ゴールデンウィークの9連休も8日目。あと今日と明日の2日間を残すのみとなりました。さあて、今日はどこに行こうかなと布団から抜け出したところへ、横浜の酒場通・伊東さんから「本日、16時戸部駅集合の角打ちツアーがあります。お時間があるようでしたらお待ちしております」というありがたいメール。さっそく返信してみると、ホッピー仙人主催の立ち飲みコンペなのだそうです。
午後4時に京急本線・戸部(とべ)駅集合。横浜のとなり駅ながら、この駅で降りるのははじめてです。電車を降りたところへ、同じ電車に乗っていたらしく伊東さんも歩いてきてホーム上で合流。改札を抜けると「ホッピー仙人」でよく見かける顔がずらりとそろっています。「こんにちは」とあいさつしを交わしつつその輪に合流すると、さっそく仙人がみんなを集めてルール説明です。
ここ京急・戸部駅から相鉄・西横浜駅にかけての一帯(その中心部が藤棚町)は立ち飲みのできる酒屋さんが多い地域なのだそうで、今日は仙人から渡された地域の地図をもとに決められた時間内にたくさんの酒屋の立ち飲みをまわり、得点を競おうというもの。日本酒なら5点、酎ハイは4点(←店で作った場合。缶酎ハイは3点、半分の酎ハイは2点)、ビールは3点、発泡酒2点、陶々酒などは1点と、飲み物ごとにそれぞれ得点が決められているのがおもしろいですね。
参加者は20人以上いるので、じゃんけんで3~5人ずつくらいにチーム分け。私は伊東さんとガンさんとの3人のチームになりました。
「それじゃ、はじめましょう。別のチームとバッティングした場合には先に入ってるチームはなるべく早く切り上げて場所をゆずりましょうね!」という仙人の掛け声で競技(?)開始です。
とはいえ、渡されているのは普通にネット上で見ることができる地図をプリントアウトしているだけのもの。けっして酒屋さんの位置がピンポイントで示されているわけではなく、鼻をきかせての酒屋探しも競技の一環なのです。ひとまずみんなで藤棚町中心部にある商店街へと向かい、途中から1チーム、また1チームと界隈の路地に消えていきます。
用のないときはよく見かける酒屋さんながら、こうやって探しているときはなかなか見つからない。伊東さんから「裏の路地にも展開して幅広く探しましょう」という提案があり、「じゃ1ブロック進んだところの交差点で再合流ね!」と本通りと左右の裏通りに分かれて酒屋を探しながら1ブロック進みます。交差点で合流した3人。「裏の通りにも酒屋はないですねぇ」。うーむ。これは困ったねぇ、と言いつつもさらに先に進むと、そろそろ藤棚交差点(商店街の終わり)になるという右手に大きな酒屋を発見(時刻16:40)。やぁ。ついに酒屋を見つけましたねぇ。
- 店名: 福田屋酒店本店
- 電話: 045-321-7785
- 住所: 220-0051 神奈川県横浜市西区中央2-7-3
しかしその外観はどう見ても普通に見かける町の酒屋さん。とても立ち飲みできるようには見えないなぁ。「ここは立ち飲みできますか?」と確認してみると、店主がすっと店の外を指し示しながら「そちらの入り口から入ってください」とのこと。いったん店の外に出て、言われたほうに行ってみるとなんとそこには大井町の「武蔵屋酒店」などと同じように別に入口があるではありませんか。しかもここ「福田屋」の立ち飲みコーナー入口にはちゃんと暖簾(のれん)までかかっています。

福田屋 / 立ち飲みコーナー入口 / 生ビール / つまみ
「やったー。1軒目発見だ」と喜びながら店内に入ると、奥の扉が開いて、先ほど酒屋のほうにいて我われに「そちらの入り口から…」と教えてくれた店主がこちらのコーナーにやってきました。ひとりで両方を切り盛りしてるんですね。
本日1杯目であることと、この先がまだ長いことを考慮して、1杯目は高得点をねらわず、手堅く生ビール(中、400円)(ガンさんはいきなり酎ハイ!)で乾杯です。ちなみに同じ生ビールの大は550円、小は300円。酎ハイは200円です。つまみは駄菓子屋風の入れ物に入っていて、バタピー60円、塩マメ60円、レーズン70円など。ずらりと立てて並べられた魚肉ソーセージは100円。この安さが酒屋の立ち飲みですね。
この立ち飲みコーナーの先客はおじさんがひとり。酎ハイをちびちびとやっています。我われが来るまでは、店主も店側にいたため、まさにおひとりでちびちびと酔いを楽しんでたんでしょうね。
生ビールを飲み終えた我われは「ごちそうさん」と出口に向かいます。そこへちょうど別のチームがこの店に到着。「すでに1軒行って、ここが2軒目だよ」とのこと。しまったぁーっ。すでに1軒分遅れをとったか。急げ急げ。
藤棚町の不思議な五差路(六差路?)をわたり、相鉄線・西横浜駅方面へ。行けども行けども酒屋はなく、とうとう国道1号線にぶつかってしまいました。ここを渡るともう西横浜駅ですが、そこを左折して久保町方面へ。どういうわけだか道路が藤色(ラベンダー色)に舗装された一帯にやってきたところで、三分の二ほどシャッターが閉まっている(3枚あるシャッターのうち、まん中の1枚だけが開いている)古びた酒屋を発見(時刻17:05)。中をのぞいてみると、店番のおばちゃんと、そのおばちゃんと差し向かうようにしておじさんがひとり(なんと座って)飲んでいます。よし。この店も立ち飲みOKそうです。
- 店名: 藤屋酒店
- 電話: 045-231-1280
- 住所: 220-0061 神奈川県横浜市西区久保町3-19
ここ「藤屋酒店」では伊東さんとガンさんは高得点(5点)の日本酒に突入です。このところ飲み続けの私は、2軒目でも手堅くビール(3点)。悪酔いを避けるためゆで玉子(50円)もひとついただきます。

藤屋酒店 / ビール&酒 / ゆで玉子 / 五箇条
この店も店内の棚には缶詰や駄菓子、そして魚肉ソーセージなどがずらりと並んでいるほか、「手造り ところ天」なんてメニューもあります。棚の上部には「酒類店頭量り売りについて」という五箇条が額に入れられて掲示されています。
酒類店頭量り売りについて
- 酒類の「コップ量り売り」は現金引換に願うこと。
- 飲酒せられる場合は店頭に限り五分以内に御利用願うこと。
- 飲用のため、椅子、客席等の設備は設けないこと。又附近に空箱、空樽を置かないこと。
- 酒の燗、肴、つまみものの提供は勿論、これらの持込みを厳重にお断りすること。
- コップの洗浄、置場には、十分衛生に留意すること。
以上物品販売業者の自覚のもとに飲食店類似行為は厳に慎むことを申合せる。
昭和40年9月 横浜小売酒販組合
うーむ。2番目の飲酒が「五分以内」というのもすごいなぁ。後文に「飲食店類似行為は厳に慎む」ということが書かれてるということは、この申し合わせの前までは、小売りの酒屋がどんどん酒場(居酒屋)に近い状態になってたんでしょうね。しかし、こういう申し合わせができるほど、横浜では昔から酒屋での立ち飲みが盛んであったことは間違いないようです。
店を出て再び藤色の道を藤棚町交差点方向へと向かうと、左手路地の先に酒屋が見えます。(時刻17:25)
- 店名: 小野酒店
- 電話: 045-231-1478
- 住所: 220-0061 神奈川県横浜市西区久保町16-22
3軒目は「小野酒店」。2軒目から3軒目までは近かったですねぇ。店内をのぞくとワイワイと盛り上がるおじさんたちに混ざって、我われのコンペ大会のメンバーも1チーム飲んでいる。「やぁやぁ」とあいさつを交わすと、先に入っているチームから「5分以内に出るから、ちょっと待っててね」と声がかかります。ググゥ~ッと飲み終えたメンバーと、店頭で界隈の酒屋情報を交換したあと、入れかわりに店内に入ります。
ここでいよいよ私も高得点の日本酒(黄桜カップ)をいただきます。ガンさんは菊水の“ふなくち”。伊東さんはエビスビールです。
店内のおじさんたちからは「おぉ。仲間同士じゃないのか。一緒に飲まなくていいのか?」なんて声がかかります。「いやいや。この地域に酒屋の立ち飲みが多いということで、20人ほどでいろいろとまわってるところなんですよ。みんなが一斉に入ると他のお客さんたちにご迷惑をかけるので、同じ店でかち合った場合には先に入ってるチームがなるべく早く出ることになってるんです」と説明すると、おじさんたちの店のおねえさんもおもしろがって、「昔はいろんなところで立ち飲みができたのに、今残ってるのはこのあたりと、あと杉田あたりらしいわよ」と店のおねえさんが教えてくれます。
そうでしたか。杉田あたりは私の職場の近くなので、そのあたりもまわってみないといけないですねぇ。まさに灯台下暗しです。

小野酒店 / 酒と肴 / 立ち飲みコーナーの様子 / 店内の様子
すぐ近くで飲んでいるおじさんからは、「ほら。にいちゃんたち、これを食っていけ」とひとりにひとつずつ味付け海苔とチーズを手渡してくれます。「さっきのみんなにもやったからな。不公平にならないようにしなきゃな」と笑うおじさん。「ありがとうございます。でも次々と他のチームも来るから、みんなにあげてると大変ですよぉ!」「そうか。じゃ、これで終わりにするか」という言葉に店中で大笑いです。
まさにそこへ次のチームが到着。「すぐに飲み終わるから待っててね」と、今度は我われがググゥ~ッとお酒を飲み干して、次のチームとチェンジです。
「小野酒店」を出て、さらに藤棚町交差点方向に進むと「とくしまや」と書かれた大きな酒屋を発見。うーむ。これは大きな店すぎて、立ち飲みコーナーはないかもな、と思いながら店内にいる店主らしき男性に確認すると「立ち飲み? 店の後ろに回って」とのこと。すばらしい。こんな大きな店にも立ち飲みコーナーがあるんですねぇ。(時刻17:45)
- 店名: 徳島屋酒店
- 電話: 045-231-2961
- 住所: 220-0061 神奈川県横浜市西区久保町21-17
裏に回ると半開きの入口扉から人がはみ出すほどお客さんが入っている。のぞき込むと小さな直線カウンターだけの店内に年配の男性客がずらり。ここは座って飲めるんですね。そのカウンターのまん中あたりに空きがあり、立ち飲みならば入ることができそう。さっそく店内に入り酎ハイ(缶)をもらいます。
この立ち飲みコーナーはおばあちゃんがひとりで切り盛りしていて、先客のおじさんたちもそのおばあちゃんと話をしながら飲むのが楽しそう。

徳島屋酒店 / 店内の様子 / 調理中 / ロールハム
ここも店内にはゆで玉子(30円)や各種缶詰(110円から)などのほか、納豆(60円)、厚揚げ(100円)、がんもどき(130円)など、ちょっと調理をしないといけない料理もならんでいます。そんな中からロールハム(110円)を注文すると、カウンター内の厨房スペースでおばあちゃんがスッスッとロールハムを切ってくれて、マヨネーズたっぷりで盛りつけてくれます。こうやってちょっと手をかけてくれるところが人気なのかな。
まだまだにぎわう「とくしまや」を後にさらに藤棚町交差点方面に向かうと、左手にポテトコロッケ(55円)が評判らしい「キング惣菜店」(045-231-2572、横浜市西区藤棚町1-103
)。その「キング」のちょうど真向かいの歩道上でおじさんたちが3人立ち飲んでいる。ムムッと見るとそこが「杉山酒店」です。(時刻18:15)
- 店名: 杉山酒店
- 電話: 045-231-2586
- 住所: 220-0053 神奈川県横浜市西区藤棚町1-85
店内はウナギの寝床のように細長く、その両側に立ち飲みカウンターが作りつけられています。奥の販売窓口でチューハイを注文すると店主らしきおじさんがサワーグラスに焼酎を入れてくれて、それとは別に瓶入りのソーダ水(カナダドライ)が手渡されます。

杉山酒店 / 店内の様子 / 窓口で注文
その窓口の右奥にずらりと積み上げられている缶詰の中から「うなぎかぶと焼」をいただきます。
「杉山酒店」で飲み終わったところでタイムアップ。しかしすごい町だなぁ、藤棚町。

チューハイ / うなぎかぶと焼 / 優勝商品のホッピー
後ほど「ホッピー仙人」で行われた結果発表で、我われのチームはなんと採点用紙を紛失するという大失態を演じながらも、「ま。遠くから来たから」と大温情で優勝!(というか、みなさんほとんど点差がないくらいの状態だったんですね。)
優勝商品は不思議なホッピーでした。
「ホッピー仙人」では、次回は各自が決められた金額の範囲内で立ち飲むという大会を企画しているそうです。これまた楽しみですね。
・店情報 (前回)
《平成18(2006)年5月6日(土)の記録》
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