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営業再開。お元気です! … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)

さぁ。やってきましたよ。久しぶりの「武蔵屋」。現在時刻は午後7時。かなり多そうな時間帯だけどどうかなぁ。ガラリと引き戸をあけて店内をのぞきこみます。お。やったぁ! 空いてるじゃない。右手のカウンターには手前から2番目あたりに空席がひとつ。左のテーブル席にも何席が空きがあり、奥の小上がりにも空きがあるようです。今日は雨模様ということもあって、お客さんが少ないのかな。

「武蔵屋」は酔っ払いの入店禁止。すでにビール小瓶を2本、お酒を2合ほどいただいてきてるので気をつけなきゃね。ひそやかにカウンターにひとつある空席に腰をおろします。「お酒でよろしいですか?」と聞きながら、バイトのおねえさんが塗り箸を入れた湯呑みをトン。そのおねえさんにコクンとうなずいて返事します。酔ってるのがばれないように、しゃべらないで返事できないかと涙ぐましく努力しているのです。

店内はいつもと変わらぬ老姉妹と宝塚風のベテランおねえさん。そして男女ひとりずつのアルバイトの合計5人体制。実は老姉妹の姉の喜久代さんが体調をくずされて、年末年始のお休み以降、ずっと3月21日までの間、4カ月近く「武蔵屋」が休店状態だったのです。22日の再開以来、店はいつも大入り満員の状態だとういう話をうかがっていて、もうちょっとほとぼりがさめてから行こうかな、なんて思っていたところだったのです。今日はすんなりと入れてよかったなぁ。

元気になった女将・喜久代さんが燗酒の土瓶をもって出てきて、ツツゥ~ッと1杯目のお酒をついでくれます。ここのコップは受け皿なし。カウンターに直置きです。そのコップにピタリと表面張力いっぱいまでついでくれるのが女将さんの技。ちっとも変わってませんねぇ。ひと安心、ひと安心。よかったよなぁ。なにしろ女将さんはこう見えて83歳ですからねぇ。

その表面張力を口から迎えにいってツツッとひとすすり。おぉ。これだこれだ。「武蔵屋」のお酒は「桜正宗(さくらまさむね)」。いわば何でもないナショナルブランドのお酒なんですけど、これがまたうまいんですよねぇ。こうやってひと口飲んじゃえばもう大丈夫ですね。「酔ってるんじゃない!?」と言われても、「いやぁ、今飲んだ分で酔いました」なんて言い訳できるもんね。ヘヘ。(なんと姑息な…(^m^))

つまみもまた以前と変わらず玉ねぎの酢漬けとおから。そして追いかけるように出てくるあったかいタラ豆腐です。このつまみも、こうやって書けば何でもないものなんだけど、他の店では食べたことがない「武蔵屋」だけの一品なんですよ。なんか味付けに秘訣があるんでしょうねぇ。営業時間中の料理はいつもカウンター内の妹さん(富久子さん。81歳)が担当されているみたいなんだけど、この味付けも妹さんなのかなぁ。

2杯目のお酒は宝塚風ベテランおねえさんがついでくれます。ツゥ~ッと土瓶を高く持ち上げながら、最後はスッと土瓶をおろしながら表面張力でピタリと止めます。上手になりましたねぇ。もう完璧です。最初に女将さんに代わってつぎはじめたころは、ちょびっとこぼしたりしてたんですけどね。(笑)

2杯目のお酒といっしょに出てくるのが納豆の小皿です。納豆は練ってしばらく置いておくと粘り気の部分がなくなって、単なる豆のようになってしまうものなんですが、この店の納豆はいつも今練ったばかりの粘り気たっぷりの状態で出てくるのです。これもまたちょっとしたことなんですけど、気分がいいんですよね。

宝塚風おねえさんは座敷の上がり口に腰をおろして、静かに微笑みながら猫とたわむれている。この様子がまたすっかりと絵になりますねぇ。木場の「河本」と同じように、この店にも猫が数匹住みついているのです。

トン。もうひとりのおねえさんが私の目の前に置いてくれた小皿はキヌカツギです。ありゃ、どうもありがとうございます。「武蔵屋」ではお決まりのつまみのほかにキヌカツギやコハダ、煮貝なども置いていて、いつでも注文することができるのです。一品がそれぞれ400円だったと思います。ところが、今日のように雨で人が少なかったりすると、ちょっとキヌカツギをサービスで出してくれたりするのです。口に出しては言いませんが「雨の日にわざわざすみません」というサービス品なのかなぁ、なんて思っています。キヌカツギとは、里芋を皮のままゆでたもの。この皮をギュッとつまむようにして中からツルンと芋を取り出し、小皿に添えられたお塩をつけていただくのです。これもまた、なんでもなくうまいよなぁ。燗酒によく合います。

3杯目も宝塚風おねえさんのお酌。そして3杯目のつまみはお新香です。お新香は菜っ葉、大根、タクワン、紅生姜の4種盛りの小さい小皿で、醤油がかけられています。最後はこの漬け物でさっぱりと飲むのがいいんですよね。あぁ、うまいっ。

3杯目のお酒を飲み干して「お勘定をお願いします」と席を立つと、「あらあら。じゃもう少し」と女将さんが土瓶をもって出てきてくれてツツゥ~っとコップに半分くらいのお酒をついでくれます。私も立ったままそのグラスを取り、「本当によかったですね」と目の高さまでグラスを持ち上げてちょっと乾杯のポーズをとって、グイッと飲み干します。「ありがとうございます。みなさんのおかげです」とニコニコと微笑む女将さん。いやぁ。お元気そうで大安心です。

お勘定は2千円。ずいぶん来ない間に100円だけ値上げしたんですね。でもまだまだ安いし、このほうが切りがよくていいかもね。「ごちそうさまでした。」「ありがとうございます。なるべくまっすぐ帰ってください」。あぁ。これも懐かしいフレーズですねぇ。

東急東横線の始発駅が桜木町でなくなってから、なんだかちょっとこの界隈からも遠ざかってしまってましたが、やっぱり「武蔵屋」はホンワリと落ち着くよなぁ。せっかく近くにいるのに、もっともっと来なくちゃね。ちょっと反省しながら、女将さんに言われたとおり、まっすぐに単身赴任寮へと向かったのでした。

店情報 (前回)

《平成17(2005)年4月13日(水)の記録》

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明日は朝から都内での仕事なので、横浜での仕事を終えて都内の自宅に移動します。途中、桜木町の駅に着いたのは午後8時前。まだ「武蔵屋」があいてるなぁ。ちょっと寄り道して帰ろかな。今日は雨。いつもはいっぱいの「武蔵屋」も、前回同様に雨の日は少ないのではないかと思うのです。 「こんばんは」と入った店内は、右手のカウンターは5人でゆったりと満席。左手に2つあるテーブル席は手前側には3人組のお客さん、奥側は空... [続きを読む]

受信: 2005.05.08 13:11

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