東京湾一周ツアー(1) … ラーメン「梅乃家(うめのや)」(千葉・竹岡)
横須賀に数ある名大衆酒場のひとつ「銀次」。その「銀次」は土日祝日が定休日のお店ながら、毎月第四土曜日のみ営業しているとあって、平日に横須賀まで行けない人でも月に1度だけピンポイントで「銀次」に行くことができるチャンスの日なのです。
そんな第四土曜日の今日この日に「銀次」に行こう! という企画を立案してくれたのは、歩く酒場データベース・Kご夫妻。「よーし行こう!」と企画に乗ったのはH氏と、新宿のやきとん「串元」の大常連さんであるT氏とK女史。そして宇ち中さんと私の7人。他にも途中から、あるいは一部だけ合流可能という人たちもいて、とても楽しい“のんべ旅行”になりそうです。
が、しかーし! ただ単に横須賀に行って帰ってきたのではおもしろくない。そこは旅好き、乗り物好きでもあるらしいK氏。今回の「第四土曜日企画」は、なんと千葉駅に集合し、内房をぐるりと回って浜金谷から東京湾フェリーで久里浜に渡り、横須賀の「銀次」に行って東京まで戻ろうという『東京湾一周ツアー』を企画してくれたのでした。
まだ昨夜の酔いも覚めやらぬ午前8時過ぎに自宅を出発。西武新宿線→地下鉄東西線→JR総武線と乗り継いで千葉駅でみなさんと合流したのは9時50分。缶ビール(サッポロ「畑から百三十年」)などを買い込んでKご夫妻が計画してくれた、千葉駅9時59分発のJR内房線・安房鴨川行きの電車に乗りこみます。
1時間に1本しかないという内房線普通電車は、比較的ゆったり気味。我われ7人も左右に並んだボックス席ふたつを確保し、電車が動きはじめるとともに通路を隔ててみんなで乾杯です。天気もいいし、旅行気分が盛り上がってきますねぇ!
「はいどうぞ」とKご夫妻が渡してくれたのは、茹で落花生や煎り落花生など、千葉県名産のつまみ。あらら。旅行の企画からつまみの手配まで、なにからなにまですみません。さらにビールを飲み終わったところで、T氏のデイパックから出てきたのは、なんとキンミヤ焼酎のボトルと瓶入りホッピーです! さすがホッピー大好きのT氏。旅行のときもかかさずホッピーですねぇ!!
「うわぁーっ! 海だぁーっ!」という声に外を見ると、目の前にはドーンと秋晴れの東京湾が広がっていて気持ちがいい。
1時間ちょっとの電車の旅で、上総湊(かずさみなと)駅に到着したのは午前11時6分。ここで11時12分発の高島別荘入口行き天羽日東バスに乗り込みます。もちろん偶然このバスに乗ったわけではなくて、これも当初からの予定どおりの行動です。電車を降りてからバスの出発までがほんの6分というところからも、K氏の綿密な計画ぶりがうかがえます。
バスに揺られること約6分(260円)。十夜寺(じゅうやじ)のバス停で降りると、すぐ目の前にあるのが千葉県内房周辺で作られたご当地ラーメンである「竹岡ラーメン」の元祖とも言われる「梅乃家」です。
今日の『東京湾一周ツアー』の1軒目の目的地が、この店なのです。
「えっ!? ラーメン屋が呑んべツアーの1軒目なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこのお店、朝8時半の開店と同時にビール(瓶・生、550円)や日本酒(300円)、さらには焼酎の梅割り(300円)などが楽しめるのです。この次のフェリー乗り場行きのバスが来るのは1時間10分後。それまでの間、この店で竹岡ラーメンをつまみに梅割りを飲もうというのがK氏の計画なのです。
「梅乃家」は国道から分かれた小道の、鋭角の角地にある三角形の建物。黄色いテントの下に入口があって、昼前のこの時間、店内は満席で、店の外にも10人ほどの人が並んでいます。この店に来るのが今日で3回目というKご夫妻によると、これでも行列が少ないそうで、これまではもっとたくさんの人が並んでいたんだそうです。行列に並ぶ人たちは、あまり整然とは並んでいなくて、行列の途中にベンチに座っている人がいたりするのもおもしろい。いかにも地元の人らしきおばあさんが、本当に普段着でやって来て、我われの後ろに並びます。
10分も待たず入った店内はテーブル席が何卓か並び、左側には小上がり席と、さらに二階に上る階段もあります。我われ7人は、右手奥の6~7人かけられるテーブルに案内されました。
この店のメニューはとってもシンプルでラーメン(500円)、大ラーメン(550円)、チャーシューメン(600円)、大チャーシューメン(650円)の4つのみ。それに“やくみ(玉葱)”(40円)をのせるかどうかというオプションが選択できます。それと先に紹介したビール、日本酒と梅割りですね。「ジュースは外の自動販売機にあります」なんて書かれているのもおもしろい。
湘南のモツラー・GAさんからは「ラーメンには必ず薬味(玉ねぎ)をトッピングしましょう。できればチャーシューメンにして、梅割りをぐびりとやってからチャーシューを頬張るとタマランチ元会長です。そして、ラーメンを一気に食べましょう。房州お湯ラーメン独特の、醤油は濃いが出汁は薄いという味わいが楽しめます。」という、ありがたい『梅乃家での心得』をいただきました。そのおすすめにしたがって、私はチャーシュー麺の薬味付きと梅割りをいただくことにします。ほかのメンバーもそれぞれラーメンやチャーシュー麺に、ビールや梅割りを注文します。
梅割りは、梅割りにした状態で冷蔵庫で冷やされていて、注文に応じて受け皿つきのコップになみなみと注いでくれます。お通しは揚げそら豆。梅割りはとてもよく冷えているようで、コップの表面はあっという間に白く曇ります。
さっそくみんなで乾杯し、梅割りをコクッとひと口。ありゃりゃー。なんというフレッシュな梅の味わい。これはまた飲みやすいですねぇ。今日はこの先を考えて心理的なブレーキをかけまくったが、この店だけを目的に来ていたら何杯でもいってしまうかも!
厨房では女性が3~4人ほど働いていて、七輪で沸かしたお湯で、次々に乾麺が茹でられています。これとは別に店内に1~2名の女性がいますので、全体としては4~5名で切り盛りしているようです。
オールアバウトによると竹岡ラーメンの特徴は次の5つなのだそうです。
- 長ネギではなく玉ネギを使用している。
- チャーシューがたっぷり。
- 麺が生麺ではなく乾麺を使用している。
- スープ(ダシ)は麺を茹でた「お湯」を使っている。
- 麺茹では、炭を使った七輪で茹でる。
まずK奥さんが注文した(もっともシンプルな)ラーメン(500円)が登場です。「みなさん薬味付きが食べたいでしょうから、比較のために私が薬味のない普通のラーメンを注文しますね。」と言って注文してくれたものです。このシンプルなラーメンでも、大きなチャーシューがたっぷりと5枚。それにメンマと海苔も添えられています。「どうぞ食べてみてください」というお言葉に甘えてちょっといただいてみると、スープはかなり黒々としているのですが、食べてみるとそれほど醤油辛くはありません。麺を茹でたお湯のスープなのに、なにやら味わいがあるのが不思議だなぁ。
そしてチャーシュー麺の薬味つきも出てきました。「いったい何枚入ってるの!?」と驚くほどの枚数のチャーシューと、こんもりと盛り上げられた玉ネギ(←これが薬味)が、ビジュアル面での大きな特徴。黒いスープに浸かっていたからか、麺もけっこう褐色に色づいています。
そのチャーシューをつつきながら梅割りをちびりちびり。チャーシューは白身とのバランスもよくて、まるでカシラをつまみに飲んでるような感じです。それにしても食べても食べても出てくるチャーシュー。正直言って、私はチャーシューだけでほぼ満腹になってしまいました。
この店の眼下に広がるのが竹岡漁港。K氏の推測では「漁を終えた漁師さんが、朝になってこの店にやってきて、梅割りを飲みながらラーメンを食べて、海で冷めた身体をあっためたんじゃないかなぁ。だから朝8時半から開いてるし、アルコール類も置いているんじゃないでしょうか」とのこと。なるほどなぁ。
とってもフルーティな梅割り焼酎と竹岡ラーメンを堪能し、予定どおり1時間10分後の12時27分の東京湾フェリー行きバスで、ワイワイとフェリー乗り場へと向かいます。まるで修学旅行みたいだ!(笑)
サッポロ缶ビール / 茹で落花生 / キンミヤとホッピー
「梅乃家」の行列 / 店内の様子 / 梅割り
メニュー / ラーメン / チャーシュー麺・薬味付き
テーブルの様子 / チャーシュー / 褐色の麺
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