「今日、新橋『ぼんそわ』に行ってみます」
午後5時を過ぎたところで酒豪美女・ひろたろうさんからそんなメールが飛び込んできます。
うーむ。なんという日か。今日は朝一番にも宇ち中さんから「昨日、S先輩と『ぼんそわ』に行ってきました。新橋にこんな素敵なお店があったなんて」というメールをいただいたばかりだったのです。
そう。「ぼんそわ」のちょっと甘い感じなのにスパイシーな「もつカレー煮込み」(300円)。そしてその煮込みを一段と盛り上げてくれるホッピー(300円)には、フローズン金宮が使われているのです。おいしかったよなぁ。………。よーし。今日は私も新橋に出よう! なにしろ今日は金曜日。仕事を終えて都内の自宅に向かう途中で、ちょっと回り道をすれば新橋に寄って帰ることができますからね。
大急ぎで仕事をやっつけて会社(横浜市内)を出て、根岸線(京浜東北線)から東海道線へと乗り継いで、新橋「ぼんそわ」に到着したのは午後8時。
「こんばんは」と入った「ぼんそわ」の店内は、ちょうどお客さんが帰ったところらしく、ひろたろうさんのとなりがポツンと空いている。さっそくそこに滑り込んで、なにしろホッピー(300円)と、もつカレー煮込み(300円)です。
それからものの10分もしない間に、続々とお客さんが増えてきて店内はもう通勤電車の社内のような状態で、店主もてんてこ舞いです。金曜日の新橋って、こうなんですねぇ。
ひろたろうさんに呼び出されて一緒に飲んでいるのは、ゆきちゃんさん。名前だけ見ると、ひろたろうさんが男性で、ゆきちゃんさんが女性のように思いますが、実はその逆なのがおもしろい。
ゆきちゃんさんはイケメン男でありながら古い大衆酒場好きで、新橋であれば烏森神社近くの「くら島」という古いもつ焼き屋がおすすめだと話してくれます。よーし。それじゃ「ぼんそわ」の店内も、店が膨らんでしまいそうになるくらい込んでるので、その「くら島」に向かいますか!
約30分の滞在、キャッシュ・オン・デリバリーは600円也で「ぼんそわ」を出て、ひろたろうさん、ゆきちゃんさんと3人で新橋駅方向へと向かいます。「実は新橋界隈の酒場はほとんど知らないので、いいところがあったら教えてくださいね」とお願いすると、さっそく次の角にあるのが炭火串焼の「三政」の前で立ち止まります。
「ここが私がよく行く焼き鳥屋さんなの!」とひろたろうさん。ひろたろうさんも、ゆきちゃんさんも、勤務先がこの界隈なので、新橋の夜の街にも詳しいのです。
「三政」はもつ焼きが2本で480円と高いものの、串が大ぶりでおいしいのだそうです。残念ながら、この店も「超」がつくほどの大混雑ぶり。金曜日の新橋って、こうなんですねぇ。。
さらに新橋駅方向へ1ブロックほど進み、左に曲がると公園に入ります。公園の桜の下にも酔客がいっぱい。ひろたろうさんが桜の花に飛びつこうとしますが、花は見た目よりはちょっと高くにあって残念ながら届きません。
公園を抜けて道路を渡り、1ブロック半ほど進んだ右手にあるのが大衆酒場「大露路」。美人三姉妹が営むというこの酒場は料理全品300円均一。実はひろたろうさんは今日はこの店からスタートしたんだそうです。「出戻りだわ」と言いながら入口引き戸を開けたものの、なんとここもびっしりと満席。金曜日の新橋って、こうなんですねぇ。。。
「もうちょっとしたら空くと思うから」と「大露路」のおねえさん。
「それじゃ、近くでちょっと飲みながら待ちますか」と、すぐ近くの角にある和風スタンディングバー「壌」へ。三坪(約10㎡)ほどしかないんじゃないかと思われる店内は、1階にバーカウンターがあって、そこで飲み物や食べ物をキャッシュ・オン・デリバリーで買って、そのあたり、もしくは階段を上がって2階の立ち飲みスペースで飲む仕組み。
基本的に飲み物は500円均一、つまみは300円均一と、こちらも安い。シングルモルトなどは1,000円(マッカラン18年、グレンリヴェット21年など)、1,500円(ボウモア25年など)するものもあるようです。
ひろたろうさんはハイネケンを、ゆきちゃんさんは芋焼酎「不二才(ぶにせ)」をロックで、そして私はギネスをもらって(各500円)2階へ。この時間帯(午後9時ごろ)「壌」の2階には先客はなし。まわりの喧騒がウソのように、ゆっくりと飲むことができます。
なにしろ「壌」は朝4時までやってるそうですからねぇ。本格的に込んでくるのは終電が終わってからなのかもしれませんね。
「ぼちぼち行ってみますか」と「壌」を出て、再び「大露路」へ。さっきから30分ほどは経っているのですが「大露路」の店内はあいかわらず満席状態です。何人かの人が出ても、すぐ入れ代わりに何人かの人が入ってきて、満席が途切れることがないようなのです。金曜日の新橋って、こうなんですねぇ。。。。
「ぼんそわ」を出るときに目標にしていた「くら島」もこのすぐ近くなのだそうで、今度はその「くら島」に向かいます。
「大露路」から新橋駅方向に引き返して、すぐ次の角を曲がるともう「くら島」。入口に向かって左側に焼き台があり、その窓越しにもつ焼きを焼いている店主の様子がうかがえます。紺ののれんをくぐり、すりガラスの引き戸を開けて中をのぞき込むひろたろうさん。「大丈夫。空いてる」と店内へ。
店内は左手がずどーんと奥まで伸びる直線カウンターで10席ほど。右手には4人がけのテーブル席が2、3卓並んでいます。我われは右手一番奥のテーブルに陣取ります。このテーブルには、なんとテレビがのっている。ふだん、そんなに込んでないときは、カウンターのお客さんが振り返ってこのテレビを見るのでしょうか。
店はカウンターの中にいる店主と、もうひとり女性(奥さんなのかな?)のふたりで切り盛りしています。この女性が、ひろたろうさんの天敵的な相手らしく、声をかけても返事もしてくれません。もしかすると、ひろたろうさんに対してだけじゃなくて、誰に対してもそうなのかも!? こういうちょっと名物な店員さんがいるのも、古い酒場のおもしろい部分です。
チューハイをもらうと焼酎が1合なみなみと入ったコップと、それとは別に氷とレモンスライスの入った空コップ、そして瓶入りの炭酸が出されます。そのセットで自分でチューハイを作りなさいってことなんですね。お通し(だったっけ? もしかしてだれか注文した?)として出されたのは空豆。ワイワイと飲んでるところへ、我われが入れなかった「大露路」で飲んでたという、ゆきちゃんさんの飲み仲間ふたりが合流し、テーブルのすぐ横のカウンター席に座ります。
11時前になって神保町の「兵六」で飲んでいた呑んだフルさんと、同じく「兵六」の常連さんというA木さんも合流です。A木さんは、私の自宅の近所に住んでらっしゃるんだそうです。やったぁ。これは帰り道が心強いですね。
そろそろ12時が近くなってきて、お勘定をお願いすると、みんなで4,500円。次に来たときには、戦後間もなくの創業当初から受け継がれているという秘伝のタレで、自慢のシロをいただいてみたいですね。どうもごちそうさま。
終電の近い新橋駅はものすごい人の群れ。そんな人ごみの中、これからさらに「たこ助」で飲むという呑んだフルさんを見送ってからJRの改札を抜けると、続々と押し寄せる人波に横浜方面に帰るひろたろうさん、ゆきちゃんさんはもとより、同じ方面に帰るはずのA木さんまで見失って、気がつくと人ごみの中にひとりだけ。金曜日の新橋って、こうなんですね!(泣)

「ぼんそわ」のホッピー / もつカレー煮込み / 立ち飲み「壌」

「くら島」 / チューハイのセット / 店内の様子
・店情報:「ぼんそわ(前回)」 「三政」「大露路」「壌」「くら島」
《平成19(2007)年4月6日(金)の記録》
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