第60回記念夕食会 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)
平成14(2002)年1月からはじまった「竹よし」の夕食会も、今回で第60回の節目を迎えました。
「こんちはー」と店に入ると、店内にはすでにずらりと夕食会参加者が集まっています。小ぢんまりとした「竹よし」の店内は、いっぱいいっぱいに入っても14人。冬場はみんな上着なども着ているので、まさにギュッと詰めあって座ることになりますが、そうやって多少窮屈な思いをしても余りあるおいしい料理や、通常営業では出ないチャレンジングな料理を楽しみにしている参加者が多いのです。
どーんと目の前の大皿に盛り付けられているのはクジラの刺身。60回記念となる夕食会のテーマは「鯨」と「のどくろ」なのだそうです。いつも立派な食材が使われることが多い夕食会ですが、今回は節目の60回ということで店主も大奮発されたようです。
鮮やかな赤身は、口に入れるととろけるようにやわらかい。子供のころにいただいていたクジラは、もっともっとスジっぽい感触だったのですが、最近のクジラ肉は本当に品質が高いですよねぇ。今日のクジラは、北西太平洋捕獲調査のイワシ鯨の背肉なのだそうです。
テーブルの上には卓上コンロが用意され、豆腐や白ネギ、白菜などが入った鍋がかけられます。さらに大皿で出てきたのは、先ほどの刺身よりは少し広く、薄くスライスされたクジラの身と、別皿でたっぷりの水菜。なるほど、この鍋は具だくさんのハリハリ鍋になるんですね!
刺身でも食べられるクジラの身は、さっとシャブシャブ程度に火を通すだけ。水菜を添えていっしょにいただくと、水菜のシャキッとした食感と、やわらかい鯨肉の食感が同時に口の中に入ってきて実にいい食感です。んー。刺身もよかったけど、鍋もいいなぁ。
飲み物は生ビールに続いて「芳泉(ほうせん)」樽生貯蔵酒を冷酒でいただきます。
ドンドン。入口引き戸をだれかが叩いてる。見ればママさんが大きなお皿を両手で抱えて引き戸の向こうに立っています。そうか。大皿を両手で持ってるので引き戸が開けられないんですね。内側から引き戸を開けてみると、ママさんが2階の厨房で作ってきてくれたのはカキたっぷりの、本当にカキたっぷりのカキごはんです。
「うわぁーっ。すごいねぇ!」思わずまわりから手が伸びてきて、上にたっぷりとのっているカキをつまみ食い。私ももちろん数個いただいたあと、カキごはんを茶碗によそいます。磯の風味もたっぷりと、いい味ですねぇ。
カキごはんでクジラ鍋とはなんたるぜいたくか。ぜいたくついでにハリハリ鍋の汁をカキごはんにぶっかけて「うまーっ」と食べたら、「あーっ。もう2度と作ってやんない!!」とママさんににらまれます。せっかくの自信料理。単体で味わってもらいたかったんでしょうねぇ。許せ、ママさん。カキごはん単体もたしかにおいしかったんだけど、こうやってダシをかけると、それとはまた違った味わいが楽しめるのも確かなのです。どちらもうまいっ。
ひとしきり鍋も終わったところで、今度はクジラの竜田揚げ。たっぷりのキャベツの千切りとともにいただく竜田揚げは、クジラの身がやわらかーいっ。そのやわらかい身がカリッとした衣に包まれているからまた楽しい。
クジラのあとに登場したのは焼き魚の王者、ノドクロの塩焼です。どうよ。このトロトロの身! くぅ~っ。ついつい酒が進むのぉ!
そして最後はノドクロのあら身のスープ。脂がよくのったノドクロですが、スープは比較的あっさりめ。シメには最適ですねぇ。
食事が終わると、ここからが店主やママさんも入っての飲み会タイム。別に大皿に用意してくれている料理をつまみながら、自己紹介や近況報告などをおり込みながらワイワイと楽しく過ごすのです。
今日もたっぷりと4時間ほどの夕食会となりました。この先も61回、62回、……と長く続いて欲しいですね。どうもごちそうさまでした。
イワシ鯨刺身 / 赤ムツ(ノドクロ) / 「芳泉」樽生貯蔵酒
ハリハリ鍋 / 鍋用の鯨 / 水菜と共にいただく
大皿のカキごはん / 茶碗によそって / ハリハリ鍋の汁をかけて
鯨竜田揚げ / ノドクロ塩焼 / ノドクロのあら身のスープ
チンゲン菜 / 豚肉と大根のトマトソース煮 / ウニのチコリのせ
リンゴと小松菜のサラダ / 鳥肉とキノコ / カワハギの頭焼き
(かねてからご自宅にて病気療養中だった「竹よし」のママさんは、まことに残念ながら平成18年12月25日に他界されました。食事会の目玉でもあった「ママさんの手料理」をもう食べることができないと思うと悲しい気持ちでいっぱいです。謹んで御冥福をお祈りいたします。)
| 固定リンク | 0
コメント