲み物は焼酎(210円)にしましょうか。目の前でトクトクトクとつがれた焼酎の上のほうの部分をツツゥ~ッと飲み、カウンター上の梅エキスを注ぎ入れます。
「そうなんだよな。この梅がうまいんだよな」と左どなりのおじさんが急に声をかけてきました。見ればそのおじさんも梅エキスを入れた焼酎を飲んでいます。「オレは練馬に住んでるんだけど、もうこの店に来て20年だよ」とおじさん。「へぇ、じゃおばあさんがやっておられた頃からいらっしゃってるんですか?」「いや。それよりまえ。まだオヤジがやってる頃から来てるよ。」「練馬だったら「金ちゃん」もあるじゃないですか。」「お。にいさん「金ちゃん」知ってるの。「金ちゃん」の大将はこの店で修業して、あそこに店を出したんだよ」。へぇ。そうだったのか。だから店の感じ(特に2列平行にカウンターが並んでいる感じ)が似てるのかなぁ。
まだまだ焼き台が忙しそうなので、次のもつ焼きをたのむ前に煮込み(290円)をもらっとこうかな。ここの煮込みもいろんな部位が入っていてうまいんですよね。
となりの練馬のおじさんは4杯目となる焼酎をおかわり。強いですねぇ。だいぶろれつは回らなくなってるものの、話している内容はそれほどくずれていない。
焼き台も空いてきたようですね。それじゃヒラ、アブラ、オッパイ、ナンコツを塩でお願いします。
そのもつ焼きが焼きあがってきたところで焼酎をおかわり(2杯目。210円)です。すると、となりの練馬のおじさんも「オレのも入れてくれ」。えぇ~っ。さっきおかわりしたばっかりなのにぃ。と思いながら見てみると、たしかにもうほとんど空になってる。強いし、飲むのも早いなぁ。これでもう5杯目。大丈夫かなぁ。
ともあれもつ焼きをいただきましょうね。ヒラはシロ(腸)とテッポウ(直腸)の中間的な部位だそうで、シロのクニュクニュ感、テッポウのプリプリ感を合わせもっています。アブラは豚の腸のまわりの脂らしいんだけど、このあたりのことが「レバサシ日誌」に書かれているので、詳しくはこちらでどうぞ。ヒラもそうですが、このアブラも他の店ではあまりお目にかかったことがありませんよね。
そしてオッパイもこの店の特長的な一品。これも脂分が多い部位だけに、保存が悪かったりするとすぐに臭みが出たりするのですが、ここのは臭みがまったくなくて脂のうまみがビシッと出てるんですよねぇ。
ナンコツはそのコリコリ感が身上。普通の肉には絶対にない食感なのです。そのナンコツをコリコリとかじっているところで練馬のおじさんがお勘定。や。さっきの焼酎も飲み干してるや。本当に飲むの早いですねぇ。「それじゃにいさんお先に」。ややもつれ気味ながらしっかりとそう言って席を立ちます。う~む。歩く姿もそんなにふらついてないなぁ。飲むのが早いから、もうちょっとしてから回ってくるのかなぁ。
さて、それじゃ私もお勘定にしますか。ごちそうさま。今日は1時間の滞在で1,720円。支払いを済ませて席を立つと、店主が「今年もよろしく」と笑顔で見送ってくれたのでした。
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