伝説の老舗バー … レストランバー「リキシャルーム(Ricksha Room)」(横浜・本牧)
「シーメンスクラブ」を出たところへちょうど空車のタクシーが1台通りかかり、4人で再び山手警察署方面へ。その交差点のすぐ近くにあるのがかつて“最も近いアメリカ”と呼ばれていたというレストランバー「リキシャルーム」です。青いネオンに導かれるように店内へ。
店内は入ってすぐ左にテーブル席がずらりと並び、ピアノなども置いてあるホールがあり、壁を1枚隔てて奥側が直線のカウンター席になっています。午後11時の店内に先客はなく、我われはカウンター席にずらりと並んで座り、赤ワイン(米国産「レッドウッド・クリーク」カベルネ・ソーヴィニヨン2004)をボトルでいただきます。
青いネオン / ホール / ワインを注ぐマスター
この店は昭和36(1961)年に、今は亡き元船乗りのアメリカ人が始めたバーなのだそうで、現在の女将(日本人)がその奥さんです。
なにしろ本牧(ほんもく)は昭和57(1982)年まで米軍住宅地があった街。店に来るのも当初は米兵ばかりだったのだそうです。店内には、その米兵たちが本国から持ち込んだ最新ヒット曲が流れ、その音楽に引き寄せられるように若者たちや音楽関係者が通ってくるようになり、先に書いたように“最も近いアメリカ”という呼ばれかたをするようになったのだそうです。店には美空ひばり一家や、力道山、勝新太郎、石原裕次郎なども集まり、“ハマの遊び人”で訪れなかった人はいないとまで言われたいたのだとか。
そんなふうに店の歴史を語ってくれる東京新聞の記事のタイトルは『ハマの青春消える夏』。この店は今年の8月末をもってその45年の歴史に幕をおろすのだそうです。
新聞記事 / カウンターで / 名物・四角いピザ
我われも、店の名物という四角いピザをいただきながら、まもなくなくなる浜の酒場を惜しみます。昔と違って洋楽も、ボリュームたっぷりの料理もすぐに手に入る状態になったのと、やや交通の便が悪い土地柄が影響したのでしょうか。
なお現在の店舗は2003年に新装されたのだそうで、外装も内装もピカピカの新品。見た目上は老舗という感じはありません。マスターも「うちはこの夏で営業をやめますが、どなたか別の人がここでバーを営業されるかもしれませんね」とのこと。たしかにこの新品の店をなくしてしまうのはもったいないですよね。
伝説の老舗バー。お勘定は4人で約6千円(ひとりあたり1,500円)でした。
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