円卓でカオヤンロー … 中国料理「珉珉羊肉館(みんみんやんろうかん)」(渋谷)
ジンギスカンの起源とも言われている中国料理の「カオヤンロー」。そのカオヤンローが楽しめるのが渋谷にある老舗の中国料理屋「珉珉羊肉館」です。
店に着いたのは午後8時前。最初にお店に着いた人が席を確保するということになっているので「6人です」と店に入ると、すぐに「お二階にどうぞ」と通されます。この店の1階はカウンター席のみなのです。2階に行くと、2階を担当している店員さんが「座敷でも円卓でもお好きなほうに」と笑顔で迎えてくれます。なにしろ今日はカオヤンローねらいなので、まん中に大きなジンギスカン鍋が埋め込まれている円卓を選びます。
中華の円卓というと、クルクルまわるサブテーブルがついているタイプを思い浮かべますが、ここの円卓の真ん中にあるジンギスカン鍋は回りません。
他のメンバーの到着を待つ間に、まずは瓶ビール(サッポロラガー大瓶、550円)をもらって、ひとりでチビチビと飲みはじめます。となりの円卓では常連さんらしき家族連れが楽しんでいます。
1杯目のビールを飲みきったちょうど8時ごろに、今日は昼から「宇ち多」→「河本」とハシゴしてきたという呑んだフルさんが到着。そのフルさんに「河本」から合流したというH氏と宇ち中さんもいっしょに到着です。その後、仕事を終えたhhさん、ここっとさんも到着し、予定のメンバー6人がそろいました。
カオヤンローの前に、まずは普通の料理を何品か。
腐乳(フニュウ、1個、200円)は豆腐に麹をつけて、塩水の中で発酵させたもの。中華粥に入れたり、他の料理の調味料として使われたりすることの多い料理ですが、単品でつまみとしていただいてもおいしいのです。
皮蛋(ピータン、700円)は、アヒルの卵の表面にアルカリ性の強い石灰や木炭、粘土などを練って塗りつけ、卵が互いにくっつかないように、モミガラを上から付着させた上で、カメなどの容器に積み重ねて2ヶ月ほど保存するとできあがり。アルカリ分によって白身部分は黒色のゼリー状、黄身部分は翡翠色になって独特の味わいになるのです。
回鍋肉(ホイコーロー、1,330円)。豚肉の塊を茹で冷まして薄切りにし、キャベツ、ピーマンとともに炒めたもの。“回鍋”というのは一度調理したものを再び鍋に戻して調理することを言うのだそうです。
ガツの辛し和え(900円)は前菜(冷菜)の1種で、ガツ(豚の胃袋)を茹で冷まして細く切ったものとキュウリの細切りを、辛しミソベースのダレで和えたもの。中国料理はモツ(内臓)料理もおいしいですよね。この店にもレバ唐揚(1,330円)やモツ炒め(900円)、三種モツ炒め(1,330円)などのモツ料理がそろっています。
漬物代わりにザーサイ(200円)をもらって、焼餃子(6個、530円)と水餃子(6個、530円)。ここの水餃子はワンタン風にスープに入っています。なんだかスープ餃子のようですが、この店にはスープ餃子(6個、700円)というメニューも別に存在していて、こちらはもっと玉子スープ風のスープになるようです。
飲み物は紹興酒をボトルごと燗してもらって、飲むときにグラスに氷を1個だけ入れるという、濱の酒場通・iiさんスタイルのもの。
さぁ。そしていよいよカオヤンロー(羊の焼き肉、850円)。カオヤンローのカオは、火辺に考える、つまり[火考]←こういう1文字の漢字で、「火で直接焼く」という意味なのだそうです。ヤンローは“羊肉”のことです。まさに「火で焼いた羊肉」という料理の名称なんですね。
カオヤンローは焼き方にコツがあって、ジンギスカンのように鉄板の上に置いたっきりではダメで、ひとり焼き手を決めて完全につきっきりになるくらい手を入れながら焼く必要があるとのこと。料理のうまいhhさんが「それじゃ私が」と立候補してくれたのですが、最終的には店主自らが焼いてくれることになりました。
出されたのは丸いお皿に盛られた薄切りの羊肉とニラ、モヤシ、白ネギ。
目の前の大きなジンギスカン鍋は円周方向に4等分して(つまり4分の1円ごとに)火がつけることができるようになっていて、円卓にいっぱいの人数じゃなくても、2人からカオヤンローを楽しむことができるのだそうです。
その4分の1に火をつけ、まず野菜類を鉄板の上部のほうに置いて、その上に薄切りの羊肉をのせ、それにかぶせるようにまた野菜を置きます。ちょっと蒸し焼きにするようにおいた後、箸ですばやく全体をかき混ぜながら仕上げていきます。できあがった羊の焼き肉は、鍋の肌を滑らせて、ジンギスカン鍋の下部をトイのようにぐるりと取り巻いた銀色の板の部分に落とします。ここが焼き上がりを置くためのお皿を兼ねているんですね。
「さぁ、どうぞ」という店主の声で、みんなそこから羊肉や野菜をとって、各自に渡された小皿のタレをつけていただきます。タレは醤油ベースのあっさりとしたもので、老酒なども混ざっているらしくて、羊の焼き肉にぴったりです。
我われが食べている間に、店主はまた同じ動作を繰り返して次の羊の焼き肉を作ってくれます。なるほど。これは焼き手は休む暇もありませんねぇ。
お目当てのカオヤンローをいただいたあとは、紹興酒をもう1本燗してもらって、料理には玉子・木耳(きくらげ)・肉炒め(1,050円)です。火が通ってもコリコリとした食感のままなのがキクラゲの大きな特長ですよね。
2時間の滞在は6人で17,000円(ひとり2,830円ほど)でした。どうもごちそうさま。
まずは瓶ビール / 腐乳とピータン / 回鍋肉
ガツの辛し和え / ザーサイ / 焼餃子
紹興酒 / 水餃子 / カオヤンロー
大鍋でカオヤンローを焼く / 玉子・木耳・肉炒め / 食べ終わった円卓
・店情報 (前回、同じときの「帰り道は、匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)
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