荻窪北口の老舗酒場 … 居酒屋「田中家(たなかや)」(荻窪)
都内の渋めの酒場情報が多い「酒場遺産」によると荻窪駅北口に人にあまり知られていない古い大衆酒場があるとのこと。さっそく出かけてみました。場所は荻窪北口の旧闇市らしき一角(「やき屋」や「カッパ」のある一角)の一番阿佐ヶ谷寄り。青梅街道の信号交差点から2軒目にあります。
近所に住んでいることもあって、この店の存在そのものは知っていたのですが、古い一戸建ての店は外から見ると白いのれんに大きく「田中家」、端っこに小さく「食事処」と書かれているだけ。酒場にありがちな赤ちょうちんや電灯看板などがいっさいないため、これまではてっきり定食屋さんかと思っていたのです。
店内はL字カウンター9席(入口近くの短辺に3席、奥へ向かう長辺に6席)のみ。店は髪を頭のてっぺんで団子に結った女将さんがひとりで切り盛りしている様子。先客は店の一番奥にひとりのみです。私も長辺の一番手前、テレビのちょうど正面に座りまずはビール(キリンラガー大瓶、530円)を注文します。
本日一杯目のビールをググゥ~ッと飲んで、おもむろにメニューを確認。カウンター奥の壁にずらりと並ぶ短冊には焼き海苔の80円からはじまって、目玉焼き160円、シラスおろし160円、ニラ玉子焼き250円、冷奴270円、焼きナス330円と続き、一番高いのがマグロ刺身600円と全体的に安い。そんな中からベーコンエッグ(180円)を注文します。
注文を受けると女将さんは奥の厨房で料理を作り始めます。手前のカウンター区画と、奥の厨房区画の間には仕切りはなくて、女将さんが料理をする様子も見えるほか、女将さんも料理を作りながらもお客さんとちょっと話をしたりしています。
そして出されたベーコンエッグ(180円)はキャベツの千切りに目玉焼き。それとは別に炒めたベーコンが添えられています。半熟の黄身のところをツンと突き破って醤油を落とし、そこにベーコンをちょいちょいとつけていただいたり、箸で切り分けた白身をちょっとつけていただいたりするのが好きなんですよね。ひと口つまむごとにビールもごくり。トロリとした黄身ソースでいただくベーコンや白身が実にいいつまみになるのです。
奥の男性ひとり客は魚やおひたしを食べ終えて、そろそろとシメに入るようです。「今日はアサリ汁ある?」と問う男性に、「今日はないのよ。シジミ汁はできるわよ」と女将さん。「じゃ、シジミ汁をもらおう」という注文に、それからシジミ汁が作られはじめます。できたての味噌汁もうまいですよねぇ。
ビールの後は燗酒をいただくことにします。「お酒は昔の呼び方で一級と二級があります」とのこと。二級(メニュー上は“並”と表記、180円)は聞いたことのない銘柄だけど180円と言うのは安いなぁ。「斎藤酒場」や「魚三酒場」なみです。一級(300円)は「菊正宗」か「白鶴」とのことで、「菊正宗」をいただくことにしました。
合わせるつまみはナスのお新香(160円)。まな板の上に取り出したナス1本をひと口大に切り分けて出してくれます。お新香は他にカブ(170円)、キュウリ(160円)もあります。お新香も安くていいですね。
店は不定休とのことで、毎月店内のカレンダーに休日が示される仕組みのようです。今月(9月)は11日(月)と22日(金)の2日がお休み。土日祝日もやってるというのはうれしいですねぇ。
ピピピッとメールは近所の酒友・金魚屋さんから。「やき屋、空きましたよ」とのこと。ここへ来る前に「やき屋」をのぞいたときに、いっぱいで入れなかったのですが、すでに中で飲んでいた金魚屋さんが「空いたらメールしますね」と言ってくれてたのです。
よーし。それじゃボチボチと引き上げて「やき屋」にしますか。「どうもごちそうさま」。5時から6時まで、ちょうど1時間の滞在は1,170円でした。またじっくりとやって来たいお店です。
「田中家」 / 店内の様子 / ビール
ベーコンエッグ / トロリと黄身ソースで / 燗酒とナスのお新香
・店情報
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