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麻布十番の大衆酒場(1) … 大衆酒場「山忠(やまちゅう)」(麻布十番)

飲み仲間の呑んだフルさんが転倒・骨折したのは5月終わりの雨の日(→顛末はこちら)。それから2ヶ月ほど療養されてやっと少しばかり復活してきた模様。そんな噂を聞きつけて、今日はフルさんの地元、麻布十番に突撃です。

なにしろフルさんの地元なので、フルさんに聞いて店選びをしようかとも思ったのですが、そうすると否が応でもフルさんの行きつけの店になってしまい、まだ本格的に飲めないフルさんにはかわいそう。ここはひとつ、こっちで勝手に店選びをしちゃうことにしましょう。

麻布十番といえばもつ焼きの「あべちゃん」(03-3451-5825、麻布十番2-1-1)や、昭和30年代を再現した店のはしりと言われている「ラッキー酒場」(03-5484-8075、麻布十番3-8-5)、さらには太田和彦さんが『今東京で最も進化したスーパーIZAKAYA』と絶賛する「IZAYOI」(03-5442-0965、南麻布1-4-5)などが有名。しかしながら、今風のこじゃれた酒場よりは、古くから続く大衆酒場などのほうが好きな私。麻布十番とは言え、古い大衆酒場くらいはあるだろうと調べてみると、数軒のそれっぽいお店を発見! その1軒が午後3時開店という「山忠」です。どうです! この早めの開店時刻が、なにやら地元に根付いた店の感じがするでしょう? 開店時間を待ちきれない常連さんたちの希望を聞きいれるうちにだんだんと早くなってきたんでしょうね。金曜日のことなので、念のため電話予約をしておきました。

店に到着したのは、予約時刻ジャストの午後8時。店の看板には「大衆酒場 山忠」とあり、まさにこの店が大衆酒場であることを誇示しています。あるんですねぇ。麻布十番にも大衆酒場。

紺地に白く「山忠」と染め抜かれたのれんをくぐり、引き戸を開けて店内に入ると、店内左手のL字カウンター(たて6席、よこ3席の計9席程度)も、右手の4人掛けテーブル席3卓、さらには奥の座敷席もすべて満席のようです。右手テーブル席の一番奥にフルさんとここっとさんとが到着しており、私のすぐ後から宇ち中さんも店に入ってきて、本日予定のメンバーがそろいました。

予約していたので、すでにテーブル上にはお通しの胡麻豆腐とひじきの2点盛りが出されており、瓶ビール(キリンラガー中瓶、500円)を何本かもらって乾杯です。フルさん、少しは飲めるようになって良かったね!

満席の店内は老若男女がそろっており、客層的にもいかにも大衆酒場といった風情。さてメニューはどうかな。事前の調査では魚介類が安くて鮮度がいいらしいんだけど。

メニューは机上に立てられた定番のメニューの他、カウンター上部に本日の刺身などの短冊メニューがずらりと掲げられています。まぐろ刺身(950円)、まぐろブツ(750円)、〆さば(650円)、天然平目刺身(750円)、あじたたき(750円)、たこぶつ(600円)、生うに(750円)、天然こち刺(750円)、天然平政刺(750円)、天然勘八刺(750円)、いわし刺身(650円)、ホタテバター(600円)、かさご開き(750円)、新さんま塩焼(750円)、あゆ塩焼(650円)、ホヤ(500円)、あさりバター(600円)、柳川どぜう(600円)、岩がきうに焼(600円)、白えび唐揚(600円)などなど。なーるほど。一番高くても950円というのはたしかに安いですねぇ。そんな中からまず夏の定番たこぶつ(600円)を選択。そして定番メニューからはここっとさんの好物のにら玉(450円)と、すきっ腹をいやすとともにその店の味付けがよくわかる特製肉豆腐(600円)をいただくことにしました。

となりのテーブルのいかにも常連さんたちらしきおじさん、おばさんグループは「刺身を適当に盛り合わせて」なんて大胆な注文をしている。とはいっても前述したような値段ですので、それほどビックリするようなことにはならないんでしょうね。

まず出てきたのはにら玉(450円)です。ここのニラ玉は「川名」などと同じく円形に平たく焼くタイプ。ここっとさんは玉子焼き風にトロリと焼いたニラ玉のほうが好みらしく、ちょっと残念なようです。

特製肉豆腐(600円)はすき焼きの割り下風でけっこう濃い目の味つけ。鍋が普通の小鍋よりまだ小ぶりで、ひとりでいただいてもちょうどいいくらいの肉豆腐です。逆に言うと「金田」の肉豆腐などがボリュームたっぷり過ぎるのかな。おいしいからつい全部食べちゃいますけど…。

そしてたこぶつ(600円)。どうです、この透明感のある白いつややかな身。ワサビ醤油で口に含むとそのプリプリとした食感の中に、タコの旨味が広がります。「タコが好きなんです」という宇ち中さんも大喜び。ワサビ醤油じゃなくて、塩だけでいただいても美味しいんですよねぇ。

追加で注文したのは本日の短冊メニューの中で気になって気になってしかたがなかった一品、岩がきうに焼(600円)です。実はフルさんは(生っぽい)カキが苦手。カキは好きなんだけど食べるとお腹をこわしちゃうんだそうです。それを知っていながらも、ついカキのウニ焼きという響きに負けて注文してしまいました。よく火が通っているものならば大丈夫ということだったのですが、出てきたカキは炙る程度に火が通っているだけ。あちゃーっ。フルさん、ごめんね。

岩がきうに焼は、ちょっと火が通ることでよりミルキーになったカキの濃厚な味わいに、焼いたウニの芳ばしい香りが合わさって磯の風味がたっぷり。うーん。フルさんがほとんど飲めないので今日はこれまでビールで通してたんだけど、これはやっぱり日本酒かなぁ。いただいた冷酒(300ml瓶、800円)は会津喜多方の「笹正宗・純米」。フルさんはウーロンハイ(400円)に、宇ち中さんはレモンサワー(400円)に移行します。

さらに追加でいただいたのは、これまた本日の短冊メニューの中からホヤ(500円)です。これだけは相当新鮮なものじゃないと強烈な臭みやエグ味が出て食べられない一品。どうかなぁ。。 と待っていると、なんと出てきたホヤは酢の物ではなくて刺身! しかもホヤの殻にそのまま姿造り(って言うのかな!?)にされて、上には刻みネギがたっぷりとのっかっています。ホヤはなにしろ鮮度が命。注文を受けてから新鮮なホヤの殻を破って作ると臭みなんてないんですよねぇ。どーれどれ。さっそくワサビをつけて一切れ。

うっまぁーーーっ!

姿造りになっているホヤの殻を、ここっとさんがエイッとひっくり返すと、中からはホヤの身とともに液体が出てきました。これはきっと胎水(たいすい)ですね。こう見えてホヤは動物。殻の中でこの胎水に浸かって生きているそうなのです。

6~7月はまさにホヤの旬。ふわんと漂う磯の香りを噛みしめると、甘~い味わいが口の中に広がります。そして、ここで冷酒ですね! っかぁ~~っ。日本に生まれてよかったのぉぉぉ。

この香りと甘みが、ちょっと鮮度が落ちると臭みと苦み(エグみ)に変わっちゃうからまた不思議。これだけ臭みがないホヤは他では「川名」で食べるものくらいでしょうか。けっこうはずれる店も多いので注意が必要です。他の魚介類を食べてみて、それが新鮮そうであればホヤもたのんでみるといった慎重さがいるかもしれません。今回は岩ガキ→ホヤという流れでした。

ちょうど100分(1時間40分)の滞在は4人で7,610円(ひとりあたり1,900円ほど)でした。麻布十番にも魚のうまい大衆酒場あり!

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のれん / ビールとお通し / カウンター上部の短冊メニュー

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にら玉 / 特製肉豆腐 / たこぶつ

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岩がきうに焼 / 冷酒「笹正宗・純米」 / ホヤ

店情報 (関連記事:「帰り道は、匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)

《平成18(2006)年7月21日(金)の記録》

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受信: 2008.09.13 07:34

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