夕食前にちょいと一献 … 焼き鳥「川名(かわな)」(阿佐ヶ谷)
日曜日の早い夕方は、自宅から徒歩10分ほどのところにある「川名」です。
その店ならではの料理や雰囲気を楽しむために、遠くの酒場に出かけていくのも楽しみですが、自宅近所の行きつけの酒場でゆっくりとするものまた最高の喜びです。近所の銭湯でゆっくりしたりするのと似てるのかなぁ。
「こんにちは」と店に入り、カウンターの一角に腰をおろすと、すぐにハルカさん(店を手伝っている女性)がお通しのネーブル2切れを出してくれます。今日は生グレープフルーツサワー(336円)とハマグリ焼き(231円)を注文して飲みはじめます。
「これもどうぞ」とみんなに出してくれたのは蒲鉾(かまぼこ)2切れとフキ味噌がのった小皿。蒲鉾には男雛(おびな)の絵が付いています。そうか。昨日(3月3日)が雛祭りだったからか。だからハマグリもメニューにあるんですね。
安い値段でがんばっていながら、こういう季節感を大事にしているのもこの店のおもしろいところ。店の看板は「焼鳥割烹」ながら、メニューには魚介類や野菜類もたくさんあって、それらが毎日の仕入れによって変わっていくのです。たとえば今日の刺身はヤリイカ、タイ、トロシメサバ、ブリ、タコ、マグロブツの6品で、それぞれ399円。冬の魚から春の魚に変わりつつありますねぇ。春になるとタイもいいですよねぇ。さっきハマグリにするかタイにするか、ちょっと迷ったのです。
その迷いを知ってか知らずか、店主がタイの刺身もちょっと出してくれました。このちょっと飴色になった身が、この季節からのタイですよねぇ。私自身が四国(愛媛県)出身ということもあってか、タイは大好きな魚のひとつなのです。
そして出てきたハマグリは、小ぶりといいながらも5個。炭火焼のアツアツのところをハフッといただくと、ハマグリ独特のちょっとえぐいような深みのあるうまみが口の中に広がります。ックゥ~ッ。これは日本酒がよかったかなぁ。
昨夜、自宅でいただいた蛤(はまぐり)の吸物も、何度でもおかわりしたいくらいおいしかったのですが、焼いたハマグリもいいですねぇ!
タイの腹身を塩焼したものも出してくれます。この時間帯、店の近所に住んでいてほぼ毎日いらっしゃってるような年配大常連さんたちが大勢いて、その人たちにお店からちょっと何品かサービスで出したりしてくれるのです。私もちょっとその恩恵を被っているような次第なのですが、なんだか自分も常連さんとして認めてもらえたようで、とってもうれしい気分です。大常連のみなさんたちは、三々五々やってきては小一時間ほどサクサクっと飲んで、大勢のお客さんがやってくる午後6時までには全員がすっと席を立ってしまうようなきれいな飲み方なのです。
店主は自分に対してすごくきびしくて、なにをするにも一所懸命。だから自分をきちんと律することのできない酔っ払いに対してはとてもきびしいのです。その裏返しで、この時間帯にやってきているようなきれいな飲み方をする人たちは大歓迎してくれていて、ちょこっと何かを出してくれたりするんですね。このちょこっとがメニューには載せられないような少量の珍品(たとえば今いただいている鯛の腹身など)だったりするのがまたうれしいのです。
生グレープフルーツサワー(336円)をおかわりし、ホワイトボードの日替り手書きメニューから、はじめて見る生湯葉ど~ふ(231円)を注文してみます。
出された生湯葉ど~ふは表面が湯葉っぽくて、中はとろりとした豆腐。見た目はゆるめのカマンベールチーズのようでもありますねぇ。おろし生姜と塩(藻塩かな?)が添えられていて、まずはその塩だけでいただいてみると、甘みもたっぷりと感じるいい豆腐です。
「こんばんは」ととなりの席にやってきたのは青地さん。森下賢一さんや吉田類さんと同じ句会に参加されている青地さんは、いつも遅くから飲み始めることが多いのに、今日はまたずいぶん早いですねぇ。
「このあと、またちょっと出かけないといけないんですよ」と青地さん。ちょっとの間の骨休めといったところのようです。
「ひとり1尾ずつ取ってとなりにまわしてね」という店主の言葉とともにまわってきたのは小アジを煮たもの。これがまた骨ごと食べられるほどの絶妙な煮加減で、しかも酒の肴にぴったりのいい味付けなのです。うーん。これは絶対普通のメニューとしていけるのになぁ。そういえば、この店であまり煮魚メニューは見かけませんねぇ。
1時間半ほどの滞在は1,134円でした。どうもごちそうさま。ゆっくりと楽しむことができました。
あぁ、ほろ酔いの帰り道の、なんと気持ちのいいことよ。さぁ、これから家族で夕食だ!
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