天然真鯛の夕食会 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)
関東では刺身といえばなんといってもマグロですが、西日本方面では真鯛が喜ばれます。先日、「竹よし」で飲んでいるときに「次の食事会のテーマは何がいいだろう」と考えている店主に、「春だから鯛もいいですねぇ」と話していたら、本当にそれを実現してくれました。やったね!
第64回となる夕食会は、「開店15周年の前夜祭」(店は平成5(1993)年3月11日創業)と銘打って、食材は3.3kgあるという四国鳴門海峡周辺の天然真鯛を中心に、養殖の真鯛もたくさん。こうやって天然物と養殖物を並べると、天然物の鮮やかな色彩がきわだちますねぇ。単独で見ると赤い養殖物ですが、天然物と並べると黒々と感じてしまいます。
真鯛の刺身は普通の刺身のほかに、松皮造りも出されます。松皮造りというのは3枚におろした身を、皮をむかずに熱湯をかけて氷水で冷やし刺身にしたもの。鯛の身と一緒に皮のおいしさも味わえる一品です。合わせて出されたのはノレソレ(穴子の稚魚)。これまた春が来た感じがしますねぇ。
真鯛は塩焼きでも楽しみます。しっかりとした身が鯛の身上。淡白なようでいて、噛むほどにジワッとあふれる旨みが、この魚が人気があるゆえんなんでしょうねぇ。
鯛のカブト(頭)は、包丁1本でスパッと左右に割ることができるのだそうで、それを店主が実演して見せてくれます。頭の部分は、本当にザザザッという刃音も軽やかに割れていきますが、そこから胸肉のあたりにいくところでこれ以上切れなくなります。この先は硬い骨がある部分なんだそうで、まな板の上で包丁をガンガンと叩くように当てて完全に割り切ります。いやぁ、素晴らしい。きれいにまっぷたつです。
鯛のカブトは丸皿にのせてお酒をふりかけて蒸し器へ。鯛カブト酒蒸しができあがります。しっかりと歯応えがあった塩焼きに対して、こちら酒蒸しはふんわりととてもやわらかい。
潮汁(うしおじる)もできあがってきました。真鯛の出汁(だし)がたっぷりと出た潮汁は、それだけで絶品の肴(さかな)になって、お酒が進むこと進むこと。
そして鯛めし。鯛の身やカブトを入れただけでなく、鯛の出汁で炊き上げたという鯛めしは贅沢そのもの。骨を取って、木桶で全体を混ぜ合わせるとおいしそうな香りが店全体を包みます。お焦げがあるのもうれしいですねぇ。混ぜ合わせてる横から「ちょっと失礼」とお焦げの部分をつまみ食い。うまぁーっ!
「大贅沢をしてもいいかなぁ」と鯛めしに潮汁をかけていただくと、これがまた声が出ないほどおいしい!! 香りも味わも、体中すべてが鯛・鯛・鯛・鯛って感じ。んーーーっ。おかわりください。
最後は夕食会ならではの珍味もの。真鯛のウロコの天ぷらと、真鯛の子(卵巣)や内臓の玉子とじです。「ウロコを揚げてみようか」という店主の提案に、最初はウロコを素揚げして塩で食べるのかな、と思っていたのですが、天ぷらとは驚きです。鯛の子の煮付けも、西日本方面では定番ですが、内臓とともに玉子とじというのははじめていただきますねぇ。ネギや春雨もたっぷり入っていて、このままご飯にかけて丼にしてもおいしいかも!
「始まったころの夕食会はどんな食材だったんですか」という質問も出て、店主が古い資料を探してくれます。それによると、初期のころのある1年間の主食材は1月:活じめたら、2月:あんこう、3月:白身魚のしゃぶしゃぶ、4月:いわし・あじ、5月:かつお、6月:毛がに・たらばがに、7月:岩がき、8月:はも、9月:穴子、10月:関さば・関あじ、11月:かわはぎ、12月:寒ぶりというラインナップ。冬場のタラ、アンコウ、ブリ、そして初夏のカツオ、夏場のハモ、アナゴは昔から続いてるんですね。
午後9時終了がメドなのですが、みなさんとワイワイ楽しく過ごすうちに、今回もまた気がつけば10時前。いつも遅くなってしまいすみません。
なおとんさん作・豚耳サラダ / のれそれ / なおとんさん作・豆のサラダ
炊きあがった鯛めし / 木桶で混ぜて / 潮汁をかけて食べる
鯛かぶとに包丁を入れて / ザザザッと割って / 左右にまっぷたつ
鯛かぶとの酒蒸し / 珍味・鯛ウロコの天ぷら / 鯛の子(卵巣)や内臓の玉子とじ
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