弁当つまみにひとり酒
単身赴任寮のケータリング弁当が2月いっぱいで廃止されることになりました。独身寮も兼ねたこの寮には、200人近い寮生が住んでいるのですが、ケータリング弁当の利用者は4~5人程度しかいないですからねぇ。なにしろ夕食の注文や取り消しができるのが当日の朝8時までと非常にリードタイムが長い上に、メニューも1種類のみ。したがって夕方近くならないと夜の予定が立ちにくい人や、好き嫌いがある人は、注文しづらい弁当なのです。
でも私はこのお弁当がけっこう好きだったのです。
急な外出なども少なくて、あらかじめ予定が立ちやすい仕事だし、食べ物の好き嫌いもない。さらに自分で料理を作ったりすることもできないので、ケータリングでその場まで届けてくれるお弁当は便利この上ない。
都内に勤務していたころは、会社から自宅まで帰る途中で、ふらりと酒場に寄り道して、ワンクッションひとりの時間を楽しんでから帰宅するというのがパターンだったのですが、横浜に単身赴任になってからは、会社を出るといつもひとり。ひとりの時間を作るためにわざわざ酒場による必要はないのです。むしろ気の合うグループでワイワイと交流するために酒場に行くほうが多くなってるほど。
まっすぐ寮に帰り、銭湯のように大きなお風呂にザッブーンと飛び込みます。このお風呂も意外と利用者が少なくて、今まで同時に5人以上の人といっしょになったことがない。各階に用意されてるシャワー室のほうが人気が高くて、この地下の大浴場はあまり人気がないのです。今日も私以外にもうひとりいるだけ。大の字にゆったりと身体を伸ばせるのがいいですよねぇ。自宅の風呂ではとてもこうはいきません。
1日の汗と汚れを洗い流したあと1階の食堂へ。いよいよお弁当タイムです。食堂の自動販売機でビール(500ml缶、290円)を買ってテレビの正面あたりの席へ。同時に70人以上食事をすることができるこの食堂、ただいまの時間の利用者は私ひとりです。なにしろ、今日お弁当をたのんでいる人はたったの4人ですから、みんなが一緒になったとしても高々4人にしかならないのです。
缶ビールをプシュンと抜いて、部屋から持ってきたビア・タンブラーにトットットとビールを注ぎます。寮での弁当酒の唯一のぜいたくがこのビア・タンブラーかな。いただきもののこのタンブラー。実に泡立ちがきれいで、とても素人が注いだようには思えない仕上がりになるのです。そのきれいな泡立ちの生ビールをゴクゴクと大きく喉を鳴らしながら飲み込んで、大きくプハーッと息を吐くと疲れも吹っ飛びます。
弁当箱のふたを開けると、おかず区画は大きく7つに分かれています。左下の一番大きな区画はいつもだいたい焼き物、揚げ物が入っています。今日は白身魚(サワラ)のフライとタレ焼きのツクネ。その右どなりの小さな区画にケチャップ炒めのウインナソーセージもあるので、ビールのつまみはまずこれらからいきますか。
キリン一番搾り / 弁当 / さわらフライ、つくね串など
ビールがなくなると今後は日本酒。今日は部屋から持参の缶入りの「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」の吟醸酒です。冷蔵庫でよーく冷やしておいたので「上善如水」の宣伝文句どおり、まさに「雪解け水のような」冷たく透き通った味わいです。つまみにするのは、弁当箱の上部右側のほうに鎮座している切干大根煮とインゲンの甘辛煮。
上善如水・吟醸 / 切干大根煮 / いんげん甘辛煮
テレビのニュースをながめながら、ちびちびとつまむ煮物のうまいこと。お酒のすすむこと。
「上善如水」もなくなり、次なるお酒は「ワンカップ大関」。これをレンジでチンして燗酒にしていただくのです。つまみのほうは弁当箱のマーボ豆腐や八宝菜風野菜煮。ひとしきり食べたところで味噌汁をついできて、今度はその揚げ玉とワカメの味噌汁をつまみに燗酒です。味噌汁をズズッとすすって、お酒をチビリ。んー。汁物でいただくお酒はなんておいしいんでしょう。
麻婆豆腐 / 八宝菜風野菜煮 / 味噌汁
お酒もすっかり飲み終わり、最後に残しておいた漬物でごはんをちょっぴりいただいてごちそうさまー。ちょうどいいほろ酔い気分で、同じ館内を歩いて30秒ほどの自分の部屋へと戻るのでした。
このお弁当。これで500円ですからねぇ。居酒屋の料理1品程度の値段でこれだけのつまみが食べられるのがとてもよかったのになぁ。とても残念です。
・前回
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