季節の肴を楽しんで … 居酒屋「ほ里乃家(ほりのや)」(鷺ノ宮)
日付けが変わるころにやってくることが多い「ほ里乃家」。今日は開店直後の早い時間帯にやってきました。
店の左端にある入口から店内に入ると、左手の壁は前面鏡張り。右手のカウンターはまず奥に向かって伸び、店の奥で右に曲がって、右端でまた折れてこちら側に少しだけ戻ってくる。ざっくりと例えるとアルファベットの「J」(右上が入口で、下が店の奥方向)の形をしたカウンターで、総席数は12席程度でしょうか。
土曜日、午後5時半(開店30分後)の店内は、老若男女がずらりと並び、残っている空席は3席ほど。やはり早い時間帯も人気があるお店なんですね。入口を入ってすぐの席が空いていたので、そこに座って瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、580円)を注文すると、今日のお通し(200円)は季節のウドです。
こうやってその季節のものが手軽に食べられるのも居酒屋のいいところ。ちょっと高級なお店では、少ーし季節を先取りしたもので喜ばせてくれたりすることが多いのですが、居酒屋で出されるのは旬真っ盛りで、その品物がもっとも出回るころ。こうなると味もいい上に、値段も安いんですよねぇ。
季節によって、またその日の仕入れによってかけ代えられる壁の短冊メニューにも、竹の子煮付け(400円)や青柳ぬた(400円)などの季節ものが並んでいます。青柳、いいですねぇ。これをいただきましょう。
店は店主夫婦がふたりで切り盛りしているのですが、開店直後のこの時間帯、十数人からいっせいに入る最初の注文品を一所懸命作っている状態です。この店の料理は、下ごしらえこそ済ませているものの、一品一品、注文を受けてから調理するからけっこう大変です。しかもJ字に囲まれたカウンターの中が厨房なので、調理の様子はみんなから丸見え。まるで舞台の上で料理ショーをしているような状態なのです。この店主夫婦の織り成す料理ショーを見ながらチビチビと飲(や)るのが好きなんです。
青柳のぬたが出てきたところで、飲み物も燗酒(剣、340円)に切り替えます。
青柳ぬたは、ゆで冷ました青柳と、ワカメ、白ネギが三色に盛り分けられた上に、その三色にまたがるように酢味噌がかけられています。「ぬた」は魚介や海藻、野菜などを辛子酢味噌で和えたもの。この青柳ぬたは、まさにその三種がすべて入っています。このぬたが燗酒によく合うこと!
カウンターの入口側に座ると、ちょうど目の前がおでん鍋。この時間にやってくると、おでん鍋もびっしりといっぱいなんですねぇ。おでんもまだまだ人気があって、今日もあちこちから注文が入っています。
店内は家族連れ(といっても未成年の人はいなくて、子供もお酒が飲める年頃)もいるし、男性、女性のひとり客もたくさんいる。みなさん常連さんらしく、それぞれ他の人のことをよく知っている様子で、親しく会話を交わしている。すでに店内は満席なんだけど、常連さんが入ってくるとみんながちょっとずつ詰めて間に入れてあげたりしています。まるで放課後の部室のような感じですね。
「お待たせしました」と、となりのおじさんのところに出されたのはメバルの煮付けです。比較的小ぶりのメバルではありますが、1尾丸ごとのメバルの煮付けがなんと620円! 鍋を見てみると、今できあがったばかりのメバルの煮付けが、まだ3尾残っているようです。
「私もメバル、もらっていいですか」「はいはい」
すぐにできたてのメバルをお皿に移して出してくれます。メバルやニシンは「春告魚」とも表記するほど春を代表する魚。ホロリとした身離れの良さがいいですねぇ。ヒレや頭までおいしいや。燗酒もおかわりをお願いします。
メバルを食べ終えて、「うーむ満足満足」と残っているお酒をなめているところへ入ってきたのは常連さんらしき男性ひとり客。「ありゃあ、いっぱいか」とつぶやくその男性に、「ここ空きますよ」と最後のお酒をグッと飲み干してお勘定をお願いします。
2時間弱の夕方飲みはビール1本、燗酒2本に肴が2品(+お通し)で2,480円でした。どうもごちそうさま。
瓶ビールとお通しのウド / 青柳ぬたと燗酒 / めばる煮付け
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