サクッと天ぷら … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)
年明け最初の土曜日。横浜での仕事を終えて西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅に到着したのは午後7時半。「あ。こんばんは。明けましておめでとうございます」改札口でばったりと会ったのは「竹よし」の大常連・Tさんです。「じゃ、一緒に行きますか」「連休の土曜日だから多いかなぁ」と言いながら入った店内には先客がいなくてちょっと拍子抜け。カウンターの奥のほうにTさんと並んで座ります。
すぐに出されたあったかいおしぼりで手をぬぐいながら、私はまずはビール(スーパードライ中瓶、500円)で、そしてTさんは奈良の「篠峯(しのみね)」(500円)でスタートです。
今日のお通し(200円)は小アジ酢(3切れ)。本当は15分くらいでサッとしめるのがいいらしいのだが、今日のは30分くらいになってしまったと店主は残念がっていますが、これはこれでしっかりとした味でいいつまみになっているように思います。
年末から正月にかけて、和風あっさり系が多かったからか、今日はむしょうに油っこいものが食べたい。そういえば、この店も「魚料理と天ぷら」が謳い文句なのに、ここしばらく天ぷらは食事会のとき以外食べたことがないなぁ。久しぶりに天ぷらをお願いしましょうか。
「かき揚げ(700円)をお願いします」「はい。かき揚げね」
店主は天ぷら用の鍋にまず透明の油(サラダ油?)をたっぷりと入れ、その後、やや褐色のゴマ油を入れて着火。油の温度を上げていきながらかき揚げの準備が始まります。エビが準備され、なんとタラバガニの身も殻から出されてかき揚げ用の大きさに刻まれます。さらにはネギや山イモなどの野菜類も刻まれて、ちょうどいい温度になった天ぷら鍋に投入されます。かき揚げの形を整えながら、具材、特に海の幸系の具材に火が通り過ぎないように、ここで集中が必要なのだそうです。
「おまたせしました」と揚げ立てのかき揚げが出てきます。天ツユにつけるとチュンと音がしそうなほど熱々。箸でサクッ、サクッと割りながらいただくかき揚げのうまいことよ。サクッとした全体感と、中から出てくるエビやカニなどのプリッとした感じ、そして野菜の自然な甘みが渾然一体となって味わえるのがかき揚げの大きな特長ですね。
「菊正宗を燗でお願いします。大徳利で!」ビールに続いては燗酒です。菊正宗は1合が350円。大徳利(2合)でもらうと700円です。
Tさんはメニューにない「ニラ玉焼き」を注文。これはTさんが別のお店で仕入れてきたメニューで、ぜひこの店のメニューにも入れてもらいたいと、先日来、何度か作ってもらっている品なのだそうです。玉子2個をボールに割り入れたらササッとかき混ぜて塩コショウで味つけ。そこにザクザクッと大きめにカットした1束分のニラを入れて混ぜ、そのままフライパンへ。蓋をしたらもういっさい触らない。玉子にしっかりと火が通るまで、じっくりと焼くのがコツなのだそうです。「半熟トロトロじゃダメなんだよね。仕上げにゴマ油をさっとかけてね!」とTさん。
できあがったニラ玉焼きは、フライパンから滑らせるようにして、そのままの形で丸皿に移します。「ほら、食べてみて。こんな簡単な料理がうまいんだから」どーれどれ。あれ。ホントだ! おいしいっ。「ニラがちょっと多かったかな。玉子2個にニラ半束でいいね」とTさん。「これもメニューに加えますか」と店主もまんざらでもない様子です。
私も2品目をいただきましょう。せっかく天ぷら鍋のスタンバイができているので、天ぷら盛り合せ(1,000円)をお願いします。ここの天ぷらメニューはかき揚げ(700円)、盛り合せ(1,000円)、野菜盛り合せ(700円)の3種ですが、店主の手が空いているときはお好みでも揚げてもらうこともできるのだそうです。
天ぷらの揚げあがりに合わせて2本目の大徳利(700円)をいただきます。今日の天ぷら盛り合せはクルマエビ、アスパラ、赤ピーマン。そして極めつけは穴子の天ぷらと、カキをピーマンで包んで天ぷらにしたもの。今日は白焼きにするための穴子の仕入れがあったので、それを天ぷらにしてくれたのだそうです。カキ・ピーマンは揚げあがったあとで、まん中で切断して出してくれてるのですが、その断面がピーマンの緑、カキの乳白色、そしてカキの肝の茶色と見た目も美しく、食べるととろけるカキの味。んー。幸せ。
「忙しくないときはこうやって、ちょっと遊びの要素(←カキ・ピーマンのこと)も入れられるんですけどねぇ」と店主。そうかぁ。でもいつも忙しくないと困っちゃいますよねぇ。今日は夕方まで大雨だったから、お客さんの出足も悪かったのかな。
天ぷらは熱々のうちにいただかないとおいしさが激減してしまう。まさにわき目もふらずといった感じであっという間に食べ終えます。
うー、満足満足。あとはじっくりとつまみをいただきますか。「塩辛(350円)の四日目のほうをお願いします」「四日目のほうね。ちょうどいい熟成具合になってますよ」店主、自信の笑顔です。
今日、メニューに出ている塩辛は「四日目」と「初日」。「食べ比べてみますか」と小皿に初日の塩辛も出してくれます。なるほど。イカ刺しに近いフレッシュ感は「初日」のほうがあるものの、ネットリとしたうまみは「四日目」のほうが強いですねぇ。うーん。どちらもいいなぁ。
今日は早い時間から飲んでいたというTさんは、このあたりで席を立ちます。それと入れかわりに入ってこられたのは、ときどきここで顔を合わせるKさん。Kさんも私と同じく、新年初「竹よし」なのだそうです。今年もよろしくお願いします。
そのKさんはビールを注文して、穴子の白焼き(700円)です。その場で焼き上げ、熱々の状態で皿に盛られてワサビと大根おろしが添えられます。なんとも肉厚のおいしそうな穴子ですねぇ! 「いかがですか。少し食べてみませんか」とすすめてくれるKさん。えっ。そんなにもの欲しそうな顔をしてましたか!? 申し訳ないですねぇ。ではお言葉に甘えてひと口。おぉーっ。なんともいい脂ののりですねぇ。冬場でもこんな穴子が食べられるんだ。
Kさんは飲み物を「篠峯(しのみね)」(500円)に切りかえて、次なる肴はカワハギの刺身(950円)。ビビッと皮をはぐとこから造りはじめて、もちろん肝醤油つき。いいものを連発でいきますねぇ!
ちなみに今日の刺身はこのカワハギのほか、平貝(700円)、タイ(700円)、ヤリイカ(600円)です。その他の気になるメニューはタラあら煮(ミソ味、600円)やタラ鍋(ミソ味、800円)、ブリカマ焼き(600円)、マガレイ煮(600円)などかな。ヤリイカの焼いたのもおいしそうだなぁ。
たっぷりと3時間の滞在は4,150円。かるーく一献のつもりが、菊正宗を4合もいただいてしまいました。どうもごちそうさま!
まずは瓶ビール / お通しはアジ酢 / 菊正宗・燗酒大
かき揚げ / ニラ玉焼き / 天ぷら盛り合せ
塩辛・四日目と初日 / 穴子白焼き / カワハギ刺身
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