たっぷりと3時間 … 居酒屋「舘野(たての)」(市ヶ谷)
市ヶ谷界隈での仕事を終えて、久しぶりに向かったのは「ほっと厨房 舘野」です。
店内はほとんどがテーブル席(4人掛け、6人掛け)で構成されていて、カウンター席は厨房のところに小さく3席分のある程度。この席には常連さんが座っていることが多いようです。
午後7時前の店内は月曜日とあってか先客は3人連れのサラリーマンひと組だけ。私も右手のテーブル席に通されて、4人用の卓をゆったりと独り占め。まずは生ビール(エビス、530円。価格は税抜き。以下同じ)からはじめると、すっとお通し(300円)の2点盛りが出されます。
ここの女店主・舘野美佐子さんは関西出身で、以前は三宿でたこ焼き屋さんをやっていたのですが、その後一念発起して道場六三郎氏の一番弟子(山内邦夫氏)のお店等での修業をつんで、ちょうど21世紀になったころ、ここ市ヶ谷に「ほっと厨房 舘野」を開店したのでした。
今日の黒板メニューを見ながら「背黒鰯天ぷら」(680円)をお願いし、天ぷらができあがるのを待つ間用に「鮭トバ」(480円)もいただきます。予定どおりちょっと炙った鮭トバはすぐに登場(写真)。添えられたレモンをちょっと絞っていただきます。鮭トバは、身欠きニシンとスルメイカの特徴をあわせ持ったようなつまみ。噛みしめるほどに鮭のうまみが口の中に広がるのです。
「まだボトル置いてますよ」と芋焼酎「坊津(ぼうのつ)」のボトルを出してくれる店主。ありゃりゃ。これはすみません。久しぶりなのにずっとキープしてくださってたんですね。「南極の氷もいただいてるから、ちょっとおすそ分けするね」とロックグラスに入った南極の氷を入れてくれます。よーし、どれどれ、と焼酎を注ぎ、耳を近づけるとピチピチパチパチと小さく氷のはじける音が聞こえてきます(写真)。これが南極の氷に閉じ込められた太古の空気の泡の音なんですね。1万年以上も前の空気とも言われてますもんね。どんな世界だったんだろうなぁ。
さぁ。背黒鰯天ぷらもできあがってきました(写真)。これは広島風に言えば小イワシの天ぷら。大好きなんですよねぇ。同じイワシなのに地域によって呼び名が違う。わが故郷・愛媛ではホウタレイワシなんて言いますし、横須賀あたりではシコイワシとして出てきます。そしてその本名(?)はカタクチイワシ(片口鰯、ニシン目カタクチイワシ科)です。天ぷらは添えられた茶塩でいただきます。
「鈴傳さん(←四ツ谷にある老舗の酒屋。隣接の立ち飲みコーナーも有名)のおすすめで、何本か新しい焼酎を入れてみたんだけど、試飲する?」と店主。「わ。それはいいですねぇ。ぜひぜひ」。ということで目の前に出てきたのが宮崎・日南市の芋焼酎「ひとり歩き」と、鹿児島・宮之城の芋焼酎「紫尾の露(しびのつゆ)甕仕込み」の2本です(写真)。
「ひとり歩き」のほうは“ジョイホワイト”という名前の比較的新しいさつまいもを原料としているのが特徴。最近は“フルーティーな芋焼酎”というのも普通にお目にかかるようになってきましたが、この「ひとり歩き」もそういう方向の焼酎です。
それとくらべると「紫尾の露」のほうはより本格的というか、芋焼酎っぽい。甕仕込みのあと、旧式の単式蒸留器で蒸留するという、きわめて伝統的な焼酎の造り方で造られた焼酎なのだそうですが、これまた最近の焼酎の傾向どおり、ぴしゃりと雑味なく、いい香りに仕上がっています。
最近はなんだかどれを飲んでもうまく感じてしまいます。まだまだ焼酎全体のレベルが上がってるんでしょうねぇ。うれしい限りです。
そうこうしているうちにひと組、またひと組とお客さんが入ってきて店内もけっこうにぎわってきました。このあたりのサラリーマンのみなさんは8時を過ぎたあたりから飲み始めるのかなぁ。
そういうお客さんたちの中に「食を楽しむ会」のみなさんもいらっしゃって、さっそく店主が紹介してくれます。この会は各地の郷土料理を楽しみ、食文化を知ることによって、その土地の人達を知り、交流しようということで今から10年ほど前にはじまったのだそうです。
あれやこれやとテーブルがいっぱいになるほど注文してもりもりと食べるみなさんにつられ、私も「氷セット」(300円、ボトルキープがある人のためのアイスペールなどのセット)を追加し、もうちょっと焼酎をいただくことにしました。つまみには「クリームチーズ味噌漬」(500円、写真)を追加します。
その会のTさんが「今日はもう帰らないといけないから、まだ早いけどシャケのおにぎりを作って」と注文。でてきたおにぎり(写真)は両手に余るほどの大きさ! これはまたびっくりです。
気がつけばもう10時過ぎ。3時間以上もくつろいじゃいましたか。それじゃ私も腰をあげますか。お勘定は店主が入口レジのところでやってくれます。今日は2,929円(2,790円+税)でした。どうもごちそうさまでした。
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コメント
昨日も 舘野に行っていました。娘が 入社3ヶ月で、名古屋に転勤になり、家内が引越しの手伝いで泊りがけで行っちまったので、夕食・・どうしようか考えて、結局、「舘野」
カツオの刺身と、サラダ、ご飯セットをいただいて、ん、何で
鮭のフレークが付いているんだ(多分お握り注文かと思ったのでしょう) 楽しんできました。
「食を楽しむ会」は、先週 伊那から 長谷村、大鹿村、上村を回って、ローメン、五平餅、大鹿豆腐、山肉料理を楽しんできました。
投稿: tajimak2 | 2006.07.27 05:47
先日はどうもありがとうございました。>tajimak2さん
でっかいおにぎり、ビックリいたしました!
「食を楽しむ会」のホームページも拝見いたしました。郷土料理といいつつも、とても幅が広くて(世界中が対象!?)、これまた驚きました。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: 浜田信郎 | 2006.08.15 21:20