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2007年3月

お通しは五品盛り … 酒処「侘助(わびすけ)」(横浜・桜木町)

四季折々の料理をチマチマと何品か出してくれて、それを肴(さかな)にお酒をいただく。そんな飲み方も大好きです。神楽坂の「伊勢藤」や広島の「爐談亭」、そして年中変わらぬ料理ですが野毛の「武蔵屋」などがそういうお店ですが、その「武蔵屋」近くの小さい路地の中にもそんな店があると聞いてやってきました。

店の名は「侘助」。入口引き戸をガラリと空けて店内に入ると、裸電球だけの柔らかくて暗めの照明の店内には、目の前に小さい囲炉裏が切ってあって、そこから店の奥に向かって7~8人分くらいのカウンターが伸びています。火曜日、午後7時半の店内には先客はいません。

「いらっしゃいませ」と迎えてくれるのは和服姿の女性。なるほどこの方が女将さんなんですね。おひとりでこの店を切り盛りされているようです。「こんばんは」とあいさつしつつ、カウンターの一番奥のほうへと進みます。どう見ても囲炉裏まわりは常連さんの席っぽいですもんね。初回はそこからできるだけ離れた、目立たない場所にしてみましょう。

まずは瓶ビール(サッポロラガー中瓶700円)をもらうと、出されたグラスは陶器製。いい泡立ちですねぇ。

カウンターの中で女将さんが支度をしてくれて、大きさお皿の上に和風の布が置かれ、その上に小さい器が五つ並んだお通しが出てきました。見た目にも美しいし、おいしそうだなぁ。

まずはホタテわさからいってみますか。これは醤油か何かかけるのかな?
「薄く味付けしていますけど、足りないようでしたらお醤油をお使いください」と女将さん。ど~れどれ。うん! このままで十分いい味がついてますよー! ホタテの甘さがぐんと引き立ちます。

そのとなりはヤリイカ(輪切り)とモヤシを炒めたもの。反対側にはキャベツの小鉢もあるんだけど、単なる漬物ではない。なんだろうなぁ?
「キャベツをワインとオイスターソースで和えたんですよ」
へぇ。店内の雰囲気も器なんかもすべて和風なのに、ワインとオイスターソースとは驚いた。聞くとビックリだけど、味はまったく違和感がありません。いい肴です。

そしてこちらは鶏の黒酢煮。その奥の蓋付きの器は、開けてみると黒ゴマ塩のかかったごはんが入っている。ひと口食べてみると、これは普通のごはんじゃなくて、おこわ(もち米)なんですね!

こういうのをちょっとずつつまみながらいただくお酒がいいんですよねぇ。
「お酒を、燗でお願いします」と注文すると、目の前に、きれいな布でくるまれたお湯の入った器が出され、チロリで燗付けされたお酒が、チロリのままその中に入れられます。これはいいなぁ。ずっと冷めずにいただくことができるんですね。
「お酒のお風呂なんですよ」と女将さん。なるほど。それはいい表現ですね。

ちびちびとお酒をいただいていると、入口引き戸があいて入ってきたのは常連さんらしき男女ふたり連れ。カウンターの中央あたりに座ると、まずはビールを注文し、
「手が空いたら鳥ももと玉子焼きもお願いしますね」
と、お通し5点盛りの先の肴もあらかじめ注文しています。

カウンターの目の前、カウンターの上段と下段をつなぐ板のところにメニューが張り出されていて『〔炭焼〕とりもも600、いわし丸干500、はらす600、やわらかい当り目500、大きなさつま揚500。のげ焼(じゃがいも)700、いかのげ焼600、バラのげ焼600、ねぎのげ焼600。塩たまご焼500、みそおでん500、とうふ500、あとひき大根(漬物)500、おしんこ500、うなぎ白焼半身700。本日のおさしみあります』と書かれている。品数はそれほど多くないものの、飲むのにちょうどよさそうな品々が並んでますよね。

「のげ焼きって何なんですか?」
「じゃが芋をすりおろして焼いて、海苔を巻いていただくんものなんです」
うーむ。聞いてもよくわからないので、ひとまず注文してみましょう。

カウンターの中で、女将さんがシャクシャクとじゃが芋をすりおろして調理を始めます。作り置きではなくて、注文を受けてからこうやって1から作ってくれるんですね。しばらくするとまるで磯辺焼きのような感じののげ焼きが6個、お皿に盛られて出されます。

どれどれ。ありゃ。食感ももちもちとしていてお餅っぽい感じです。
「これ、本当にじゃが芋だけ?」
「そうですよ。つなぎもなにも使ってなくて、じゃが芋だけなんです。おもしろいでしょう」と微笑む女将さん。ほんとにおもしろい。しかもおいしい! 燗酒(500円)もおかわりです。

店内はいい意味で非常に古びていて、天井には梁(はり)があって、走る電線は白い碍子(がいし)でとめられている。なんだか懐かしい光景ですねぇ。やや暗めの照明がまたいい風情を感じさせます。これは落ち着くなぁ。

ゆっくりと1時間半の滞在は3,800円でした。どうもごちそうさま。

店を出て、今日の2軒目は「ホッピー仙人」。先日、ホッピービバレッジの社長が来店されたのだそうで、その話を仙人(=店主)から聞きながら生樽ホッピー(500円)をいただきます。今日の焼酎はキンミヤ。ひろたろうさん(常連の酒豪美女)のお土産だという醤油豆がおいしいこと。

このまま帰れば健康的(?)なのに、帰り道に桜木町駅のすぐ近くにある「一蘭」で、ついついラーメン(750円)を食べてしまいます。最初に博多の「一蘭」でラーメンを食べたのは、今から10年くらい前だったでしょうか。そのときは強烈においしいイメージがあったのですが、今食べてみると、なんだかインパクトがないなぁ。当時と比べて、とんこつラーメンを美味しくいただけるお店が増えてきたからでしょうか。

〔侘助〕
070306a 070306b 070306c
酒処「侘助」 / お通し五品盛り / ビールは陶器のグラスで

070306d 070306e 070306f
お風呂に入った燗酒 / のげ焼き / 古風な店内の様子
・「侘助」の店情報

〔ホッピー仙人/一蘭〕
070306g 070306h 070306i 070306j
生ホッピー / ひろたろうさんのお土産 / しょうゆ豆 / 「一蘭」のラーメン
・「ホッピー仙人」の店情報前回

《平成19(2007)年3月6日(火)の記録》

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店情報: 酒処「侘助(わびすけ)」(横浜・桜木町)

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  • 店名: 京風小料理「侘助」(わびすけ)
  • 電話: 045-262-0418
  • 住所: 231-0064 神奈川県横浜市中区野毛町3-122
  • 営業: 18:00-22:30、土日祝休
  • 場所: トポスの裏の建物と建物の間の小さな路地を奥に入ったところ。
  • メモ: 和服姿の女将ひとりが切り盛りする店は、小さい囲炉裏が端っこにあるカウンター10席のみ。お通しの5品盛りも美しい。おつまみ:〔炭焼〕とりもも600、いわし丸干500、はらす600、やわらかい当り目500、大きなさつま揚500、下足600、こまい500。のげ焼(じゃがいも)700、いかのげ焼600、バラのげ焼600、ねぎのげ焼600。塩たまご焼500、みそおでん500、とうふ500、あとひき大根(漬物)500、おしんこ500、うなぎ白焼半身700。その他に本日のお刺身がある。日本酒:冷いろいろ700~800、辛酒(カン)500、焼酎:陸前(米)、加計呂麻(黒糖)、こんにゃくや(こんにゃく)、小正かめつぼ(いも白)、三岳(いも白)、邑(むら、いも黒)、たん(言辺に票みたいな字。だったんそば)、神の河(麦)、八重桜(麦)、あわもり:玉友(5年古酒)25°600、43°800。ワイン:白・赤ハーフボトル2,000、ビール:エビス、サッポロ赤ラベル(ラガー)700。

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ウイスキーを楽しんで … バー「タイムオーバー108(TIME OVER 108)」(阿佐ヶ谷)

にっきーさんとふたり、中野から中央線に乗り、阿佐ヶ谷に到着したのは午前1時前。ここまで帰ってくればもうたどり着いたも同然。あとははってでも帰れます。

「じゃ、ひと安心したところで、最後にもう1軒行きますか!」

どちらからともなくそういう話がまとまってしまうところが酒友の酒友たるゆえん。

「実は駅の近くに前から気になっているバーがあるんですよ。そこをちょっとのぞいてみませんか?」

阿佐ヶ谷駅北口から中杉通りに沿って1~2分北上した、モスバーガーの入っているビルの3階にあるのが、目指すバー「TIME OVER 108」。深夜に帰ってきても、その入口路上にポツンとメニュー黒板が置かれていて、各種飲み物がずらりと書き出されているのが気になっていたのです。

3階に上がると、エレベーターの扉が開いた目の前にドンと樽があって、その上にウイスキーの空き瓶がずらり。その先にバーへの入口扉があります。

店内はウナギの寝床のように細長く、その細長いところを貫くようにカウンターがどーんと通っている。先客はカウンター手前側に男女ふたり連れ。店はカウンターの中にいる男性ひとりで切り盛りしているようです。我われもカウンターの奥のほうに座ります。

カウンターとほぼ同じ長さの長大なバックバーに、ずらりとウイスキーやスピリッツ、リキュール類などが並んでいるのが圧巻です。

そんなたくさんのボトルの中から、私はタリスカー(Talisker)をストレートでいただくことにします。タリスカーはスコットランド西岸にあるスカイ島産の唯一のモルトウィスキー。スカイ島が火山の島であることから「火山の力を借りて液体になった雷」と言われるほど強烈な個性のウイスキーなのです。とろりと深い琥珀色がまたきれいですよねぇ。

このタリスカーの蒸留所が創業されたのは1831年といいますから、日本では江戸時代。天保の大飢饉(1832年)や大塩平八郎の乱(1837年)の頃に生まれたウイスキーなんですねぇ。ちなみにベートーベンの第9もこの頃に生まれてる(1824年初演)と言うんだから、ヨーロッパ文化もすばらしい歴史を持ってるんですね。

にっきーさんが注文したのは、スキャパ(Scapa)のトゥワイスアップ。「はい」と返事したバーテンダー氏はさっそくスキャパを用意しはじめます。
「トゥワイスアップってなんですか?」
小さい声でにっきーさんに聞いてみると、
「ウイスキーを氷なしで同量の水で割ることなんです。味も香りもよくわかるようになるので、ブレンダーの人たちがそういう飲みかたをされることが多いんです」
と教えてくれます。

ここ数年、ワインや焼酎を研究されていたにっきーさんですが、もともと一番好きだったのはウイスキーなのだそうで
「今年は原点にかえって、またウイスキーを飲んでみようと思ってるんです」
と言いながら、できあがったスキャパのトゥワイスアップを口に含みます。

スキャパはスコットランド北端のオークニー島という島で造られたウイスキー。これもまた1885年創業という古い蒸留所なのですが、そのほとんどがバランタイン(Ballantine's)のブレンド用にまわされていて、モルトウイスキーのオフィシャルボトルが日本に入ってきたのは、今から10年前の平成9(1997)年のことなんだそうです。実に香り豊かなウイスキーです。

スコッチウイスキーは大きく分けてモルトウイスキーとグレーンウイスキー、そしてそれらを混ぜ合わせたブレンデッドウイスキーがあります。モルトウイスキーがソロならば、ブレンデッドウイスキーはオーケストラという風にたとえられたりします。

ブレンデッドウイスキーは何十種類かのモルトウイスキーやグレーンウイスキーを、ブレンダーが混ぜ合わせて造っていくのですが、そのときに使う主要な何種類かのモルトウイスキーのことをキーモルトと呼びます。スキャパは、バランタインのキーモルトのひとつなのです。同じようにタリスカーは、ジョニーウォーカー(Johnnie Walker)のキーモルトのひとつです。そう知って、バランタインやジョニーウォーカーを味わうと、大きく広がるオーケストラの中に、スキャパやタリスカーのソロとしての個性が感じられるような気がするんですよね。

「そういう意味では、このウイスキーもおもしろいですよ」

そう言ってにっきーさんが注文したのはフェイマスグラウス(Famous Grouse)のトゥワイスアップ。

スコットランドの国鳥である雷鳥(グラウス)の姿をラベルに描き、スコットランドでもっとも売れているウイスキー、フェイマスグラウス。バーテンダー氏がそのフェイマスグラウスと、それと同量の水をチューリップグラスに入れて、バースプーンでクルクルクルっと丁寧にステアして出してくれます。

なーるほど。こうやって飲むと本当に香りも味もよくわかりますねぇ。このシェリー樽の香りは…!?

「そうなんです。このフェイマスグラウスのキーモルトはハイランドパーク(Highland Park)とマッカラン(Macallan)なんですよ」とにっきーさん。

ハイランドパークは、先ほどのスキャパ同様、オークニー島産のモルトウイスキー。そしてシェリー樽貯蔵で華やかな香りのマッカランは、スコットランド東側のスペイ川流域で造られた、スペイサイドモルトとも呼ばれるモルトウイスキーのひとつなのです。知ってて飲むとおもしろいなぁ。知らないで飲んでもキーモルトが何かわかるくらいだともっと楽しいのかもしれませんが、なかなかそこまではねぇ。

それにしても、このキーモルトとブレンデッドの関係。もうちょっと他のものも調べて試してみたいですね。

今日はもう遅いので、このあたりで終了。午前2時過ぎまで1時間ちょっとの滞在は、ふたりでモルトウイスキー2杯とブレンデッドウイスキー1杯をいただいてちょうど3千円(ひとりあたり1,500円)でした。

さすがにこの時間帯に這って帰る(匍匐前進!?)わけにもいかず、にっきーさんとふたりでタクシーに乗ってビューンと帰宅したのでした。

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「タイムオーバー108」 / 入口の黒板メニュー / 樽の上に並ぶ空き瓶

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タリスカーとスキャパ / バックバーの様子 / フェイマスグラウス

店情報

《平成19(2007)年3月5日(月)の記録》

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店情報: バー「タイムオーバー108(TIME OVER 108)」(阿佐ヶ谷)

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  • 店名: バー「タイムオーバー108」
  • 電話: 03-3330-1296
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北1-26-4 オオミヤビル3F
  • 営業: 19:00-04:00、無休?
  • 場所: JR中央線・阿佐ヶ谷駅北口からバス通り(中杉通り)に沿って鷺ノ宮・中村橋方面に北上すること1ブロック(約100m)。左手、モスバーガーがあるビルの3階。
  • メモ: 公式サイトあり。

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週はじめからどっぷりと … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)

第二力酒蔵」を出てにっきーさんとふたり向かったのはもつ焼き「石松」。中野に来たらついつい足が向いてしまうお店です。

今日も金宮焼酎をホッピーで割ったり生茶で割ったりしながら、レバ刺し(380円)からはじまって、シロ(小腸100円)タレ2本に、テッポウ(直腸100円)醤油2本、ツクネ(150円)を塩・タレ各1本ずつに、オッパイ(乳房100円)塩を2人前を、ゆっくりゆっくりと、他の人たちの注文にも便乗しながら注文していきます。鮮度抜群の「石松」のもつ焼きは、何度食べてもやめられませんねぇ。

「石松」は電灯看板やのれんも出ておらず、店外の照明もついていない。知っている人だけが焼き台前の窓から中をのぞき込んで、空席があるのを確認しながら店に入ってくるのです。

そうやって入った店内はカウンター7席分のみ。カウンターの中にひとり座って、外に折りたたみ椅子の補助席を作っても全9席にしかならない店内はいつも満席。しかし、その満席のすき間をかいくぐって、いったん席に座ることができた人たちは、注文を受けてから大きな塊から切り出して、串を打ち、炭火で焼きあげる「石松」のもつ焼きをじっくりと、ゆっくりと堪能できるのでした。

ちなみに豚のもつ焼きはカシラ、タン、ハツ、レバー、ガツ、シロ、テッポウ、ナンコツ、チレ、オッパイ、コブクロの11種類で各1本100円。鶏の焼き鳥はネギ間120円、ツクネ150円、砂肝100円、手羽先180円の4種類。牛の串焼きが牛ハラミ200円、牛ミノ150円、牛シビレ120円の3種類。野菜串がネギ、シシトウ、シイタケ、ピーマン各150円にギンナン、ニンニク各200円。その他にウィンナー焼100円なんてのもあります。

焼き物以外のメニューは冷しトマト、お新香、冷やっこ各250円に、豚足、豚耳が各280円、そしてガツ刺しが380円。飲み物は瓶ビールが500円に、お酒が380円、焼酎(ナカ)200円にホッピーセットが380円といったところです。

個人経営、家族経営のこぢんまりとした酒場は、どこの店にもたいてい、その店独自の暗黙のルールというか、不文律のようなものがあって、それに慣れるまでの間はけっこう違和感があったり、居心地が悪かったりします。

知ってしまえばなんでもないことなんだけど、たとえば「親父さんに聞かれるまでは勝手に注文してはダメ」とか「最初は必ず生もの(刺身)から注文しないとダメ」とか「料理はおとうさんに、飲み物はおかあさんに注文すること」なんてことが、こういった暗黙のルールの類です。

したがって2~3回通って、その店のちょっとした風習に慣れてしまうと、そこからあとは本当にどっぷりとくつろぐことができるようになるのでした。

「石松」での暗黙のルールは、先に書いたとおり、まず店への入り方からはじまりますが、店に入ってからのルールは『あせらない、あせらせない』といったところでしょうか。店主の様子をよく見て、手が空いていないときには注文をしない。他の人の注文した品物で、自分も食べたいものがあればすぐに便乗する。ゆっくりとした気持ちで臨みましょう。

そんなわけで今日もまたゆっくりとした気持ちで臨みすぎちゃったらしく、気がつけばもう午前0時半。週の頭だというのに、もう日付けが変わっているではありませんか!

たっぷりと2時間強の滞在は、ふたりで2,110円(ひとりあたり1,055円)でした。今日もごちそうさま。

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生茶割りと黒ホッピー / レバ刺しと豚耳(左)とモヤシ(右) / シロタレ

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テッポウ醤油 / ツクネ塩・タレ / オッパイ塩

店情報前回

《平成19(2007)年3月5日(月)の記録》

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高いも安いも佳肴なり … 居酒屋「第二力酒蔵(だいにちからしゅぞう)」(中野)

「来週月曜日は自宅(都内)に帰る予定なので、根岸の鍵屋で鳥もつ鍋でもどうでしょう?」
「いいですねぇ。冬が終わってしまう前に鍋と燗酒ですね」

そんな会話を、近所の酒友・にっきーさんと交わしたのは三日前の金曜日のこと。ところが今日になってみると、全国各地で春二番の暴風雨が吹き荒れるものすごい天候です。残念ながら、こんな中を遠くまで出かけると帰れないかもしれないなぁ。

そんなわけで、横浜から東京に向かう電車の中で、にっきーさんと携帯メールでやり取りしつつ決定した本日のお店は、中野駅北口から歩いてすぐのところにある魚介類がおいしい居酒屋「第二力酒蔵」です。

月曜・午後8時の店内は、こんな天候にもかかわらず大勢のお客さんたちでにぎわっていて、空席は少ししかない状態。そんな中、先に到着したにっきーさんがテーブル席をひとつ確保してくれていて、さっそく瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶620円)をもらって乾杯です。

お通しの春菊のおひたしをつつきながら、ゆっくりとメニューを確認します。

太田和彦さんが「高いものは高く、安いものは安くとメリハリのきいた店」と評するここ「第二力酒蔵」。たしかにそのとおりで、東京の居酒屋の華、マグロは大トロは時価で、中トロなら2,950円! 中落ちが1,400円、そして普通のマグロ刺身が1,100円で、マグロぶつ切りは800円。同じマグロでもこれだけ差がありますからねぇ! えーと、マグロぶつ切りをお願いします。(笑)

他の刺身も、たとえばフグ刺しは2,650円、真鯛刺身は2,300円、シマアジ刺身やスズキ刺身は1,900円、アジ刺身又はたたき1,300円と高いのが並んでいるかと思うと、タコわさ550円、ゲソわさ450円なんてお手ごろ価格の刺身のもあったりする。貝も房州産床ぶし塩蒸1,600円、赤貝刺身1,100円、青柳刺身800円、ほっき貝刺身1,100円、帆立貝刺身1,300円、小柱わさ950円とそろっています。マグロだけでは寂しいので小柱わさもいただきましょう。

マグロぶつ切りと小柱わさは、木桶にたっぷりの氷(クラッシュアイス)を引いた上に、紅白美しく盛り付けられて出てきます。うーん。ビジュアル的にもすばらしい。

こうなると燗酒ですね。ここの燗酒は京都は伏見の「キンシ正宗」か越後の「昔ばなし」。どちらも大徳利なら820円、小徳利は350円です。「キンシ正宗」を大徳利でもらうと、「第二力酒蔵」と銘が入った、背の高い大徳利で出されます。

さぁ、そしてこの店で忘れてはならない料理が豆腐煮(450円)もしくはあら煮(650円)です。遅い時間帯に来ると売りきれてることが多い人気の品。「豆腐煮、あら煮はありますか?」と確認してみると、どちらもあるという。これはラッキーですねぇ。今日はふたりいるので、ぜいたくに(笑)両方たのんじゃいましょう。

豆腐煮というのは、あら煮の鍋の中でいっしょに煮込まれた豆腐だけをいただくもの。よーく煮込まれて茶色に染まった豆腐が4切れに、トッピングで刻みネギ。煮汁をたっぷりと張ってくれてるのがうれしいですねぇ。

あら煮は日によって内容が異なるのですが、今日は鱒(マス)のあらかな。氷頭(ひず)の部分の軟骨もいいですねぇ。あら煮のほうにも豆腐も一切れ添えられているのですが、この豆腐は、豆腐煮の豆腐の二切れ分の大きさなんですね。両方一度に注文してみて、はじめてそれがわかりました。

この店の常連のおじさんたちは、ゲソわさ(450円)と豆腐煮(450円)をつつきながら、お酒の小さいの(350円)を2本ほど飲んで、2千円ほどでさっくりと帰っていくのでした。いつもはこういう飲みかたをしながら、月に1~2度ぜいたくなものを注文したりするのかもしれませんね。ぜいたくな品書もたっぷりとそろっている「第二力酒蔵」ですから。でも高いものはもちろんですが、豆腐煮などの安いものもうまいのがうれしいですよねぇ!

やぁ、おいしかった。それじゃ次に向かいますか。約2時間の滞在は二人で5,980円(ひとりあたり2,990円)でした。どうもごちそうさま。

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ビール / お通しの春菊のおひたし / マグロぶつ切りと小柱わさ

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豆腐煮 / あら煮 / キンシ正宗・大徳利

店情報前回

《平成19(2007)年3月5日(月)の記録》

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店情報: 居酒屋「第二力酒蔵(だいにちからしゅぞう)」(中野)

  • 店名: 居酒屋「第二力酒蔵」
  • 電話: 03-3385-6471
  • 住所: 164-0001 東京都中野区中野5-32-15
  • 営業: 14:00-23:30(22:45LO)、日休
  • 場所: 中野駅北口より徒歩2分。駅前(東中野方向)の中央三井信託ビルの横の坂を上り、1つ目の角を左折。30mほど先の右手角。
  • メモ: 昭和37(1962)年創業。高いものは高く、安いものは安くとメリハリのきいた店。カウンター24席、テーブル24席、小上がり28席のほか、2階には宴会用の座敷あり。カード可、予約可。刺身盛合せ1,600、貝刺身盛合せ2,000、まぐろぶつ切800、まぐろぬた700、青柳ぬた800、たこわさ550、げそわさ450、煮物盛合せ700、はす煮550、あら煮650、豆腐煮450、なす煮550、里芋煮600、珍味このわた800、珍味莫久来800、いくら丼1,400、鮪中おち丼、うに丼、ふぐ雑炊 各1,050、かき雑炊850など。生ビール(大)700、(中)490、ビール大瓶620、小瓶480、キンシ正宗(大)820、(小)350、ウーロンハイ530、レモンサワー530、お湯割り420など。「ぐるなび」あり。(2007年3月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.06.02)(03.01.06)(02.05.17)(00.10.19)(00.10.14)(00.10.13)(00.05.11)(00.03.25)(95.12.31)

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夕食前にちょいと一献 … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

日曜日の早い夕方は、自宅から徒歩10分ほどのところにある「川名」です。

その店ならではの料理や雰囲気を楽しむために、遠くの酒場に出かけていくのも楽しみですが、自宅近所の行きつけの酒場でゆっくりとするものまた最高の喜びです。近所の銭湯でゆっくりしたりするのと似てるのかなぁ。

「こんにちは」と店に入り、カウンターの一角に腰をおろすと、すぐにハルカさん(店を手伝っている女性)がお通しのネーブル2切れを出してくれます。今日は生グレープフルーツサワー(336円)とハマグリ焼き(231円)を注文して飲みはじめます。

「これもどうぞ」とみんなに出してくれたのは蒲鉾(かまぼこ)2切れとフキ味噌がのった小皿。蒲鉾には男雛(おびな)の絵が付いています。そうか。昨日(3月3日)が雛祭りだったからか。だからハマグリもメニューにあるんですね。

安い値段でがんばっていながら、こういう季節感を大事にしているのもこの店のおもしろいところ。店の看板は「焼鳥割烹」ながら、メニューには魚介類や野菜類もたくさんあって、それらが毎日の仕入れによって変わっていくのです。たとえば今日の刺身はヤリイカ、タイ、トロシメサバ、ブリ、タコ、マグロブツの6品で、それぞれ399円。冬の魚から春の魚に変わりつつありますねぇ。春になるとタイもいいですよねぇ。さっきハマグリにするかタイにするか、ちょっと迷ったのです。

その迷いを知ってか知らずか、店主がタイの刺身もちょっと出してくれました。このちょっと飴色になった身が、この季節からのタイですよねぇ。私自身が四国(愛媛県)出身ということもあってか、タイは大好きな魚のひとつなのです。

そして出てきたハマグリは、小ぶりといいながらも5個。炭火焼のアツアツのところをハフッといただくと、ハマグリ独特のちょっとえぐいような深みのあるうまみが口の中に広がります。ックゥ~ッ。これは日本酒がよかったかなぁ。

昨夜、自宅でいただいた蛤(はまぐり)の吸物も、何度でもおかわりしたいくらいおいしかったのですが、焼いたハマグリもいいですねぇ!

タイの腹身を塩焼したものも出してくれます。この時間帯、店の近所に住んでいてほぼ毎日いらっしゃってるような年配大常連さんたちが大勢いて、その人たちにお店からちょっと何品かサービスで出したりしてくれるのです。私もちょっとその恩恵を被っているような次第なのですが、なんだか自分も常連さんとして認めてもらえたようで、とってもうれしい気分です。大常連のみなさんたちは、三々五々やってきては小一時間ほどサクサクっと飲んで、大勢のお客さんがやってくる午後6時までには全員がすっと席を立ってしまうようなきれいな飲み方なのです。

店主は自分に対してすごくきびしくて、なにをするにも一所懸命。だから自分をきちんと律することのできない酔っ払いに対してはとてもきびしいのです。その裏返しで、この時間帯にやってきているようなきれいな飲み方をする人たちは大歓迎してくれていて、ちょこっと何かを出してくれたりするんですね。このちょこっとがメニューには載せられないような少量の珍品(たとえば今いただいている鯛の腹身など)だったりするのがまたうれしいのです。

生グレープフルーツサワー(336円)をおかわりし、ホワイトボードの日替り手書きメニューから、はじめて見る生湯葉ど~ふ(231円)を注文してみます。

出された生湯葉ど~ふは表面が湯葉っぽくて、中はとろりとした豆腐。見た目はゆるめのカマンベールチーズのようでもありますねぇ。おろし生姜と塩(藻塩かな?)が添えられていて、まずはその塩だけでいただいてみると、甘みもたっぷりと感じるいい豆腐です。

「こんばんは」ととなりの席にやってきたのは青地さん。森下賢一さんや吉田類さんと同じ句会に参加されている青地さんは、いつも遅くから飲み始めることが多いのに、今日はまたずいぶん早いですねぇ。
「このあと、またちょっと出かけないといけないんですよ」と青地さん。ちょっとの間の骨休めといったところのようです。

「ひとり1尾ずつ取ってとなりにまわしてね」という店主の言葉とともにまわってきたのは小アジを煮たもの。これがまた骨ごと食べられるほどの絶妙な煮加減で、しかも酒の肴にぴったりのいい味付けなのです。うーん。これは絶対普通のメニューとしていけるのになぁ。そういえば、この店であまり煮魚メニューは見かけませんねぇ。

1時間半ほどの滞在は1,134円でした。どうもごちそうさま。ゆっくりと楽しむことができました。

あぁ、ほろ酔いの帰り道の、なんと気持ちのいいことよ。さぁ、これから家族で夕食だ!

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生グレープフルーツサワーとお通し / 鯛刺身 / 蛤焼き

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鯛腹身の塩焼 / 生湯葉ど~ふ / 小鯵の煮付け

店情報前回

《平成19(2007)年3月4日(日)の記録》

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今シーズン最後のイカ大根 … 立ち飲み「やき屋」(荻窪)

「イカ大根は今日が最後よ。もちろん知ってて来てくれたのよねぇ」といたずらっぽく笑う女将さん。
「えっ! そうだったんですか! 知らなかったなぁ。でも、最後のイカ大根に間に合ってよかった、よかった(笑)」

イカ料理全品150円均一の立ち飲み屋として有名な荻窪「やき屋」の冬の風物詩、イカ大根。そのイカ大根を楽しみに、昨日行ったおでん屋でもあえて大根を注文しなかったほどだったのです。

今日は燗酒(北の誉、230円)とイカ大根(150円)という、この店の冬の定番メニューでスタートです。

飴色というレベルをこえて、黒々と言っていいほど煮込まれた大根は、口に含むとホクッとほぐれる柔らかさで、イカ以上にイカの風味がたっぷり! 日本酒が合うこと合うこと。

店に入ったのは開店時刻の午後4時をちょっとまわったところ。土曜日のこの時間帯、メイン立ち飲みカウンターはすでにお客さんでいっぱいで、反対側の壁に作りつけられたサブ立ち飲みカウンターしか空いてなかったのでした。みなさん、出足がいいですねぇ。

2品目は私自身初注文となるウーロンハイ(280円)をいただいて、肴(さかな)にはイカミミ焼き(150円)を注文します。

イカミミ焼はイカのミミ(エンペラ)の部分を2枚(イカ2杯分)、タレ焼きで焼いて、焼きあがったところで幅1センチくらいにスライスして皿に盛り、マヨネーズを添えてくれるのです。タレの焼けた芳ばしい香りもまたつまみになります。

この店のイカは、毎日オーナーの出身地である八戸から直送されてくるものなのだそうで、それを毎日店長(ゲンさん)が30杯ほどさばいて支度するそうなのです。イカのメニューはイカ刺身、ミミ刺身、イカゲソ焼、イカミミ焼、イカナンコツ焼、ゲソ揚げ、珍味ワタ和え、ゲソわさ、イカ納豆、自家製塩辛、そして冬場のイカ大根の11品。これにウナギ肝焼、きざみ穴子、もつ煮込み、串刺フランク、みそキュウリ、つけもの、冷奴、イカ生姜棒の8品も加えた19品がすべて150円(税別)。この他に唯一の200円(税別)メニューであるシメサバを加えた20品が、この店のすべてのメニューです。

土曜日夕方、約40分間の立ち飲みタイムは消費税が加算されて851円でした。どうもごちそうさま。

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いか大根と燗酒 / ウーロン割り / いかみみ焼

店情報前回

《平成19(2007)年3月3日(土)の記録》

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シャキシャキとせん菜炒め … ラーメン「御天(ごてん)」(下井草)

近所の酒友・にっきーさんとふたりで「日登美」を出たものの、もちろんこのまま終わるはずはなく電車で下井草(しもいぐさ)まで移動。駅北口から5分ほど歩いて新青梅街道にぶつかると、そこがにっきーさん行きつけのラーメン屋「御天」です。

まずは地下の「ゴテンズバー」でハーフ&ハーフの生ビールで乾杯。大豆のうまみがたっぷりと感じられる男前豆腐の黒豆腐をいただきつつ、芋焼酎「うなぎ」などをチビリチビリ。

午前1時になったところで、「そろそろ地上にあがりましょうか」とお勘定をお願いすると、ここはふたりで1,600円ほど。

地上の「御天」もラーメン屋といいつつ、お酒や肴がきっちりとそろっていて、どちらかというとラーメンも食べられる居酒屋風。特にこんな遅い時間帯はけっこう飲んでいる人も多いお店なのです。

我われもそれぞれ玉露割り(400円)をもらって、つまみにはこのところ定番のせん菜炒め(550円)をいただきます。なにしろこのせん菜炒めが食べたかった。シャキシャキとした歯応えもよくて、山盛りのせん菜(せんさい=新種の細いモヤシ)をワシワシといただくことができるのです。

にっきーさんが2杯目の飲み物としてシークワァーサーサワー(400円)を注文すると、店のおにいさんから「甘いのと甘くないのがありますけど、どちらにしましょうか?」と確認が入ります。にっきーさんが「甘くないの」にしたところ、本当に酸っぱいだけのドライなサワーが出てきました。これなら酒好きでも大丈夫。ちなみに焼酎にシークワァーサージュースを加えて、ジンジャーエールで割ると「甘いの」に、タンサンで割ると「甘くないの」になるのだそうです。

午前2時を回ったところで、最後はやっぱりラーメン(680円)ですね。にっきーさんは粉落としを、私はバリカタをいただきます。

粉落とし、バリカタというのはラーメンの麺の硬さのこと。硬いほうから粉落とし、ハリガネ、バリカタ、カタメン(=普通)、ヤワメン、バリヤワと、6段階の硬さが選べるのでした。

このラーメンに、残しておいたせん菜をちょいとのっけて食べるのもまたおいしいんですよねぇ。博多の細麺と、せん菜の細さがちょうど同じくらいで、歯応えも絶妙。かなりこってりと濃厚なスープが、せん菜のシャキシャキとしたさっぱり感でより引き立つように思います。

「御天」のお勘定はふたりで3,110円でした。どうもごちそうさま!

〔ゴテンズバー〕
070302m 070302n 070302o
ハーフ&ハーフ生ビール / 芋焼酎「うなぎ」 / 男前豆腐の黒豆腐

〔御天〕
070302p 070302q 070302r
玉露割り / せん菜炒め / ラーメン(バリカタ)

・「ゴテンズバー」の店情報前回) / 「御天」の店情報前回

《平成19(2007)年3月2日(金)の記録》

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ジュークボックスでフィーバー!? … バー「日登美(ひとみ)」(落合)

銀座を後に、地下鉄銀座線~東西線経由で落合へ。久しぶりにやってきたのは、外観からはとてもカクテルバーには見えないカクテルバー「日登美」です。

地下鉄東西線・落合駅からも、JR中央線・東中野駅からも、そして西武新宿線・新井薬師前駅からも、それぞれ歩いて15分以上かかる(一番近いのは落合駅だそうな)というこのお店は、その外観や営業時間(午後8時開店)ともあいまって、まさに隠れ家的な存在のバーなのです。

「こんばんは。ごぶさたしてます」と入った、午後9時半の店内は予想どおりお客は少ない。っていうか、先客はだれもいない状態です。この店がにぎわうのはもっと遅い時間帯ですもんね。

ショートカクテルは800円均一、ロングカクテルは900円均一、しかもチャージ等の別料金は一切発生しないという非常にわかりやすい料金体系の中、本日1杯目のカクテルとしてギムレット(Gimlet)を注文します。

ベースとなるお酒と、甘みと酸味のバランスがカクテルの真骨頂。ジンとライムジュースをシェイクしてできあがるこのショートカクテルは、ギムレット=錐(きり)というその名のとおり、スパッと爽快で切れのある辛口カクテルです。キリッと冷えたその温度もあって、強いお酒なのにスイスイ入っちゃいますねぇ。

いかーん。あっという間に飲み干してしまった。

このペースで飲みつづけると、あっという間にできあがってしまうので、2杯目はロングカクテルをいただいて、ゆっくりチビチビといきますか。久しぶりにスノウスタイルの代表選手、ソルティドッグ(Salty Dog)を注文します。

スノウスタイルというのは、グラスのふちを塩や砂糖で飾ること。実際にやってみると、これがなかなかきれいには付かないのですが、「日登美」のマスターはいとも簡単に、しかも美しく仕上げていきます。
「お塩の中にグラスを伏せてはダメなんですよ。お塩を手にとって、グラスを回しながら上からパラパラと落としていく」
なるほどなぁ。言葉で聞くと簡単そうなんだけど、これとて簡単にはいかないんだろうなぁ。

ソルティドッグは、そのまま訳すと「塩気のある犬」ですが、実はイギリスの俗語で「船の甲板員」のことなんだそうです。ソルティ(salty)を辞書で調べると「塩気のある」という意味のほかに、「海の(香のする)」とか「船乗りの」といった意味も持っていて、海に非常に関連の深い用語であることがわかります。

ふちについた塩をなめなめいただくソルティドッグは、ちょっとしょっぱいグレープフルーツジュースのような感じで、ちっともお酒っぽくない。これもまた本人が気づかないうちに酔ってしまうという、とっても危ないカクテルですよねぇ。

入口扉が開いて入ってきたのは男女ふたり連れ。カウンターの奥のほうに座ると、男性はクリームの効いたやや甘めのカクテルを注文。
「私は甘いのダメだから、なにか辛口のカクテルを」という女性の注文に、
「それじゃ、ギムレットをお作りしましょうね」とマスター。

そのおふたりとマスターの会話を聞くとはなしに聞いていると、とても若く見えるこの女性客には、実は中2のお子さんがいるのだそうです。4月からは3年生になって受験生活に入るので、おかあさんもその前に遊んでおこうと、後輩である連れの男性にお願いして、今日はこの店に連れてきてもらったのだそうです。

その女性客は、入口横にあるジュークボックスにも非常に興味をもった様子。トコトコと近寄っていって曲目をながめて「懐かしいなぁ」と何曲かセットすると、流れてきたのはノーランズやアバなどのディスコミュージック。うわっ。本当に懐かしいですねぇ。

最後はビシッとカクテルの王者・マティーニ(Martini)でしめようかと思ったのですが、ふと思いついて変化球のギブソン(Gibson)を注文します。ギブソンは、マティーニのバリエーションで、マティーニに入るオリーブがパールオニオンに代わったもの。しかし、ここの店のギブソンはさらにおもしろくて、小さいんだけどオニオンピクルスのように酸っぱい小タマネギ(ラッキョ?)が入っていて、ビシッと強烈です。

そこへ入ってきたのは近所の酒友・にっきーさんです。携帯で「仕事が終われば合流」というやり取りをしていたのですが、無事に終わったんですね。良かった良かった。

にっきーさんはジントニック(Gin Tonic)からスタートです。

「今年は原点に戻って、またウイスキーを飲んでみようと思ってるんですよ」
と話してくれるにっきーさん。にっきーさんは、もともとウイスキー好きなのですが、このところ数年間、ワインや焼酎などに注力されていたのです。

この店はもともとカクテルバーで、ウイスキーもカクテルのベースになるものをいくつか置いてる程度だったのです。それが数年前からモルトウイスキーも入り始め、今では棚の一角にモルトが並んだコーナーができているのです。

「それじゃ、最後にアイラモルトをふたりで2種類いただいて、味比べしましょうか」
と選んだのはカリラ(Caol Ila)10年と、いつものアードベッグ(Ardbeg)10年のふたつ。小さな島の中にある蒸留所同士なのに、それぞれが個性的なのがおもしろいなぁ。

日付けが変わるちょっと前まで、2時間半ほどの滞在は全部で5,600円でした。

値段のわかっているカクテル分を差し引くと、アイラモルトが2杯で2,200円(1杯平均1,100円)だったんですね。

どうもごちそうさまでした。お先にー!

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「日登美」 / ギムレット / ソルティードッグ

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ギブソン / カウンター内の様子 / 〆のアイラモルト(背景にジュークボックス)

店情報前回

《平成19(2007)年3月2日(金)の記録》

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昭和30年創業の一軒家 … おでん「江戸源(えどげん)」(銀座)

サラリーマンのメッカといわれる新橋・神田。たしかにそのふたつの街には数え切れないくらいの酒場があるのですが、古くから続く老舗酒場は、その両街の間、銀座から京橋を通って八重洲・日本橋あたりに多いのです。

今日は、昭和30(1955)年創業という銀座の老舗おでん屋「江戸源」に来てみました。

コリドー街の近くの路地の角に、ウソ!と思うような古風な2階建ての一軒家。元は芸者の置屋だったというその建物は、実に古びていて(←ほめ言葉!)いい味を出しています。暖簾(のれん)の横には「江戸源」と書かれた提灯。その横の壁に張り出された「おでんいろいろ、それぞれ150円」という張り紙も、そしてその値段そのものも、なにやら懐かしい昭和の風情ですねぇ。銀座のまん中で「おでん1品150円」というのもすごいなぁ!

暖簾をくぐり、入口引き戸を開けるとワーンと響いてくる店内の喧騒。店内は7席程度のL字カウンターと、8~10席程度のテーブル席ひとつしかないという小規模なものですが、金曜午後7時半というゴールデンタイムとあってほぼ満席に近い状態。特にテーブル席を埋めている女性も含めた10人ほどの団体さん(同じ会社の人たちらしい)が大いに盛り上がっていて、この喧騒となっているようです。

入口脇の椅子に腰をおろしていたのは大正8(1919)年生まれ、今年で88歳(米寿)という、この店の名物おばあちゃん(大女将)。ゆっくりと立ち上がりながら、
「おひとり? カウンターにどうぞ」
と声をかけてくれます。入口横の階段下にカバンと脱いだコートを置いて、指し示されたカウンターの角あたりの席に座ります。

「ビールにする?」とおばあちゃん。
「ええ。瓶ビールをお願いします」
「2本?」
「いえ。1本で!」ひとりだからまず1本で十分ですよぉ。(笑)
おばあちゃんはカウンター背後の冷蔵庫から瓶ビール(サッポロ黒ラベル中瓶)を取り出して栓を抜き、
「ふん」と、こちらの背中をその瓶で小突くようにして渡してくれます。
あははは。マイペースで気風のよい接客や、ときどき居眠りをされたりするようすが紹介されたりしている名物おばあちゃんですが、これはまた聞きしにまさるおもしろさですねぇ。

くぅ~っと1杯目のビールを飲み干す頃合いで、カウンターの中にいる店主(おじいさんだけど、大女将の息子さんか!?)からお通しが出されます。店は大女将(おばあちゃん)、店主(おじいさん)、そして奥の厨房との間を行き来して、お酒や料理をテーブル席に運んだり、お酒を出してくれたりする女性の3人で切り盛りしているようです。

お通しは刻みネギとシメジがのった玉子豆腐と、鰹節たっぷりの春菊のおひたしの2品。とろけるようなやわらかさと、絶妙な出汁の味の玉子豆腐、そして春らしい軽い苦味を感じる春菊をいただいただけで、この店の料理のレベルが相当高いことがわかります。

「おでんをお取りしますか?」と店主。L字カウンターの角の内側に四角いおでん鍋が据えられていて、やわらかく湯気が立っています。
「えーと。玉子とちくわぶ、それに厚揚げをお願いします」
おでんはよく出汁の効いた薄味。汁までおいしくいただけるタイプです。

値段のわかりにくいおでん屋で食べる場合は、トウ・コン・ダイ・チクと言って、豆腐、コンニャク、大根、ちくわあたりをたのむと、それほど高くつかないのだそうです。最近は大根が高い店もあるのでちょっと注意が必要ですけどね。この店では牛スジ、大根、ハンペン、いわしつみれ、ロールキャベツ、がんもどき、さつまあげ、さといも、じゃがいも、いか巻、ごぼう巻、ちくわ麩、ぴりから、こんにゃく、玉子などがすべて150円均一なので、どれでも安心して食べることができます。

店はおでんの他に季節料理もあって、横長の紙に手書きで今日の一品料理が書き出されています。しめ鯖(1,100円)、ぶり刺(1,000円)、やりいか(800円)、牛わさび(1,000円)、筍の煮物(700円)、茶わんむし(600円)、生子酢(600円)、空豆(500円)、丸干し(500円)。品数こそ9品と少な目ですが、実に呑んべ好みのする品々が並んでますよねぇ。

燗酒をいただいて2巡目のおでんとしてハンペンと里芋を注文すると、里芋が小さいからと、小さめのじゃが芋も1個サービスしてくれました。芋などの煮崩れやすいものは、四角いおでん鍋のとなりにある丸鍋で煮込まれてるんですね。里芋もじゃが芋もそちらの鍋から入れてくれました。

テーブル席の女性がトイレに行こうとすると、おばあちゃん(大女将)から
「女の人は2階のお手洗いに行ってね。1階は男性用しかないから」
と声がかかります。おぉ。このあたりも、古い大衆酒場らしい風情ですねぇ。2階には座敷席もあるようです。

プクンとした歯応えのハンペンを楽しみつつ、手酌で燗酒をチビチビとやっていると、店主から
「お店からのサービスです。どうぞ」
と小皿に盛ったお新香が、みんなにサービスされます。大入り満員の店内なので、もしかすると大入袋代わりなのかも。お新香はナスのぬか漬とタクワンに、珍しいのはゴボウの漬物。甘めの味つけのゴボウ漬物が歯応えもよくてお酒にもよく合うなぁ。

おばあちゃん(大女将)の昔話を聞きながらゆっくりと、なんて考えていたのですが、このにぎわいではとてもゆっくり話など聞けそうもない。また日を改めてやってくることにして、今日はこの辺でお勘定をしてもらいましょう。

午後8時半まで1時間の滞在は2,620円でした。どうもごちそうさま。

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店は2階建て一軒家 / 入口あたり / ビールと玉子豆腐、春菊おひたし

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玉子、ちくわぶ、厚揚げ / じゃが芋、里芋、ハンペンと燗酒 / お新香

店情報

《平成19(2007)年3月2日(金)の記録》

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店情報: おでん「江戸源(えどげん)」(銀座)

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  • 店名: おでん・季節料理「江戸源」
  • 電話: 03-3571-1467
  • 住所: 104-0061 東京都中央区銀座7-2-10
  • 営業: 17:30-22:00、日祝休
  • 場所: 地下鉄銀座駅C3またはB9出口を出て、外堀通りを新橋方面に約200m。ふたつ目の信号交差点を右に折れ、すぐ先の交差点(信号なし)を左へ。100mほど進んだ右手角にある木造2階建てが「江戸源」。
  • メモ: 昭和30(1955)年創業のおでんを中心とした老舗酒場。元は芸者の置屋だったという木造2階建ての建物がとてもいい風情。店内はL字カウンター7席程度に、テーブルが10席程度。2階に座敷もある。1階トイレは男性用のみ。
    おでんは全品150円。牛スジ、大根、ハンペン、いわしつみれ、ロールキャベツ、がんもどき、さつまあげ、さといも、じゃがいも、いか巻、ごぼう巻、ちくわ麩、ぴりから、こんにゃく、玉子など。季節の一品料理は日替りで手書きメニューに書き出される。調査日のメニューはしめ鯖1,100、ぶり刺1,000、やりいか800、牛わさび1,000、筍の煮物700、茶わんむし600、生子酢600、空豆500、丸干し500。(2007年3月調べ)

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美しいオムライス … 洋食「センターグリル洋光台店」(横浜・洋光台)

文明開化の地・横浜にはバーや洋食屋など、西洋文化に端を発した飲食店も多く、しかもそれがごく普通の生活の中に馴染んでいるのです。

会社の帰りに、そんな洋食屋の1軒である「センターグリル洋光台店」にやってきました。店はタバコ屋さんも兼ねていて、入口の横にはタバコ売り場の窓口もあり、その雰囲気はまるで喫茶店かなにかのよう。

店内に入ると右手には4人用テーブルが奥に向かって4つ(ただし、奥からふたつめのテーブルは横に柱があるので3人しか座れない)、左手のタバコ売場兼レジカウンターの奥側に4人用テーブルが2つ。そしてそれら左右の間、入口から見て正面に2人用の小さいテーブルが2つ並んでいて、総席数27席。

水曜、午後8時の店内には、先客は右手2番目のテーブルに、夫婦と思しきカップルがひと組のみ。ふたりで向かい合って座り、生ビール(中ジョッキ578円)を飲みながら料理を待っている様子です。

この店の右手一番奥の席は、厨房との壁の関係か、そこだけが三方を壁に囲まれたボックス空間になっていて、くつろげそう。さっそくその席に座り「いらっしゃいませ」と迎えてくれるおかみさんに、まずは瓶ビール(キリンラガー大瓶682円)を注文しておいてから、おもむろにテーブル上のメニューを開きます。

ずらりと並んだ品々はポタージュスープ(399円)、コンソメスープ(452円)といったスープ類から始まって、魚料理はカキフライ(766円)や海老フライ(1,029円)、貝柱フライ(1,260円)などの揚げ物のみ、肉のほうはレバーカツ(714円)、メンチカツ(714円)、ポークカツ(714円)などの揚げ物と、ハンバーグ(714円)、ミックスグリル(819円)、ヤングステーキ(1,628円)といった焼き物があります。

さらにビーフシチュー(924円)やマカロニグラタン(819円)、スパゲッティミートソース(714円)、スパゲッティナポリタン(714円)、ミックスピザ(766円)、オムレツ(714円)に、ポテトサラダ(525円)、ハムサラダ(630円)などのサラダ類や、オムハヤシ(871円)、カレーライス(661円)などのごはん類と、料理だけでもその数ざっと80品。外見は喫茶店のようでも、メニューを見るとやっぱり洋食屋だなぁ、と思わせます。

そんな中から、「これぞ日本の洋食」という一品、オムライス(714円)を注文します。

日本の洋食は、西洋料理を受け入れていく過程で、日本人の好みに合うようにアレンジされてきました。カツレツ、コロッケなどがその例です。そうやってアレンジされていく中から生まれてきた、日本独自の料理のひとつがオムライスなのです。

最初にいた夫婦のところにはマカロニグラタン(819円)やビーフシチュー(924円)など、何品かが出てきました。生ビールをおかわりするおふたり。その生ビールを用意したおかみさんは、
「そういえば息子さん、受験に受かったんですって?」と話しかけます。
「えぇ、そうなんですよ。なんとか引っかかってくれまして、これでひと安心です」と奥さん。きっとこの近くに住んでいる常連さんなんでしょうね。

さぁ、オムライスが出てきました。銀色の楕円皿にのったオムライスは、その皿にちょうど合った形で作られています。その玉子の焼きあがりが美しいこと! まるでオムライスの見本のように、全体が均質な焼きあがり状態なのです。そしてそのちょうど真ん中のところに帯のようにトマトケチャップがかけられ、その上にコロコロとグリーンピースが10粒ほど。うーん。芸術品だ。なんだかスプーンでつつくのがもったいないなぁ。

入口扉が開き、入ってきたのはジャンバー姿の男性。入口脇に置かれた新聞を手にとって、空いたテーブルのひとつに座ると
「今日はミックスフライ(819円)ある?」
「いらっしゃい。あるわよ」と、おかみさんが水を出しながら答えます。
「じゃ、ミックスフライと……」
「ごはん(157円)に味噌汁(105円)ね」と、後はおかみさんが笑顔で続けます。
いつもこのパターンでたのんでるに違いありません。

ごはんは、茶碗よりは大きく、丼よりは小さい器で出されて、すっかり定食屋さんの風情です。前回、ポークチャップとともにライスを注文したときは、ごはんをお皿に盛って出してくれました。もしかすると「ライス」ってたのむとお皿で、「ごはん」ってたのむと、この小さい丼で出してくれるのかなぁ??

私のすぐ前のテーブルに入ってきたのは、私よりはやや年配といった感じのスーツ姿の男性。先ほどの男性同様、いつもここで飲んでいるらしく、慣れた感じで腰掛けると、メニューも見ないで生ビール中(578円)とキムチ(315円)でスタート。しばらくして生ビールをおかわりするとともにポーク生姜焼き(714円)を注文すると、おかみさんから「すぐに出してもいいの?」と確認が入ります。いつもはビールをもっと飲んでから、メインディッシュに入るんでしょうか。

男性客は出された生姜焼きを食べながら、生ビールをもう1杯追加し、しばらくして小ライスを注文します。「ほんとに小で足りる?」とおかみさんが2回くらい確認してから小ライスが出されるのがおもしろい。いつもものすごく飲んで、ものすごく食べる人なのかなぁ、とはじめて会った私にまで、その人の飲みっぷり、食べっぷりが伝わってきます。

すべての調理を終えた店主も厨房から出てきました。お客さんからは見えない厨房の中での仕事ながら、きちんとした洋食のコックさんの身なり。穏やかな笑顔ですぐ前の年配男性客と談笑しています。

入口扉が開いて入ってきたのは小さいふたりの男の子。
「おかあさん来てる?」とおにいさんらしい男の子が聞くと、
「来てないわよ。ここで待ち合わせなの? 入って先に注文してなさい」とおかみさん。
弟(小学校1~2年くらい)はメニューもみないで
「ボクは鶏のから揚げ!」と若どりのから揚げ(819円)を注文しながら、空いているテーブルに座ります。
兄(小学校4~5年くらい)のほうは、同じ席に座ってメニューをひととおりじっくりと見たけど何もたのみません。どうやらおかあさんを待とうとしているようです。さすがおにいさんだなぁ。

ふと気づくと、すでに店主は厨房に戻っていて、ホール側にいるのはおかみさんだけ。ご夫婦ふたりで切り盛りされてるんですね。

5分もしないでやってきたおかあさん。ワインの小ボトル(550円)とお新香(105円)をもらって飲みながら、最初からいたご夫婦と話をはじめます。近くに住んでる家族同士のようですね。

新しく入ってきたスーツ姿の若いビジネスマンも、まずは瓶ビールをもらって飲みながら、TVで流れているサッカーの試合に見入っています。きっとこのあと食事にするんだろうなぁ。

さぁ、こちらは食事も終えたので、ボチボチと腰をあげますか。ビール大瓶1本とチキンライスで、今夜は1,396円。
「どうもありがとうございました」というおかみさんの笑顔に見送られて店を後にします。

店に入ってきたそれぞれの人たちがプロの手で作られた洋食らしい洋食をいただきながら、お酒を飲んだり、ごはんを食べたり。そして、会話に割り込んだりは決してしないけど、みんなのことをちょっとずつ気遣ってくれるおかみさんがいて、それぞれの人が自分の家の延長線上のような居心地を感じることができる。まさに居酒屋もかくありたいといった感じのお店ですね。

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「センターグリル洋光台店」 / オムライス / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年2月28日(水)の記録》

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お新香も大人気!? … バー「クライスラー(CHRYSLER)」(横浜・日ノ出町)

野毛方面の2軒目は、先日ちょっと待ち合わせで寄った老舗バー「クライスラー」です。

葡萄のオブジェが付いた重厚な扉を開けて店内に入ると、火曜日午後9時の店内はゆったり目。入口のすぐ前に左右に長く横たわるカウンターの、入口やや右手に男性ふたり客がいて、遠くてよく見えませんが右手奥のテーブル席にひと組ほどお客がいる様子です。

私は先客のみなさんとは逆に、入口を入って左側のカウンターの一角に腰を下ろします。

背後から「いらっしゃいませ」と出てきてくれたのは女性の店員さん。この店はカウンターの中のバーテンダー氏と、この女性のふたりで切り盛りしていて、女性はカウンターの左端の背後にある厨房スペースにいたようです。へぇ、こんなところに厨房があったんだ。これもまたおもしろいなぁ。

さらにカウンターの左端の壁には木彫りの文字が並んだ大きなメニューが掲げられていて、オーシャンSPオールド 400、マンハッタン 1,200、マチニー 1,200、ギムレット 1,000、ミックスピザ 1,000、ポテトチップ 500、シシャモ 500、御新香 500、鳥唐揚 800、ハムエッグ 1,000、ウィンナソーセージ 800といった品書がずらりと並んでいます。

「ハイボールをお願いします」

バックバーにずらりとならんだオーシャン・ウイスキー(現メルシャン)の「スペシャルオールド」を取り出して、8オンスグラスでクルクルッとハイボールを作ってくれます。

ハイボールで喉を潤しつつ、珍しそうにバックバーに並ぶウイスキーを眺めていると、
「お客様が座られた、カウンターの向かって左側のほうに国産ウイスキーが並んでるんです。すべて旧オーシャンのウイスキーですけどね。右側のほうに座られると、輸入物のウイスキーが並んでいますので、また景色が違いますよ」
と女性店員さんが教えてくれます。
「棚の上に並んでいる陶器類も、ただの置物じゃなくてちゃんと中にウイスキーが入ってるんですよ」とのこと。

さらにその上に目をやると、天井には隙間なくずらりと貼り付けられたコースター類。長年のタバコの煙にいぶされたのか、いい色合いに変色して、年輪をかもし出しています。
「カウンターの足もとの板も、ウイスキーが入っていた箱の木で作ったものなんですよ。昔のウイスキーは立派な木の箱に入ってましたからね」
言われてカウンターの下のほうをのぞき込んでみると、なるほどこれはウイスキーの外箱だ。ちゃんと文字が書いてあったりします。

「おもしろいですねぇ。先日来たときに、ジュークボックスがあったのにも驚いたんですよ」と話してみると、
「あのジュークボックスは、CDのジュークボックスなんですよ。千曲くらい選べるようになっています」とのこと。
なるほど、それで音がクリアだったのか。

2杯目のハイボールを作ってもらって、次なる話題はバックバーにずらりと並ぶグラス類について。
「このハイボールのグラスから、ストレート用の小さいグラスまで、全部クライスラーのロゴとマークが付いてるんですね」
「そうなんですよ。このマークは、バグパイプを吹いている人を象形化したものなんですよ」
「へぇ。長靴みたいなグラスもあるんですね」
「あれは水割り用のグラスなんです。オーシャンウイスキーの水割りは1杯400円で、この店の名物なんですけど、カウンターのお客さんには長靴のグラスでお出ししてるんです。ボックス席用は、こちらのホルンの形をしたグラスでお出しするんですよ」と説明してくれながら、ホルンのグラスを見せてくれます。

「そっちの陶器のジョッキは生ビール用?」
「ビールは瓶ビールなんですけど、このジョッキに注いでお出しするんですよ。そのほうが温度が変わらないでしょう?」
なるほどねぇ。このジョッキにも、ちゃんとロゴとマークが入ってます。

「メニューにも、いろんな品物が並んでておもしろいですねぇ。ピザやチーズ、レーズンバターといった洋風なものから、お新香、割きイカ、品川巻(=のり巻きあられ)まで(笑)」
「そうなんです。お新香(500円)は人気が高いんですよ。古漬けと浅漬けとがあって、古漬けは刻んでカツオ節と和えるんです。ピザ(1,000円)も、ほとんどの人が注文される品物なんですよ」
「あ、そうでしたか。次回はぜひピザをいただかないといけないですねぇ(笑)」

約1時間の滞在はハイボール2杯で950円。「どうもありがとうございました」とカウンターの外に出てきてくれた女性店員さんと、カウンターの中から笑顔で「ありがとうございました」と見送ってくれるバーテンダー氏に「どうもごちそうさま」と声をかけて、再び入口の重い扉を開けます。

いやぁ、ゆっくりといろんな話を聞けてよかったなぁ。さっきのグラスも気に入ったので、次に来たときは、まずはジョッキのビールをいただいて、そのビールを飲みつつピザをいただいたら、後はゆっくりと長靴のグラスで水割りですね! 次回がまた楽しみです。

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壁のメニュー / ハイボール / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年2月27日(火)の記録》

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餃子が食べたくて … 中華料理「萬里(ばんり)」(横浜・桜木町)

そろそろ仕事が終わるかという時間になって、急に餃子が食べたくなって野毛(のげ)の町に出てきました。この町には中華料理の店も数多(あまた)あるのです。桜木町駅側から野毛の町に入ってすぐのあたりにも餃子がうまいと評判の中華料理屋が3軒、それぞれ競い合うようにすぐ近くでがんばっています。

1軒は「毛沢東もビックリの餃子」「周恩来も驚くラーメン(しょうゆ味)」「楊貴妃も腰を抜かすギャルのアイドル、チンチン麺(塩味)」といったキャッチフレーズも有名な「三陽(さんよう)」。店に入るなり「はいっ。ビールと餃子ね!」と半ば自動的に注文されてしまうこともあって、ほとんどのお客さんが必ず餃子は食べているのです。

もう1軒は「福仙楼(ふくせんろう)」。ここは定食系のメニューも多く、餃子も焼餃子、水餃子、揚げ餃子と3種類そろっているらしいのですが、残念ながらまだ行ったことがありません。

そしてもう1軒が「萬里」です。「萬里」は昭和24年創業。『日本で最初に餃子を売り出した店』ということを自称していて、ここ自体もけっこう大きいのですが、すぐ近くにも支店を出しているほどの人気店なのです。

今日はひとりなので、1階のカウンター席に座ってビール(アサヒスーパードライ大瓶、580円)と焼餃子(6個1皿で300円)を注文します。

店は1階がカウンターと厨房、2階がテーブル席と座敷席になっていて、グループでやってくると2階に通されます。ここ1階の奥に向かって長いカウンターにはひとり客ばかりが、私も含めて3人ほど。カウンターの中の厨房では、2階も含めて、この店の料理をすべて作っているようで、調理担当の3人ほどの男性は大忙しの様子。

なにしろ年中無休、昼から夜まで通し営業なので、厨房ではずぅーっと料理を作りっぱなしなんでしょうね。おかげで、1階のフロアは、床もカウンターの上もネチャッと感じるほど油ぎっている状態なのです。

焼餃子は、それほど大きな特徴はない、いわゆる「普通においしい」という品物なのですが、「これが日本で最初に出された餃子なのかぁ」と思いながら食べるのが最大の調味料なんでしょうね。具の中の野菜の配分もいいのでクセもなくて、いくらでも食べられそうな感じです。

水餃子(こちらも6個1皿で300円)も人気があるらしいので、焼餃子を食べはじめた時点で水餃子も追加注文します。

目の前には普通のメニューとは別に「小皿メニュー」と書かれたメニューも置いてあります。普通のメニューと比べて値段半分・量半分で出してくれるメニューらしく、酢豚(520円)、八宝菜(520円)、レバー炒め(360円)、麻婆豆腐(400円)、野菜五目炒め(360円)などが並んでいる他、『この他の小皿もお申しつけください。できる限りにて、うけたまわらせていただきます。ただし、ご飯類、ソバ類、スープ類は除外させていただきます』と書かれています。こういうメニューが用意されているということは、少人数で来るときにはうれしいですね。

ちょうど焼餃子を食べ終えるタイミングで、楕円形でちょっと深みのあるカレー皿のような皿に、ゆで湯とともにつがれた水餃子が出てきました。お皿には穴の開いた金属製のレンゲが添えられています。

そのままちょっとかじってみると、特に水餃子専用の味つけをした具を使っているわけではないようです。ふた口目からは、先ほどの焼餃子と同じく、酢・醤油とラー油を混ぜて作ったタレをつけていただきます。お湯でとろとろになった皮が、すぐにツルリと破れてしまうのがちょっと残念ですねぇ。もうちょっと厚めの、モチモチっとしたタイプの皮のほうが、個人的には好きかな。

焼餃子と水餃子を1人前ずついただいて、夕方ごろからの餃子熱もやっとおさまりました。なにしろ餃子はそれ自体で完全食品(*)と言われているので、夕食代わりにもなってしまいましたねぇ。

*完全食品: それだけを食べても生きていける食品、つまり人間に必要な栄養素が全部含まれている食品のこと。

さぁ、次に向かいますか! お勘定は1,180円でした。

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「萬里」 / 焼餃子と瓶ビール / 水餃子

店情報前回

《平成19(2007)年2月27日(火)の記録》

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日曜日の晩酌は … 焼き鳥「くしとも」(鷺ノ宮)

日曜日。夕食前の酒場散歩は西武新宿線・鷺ノ宮(さぎのみや)駅近くの焼き鳥屋「くしとも」です。

「焼き鳥」を辞書で調べると「鳥の肉や内臓、また豚の臓物などを串(くし)にさし、直火であぶったもの」となっています。つまり国語上は鳥肉の串焼きも、豚のもつ焼きも、ともに「焼き鳥」と呼んで問題ないんですね。さすがに野菜の串焼きは「焼き鳥」ではないんだなぁ。ガード下でもつ焼きを出すお店も「焼き鳥」って看板を出してるし、阿佐ヶ谷の「川名」だって、鳥も豚の臓物も扱ってるけど「焼鳥割烹」という看板ですもんね。

しかしやっぱり個人的には鶏は「焼き鳥」、もつは「もつ焼き」もしくは「やきとん」と区別して呼びたい。いまやもつも鶏の代用品なんて位置付けではなくて、明らかに「もつが食べたくてもつ焼き屋に行っている」という状況ですもんね。同じように鶏の「焼き鳥」を出す店には、明らかに鶏肉や鶏もつが食べたいからその店に行くという存在になっています。ここ「くしとも」も、そういう鶏の「焼き鳥」を出すお店の1軒なのです。

日曜午後5時過ぎの店内は、すでに座敷席に4人連れのグループ客(ふた組のご夫婦の様子)と、手前のテーブル席のひとつにも家族連れがひと組。この界隈のお店、休みの日(土曜とか日曜)は早い時間から家族連れが多いんですよね。私は入口右手のカウンター席に陣取ります。

あったかいおしぼりで手や顔をぬぐい、ビール(キリン一番搾り中瓶、550円)をもらってプハーッと1杯飲み干すと、お通しとしてコンニャクとシイタケの炒め煮風小鉢と生キャベツの小鉢の2品が出されます。

夕食前なので、軽めにいただくことにして、焼き鳥5本セット(700円)を注文します。

ここの焼き鳥は、基本的には2串1人前ですなぎも、とり皮焼、うずら玉子が各250円、正肉、レバー、ささみししとう焼、なんこつが各300円、しそ巻、ささみわさび焼、ささみうめしそ焼が各350円、そしてつくね(玉子付)、豚ロースしそ巻、しいたけ肉詰、アスパラ肉巻、エノキ肉巻、プチトマト肉巻、手羽先が各450円のほか、野菜ものも2串1人前でねぎ焼、ししとう焼、しいたけ焼、なす焼、にんにく焼が各300円、ぎんなん焼が350円というラインナップ。そして先に書いたとおり「基本的に2串1人前」なのですが、実は1串ずつでも注文できるようなのです。

どれを食べてもおいしいので、あまり好き嫌いがなければまずはセットメニューを注文するとバラバラでたのむよりはお得になるのです。注文した5本セット(700円)のほかに、7本セット(950円)もあります。

5本セットの最初に出されたのは、レバーと正肉の2本。それぞれタレ焼きです。とろけんばかりのレバーと正肉。この店の焼き鳥はふんわりと柔らかく仕上げられるのです。正肉はネギ間状態で、いくつかの肉の間に白ネギが2個挟まれています。

3本目のアスパラ肉巻きが出されたところで、飲み物を燗酒(白鶴、400円)に切りかえます。

座敷席のグループ客が囲んでいる鳥鍋(1人前900円、2人前なら1,600円)もできあがってきた様子。ここの鳥鍋は、シンプルな水炊きで、できあがりをポン酢醤油でいただくタイプです。ボリュームたっぷりで、ひとりで1人前の鳥鍋を注文すると、それですっかり満腹になってしまうほどなのです。焼き鳥と鳥鍋のセットメニューもあって焼き鳥3本と鳥鍋セットは1,300円、焼き鳥が5本になると1,600円。そして鍋の後に雑炊またはうどん(どちらも250円)を追加して仕上げることもできるのでした。

4本目はギンナン焼き。串焼きで炭火で焼いてもらう野菜もまた、肉類、もつ類に負けず劣らずおいしいですよねぇ。

そして5本目は鳥皮焼き。こちらも正肉と同じく、間に白ネギが2個はさまれたネギ間焼きです。

以上5本を、それぞれ単品で1本ずつたのんだとすると合計825円。これがセット料金では700円ですから、15%ほどの割引きになってるんですね。

1時間ほどの間に焼き鳥5本をつまみながら、ビールの中瓶を1本に燗酒を1合。これくらいいただくと、食欲も増してきてまさにちょうどいい前菜代わり。さぁ、これから家族でゆっくりと夕食だ。どうもごちそうさま。お勘定は2,100円でした。

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「くしとも」 / ビールとお通し / お通しの生キャベツ

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レバーと正肉 / アスパラ肉巻 / 燗酒(白鶴)

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ぎんなん焼 / とり皮焼

店情報前回

《平成19(2007)年2月25日(日)の記録》

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ガツとテッポウの醤油焼き … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)など

日本で一番手軽に、しかも安価に内臓料理を食べることのできるお店、それがもつ焼き屋だと思います。

かのグルメ漫画「美味しんぼ」の第1巻で、フランス人シェフに「日本人は肉の食べ方を知りませんね。一番おいしい内臓を捨てるなんて。フランスでは内臓料理は最高のレストランのメニューにのっています。内臓の味もわからないで肉の味のことを言わないでください。ハッハッハ」と笑われた日本の内臓料理ですが、最近のもつ焼き屋の深化は著しく、新鮮な串焼きはもう当たり前で、いろんな部位を刺身で食べられる店や、煮込み中心の専門店、さらには注文を受けてから大きな内臓の塊から支度をするお店と、そのバリエーションも豊かになってきました。

中央線・西武線沿線で、もつ焼き文化の牽引してきた一角が阿佐ヶ谷から発祥した「ホルモン」グループ。私の知っている範囲では、今はなき鷺ノ宮の「鳥芳」、練馬の「金ちゃん」、そして沼袋の「ホルモン」がこのグループです。これらはそれぞれは独立した別々のお店ながら、
 (1)阿佐ヶ谷「ホルモン」で修業したあと店を出した。
 (2)カウンターは2列の平行カウンターになっている。
 (3)店主が愛媛県(南予地方)出身である。
といった共通の特徴を持っており、結果的に見れば同じグループかな、という感じなのです。しかしながら、阿佐ヶ谷「ホルモン」はかなり前に閉店し、鷺ノ宮「鳥芳」も3年ほど前に閉店。沼袋「ホルモン」も代替わりして先代の息子さんの代となり、いまや当時のままと言えるのは練馬「金ちゃん」だけかもしれません。このグループが、当時は中央線沿線や西武線沿線に他にも何店かあったのだそうです。

そして荻窪や吉祥寺に店を置き、最近は中野にも進出したらしい「カッパ」グループが小規模に展開したあと、このところの沿線の牽引車は「四文屋」グループ。中央線、西武線沿線のいろんな駅で見かける一大勢力になりました。

御多分に漏れず私自身ももつ焼きは大好きで、少なくとも週に1回くらいは食べにいかないと落ち着かないほど。それなのに先日「秋元屋」で食べて以来、2週間近くもつ焼きを食べていないので、身体中がすっかり「もつ焼き食いたぁーいっ!」というモードになっての金曜日の帰り道です。

よく行くもつ焼き屋は野方の「秋元屋」、中野の「石松」、そして沼袋の「ホルモン」の3軒。なにしろそれぞれ自宅の近くなので、ヘロヘロに酔っ払っても帰宅が楽なのです。もちろん味のほうも3軒とも屈指の名店ぞろい。こんな店が近くにあって本当に良かったと常々感じている次第なのです。

そんな中、今日は先ほども話題に上がった阿佐ヶ谷「ホルモン」グループの1軒、沼袋「ホルモン」です。

まずはビール(サッポロラガービール大瓶、490円)とお新香(今日はキュウリとカブ、100円)をもらい、レバのちょい焼き2本とコブクロのちょい焼き2本(もつ焼きは各1本100円)注文して飲み始めます。最近は、この店に来るといつもこのパターンですね。ちょい焼きは刻みネギたっぷりにおろし生姜を添えて醤油味で出されます。好みによって、醤油の代わりにポン酢醤油味をかけてもらうこともできるようです。

焼酎(210円)をもらって、梅エキスをちょろっと垂らし、2巡目のもつ焼き注文でオッパイとアブラを、それぞれ塩焼きで1本ずつ注文するのも、これまた自分の定番。

店内メニューにはハツ、ガツ、タン、タマ、カシラ、ナンコツ、コブクロ、ヒモ、レバ、テッポウ、マメ、オッパイ、アブラ、チレ、ヒラという15品のもつ焼きのほか、ピーマン、ハンペン、シイタケ、ネギ、生揚げ、うずらの5品(これらも1本100円)の串焼きが並んでいて、どれもこれも気にはなるのですが、いざ注文する段になると「やっぱりオッパイとアブラは食べとかないとなぁ」となっちゃうんですよねぇ。

「今日はタンモトとハツモトもありますよ」と店主。この店のような老舗のもつ焼き屋では、先にあげたような定番のもつ焼きしかないところも多いのですが、この店ではときどき珍しい部位も出してくれるのです。ただしそれほど数は取れないので、メニューには載せていないそうです。

焼酎をおかわりして今度は煮込み(290円)。日本らしい内臓料理のもうひとつの雄(ゆう)がモツ煮込みですよね。件の「美味しんぼ」第1巻でも、フランス人シェフに月島「岸田屋」のモツ煮込みを食べてもらって「素晴らしい仕事です」と感心されます。フランスの内臓料理とは次元が違うけれど、日本人も内臓の食べ方は知ってるんですよ、という落ちに使われるのがモツ煮込みなのでした。

ここの煮込みはシロ(腸)を中心として、いろんな部位が入っていて、よーく煮込まれています。刻みネギをたっぷりとのせてくれているところへ、一味唐辛子をササッとかけると、ネギの白、唐辛子の赤の色合いも美しい。

このくらい(ビール大瓶1本と焼酎2杯)でやめておくと、ちょうどいいほろ酔い加減なのですが、久々のもつ焼き、もつ煮込みに今日はもうちょっと飲みたい気分。3杯目となる焼酎をおかわりし、つまみのほうはいったんモツから離れましょうか。

この店で串焼き以外のメニューは最初にもらったお新香(100円)の他、月見、やっこ、トマトの3品(各250円)が用意されていて、これらもそれぞれ人気の品々なのです。今日は久しぶりに月見をもらってみますか。

月見は千切りにした山芋を小鉢に盛って、ウズラ卵の黄身を乗せて、青海苔パラリで仕上げた一品。箸でエイッと黄身をつぶして、全体をグリグリとかき混ぜると、いい粘り気が出てきます。これを納豆を食べるがごとくにズズズッとすすり込むと、トロリ感の中に、山芋のシャクシャクとした歯応えが絶妙で、まことにもっていぃつまみになるんです。くぅ~っ。うまいのぉぉ。

さぁ、最後のシメだ。最近はまりつつある醤油味のもつ焼き。老舗の「ホルモン」でも作ってもらえるかなぁ。「えーと。ガツとテッポウを1本ずつ。醤油味で焼いてもらうことはできますか?」恐る恐るたずねてみると「いいですよ」とニッコリ笑顔の店主。うゎーっ。できるんだ。やったね。

大好物ながら、この店では初となるガツ、テッポウの醤油焼きでしめくくって、2時間弱の滞在は2,560円でした。どうもごちそうさま!

焼酎3杯ですっかり勢いがついて、さらに都立家政(とりつかせい)で途中下車。「竹よし」に入ります。今日の「竹よし」は金曜日とあって活じめカワハギ(900円)、生クジラ(600円)、生メジマグロ中トロ(900円)、カンパチ(600円)、シメサバ(500円)といった刺身類もずらりと並んでいます。

そんな中から赤ナマコ(400円)をもらって燗酒(菊正宗、350円)をチビリチビリとやっていると、「秋元屋」から流れてきたなおとんさんやふじもとさんも合流して、にぎやかな夜になってきました。

「竹よし」の店主が「こんなのあるけど食べる?」と出してくれたのはカレーライス。おぉーっ。「竹よし」のカレーライス(←まかない用の裏メニュー)がおいしいという噂を聞いたことはありましたが、実物を見て、しかも食べるのはこれがはじめてですねぇ。みんなで(といいつつ大部分は私が)うまい、うまいと大喜びしながら完食です。

こうなると「竹よし」だけでは終わらず、「竹よし」の閉店後にはさらに流れて「満月」のコーヒー割り(300円)で乾杯。自宅に帰り着いたのは午前2時過ぎでした。うーむ。近くにいい店がそろってるのはうれしいけれど、ついつい深酒になっちゃうのが困りもんだよなぁ。。。

【ホルモン】
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ビールとお新香 / レバとコブクロのちょい焼き / タンモトとハツモト

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オッパイとアブラを塩で / 煮込み / 焼酎と梅エキス

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月見 / かき混ぜた後の月見 / テッポウとガツを醤油で

・「ホルモン」の店情報前回


【竹よし/満月】
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「竹よし」の赤なまこ / カレーライス / 「満月」で乾杯

・「竹よし」の店情報前回) / 「満月」の店情報前回

《平成19(2007)年2月23日(金)の記録》

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春節の中華街を抜けて … バー「ザ・ダフタウン(THE DUFFTOWN)」(横浜・石川町)

中華街は春節(=中国のお正月、今年は2月18日(日)が旧暦元旦)関連イベントのまっ最中。どんな様子なのかと石川町の駅を降りてみると、木曜、午後10時前の中華街はすでに人影まばらで、まったくお祭りらしくはない雰囲気です。そうだった。中華街の夜は早いんでした。何軒か開いているお店の様子を眺めながら中華街を突き抜けると、そこは元町(もとまち)。ちょっと喉も乾いたので、近くのバー「ダフタウン」で喉を潤して帰りますか。

「ダフタウン」は石川町駅・元町口のすぐ近く、川沿いのビルの2階にあります。

「こんばんは」と入った店内には、先客は女性客ひとりだけ。その女性から2席くらい間をあけたカウンター席に座ると、ひとりで切り盛りしているマスターが「いらっしゃいませ」と笑顔を向けてくれます。

ここ「ダフタウン」はいわゆるモルト・バーで、店内はウイスキーがいっぱい。そもそも「ダフタウン」という名前が、スコッチの産地、スペイ川流域にある町の名前なのだそうです。

まずは喉の渇きをいやすためにハイボールを注文すると、
「ハイボールはモルトで作りますか?」とマスター。
「いや。ブレンデッドでお願いします」
モルトはこのあとのお楽しみです。

女性ひとり客はこの店の常連さんの様子。
「明日は北海道に出張なのよ」
と言いながら、飲んでいた生ビールをおかわりです。

店内は入口の前に横に長く伸びる直線カウンター。左手奥がテーブル席になっていて、壁いっぱいの大きな窓の向こうに川と夜景が広がります。なにしろ2階なので、それほど広がった風景ではないのですが、夜景が見えるのは気持ちいいですよね。

ハイボールで喉を潤した後は、タリスカー(Talisker)をストレートでいただきます。この店のストレート・モルトは蓋付きのチューリップグラスで供されます。鼻の近くまでグラスを持ってきておいて、ふっと蓋を取るとズドーンと入ってくる燻蒸香。さすがは「液体になった雷(かみなり)」と言われるほどのタリスカー。強力ですねぇ!

スコッチは、その産地でまるで違うのがおもしろいところ。日本酒の各地の地酒の違いが微妙なのと比べると、まさに「明らかに」と言っていいほど味わいが異なるのです。

スコットランドの東側、スペイ川周辺のお酒が高貴なお嬢様タイプだとすれば、このタリスカーなどの産地である西側のスコッチはチャキチャキのおてんば娘風。最初はそのスパイシーな刺激にビックリしますが、じっくりと飲んでみると芯はしっかりとしたおいしいウイスキーなのです。

2杯目のモルトは大好きなアードベッグ(Ardbeg)をいただきましょう。

これもタリスカーと同じくスコットランド西側の島で造られたウイスキー。タリスカーがスカイ島(Skye)産なのに対し、アードベッグはそれよりも南にあるアイラ島(Islay)産。強力なピート(泥炭)の香りが特徴的なこの島のウイスキーは「ヨードチンキのような」と称されることもあるほど独特の味わい、薫りなのです。

ハイボール1杯とモルト2杯をいただいて今宵は2,950円。にこやかにマスターとおしゃべりしながら生ビールのジョッキを重ねる女性客に「お先に!」とあいさつし、石川町駅から電車に乗り込みます。

ここでやめておけば健康的なんだけど、なにしろ「武蔵屋」の定番5品しか食べていないので、ちょっと食べ足りない。ついつい洋光台駅近くのラーメン屋、「千客萬來」に入り、ラーメン(500円)です。

化学調味料を使わないラーメンが増えている中、この店のラーメンはしっかりと化学調味料が効いているように思います。学生時代によく食べていた、博多の屋台ラーメンにもたっぷりと化学調味料が使われていたものでした。そのラーメンに慣れ親しんでいたからか、個人的にはしっかりと化学調味料の味がするラーメンが好きだったりするんですよねぇ。満足、満足。

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「ダウタウン」 / ハイボール / バックバーに並ぶウイスキー

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タリスカー10年 / アードベッグ10年 / 「千客萬來」のラーメン

店情報前回

《平成19(2007)年2月22日(木)の記録》

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アミちゃんに夢中! … 酒亭「武蔵屋(むさしや)」(横浜・桜木町)

「アミちゃんに夢中!」と言っても私のことではありません。「武蔵屋」に居ついている猫のクロの話です。アミちゃんは「武蔵屋」を手伝っている宝塚風美女。おばちゃん(=女将)の他に「武蔵屋」の酒をつぐことができるのはアミちゃんだけなのです。

仕事を終えて、木曜日の「武蔵屋」にやってきたのは午後8時過ぎ。店の手前側のカウンター席(6席ほど)と、左手のテーブル席(4人掛けが3卓)はお客さんで埋まっているものの、奥の小上がりの座敷には2卓ほど空きがある状態。特に座敷の上がり口のところにある2人用座卓が空いているので、今日はそこで飲むことに決めました。

この2人用座卓は、2人用の座布団は置かれているものの、実際にはひとり用の箱膳くらいしかない大きさで、まるで飯事(ままごと)のテーブルのような風情なのです。高さも胡座(あぐら)をかいて座った膝の高さくらいしかなくて、その上置かれたコップにすりきりいっぱい、表面張力までお酒をついでくれるもんだから、身体のかたい人や、人並み以上にお腹の出ている人は口から迎えに行こうにも、口がコップまで届かない状態になってしまうのでした。ちなみに、座敷に置かれた各テーブルは、2人用、4人用、6人用と、その広さこそ違うものの、高さはすべて共通なので、座敷に座る場合はご注意を!

今日もいつもと変わらず玉ねぎの酢漬けにおから、しばらくしてタラ豆腐というお決まりの肴が出されます。進歩、深化、改革と、常に変わっていくことが求められる現代社会の中で、ここ「武蔵屋」の「ちっとも変わらない」という安心感、安定感はものすごい。まさに老舗大衆酒場の神髄ここにあり、といった感じです。

2杯目のお酒が入ると、納豆が出されます。これももちろん変わらぬ肴で、納豆が出ていると「この人は2杯目を飲んでるな」というのがわかるのです。そして3杯目の肴はお新香。この店はお酒は3杯限りなので、お新香が出ている人にはもうお酒はつがれません。とはいえ、ときどきおばちゃんがちょっとサービスでつぎ足してくれたりすることもあるのがうれしいところなのです。

3杯目のお酒をいただくころには、午後9時も近くなりお客さんもまばらになってきます。座敷席にいるのも、今は私ひとりだけ。そうなるとここに居ついているネコのクロがやってきて、向こうの座布団の上に気持ち良さそうに丸まります。最初は子猫でやってきたクロも、今じゃすっかり大きくなって、他の猫たちを圧倒するほどなのです。

テーブルの片付けにこちらにやってきたのはアミちゃん。通りすがりにクロに「ニャッ!」と小さく声をかけると、なんとクロが甘えた声で「ニャァ~オ」と返事するではありませんか!

「えっ! アミちゃんが声を掛けると応えるの!」と驚く私に、
「そうなのよ。私たちが呼んでも知らん顔するのに、アミちゃんには応えるのよ。明らかに差をつけるんだから」と笑うおばちゃん。

片付けものをしたアミちゃんがカウンターのほうに帰ると、クロも起きあがって後をついていきます。アミちゃんが腰を落として、膝の上をポンとたたくと、そこへピョンと飛び乗って丸まるクロ。「こっちにおいで」とおばちゃんが呼んでも本当に知らんぷりです。なにしろ子猫のときからアミちゃんにかわいがられてましたもんねぇ。

猫もこんなにも人になつくこともあるんですねぇ。改めてびっくりしつつ「武蔵屋」を後にします。約1時間の滞在は、お酒3杯とお決まりの肴5品で2千円でした。

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1杯目:玉ねぎ酢漬けとおから / タラ豆腐 / 2杯目:納豆

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座敷席の様子 / 3杯目:お新香 / 座敷席でくつろぐクロ

店情報前回

《平成19(2007)年2月22日(木)の記録》

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最後はスコッチをロックで … バー「ピュアー(PURE)」(野方)

武蔵関(むさしせき)の駅でみんなと別れ、ひとりで野方駅へ。最後に「ピュアー」に寄って帰りましょうね。

土曜日の夜とあって、11時を過ぎたこの時間でもお客さんが多い。カウンター中央部に空きがあったのでそこに入り込みます。たっぷりと飲んだ後は、あったかいカクテルをいただきましょうか。店内のカクテルメニューには今月のおすすめカクテルが12品ほど並んでいて、その中のホットカクテルはアメリカンレモネード(ポートワイン、レモン他、520円)、ラムカウ(ダークラム、ミルク他、580円)、ブランデートデー(ブランデー、ハニー他、630円)の3種。ラムカウをいただくことにしました。

ラムのあったかいカクテルとしてはホットバタードラムという、ラムにバターと砂糖を入れてお湯割りにしたものが有名ですが、ラムカウ(ホットバタードラムカウ)は、そのお湯があったかいミルクに代わったもの。ここのは砂糖ではなくて蜂蜜が添えられて、自分の好みで甘みをつけることができます。少ーし甘めにしていただこうかな。

お通し(310円)はアジの南蛮漬けに、野菜が添えられたもの。以前、ホテルのレストランで料理を作っていたという店主の料理はとてもおいしくて、それを目あてに通ってくるお客さんもたくさんいるのです。

その料理のメニューはオムライス(M840円、S520円)やオニオングラタンスープ(S630円)などの定番メニューの他に、季節のおすすめものなどが手書きで書き出されていて、たとえば今日の手書きメニューはホワイトアスパラ(バターソテー)580円、えび団子と木の子クリーム煮680円、白子のワインむし680円、ビーフドリアorうなぎドリア840円、舌平目ムニエル(ワインバター)1,050円、北海タコのカルパッチョ520円、スペアリブの柔らか煮630円、姫ワタリガニの唐揚げ580円、帆立貝タルタルソース冷製730円、木の子のホイル焼き520円、かきのグラタン840円、かきの三種焼き730円、牛タンのシチュー1,470円、オイルサーデンカナッペ630円、合鴨のくんせい冷菜添え520円といったところ。

最後にバット69のWロック(580円)をゆっくりといただいて、午前0時半過ぎまでの滞在は1,410円でした。どうもごちそうさま。

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ラムカウ / お通し / バット69

店情報前回

《平成19(2007)年2月17日(土)の記録》

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武蔵関の隠れ家 … 居酒屋「うす井(うすい)」(武蔵関)

武蔵関(むさしせき)の2軒目は金魚屋さんの隠れ家「うす井」です。店内は5席ほどのカウンターに4人掛けのテーブル席が3卓。店主ひとりで切り盛りする小さなお店です。

我われ5人も一番奥のテーブル席に陣取り、それぞれ緑茶割り(250円)やホッピー(350円)をもらってスタート。私はウイスキーのハイボール(250円)をいただきます。

店の中には、そこここに食材が置かれていて、なんだかとってもにぎやかな景観です。なにしろメニューも多いですからねぇ。一番安いのは180円シリーズで玉子焼き、納豆、冷やっこ、さんま、トマト、みりん干、しらすおろし、なめたけおろし、とろろいも、白菜キムチ、かぶ朝鮮、きゅうりキムチ、山海づけ、梅干2個、やきにんにくなど。つぎが250円シリーズでさつまあげ、油あげ、山いもせんぎり、月見とろろ、うめ納豆、いか塩辛、おろし納豆、みょうがなど。高くても450円くらいまでで、ポンと飛び抜けて高いのがマグロ刺身の650円。

おもしろいのは月見うどん(350円)やサケ茶漬(380円)、玉子おじや(450円)といった食事物も用意されているところ。焼き魚(350円)や煮魚(350円)をもらって、それにごはんセット(ライス・みそ汁・おしんこ、450円)を付けて定食にすることもできる。我われが入ったときにいたおにいさんも、ここに夕食を取りに来ていたらしく、サクサクっとごはんを食べて帰って行きました。

金魚屋さんが「鶏皮炒め(450円)の鶏皮を魚肉ソーセージに代えて、さらにピーマンをニンニクの芽に代えたもの」という常連さんならではという感じの注文をします。この注文で、もともと鶏皮とピーマンを炒めてできるこの料理が、魚肉ソーセージとニンニクの芽を炒めたものに変わるのです。ずらりと並ぶメニューの中には魚肉ソーセージ炒め(450円)や野菜炒め(350円)などもあるんですが、それらとはまた味つけなどが違うのだそうです。

さらにカウンターの入口近くにギンナンのパックがあるのを発見し、それも焼いてもらうことに。これだけずらりとメニューが並んでても、実際に置いてある食材のほうがそれよりも多いのがまたおもしろい。このギンナンも物はあるんだけどメニューにはない品物のひとつです。食材の中には缶詰やインスタントラーメンまでありますからねぇ!

さらには玉子焼き(180円)や、イワシ煮(350円)、そして看板メニューのおでん(350円)もいただきます。

午後10時半過ぎまで2時間半ほどの滞在は5人で6,930円(ひとりあたり1,386円)でした。どうもごちそうさま。

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「うす井」 / ハイボール(ウイスキー) / ホッピーはレモン付き

070217m 070217n 070217o
魚肉ソーセージとニンニクの芽炒め / ぎんなん / 店内の様子

070217p 070217q 070217r
玉子焼き / おでん / イワシ煮

店の地図前回

《平成19(2007)年2月17日(土)の記録》

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閉店を惜しんで … 居酒屋「鳥安(とりやす)」(武蔵関)

昨年ご紹介していただいたばかりの武蔵関(むさしせき)の「鳥安」が、三日後の2月20日をもって閉店するという。閉店前にぜひもう一度と黒ブタさん・金魚屋さんご夫妻が計画を立ててくれて、名残を惜しむ人たちで忙しい日が続く「鳥安」にやってきました。

参加メンバーは、Dスケさん、しげるさんも含めて5人。早めに着いたDスケさんは、奥のボックス席でひとりチビチビと日本酒(800円)をやりながら待っててくれました。我われもさっそく生ビール(500円)をもらって乾杯。このあとは、この店の名物である焼酎のフレッシュフルーツ割りに移行する予定なので、麦焼酎「黒泉山(くろせんざん)」を一升瓶(4,000円)でもらってスタンバイです。

まず出されたフレッシュフルーツジュースはイチゴ。ピッチャーにたっぷりと入れられたイチゴジュース(700円)は、いったいイチゴ何個分だろう! ジョッキで出してもらうイチゴ割りに15個分のイチゴが使われているそうなので、これはその3倍くらいでしょうか。そしてグレープフルーツジュース(700円)とウコン茶も出されます。今日の果物はこれら2品のほかにキウイ、みかん、オレンジの全5品。すべて注文を受けてからジューサーで仕上げる、まさにフレッシュそのもののジュースなのです。

お通し(300円)は揚げ立て熱々のシューマイが、ひとりに3個ずつ。この居酒屋は元々お肉屋さんだったのだそうです。さすがに肉屋のシューマイはうまいなぁ。

自家製のお新香もこの店の名物のひとつ。その盛り合せ(400円)をいただくと、大皿にたっぷりの白菜、山芋、大根、セロリ。この山芋がまたシャクシャクと食感もよくて、いい肴になるんですよねぇ。

この店は魚介類が安いことも売りのひとつ。今日は生ガキ(2個300円)もあるので、それを3人前(6個)もらって、それとは別にお刺身の盛り合せ(1,000円)もいただきます。今日の刺身盛り合せはシメサバ、天然ブリ、マグロ、シメサバ、キンメダイが大きく、ぶ厚く3切れずつ。ひとりで注文すると食べきれないかも、というような量なのです。

さらには店の名物でもあるネギトン焼(1本180円)やニラ玉焼き(500円)もいただいて「鳥安」を堪能。残念ながらこの店は閉店してしまいますが、となり駅、上石神井(かみしゃくじい)に息子さんが経営する「とりやす上石神井店」がありますので、ネギトン焼などの名物メニューは引き継がれるようです。

午後8時過ぎまで、2時間ちょっとの滞在は5人で14,670円(ひとりあたり2,934円)でした。

070217a 070217b 070217c
「鳥安」店内 / お通しの揚げシューマイ / グレープフルーツ割り

070217d 070217e 070217f
自家製お新香 / イチゴ割り / 生ガキ

070217g 070217h 070217i
ネギトン焼 / お刺身盛合せ / ニラ玉焼き

店情報前回

《平成19(2007)年2月17日(土)の記録》

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ドイツからパラスパ! … 「ペルル」~「満月」(鷺ノ宮)

どこかでひとしきり飲み食いしたあとにやってきて、水割りやハイボールを数杯引っ掛けて帰ることが多い「ペルル」。そんな「ペルル」に、今日は1軒目としてやってきました。

金曜、午後10時半の店内は、閉店まであと1時間という時刻にもかかわらず、まだまだお客さんがたくさん。なにしろカウンターのみ、10席程度しかない小さなお店なので、すぐにいっぱいになっちゃうんですよね。

空いていたカウンター中央付近に座ると、すぐにキープしているスーパーニッカのボトルが出されます。

ここではスーパーニッカやメーカーズマークなどをボトルキープ(各4,500円)しておくと、あとは毎回氷代として500円だけで飲むことができるのです。氷は何回もらっても500円のみ。水はカウンター上、何箇所かのデキャンターに入っていて自由に使うことができます。炭酸などで割る場合は別に料金がかかり、例えば炭酸なら1本が300円。これ以外は特にお通しなどは出てきませんので、キープさえしていれば500円あれば飲めるのでした。

なにしろお腹もすいているので、今日はなにか食べるものも注文しましょうか。ここの食べ物メニューは焼きうどん(600円)、氷見いか(600円)、フランクじゃが(600円)、山うにクラッカー(500円)、ねぎ兵衛(500円)、ギョーザ(500円)、ブルーチーズ(500円)、ウインナー(500円)、揚げじゃが(500円)、ぎんなん(500円)、ミックスナッツ(400円)、厚あげ(400円)、冷やっこ(400円)、トマト(400円)、いぶりがっこ(300円)、麦チョコ(300円)などなどと、意外とそろっているのです。

どれにしようかなぁ、と迷っているところへ、入口側に座っているお客さんから「パラスパお願いします」と注文が入り、すぐに別のお客さんからも「こちらもパラスパ」の声。料理は基本的にマスターが作るので、他の人の注文に合わせて便乗注文するとすぐに食べられそうですね。パラスパ(500円)なるものがどんなものかはわかりませんが「私もパラスパ!」と注文に乗っかります。

カウンター内、中央部にあるコンロに鍋がかけられ、細めのスパゲティをゆで始めます。

ゆであがったスパゲティに、昆布茶をパラパラ、醤油をパラパラ入れてかき混ぜて皿に盛り、仕上げに刻み海苔をパラパラと振りかけます。こうやってパラパラと入れるからパラスパという名前になったんだそうです。

この店のお客さんで、しばらくドイツで暮らしていた人がいて、そのときに日本食が恋しくなって考えた料理が、このパラスパだったのだそうです。「言ってみればドイツからの逆輸入品ですね」と笑うマスターです。

ところがどっこい。このシンプルなスパゲティのおいしいこと。スルスルスルとあっという間に食べてしまいました。

この店の料理は、このパラスパをはじめとして、他の店にはないメニューも多いのです。たとえばアサブロ(600円)もそういう一品。アサブロというのは……、と書いちゃうと楽しみが減りますので、ぜひ一度試してみてください。

あ、そうだ。テレビ朝日で4月から始まる「帰ってきた時効警察」というドラマの第2回目(4/20金、23:15-24:10)で、マスターが「とあるバーのマスター役」として出演予定(すでに撮影は終了)なのだそうです。これまた楽しみですね。

閉店時刻まで1時間ほどの滞在は、氷代とパラスパでちょうど1,000円でした。

さすがに1時間では全然飲み足りないので、すぐ近くの「満月」に移動してポテトサラダ(300円)を肴にウーロン割り(300円)。真夜中が近くなって、「満月」のマスターもママさんも、例によっていい感じで酔っ払っていて、いかにも金曜日の夜の「満月」ですねぇ。

カウンターの上段にずらりと並ぶ大皿料理も、この時間になるとだいぶ量が減ってきています。「ほら。これも食べなよ」と、大皿にあるホウレン草のおひたしを、ポテトサラダの横にちょいと添えてくれるマスター。うしゃしゃ、どうもありがとうございます。

入口側に座る常連さんは「そのクワイをちょうだい」と大皿を指差します。「ちょっとしか残ってないから、全部食べてね」と、残りを全部入れてくれるママさん。「ちょっとしか」と言っても、1人前よりははるかに多いのです。「多すぎるからつまんでね」と、こちらにもおすそ分けが回ってきました。

上り電車はすでに終了しており、下りもそろそろ終電というこの時間。店内は、まさに這ってでも帰れる地元民ばかりになり、アットホームな雰囲気に包まれるのでした。

私も緑茶割り(300円)をおかわりし、つまみにはメニューに“おすすめ”と書かれている粕汁(350円)をもらいます。たくさん飲んだ後のあったかい汁物がいいですねぇ。

ゆっくりと午前2時前まで楽しんで1,550円。どうもごちそうさま!

【ペルル】
070216a 070216b 070216c
水割り / パラスパ / 参考:別の日の焼きうどん

・「ペルル」の店情報前回

【満月】
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ポテサラとウーロン割り / ポテサラにソース / ホッピー

070216g 070216h
壁のメニュー / かす汁

・「満月」の店情報前回

《平成19(2007)年2月16日(金)の記録》

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八起の名物・三連発 … 居酒屋「八起(やおき)」(赤羽)

「まるます家」を出たところで、今日昼過ぎから飲み始めていたというふたりが戦線離脱。なにしろすでに午後8時過ぎですからねぇ。明日は朝から普通に仕事ですし、長時間どうもお疲れさまでした。

私も含め、夕方から飲み始めた3人は最後にもう1軒。「まるます家」の裏手、OK横丁の中にある大衆酒場「八起(やおき)」です。ここも「まるます家」同様、1階はカウンター席とテーブル席、2階は座敷席になっています。「3人です」と入ると1階奥のテーブル席に案内されました。

「まるます家」は厨房には男性がいますが、フロアはすべて女性陣が切り盛り。それに対してこちら「八起」はすべてを男性陣で取り仕切ります。

瓶ビール(キリンラガー大瓶540円)と生レモンサワー(350円)、ウーロンハイ(350円)をもらって乾杯し、料理はここの名物を三連発で注文します。

そのひとつ「豚王ぽ」(370円)は豚の尻尾を台湾風のタレで煮込んでから、室温まで冷ましたもの。横浜駅近くの「豚の味珍(まいちん)」の尻尾と似たような感じですね。「味珍」が辛子+酢のタレをつけていただくのに対して、こちらは味噌+酢。どちらの店にもテーブル上にラー油などが置かれているので、辛さは補強できます。骨のまわりのとろりとしたコラーゲンが決め手の一品。とろり感は「味珍」のほうがありますねぇ。こちら「八起」の尻尾は、むしろしっかりとした弾力感を噛みしめるタイプです。尻尾以外にもタン(480円)、ハツ(480円)、コブクロ(480円)、ガツ(370円)、ミミ(370円)などが置いてある他、盛り合わせ(480円)もあるのがうれしいですね。

ふたつめは「チャーメン」(370円)。なぜこれをチャーメンと呼ぶのかはわかりませんが、これはちょっと挽肉(ひきにく)の入ったモヤシ炒めなのです。炒め物にもモツ類があって、レバ炒め(370円)、コブクロ炒め(370円)、玉炒め(370円)、オッパイ炒め(370円)、そしてピリカラスタミナと書かれたカシラ炒め(460円)といった魅力的な商品が並びます。赤羽は「米山」や「たる鉄」(→至高のはらわた)など、モツ(内臓)料理の有名店がそろう土地柄。ここ「八起」のメニューにも、そういう土地柄であることがずばりと表れてますよねぇ。

そして三つめは、メニューにも“八起特製”と注記が入った手作りの「餃子」は一皿6個入りで350円。

こうやって紹介すると、まるで中華系の料理ばっかりのような感じですが、店内のメニューは決してそんなことはなくて例えば「やきとん」は1人前5本で370円(1本あたり74円!)、人気の刺身はマグロ中落ち(480円)やツブ貝刺(460円)、アジたたき(480円)などの魚介類に加えてレバ刺(370円)、馬刺(500円)、ガツ刺(370円)なども。そして居酒屋定番のイカ納豆(460円)や自家製塩辛(320円)、冷奴(350円)。

もちろんここにも1人前から注文可能な鍋もあります。しかも普通の鍋ではなくて、モツ鍋(豚、790円)、サクラ鍋(馬、950円)、ラム鍋(仔羊、790円)という一風変わった3種類の鍋なのです。この鍋にも引かれるなぁ。

1時間半ほどの滞在は3人で2,320円(ひとりあたり770円強)でした。やっぱりいいですねぇ、赤羽も!

070212m 070212o 070212n
王ぽ / チャーメン / 手作り餃子

店情報前回

《平成19(2007)年2月12日(月)の記録》

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すっぽん鍋は700円 … 居酒屋「まるます家(まるますや)」(赤羽)

赤羽の立ち飲みおでん屋「丸健水産」で飲み仲間たちと合流し、5人がそろって向かったのは、すぐ近くにある鯉と鰻の「まるます家」。休日の午後6時過ぎとあって、外まで行列ができるほどの人気ぶりです。ここの2階は、3人以上なら利用可能な座敷席。2時間以内という時間制限はつきますが、私自身、2階に入ったことがないので楽しみです。

ちなみに、ここ「まるます家」は「飲んでいる方はお断り」というお店ですので、酔っ払った状態だと入れません。店内でも「お酒はひとり3本まで」というお約束。朝から開いているお店ながら、泥酔は嫌われるんですね。

お客さんが高密度に詰まった1階とはうって変わって、2階の座敷席は卓の配分もゆったりとしていて、入った瞬間になんだかくつろげる雰囲気です。さっそく瓶ビール(サッポロ黒ラベル又はラガー大瓶、500円)や「ジャンボ・チューハイ」(ハイリキ1リットル950円)をもらって乾杯です。ジャンボ・チューハイは氷とレモンスライス入りのジョッキにちょうど4杯分。1杯あたり237.5円というのは、単品のチューハイ(350円)と比べるとずいぶんお得ですよね!

「まるます家」で一度食べてみたかったのが1人前700円という「スッポン鍋」。「この値段で本当にスッポンが食べられるの!?」と、前々から気になっていた一品なのです。そのスッポン鍋を1人前注文し、それが出るまでの間に「カルシウム」(ウナギの骨煎餅、350円)をいただいて、みんなでポリポリとかじります。

スッポン鍋はできあがった状態で出されます。鍋の中には豆腐やしらたき、油揚げに白ネギやキャベツ、ニンジン、シメジなどの野菜類が入り、そして骨(甲羅?)付きのスッポンの身や、見るからにプリリとしたエンペラの部分などがしっかりと入っています。いやぁ、700円ながらちゃんとスッポンが入ってましたねぇ。しかも実にいいおだしの味じゃないですかー!

となりの卓のおにいさん3人連れがつついている鍋も、内容的にはスッポン鍋みたいなんだけどとても大きい。
「この鍋はなんていう料理なんですか?」と聞いてみると、
「これは2階の座敷席でだけ注文することができる3~5人用のスッポン鍋なんです。最後の雑炊も付いて3千円なのでお得なんですよ」とおにいさんたち。
そうであったか。それでさっき「スッポン鍋ください」と注文したときに、店のおねえさんが「1人前でいいの?」と確認してくれたんですね。うーむ。念願のスッポン鍋を食べたことで、ここ数年来の課題がやっと克服できたと思ったら、また新たな課題ができてしまったか。今度はこの大鍋のスッポン鍋+シメのスッポン雑炊をいただかなければ。

料理のほうはウナギを柳川風に玉子でとじた「うなぎとぢ」(←店内メニュー表記のまま。650円)や、丼鉢でスープ餃子風に供される「水餃子」(450円)、安いんだけど丸皿にたっぷり山盛りの「げそ天」(350円)、そしてクリームコロッケながら中身は比較的しっかりとしている「クリームコロッケ」(350円)と、なにしろ品数の多い店だけにいろんなものをいただきます。

「鍋ももう一品」と注文したのは「キムチちげ鍋」(550円)。これも先ほどのスッポン鍋同様に、小さなひとり用の鍋で完成した状態で出されます。てっぺんに乗っかっている半熟状態の玉子をつぶしてかき混ぜると、真っ赤でピリ辛だった汁がややマイルドに。

この店の鍋は、今日注文したスッポン鍋とキムチちげ鍋の2品だけのようですが、それぞれ値段も安く、1人前が標準(というか2人前とか3人前といった注文はできないかも!)というところがいいですね。まさにひとり飲みの強い味方のようなお店です。

「最後にウナギの蒲焼もいただきましょうか」と800円、1,000円、1,200円、1,500円とラインナップされた蒲焼(白焼も同じ値段)の中から、下から2番目、1,000円の蒲焼をいただきます。さすがにウナギは看板商品だけあって、ほっこらとおいしく焼きあがってきますねぇ。1階のカウンター席でもシメにウナ丼(750円)を食べている人をよく見かけます。

「そろそろお開きにしますか」と時計を見れば、ちょうど2時間といったところ。お勘定は5人で8,000円(ひとりあたり1,600円)でした。にぎやかな1階席もいいけれど、ゆったり過ごせる2階席もいいもんですね。大きなスッポン鍋もあるしね!

070212d 070212e 070212f
カルシウム / ジャンボ・チューハイ / すっぽん鍋

070212g 070212h 070212i
うなぎとぢ / 水餃子 / げそ天

070212j 070212k 070212l
クリームコロッケ / キムチちげ鍋 / うなぎ蒲焼

店情報前回、同じときの「帰り道は匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)

《平成19(2007)年2月12日(月)の記録》

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待ち合わせは立ち飲みで … おでん「丸健水産(まるけんすいさん)」(赤羽)

都内での仕事を終えて向かったのは赤羽(あかばね)。振替休日の今日(2月12日)は、飲み仲間たちが早い時間から赤羽で飲み始めているらしく、そこに合流です。

到着した「丸健水産(まるけんすいさん)」は、おでんの食材を売るお店ながら、その食材で作ったおでんも販売しており、そのまわりで立ち飲むことができる人気店。私も缶ビール(スーパードライ350ml、250円)と、巣籠り(ウズラの玉子)や厚揚げなど、おでんを2~3品(それぞれ70~200円ほど)もらってみんなの輪(立ち飲みテーブル席)に加わります。(代金はキャッシュ・オン・デリバリーで、その場で支払う仕組みです。)

私のすぐあとにやってきた常連さんらしき男性3人(それぞれひとり客としてやってきて、店先で合流)は、みなさんおでんセットをもらっています。おでんセットは缶ビール、缶チューハイ、カップ日本酒のいずれか(それぞれ単品だと250円)と、おまかせのおでん5品ほどがセットになって650円というお得な品。そうだったなぁ。前回来たときも「次はおでんセットをもらうことにしよう」と思いながら帰ったのに、すっかり忘れてました。また次回の宿題ですね。

すぐ近くのカウンターで立ち飲んでいるおにいさんは煮こごりをつつきつつお酒(地元・北区産の「丸真正宗」カップ酒、250円)を飲んでいる。
「煮こごりもあるんですか?」と聞いてみると
「向こう(おでん種を売っているところ)で売ってるものを出してくれるんですよ」とのこと。

そちらのショーケースを見てみると、大きくてきれいな煮こごりがプラスチック容器の中に置かれています。さっそく売り場のおかあさんに
「この煮こごりをください」と注文すると、
「1人前でいいですか? 半分というのもできますよ」とおかあさん。

1人前は煮こごりが8切れで400円、半分は個数・値段ともにその半分だそうです。ひとりだと8切れもあるとそれで満腹になっちゃいそうですが、今日はなにしろ5人で来ているので1人前で大丈夫です。おかあさんは大きなかたまりの煮こごりから1人前を切り分けてくれます。

そして出された煮こごりは、サメの身だけではなくて、椎茸などもたっぷりと入った具沢山なもの。口に含むとうまさがとろりと広がります。うーむ。おでんのみならず、こういう肴も置いているとは!

今日はここ「丸健水産」が待ち合わせ場所。ここで予定のメンバーが全員そろってから、次の店に向かおうという趣向です。こういう待ち合わせには立ち飲みの店がぴったりですね。とはいえ、やはりおいしいお店じゃないといけません。

そういう意味では、赤羽であればここ「丸健水産」か「いこい」、渋谷ならば「富士屋本店」、そして野毛の「福田フライ」などが味はもちろんのこと、場所的にも、店の大きさ的にもちょうどいいように思います。

さぁ、それじゃ、みんながそろったところで次へと向かいますか。この店では、私は千円ほど使ったかな。
「テーブルの上のお皿などはそのままにしておいてください。どうもありがとうございました!」と笑顔で声をかけてくれる店のおにいさんに、
「どうもごちそうさまでした!」とみんなで返事して本日の1軒目終了です。

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立ち飲みテーブルでおでん / 煮こごり / おでん種売り場

店情報前回、同じときの「帰り道は匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)

《平成19(2007)年2月12日(月)の記録》

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春先なのに秋、秋、秋 … 「秋元屋」「とっとっと」(野方)

日曜日はヨジアキ(=開店時刻の午後4時に「秋元屋」)です。同じくヨジアキしていたにっきーさんといっしょに、表側のテーブル席に座ります。ここはコの字カウンター15席ほどに、店の表側にテーブル席がふたつ(8席ほど)、そして最近できた奥の間に10席ほど座れるのですが、いつも満席の状態が続いているのです。

注文を取りに来てくれたたっつんさん(店を手伝っているおにいさん)に
「氷無しのホッピーをお願いします」と注文すると、
「シャリ金にしますか?」とたっつんさん。
「えっ!? シャリシャリの金宮があるの?」
「なに言ってんですか!? 昨日もおいしそうに飲んでたじゃないですか。忘れたんですか!??」

うーむ。そうであったか。昨晩は「竹よし」の夕食会のあと、jirochoさんたちと連れだって、ここ「秋元屋」に来て、チレ刺しを食べたというかすかな記憶は残ってるんだけど、シャリ金ホッピーもいただいたんですね。ちなみにシャリ金ホッピーというのは、金宮(キンミヤ)焼酎をシャリシャリのフローズン状態になるまで凍らせたものを、よーく冷えたジョッキに入れて、これまたよーく冷えた瓶入りホッピー(ソト)で仕上げるもの。シャリ金の焼酎だけでもおいしい(けど危ない!)のです。

「それじゃ、そのシャリ金ホッピーと煮込み玉子入り(380円)、それとガツとテッポウを醤油で1本ずつ(各100円)お願いします」

日に日にグレードアップしてくるように思えるこの店の煮込みは牛シロ、牛スジをベースにいろんな部位を入れて煮込んだもの。冬場の煮込みはたまりませんね。

ガツとテッポウはこのところ醤油味でいただくのがお気に入り。「醤油で」と注文すると、素焼きにして仕上げにちょいと醤油をたらして焼きあげてくれるのです。ミノ(牛の第1胃)、ガツ(豚の胃)、テッポウ(豚の直腸)などのように、強めの弾力感があるネタに向いているように思います。

にっきーさんもカブの漬物やゲンコツ味噌(鶏ひざナンコツ)を注文です。

「昨日のネギマももしかしたら覚えてない?」とたっつんさん。
「あ。それはなんとなく覚えてる」
「今日もありますよ」
「いいですねぇ。ネギマも2本ください」

ネギマの“マ”はマグロの“マ”。串にネギとマグロを交互に刺したものを焼きあげてくれるのです。

5時を回って瞬間的に空きができたカウンターに移動して、私は鶏皮、オッパイ、シロを、シロだけタレ焼き(あとは塩焼き)でいただいてシャリ金ホッピーをおかわり。にっきーさんはシラスおろしをもらって芋焼酎「喜六」をロックです。この「喜六」は「百年の孤独」を造っている蔵の焼酎なのだそうです。

「ここの焼酎は480円均一なんですが、いい品物がそろってるんですよ」とにっきーさん。ずらりと並ぶ一升瓶にはレア物や、今流行りの品々が多いそうなのです。そういえば、ほとんど焼酎バーのように、いろんな焼酎を楽しんでいるお客さんたちもいらっしゃいますもんね。そうそう。食べ物のみならず、飲み物にも力を入れてる点も、この店の人気を支えている要素のひとつだと思います。

とそこへ、携帯に着信。見ると「竹よし」の大常連・T井さんからです。「もしもし」と出てみると、「竹よし」のママさんの四十九日の法要が終わって、近くの「とっとっと」で飲んでるんだけどいっしょにどうですか、というお誘い。「すぐにうかがいます」と電話を切って、お勘定をしてもらい「秋元屋」を後にします。

同じ町内にある「秋元屋」と「とっとっと」は、歩いて5分かかるかどうか。「こんばんは」と入った店内は直線カウンター5席に、4人用テーブル席が6卓ほどのフロアがあって、比較的大きなお店に生まれ変わっています。「とっとっと」は元々、都立家政の「魚がし寿司」の近くの小さなお店でやっていたのですが、昨年(2006年)6月に、この地に移転してきたのでした。私自身は、新しい店になってからはじめてです。

「竹よし」のマスターとT井さんのおふたりは、その小さなカウンターに座ってチビチビと「いいちこ」のロックを飲んでいます。日曜日の午後6時半過ぎの店内は比較的ゆったり気味。近所の人だろうと思われる普段着の年配夫婦や家族連れなどがテーブルを囲んでいるものの、全体としては3割程度の入りです。

私もまずは「いいちこ」をロックでもらって、おふたりがつついていたシメサバ(750円)をひと切れ。都立家政にあったころから、魚中心の和食屋さんだったのですが、その傾向は変わらないようです。すぐに出されたお通しはぬた、サザエつぼ焼き、芽キャベツという三品盛りです。

手書きの今日のおすすめメニューに並ぶのはカブのカニあんかけ(800円)、白子湯葉巻揚(850円)、白子ポンズ(850円)、手羽先の塩焼(550円)、そら豆(450円)、しめさば(750円)、生うに(1,000円)、ひらめ(1,000円)、皮ハギ(1,000円)、刺盛(1,500より、ミニちゃんこ鍋(1,500円)といった品々。そんな中からT井さんが「カワハギがよかったですよ」とカワハギ(1,000円)をすすめてくれて、それを注文します。

カワハギは、小さいお皿に小ぢんまりと、とってもおしゃれな感じで出てきました。一切れとって肝とワサビをのせていただくと、すっきりコリコリとおいしいこと。店内の小じゃれた感じともあいまって、いかにも女性客に喜ばれそうなお店ですねぇ。

そのカワハギに合わせて燗酒(白鹿1合380円)をいただきます。飲み物は中瓶ビール(サッポロラガー)が550円、地酒は1合が700~800円、焼酎も同じく700~800円といったところ。ちなみにボトル売り(たとえば「いいちこ」は2,100円)はありますが、ボトルキープはなくて、飲み残したボトルは持ち帰る仕組みのようです。

メニューの中には「香り膳」(1,800円)というメニューもあって、お造り二点盛、やわらかタコと野菜の炊き合せ、焼物、揚物、和風トマトサラダ、ごはんセット、デザートが出されるのだそうです。これを肴にお酒を飲むなんてのもいいかもしれませんね。なお、3人から予約可能な本格的な会席コース(5,500円より)などもあるようです。

ひとしきり飲んだところで、「竹よし」マスター、T井さんと3人で「秋元屋」へ行こう! という話になり、再び「秋元屋」へ。

日曜、午後8時の「秋元屋」は、ラストオーダーまであと1時間(日曜日は午後10時閉店)ながら、まだまだお客さんは多い。表のテーブル席のひとつが空いていたので3人でそこに陣取り、「竹よし」マスターは、T井さんのおすすめにしたがって金宮ストレート(290円)に梅エキスをちびっと入れて。私はまたまたシャリ金ホッピーです。

肴のほうも煮込み(320円)にキャベツみそ(100円)、マカロニサラダ(280円)、ハムカツ(200円)をといった定番の品々を一気に注文します。

しばらくしてやってきたのはなおとんさん。同じテーブルに座り、ナンコツスライスや、ガツ、セセリなどをもらって飲み始めます。T井さんも、なおとんさんも、昨日の夕食会にも参加されていたので、二日連続いっしょ飲みですね!(笑)

最後はトリハイ(280円)をいただいて、昨日、今日の二日間で3度もやってきた「秋元屋」での飲み会をしめくくったのでした。何度もありがとうございました。どうもごちそうさま。

【2月10日(土)の秋元屋】
070210m 070210n 070210o
「秋元屋」のシャリ金ホッピー / チレ刺し / ネギマ串

【2月11日(日)のヨジアキ】
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煮込み玉子入りとお新香 / ガツ醤油とテッポウ醤油 / ネギマ串

070211d 070211e 070211f
ゲンコツ味噌 / 皮、オッパイ、シロ / シラスおろしと「喜六」

【とっとっと】
070211g 070211h 070211i
いいちこ、シメサバにお通し三品盛 / 皮ハギ刺身 / 白鹿(1合)

【再び秋元屋】
070211j 070211k 070211l
シャリ金ホッピー / テーブルの様子 / 煮込み

070211m 070211n 070211o
キャベツ味噌 / マカロニサラダ / ハムカツ

070211p 070211q 070211r
なおとんさんのナンコツスライス / ガツとセセリ / シメのトリハイ

・「秋元屋」の店情報前回
・「とっとっと」の店情報前回

《平成19(2007)年2月11日(日)の記録》

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店情報: 和食処「とっとっと」(野方)

    070211z
  • 店名: 和食処「とっとっと」
  • 電話: 03-3338-3021
  • 住所: 165-0033 東京都中野区野方5-18-13 ネクサスビル1F
  • 営業: 18:00-22:00、月休
  • 場所: 西武新宿線・野方駅改札を出て左に100m、右手に「松屋」がある角を右に曲がり、50mほど先のY字を右に入った先、左側。駅から徒歩3分ほど。
  • メモ: 平成17(2006)年6月8日、都立家政から野方へ移転して本格和食の店として再オープン。カウンター5席、4人用テーブル席が6卓ほど。瓶ビール(サッポロ赤ラベルラガー)550、エビス生ビール(中)550、(小)400、白鹿(1合)380、(2合)700のほか地酒、焼酎等。お刺身盛り合せ1,500より、季節の野菜の炊き合せ800、タコのやわらか煮750、黒豚の角煮900、豚ロースの味噌漬け800、西京焼800より、カレイ唐揚1,200、鯨の竜田揚1,000、季節の天ぷら盛り合せ850、だし巻き卵600、酢の物盛り合せ700など。手書きの「本日のおすすめ」はかぶのカニあんかけ800、白子湯葉巻揚850、白子ポンズ850、手羽先の塩焼550、そら豆450、しめさば750、生うに1,000、ひらめ1,000、皮ハギ1,000、刺盛1,500より、ミニちゃんこ鍋1,500、地酒・八海山・大吟醸1,200。(2007年2月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.11.16)

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能登の寒ぶり夕食会 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

毎月第2土曜日は「竹よし」の夕食会の日。常連さんたちとのイベントとして、ハイキングに行ったり、ゴルフ大会や釣り大会をやったりといういろんなお店がありますが、ここ「竹よし」では、大常連・T井さんの発案によって、その常連さんイベントを夕食会にしたのだそうです。それ以来、回を重ねて今回が63回目。毎回、その季節に合わせて設定されるメイン食材、今回は日本海は能登産の寒ブリです。

昨日のうちに下ごしらえをしたというその寒ブリは、なんと9.4kgの大物。店内の4人掛けテーブル席をふたつくっつけてやっと乗るような大きさだったのだそうで、その様子を写した写真(T井さん撮影)を見ると、一緒に写っている「吉田蔵」の一升瓶が、まるで300mlボトルかなんかのようにものすごく小さく見えます。これだけの寒ブリを手に入れながら、「氷見の活け締めものを手に入れようとしたんだけど、値段が高くて手が出なかった」と残念がっているのは店主。活け締めだと、血が完全に抜けてまっ白い、もっとしっかりとした身になるのだそうです。

まずはその寒ブリの刺身からスタート。マグロ、サバと一緒に盛り合わされているのですが、いずれ劣らぬ逸品ぞろい。寒ブリはもちろんのことながら、サバもいいですねぇ! このところ「竹よし」では定番となった豊後水道のサバの脂ののりのすばらしいこと。

今回も店の大皿料理である芽キャベツとキヌカツギのほかに、なおとんさんがブロッコリーとカリフラワーのサラダ、ナムル風野菜の盛り合せなどを作ってくれました。

刺身に続いて出てきたのは寒ブリ塩焼きと寒ブリ大根煮。寒ブリのしっかりとした身を味わえる塩焼きもいいですが、頭のまわりや骨ぎわのいわゆるアラや、そしてその寒ブリの出汁(だし)をたっぷりと吸いこんであめ色になった大根の味わいが酒を呼びますねぇ。長時間の食事会なので、ゆっくりとお酒をいただこうと思うのですが、ついつい進んでしまいます。

jirochoさんが持参してくれたのは、出身地・静岡の地酒「磯自慢」(特別本醸造)。これがまたうまくて、うまくて。うー。止まらない。

1本丸ごとの寒ブリを仕入れたからこそ食べられる内臓(心臓や、胃、腸、肝など)の塩焼きも出されて、魚もモツも大好きな今日の参加者たちも大喜びです。ガツ(豚の胃)もいいけど、ブリの胃もやわらかい中にプリッと弾力感があっていいですね。

ひとしきり寒ブリを味わったところで、なおとんさんから出された隠し玉はカレー風味のスパイシーもつ煮込み。串に刺したまま煮込んだモツ(ツクネやシロなど)が絶品です。「このまま商売できるんじゃないですか!」と参加者の評判も上々。すごいなぁ、なおとんさん。

カレー風味で口中がリフレッシュされたところで、出される肴は山菜の天ぷら。フキノトウ、タラの芽、ウルイ、白マイタケにコゴミの全5品。通常営業のときは1個200円で出される山菜天ぷらが、今日はたっぷりと盛り合せです。このほろ苦い感じが、春の新しい命の力を感じさせます。今年も春がやって来ましたねぇ!

最後は寒ブリとマグロのにぎり寿司でしめて、実に5時間以上におよぶ今回の食事会も無事終了。今回は人数制限無しで、定員を超えた分は立ち飲み制にしたところ大にぎわい。本日の参加者決議(笑)により、次回からも人数制限無しの立ち飲み制、会費は500円アップの5千円(飲み放題付き)となることが決定しました。第64回夕食会は3月10日(土)、第65回は4月14日(土)の予定です。

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刺身盛り合せ / 「酔鯨」純米吟醸 / 本日の副菜類

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寒ぶり塩焼 / 寒ぶり大根 / 「磯自慢」特別本醸造

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寒ぶり内蔵焼 / 「酔心」特別純米 / なおとんさん作・カレー風味もつ煮込み

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フキノトウ、タラの芽、ウルイ / 白マイタケ、コゴミ / ブリとマグロのにぎり

店情報前回

《平成19(2007)年2月10日(土)の記録》

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遅く帰った夜は … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)

金曜日です。横浜の職場を出るのが遅くなり、中野駅に到着したのは午後10時。いつもは2軒目、3軒目として行くことの多い「石松」ですが、今日はこの時間なので1軒目で「石松」にやって来ました。

予想どおり店内はびっしりと満席ながら、店主(マスター)が「中に入って飲む?」と言ってくれて、直線カウンターに並ぶお客さんたちの背後を「すみません、すみません」と店の奥へと進みます。この店の直線カウンターには7~8人座れるのですが、それよりもお客さんが多くなると、カウンターの中、一番奥に特別席が設けられ、そこで飲ませてもらうこともできるのです。そして、それよりもさらにお客さんが多くなると、カウンターに並ぶお客さんたちの後ろに立って飲める場合もあるのでした。

カウンターの奥のほうでは、前回もお会いしたキャスバル坊やさんや、「竹よし」の常連さんでもあるS本さんが飲んでいて、「こんばんは、こんばんは」とごあいさつしつつカウンターの中へと入ります。

ちょうど注文の波が途切れたところらしく、キープしている金宮ボトルとお通しのモヤシの酢漬けを手渡してくれながら「何にする?」と店主。「レバ刺しハーフと、レバの串(100円)をタレと塩で1本ずつお願いします!」やっぱりまずはレバーですよね。

まな板の上にシュシュシュッとスプレーをして消毒した後、冷蔵庫から大きなレバーの塊りを取り出して、刺身用、そして串焼き用にレバーを切り出していきます。その様子を見て、カウンターの他のお客さんたちからも「レバーをタレで2本」とか「こちらもレバ刺し」と便乗注文が飛び交います。ここは、注文を受けてから下ごしらえをするので、ちょうど今作っているものに合わせて注文すると、あまり待つことなくおいしいモツ料理を食べることができるのです。

昨日の横浜の「だるま」に続いて、今日も「石松」でその場で下ごしらえした肉を食べることができて幸せですねぇ。

ニッコニコとレバーをほおばっていると、店主から「ミノ焼くけど食べる?」と声がかかります。食べる食べる。ぜひお願いします。ここのミノ(150円)はデフォルトで醤油味。コリコリっとした食感と、香ばしい醤油の風味が実にいいのです。

シュッシュッとまな板を消毒して、次に出てきたのはテッポウかな? 開いたテッポウはけっこう大きいもんなんですねぇ。カウンター内側の特別席からは、まな板の様子がとてもよく見えて楽しいのです。「マスター、それ私も1本(100円)お願いします。醤油で」と、これももちろん便乗注文です。

金宮のボトル(1,500円)を追加したところで、カウンターにいたお客さん何人かが帰り、私もカウンターの外、S本さんのとなりに席を移します。いつまでもカウンターの中にいると、店主がいろいろと動くのの邪魔になりますからね。

次なる便乗注文はタン塩(100円)。だれかが注文するのに合わせて注文していくだけで、かなりいろんなものが食べられちゃうんですよねぇ。

絶品もつ焼きをつつきながら、みんなとお店談義。S本さんのおすすめは浅草橋にあるビストロ「ラ・シブレット」(03-3863-6232、台東区浅草橋2-27-5)。四ツ谷の「北島亭」で修業したシェフが開いた店なのだそうで、比較的リーズナブルな値段で「北島亭」と同じようなメニューがいただけるのだそうです。

もつ焼きのほうはオッパイ(120円)をいただきます。ここのオッパイは串焼きではなくて、バラで焼いてお皿で出してくれるスタイル。もともとプヨプヨと脂肪分が多い部位なので、このほうが焼きやすいんでしょうね。焼きあがるとプリッといい弾力感になるのです。

キャスバル坊やさんが「ここの餃子がうまいですよー」とすすめてくれるのは、堀切菖蒲園にある哈爾濱(ハルピン)餃子(03-3692-9369、葛飾区堀切3-7-17)。プリプリの皮にあふれ出る肉汁の水餃子、小龍包。もっちりサクサクの焼餃子などが楽しめるのですが、店内はカウンター5席のみととても小さいお店なのだそうです。

続いてはナンコツ塩(100円)を便乗注文。最近よくお会いするH井さんは、出張帰りで大きな荷物を持ってやってきて、カウンター内の特別席に座ります。

店主(マスター)が語るのは八広(やひろ)の「丸好酒場」(03-3611-2420、墨田区東向島6-63-6)。小さいトイレで有名なこのお店、煮込みが最高にうまいと言う。“伝説の煮込み”を出す「石松」店主が一押しする煮込みをぜひ食べてみたいですねぇ! 店主は「丸好」のおかあさんに、「営業中は飲んじゃダメよ」と諭(さと)されたという話を楽しそうに語ってくれます。ここの店主も、いろんなお店を飲み歩かれているのです。

最後はツクネ(150円)を塩とタレで1本ずついただいて終了。午前1時まで3時間の滞在は、新ボトルが1本入って3,350円でした。どうもごちそうさま。みなさん、お先に!

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キンミヤの生茶割り / お通しはモヤシの酢漬け / レバ刺しハーフ

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レバ串はタレ・塩で1本ずつ / ミノ醤油 / テッポウ醤油

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タン塩 / オッパイ塩 / ナンコツ塩

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ツクネ塩 / ツクネタレ

店情報前回

《平成19(2007)年2月9日(金)の記録》

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横浜・都橋商店街近くののユニークバーたち(横浜・桜木町)

「ホッピー仙人」~「喫茶みなと」~「日の出理容院」

だるま」を出て、交差点を道路の向こう側に渡ると、もうその先は野毛(のげ)の町。本日の2軒目は「ホッピー仙人」です。午後9時半の店内は先客は「犬連れなるままに!」のゴンファミリーのみなさんとそのお連れの方や、ホワイトメリーさんなど5~6人。今日は生ホッピーはないらしくて、普通のホッピー(500円)をいただきます。

しばらくすると「銀座とハマで飲んでます。」のハルさんも登場。そのブログタイトルどおり、今日も職場に近い銀座で飲んでから、今、横浜に帰ってきたところだそうです。ハルさんがホッピーをキューッと飲み干したところで、「ホッピー仙人」の閉店時刻、午後10時です。

「ホッピー仙人」を出て、ハルさんが「おもしろい店ができたんですよ」と連れて行ってくれたのは、通りをはさんで目の前にある喫茶「みなと」。えっ!? 喫茶って??? と思いながらついて入ると、店内は薄暗く、昭和レトロ調をねらったようなバーでした。

カウンター数席と、テーブル席だけのこじんまりとした店内は若いお客さん、それも女性客が多い。ハルさんと私は空いていたテーブル席に座り、私はトリハイ(トリスのハイボール。トリスは300円)をいただきます。

肴にスルメ(300円)を注文すると、なんとカウンター上にデンと置かれた丸火鉢の炭火で炙ってくれます。いやぁ、懐かしいなぁ。子供のころ、祖父母の家に遊びに行くと、火鉢の上でスルメを焼いてくれたり、餅を焼いたりしてくれてたことを思い出します。できあがったスルメは七味マヨネーズを添えて出してくれました。

小1時間の滞在、ふたりで1,300円は、ハルさんにごちそうになりました。ありがとうございます。>ハルさん

ハルさんはここで帰宅され、私は最後にもう1軒と、通りをぐるりとまわって、ちょうど喫茶「みなと」の裏側に当たる「日の出理容院」です。この両店は同じ建物の中に、(位置的には少しずれてますが)背中合わせ的に存在しているのでした。

「日の出理容院」でも、再びテーブル席でくつろぐゴンファミリーのみなさんと遭遇。私はカウンターに座って、いつものとおり角ハイボール(600円)をもらいます。このバーは、キャッシュ・オン・デリバリーでチャージ等一切なし。でも、お通しに必ずさや付き落花生を出してくれるのです。

「日の出理容院」の女性バーテンダー・めぐみさんの笑顔に癒されつつ、今日も楽しく飲み終えました。どうもごちそうさま。

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「ホッピー仙人」のホッピー / 喫茶「みなと」 / 火鉢で炙るスルメイカ

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トリハイ / 炙りあがったスルメ / 「日の出理容院」の角ハイボール

・「ホッピー仙人」の店情報前回
・「喫茶みなと」の店情報
・「日の出理容院」の店情報前回、同じときの「犬連れなるままに!」)

《平成19(2007)年2月8日(木)の記録》

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店情報: 喫茶「みなと」(横浜・桜木町)

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  • 店名: 喫茶みなと
  • 電話: 045-231-6158
  • 住所: 231-0065 神奈川県横浜市中区宮川町1-8
  • 営業: 15:00-24:00(土日は12:00- )、月休
  • 場所: 大岡川のほとり、都橋商店街中央付近の通りの向かい側。
  • メモ: 〔BEER〕プレミアムモルツ500、キリンラガー400、〔焼酎〕鏡月300、サワー類500、八重丸(麦・芋)500、〔日本酒〕500、〔ソフトドリンク〕コーヒー500、紅茶500、ペプシコーラ、ジンジャーエール、オレンジジュース等各300、〔ウイスキー〕トリス300、サントリー角、ホワイトホース、アーリータイムズ、ジャックダニエルズ各500、山崎800、ラフロイグ800、〔おつまみ300〕ポテトチップス、ポップコーン、柿の種、スルメ、カップ麺、〔リキュール500〕カシス、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなど、〔カクテル700〕カンパリソーダ、テキーラコーク、ウォッカオレンジ、ラムソーダ、ジントニック、ジンリッキーなど。

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串焼きをおまかせで … 焼鳥「だるま」(横浜・日ノ出町)

横浜発祥のものは数多くありますが、串焼き(焼き鳥)も横浜が発祥らしい。その元祖とも言える串焼きを、大正13年生まれ、今年で83歳という親父さんが出してくれるお店があると聞いてやってきたのは日ノ出町。目ざす「だるま」は、まさに日ノ出町駅の目の前、地番で言うと日ノ出町1丁目1番地の鋭角の角地にありました。

のれんをかき分け「こんばんは」と入ると、コの字カウンター13席程度のみの小さい店内に、先客は3人。ネットには「店内はいつも満席」という情報が多かったので心配していたのですが、平日(木曜日)の午後8時過ぎあたりはけっこうチャンスかも!

店は件(くだん)の親父さんと、それを手伝う若いおにいさんのふたりで切り盛り。そのおにいさんが「飲み物は?」とたずねてくれつつ、お通しのキュウリの漬物(1品目)と、焼きあがった串焼きを置くための銀色の丸皿を出してくれます。

店内にはメニューは一切なし。ビールは絶対に置いてるだろうな、と思って注文すると、キリンラガーの大瓶が出されます。串焼きは特に注文しなくても、基本的におまかせで出されるらしいのです。

そのビールを飲みながら待つことしばし。まず出されたのは銀杏(ぎんなん)の串焼き(2品目)です。野菜物はあらかじめ仕込んで置いてあって、お客が来るとおにいさんが焼き始める様子。そして、肉類は親父さんがその場で下ごしらえして、串を打って焼くスタイルのようです。

今、親父さんが下ごしらえしているのはボンボチ(鶏の尻尾)のようです。その準備が終わって、焼き台を担当するおにいさんに渡し終えると、次に冷蔵庫から取り出したのはラム肉。左手には滑り止めの軍手をはめた親父さんが、そのラム肉をがっちりとつかみ、右手の小ぶりの包丁(ナイフ)できれいに整形していきます。サクサクサクっと何気なく切ってるようなのに、串に刺すとあ~ら不思議。大きさのそろった肉がきれいに並ぶのです。これぞ練達の技ですなぁ。

そんな様子に見とれているうちに、さきほどのボンボチが焼きあがってきました。「ミサキです」と出してくれるおにいさん。へぇ。ミサキって言うのか。尻尾の先っぽだから、もしかすると“身先”って書くのかもしれませんねぇ。(3品目)

もう一皿、ミサキとほぼ同時に出された小皿には蒸した椎茸(4品目)です。この椎茸が、口に含むとジュワァーッとおいしい汁が広がって、ものすごい旨さです。

ラム(5品目)も焼きあがってきました。1品出されるたびにおにいさんが「ラムです」と、その品物を説明してくれるのでわかりやすい。私の左どなりに座っている男性ひとり客は、私とほぼ同じころに入ったらしく串焼きの進行が私とまったく一緒。向こう側に座っているカップルは、ひとしきり食べ終わったのか、ワインを飲みながらおしゃべり中です。

まな板の上に出てきたのは、大きな牛の舌! しぇーっ、この状態から串焼きのタンを下ごしらえしていくんですね。ちょっと厚切りにスライスされた大きなタンは、串に刺すために細かく切られていきます。向こうのカップルの男性から「牛タン、こちらも2本お願いします」と注文が入ります。なるほど、ひとしきり食べた後でも、自分の好みのものが下ごしらえされはじめたら便乗注文していいんですね。

牛タン(6品目)とほぼ同じタイミングで、別皿で出されたのは大きなピーマン(7品目)。「中に肉ミソが入ってますから」とおにいさんが説明してくれます。

とそこへ、男性ふたり連れが入ってきて来ました。この店によく来ているのか、なんのためらいもなく「ビールください」「ボクはお酒の熱いの」と注文して、カウンターの一角に腰をおろします。お酒は丸っこい黒ジョカ風の酒器に注がれ、そのまま焼き台で燗付けられます。これはおもしろいなぁ。私も燗酒をいただくことにしました。

私と一緒のペースだった左どなりのひとり客は、ここでお勘定です。なるほど途中でやめることもできるんですね。

新しく入って来たふたりにはキュウリの漬物が出され、銀杏が出されと、私がたどったのと同じコースが順番に用意されていきます。まな板の上ではそのふたりのミサキ(ボンボチ)を準備中。ミサキはさすがに大きなかたまりからではなくて、ミサキだけを袋詰めしたものがあるんですね。

そのミサキの準備が終わると、次の袋からコロコロと出てきたのは…。やったーっ! これは大好物、鶏ハツですね。袋から出された鶏ハツも、先ほどのミサキ同様、小さいナイフできちんと下ごしらえされて串に刺されていきます。くぅ~っ。うまそう。早く焼きあがってくれーっ。

焼きあがった鶏ハツ(8品目)を幸せにいただいていると、目の前では次なる豚バラ肉(9品目)の準備です。こうやって下ごしらえをするところから見えるのが、次への期待を膨らませますねぇ! あとで知ったんですけど、この豚バラ肉もこの店の名物のひとつなんですね。間に大葉がはさまれていて、ポン酢醤油風の専用ダレでいただきます。

そして焼きなす(10品目)。よくあるような丸ごとではなく、1センチ厚さくらいにスライスして焼いたものが2枚。それぞれ頭のところに切り目がふたつついていて、そこからピィーッと割くと、ちょうど1センチ×1センチくらいの棒状の焼きなすになるのです。ニンニクと練りガラシが添えられた醤油の小皿が一緒に出され、それをつけていただきます。

しばらくすると、最後に来た二人組の焼き物もすべて終わったのか、親父さんもおにいさんも、他のお客さんたちと一緒になってカウンターの奥にあるテレビを見たり、お客さんと話をしたりとゆったりモードです。

燗酒を飲み終わったタイミングでお勘定をお願いすると、私に出たものが書かれているらしい紙を、親父さんが手に持ってしばらくにらんだあと「ちょうど4千円です」。すごいっ。暗算だ。

1時間ちょっとの滞在は、キュウリの漬物から始まる10品と、ビール大瓶と燗酒で4千円でした。どうもごちそうさま。

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「だるま」 / ビールとお通しのキュウリの漬物 / 銀杏

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下ごしらえ中の店主 / 身先(みさき)と蒸し椎茸 / ラム

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牛タン / ピーマンの中には肉ミソ / 燗酒は黒ジョカで

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鶏ハツ / 名物・豚バラ肉 / 最後は焼きなす

店情報

《平成19(2007)年2月8日(木)の記録》

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店情報: 焼鳥「だるま」(横浜・日ノ出町)

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  • 店名: やきとり「だるま」
  • 電話: 045-231-2917
  • 住所: 231-0066 神奈川県横浜市中区日ノ出町1-1
  • 営業: 17:00-23:00、日祝休
  • 場所: 京急本線・日ノ出町駅の改札を出て左方向(紅葉坂方面)へ通り沿いに70mほど進んだ左手。鋭角の角地にある。駅から徒歩1~2分。
  • メモ: コの字カウンター13席程度のみの小さな店内。メニューはなく、おまかせでお通し(胡瓜の漬物)、銀杏、身先(鶏の尻尾)、椎茸、子羊(ラム)、牛タン、ピーマン(肉味噌詰め)、鷄ハツ、豚バラ肉、茄子など10品ほどが出される。これに瓶ビール(大瓶)と燗酒を1つずついただいて4千円だった。(2007年2月調べ)

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久々にひとりヨジカワ … 焼鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)

ゆーったりとした日曜日。夕方トコトコと出かけていったのは「川名」です。開店時刻である午後4時ちょうどの店内は、なぜかカウンターに先客がふたりほど。ちょっとフライングでも入れてくれるんですよね。

「こんにちは」と店主に声をかけながら、7席あるカウンターの一番手前の席に腰をおろします。「いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれる店主は、今日はホワイトボード(今日のおすすめメニューが書き出されたもの)を書き終えて、すでに厨房で料理をはじめています。どうやら奥の座敷に予約が入っているらしく、開店早々から忙しそうです。

カウンターの中からはハルカさん(手伝いの女性)が「いらっしゃいませ」と注文を聞きに来てくれます。飲物は瓶ビール(キリンラガー大瓶、504円)をお願いし、料理はマグロブツやトロシメサバ(各399円)がならぶホワイトボードメニューの中から、まずは白ミル貝刺(399円)をいただきます。

サービスで出される果物のお通し。今日はオレンジです。

1杯目のビールをクゥ~ッと一気に飲み干します。休みの日でも最初1杯のビールがおいしいですねぇ!

出された白ミル貝は刺身皿にたっぷり。ちょいちょいとワサビを溶かしていただくと、そのコリコリとした食感がたまりません。んー。これは燗酒ですね。通りかかったハルカさんに燗酒二合(504円)をお願いします。

そうこうしている間にもひとり、またひとりと常連さんたちが入ってきて、こちら側のフロア(カウンター7席にテーブル3卓×4席)は徐々に満席に。ひとりずつ入ってくるお客さん同士も、それぞれ知り合いなので「この間、あれからどうした?」とか、「○○さんは元気なのかい?」といった会話が、そこここで飛び交います。そうそう、こちら側のフロアはこんな雰囲気だったなぁ。このところいつも何人かで奥の座敷で飲んでたので、こういう雰囲気もまたおもしろい。

奥の座敷も奥の座敷でおもしろさがあって、先日も何人かで連れだってやってきたところ、同じく何人かでやってきたjirochoさんや熊さんたちとばったり。アワビ煮(399円)やシメイワシ(399円)、湯ぎょうざ(504円)、みそ田楽(231円)、豚ロースみそ焼(336円)、山芋ねぎチーズ(294円)などをいただきながらの楽しい会となったのでした。(そのときの「帰り道は、匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)

それに比べると、今日のこちらカウンター席は本当にひとり静かにお酒を傾けることができて、じわじわと酔っていく感覚も認識できます。どちらも捨てがたいですねぇ。

2品目はちょっと焼いてもらおうかな。ホワイトボードに「節分のうるめ焼」(189円)というのがあるので、これを1尾焼いてもらうことにしました。なにしろ焼き鳥屋さんの焼き魚は炭火焼ですからねぇ。表面にジワッと脂の浮いた、じつにおいしそうな焼き上がりで登場します。ちょっとこげたやつを頭からシャクッとほおばると、身は熱々でしっとりとやわらかい。んー、内臓のほろ苦さが酒を呼びますねぇ!

「これも食べてみて」と店主が出してくれたのは、アン肝を蒸したもの、酢漬けにしたもの、燻製にしたものという3種盛り。これはもう燗酒と一体化するほどのベストつまみです。ただでさえ安い店なのに、常連さん用にちょっとした隠し玉まで用意してて出してくれるところがまたありがたいではありませんか。こういう店が家のすぐ近所にあって、足しげく通えることの幸せをかみしめつつ燗酒を飲み干して、今日のヨジカワを終了します。

午後5時20分まで、80分間の滞在は1,596円でした。今日もごちそうさま。ちょうど良いほろ酔い加減で、家族との夕食が待つわが家へと向かったのでした。

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ビールとお通しのオレンジ / 白ミル貝刺 / 燗酒二合

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節分のうるめ焼 / アン肝の蒸したの、酢漬けの、燻製の

〔先日みんなで来たときの画像〕
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あわび煮 / しめいわし / 湯ぎょうざ

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みそ田楽 / 豚ロースみそ焼 / 山芋ねぎチーズ

店情報前回

《平成19(2007)年2月4日(日)の記録》

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鍋三連発! … 居酒屋「酒の高橋」(世田谷)~ラーメン「御天」(下井草)

ひとり用の鍋物を食べることができるお店を知りたくて、掲示板での紹介をお願いしたり、酒友にたずねたりしていたところ、宇ち中さん行きつけの「酒の高橋」にも1人前から注文できる鍋が何種類かあるという。「ぜひそれをいただきましょう!」と、先日、北京ダックを食べに行ったメンバー4人で世田谷の「酒の高橋」にやってまいりました。

本来、ひとりで食べるから「ひとり鍋」なんだけど、こうやって人に紹介していただいてる過程では、わいわい楽しく「みんなで鍋」になって、これもまたうれしいですね。

土曜日、午後5時の店内は開店と同時に満席。宇ち中さんが口開けと同時に席を確保しておいてくれたので、ちょっと遅れて入った我われも無事に左手小上がり席の1卓を囲むことができました。ビール(サッポロ黒ラベル大瓶、550円)をもらって乾杯すると、お通しには鶏ナンコツを和えたものが出されます。

壁のメニューを確認すると、ありました、ありました。白子鍋(800円)、アンコウ鍋(800円)、カキちり鍋(800円)、カキ鍋(800円)、豚ちり鍋(700円)、豚みそ鍋(700円)、タラちり鍋(600円)、湯どうふ(400円)という8種類がずらりと並んでいます。ちり鍋はポン酢醤油でいただき、そうでないのはあらかじめミソ味が付けられるようです。

そんな中からまず選んだのは白子鍋(800円)。他にも何種類か食べたいのでひとり分だけ注文することにします。ニラ玉(320円)や空豆(350円)などとともに注文用の紙に書いて女将さん(マサ子ママ)に渡します。

店は料理を担当する女将さんと、ホールを担当する義妹のケイちゃんのふたりで切り盛りしているのですが、ケイちゃんが店に入るのは午後6時以降。それまでの間は女将さんひとりで何でもやらないといけない。通常はケイちゃんに口頭で伝える注文も、この忙しい時間帯だけは紙に書いて渡すようです。なにしろ5時の開店と同時に満席になるまで入った人たちがいっせいに注文しますからねぇ。なかなか我われの順番が回ってきません。ビールのおかわりすらたのみづらい状況なのです。

5時半くらいになって空豆が出てきました。ゆでたて熱々のものにさっと塩をふっていただく旬の味。待ち時間が長かっただけにひときわおいしく感じるなぁ。

6時前にやっと白子鍋の登場です。すごーいっ! たっぷりの野菜の上に、どかっと白子がのって、その上に味噌がのって、てっぺんにポンと1個、大きな豆腐がのっています。これが1人前!? ひとりで来たら食べられないかも。

コンロに着火してコトコト煮はじめると、豆腐の重みがうまくきくのか、鍋の上にこんもりと盛り上がっていた部分がだんだんと低くなってきて、最終的にはちょうど鍋いっぱいの量になってきました。

さぁ、いただきましょう。小鉢によそってハフハフといただくと、ダシはみそ汁と同じ程度の味付け。熱が加わってやわらかくなった白子が口の中でプツンとはじけて広がります。ックゥ~~ッ。うまいもんじゃのぉ。やっぱり冬は鍋ですねぇ!

待ちに待ったケイちゃんも到着。みんなの注文の品も続々と出てくるようになり、我われのところにもニラ玉が出てきたところで、宇ち中さんがキープされている金宮ボトルを出してもらいます。ウーロン茶(170円)やホッピー(外、210円)ももらってウーロンハイやホッピー割りにして乾杯。ここからいよいよ本格飲みモードです。

第2弾は豚みそ鍋(700円)をこれまた1人前。玉ねぎと桜えびの天ぷら(320円)なども合わせて注文します。

豚みそ鍋も、構成は先ほどの白子鍋とまったく同じで、白子の代わりに薄く広くスライスされた豚ばら肉が入っています。これまたコトコトと煮て、こんもりと盛り上がった山がさがってきたらできあがり。

ここで名物の刺身盛り合せ(600円)と、豆乳をもらって、焼酎の豆乳割りで刺身をいただきます。今日の刺身はマグロ、平貝、赤貝の3種盛り。それぞれ単品で注文すると500円です。

そして第3段はカキ鍋(800円)とフカヒレのにこごり(320円)を注文。このカキ鍋も、白子鍋、豚みそ鍋と同じ構成。「別々に注文しなくても、いっぺんに注文してもらっても大丈夫だったのよ」と女将さん。そうか。同じ構成、同じ味付けなので「白子と豚とカキの鍋」なんて注文もできたんですね。

それにしてもやっぱりこの鍋はボリュームたっぷり。ひとりで来ると、この鍋だけで満腹になっちゃいますね。それが600~800円というんだから、このコストパフォーマンスの良さも「ひとり鍋」ならではですね。

午後9時半まで、ゆっくりと4時間半の滞在は4人で10,960円(ひとりあたり2,740円)でした。長時間ありがとうございました。ごちそうさま。

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「酒の高橋」 / ビールとお通しの鶏ナンコツ / そらまめ

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みそ味・白子なべ / できあがった白子なべ / にらたま

070203g 070203h 070203i
ウーロンハイ / ホッピー / 玉ねぎと桜えびの天ぷら

070203j 070203k 070203l
いかげそ焼 / 豚みそなべ / できあがり

070203m 070203n 070203o
刺身盛り合せ(マグロ、平貝、赤貝) / 豆乳割り / かきなべ

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ふかひれのにこごり / できあがってきたかきなべ

・「酒の高橋」の店情報前回、同じときの「帰り道は、匍匐ぜんしん!」「宇ち中」)


自宅がすぐ近くの宇ち中さんは「酒の高橋」を出たところで帰宅され、残る3人で三軒茶屋で軽く二次会。そろそろ終電ということで11時半ごろに帰路につくと、会社近くでの飲み会を終えて、すでに「御天」まで戻っていた近所の酒友・にっきーさんと連絡がつきます。おぉ。危なかったですねぇ。同じ「御天」でも、地下にある焼酎バー「Goten's Bar(ゴテンズバー)」に入られてたら、電波が届かないところでした。

「御天」に到着したのは午前1時ごろ。「御天」は長浜ラーメンのお店でありながら、博多の長浜ラーメン屋台がそうであるように、まずは居酒屋風にガンガンお酒をいただいてから最後のシメにラーメンを、というお店。したがっておつまみのメニューも充実していてザク切りキャベツ(200円)、マカロニサラダ(250円)、ポテトサラダ(300円)、タラモサラダ(350円)、おつまみザーサイ(300円)、おつまみキムチ(300円)、さつまあげ(300円)、もつ煮込み(300円)、黒豚おろし水餃子(6個450円)、ネギチャーシュー(550円)、ピータン(400円)、ピータン豆腐(550円)、あらびきソーセージ(600円)などなどの品が並びます。

そんな中、にっきーさんが「最近のオススメ!」と紹介してくれたのが「せん菜(さい)炒め」(550円)。メニューには「モヤシの新種」と書き添えられていますが、モヤシよりはうんと細くてシャキシャキとした食感がクセになりそうな一品です。しかもお皿にテンコ盛りのものすごいボリューム。ひとりで注文したら食べきれないかも! この「せん菜」はラーメンのトッピングにもできるそうです(200円)。博多ラーメンの細い麺と同じくらい細いので、バランスがいいかもしれませんね。

焼酎を何杯かいただいて、2時半を回ったところでラーメン(680円)を注文します。この店は午前3時までの営業なので、そろそろラーメンにしておかなければ食いっぱくれてしまうのでした。

濃厚な博多とんこつラーメンでピシッとしめて、本日の飲み会も終了! どうもごちそうさまでした。

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せん菜炒め / ラーメンメニュー / シメのラーメン

・「御天」の店情報前回、同じときの「アル中ハイマー日記」)

《平成19(2007)年2月3日(土)の記録》

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