幻の煮込みはバランスの妙 … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)
うなぎ串焼の「川二郎」から徒歩約2分。もつ焼きの「石松」です。金曜・夜10時半の「石松」は例によって補助席まで満席。カウンターにずらりと座ったみなさんの後ろに立って、キンミヤ生茶割りを飲みはじめたところに入ってきたのは、歩く酒場データベース・K口さんです。K口さんも私の横に立って飲みはじめます。
今日のお通しはセンマイ刺し。千切りのキュウリが添えられてるのがまたいい食感を生むんですよねぇ。
少し立ち飲んでるうちに、入口近くの席がふたつ空いてK口さんとともにそこに座ります。私の右どなりは女性ひとり客のゆうさん、その右は大常連のS本さんです。座ったところで改めてカンパ~イ!
店主がさばきはじめたのはハツ(豚の心臓)。その様子を見て「私も」「ボクも」とまわりから便乗注文が飛び交います。もちろん私も便乗注文。みんなからの「ハツモトのところをお願いします!」という注文に、店主は苦笑しつつも「みんなにちょっとずつ入るようにするから」と優しいのです。
次なるレバーも便乗注文。みんなそれぞれレバ刺しをたのんだり、レバーの串焼きをたのんだり。私はレバ刺しハーフをお願いすると、大きなレバーのかたまりからスススッとレバ刺しを切り出してくれます。フルサイズ(1人前、10切れ程度)のときはゴマ油+塩で食べたり、醤油で食べたりと味を変えて楽しむのですが、ハーフサイズ(5~6切れ)は藻塩(もしお)+ゴマ塩でいただくことにしました。
こういうレバ刺しばかり食べていると、ちょっと鮮度の落ちるレバ刺しが食べられなくなってしまうのが難点です。昔はいろんなところでレバ刺しを食べていたのに、最近ではメニューにレバ刺しがあってもなかなか食指が動かない。プリッとエッジの立ったレバ刺しじゃないとなんだか許せないようになってしまったのでした。
焼き台の近くのコンロには家庭用の大鍋がのっていて、弱火でトロトロ煮込まれています。もしかすると幻の煮込みなのかな!? 「うーん。まだちょっと早いかな」と言いながらも、店主が煮込みを小鉢に軽めに盛ってくれました(煮込みハーフ)。
シロを中心にコトコトと長時間煮込んだ中に、豆腐も入ったこの煮込み。シロの裏側には脂肪がたっぷりなのに、決してしつこくはなくて、シロの弾力感を残しながらも、口の中でとろけるように柔らかい。脂っぽいのに、しつこくない。弾力があるのに、やわらかい。相反するはずの各要素が絶妙のバランスで共存してるのが、この店の煮込みの大きな特長。あぁ、それなのに。その絶妙な煮込みは、1回に家庭用の鍋1杯分しか作られないので、むしろ食べられることのほうが少ないのです。これが「幻の煮込み」と呼ばれている所以(ゆえん)でもあるのでした。さすがにうまいよなぁ。
煮込みを食べ終わり、ナンコツ塩をいただいているところで、「御天にも行ってみたいんですよねぇ」とK口さん。時計を見ると日付が変わって0時半過ぎ。「今ならまだ電車に間に合いますよ。行っちゃいますか!」と次なる行動が決定。
2時間ちょっとのもつ焼きタイムは、キンミヤの新ボトル(1,500円)も入れて2,500円でした。どうもごちそうさま。みなさんお先に。
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