中華風もつ炒め … やきとん「串元(くしげん)」(新宿)
新宿に「中華風もつ炒め」がおいしい店があるという。しかしその店はいつも常連さんで満席なので、店頭の看板にも灯すら入れていない(営業中であることが外からはわからないようにしている)ほどなのだそうです。今日は、その店の常連さんであるT氏にご案内していただいて、はじめてその店を訪れることになりました。
店の名は「やきとん串元」。新宿駅の南口を出てすぐのところにある古いお店です。
店内は右手がカウンター席で、左手は8人ほどかけられる長方形のテーブルがずらりと4卓ほどならんでいます。午後7時半の店内はTさんが予約してくれていた1テーブルをのぞいて全テーブルにお客さんが入っている状態。我われもその予約テーブルに陣取ります。
T氏は、この店ではいつも麦焼酎「いいちこ」を一升瓶でキープして、ホッピーにして楽しまれているのだそうで、我われもさっそくその「いいちこ」をいただきます。ソトとなるホッピーの部分は、好みに応じて赤だったり、黒だったり。それぞれ好みのホッピーを作ったところで乾杯です。
一升瓶には「40/60」とマジックで書かれている。これはなんでしょう? 「今年1年間の目標が一升瓶60本で、これがちょうど40本目なんです」とT氏。ひぇ~っ。1年間60本と言えば、1週間に1本以上のペースです。こりゃまた相当な常連さんですねぇ。「1週間に1回以上は来てますが、何人かで来てるんですよ。けっしてひとりで週に1本以上空けてるわけではありません」とはおっしゃるものの...。すごすぎっ。
つまみもT氏と、T氏とともにこの店に何度も飲みに来ているというH氏のふたりがおすすめのものをチョイスしてくれます。
まず出てきた「お新香」はたっぷりのキュウリとちょっぴりのニンジン。もつ焼きにお新香はつきものですもんね。さらには刻みネギとおろし生姜がたっぷりとのった「冷やっこ」(350円)とさっぱり系が最初に出てきた後、満を持して「カシラ」の塩焼きの登場です。ここはなにしろ「中華風もつ焼き」が売りのお店で、通常は中華風のタレで味つけられたもつ焼きが出されるのですが、「塩焼き」という注文もできるのだそうです。もつ焼きはバラで炒められたものが平皿に盛られ、オニオンスライスが添えられます。塩焼きの場合には練りカラシもお皿の横に盛られてます。串焼きじゃないのがおもしろいですね。んー。いい食感、いい味ですねぇ、カシラ。ホッピーもすすむすすむ。すぐに41本目をいただきます。
いいちこ&ホッピー / お新香 / 冷やっこ
「ポテトサラダ」(350円)にはポテトのみならずマカロニや、他の野菜類も入っていてなんだかまろやか。「枝豆」(300円)も出てきます。T氏もH氏も、たっぷりとつまみを食べながら飲まれるタイプなのだそうですが、こうやって野菜系のつまみもたくさん取られてるんですね。
カシラ(塩) / ポテトサラダ / 枝豆
そして「レバー」。これは自慢の中華風炒めで登場です。オニオンスライスたっぷりの上から、一味唐辛子をこれまたたっぷりとかけていただきます。うん。中華風炒めもいいですねぇ。いいタレの味です。
今日の会に参加されているH氏の友人・K氏や、呑んだフルさんも、この店のもつ焼きは気に入った様子。みんなでパクパク食べ進みます。
「これはぜひ試してみてください」という強いおすすめの声とともに出てきたのは「おろしニンニク」(250円)です。出てきた小鉢を見ると、たっぷりの大根おろし(汁なし)の上に、これまたたっぷりのニンニクおろしがのっかっていて、大根の白とニンニクの黄色がきっちりと2層になっています。「んー? なんだかいつもよりニンニクが多いなぁ。はじめてのお客さんがいるからサービスしてくれたのかなぁ。これは相当きますよぉ」とうれしそうなT氏とH氏。醤油をちょいとたらして、グリグリとかき混ぜます。これはそのままいただいてもおいしいのですが、もつ焼きにつけて一緒に食べるのがまたおすすめなのだそうです。クゥ~~ッ。たしかに効くなぁ、このニンニク。こりゃ明日はまた家族に嫌われるなぁ...
レバー(タレ) / おろしニンニク / かき混ぜて…
所用で遅れていたここっとさんも合流。例によってビール(キリンラガー)でスタートです。特筆すべきなのは、この店の飲み物用の冷蔵庫が水冷式であること。ビールもホッピーも冷水の中に浸けて冷やされているのです。この温度が絶妙で、ビールもうまいこと!
「肉にら玉」(550円)はトロトロのニラ玉に豚肉が入ったもの。ここっとさんもTさんとともにこの店には何度も訪れているとあって、好みのメニューも決まっているようです。
「さつま(キクラゲ入り)」(350円)。白くて丸いさつま揚げが丸々2個分。それぞれ真ん中で2分割されて、都合4切れになって出てきます。「タン」は塩焼きで。オニオンスライスもたっぷりと添えられます。「炒めコンニャク」(350円)はコンニャクをゴボウといっしょに炒めたもの。唐辛子も混ざっていてピリッと辛い!
肉にら玉 / さつま(キクラゲ入り) / タン(塩)
ここで吉田類さんと「散歩の達人」発行人(出版事業部長)のYさんも合流です。おふたりは早い夕方(遅い昼間?)から飲みはじめていたのだそうで、すでにすっかりできあがっている様子。もっとも、類さんはいつもとあまり変わりありませんが...。
「コブクロ」をもらって、「カシラ」も今度はタレ(中華風炒め)で。うむ。塩もよかったけど、タレもいいですねぇ。なにしろ材料がいいので、どうやってもうまいっ!
「中華風もつ炒め」にはタン、カシラ、コブクロ、シロ、スナギモ、レバの6種があるのですが、残念ながら今日はシロが売り切れ。壁のメニューにも値段は書かれていませんが、ひと皿1人前が500円くらいなのでしょうか。
炒めコンニャク / コブクロ(タレ) / カシラ(タレ)
41本目の一升瓶も空いて、42本目に突入! 呑んべがそろってると一升瓶1本もあっという間ですねぇ! 一升瓶にはもともとTさんが店主の似顔を書いて、自分のキープマークにしているのですが、今日は類さんがいるので、みんなで「描いて描いてぇ!」とお願いして、類さんに絵を描いてもらいます。類さんは、今は酒場詩人というイメージがすっかり定着してますが、もともとは画家でありイラストレーターでもありますもんねぇ。類さんは「いいですよぉ!」とシャカシャカと絵を描いてくれます。
絵を描く類さん / 焼酎41本目、42本目 / 水冷のビール
閉店時刻の午後10時までたっぷりと楽しんで、今日は8人で22,000円(最初からいた人は3千円、後から来た人は2千円)でした。クセになりそうなもつ焼きと、絶妙な冷え具合のビールがいいですね。どうもごちそうさま!
(同じときの記事が「帰り道は、匍匐ぜんしん!」にもありますので、あわせてお楽しみください。)
・店情報
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コメント
いつも楽しく拝読しております。
前から気になっていた串元、金曜に伺ったのですが、お店の方の対応にがっかりしてしまいました。
広いテーブルは「後からたくさん来るから駄目。カウンターに座って」とつっけんどんな物言い。
奥に居た女将さんらしき方に「どこへ座ればいいですか」と聞いたら、ご主人の方を見やりながら「いっぱいだね」と一言。
一席空けて座ってるお客さんを詰めようともしません。
そういうお店、なのかもしれませんが、驕った態度にうんざりして店を出ました。
浜田さんにこんな事を申し上げるのは、全くもってお門違いなのは重々承知しております。
不適切な発言であると自覚しておりますので、コメントを削除して頂いても構いません。
ただ、常連さんと行けばこのお店の方の対応はきちんとしたものなのでしょうか?
その事をお伺いしたく、コメントをさせて頂きました。
乱文ですが、失礼致します。
投稿: M | 2005.11.28 18:23
横から、コメント失礼します。
串元は常連さんだけですぐいっぱいになってしまう為、
初めてのお客様はほぼ断る事が多いそうです。
#もちろん絶対断るというわけではないと思いますが・・・
なので、そのような対応になってしまったと思います。
私は常連さんに紹介して頂いた為、
お店の方に親切にして頂けましたが・・・。
私のブログにも串元を書いてしまっていますが、
>>初めてのお客様はほぼ断る事が多いそうです。
このような事や、串元だけでなく書くことによって、
不快な思いをされる方がいないように、今後気をつけます。
横から、発言ごめんなさい!
自分自身も書いていたお店だったので・・・
投稿: ここっと | 2005.11.29 11:27
不躾なコメントにお返事を頂けて、大変感激しています。>ここっとさん
とは言え、やはりそういうお店なのですね…。
実は、ここっとさんのブログも何度か拝見して、串元には何度か足を運んでいるのです。
しかしその度に戸も開けない内から「いっぱいだよ!」と言われてしまっていたのです。
そして今回、浜田さんのエントリを読み、「予約をして行けば入れてくれるかもしれない、予約でいっぱいなら諦めもつく」と思い、連れが訪れる2日程前に電話をしたのです。
そうしたら「予約なんか要らないよ」とけんもほろろに電話を切られたと言います。
そして伺うとこの有様です…。
何か失礼な態度でも取っただろうか、それとも常連にしか判らないルールがあるのだろうか、と店を出てから悩んでしまいました。
ここっとさんのブログの表記に関しましても、何ら問題があったとは思いません。
こちらこそ不快な思いをさせてしまったに違いないと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、私が取った行動に何か問題があったのだろうかと気になってしまったので、このようなコメントをさせて頂いた次第です。
今後とも、楽しいブログを書き続けて頂きたいと思っております。
ご迷惑でなければ、これからも拝読させて頂きたいと思います。
それでは、失礼致します。
投稿: M | 2005.12.01 19:20
コメントありがとうございます。>Mさん
個人経営の常連さん主体のお店は、どうしてもその店独自の文化というか、その店独自の暗黙のルールのようなものがあると思います。その店の文化に溶け込めるまでは、身の置き場もないように感じてしまうことさえあるというのが私の経験です。
したがって、最初の1~2回はその店の常連さんに連れて行ってもらうというのが一番いいのではないかと思います。自分だけで行く場合には、少なくとも最初の数回は、なるべくひとりで行くようにして、その文化の中にちょっとだけおじゃまさせてもらうくらいの感じで臨むほうが間違いがないのではないかと思います。
一見さんを「いっぱいだよ!」と断るのも、あるいは(常連さんたちの築きあげた雰囲気を守るための)その店の文化の一端なのかもしれません。また、ちょっと電話をして席を取っておけるのも名前を言って通じるくらいの常連さんだけなのかもしれません。
なにしろその店と、その店に集うお常連の客さんたちが作り上げるローカルルールの集大成なので、一般論ではくくれないのです。
逆にその文化に慣れて、自分もすっかり溶け込めるくらいになるとすごく楽しめると思うのですが...。個人経営の酒場には、そういう雰囲気をもったお店が多いように思います。
こんなので回答になってますでしょうか?
投稿: 浜田信郎 | 2005.12.04 21:46
コメントありがとうございます。>ここっとさん
自分のブログながら、(基本的に)週末しか読み書きできないので、とても感謝しています。
投稿: 浜田信郎 | 2005.12.04 21:47
丁寧なご返答ありがとうございました。>浜田さん
個人経営の酒場、というカテゴライズは、私にはあまりピンと来ませんが、貴重なアドバイスを頂けたと思っています。
ローカルルールがあるお店、というのも初めてではありませんが、こちらのお店のような対応に出会った事がないので、動揺してしまったのだと思います。
ご縁がなかったのですね、きっと。
私も素敵なお店と出会えるのを楽しみに、また日々飲み歩こうと思います。
ここっとさん、浜田さん、私の不躾なコメントにも関わらず、本当に丁寧なご返答ありがとうございました。
投稿: M | 2005.12.05 20:11
浜田さん!!いつもお世話になっています!先日、おかげさまで80本達成(年こしちゃったけど)させていただきました!
串元のコーナーでこんなやりとりがされているのはじめて読みました。自分のケースですけど、串元もそうだったんですけど、飲みたくてしょうがない、というのがおそらく顔/態度ににじみ出ているのか、いちげんさんの店には結構かわいそうだからいれてあげる的にいれてもらえることが多いようです。うれしいような悲しいような・・・
投稿: T氏 | 2007.03.08 02:06