ここはペルル幼稚園!? … 居酒屋「ペルル(ぺるる)」(鷺ノ宮)
沼袋から電車で3駅。鷺ノ宮に到着したのは午後10時半近く。さてもう1軒と入ったのは、駅から2本ほど路地を入ったところにあるバー(←看板には“居酒屋”と書かれてますが…)、「ペルル」です。店内からは常連のSzさんの奏でるギターの音が流れてきている。
「こんばんは」と入ると、カウンター中央部のほぼいつものポジションにSzさんが座っていて、その以外にも常連さんを中心とした先客が4人ほど。比較的空間が広そうなすき間を見つけて座ると、すぐにキープのボトルと氷セット(500円)が用意されます。
私が座った場所のちょうど目の前には、おいしそうな枝豆がのった笊(ざる)。目の前にあるとついたのみたくなるんですよねぇ。「枝豆ください」。この枝豆は「天狗印枝豆」という上州は沼田産のものらしく、たっぷりとこくと甘みを感じます。だだ茶豆もうまいけど、この枝豆もすばらしいですねぇ。
右どなりの男性客も、その枝豆をつつきながら「ビールを1本。エビスね」と注文。へ? エビスビールもあるの? と思っていると「はいどうぞ」と店の奥から大瓶のエビスビールが出てきました。さすがにバーだけあって、けっこうなんでも置いてるんですねぇ。はじめて知りました。
マスターといっしょにカウンターの中にいるのは新しいおねえさんであるさっちゃん。Szさんのギターに合わせて歌う声は、音程はしっかりしてるし、発声もすばらしいしで、まさにプロなみです。しかも、実際にも音楽関係のお仕事をなさってたのか、「はい、みんなでいっしょに!」と笑顔でコーラスをリードする姿も堂に入っています。
「みんなで仲良く歌って、なんだか幼稚園みたいだねぇ。」「ペルル幼稚園か(笑)」なんて話をしていると、「そう。昔からここはペルル幼稚園と言われてたんですよ」とマスター。奥からなにやら冊子を取り出して見せてくれます。なになに。「署名簿」!?
作ったのは「ペルルを守る会」。手書きで書かれた文書は『この度「ペルル」の立ち退き問題を聞き及び、私共利用者は憂慮に堪えず、発起人を中心として同店の存続運動を起こすことになりました』という書き出しではじまり、鷺ノ宮にまだバーがなかったころから良心的かつ誠実な営業で庶民の恰好の憩いの場であったこと、また古川マスターの愛すべき人柄と絶妙なる駄洒落で疲れたものの心に慰めと希望を与えてくれたこと、そしてここはまことに「ペルル幼稚園」と呼ぶにふさわしく、有能な若者が多数巣立っていったことなどが数ページに渡って書きつづられ、みなさんの自筆+判子付きの署名が並んでいるのです。この書名簿が作られたのが今から36年前の昭和45(1970)年7月7日。歴史を感じますねぇ。みなさんの名前がずらりと並んだこの「署名簿」を、マスターも大事に取っているんですね。
どういう話の展開だったかは失念してしまいましたが、左どなりの女性客から「熱いキス」の話が出たところで、「今月のカクテルが燃えるようなキスですよ」とマスター。この店では毎月「今月のカクテル」というのが用意されており、その今月分が「キス・オブ・ファイアー」(500円)、「炎の口づけ」なのです。さっそくそのカクテルの注文が入り、マスターはドライベルモット、スロージン(すももの一種スローベリーを漬けたリキュール)、ウォッカを同量ずつ入れて、静かにシェイカーをふります。できあがったカクテルはスローベリーの淡い紅色も美しい。
わいわいと盛り上がった時間も、きれいなカクテルで静かにしめてちょうど閉店時間。約1時間の滞在はちょうど1,000円でした。どうもごちそうさま。おやすみなさい。
水割りセット / 天狗印枝豆 / エビスビール
歌う店内 / シェイク中のマスター / キスオブファイア
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