ハシゴ酒の踊り場 … バー「ホッピー仙人(ほっぴーせんにん)」(横浜・桜木町)
野毛の2軒目は「ホッピー仙人」です。この店は午後10時に閉店なので早めに行かなければ開いてないのです。「こんばんは」と店内に入ると、L字カウンターのみ8席程度の店内には先客は3人。長辺の中央あたりに座っている常連のカジさんの向こう側に座り「樽生ホッピー」(500円)をいただきます。
ここのホッピーはきっちりと三冷。よーく冷えたホッピー専用ジョッキを仙人(←店主のこと)が目の高さまで持ち上げて、これまたよーく冷えた焼酎をきっちりとジョッキの下の星の位置までていねいに注ぎます。この注ぎかたが「ホッピー仙人」の独特のスタイル。ときどき(お店のイベントなどのとき)、仙人に代わって店の常連さんがカウンターの中に入ることもあるんですが、そのときにもこの「ジョッキを目の高さに持ち上げて、きっちりと下の星まで焼酎を注ぐ」というスタイルは継承されるほどなのです。
ホッピー専用ジョッキの下の星まで注ぐと、焼酎の量はちょうど70ml。ジョッキの残り350ml分に、これまたキンキンに冷えたホッピー(いわゆるソト)が入って、ホッピー製造元であるホッピービバレッジ株式会社が推奨する焼酎対ホッピーが1:5となるホッピーができあがるのです。アルコール度数25度の焼酎を使うと、できあがりのホッピーのアルコール度数はほぼ5度。ビールと同じくらいのはずなのに、なんだかビールよりもよく効く感じがするんですよねぇ。
さてさて、「樽生ホッピー」。樽生(たるなま)で作る場合は焼酎を注ぐところまでは、瓶入りホッピーで作るのと同じ手順ですが、その後、残りの350ml分のソトを注ぐのが、瓶からではなくて、生ホッピーサーバーからとなるのです。生ビールの泡立ちが美しいのと同じように、生ホッピーサーバーから注いだホッピーはとてもきめ細かくてきれいな泡立ちです。
はいっ、それじゃ、カンパ~イッ!!
ひとりで来てても、店中の人たちがいっしょに乾杯してくれるのがうれしいですねぇ。「ホッピー仙人」は、店自体がなんだかクラブ活動の場のようで、いつ来てもよく見かけるメンバーが集まってきているのです。だからといって新人さんを排除するような動きはなくて、それもそれでウェルカムで受け入れる。みんなから愛されてる仙人の人がらが、常連さんも、そうでない人も集まりやすいという店の雰囲気をかもし出してるんでしょうね。
「これはウメちゃんのお土産です」と出してくれたのはタコのみりん干し。入口近くのL字短辺の角あたりに座っているウメちゃんもここの常連さんで、大分(国東半島)方面から帰ってきたのだそうです。どうもすみません。いただきます。
「花火をやってみますか」と言いはじめたのはカジさん。和紙に包まれた木製の箱を開けると、そこに入っていたのは10本くらいずつ美しく包装された線香花火。100本で1万円ほど(1本あたり100円ほど)もする高級線香花火なのだそうです。「本当は3年ほど寝かすといいらしいんだけど」と言いつつも店内の灯かりを消し、エアコンをとめてそのうちの1本に火をつけます。全体としては普通の線香花火ながら、はじける火花が30センチほど大きく飛ぶところが特長。ただ、パチッ、パチッと1方向ずつに火花が出るので、全体として大きい感じがしないのが残念なところ。バババババッと連発的に花が咲くかな……と期待していたら、そのまま終わってしまいました。もう1本やってみたもののやはり同じような感じ。もっと長時間にわたって、いっぺんにたくさんの火花が飛ぶともっときれいなのですけどねぇ。もしかすると3年ほど寝かしておくとそうなるのかな!?
店内には線香花火の残り香がただよいますが、その香りがものすごくいい。まさに線香なんですねぇ。
店には常連のK松さんや近くの店のママさん、そしてこの店にはじめてやってきたという若いおにいさんがやってきて、にぎやかになってきました。そのおにいさんはホッピーを飲むのもこれが初めてなのだそうで、生樽ホッピーをおいしそうに飲んでいます。さらには女性常連さんの里香さんやチャコさんも来られて店内は華やいできます。
ひとりひとりがやってくるたびに、お店全体で乾杯をくり返すのも楽しいなぁ。はじめてやってきたおにいさんも乾杯のたびお店にも溶け込んできている様子です。
なにしろこの店は午後10時までというの営業なので、その時刻に間に合うように野毛界隈の酔客たちが集まってきて、そして閉店とともに他の店へと流れていく。野毛でハシゴ酒をする人たちにとっては、ちょうど中間点の、まるで階段の『踊り場』のような存在のお店なんですね。
2杯目は黒ホッピー(500円)をお願いして、ちょっとつまみももらおかな。カジさんは「燻製玉子もらうよー」とつまみ代を入れる一合升に100円玉を入れて、カウンター上の籠(かご)に盛られている燻製玉子をひとつ取ります。「じゃ、私はウズラの玉子をもらいますね」と、これまたカウンター上に積み重ねられている缶詰(うずら卵のおでん缶)のひとつを取って、その代金200円を一合升にチャリンと入れます。パカンと缶詰のふたを開けると中にはウズラの玉子が6個。爪楊枝でプツンと突き刺していただきます。
そうしているうちにも新しいお客さんが入ってきて、前からいるお客さんは出ていってとずーっと満席状態が続いたまま閉店時刻が近くなり、私もそろそろ腰をあげます。1時間ちょっとの滞在は、ホッピーが2杯で1,000円でした。
都橋商店街 / 「ホッピー仙人」 / ホッピーとタコのみりん干し
箱に入った線香花火 / 中の包装もすごい! / 線香花火
黒ホッピー / おでん缶(うずら卵) / 缶の中身。奥は燻製玉子
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コメント
こんばんは、初めてコメントさせていただきます。先月ホッピー仙人でお会いした者です。
「クラブ活動」という表現、よく捉えられてると思います。私もここによくお世話になりますが、ここから更に呑んだくれる方も多いので野毛のノンベ基地みたいな感じはありますね。もちろん正統派ホッピーや樽ホッピー、そして仙人もお客さんも絶品だと思います。
今日は帰りが遅くなったので、残業の友「浜川崎商店」に寄りました。立呑みですが、生姜焼とおにぎりで杯を重ねる夕食モードでした。
またどこかでお会いできたら、一緒に飲んだくれましょう。
それでは失礼致します。
投稿: O熊 | 2006.09.20 22:53
コメントありがとうございます。>O熊さん
「浜川崎商店」。ネット上では拝見するのですが、行ったことがありません。かなりおもしろそうなお店ですねぇ!
投稿: 浜田信郎 | 2006.09.24 22:14