東京一の塩辛やっこ!? … 立ち飲み「やき屋」(荻窪)
土曜日4時過ぎの「やき屋」です。開店からまだ5分もたっていないのに、すでに店内右手のメイン立ち飲みカウンターは満席(8人)。左手の壁に作りつけられた、3~4人たつことができるサブカウンターの奥側にもひとり先客がいる状態。みさんさん出足がいいですねぇ。私もサブカウンターの一番手前側に立ち、まずはホッピー(300円。括弧内の料金は税別表記。以下同じ)を注文します。
ここのホッピーは氷と焼酎が入ったサワーグラスと、瓶入りのホッピーが別々に出るスタイル。これを自分の好みの濃さに割るのです。サワーグラスの9分目くらいを目安にホッピーを入れると、瓶入りホッピー(いわゆるソト)1本で3杯のホッピー(焼酎のホッピー割り)が作れるくらいの分量です。
つまみのほうはゲソ揚げ(150円)とイカなんこつ焼き(150円)の2品を注文。ゲソ揚げはカウンター上のバットに盛られているものを、注文に応じてお皿に取り分けてくれるだけなので出るのが早いのです。それに対してイカなんこつ焼きは、注文を受けてから生の状態から焼きあげるため、少し時間がかかるのでした。早く出るものと、ちょっと時間がかかるものを同時にたのんでおくと、早く出たほうを食べ終わるころ合いで遅いほうが出てくるのでちょうどいいのです。
ちなみに早いものは先ほどのゲソ揚げのほか、イカわた和え、イカ塩辛、煮込みなど。遅いものは焼き物で、イカなんこつ焼きの他、ミミ焼き、ゲソ焼き、フランクフルト、イカしょうが棒などでしょうか。中間的なものは刺身類です。イカ刺し、イカミミ刺し、げそわさ、シメサバなどの刺身類は、注文を受けてから刺身に引いていくので少し時間がかかるのです。ここのつまみはシメサバの200円をのぞくと、他はすべて150円という低価格。この価格で新鮮なイカを、注文を受けてから生から焼いたり、刺身に引いたりするのですから人気があるのもうなずけますよね。
もくろみどおり、ちょうどゲソ揚げを食べ終わったところへ、イカなんこつ焼きが出てきました。タレ焼きされたイカに七味唐辛子をパラパラっとふりかけていただくと、ホッピーも進んで、進んで。
案内看板 / ホッピーとゲソ揚げ / イカなんこつ焼き
店はカウンターの外、レジのところにいる女将さんと、カウンター内で調理も担当しているゲンさんのふたりで切り盛りしています。メインカウンターのお客さんはゲンさんに直接注文し、サブカウンターや左手奥にひとつだけある座り飲みテーブル席のお客さんは女将さんに注文するというのが基本のようです。私のいるサブカウンターの一番手前(店に入ってすぐ左側)というのは女将さんのいる場所にとても近い。クゥ~ッと飲み干したグラスの、カランと転がる氷の音だけで、なにも言わなくても女将さんが「はい」と手を伸ばしてくれるほど近いのです。
ホッピーの焼酎部分だけのおかわり(ナカ)は150円。ソト1本、ナカ3杯のペースで飲むと600円で3杯のホッピーが飲めることになります。これだと1杯あたりに換算すると200円になってしまうのがうれしいではありませんか。
3杯目となるナカをおかわりしたところで、つまみはイカ塩辛(150円)と冷奴(150円)を注文します。
ここのイカはすべてイカ水揚げ日本一の八戸のイカ。そのイカをフレッシュに一夜漬けした素晴らしいつまみがこの塩辛なのです。太田和彦さんも近著「ひとりで、居酒屋の旅へ」の「やき屋」の紹介記事の中で「間違いなくこれは東京一のイカ塩辛。もう酒よりも完全に塩辛が主役だ。恥ずかしながら私はお代わりした」と最大級の賛辞を贈っているほどです。
イカ塩辛 / 冷奴 / 冷奴に塩辛をのせて
しかーし。そんな絶品のイカ塩辛を、今日は冷奴にのっけて食べちゃおうというんだから大贅沢。イカ塩辛の味が豆腐を引き立て、豆腐の淡白な味わいがまたイカ塩辛の味の深みを引き上げるという、まさに相乗効果的な味が楽しめるのです。あー、うまい。
5時過ぎまでちょうど1時間の立ち飲みタイムはホッピー3杯(ソト1、ナカ3)につまみ4品で、1,260円でした。うー、飲みも食べも大満足ぢゃ!!
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コメント
吉祥寺に来られたのはこの後ですか?
その節はどうも。
投稿: ebisu@週末podcaster | 2006.05.08 07:17
ご無沙汰しております。
この度は本をご出版されるとか・・・
一ファンとしては大変嬉しゅうございます。
\(^O^)/ ワ~イ
「やき屋」の塩辛、確かにサイコーです!
“WITH やっこ”はさらにサイコー!!
キャーq(≧∇≦*)(*≧∇≦)pキャー
アレは完璧なるマリアージュです。
この食べ方を教わったのは浜田さんからでしたね。
あの時の感動は忘れません。
これからも“良き伝道師”としてのご活躍を祈っております。
投稿: キャスバル坊や | 2006.05.09 14:16
>ebisu@週末podcasterさん
そうなんです。ちょうど3杯目のホッピーが終わりかけたところでebisuさんからTELをいただき、吉祥寺に向かった次第。その節はお世話になりました。
>キャスバル坊やさん
どうもありがとうございます。
それにしても「やき屋」の塩辛はうまいですよねぇ。ほとんど刺身のワタ和えといっていいくらいのフレッシュさで、それでいて塩辛のコクも味わえますもんね。
キャスバル坊やさんも東へ西へと大活躍のご様子。ブログにも気になるお店がたくさん載っていて、いつも楽しみです。これからもよろしくお願いします。
投稿: 浜田信郎 | 2006.05.10 12:56
早速貴書を購入させて頂きました。
まだ最初の数ページを読んだ段階ですが、値段は文庫本のため割安にも拘らず、かなり内容のある書籍なのでじっくりと読ませて頂きたく存じます。
また居酒屋ブログの「カリスマ」「教祖」の浜田さんの領域に少しでも近づくべく「修行」に励みますので今後もよろしくお願いします。
投稿: 桑田 | 2006.05.14 18:21
>桑田さん
ありがとうございます。筑摩書房のご担当者の方も「単行本にするとどうしても値段が高くなってしまう。たくさんの店を載せて、多くの方に楽しんでもらいたいので最初から文庫でいきましょう」とおっしゃってました。同じ「ちくま文庫」のシリーズで「立ち飲み屋」や「下町酒場巡礼」などがあるのもうれしいです。
投稿: 浜田信郎 | 2006.06.04 21:49