夏野菜をおでんで … おでん「花泉(はないずみ)」(阿佐ヶ谷)
横浜での仕事を終えて阿佐ヶ谷駅に着いたのは午後8時。今日は、先日「秋元屋」にうかがったときに店主にすすめられた駅近くのおでん屋、「花泉」に行ってみようと思っているのです。店主は店が休みの間、「花泉」に通いつめたといいます。「おでんもおいしいし、女将さんが美人なんですよ」ということだったので、急いで来てみたわけです。おでんに引かれて来たんですからね…、あくまでも^^;
店は阿佐ヶ谷駅のすぐ近く。南口の荻窪よりにあります。まわりにはホテル・スカイコート阿佐ヶ谷や、焼き鳥の「阿佐ヶ谷バードランド」、レトロ酒場の「東京コケコッコ本舗」などもありますが、北口スターロードの酒場街に比べるとややおとなしめの酒場エリアです。
9月に入りやや雨模様だった今日は気温もそれほど高くない。開けっ放しの入口からかいま見える店内はけっこう人が多い様子です。入れるかな?
紺ののれんをくぐって「こんばんは」と店内に入ると、L字カウンター8席のみの店内は私と同じくらいの世代のお客さんばかり7人。かろうじて左手一番隅の席がひとつ空いており、噂どおりの美人女将から「そこへどうぞ」とその席を示されます。
改めて「いらっしゃいませ」と渡される冷たいおしぼりで手を拭きながら、まずは瓶ビール(サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」中瓶、500円)をもらい、おいしいおいしい本日の1杯目をゴクゴクプハーッ! よしっ。生き返った。
お通しとして出てきたのは櫛(くし)切りにしたゆで卵に赤い味噌っぽいものをトッピングしたもの。「辛いですから」と美人女将。なるほど、これは自家製の辛子味噌のようなものなんですね。食べてみると、ほんのちょっと辛子味噌がのっているだけなのに、口の中がビリッとするほど辛味が行き渡ります。
「おでん、お取りしますか?」 そうですねぇ。最初は豆腐系のもので、ゆっくりとお腹も作っていけるのがいいかな。豆腐系のものは? 「厚揚げがちょうどよくできてますよ」と女将。じゃ、その厚揚げと、がんもどき(←これも豆腐系)、それと玉子をお願いします。
おでんの値段は明示されていないのですが、「おでん盛り合わせ(3品)」が420円、同5品が700円であることを考えると、1品が140円くらいなんでしょうね。おでんの汁は関西風に透明っぽくてかなり薄味。これだけ上品な味つけもこの界隈では珍しいんじゃないかなぁ。
L字のカウンターはどちらの辺もほぼ同じ長さ。それぞれ4人ずつ座れて、全部で8人となります。一番奥から男性ふたり連れ、カップルと座り、角を曲がって男性ひとり客、カップル、そして私です。その角のところの男性ひとり客がグッと焼酎を飲み干して「どうもごちそうさん」とお勘定。「ごめんなさいね。今日はあまりおかまいできなくて」と女将さん。開店からずっと満席に近い状態が続いていて、ひとりで切り盛りする女将さんはゆっくりと話し相手もできなかった様子です。
店内にはテレビもあるのですがスイッチはオフのまま。BGMもなくて、古い民家風の内装とあいまって落ち着いたイメージです。あまり忙しくないときは女将さんとの会話を楽しんだりしながらゆっくりと過ごすお店なんでしょうね。
一番奥の男性ふたり連れがおかわりしたのは黒糖焼酎「奄美情熱」35度。甕(かめ)から小さいひしゃくでロックグラスに注がれます。うーん、うまそう。私もその黒糖焼酎をロックでお願いします。ずらりと並んだ焼酎はどれも1杯500円。この黒糖焼酎もそうです。となりのカップルの男性も、飲んでいた焼酎を飲み干して「奄美情熱」に切りかえます。甕から注がれる焼酎は魅力的ですよね。
さておでん。夏場のおでんということで、ぜひ夏の野菜を食べたいのです。おでん鍋の横に置いてある真っ赤なトマトがおいしそうですね。それをもらって、あとはどうしようかなぁ。「オクラはいかがでしょう。注文を受けてからさっとおでん鍋に入れるので、しゃっきりとしておいしいですよ」。いただきましょう。「あとは、今日は袋(ふくろ)が中身がナスです」。おぉ、いいですねぇ。それもいただきましょう。
トマトは熱湯につけて湯むきした状態でスタンバイさせておいて注文を受けてからおでん鍋に入れます。オクラも注文を受けてオクラのヘタの部分を取り、3個を串に刺しておでん鍋に投入。袋も、下ごしらえまで済ませているナスを袋の中に詰めて、袋の入口を爪楊枝でとめて鍋へ。この店では、こうやって注文を受けてからおでん鍋に入れる品も多いようです。
待つことしばし。出てきたおでんは色合いも赤、緑が鮮やかでとても美しい。オクラはシャキッと食感もよく、トマトは熱が入ることで酸味もちょっと増してすいすいと口の中に入ってきます。袋のナスも珍しいメニューですよねぇ。
「今日のじゃが芋もおいしいのよ」とすすめてくれる女将さんに、そのじゃが芋とチョリソー(辛いソーセージ)を注文。じゃが芋はこれが最後の1個でした。さらにハモ天も入れてもらいます。ハモ天はきめの細かいさつま揚げのような感じ。プリッとした食感も、練り物好きにはうれしいですね。皮付きのまま出されるじゃが芋も、おすすめというだけあってとてもしっかりとしたホクホク感。皮がまたうまいんじゃないですか! チョリソーは1串に2切れ刺さっていて、かじるととっても辛ぁ~っ! 焼酎が進む人気の品のようです。
黒糖焼酎を飲み干して、続く飲み物はその黒糖焼酎のとなりに置かれた甕の泡盛・古酒(クースー)43度です。これ(銘柄失念。「瑞泉」だったかな!?)も500円。チェイサーとして水を出してくれました。
奥の男性ふたり連れとカップルが帰り、入れ替わりに入ってきたのは若い男性ふたり連れ。女将さんと親しげに話をしているところを見ると常連さんのようです。さらに女将さんは「先ほどはすみませんでした。お席空きましたけどどうなさいますか?」と、少し前に「ごめんなさい。満席なんです」と断っていた常連さんらしき人に電話。すぐに近くのスナックで飲みながら席が空くのを待っていたという男性ふたり連れもやってきて、次々におでんを注文します。「もろこし(=トウモロコシ)はないの?」と聞く常連さんに、「ありますよ。入れますか?」と女将さんが確認し、おでん鍋に注文された個数を入れていきます。それじゃ私ももろこしをひとつお願いします。
トウモロコシはできあがるのにしばらく時間がかかる様子。それじゃ、それを待っている間に、先ほどとなりの女性が食べていておいしそうだったキャベツをいただきましょうか。丸ごとキャベツのまま櫛切りの形にカットされたキャベツは、煮ている間にバラバラとくずれないように角度をつけて2本の串を刺しておでん鍋に入れられています。よくダシをすってシナッとなったキャベツもおいしいですね。生っぽい、シャッキリしたのがよければ、その場で入れてもらって浅めに煮込んだ状態で引き上げることもできるようです。
そしてトウモロコシもできあがってきました。ひとつひとつの実がぷっくりとふくらんでいかにもおいしそう。火傷しないように慎重にかじりつくと、その実の甘いこと! 夏のおでんは野菜ですねぇ!!
たっぷりと2時間の滞在は飲み物3品におでんが11品で4,040円。いやぁ、満腹満腹。どうもごちそうさんでした。「たくさん食べてもらってありがとうございます。ぜひまたいらしてくださいね」という美人女将の笑顔に見送られながら店をあとにしたのでした。
「花泉」 / トマト、オクラ、袋(ナス) / じゃが芋、チョリソー、ハモ天
キャベツ / とうもろこし
・店情報
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コメント
おひさしぶりです。
「花泉」と言う単語が出ていたので、
嬉しくなってついコメントしちゃいました。
全然関係ないと思いますが、
マイホームカントリーと同名なので^_^;
おでんは、上品な感じで、美味しそうですね。
これからは、秋に向かって、
ますます美味しい食材がおでんになるのでしょうね。
ぜひ、寄らせていただきたいお店です。
投稿: ゆこねぇ | 2006.09.17 23:41
いやあ浜田さんがこう書いてくれると余計僕も行きたくなります。
あらためて浜田さんのお店の紹介は上手だなあと思いました。小さくて新しいお店なのですが僕もできるだけ応援したい店です。
おでん食べないで酔っ払いの人には行ってほしくないです。
投稿: 秋元屋 | 2006.09.18 01:14
>ゆこねぇさん
マイホームカントリーが花泉というと、岩手県一関市花泉町?? もしかすると「花泉」の女将さんもそこのご出身なのかも。
季節的にもおでんがおいしくなってきていますので、ぜひお越しください!
>秋元屋さん
いいお店をご紹介いただき、ありがとうございます。
おでんもおいしいし、女将さんも美人でした。(^^;;
また近いうちに行ってみたいと思います。
投稿: 浜田信郎 | 2006.09.24 21:57