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歌舞伎町のおかあさん!? … 居酒屋「ぶっかけや」(新宿)

今日は“幻の手羽先唐揚”で有名な「世界の山ちゃん」で飲む予定なのですが、いつも人気の行列店だけあって早い時間帯は全然空いておらず、かろうじて午後9時15分からの新宿2号店の予約が取れたのだそうです。その新宿に着いたのは午後8時過ぎ。予約の時間まで1時間程度ありますのでちょいとどっかに寄っていきましょう。

ということで訪れたのが新宿区役所の裏側の通り(あずま通り)の突き当たり近くにある小料理屋、「ぶっかけや」です(写真)。まわりは風俗系の怪しげな一帯ながら、ここの路地を入ると卵6~7個を使って作るという巨大オムレツの「三日月」や、バー「ばるぼあ」があるという、歌舞伎町の中でもひときわ呑んべ好みのする一角でもあるのです。

その「ぶっかけや」。縄のれんをくぐって「こんばんは」と店内に入ったとたんに「うわぁーっ!」と驚く男性の声。それに続いて入口横の生ビールサーバーからシャワーのように生ビールが降りそそぎます。「おーっ。いかん。締めて締めて」とカウンターに座っていた男性客も降りそそぐ生ビールシャワーをかいくぐるようにやって来て、大急ぎで生ビール用のボンベのバルブを締めます。シュワワワヮーッとやっと噴出をやめた生ビールサーバー。見れば注ぐ取っ手の部分(ディスペンスヘッド)がポロリととれて、そこから生ビールが噴出していたようです。「いやぁーっ。びっくりしたよ。生ビールをつごうと思ったら急にこれだもんなぁ」と、生ビールで背広をびしょ濡れにした男性が苦笑いしています。

店内は左手に5~6人座れるかどうかの小さい直線カウンターがあり、生ビールをかぶったお客さんも含めて先客が4人ほど。カウンターの中は厨房になっていて、年配の女将さんがひとりで切り盛りしているようです。右手には6人ほど座れるテーブル席がひとつだけあり、その奥にカップルがひと組座っています。

どうやらこのカップルの女性が生ビールを注文し、厨房で手をあけることができない女将さんに代わって、男性の常連客が生ビールをつごうとして先ほどの噴出事件とあいなったようです。

「まぁまぁ。座ってください」と私にも声をかけてくれながら、モップを取り出して床掃除をしたり、布巾で近くに散った生ビールを拭いたりと、まめまめしく働く男性常連客ふたり。「いやぁ。入るなりだったんで、私もびっくりしましたよぉ」と右手テーブル席の一角に座ります。はじめて来たお店なのに、いきなりの事件でなんだか打ち解けちゃったなぁ。

あっという間に掃除が終わり、「飲み物はどうしますか?」と声をかけてくれる男性客。「私は瓶のビールをお願いします。」「はいはい」と入口横の冷蔵庫からアサヒスーパードライ中瓶(500円)を取り出し、冷蔵庫の上にずらりと並べて伏せられているグラスのひとつを取って渡してくれる男性客。厨房の女将さんに「こちらのお客さんに瓶ビール出しましたよー」と報告しています。

生ビールサーバーのヘッドも付け直して、「じゃ、もう一度やりますね」と奥のカップルの女性にことわって、再び生ビールを注ぎ始める男性客。「あっ!」 またまたヘッドがはずれてシュババババァーーーッッと盛大に生ビールが噴出します。2度目はさすがに慣れたもんで、あわてずバルブを締めて「おかしいなぁ。このヘッド。もうダメだなぁ」と、ますます背広をビショビショにしながら困り顔です。

「じゃ、いいわ。私も瓶ビールちょうだい」と奥の女性客。「すみませんねぇ」と瓶ビールを出しながら、「生ビールも8分目くらいまでは注げてるので、これも飲んでください。サービスです」と男性客。なんだかすっかりお店の人のようですねぇ。(笑)

店先では、そういった生ビール事件が続いているのに、女将さんはあわてず騒がず厨房に向かい、「はいこれ、さっきのお客さんのお通しね」とカウンター上段に小鉢をトンと置きます。するともうひとりの男性常連客が「はい、お客さん。お待たせしました。お通しね」と私のところにその小鉢を持ってきてくれます(写真)。なんだかおもしろい店だなぁ。

お通しはキュウリもたっぷりと入ったポテトサラダです。あとで逆算したところによると、このお通しがなんと100円! うれしいじゃありませんか。

「ぶっかけや」というだけあって、メニューの中には「牛すじぶっかけ」(みそ汁、漬物付きで500円)をはじめ何種類かのぶっかけめしが並んでいますが、それだけではなくトンカツやイカ焼き、お新香などの酒場系というか定食系の一品メニューも並んでいます。

「トンカツ、できたわよ」とカウンターの上段にトン、トンとふた皿のトンカツが置かれます。先ほどの男性常連客おふたりが注文していたんですね。おふたりはそのトンカツをつまみに焼酎(いいちこ)の水割りを飲んでいます。「水割りもう1杯もらうね」と女将さんに声をかけ、カウンターの下に置いてある“いいちこ”の一升瓶を取り上げ、自分で水割りも作成。カウンターの奥側に座っているのは若いカップルですが、こちらも常連客のようで、男性客ふたりや女将さんとも親しげに会話を繰り広げています。

時間もあまりないから、今日は1品、煮込み(400円)をいただく程度にしておきましょうね。「はーい。煮込みね」と答えた女将さん、耐熱の器に煮込みをよそい、電子レンジであっためはじめます。なるほど。大鍋でグツグツ煮込んでというスタイルではないんですね。いや。もしかするともっと深夜の“ぶっかけめし”がどんどん売れるような時間帯になると違うのかもしれませんねぇ。煮込みだから、どっかでは煮込まないとできあがりませんもんね。

小鉢に盛りなおして出てきた煮込みはシロ、ハチノス、牛スジ、コンニャクを味噌ベースで煮込んで、仕上げに刻みネギをぱらり(写真)。コンニャクに鬆(す)が立ってるところから類推するに相当長時間煮込まれてたのかなぁ。モツのほうはシロはやわらかめではありますが歯応えは残っている。ハチノスや牛スジもしっかり感があります。うーむ。もしかするとそれぞれ煮込まれている時間が違うのかもな。これはやっぱりグツグツと煮込んでいるところで食べたい一品ですね。今度はもうちょっと深夜に来てみなきゃなぁ。

お。気がつくともう午後9時。そろそろ「世界の山ちゃん」に向かいますか。どうもごちそうさま。女将さんがチャチャッと計算してくれて「ちょうど千円です」。席を立つとすぐに男性常連客がビールや器を片付けてくれました。“歌舞伎町のおかあさん”とでもいうべき女将さんと、その女将さんをサポートする本当に協力的な常連さんたちの、とっても家庭的なお店なんですね。

店情報写真

《平成18(2006)年6月23日(金)の記録》

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