ジュークボックスでフィーバー!? … バー「日登美(ひとみ)」(落合)
銀座を後に、地下鉄銀座線~東西線経由で落合へ。久しぶりにやってきたのは、外観からはとてもカクテルバーには見えないカクテルバー「日登美」です。
地下鉄東西線・落合駅からも、JR中央線・東中野駅からも、そして西武新宿線・新井薬師前駅からも、それぞれ歩いて15分以上かかる(一番近いのは落合駅だそうな)というこのお店は、その外観や営業時間(午後8時開店)ともあいまって、まさに隠れ家的な存在のバーなのです。
「こんばんは。ごぶさたしてます」と入った、午後9時半の店内は予想どおりお客は少ない。っていうか、先客はだれもいない状態です。この店がにぎわうのはもっと遅い時間帯ですもんね。
ショートカクテルは800円均一、ロングカクテルは900円均一、しかもチャージ等の別料金は一切発生しないという非常にわかりやすい料金体系の中、本日1杯目のカクテルとしてギムレット(Gimlet)を注文します。
ベースとなるお酒と、甘みと酸味のバランスがカクテルの真骨頂。ジンとライムジュースをシェイクしてできあがるこのショートカクテルは、ギムレット=錐(きり)というその名のとおり、スパッと爽快で切れのある辛口カクテルです。キリッと冷えたその温度もあって、強いお酒なのにスイスイ入っちゃいますねぇ。
いかーん。あっという間に飲み干してしまった。
このペースで飲みつづけると、あっという間にできあがってしまうので、2杯目はロングカクテルをいただいて、ゆっくりチビチビといきますか。久しぶりにスノウスタイルの代表選手、ソルティドッグ(Salty Dog)を注文します。
スノウスタイルというのは、グラスのふちを塩や砂糖で飾ること。実際にやってみると、これがなかなかきれいには付かないのですが、「日登美」のマスターはいとも簡単に、しかも美しく仕上げていきます。
「お塩の中にグラスを伏せてはダメなんですよ。お塩を手にとって、グラスを回しながら上からパラパラと落としていく」
なるほどなぁ。言葉で聞くと簡単そうなんだけど、これとて簡単にはいかないんだろうなぁ。
ソルティドッグは、そのまま訳すと「塩気のある犬」ですが、実はイギリスの俗語で「船の甲板員」のことなんだそうです。ソルティ(salty)を辞書で調べると「塩気のある」という意味のほかに、「海の(香のする)」とか「船乗りの」といった意味も持っていて、海に非常に関連の深い用語であることがわかります。
ふちについた塩をなめなめいただくソルティドッグは、ちょっとしょっぱいグレープフルーツジュースのような感じで、ちっともお酒っぽくない。これもまた本人が気づかないうちに酔ってしまうという、とっても危ないカクテルですよねぇ。
入口扉が開いて入ってきたのは男女ふたり連れ。カウンターの奥のほうに座ると、男性はクリームの効いたやや甘めのカクテルを注文。
「私は甘いのダメだから、なにか辛口のカクテルを」という女性の注文に、
「それじゃ、ギムレットをお作りしましょうね」とマスター。
そのおふたりとマスターの会話を聞くとはなしに聞いていると、とても若く見えるこの女性客には、実は中2のお子さんがいるのだそうです。4月からは3年生になって受験生活に入るので、おかあさんもその前に遊んでおこうと、後輩である連れの男性にお願いして、今日はこの店に連れてきてもらったのだそうです。
その女性客は、入口横にあるジュークボックスにも非常に興味をもった様子。トコトコと近寄っていって曲目をながめて「懐かしいなぁ」と何曲かセットすると、流れてきたのはノーランズやアバなどのディスコミュージック。うわっ。本当に懐かしいですねぇ。
最後はビシッとカクテルの王者・マティーニ(Martini)でしめようかと思ったのですが、ふと思いついて変化球のギブソン(Gibson)を注文します。ギブソンは、マティーニのバリエーションで、マティーニに入るオリーブがパールオニオンに代わったもの。しかし、ここの店のギブソンはさらにおもしろくて、小さいんだけどオニオンピクルスのように酸っぱい小タマネギ(ラッキョ?)が入っていて、ビシッと強烈です。
そこへ入ってきたのは近所の酒友・にっきーさんです。携帯で「仕事が終われば合流」というやり取りをしていたのですが、無事に終わったんですね。良かった良かった。
にっきーさんはジントニック(Gin Tonic)からスタートです。
「今年は原点に戻って、またウイスキーを飲んでみようと思ってるんですよ」
と話してくれるにっきーさん。にっきーさんは、もともとウイスキー好きなのですが、このところ数年間、ワインや焼酎などに注力されていたのです。
この店はもともとカクテルバーで、ウイスキーもカクテルのベースになるものをいくつか置いてる程度だったのです。それが数年前からモルトウイスキーも入り始め、今では棚の一角にモルトが並んだコーナーができているのです。
「それじゃ、最後にアイラモルトをふたりで2種類いただいて、味比べしましょうか」
と選んだのはカリラ(Caol Ila)10年と、いつものアードベッグ(Ardbeg)10年のふたつ。小さな島の中にある蒸留所同士なのに、それぞれが個性的なのがおもしろいなぁ。
日付けが変わるちょっと前まで、2時間半ほどの滞在は全部で5,600円でした。
値段のわかっているカクテル分を差し引くと、アイラモルトが2杯で2,200円(1杯平均1,100円)だったんですね。
どうもごちそうさまでした。お先にー!
ギブソン / カウンター内の様子 / 〆のアイラモルト(背景にジュークボックス)
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コメント
日登美のマスター懐かしいですね。私が以前伺ったとき旧モード(無口)スタイルでした。
投稿: ebisu | 2007.03.24 11:56
私も日登美へは暫くお邪魔しておりませんので
マスターのお顔を写真で拝見することが出来て良かったです!
本年の私はにっきーさんとは逆に?!カクテルへ回帰しておりま~す。
投稿: ふる | 2007.03.28 08:23