手渡しのキヌカツギ … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)
金曜午後8時の「武蔵屋」。いっぱいかなぁ、と思いながら引き戸を開けると左手テーブル席に1席分の空きがあり、そこに相席で座らせてもらいます。目顔で「どうする?」と感じでこちらに顔を向けてくれるアミちゃん(店を手伝っている宝塚風の女性)に「小瓶のビールをお願いします」と注文。今日はビールから行ってみましょう。
すぐにキリン一番搾りの小瓶とビアタンが用意され、ビール用のつまみの落花生が出されます。
ここ「武蔵屋」は通称「三杯屋」。土瓶で燗づけされた日本酒「桜正宗」が3杯出されるうちに、おから、玉ねぎ、たら豆腐、納豆、お新香の5品の肴が出されて2千円。夏だろうと冬だろうと、年中この定番の酒肴なのです。店に入れるのは夕方5時から8時半までの3時間半だけ。そんなお店に引かれるお客さんはとても多くて、いついっても満席状態が続いているのです。
日本酒は3杯きりしか飲めないのですが、それとは別にビールを注文することができます。ビールは小瓶が500円、大瓶なら700円。それにビール用のつまみ(たいていは豆類)が1品つきます。ビールの位置づけは最初の喉潤し用といったもので、ビールを1本いただいたあとで3杯のお酒に移行するという飲み方が一般的。グループで来た場合には、みんなで大瓶を1~2本いただいて日本酒に移るといったパターンです。
午後8時半になると、入口引き戸には内側から鍵がかけられます。これ以降は入店することができず、お勘定を済ませて帰るときにだけ鍵を開けて見送ってくれるのです。
私も午後9時までの1時間で、ビールの小瓶とお酒を3杯いただいて席を立ちます。女将さんのいるカウンターのところにお勘定に行くと「あら、もうちょっと召しあがっていって」と女将さんが大ぶりのお猪口を渡してくれて、そこに土瓶から燗酒を注いでくれます。「やぁ、これはありがとうございます」。
3杯目のお酒を飲んでいるときに、ときどきちょっと注ぎ足してくれたりすることがあるのですが、今日は後片付けの時間に引っかかったので、「ちょっと注ぎ足しサービス」(?)がなかったのでした。その分をこうやってお猪口で出してくれたんですね。いつものグラスで飲む燗酒もおいしいですが、こうやって大きく口の広がったお猪口でいただく燗酒もまたいいですねぇ!
女将さんはカウンター上の大皿にあったキヌカツギを1つ手にとって、ツルリと皮をむき、ちょいちょいと塩をつけて手渡してくれます。「このキヌカツギがおいしいのよ」と女将さん。持ち手のところの皮をちょいと残して手渡してくれるのがうれしいですねぇ。パクリとひと口で食べると芋の甘みが口の中いっぱいに広がります。「はい。もうひとつ」ありがとうございます。あー、おいしい。どうもごちそうさまでした。
「なるべくまっすぐに帰ってくださいね」「いつもありがとうございます」女将さんと、カウンターの中の妹さんが笑顔で見送ってくれます。
その女将さんの言いつけにそむいて「ホッピー仙人」に向かったところ、なんと店の外まで人があふれている状況。さすが金曜日の夜ですねぇ。しかたなく京急・日ノ出町駅近くの「第一亭」でチャーハン(スープ付き、600円)をいただいて、まっすぐに帰宅したのでした。
テーブルの様子 / タラ豆腐 / 「第一亭」のチャーハン
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