沼津産あじひらき … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)
今日は祝日(文化の日)なのに出勤日。横浜での仕事を終えて自宅近くまで帰ってきたのは午後8時ごろ。ちょっと「竹よし」に寄って、魚を食べて帰りましょうかね。こういうときに日祝でも営業しているお店はうれしいなぁ。
「天ぷら」と書かれたのれんをくぐり、「こんばんは」と引き戸を開けると、カウンターの奥のほうで静かに飲んでいたのは、この店の大常連であり、毎月やっている食事会の発案者でもあるTさんです。「やぁ、いらっしゃい」という店主(マスター)と、「こんばんは!」と笑顔のTさんに迎えられて私も右手カウンターの中央部に陣取ります。
すぐに出されたお絞りで手をふきながら、まずは瓶ビール(中瓶、500円)を注文します。瓶ビールはアサヒとキリンがあるのですが、今日はキリンラガーにしてみました。顔を見てから用意してくれる今日のお通し(200円)は数の子。魚の卵は大好きなのでうれしいなぁ。ググゥ~ッと一気に飲み干す今日1杯目のビールがうまいこと!
さぁ、魚、魚。まずはやっぱり刺身の盛り合わせかな。この店の刺身盛り合わせは、基本的には1種類3切れずつが5品盛りになって1,000円なのです。なにが盛り合わされるかは、その日の仕入れによります。今日はなにが出るのかなぁ、と待ってる間がまた楽しいのです。
「はい。お待たせしましたぁ!」と出てきた盛り合わせは、タイ、豊後水道のサバ、マグロ、イワシクジラ、コチの5品盛り。マグロ、クジラの赤と、タイ、コチの白の対比も美しいですねぇ!
カウンター内上部には、今日のおすすめが書かれたホワイトボードが掲げられています。そこに載っている今日の刺身はカワハギ(1,000円)、豊後水道サバ(700円)、天然ブリ(700円)、生クジラ(800円)、アオリイカ(600円)。盛り合わせもさることながら、単品も安いのです。大常連のTさんは、肝たっぷりのカワハギの刺身をつつきながら冷酒をチビチビとやっている。「そういえば、ブリも盛り合せに入れようと思ってたのに忘れてました」と店主が天然ブリの刺身も小皿で出してくれました。わぁ、ありがとうございます。それじゃ私にも冷酒(高清水300ml瓶、600円)をお願いします。
先ほど「盛り合わせは基本的に3切れが5種」と書きましたが、基本からはずれたわがままもきくことがあるようです。たとえば「アオリイカも入れて盛り合わせてください」と好みの品を入れてもらったり、「ブリとサバだけで盛り合わせてください」と2品盛りにしたりすることも、場合によってはできるようなのです。1尾丸ごとさばかないといけないようなものはダメですけどね。そうやってわがままを言った場合は、盛り合わせるものの品数や量を調整するなどしてうまく盛り合わせてくれるようです。好き嫌いがある人は「これは嫌い」と申告しておくのもよさそうですね。
さあて。刺身に続いては、今日は焼き魚を食べてみようかな。ここの焼き魚は炭火で焼くわけでもなく、サラマンダー(上火の輻射熱で焼く装置)で焼くわけでもなくて、家庭にもあるようなコンロの魚焼き用グリルで焼いてくれるのですが、これがまたうまく焼きあがるのです。
魚だけでなく、モツや肉などの場合もそうですが、素人とプロの大きな違いは「ここで火が通った」という点の見極めにあるのではないかと思います。素人がやると生っぽくて食べられなかったり、焼き過ぎて硬くなってしまったりするのですが、プロがやるとちょうど火が通ったという絶妙の焼き加減。プリッとジューシーなできあがりになるのです。
今日の焼き魚メニューは笹かれい(600円)、にしん(600円)、かます(500円)、秋さば(500円)、ぶりかま(600円)、かんぱちかま(550円)、沼津産あじひらき(500円)に、ホワイトボードにある穴子白焼(800円)を加えた8品。
「こうやって生の焼き魚が並ぶ中に、いつもアジの開きがあるのはなんで?」と聞いてみると、「毎回、このアジの開きを楽しみにやってくる常連さんがいらっしゃるんですよ」と店主。「これがそのアジなんですけどね」と焼く前のアジの開きを見せてくれます。これはまた肉厚で立派なアジですねぇ! 「沼津産ってとこが決め手なんですよ」とカウンターのTさん。そうだったんですか。それじゃ私もそのアジをお願いします。
冷酒をおかわりし、ちびりちびりと飲みながら待つことしばし。沼津産のアジ開きが焼きあがってきました。おぉぉぉっ。どうですかこの身の表面! ジュワッと脂が浮き上がって見るからにおいしそうではありませんか。普段なら頭からかぶりつくところですが、あまりに美味しそうにプリッと張った身に、ひと口目はまず一番肉厚な部分からいただきます。んーっ。んまいっ!
入口引戸がカラリと開いて、入ってきたのはなおとんさんです。「こんばんは」とあいさつし、ここのところの出来事などをいろいろと談笑しながら飲んでいると、店主がコチのあらを見せてくれます。
コチは刺身にすると歩留まりが悪くて、あらの部分が多くなってしまうのだそうです。そのコチのあらでこれからみそ汁を作ろうという店主。まずはあらを火で炙ります。こうしてから出汁(だし)をとると臭みが出ないのだそうです。まつことしばし。できあがったのはみそ汁というよりもコチ鍋といった風情。んー。いいダシが出ていておいしいですねぇ。魚のみそ汁は大好きです。
「具を食べたところでごはんを入れて雑炊にしましょう」とシメの雑炊までいただいて、たっぷりと午後11時過ぎまで3時間以上の滞在は3,500円でした。大満足! ごちそうさまでした。
瓶ビールとお通し / 刺身盛り合せ / 天然ぶり刺身
沼津産あじひらき / こちのみそ汁 / こちの雑炊
| 固定リンク
コメント