東口、美久仁小路にも! … 大衆酒場「ふくろ」(東池袋)
池袋駅を東口側に抜けてサンシャイン60方面に歩くと途中にあるのが「栄町通り」「美久仁小路」「人生横丁」と、60階通りの反対側にある「ひかり町通り」いう4つの横丁です。それぞれの横丁がこんなに近くにあったんですね。それすらはじめて知りました。
このあたりは戦後、池袋駅前にあった闇市の露店が、昭和24(1949)年の区画整理で分散移転されてできた飲食街なのだそうです。しかし駅から遠い(現在で言うと地下鉄・東池袋駅のほうがむしろ近い)ので、終戦直後の闇市時代にも駅から遠すぎてお客さんが来ない。だから、屋台を引いて駅の近くに出かけていったり、横丁の飲み屋の女の子たちも、わざわざ駅前までお客さんを捕まえに行っていたのだそうです。
その横丁街に変化があったのは、その後3度。1回目は昭和47(1972)年に今は亡き青江美奈が歌った「池袋の夜」の大ヒット。『どうせ気まぐれ 東京の 夜の池袋』という歌詞の中に「美久仁小路」と「人生横丁」が織り込まれ、このあたりの地名が一躍有名になったのだそうです。
2回目は昭和53(1978)年の巣鴨プリズン跡地へのサンシャイン60の登場。池袋の街は急速に発展を遂げるようになります。そして3回目がバブルの到来とその崩壊。横丁も地上げのターゲットとなり、店の数がうんと減ってしまったのだそうです。
めざす「ふくろ」は「美久仁小路」の中にあります。横丁の入口に立つと「美久仁小路」と書かれた看板の後ろにくっきりとそびえ立つサンシャイン60。横丁の中に並ぶ古い店々との対比も際立って、とてもおもしろい光景ですねぇ。
全長7~80メートルほどの「美久仁小路」のちょうど中央あたり、道が少しクランクしたところにあるのが「ふくろ」です。
午後4時に開店するというこちらの「ふくろ」は、土曜日4時半の今、ぽつりぽつりと数えるほどしかお客さんはいません。先ほども書きましたとおり、なにしろ駅から遠いですからねぇ。西口の「ふくろ」のように、「電車に乗る前にちょっと一杯」ってわけにはいきません。
店内は中央に幅の狭いコの字カウンターがあり、右手が小上がりの座敷席、左手には4人がけのテーブル席がずらりと並んでいます。こちらはこの1階1フロアのみで営業しているようです。
「いらっしゃいませ。どこでもどうぞ」と迎えてくれるおねえさん。にっきーさんと私はカウンターの一角に腰をおろしホッピーをもらって乾杯。メニューは、品、値段共に西口の「ふくろ」とまったく同じ。ホッピーも瓶詰めの焼酎(1合190円)と瓶入りホッピー(ソト、190円)、そしてアイスペールいっぱいの氷が出されて、自分で混ぜるスタイル。
お通し(200円)に出されたのはコハダと小柱の酢の物です。魚の子も入って、いわゆる子持ち状態になっているのがいいですね。
さて料理。こちらも本店と同様に壁にずらりと短冊メニューが並んでいる他、入口横・上部に設置されたテレビの近くには「本日のおすすめ品」と書かれた黒板メニューも出ています。馬刺600、ぶり刺550、まぐろ刺500、たこ刺500、〆さば450、つぶ貝刺480、板わさ350、にこごり400、キムチ400、おでん500、モツ煮込み豆腐500、肉キムチ炒め500、ハムカツ350、たこ唐揚げ450、生揚げ300、マカロニサラダ350、つぼ鯛みそ焼480、ほっけ塩焼450がその内容。その中からにっきーさんはにこごり(400円)を選択。冬場ならではの一品ですね。きれいだしお酒が進むことこの上ない。
私はみそこんにゃく(300円)をもらいます。こんにゃくをお湯であっためて、味付けした味噌をつけて食べるだけのシンプルな料理なのに、おでんのこんにゃくとも、煮物のこんにゃくとも違った、なんだかこんにゃくらしい味わいに最近はまり気味。ここのみそこんにゃくもいいですねぇ。
飲んでるうちにひとり、またひとりと入ってくる常連さんは年配の男性ひとり客が多い。カウンターの我われが座っている側(入口を入って右側のカウンター)のほうが人気が高いのは、こちらからはテレビを見ることができるからでしょうね。
気がつくともう5時半。にっきーさんはこのあとご自宅でお子さんの誕生会が、私は6時から忘年会がある予定なので、このあたりで切り上げることにします。
これまた約1時間の滞在は、ふたりで1,860円(ひとりあたり930円)でした。西口の「ふくろ」のキーワードが“にぎわい”ならば、こちら東口の「ふくろ」は“くつろぎ”でしょうか。のーんびりと落ち着いて飲めるいい酒場だと思います。
人生横丁 / 栄町通り / 美久仁小路
「ふくろ」 / お通しはコハダと小柱の酢の物 / ホッピー
店内の様子 / にこごり / みそこんにゃく
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