和服に割烹着の美人女将 … 小料理「燗酒屋(かんざけや)」(阿佐ヶ谷)
ポンと届いた近所の酒友・巨匠さんからの携帯メール。「開店1年4ヶ月の小料理屋、『燗酒屋』に居ます。和服に割烹着の美人女将(35歳)がひとりでがんばっています。来ませんか?」なにしろキレイ好きなもので、和服に割烹着の美人女将と聞いては見逃すわけにはいきません。「すぐに行きます!」と即答です。
JR中央線・阿佐ヶ谷駅北口の商店街を荻窪方面に進んだ左側に、目指す「燗酒屋」はありました。ここはかつて「桃園」があった場所。この近く数軒は、以前の店はなくなって、新しい酒場になっているのです。
さすがに開店1年4ヶ月(2005年末開店)ということを感じさせる真新しい縄のれんをくぐって店内に入ると、「桃園」のころと同じく縦に長い店内は、入口すぐのところにL字7人分ほどのカウンター席があり、その奥左手に二人ほどがやっと座れそうな小上がりがあるのも「桃園」のころのまま。しかし、「桃園」と同じなのは基本的な配置だけで、店内はきれいに改装されています。小上がりも「桃園」では荷物置き場の色合いが強かったのですが、今は本当に隠れた座敷席といった感じで楽しめそうです。
先客は3名。カウンターの手前と奥、そして真ん中に、それぞれひとりずつ、均等割り付け的に座っていて、真ん中に居るのが巨匠さんです。
「こんばんは。お久しぶりです」とあいさつをしながら巨匠さんのとなりに腰をおろすと、噂の和服に割烹着の美人女将が「いらっしゃいませ」とおしぼりを手渡してくれます。
「お飲み物は何にしますか?」と眼鏡美人の女将さん。なにしろ「燗酒屋」というくらいだから、まずは燗酒にしましょうか。「燗酒は、今日はこの4種類があります」と出してくれたのは「米鶴・特別純米」「鶴の友・純米」「天穏・純米」「白鷹・上撰」という4本の一升瓶。飲んだことのない「天穏」をいただくことにします。
後ろの壁にあるメニューによると日本酒は本醸造(小)が550円、純米(小)が620円とだけ書かれています。もしかすると、他にも銘柄ごとの詳細なメニューがあったりするのかな?
お通しは小鉢に盛られた豆腐サラダ。豆腐のほかにレタス、トマトなどが入っています。
食べ物のメニューは黒板に書き出されています。たとえば活〆チダイ刺(880円)、北海蛸刺(780円)、活ホッキ貝刺(580円)といった生もののほか、海老・イカと春野菜の天ぷら(650円)や地鶏の竜田揚(650円)などの揚げ物、さらにカレイの煮付け(700円)、蛤とウドの酒蒸(650円)、カニと百合根の玉子とじ(680円)、菜の花おひたし(480円)などの季節物、珍味の自家製このわた(480円)などなどと、まさに小料理屋と呼ぶにふさわしい品々がざっと20品ほど。ここの女将さんは神楽坂の小料理屋で修業をして、この店を開いたのだそうです。
入口引き戸が開いて入ってきたのは大常連さんらしき男性ひとり客。女将さんや巨匠さんと親しげにあいさつを交わしながら、巨匠さんの向こう側に座ります。さっそく巨匠さんにご紹介いただくと、この方はみんなから大将と呼ばれている、この地域の酒仙で、なんと私と同郷の大先輩なのだそうです。
大将は「春の新酒呑み比べセット」という三種類の地酒をそれぞれ50mlずつ冷酒で飲めて800円というセットから入ります。今日は「浪の音」「黒龍・垂れ口」「鳳凰美田・生酒」という三種類。なるほど、これもいい企画ですねぇ。
「大将もきたからアレを出してもらおうかな」と巨匠さん。出されたのは店内の冷蔵庫でよく冷やされた「スキー正宗・大吟醸」です。この店では持ち込み料を払えば、自分の好きなお酒を持ち込むことができるのだそうです。さっそくその「スキー正宗・大吟醸」のおすそ分けをいただきます。
北海蛸(たこ)刺(780円)の注文が2つくらい入ったところで、「はい。タコはこれで終了。○○君、悪いけどのれんをしまってもらえる」と、入口近くに座る若いお兄さんにお願いする女将。お刺身がなくなると、早い時間でももうのれんを片づけてしまうそうなのです。
大将や巨匠さんとともに、それじゃ私も最後のシメにと「おむすびと潮汁のセット」(450円)を注文すると、まず出された潮汁(うしおじる)が、鯛カマのあたりの身もおいしい絶妙の品。うーん。これは飲まないわけにいかない。燗酒をもう1本いただきましょう。
その場でにぎってくれるおむすびは、巻かれた海苔もパリッとおいしくて、思わず笑みがこぼれます。
ゆっくりと2時間半ほど過ごして、お勘定は巨匠さん、大将と3人で1万5千円ほど。美人女将に見送られながら、3人で店を後にしたのでした。
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