冬の定番、おでんに燗酒 … 大衆割烹「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)
「竹よし」を出て歩くこと約10分。となり駅の鷺ノ宮(さぎのみや)駅に到着します。都立家政(とりつかせい)駅と鷺ノ宮駅は500メートルほどしか離れていなくて、ホームに立つととなりの駅がよく見えるくらいなのです。
時刻は午後11時前。ここまで来れば自宅はもう目の前なので、最後にもう1軒寄って帰りましょうね。鷺ノ宮駅南口にある「ほ里乃家」は午前1時までの営業。ちょっとおでんでもつついて帰りますか。
「こんばんは」と店内に入ると、J字カウンターのみの店内は大常連のKさんと、これまた常連の女性ふたりが、いつものように冗談を言い合いながら飲んでいます。この店に来てKさんの姿を見かけなかった日がありません。おそらく毎日来ているのではないかと思います。
私もカウンターの一番奥あたり(Jという形で言うと、一番下のところ)に陣取って、燗酒(剣菱、340円)です。お酒は「剣菱(けんびし)」のほかに「剣(つるぎ)」や「穏(おだやか)」などがあり、「燗で」とお願いすると、四角いおでん鍋の横についている燗付け用の穴に徳利を入れて燗をつけてくれるのです。
お通し(200円)は豆モヤシ酢。最初のおでんは玉子、大根、ちくわぶ、スジ(魚)の4品をもらいます。
メニュー上は「おでん1人前」(350円)となっているのですが、おでんを注文すると店主が「何を入れましょうか?」と聞いてくれるので、いつもそのときに食べたいものを注文しているのでした。予想ですが、3個1人前が350円で、それ以外でバラでたのむときは1個120円くらいなのではないかと思います。
11時をまわるころ入ってきた女性は、近くのお店のママさんらしい。「ほ里乃家」は遅く(午前1時)までやっているので、自分の店が終わったママさんたちもやってくるのです。これで店内の女性客は3人。それぞれがひとり客というところが女性ひとりでも入りやすいという、この店の特長をよく表してますね。
お客としてやってきたママさんもこの店の常連さんらしく、入ってくるなりKさんや他の女性たちと話しはじめます。時事問題などの話題ならば、こちらも多少は口をはさめるのですが、今はここにいない他の常連さんの話題。「最近見かけないんだけど、元気なのかしら?」「そういえば私もしばらく会ってないわ」。こういうローカルな話題になると、さすがにまったくついていけませんねぇ。
Kさんがおかわりしたのはにごり酒。へぇー、にごり酒も置いてるんだ。知りませんでした。「私もにごり酒をお願いします」。にごり酒の銘柄は「しろうま」(340円)。冷たいままいただくのですが、他のお酒同様、徳利に入れて出してくれます。
おでんはさつま揚げとじゃが芋をもらいます。
おでんのルーツについては諸説あるようですが、そのひとつが豆腐を串に刺して炙り味噌を塗った「田楽」を根源とする説。先日、鎌倉の「でんがく屋」でいただいたあれですね。ここから、最近個人的にはまり中の、コンニャクをゆでて味噌を塗っていただくコンニャクの田楽になり、味付けして煮込まれたコンニャクになり、現在のおでんへと変わっていったというのがこの説です。このはじまりのほうに位置する豆腐の田楽や、コンニャクの田楽もシンプルでいいんですよねぇ。
ところでここ「ほ里乃家」の看板には「おでん・焼き鳥」と書かれていますが、実際に店に入ってみるとこのふたつが看板メニューというわけではないのです。マグロぶつ切り(400円)やアジ刺身(500円)、イナダ刺身(450円)などの生もの、カキフライ(450円)、串カツ(400円)などの揚げもの、野菜炒め(500円)やナスピーマン味噌炒め(420円)などの炒めもの、そら豆(450円)、菜の花辛子和え(300円)などの季節もの、そして玉子焼(400円)、おしんこ(300円)、シラスおろし(300円)、もつ煮込み(350円)、湯豆腐(580円)といった酒場の定番ものまでいろんなものがそろっている正しき大衆酒場。そんな一連のメニューの中にやきとり(4本、350円)、おでん(一人前、350円)というふたつも並んでいるのでした。
常連さんたちの楽しそうな話はまだまだ続いていますが、私はそろそろおいとましましょう。お酒2本におでんが6品、約1時間の滞在は1,590円でした。みなさんお先に。どうもごちそうさま!
「ほ里乃家」 / お通しの豆モヤシ酢 / 玉子、大根、ちくわぶ、スジ
「剣菱」(燗酒) / 「しろうま」(にごり酒) / さつま揚げ、じゃが芋
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