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東西・幻のキノコの競演 … フランス料理「北島亭(きたじまてい)」(四ツ谷)

「北島亭」の常連さんである田舎の友人が上京してきて、ふたりで「北島亭」です。

「北島亭」は今日も予約で満席。いまや数ヶ月前に予約を入れないと空いていないほどなのだそうです。この店のフルコースディナーは3品おまかせ(8,400円)、4品おまかせ(10,500円)、5品おまかせ(15,750円)の3種類。もちろんアラカルトで注文することも可能で、友人の場合は大勢でやって来る場合以外は基本的にアラカルト。「好きなものをたっぷりと食べなきゃ!」というのが彼の持論なのです。

まずはシャンパン「KRUG(クリュッグ)」をいただいて乾杯し、それをチビチビといただきながらメニューの検討を行います。

今日のおすすめは「和牛イチボ肉のローストビーフ風」か「シャラン産 鴨の胸肉のロースト」とのこと。この店ではステーキやローストビーフ風などの料理は2人前で焼くことになっています。それくらいの量を一度に焼かないとおいしくないそうなのです。したがって今日のおすすめのうち、「和牛イチボ肉」を選んだ場合は自動的に2人前になります。「鴨」はもともと胸肉のポーションがそれほど大きくないので1人前ずついけます。

「どうしよう。どっちも捨てがたいね。」「でも、魚料理にノドクロがあるから、それも食べたいよね。」「うーん。迷うねぇ」とひとしきり悩んだすえに、「やっぱり両方とも食べよう!」と友人。そのかわり、「ノドクロ」と「鴨」はそれぞれ1人前ずつもらって二人でシェアすることにしました。(←本当はこれってマナー違反なの??)

メインが決まると次は前菜。「ウニははずせないよねぇ」。そうそう。この店の「生うにのコンソメゼリー寄せ」は、店のトレードマークと言っていいくらいの名物品なのです。毎回必ずいただいています。あとは友人がどうしてもフォアグラが食べたいということで「テート・ド・フロマージュ(豚の頭肉、フォアグラ、野菜のゼリー寄せ)」をもらうことにしました。前菜の中に「フォアグラのソテー」もあるのですが、このあとの展開を考えると前菜であまり脂っこくなることは控えたほうがよさそうですもんね。そんなわけで、前菜も「ウニ」はそれぞれ1人前ずつ、「テート・ド・フロマージュ」は1人前を二人でシェアと決定。これで全体のコースができあがりました。

それまで置かれていたお皿が片付けられ、アミューズのマンゴーが出されます。ここのアミューズは小さい焼きたてクロワッサンが出ることが多いのですが、フルーツとは珍しいですね。そういえば先ほどまで見ていたメニュー(←毎日、ホワイトボードに手書きされています。)にも、すみっこのほうに『デザートに沖縄産完熟マンゴー 1/2コ 1,500円』と書かれてましたよねぇ。この店ではデザートメニューは別にあるのですが、それとは別にわざわざホワイトボードメニューのほうにも載せてるくらいなので、自慢の品に違いありません。

そして「生うにのコンソメゼリー寄せ カリフラワ・クリーム添え」(3,200円)。時季によって殻ごとのウニで出されたり、身を取り出してスープ皿で出されたりするのですが、今の季節は殻ごと出されるようです。ウニのてっぺんに穴をあけて、そこにコンソメゼリーが入れられています。ウニの身は殻の内側に付いたままの、まさに生ウニの状態です。この穴のすぐ近く、殻の天井あたりについてる身が取りにくいんですよね。せっかくの生ウニですのでスプーンを入口近くに寝せて、天井近くの身もひねり出すようにして余すことなくいただきます。ちなみにアラカルトでたのむと1人前が3個。コースに入ってるものは2個になってるみたいです。

「テート・ド・フロマージュ(豚の頭肉、フォアグラ、野菜のゼリー寄せ)ビーツのドレッシング」(3,800円)。1人前をふたりでシェアしたため、ゼリー寄せがひとりにひとつずつ。まわりをビーツの赤いソースで飾られた「テート・ド・フロマージュ」は豚肉、フォアグラ、ニンジンなどの野菜の色合いも美しい断面で、くずすのが惜しいくらい。いつも慣れ親しんだカシラ肉ですが、こうして食べるとまた違った感じですね。

前菜を終えて、メインに入ります。お腹のほうはまだ大丈夫ですね。この店は、特にアラカルトでたのんだ場合、一品一品のポーションがとても大きいので、たのみ過ぎるとえらいことになるのです。しかも我われ自身がだんだんと年齢を重ねてきているので、「前は食べられたのに」と思う量が、今は食べられなかったりするんですねぇ、これが。

メインの1品目は魚料理で「銚子産のどくろのごま付け焼き 旬の野菜添え」(6,000円)。これも1人前をふたりでシェアしたのですが、それぞれのお皿に身の部分と、ヒレのついたカマなどの部分とを入れてくれています。身のほうはメニューの名前どおり、皮のところにたっぷりとゴマをつけて芳ばしく焼き上げています。ノドクロ(赤ムツ)独特のとろけるような身と、ゴマの付いた皮のパリッとした食感が絶妙です。ヒレ付きのカマの部分は油でカリカリに揚げてくれていて骨までしっかりいただけます。

ここで肉料理に向けて赤ワインを注文。いただいたのはブルゴーニュの「Vosne-Romane(ボーヌ ロマネ)2001」です。

そしてメインの2品目となる肉料理は「シャラン産 鴨の胸肉のロースト いちじく添え」(5,500円)。どーですか、この鴨肉のピンクの美しいことといったら! 脂のある側はパリッと焼かれていて、肉はあくまでもやわらかく。さすがですねぇ。イチジクもけっこう大きなかたまりで添えられているのですが、こうやって火を通すと、生でいただくイチジクとはまた違う味わいですねぇ! 別皿でとうもろこしのガレットや炒めたシシトウも添えてくれました。

さぁ。フィナーレに向けて2本目の赤ワインは、今度はボルドーの「Saint Julien(サン・ジュリアン)1996」(12,000円)です。友人によると、この店のワインはかなり良心的な価格設定になっているのだそうで、彼自身、食べるのもさることながら、それに合わせてワインをたくさん飲みたいということで、この店の開店当時からここに通っているのだそうです。(彼自身は、店というよりも、北島シェフにくっついてきていて、この店を開店して独立される以前からシェフの店に通っていたのだとか。シェフとはもう20年を超えるおつきあいになっているそうです。)

料理のラスト。メインの3品目は「特選和牛イチボ肉のローストビーフ風 じゃが芋のピュレ添え」(2人前、12,000円)です。イチボ肉というのは牛のお尻のあたりの肉なんだそうで、さっきの鴨肉のピンクもすばらしかったが、こっちもまた勝るとも劣らない色艶。肉のかたまりが大きい分だけ、こちらのほうがはるかに迫力があります。上に乗せられているのは薄くスライスしたトリュフ。ん? 待てよ。この香りは!? なんと、横に添えられているのは焼いた松茸です! 中国産らしいのですが、その香りのみごとなこと。うーん。トリュフもすごいが、松茸も鮮烈だなぁ。口の中はもちろん、食道の奥(お腹のあたり)から鼻の奥(鼻腔って言うの?)のほうまで松茸の香りがドーンと広がります。それにしても松茸とトリュフ、東西の幻のキノコの競演が味わえるとはうれしいですねぇ! この肉料理にも別皿でじゃが芋のピュレとグリーンアスパラが添えられます。

デザートの前にいつものようにミカンとチョコレートが出されますが、今日はそれに加えてサクランボも。色合いがまた美しいですねぇ。

そしてデザート。友人は今日のおすすめである「沖縄産完熟マンゴー(1/2コ)」(1,500円)を、私はシャーベット(3種盛り合わせ)をいただき、エスプレッソを飲んで終了!

……とはならず、本日の料理をすべて終えた北島シェフも厨房から出てこられて、ここからがまた食後酒の時間。先ほどの2本目のワインをきっちりと飲み干して、シェリーも1杯ずついただいて、食べ物も、そして飲み物のたっぷりの夕食タイムを終えたのでした。うー、満腹じゃ。どうもごちそうさまでした。

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「北島亭」 / KRUG / アミューズ

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生うにのコンソメゼリー寄せ / ウニのアップ / テート・ド・フロマージュ

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テート…のアップ / のどくろのごま付け焼き / 身の部分

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カマの唐揚げ / Vosne-Romane 2001 / 鴨の胸肉のロース

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鴨肉のアップ / とうもろこしのガレット / 牛イチボ肉のローストビーフ風

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イチボ肉アップ / 松茸のソテー / トリュフ

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じゃが芋のピュレなど / Saint Julien 1996 / 食後のおまけ

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シャーベット / 沖縄産完熟マンゴー / 食後酒のシェリー

店情報前回

《平成18(2006)年8月5日(土)の記録》

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たまには各国の料理でお酒をいただくのも楽しいもの。その頻度がもっとも高いのは中華料理ですが、イタリア料理やタイ料理、さらにはインド料理などでその国ならではのお酒をいただくのもいいですよね。 今日は故郷(いなか)の友人が行きつけにしているフランス料理の「北島亭」です。料理ももちろんすばらしいのですが、その料理を肴にワインをたっぷりといただくのがいつもの過ごし方。アラカルトで注文することが多いのですが... [続きを読む]

受信: 2006.12.10 23:10

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