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房州産活じめ寒さば … 居酒屋「竹よし(たけよし)」(都立家政)

最近は東京方面での仕事もトンとなくて、1週間べったりと横浜にいることが多い。月曜日の朝横浜に出かけていき、金曜日の夜東京に帰ってくるというリズムも身についてきました。そして、金曜日に自宅に向かいながら近くのお店にふらりと立ち寄るというリズムも…。

今日のふらりは「竹よし」です。なにしろ刺身が食べたい。燗酒が飲みたい。

「こんばんは」と店に入ったのは午後8時半。「やぁ。いらっしゃい」とカウンターの中の店主(マスター)から声がかかると同時に、カウンターの外にいたママさん、そしてカウンターで飲んでいるTmさんからも「こんばんは」と声がかかります。今日の先客は右手のカウンターにTmさんも含む男性2名。そして左手のテーブル席には男女ふたり連れです。

寒くてもやっぱりまずはビールかな。ひと口めはやっぱりプハァーッといきたいですもんね。瓶ビール(スーパードライ、中ビン、500円)をお願いします。「はぁーい」と冷蔵庫に向かったママさんは、「はい、コップ渡して」とカウンター奥の男性につめたく冷えたコップを手渡し、そのコップがTmさんを経由して手元へ。そしてビールの栓もポンッと抜かれてリレーされてきます。はいはい、どうもどうも。トクトクトクッとビールを注ぎ、グググゥ~ッと1杯目を全部飲み干し、プッハァーッと予定どおり息をはいたところで、となりにいるTmさんから「うまいっ!」と合いの手が入ります。こっちのセリフをとらないでよ。(笑)

フィッと上唇についた泡を吹き飛ばし、2杯目のビールを注いでいるところへ「お通しです」と小鉢が出てきました。今日のお通し(200円)は下仁田ネギとホタテの煮物。「今日はそのネギがうまいんですよ」と店主。どれどれ。あ、ほんと。長さ3~4センチくらいに筒切りにした白ネギの煮物なんだけど、特に芯の部分はトロリととろけるようで、甘さもたっぷりです。こりゃいいなぁ。

先客のみなさんの料理の準備が終わるまでの間、このネギとホタテをちまちまとつっつき、ビールを飲みながらTmさんたちと談笑です。

料理が一段落したところで店主から「今日はなんにしますか」と声がかかります。よし。待ってましたとばかりに注文したのは「房州産 活じめ寒さば」(刺身、600円)です。さっきから、Tmさんと話しつつも目はメニューを行ったり来たりしながらこの一品を選んでいたのでした。「このサバをヅケにしてもらったらまたうまいんだよ」とTmさん。「ちょっと前までならさっきつけてもらったのがあったのになぁ。食べちゃったよ」。

「はい。寒サバです」と出てきた刺身。これはすごいねぇ。大ぶりでピシッとエッジが立った刺身はとても艶やか。箸で持ち上げてもプリッとその形を保ってるくらいしっかりとした身です。醤油にちょいと浸すと、サァーッと醤油の表面に広がる脂。醤油をはじくほんのりと赤い身。ひやぁ~。見てるだけでもおいしそうな刺身をパクリ。むほほ。見た目の期待どおりの食感と味わいに思わず笑いがこみあげてきます。

テーブルのお客さんからは「緑川」の生原酒の注文が入ります。へぇ、そんなお酒もあったんだ。新品の一升瓶の栓がポンッと抜かれ、ガラスの徳利につがれる「緑川」。「ちょっと見せてもらっていいですか」。つぎ終わった「緑川」の一升瓶を借りてしげしげと観察。「ちょっと試してみますか」と店主がお猪口を用意してくれて、その一杯をTmさん、店主と3人で回し飲み。ッカァ~ッ。うまいけど、強さを感じるなぁ。さすが18度。

ガラリと入り口引き戸が開いて、のれんを分けて入ってきたのはふじもとさんです。「やぁ、こんばんは。」「いらっしゃい。」「やぁやぁ」といろんな声に迎えられながら店内に進み、Tmさんと私の間に座ります。

ふじもとさんもまずはビールを注文し、お通しのネギのとろける甘さに驚いています。

そしてふじもとさんも「房州産 活じめ寒さば」を注文。なにしろ今日の肴の中でもひときわ目立つ一品ですもんね。「寒サバ、ちょうどこれでなくなりました」と店主。もともと店主は途中で品切れになるのがいやでやや多めに仕入れることが多かった。それをTmさんが「少なめで途中で売り切れるくらいがちょうどいいんだよ」とアドバイスして、少しずつそうするようにしてるらしいのですが、こうやって売り切れると「やっぱりもう1本買っとけばよかったかな。いいサバだったんだ」とちょっと残念そうです。

ふじもとさんの刺身も出たところで、いよいよ燗酒を注文します。燗酒は、標準的には「菊正宗」(400円)と「菊水」(450円)が用意されているほか、申し出れば店に置いているお酒はすべて燗をつけてくれます。じゃ、私は「菊正宗」で。ふじもとさんも「ボクは大徳利(800円)でお願いします」。おぉ。さすがにお強い。

「あ。ごめん。菊正宗が1合分くらいしかない」と店主。「じゃ、ボクは剣菱(けんびし)を燗にしてください」とふじもとさん。「すみませんねぇ」と言いながら、店主が「剣菱」の封を切ります。この「剣菱」。メニューには単に「剣菱」(400円)と書かれているだけなんだけど、店主が持ちあげた一升瓶を見るとなんと「黒松剣菱」(「剣菱」の特撰)。えぇっ! とびっくりしてると、「やっぱり剣菱と言うからはこれでなくっちゃね」と店主。

「これもふたりで食べてみて」。小皿で出てきたのは寒サバのヅケです。Tmさんがあまりに「うまかった。うまかった」というもんだから、さっき私が寒サバを注文したときに、新たに2切れだけ漬け込んでくれてたらしいのです。「わぁ、どうもありがとうございます。1切れずつ食べようね」。どれどれ。なるほど。出汁の味がよく効いてるなぁ。すっきり感は刺身のほうがすごいけど、うま味はこっちのほうが強く感じられますね。「ボクはとっといて最後に食べようかな」とふじもとさん。うちのカミサンと娘もこのタイプなんですよね。好きなものは最後までとっておいて、結局満腹になって食べられなかったりする。乾いちゃうかもよ、ふじもとさん。

このあたりで先客のみなさんたちが次々にお勘定をして席を立ちます。なるほど、もう10時が近づいてますか。先発チームと入れ替わって、この時間からはふじともさんと私という後発チーム2人が飲み進みます。

「これくらいのネギだと、焼いただけでもおいしいのよね」というママさんの一言に、「じゃ、焼いてみるか」と店主が呼応。「魚屋なんだけどなぁ」と笑いながらもネギを焼く目つきは真剣。「さぁ、どうでしょう」と焼きネギが登場です。おぉ。たしかに。このほうがストレートに味がわかりますね。まったくスジスジしてなくていい歯応えですねぇ。

お酒のおかわりをいただきましょうか。私も「剣菱」(黒松剣菱、400円)で。いっときは「剣菱」も(樽買いなどの問題で)そうとう叩かれたけど、うまいお酒ですよね。ふじもとさんもほぼ同じタイミングで大徳利をおかわりです。強い! 速い! 量が2倍なのに同じ時間ですからね。

ふじもとさんは友人の結婚式で、先週末に故郷・博多に帰省されたのだそうで、そのときのお土産だという辛子明太子(からしめんたいこ)とイカ明太(いかめんたい)が出されます。うっしゃっしゃ。こんなにも日本酒に合う肴が出てきたとなっては飲まないわけにはいきませんなぁ。

さらにもう1本ずつ、私もふじもとさんもお酒をおかわり(くどいようですが、私は普通徳利、ふじもとさんは大徳利ですからね!)します。まったく罪な土産よのぉ。

「こういうのはどうでしょう」。カウンターの中から店主が出してくれたのはタラバガニのミソ。というか、ミソのいっぱいつまった大きなカニの甲羅がどんと1個。わぁお。見た目もど派手です。「おいしいねぇ」とふじもとさんとつっつきあって(うばいあって?)たっぷりのカニミソをいただきます。そしてもちろん最後は甲羅酒ですね! これがまたカニミソ風味たっぷりでうまいこと!

食べて、飲んで、しゃべって。気がつけばもう12時を過ぎている。やぁ、おいしかった、楽しかった。今日は3時間半ゆっくりとくつろいで3,300円でした。どうもごちそうさまでした。

都立家政の駅で、これから電車で帰るふじもとさんとも「じゃ、またねぇ!」と別れて帰路についたのでした。

店情報 (前回)

《平成17(2005)年1月28日(金)の記録》

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「秋元屋」を出て、野方駅に向かう寄り道さんと別れ、私のほうは酔い覚ましもかねてフラフラと歩いて「竹よし」に向かいます。いつもは「秋元屋」を出ると西武新宿線の南側... [続きを読む]

受信: 2005.02.27 21:29

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