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横須賀湯豆腐発祥の店 … 大衆酒場「太田屋(おおたや)」(横須賀中央)

横須賀の2軒目は、なんと創業が大正2(1913)年という超がつくほどの老舗大衆酒場「太田屋」です。前に横須賀に来たときに、この近くの大衆酒場「銀次」で、横須賀名物という湯豆腐をいただいておいしかったのですが、その横須賀湯豆腐発祥の地が、ここ「太田屋」らしいのです。

京急・横須賀中央駅から見て横須賀プライムの裏手、ビルとビルのすき間の路地の中に目指す「太田屋」はありました。酒場と書かれた紺ののれんをくぐり、サッシの引き戸を開けると午後6時半の店内はほぼ満席状態。「いらっしゃいませ。ちょっと狭いですけど、こちらのテーブルの奥の席でよろしいですか」と3人で切り盛りしているらしき女性のひとりに案内されます。

060417j「お飲み物はなんにしましょう?」。この店もやはり座るやいなやのタイミングで飲み物の確認。やはり常連率の高いお店なんですね。「ホッピーをお願いします」と、ここでもやはりホッピー(430円)を注文。今日は徹頭徹尾、横須賀ホッピーでいってみようと思っているのです。

「横須賀ホッピーの泉」という記事が掲載された「散歩の達人2005年7月号によると、横須賀でホッピーが売り出されるようになったのは昭和20年代のこと。東京の下町でホッピーが飲まれるようになったのが昭和30年代だそうですので、横須賀のほうが歴史が古いんですね。ビールがない当時、横須賀にいる米兵たちがその代用に「ホッピービア」と称してホッピーを飲むようになったのがはじまりなのだそうです。なにしろビール代わりなので氷はなしが標準。しかも焼酎の量が多いのも横須賀ホッピーの特徴のようです。

さっきの「忠孝」もそうだったのですが、ここ「太田屋」もジョッキに3分の1ほどの焼酎が入っていて、残る隙間に瓶入りホッピー1本分が入りきらないのです。件の「散歩の達人」によれば、「忠孝」の焼酎の量が180ml、こちら「太田屋」は120mlなのだそうですが、どちらも同じくらいに感じるなぁ。標準的な(←メーカーが推奨する)ホッピーの作り方は、焼酎70mlに対して瓶入りホッピー1本分なので、いずれにしても濃いことは濃いんですね。

料理のほうはもちろんお目当ての「湯豆腐」を注文。「湯豆腐」は普通にたのむと1丁分で400円。メニューには半丁(250円)というのもあるので、そちらをお願いしました。

060417kホッピーとともに出されたお通し(サービス)は、キュウリの漬け物(たぶん「きゅうりのキューちゃん」)をちょっと絞って小皿に盛ったもの。そのお通しをつまむ間もないくらいのスピードで「湯豆腐」が出てきました。おぉーっ。なるほど。平皿に盛られたあったかい豆腐の上面全体に練りガラシが塗られ、その上にたっぷりのカツオ節。これぞまさに横須賀湯豆腐ですねぇ。今日はホッピーの日と決めてますが、本当はこいつは燗酒が合うよなぁ。

店内は入ると正面が鉤の手(━┓←こんな形)のカウンターで、おもしろいことに鉤の手の内側に座るのです。長辺に5人分、短辺には3人分の椅子が置かれてますが、すべての椅子が埋まると、角に近い場所のふたりは背中がくっつきあって大変かもね。カウンターの向こう側が正面と右手の壁にそって厨房スペースです。このカウンターにいるのは中高年の男性ひとり客がほとんどなのですが、中に少し若い女性ひとり客がいたりする。

左手には4人がけのテーブル席を二つ連ねて、縦長いテーブル席として並べています。奥側のテーブル席は壁とくっついてる部分があるため、実際には3人座れるかどうかといったところですね。こちらは入口側のテーブルに年配の男女(夫婦の様子)、そして奥側が年配の男性ふたり連れと私。私がいるのはテーブル席の一番奥。ちょうどテレビの真下、トイレの入口の横にあたる場所です。

さらに入口から見て左手の奥のほうにちょっと広がったスペースがあって、そこにも4人掛けのテーブル席がひとつ置かれています。こちらは中年女性ふたり連れ。こうやって老若男女が、そしてひとり客もグループ客も入っている店というのはまず間違いないですね。

「忠孝」は若い店員さんたちが切り盛りしていたのですが、こちら「太田屋」は中年女性3人で切り盛り。この店のように女性だけではなくても、女性中心に切り盛りしている酒場はなんとはなしにあったかみを感じていいですね。たとえば野毛の「武蔵屋」や大塚の「江戸一」、木場の「河本」、月島の「岸田屋」などもそうでしょうか。

「湯豆腐」の他にもう一品、なにかいただきましょうか。壁にずらりと張り出された短冊メニューを確認してみると、一番安いのは今いただいている半丁の湯豆腐や冷奴の250円で、小松菜おひたしなどの300円、ベーコンエッグなどの350円と50円ずつ上がっていって、一番多いのは400円と450円のメニュー。400円ものはたとえば鮭とば、コロッケ、串カツ、しこさしみ、そら豆、なまこなど。450円はメンチ、地どり唐揚げ、まぐろさしみ、いかさしみ、ニラ玉いため、わかさぎ唐揚げなどなど。さらにそれらより上はあじフライなどの500円、豚肉生姜焼き、まぐろぬたなどの550円、めごち天ぷら、まぐろ上さしみなど600円、そしておそらく最高級品は絶品・霜降馬刺しの800円です。品数でいうとざっと50種類近くはあるでしょうか。これだけ並ぶと迷いますねぇ。

お。数あるメニューの中に「しこ天」(450円)を発見! これはシコイワシの天ぷらですね。シコイワシというのはカタクチイワシ(片口鰯)の別名。非常に身近な魚で、稚魚は畳鰯(たたみいわし)や白子干し(しらすぼし)、ちりめんとして。そして成魚は目刺(めざし)や煮干(にぼし)、アンチョビとして出まわっています。広島でいうところの小イワシや、愛媛でホウタレイワシと呼ぶものなども、実はすべてカタクチイワシの別名なのです。もちろんいただくことにしました。

060417l広島の小イワシ天ぷら(参考情報)のように、1尾1尾がカラリと揚げられて出てくる姿を想像しながら待ってたら、あにはからんや、出てきたのはちょっと厚めのかき揚げ天ぷらがふたつ。へぇ~っと思いながらカプッとかじってみると、これがまたシコイワシがたっぷりと詰まったかき揚げ天! これはまたうまいなぁ。これまた本当は燗酒が合う一品です。

ちなみに燗酒は、目の前の年配の二人連れが飲んでるのが「清酒・喜久水」(1合、370円)。徳利に「喜久水」というお酒の名称の他に、「太田屋」と店の名前も入ってるのがいいではありませんか。いかにも老舗って感じですね。他には「上撰・菊正宗」と「上撰・剣菱」があって、これらはともに1合が400円です。

先ほどの「忠孝」ではホッピーを飲んでいるお客さんもそこそこいた(でもお客の半分には達していない)のですが、ここ「太田屋」では、たまたまかもしれませんがホッピーを飲んでるのは私ひとりだけ。他のみなさんは燗酒やビール(大瓶560円、小瓶390円、大生800円、中生520円、小生400円)や、ウーロンハイ、緑茶ハイ(ともに390円)などをいただいているようです。

元祖・横須賀湯豆腐と、たっぷりのしこ天を平らげて、2軒目も終了。約1時間の滞在はホッピー1杯につまみが2品で1,130円でした。どうもごちそうさま。

店情報

《平成18(2006)年4月17日(月)の記録》

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 国内で最も漁獲量の多い魚であるカタクチイワシ(片口鰯)は地域によって、またサイズによって呼び名が異なります。  私の故郷、愛媛の松山あたりではホウタレ、呉や広島では小イワシ、横浜や横須賀ではシコと呼ばれているようです。小さいのはシラスだったり、チリメンだったり。  金曜日の今日は、横須賀中央駅近くの酒場を見て歩いたあと、「中央酒場」で軽く飲んで、2軒目としてやってきたのが大衆酒場「太田屋」です。... [続きを読む]

受信: 2013.08.16 22:36

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