クイックイッとリズミカルに … もつ焼き「カッパ」(荻窪)
土曜日夕方の荻窪。2軒目はもつ焼きの「カッパ」です。コの字カウンターだけ十数席の店内は開店(午後5時)直後にもかかわらず、すでに9割ほどの入り。かろうじて空いていたカウンター右角のあたりに陣取り、まずは焼酎(280円)とレバ刺し(180円=90円×2本)をタレ塩で注文します。
この店はコの字の右側が開けっ放しの入口。コの右の辺の内側に焼き台があり、店主はその焼き台に向かって身体全体でクイックイッとリズムをとるようにしながらリズミカルにもつ焼きを焼き上げていくのです。
焼酎は受け皿付きのコップに、床に置かれた(=室温の)一升瓶からつがれます。
レバ刺しのタレ塩は、この店の常連さんたちがほぼ全員一番最初に注文する定番の一品。もつ焼き用にするのと同じ串に刺さったレバーを、生のままトプンとタレの壺に浸けて、そこへ塩をパラパラッとふって出してくれます。ただし、もつ焼き用のネタがすべてコの字のカウンターで言うと上の辺の内側の大きなバットに積み重ねられているのに対して、レバ刺し用のレバーは、注文に応じて奥の厨房にある冷蔵庫から直接出されます。また、レバ刺しの味はタレ塩だけではなくて、タレだけ、または塩だけでももちろんOKです。私も以前はよく塩だけでいただいていました。レバーによって、その甘みがかなり違うので、甘いレバーの場合には塩だけでも十分おいしいのですが、タレ塩でいただくと甘みが足りないレバーでもおいしくいただけるのがいいですね。
この店ではこのレバ刺しも含めて、もつ焼き類はデフォルトで1品2本ずつとなります。すべて1本が90円なので、ひと注文180円ってことですね。野菜以外にはあまり聞いたことがありませんが、「○○を1本ね!」という1本ずつの注文をすることもできるようです。
続いてはトロ(2本で180円)を注文。トロというのは直腸のこと。他の店ではテッポウと呼ばれることも多い品です。脂肪をたっぷりと含んだ厚めの腸の口あたりがとても柔らかいことからトロと呼ばれるんでしょうね。味を指定せずに注文するとタレ焼きとなります。
お新香(200円)をいただき、リンゲル(2本で180円)を塩で焼いてもらいます。小皿に盛られて出てくるお新香は、ほとんどがキュウリで大根も数切れ入っています。リンゲルはこの店では膣(ちつ)と書かれていますが、他の店では“子袋の硬いところ”などと呼ばれることもあります。まさに子袋をグゥーッと硬くしたような食感と弾力感です。
ここで焼酎(280円)をおかわり。この店では、焼酎類は3杯までしかいただけないルールで、しかも梅シロップや炭酸などの割りものはないので、室温の焼酎をストレートでいただくことになります。ックゥ~ッ。強烈ですねぇ! これを3杯いただくと、かなり危ない状態になりそうです。しかし冷してあったり、梅シロップなどで割ったりした焼酎も口あたりがよくなっているだけで、焼酎の濃さ(アルコール度数)としては変わらないんですよねぇ。危ない危ない。
ちなみに他の飲み物ではビール大瓶が550円。常連さんたちに人気が高い老酒(ラオチュウ)は燗と冷や(室温)が選べて360円です。
もつ焼きのシメはヒモ(2本で180円)とナンコツ(2本で180円)をそれぞれタレで。ヒモはシロと呼ばれることも多く、豚の腸のことです。トロ(テッポウ)よりもグッと噛み応えがしっかりとしてきて、プリプリッとした弾力感が持ち味です。
ナンコツは食道あたりの軟骨部分を一口大にカットして串に刺して焼いたもの。焼くのに少し時間がかかる店が多いのでヒモと一緒に注文しておいたのですが、この店はそれほど時間がかからないようで、ヒモを食べている途中で焼きあがってきました。ナンコツは噛みしめるとカリッコリッと音がする軟骨のまわりに、やわらかい肉がちょっと付いているのが特徴。これまた好きな人が多い品ですね。
「ごちそうさん!」と店主に声をかけると、「はいっ」と返事した店主。皿に置いた串をこれまたクイックイッとリズムをとるようにしながら数え、焼酎の杯数とお新香の皿を確認し、「うーん」といった表情で空中をにらんで「1,660円ですぅーっ!」 いつものことながら、すばらしい暗算力ですね。
どうもごちそうさま。約50分の滞在でした。
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