くつろぎの空間 … バー「日の出理容院(ひのでりよういん)」(横浜・桜木町)
「ホッピー仙人」を出て、向かい側のブロックの裏手へとまわるとそこが「日の出理容院」。薄暗い店内は今日もお客さんがいっぱいです。なにしろ6~7席分程度のカウンターと、ちょっとしたテーブル席がひとつしかないので、すぐにいっぱいになってしまうのでした。今日はL字カウンターの短辺のところ(ひとりか詰めてふたり座れる程度の場所)が空いていたのでそこに座ります。
ニコッと笑顔を向けてくれる女性バーテンダーのメグさん(←メグミさんという名前だが、短く“メグ”と呼ぶ常連さんが多い)に角瓶のハイボール(600円)を注文。すぐにお通し(サービスらしい)の落花生がカウンター上にじゃらりと置かれ、追いかけるようにハイボールが出てきます。この店のお勘定はキャッシュ・オン・デリバリー(品物と交換払い)で、目の前のグラスにお金を入れておくとメグさんがそこから取っていってくれます。
この店はオーナーは別にいて、土曜日はその人が店に出ているのだそうです。平日はメグさんひとりでこの店を切り盛りしています。女性バーテンダーというとベストに蝶ネクタイでキリリと、といったイメージが強いのですが、メグさんは普通のかっこうでお店に出ています。ほんわりとした性格ともあいまって、まるで近所のおねえさんがそのままお店をやっているようなくつろぎ感をかもし出しているのです。
私のすぐとなりに座っている男性客はメグさんが中学生のときの数年先輩(したがって現在も20代)なのだそうで、若いころのメグさんのことをよく知っている。ほんわり、おっとりとしているように見えて、中学のころはバドミントンをやっていたのだそうで、その先輩なども一緒に遊びでバドミントンをやってるときにも、チャンスボール(っていうのかな。チャンスシャトル?)が来るとすぐにラケットを持ってないほうの手を前方にまっすぐに突き出して、ラケットを大きく引いてスマッシュの体勢に入ってたという負けず嫌いの一面などを面白おかしく語ってくれます。
メグさんもこの先輩も横浜生まれの横浜育ち。先輩は小さいときからずっと横浜大洋ホエールズ(現・横浜ベイスターズ)のファンだったのだそうで、平成10(1998)年に権藤監督率いる横浜が38年ぶりのリーグ優勝をしたときもそのお祝い騒ぎに参加したのだと言います。「マシンガン打線がガンガン打って、佐々木主浩がピシッと抑えて。それはもう盛り上がったねぇ」と遠い目で懐かしがる先輩。しかし、長らく優勝したことがなかったので、優勝してもどう盛り上がっていいのかよくわからない。球場のまわりで行き交う人たちと何度も何度もハイタッチばかり繰り返していたのだそうです。
一方、選手たちのほうも長らく優勝の経験がなかったため、ビールかけ用のビールも、普通に飲むのと同じようによく冷えたビールが並べられてしまい、みんなで寒い寒いと震えながらビールかけをしたんだといいます。「あれ以来、また優勝から遠ざかってるからねぇ」と先輩。そんな話をカウンターの中のメグさんはニコニコ笑いながら聞いているのでした。
ハイボール(600円)をもう1杯おかわりして、1時間半ほどの滞在は1,200円でした。いやいや、楽しい話をありがとうございました。それではお先に!
「日の出理容院」 / ハイボールと落花生
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