二代目は25歳! … 居酒屋「ニュー信州(にゅうしんしゅう)」(渋谷)
jirochoさんや寄り道さんの記事を読んで、前々から行ってみたかった「ニュー信州」(写真)に、濱の戯人・tamさんとともにやってきました。
たまたま店の前に出てきた店のおにいさんに「いらっしゃいませ」と笑顔で迎えられ、おにいさんとともに店に入ります。店内は正面から左手にかけてが、靴を脱いで上がる広い座敷席になっていて4人用の座卓が7卓ほど並んでいます。入口右側には4人用の木製のテーブル席が2卓。さらに奥の厨房の手前には5席分ほどのカウンター席もあるようです。火曜日午後7時前の店内には先客は座敷にひと組4人のみ。我われは右手テーブル席のひとつに陣取り、瓶ビール(キリンラガー大瓶)からスタートです(写真)。
お通しとして出てきたのは小鉢に盛られた胡麻豆腐(ごまどうふ)なんだけどなにやらピリッと刺激的。ちょうど注文を取りにきてくれたおかみさんに聞いてみると、これは自家製の胡麻豆腐で柚子胡椒が入った醤油ベースのタレをかけているのだそうです。このピリッは柚子胡椒だったんですね。(写真)
さて料理。メニューは350円の冷奴、500円の小アジ唐揚げを2品からはじまりますが、そら豆、うるめいわし、焼きナス、わらびお浸し、〆コハダ、ハモ天ぷら、金目鯛刺し、ホタテ刺し、あら煮、あさりバター焼、さわら塩焼きなどなど大多数の品が650円という価格設定になっています。それより高いのはシマアジ刺しや地鶏唐揚げなど、数品の850円もの。千円以上のメニューは天ぷら盛り合わせ(1,500円)、刺身盛り合わせ(2,000円)くらい。ま、ほとんどが650円なので高くはないんだけど、安くもないかなって感じです。
ずらりとならんだメニューを見つつ、tamさんと相談の結果、まずは夏らしくコチの刺身(650円)と、ビールに合わせて芝エビの唐揚げ(650円)をいただくことにしました。注文は奥の厨房にいるご主人に伝えられます。店はご主人夫婦と先ほどの若いおにいさんの3人で切り盛りしているようです。
すぐに出された「活こち刺し」(650円)は、まな板皿にあしらいもよく5切れ(写真)。白い透明感のある身が夏らしくていいですねぇ。「芝えび唐揚げ」(650円)は、添えられたレモンを絞っていただくと、予定どおりビールにぴたりです。(写真)
この店の特長のひとつはお酒が安いこと。何種類か置いてある地酒は、基本的に二級(その銘柄の中では一番安いお酒)が390円、純米が450円。もちろんすべてこの価格ではなくて、たとえば「越乃寒梅(こしのかんばい)」は一級が600円、二級なら500円です。そんな中、1杯目のお酒としていただいたのは新潟の「鶴の友(つるのとも)純米」(450円)です。
お酒を持ってきてくれたのは店の若いおにいさん。升を受け皿代わりにして12角形のグラスにたっぷりと「鶴の友」をついでくれます。「お酒の写真を撮りたいので、ちょっと一升瓶を見せてもらっていいですか」とお願いしたところ、普通(二級、390円)の「鶴の友」も持ってきてくれました。(写真)
写真を撮りながら、「お酒、安いですよね」と聞いてみると、「いえ。ほとんどのお酒は一升瓶で3千円しませんから、この値段で十分なんです」と笑いながら、それぞれのお酒の仕入れなどについても目を輝かせながらいろんな話を聞かせてくれます。その熱心さに、思わず「バイトの人かと思ってたのに、違うんですね」と確認するtamさん。「そうなんです。私はここの息子なんです」とおにいさん。なるほど。親子3人で切り盛りしているお店だったんですね。聞けば、まだ25歳とのこと。こんな後継ぎができてご両親もひと安心ですね。(写真)
その若い二代目(←“店の若いおにいさん”改め)に店名の由来も聞いてみました。もともとこの店は駅の反対側のほうでやっていて、そのころは大信州という酒を扱っていたので、その酒の名前をとって「大信州」という店名だったそうな。その後、現在のこの場所に店を移転することになり、そのときに「ニュー信州」という名前にしたのだそうです。
tamさんは静岡の「磯自慢(いそじまん)特別本醸造」(490円、写真)を注文したものの、残りが1杯分なかったので残ってる分だけいただいて、それとは別に「鳳凰美田(ほうおうびでん)純米吟醸『芳(かんばし)』生酒」(写真)もいただきます。
日本酒に合わせたつまみは「行者(ぎょうじゃ)ニンニク醤油漬け」(650円、写真)。これがまた「本当のニンニクを混ぜてるんじゃないの?」と二代目に確認したほどニンニクっぽい。「いーえ。行者ニンニクだけですよ!」と答えた二代目は、さらに「徳谷(とくたに)トマト(650円)もおすすめなんです。小さいトマトなんですが、地元(高知県・徳谷)でも1個が200円くらいするらしくて、こちらで買うともっともっと高い。最近やっと値が下がってきて、うちでもこの値段でだせるようになったんです」とすすめてくれます。じゃあ、それもいただきましょう。
出てきた徳谷トマトはたしかに小さい(写真)。どれどれと真っ赤に熟れたひと切れ(写真)を口に入れると、これがすっごく甘いのです。これはそのままいただくのがいいですねぇ。マヨネーズを添えてくれてますが、マヨネーズはもとより、塩や醤油などの調味料はむしろその持ち味を壊してしまいそうです。
今から36年前となる昭和45(1970)年8月。高知・徳谷を大きな台風が襲い、トマト畑も海水に浸かってしまった。海水が引いたあと、塩分が残った畑にトマトを植えてみると、小さな物しかできなかったのに、味は今までのトマトよりもうんと美味しかった。これが徳谷トマトのはじまりとなったのだそうです。
約1時間半の滞在は、ふたりで5,530円(ひとりあたり2,800円弱)でした。どうもごちそうさま。
| 固定リンク | 0
コメント