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2007年5月

そしていよいよお勘定 … 「奇天烈な店」(4/4)

奇天烈な店』(村松友視・著)を読んで、ぜひ来てみたかった、このお店。

このゴールデンウィーク9連休のテーマを「近くの名店を探る」と決めたときにも、実は脳裏には、この店のことが浮かんでいたのでした。今日になってダメモトで電話をしてみたところ、すぐに入れることになって、やっと長年の課題が解消できたのでした。

ビール1本に、ぬる燗3本を飲みつついただいた、他の店では決して味わうことのできない12種類の品々。改めて並べてみると、次のとおりです。

  1. ホタテの上にウニをのせて焼いたもの
  2. ホッキ貝の白味噌和え
  3. 真鯛の胃と腸を煮たもの
  4. カレイの煮こごり
  5. マグロの皮の煮物
  6. 三陸産のノレソレ
  7. 厚岸産の白魚
  8. 石鯛のレバーの腸詰煮
  9. 塩でいただく本マグロの刺身
  10. カツオの酒盗
  11. アオヤギの水管の弁
  12. 石ガレイの胆汁(2年もの)

ひとつひとつ細心の注意を払って、ものによっては数年という単位の時間をかけて、一点の妥協もなく仕上げられた品々。そのすべてが感動的な料理でした。

さあ、そしていよいよ恐怖の(?)お勘定のとき。

「お勘定はこちらです」

おかみさんが小さな紙片を手渡してくれます。恐る恐るその紙片に目をやってみると……。

「9,870円」

どう少なく見積もっても2~3万はいるな、と思っていたので、ガクッと拍子抜け。がしかし、この値段で、あれだけのものが食べられたというのが信じられない。

改めて『奇天烈な店』を読むと、実はこの値段のことについても触れられていました。本文は会話形式なのですが、その中で親方(店主)の語りの部分をまとめると次のようになります。

『この店で出すものはすべて、ネタが最高じゃないと成り立たないでしょ。でもね、この店の値段はそんなに高くないでしょ。最高のネタとこの店の値段……これにはやっぱり手品がありましてね。仲買人の友だちなんですよ。イサムっていうんですがね。そのイサムが、バカ高いネタのすぐそばあたりの、本当に旨いところを、そっと取っといてくれるってわけでね。彼が、奇天烈な店の手品のネタですね』

とにかく刺身や塩辛、煮物といった、普通のものですら、ここの店主にかかると普通じゃなくなってしまうという、このお店。値段も普通じゃありませんでした。

支払いを済ませて出口へと向かうと、店主と、おかみさんが
「どうもありがとうございました。またお待ちしてます」
と笑顔で見送ってくれます。

入口近くの4人連れに「お先に」と声をかけ、いつも拒むように店の内側にかけられているノレンをくぐり、「ごちそうさま」と外へ出ます。最後にいただいた石ガレイの胆汁の甘みと旨みを余韻として楽しみながら店を後にしたのでした。

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《平成19(2007)年5月4日(金)の記録》

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2年寝かした魚の胆汁 … 「奇天烈な店」(3/4)

10品目。大ぶりのお猪口風の器で出されたのは、自家製らしきカツオの酒盗です。

この店を題材にして作られた小説『奇天烈な店』(村松友視・著)には、カツオの酒盗は登場しませんが、その代わりイカの塩辛やサンマの塩辛が載っています。

例えばイカの塩辛。『まず身とわたの水分を切り、身は一夜干しにする。わたをザルに入れて塩をふり、冷蔵庫にひと晩入れて水を切る。そのあと、身を細切りにし、わたをしごいて合せる。そのとき、塩は一度に決めないで、2、3日かけて少しずつ決めてゆく……』

サンマの塩辛は、会話形式で記載されているのですが、それをまとめると『サンマの星(心臓のこと)、胃、腸、胆のう、レバーなど、全部の臓器を半年くらいホワイトリカーにつけておくんですよ。で、半年後にホワイトリカーの水分をよく切ってから、塩だけでつけ込んで、月に1回よくかき混ぜる。4、5年たって味わってみると、何かこの、遠い昔の便りを味わっているような、不思議な逸品になる』というすごいものらしいのです。

時間をかけて、手間をかけて。それが、この店の、この店主のやり方なんでしょうね。

店主の手が空けば、このカツオの酒盗についても話を伺いたいところなのですが、予約の4人が来店した直後とあって、ちょっと忙しそうです。

11品目として出されたのは、これまた小さな角皿にのせられた透明な棒状のもの。タコの卵よりもまだ細くて長いのが4~5本。なんだろうなぁ。いろんな角度から見てみても、箸でつまみあげてみても、これまでに見たことがないものです。

どーれ、と口に入れてみると、卵なら表面の皮がプツンと破れて、中身がとろんと出てきそうですが、そのプツンの食感もない。全体として弾力感があります。うーん。ますますわからん。

予約の4名への一連の料理も一段落し、ちょうど店主の手も空いてきたようです。

「これは何なんでしょう?」
「これはねぇ。アオヤギの入水管と出水管の間にある弁なんですよ。これがあっちに行ったり、こっちに行ったりすることで、水の出入りが切り換わるらしいんですね」
「なんと……」

ただでさえ小さい貝の身を解体して、この弁を取り出したんですね。まさに「鮨屋というより医者、料理というより腑分け」です。

「この店の前は、何度も通ったんですけど、なかなか入れなかったんですよ。『奇天烈な店』には一見さんお断りと書いてあるし……」
「ご覧のとおり、狭いお店ですので、予約をしていらしていただければ大丈夫ですよ。毎月いらしていただけると、その季節ごとの料理を味わっていただけますから、ぜひまたいらしてください」

なるほど。言われてみれば、常連さんらしき4人連れの前には、私のところに出された珍味系も何品か出ていますが、ほとんどは季節の小鉢系の料理です。しょっちゅう来られているようなので、その時季、その時季の品物を中心に出しているんでしょうね。

「営業時間は?」と尋ねてみると、「予約していただいた時間に営業するようにしてるんですよ。日曜日はお休みです」という返事。なるほど、ふらりと入ってくるお客さんは(よほどの常連さんでない限り)いないわけだから、すべて予約次第ということなんですね。

カウンターの奥の壁(バーで言うとバックバーのところ)の右手上部にはテレビも置かれていて、ひとり客でも手持ちぶさたにならないようになっています。

「はい、これ」と差し出してくれたのは、店主の親指と人差し指ではさんで、上に向けて立てた爪楊枝。

「先っぽに緑色の結晶が付いてるでしょう。1回分が、だいたいこれくらいの量ですから、それくらいずつ舌の上にのせてみてください」

爪楊枝と一緒に、またまた2~3センチ角の小さな小さな小皿が登場です。その小皿の中央に、ポツンとのっている若草色の小さい塊の結晶が、この爪楊枝の先っぽのものなんですね。

「石ガレイの胆汁です。これは2年ものです」と店主。

出ました石ガレイの胆汁! 『奇天烈な店』で紹介されている料理のうち、もっとも食べてみたかったのが、この石ガレイの胆汁なのです。

この石ガレイの胆汁については、『奇天烈な店』の中で、親方(店主)の語りとして、その作り方が載っていますので引用させていただきます。

『まず、石ガレイの胆汁を小さい瓶に入れて、フリーザーに収めるんですよ。200尾分くらいの胆汁が貯(たま)ったところで取り出して、解凍したら瓶の中央に竹串を入れて、またフリーザーに収める。そうやって2、3日おいて、また取り出してということをくり返すんですよね。そうすると、余分な水分が竹串に附着しますから、これを捨てる。それを何度かくり返すと、胆汁の原液ができるんですよ、つまり100パーセントの胆汁ね。量なんか、もとの5分の2くらいになっちゃう。その原液に塩を入れて2、3年冷凍庫に入れておくんですよ。そうするとこういう若草色の結晶体になるんです』

爪楊枝の先っぽの緑の結晶を、舌の上にそっとのせます。ぐぅ~っ。苦ぁ~~っ。しかし、そのあといただく日本酒は、こんなに旨かったのかと改めて思うぐらい、ものすごく甘く、旨く感じます。

これを書くのにあたって、『奇天烈な店』を読み返していたところ「しまった!」と思ったことがひとつ。この胆汁は舌の上にのせたまま、唾液(だえき)の分泌をじっと待っていると、唾液が出てくると甘みが生じて、その変化が愉(たの)しいのだそうです。

『最初、源さんは苦みが酒に合うのかとばかり、ケシの実ほどの胆汁を口に入れるとすぐ、酒を飲んでいた。しかし、それでは口中における味の変化という、最高の愉しみが欠落してしまうことを知り、いまでは酒をじっと我慢しているようになった』

うーむ。私は初期の源さんと同じことを、やっちゃったようです。すぐにお酒を飲んじゃったなぁ。それでもものすごい味わいでした。でも、次の機会には、絶対にお酒を我慢して、味の変化を楽しまなきゃね。

つづく) / [→第1話に飛ぶ

《平成19(2007)年5月4日(金)の記録》

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塩でいただく本マグロ … 「奇天烈な店」(2/4)

「カレイの煮こごりです。ゼラチンを使わず煮汁だけで煮こごらせてますから、置いておくだけで溶けていきますよ」

4品目となる小皿の上には、茶色に透き通った煮こごりが2本並びます。箸でちょっと切り分けて口に含むと、チュルチュルと溶けて、口の中いっぱいに濃厚なカレイの味わいが広がります。んーーー、これはすごいっ。お酒、お酒。

この煮こごりは、最初から煮こごり用として繊細に作られていますが、昔の煮こごりの味って、これに近かったですよねぇ。夕飯で多めに炊いた煮魚の汁が、翌朝になると美しく煮こごっている。それを奪いあうように切り分けて、炊き立てのごはんにのせると、ごはんと接したあたりからどんどん溶けていく。全部が溶けてしまわないうちに、大急ぎでごはんをかっこんだものでした。

「マグロの皮の煮物です。ウロコを落とした皮を巻いて甘辛く煮たものです。はじめていらっしゃったので、いろいろとご説明していますが、そのうち説明しなくなりますからね」

あははは。この店のことが、フィクションとして描かれた『奇天烈な店』(村松友視・著)でも、常連客の源さんと鈴木さんが、親方(店主のこと)に黙って出された料理を前に「なんだろう?」と、やり取りするシーンが数多く描かれてますよね。

5品目のマグロの皮の煮物は、直径2~3センチ、高さ5ミリほどの円盤型のものが、小皿に2個。上から見るとロールケーキの断面のように、クルクルっと渦巻いている。なるほど、このねちっこい弾力感が皮らしいですね。

6品目は、これは一目でわかるノレソレです。ただし、その出され方がすごいっ。

黒く細長いミニまな板皿の上に、ノレソレの体長の半分くらいのクッキングホイルを敷いて、その上に頭を左にしたノレソレが、きれいに整列している。ちょうど身体のまん中あたりがクッキングホイルの上にのっているので、身体に薄く点々と付いている模様や、体内の骨の様子もよく見えます。それ以外の頭のほう、尻尾のほうは、黒いお皿の上にあるため、はかないほどの透明感がより増して感じます。すばらしい演出です。

ミニまな板皿の端っこには、小さな小さな醤油皿がのっていて、一味のよく効いた、ピリ辛のポン酢醤油が入っています。

1尾1尾、いとおしむように持ち上げては、ピリ辛ポン酢をつけてチュルリ。

このノレソレは三陸沖辺りでとれたものなんだそうです。季節とともに、ノレソレ(=アナゴの稚魚)の捕れる場所も、だんだん北上していくんでしょうか。

「はいどうぞ」とカウンター越しに、これまた頭を左にきれいに盛りつけられて出てきたのは白魚(7品目)。この白魚は厚岸(あっけし)産のものなんだそうです。
「厚岸のものじゃないと、ハラワタに苦味があったりしてダメなんですよ。味が濃厚でしょう」と、店主も満足げな笑顔です。

続いて2~3センチ角位の、とても小さい小皿で出されたのは、直径8ミリ、高さ1センチほどの小さい円筒形が2個。なんだ、これは!? そんな様子をニコニコと見ていた店主、ややあって、

「これは石鯛の腸に、同じ石鯛のレバーを詰めて焚(た)いたものなんですよ」

やぁ、そうですか。これも食べてみたかったもののひとつです。件の『奇天烈な店』では、穴子の胃と腸の煮物として、同様な円筒形が細長い皿にずらりと並んでいる様子が描かれているのです。

石鯛のレバーの腸詰煮(8品目)は、腸のしっかりとした弾力感の中に、レバーの濃厚な味わい。たまりませんねぇ。

9品目は、これも見た目でわかるマグロの刺身。本マグロの中トロらしいのですが、なんと「塩がのってますからそのままで」と店主。言われるままに、脂のたっぷりとのったマグロの刺身を、そのまま何もつけずに口に運ぶと、なるほど確かに、いい塩味がついています。鼻の奥からはフワリと漂うニンニクの風味。なるほど、とろけるようなマグロは醤油より、このニンニク塩でいただくほうが合うなぁ。

塩が効きすぎているでもなく、足りないでもなく。まさにこの刺身を食べるための絶妙なる味加減なのです。

分厚く切られた、すごく脂ののったマグロなのに、1枚、また1枚と、気がついてみると、あっという間に6切れほどの刺身を食べ終えてました。

マグロ刺身を食べている途中に入ってきたのは4人組み。両親と、そのお子さんふたりといった構成ですが、お子さんふたりも大人で、いっしょにお酒を飲み始めます。もしかすると、お子さんふたりではなくて、息子さん夫婦、あるいは娘さん夫婦なのかもしれませんね。いかにも常連さんらしく、店主やおかみさんと親しそうに会話を交わしながら、まず出された何品かを食べはじめます。

ここまでガガガッと連続的に食べ進んできたのですが、この常連ご家族が入ってきて、ふとまわりを見る余裕ができたところで「待てよ」と、ある不安が心をよぎりはじめます。

そう。お勘定のことです。さっきの本マグロの刺身ももちろんそうですが、これまでいただいた内臓や皮だって、それだけ単品で市場で売っているわけではない。あれだけしっかりとした内臓や皮を手に入れるためには、かなり質のいい、鮮度の高い魚を仕入れる必要がある。そのことは、目の前のネタケースに並んだ魚介類を見てもわかります。

なにしろ、店内にはメニューも何もいっさいないので、どの程度のお勘定になるのかの皮算用もできません。

他では食べられないような、珍しい逸品がいただけるのだから、それなりに値も張るに違いないと、今日は財布の中に3~4万円ほど入れてきているのですが、もしかすると、それでは足りないかも。クレジットカードも使えそうにないしなぁ。まぁいいか。いざとなったら「ごめん」と断って、近くのコンビニATMに走りますか。

ということで、魚の肝ならぬ、私自身の肝も据わったところで、「お酒のおかわりをお願いしまーす!」

つづく) / [→第1話に飛ぶ

《平成19(2007)年5月4日(金)の記録》

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料理というより腑分け … 「奇天烈な店」(1/4)

村松友視氏が、今から10年ほど前に著した『奇天烈(きてれつ)な店』という小説があります。なにしろ小説ですので、あくまでもフィクションなのですが、『東京都内、ある駅の北口で降り、ロータリーの向う側にあるアーケード街を歩いて行くと、左手に眼鏡屋がある。眼鏡屋の看板には、視力の検査表がデザインとして使われているが、その看板の手前を左に折れ、二人並んでは窮屈なほどの狭い小路を覗(のぞ)くと、突き当りに店の入口らしい引戸が見える。だが、いつ行ってもノレンは内側に透かし見えるだけ。とても営業中の雰囲気はない。店内はとりあえずといった感じの灯(あかり)がついていて、人影が見えたり見えなかったり……通りがかりの人が引戸を開けるには、かなりの思い切りがいるといった趣だ。つまり、一見(いちげん)の客を拒絶する気配が、店全体にただよっているのである』という、この小説の冒頭部分そのままのお店が実在しているのです。

この店を知ったのは5年以上前。以来、気になって気になってしょうがないお店だったのですが、村松氏のフィクションによると、人見知りな店主は、ふらりと入ってくる初めてのお客をみんな断っちゃうと書かれている。しかも、この小説を何度も何度も読むにつれて、ますます常連さんたちの秘密の隠れ家的なイメージが高まっていって、何度も店の前は通るのに、勇気を出して入口の引戸を開けてみるまでには、いたらなかったのでした。

しかし、今回の春連休中のテーマは「近くの名店を探る」。そのテーマにそって、どうしても押さえておきたい1軒が、このお店だったのです。

いきなり行くと、人見知りの店主に断られるに決まってる。よーし。電話をしてみよう。店の名前をタウンページ(職業別電話帳)で調べると、ちゃんと載ってました。
「もしもし。初めて電話しますが、私、村松友視さんの『奇天烈な店』という本を読んで、ぜひそちらに伺ってみたいんです」
「あぁ、そうですか。それはそれは。狭い店ですので、予約をしていらしていただければ結構ですよ」
小説のイメージから、人見知りで、頑固なオヤジさん像を描いていたのですが、電話の声はとても穏やかで、やさしい。
「その予約は、今日でもいいんでしょうか」
「え? 今日ですか? 何時ごろでしょう?」
「6時には行けますっ!」
やったぁ! 行ける! と思って、つい勢い込んでしまう私に、店主からは
「はいはい。お待ちしてますよ」と、にこやかな答えが返ってきます。

電話を切って、ルンルンと足取りも軽く店へと向かいます。いつもはガツンと拒まれているように見える入口の内側ノレン。でも今日は平気です。よいしょ、っと開ける引戸も心地よい。

「こんにちは、先ほど……」と言いかけたところで、
「はいはい。お電話の方ですね。いらっしゃいませ。こちらにどうぞ」と、カウンターの中にいるニコニコ笑顔の店主と、同じくニコニコ笑顔のおかみさんの二人が迎えてくれます。入口から、右手に向かって伸びる横一線、7人分だけのカウンターには先客は無し。ただ、入口のすぐ近くの4席に箸置きや、お箸が並んでいて、そこが予約席であることが示されています。そして、その4席からひとつ空けて右側、右端からふたつ目のところに、もうひとつお箸が置かれているところが、私用の席のようです。

「突然すみません。よろしくお願いします」とその席に座り、受け取ったおしぼりで手を拭きつつ、まずはビールを注文します。

店内にはメニューは一切なく、普通の寿司屋と同じように、カウンター上のネタケースの中に今日のネタがずらりと並んでいて、カウンター内の壁(バーで言うとバックバーのところ)に、日本酒の一升瓶などが比較的無造作に置かれています。

おかみさんから「はい、どうぞ」と出されたビールは、キリンラガー中瓶。それをトトトッとグラスに注いで、まず一杯。ッハーッ! よし。これでいつもの調子だ!

毎度のことながら、新しいお店に初めて入るときは、やっぱり緊張するんですよねぇ。その店で、1杯目のビールやお酒をいただいて、やっと少し緊張がほぐれる感じがするのでした。

「『奇天烈な店』を見ていらっしゃったんなら、あの本に出ていたような品物を適当にお出ししますね」と店主。
「それを楽しみにやってきました。ぜひよろしくお願いします」
「あの本が出てから、もう10年近く経ってますから、内容は少し変わってますよ」

そう言いながら出してくれた一品目は、小さい3センチ角くらいのお皿に、箸でひとつまみできるほどの小さな塊(かたまり)が1個。

「ホタテの上にウニをのせて焼いたものです」

ほぉ。『奇天烈な店』の中では、ウニのホタテすり身包みという品が紹介されていますが、それの現代版なのでしょうか。焼いてしばらく置いてから出すのか、ちょっと薫製っぽい硬さ。ただし、当然のことながら燻蒸香はなく、口に含んで噛みはじめると、口の中いっぱいにウニの香りが広がり、舌の上にはホタテの濃厚な旨みが広がります。うーん。1品目からやってくれるなぁ。

「ホッキ貝の白味噌和えです」

追いかけるように出された2品目は小鉢のホッキ貝。ヌタでもなく、もちろん醤油でいただく刺身でもない。口にはまったく出さないけれど、店主の笑顔の後ろには「ホッキ貝はこうして食べるのが一番おいしいんだよ」という自信のようなものを感じます。

こうなると、やっぱり日本酒ですね。まだビールも2杯分ほど残っていますが、これはときどきチェイサーでいただくことにして、さっそく燗酒をお願いします。

次に出された、お猪口くらいの大きさの小鉢には、少量の煮物(3品目)。んー? なんだろう? 怪訝そうな顔をしていると、店主が「真鯛の胃と腸を煮たものです」と教えてくれます。

私自身、かなりのモツ好きだと自認しているのですが、それでも食べたことあるモツは豚、鶏、牛くらい。魚のものは、鰻の肝の串焼きか、鮎や秋刀魚を焼いたときに、丸ごと内臓もいただく程度。この店では、その魚のモツをいろいろといただくことができるのです。とはいうものの、豚・牛の内臓と比べると、はるかに小さい魚の内臓。件の『奇天烈な店』でも「鮨屋というより医者、料理というより腑分け」と称されているほどです。

豚や牛の胃・腸(ガツ、ミノ、センマイ、シロ、テッポウなど)もしっかりとしていますが、この鯛の胃・腸の弾力感もすごいですねぇ。魚のモツも、こんなにうまいんだ!

つづく

《平成19(2007)年5月4日(金)の記録》

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丸ごと一本きゅうり味噌 … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

わが家の近くには、他がお休みのときにも営業してくれている酒場が多いのです。そんなお店に敬意を表して、9連休が残り4日となった今日だけのテーマは「連休中もやっている自宅近くの馴染みのお店」。その3軒目は西武新宿線・鷺ノ宮(さぎのみや)駅のすぐ近くにあるバー「ペルル」です。この店は、通常は日曜・祝日は休業なのですが、ゴールデンウィークなどのように祝日が連続する場合には変則的な営業になることもあるのです。

今回の連休の場合は、4月29日(月)、30日(火)だけ休みで、5月1日(水)~5日(土)は普通に営業です。って、いかにも知ってたように書いてますが、私自身も先日(4/28(土))来たときに、はじめて知ったような次第です。

祝日、午後8時の店内はゆるやかーに7割り程度の入り。私もカウンターの奥のほうに陣取って、キープボトル(ブラックニッカ)を水割りセット(500円)でいただきます。

この店にはじめてやってきたのは今から4年前の平成15(2003)年2月。当時、「ペルル」のとなりで営業していた「鳥芳」に足しげく通っていたときに、「鳥芳」のお客さんから「ペルル」の噂を聞いて、やって来たのでした。

その噂というのは、「ペルル」が、アニメ「笑うセールスマン」に出てくるバー「魔の巣」のモデルだということ、そして、その「ペルル」のマスターが、アニメに出てくる「魔の巣」のマスターにそっくりだということの二つでした。なんでも、「笑うセールスマン」のディレクタと、アニメの背景を書いている人がこの店のお客さんだったのだそうです。

昭和35(1960)年創業の「ペルル」は、この界隈でも、おそらく一番古い老舗酒場。古い酒場には、昔から通っている年配のお客さんが集まることが多いのですが、この店はどういうわけだか、そんなこともない。比較的、私と同じくらいの中間年代層(30~50代)のお客さんが多いように思います。店の形態がバーだからかなぁ。

店内の造りはいかにもバーなんだけど、店の外の看板は「居酒屋ペルル」となっていて、特にかっちりとした厨房設備もなさそうなカウンターの中なんだけど、そこで焼きうどん(600円)などをはじめ、あさぶろ(600円)、パラスパ(500円)といった、この店の名物料理が作られるのでした。

私もなにか一品いただきましょう。お腹はいっぱいなので、簡単な、あっさりとしたものがいいかな。「一本きゅうり味噌」(100円)にしましょう。

「お。こっちも一本きゅうり味噌!」

となりに座っている常連さんからも、合わせて注文が入ります。この常連さんなんて、日本酒の一升瓶を抱え込むようにして飲んでますからねぇ。この空間だけ見ると、とてもバーとは思えない。ますますもって、今日は「“居酒屋”ペルル」だ。

「ひぇーっ。しかもこのお酒、「越乃寒梅」の別撰(特別本醸造)じゃん。すごーいっ」

なんて言ってたら、「1杯どうぞ」と分けてくれました。どうもありがとうございます。あはは。ブラックニッカの水割りをチェイサーに、越乃寒梅だ!

一本きゅうり味噌は、その名のとおり、長方形のお皿に丸1本のきゅうりが、そのままのせられて、横に味噌が添えられたもの。ワシッと手づかみにして、味噌をチョイチョイとつけながらバリバリシャクシャクといただきます。このなんでもないようなつまみが、実にうまいんだなぁ。トマトしかり、冷奴しかり。

「そんなもの、わざわざお店でたのまなくたって、お家だって食べられるじゃない!」

カミサンによくそう言われるのですが、「そんなもの」を「わざわざ」店でたのんで食べるのが、またいいんです。家で出てくるときには、他に色々とあるおかずの副菜でしかない品々が、酒場ではれっきとした酒の肴、立派な主菜になるんですからねぇ! じっくりと味わえるというもんです。

さてさて。少し早めながら、今日はこれで腰をあげますか。午後9時半まで、1時間半ほどの滞在は600円でした。ごちそうさま。

「連休中もやっている自宅近くの馴染みのお店」。わが家の近くには、他にもやっているお店がたくさんありますが、今宵は、ひとまずこんなところで。

自宅を出発してから、すべて徒歩で、野方(秋元屋)→都立家政(竹よし)→鷺ノ宮(ペルル)と、行きつけのお店を飲み歩いた、連休の一夜でした。

070503m 070503n 070503o
ブラックニッカ水割り / 一本きゅうり味噌 / 「越乃寒梅」特別本醸造(別撰)

店情報前回

《平成19(2007)年5月3日(木)の記録》

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貝の季節を楽しんで … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

9連休6日目となる今日だけのテーマは「連休中もやっている自宅近くの馴染みのお店」。ここしばらく、電車に乗って東へ西へと出かけていたので、今日はゆっくりと自宅近くで過ごそうという考えです。

野方の「秋元屋」をあとに、歩くこと約10分。西武新宿線・都立家政(とりつかせい)駅のすぐ近くにあるのが、魚料理と天ぷらの「竹よし」です。

この店の近所に住むT田さんから『「竹よし」もおすすめです。小さなお店で、マスター夫婦がこぢんまりとやってます。私はよくここで、お好みで天婦羅を食べながらチビチビ飲んでます』というメールをいただいたのが、平成13(2001)年6月のこと。そのひと月後ぐらいに初訪問して以来、現在に至るまで、6年ほど通い続けているお店です。

その後、奥様(ママさん)が亡くなられて、今は店主ひとりで切り盛り中。この店も、連休中だろうと、お盆だろうとやっててくれるのがうれしいですね。

「こんばんは」と入った祝日の午後6時過ぎの店内は、先客はなし。

カウンターの一番奥あたりに座って、燗酒(菊正宗、350円)を注文すると、今日のお通し(200円)はシラスおろしです。
「シラスおろしには、辛い大根を使ってみました」
と言いながら見せてくれる大根は、太さは普通の大根と同じくらいながら、長さがうんと短い。ほぉ。確かにピリッと辛味が効いていて、お酒によく合いますねぇ。

そのお通しをつつきつつ、カウンターの中の壁に書き出されたメニューを選びます。

定番のメニューはあるものの、その日その日の仕入れによって書き変わりますからねぇ。よーくチェックしないと、あとで「えーっ、そんなのもあったの!? しまったなぁ」なんてことになりかねません。

刺身はクジラ(650円)のほか、ホウボウ(650円)やトビウオ(500円)、殻付き大平貝(700円)、ホッキ貝(500円)などなど。人気の刺身盛り合せ(1,000円)は、その日おすすめの刺身が5点盛り合わされる定番メニューです。

焼きハマグリ(500円)や穴子白焼き(750円)、煮魚メバル(750円)にも引かれるなぁ。

5月に入ったものの、つい先日まで最低気温が10度ほどと、とても寒かった余波(なごり)か、まだ牛もつ鍋(700円)、深川鍋(700円)、ねぎま鍋(800円)、かに雑炊(800円)などの鍋物メニューも残っています。

ここ数日間、飲み続けで疲れた胃には鍋物(汁物)がありがたい。ちょうど旬の時季でもあるし、今日は深川鍋(アサリ鍋、700円)をいただきますか。

「はい。深川鍋ね」

注文を受けた店主は、それから深川鍋の支度に入ります。もちろん出汁(ダシ)などは、あらかじめ用意されているのですが、基本的にすべての料理は注文を受けてから作ってくれます。だから、今のように客が少ない(私ひとり)のときは問題ないのですが、お客さんが増えてくると大忙しになるのです。この近くでは「ピュアー」や、手伝いの入ってないときの「石松」などもそうですが、店主ひとりでの切り盛りというのは、どことも大変なようです。

できあがってきた深川鍋は、ひとり用の小鍋にアサリの剥き身、ネギ、豆腐、三つ葉などがたっぷりと入って、最後にフワフワと玉子をのせたもの。加熱されてプクンと膨らんだアサリの身が、実においしいですねぇ。燗酒(350円)もおかわりです。

「こんばんは」と入ってきた男女ふたり連れ(たぶん夫婦)。カウンターの入口側に座ると、生ビール(500円)でスタートし、人気の刺身盛り合せ(1,000円)をはじめ、何品かの料理を注文します。土日の夕方は、家族連れや夫婦で来店する人が多いらしいのですが、祝日の今日もそういった感じになるんでしょうか。

ガラリと入口引き戸が開いて入ってきたのは男性ひとり客。私と男女ふたり連れの間、ちょうどカウンターの中央部に座り、注文した料理はホッキ貝の刺身(500円)です。

そう! ホッキ貝にも引かれたんですよねぇ。大きな貝殻に盛り込まれたホッキ貝は、熱を通すとおなじみの赤い色ですが、生の状態だと赤くなる部分は黒いんですね。へぇーっ。

なんて観察をしていたら「どうですか」と、ホッキ貝のお皿をこちらに寄せてくれます。えっ!? そんなにもの欲しそうに見えてましたか。これは失礼。でもありがとうございます。どーれどれ、とプリプリの生ホッキ貝をひと切れいただきます。

小鍋立て、一人前の深川鍋ではありますが、鍋いっぱいとなると、けっこうボリュームもあって、他の料理は食べられないほどなんですよねぇ。よろしければ深川鍋もどうぞ。

そんなことから、このお客さん(近所に住むK村さん)と、ひとり客同士、話をはじめます。同じ地域に住んでいても、なかなか話をしたりする機会はないものですが、酒場だとごく自然に話ができるのがいいですよねぇ。

K村さんの注文したホッキ貝には、実はおまけが付いていて、肝の部分を蒸し器でちょっと蒸して、別盛りで出してくれます。これは紅葉おろしにポン酢醤油でいただくのです。「よろしければ、これもどうぞ」と言ってくれるK村さん。えぇーっ、いいんですかぁ、と言葉では遠慮しながら、すでに箸は伸びています。(爆)

午後8時前に、女性ひとり客(食事会でもお会いした方)がいらっしゃったところで、入れ代わるようにお勘定をお願いすると、1,600円。2時間弱の貝づくしでした。この季節、貝がうまいですねぇ!!

070503g 070503h 070503i
お通しはシラスおろし / 辛い大根 / 深川鍋と燗酒

070503j 070503k 070503l
プクンと膨らんだアサリ / ホッキ貝刺身 / ホッキ貝のキモ

店情報前回

《平成19(2007)年5月3日(木)の記録》

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ツルリとレバ生 … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

5月3日「憲法記念日」。大型9連休も折り返し点を過ぎ、残すところ今日も含めて4日間となりました。

この連休中は「近くの名店を探る」をテーマとして、荻窪~阿佐ヶ谷方面、立川~小金井方面、そして高田馬場~大久保方面と、近くにあるのに普段あまり行くことができないあたりに出没してきました。

しかしながら、はじめて行くお店や、久しぶりとなるお店が続くと、なにやらちょっと疲れます。の~んびりとくつろぐために行く居酒屋で疲れてたんじゃ、まったくもって本末転倒ですね。ここらで休憩を取ることにいたしましょう。

そんなわけで、9連休6日目となる今日だけのテーマは「連休中もやっている自宅近くの馴染みのお店」。

とってもありがたいことに、わが家の近くにはゴールデンウィークだろうが、お盆だろうが、正月だろうが、わりと普通に営業してくれている酒場が多いのです。

年中無休の大手居酒屋チェーン店も多いので、ただ単に「飲む」という点だけに絞れば、まったく困ることはない状況なのですが、行きつけの酒場で「の~んびりとくつろぐ」ことができるのであれば、それに越したことはないですもんね。

今日の1軒目は、わが家から歩いて15分ほどのところにある、もつ焼き屋、「秋元屋」です。

平成16(2004)年の年明けにオープンした「秋元屋」は、今や店に入ることすらむずかしいほどの大人気店。昨年末に改装し、10人分ほど収容力が増えたのですが、焼け石に水状態なのです。

店に着いたのは開店時刻の午後5時ちょうど。この時刻なら大丈夫だろうと店内に進むと、なんとカウンター(15席ほど)も、外のテーブル席(10席ほど)もいっぱい。えぇーっ、なんでだ?? と思いつつも、入口のところで「いらっしゃい。ちょうど1席空けて待ってましたよ」と冗談を言いながら、焼き台の前にかろうじて空いていたカウンターの1席を指し示してくれる店主の案内に従って、そこに座ります。

そうかっ! 今日は祝日だから、日曜日と同じ営業時間なんだ!

「秋元屋」は、平日(火~金)は17:00~24:00の7時間営業。土曜日は開店時刻が午後4時になって、終わりは変わらず(8時間営業)。そして日曜・祝日は16:00-22:00の6時間営業となるのでした。

そんなわけで、祝日の今日は午後4時開店。今は開店から1時間後という、言ってみればピーク時間帯なのでした。しかも、明日からゴールデンウィークの4連休とのことで、今日はその前に「秋元屋」の“やきとん”を食べておこうというお客さんたちで大にぎわい。この時間によく入れたよなぁ。

今日も、まずはこのところ定番となっているシャリキン赤ホッピー(410円)でスタートです。シャリキンと言うのは、シャリシャリのフローズン状態まで凍らせた金宮焼酎のこと。これを王冠の色が赤い、普通のホッピーで割るのがシャリキン赤ホッピーなのです。

ホッピーは三冷(焼酎を冷し、ジョッキを冷し、そして割るホッピーも冷す)がおいしいと言われますが、シャリキン赤ホッピーは、もっともっと冷えています。その冷え具合たるや、冷たさが先に立って、ほとんどアルコール度数を感じないほど。それでいて、ホッピーの炭酸感(シュワシュワ感)はしっかりと感じますから、飲みやすいことこの上ない。気がつくとガッツリとやられちゃってるタイプなのです。

「さあて。なにから行こうかなぁ」と、壁の短冊メニューを眺めていると、なんとレバ生(300円)がある。やったぁ! レバ生があるのは平日(残っていれば土曜日も?)だけ。私がよく来る日曜日には、ないメニューなのです。

さっそくタッちゃん(店を手伝っているおにいさん)に、そのレバ生を注文すると、「食べ方は?」と確認が入ります。「ゴマ塩で!」と返事。これは「ゴマ油と塩で食べます」というのの省略形です。ゴマ塩の場合は、スライスして並べたレバーに塩をふって、横に刻みネギを添えて出してくれます。これにカウンター上に置かれているゴマ油を、好きな量かけたら完成です。他には「ニンニクで」とか「生姜で」といった選択肢があり、それぞれニンニク醤油や生姜醤油でいただくのです。

レバ生は、冷蔵庫から出された直後の、よく冷えている間にツルリといただくのが、より美味しい。キーンと冷えたホッピーを飲みつつ、ツルリ、ツルリと食べ終えます。

ちょうどヨッちゃん(店を手伝っている女性)が「あら、いらっしゃい」と近くに来たので「こんばんは」とあいさつしつつ、お新香(180円)を追加注文します。

角の丸い長方形皿に山盛りに盛られたお新香は、キャベツ、キュウリ、カブのミックス。

いつもは、こういう焼き物じゃない料理をつつきながら、焼き台が空くのを待つのですが、今日は待つことなく焼き台も空いています。これまでは、開店直後の、一斉に焼き物の注文が入る時間帯に来ることが多かったから待たなきゃいけなかったんですね。今日のように開店1時間後にやってくれば、すでに焼き台は渋滞していないんだ。これも新しい発見です。

とはいえ、いつ次の渋滞が起こるかわからないので、焼き台が空いている間に、もつ焼きをお願いしておきましょう。
「タンシタ(100円)とナンコツ(100円)を、塩で1本ずつお願いします」
「はいよっ!」
元気よく返事を返してくれるのは、この時間の焼き台を担当している三浦さんです。焼き台は店主の秋元さん、三浦さん、そしてタッちゃんが交代で担当しているようです。

今日はなんだか日本酒気分なので、次は燗酒(菊正宗、280円)をもらいましょうか。

燗酒はチロリで湯煎され、チロリごと出されます。これを別に出されるグラスに注いでいただくのです。ックゥ~ッ。うまいっ。本醸造タイプの日本酒は、もつ焼きにでも、刺身にでも、何にでも合うように感じますねぇ。

本格的な日本酒党のために、この店には菊正宗(上撰)以外にも、上喜元(純米)の燗酒(480円)が飲めるほか、地酒も八海山(480円)、磯自慢(480円)、夜明け前(にごり、480円)、黒龍・垂れ口(530円)、鳳凰美田(650円)、くどき上手・純米大吟醸(900円)などが用意されています。

焼酎のほうも、このブログでは亀甲宮(金宮、280円)や宝焼酎(250円)を紹介することが多いのですが、実はいわゆる銘柄焼酎も置いてあって、〈芋〉白玉の露、富乃宝山、吉兆宝山、元老院、喜六(きろく)、天誅(てんちゅう)、龍霞(りゅうがすみ)、くじら、〈栗〉ダバダ火振、〈黒糖〉朝日、長雲、〈麦〉中々、泰明、千が飛ぶ、おこげ、一粒の麦、〈梅酒〉梅乃宿・鶯梅(おうばい)、梅乃宿・にごり梅酒、〈カストリ焼酎〉七田(しちだ)などが、すべて1杯480円なのです。

なにしろ店主の秋元さんご自身が酒場好きなので、「もつ焼きがしっかりしていて、サイドメニューも豊富。飲み物は焼酎の梅割りやホッピーからはじまって、地酒や銘柄焼酎まで」と、自分が理想とする酒場を実現しているのでした。このあたりも幅広い呑兵衛層から支持されるところなんでしょうね。

もつ焼きのほうは、シロたれ(100円)とガツ醤油(100円)を1本ずつ焼いてもらいます。

シロたれ(シロのタレ焼き)は、その店の仕入れや、下ごしらえ、焼き方、タレの味などを総合的に知ることができる一品。ここも含めて、名店と言われるもつ焼き屋のシロたれは、まず間違いなくうまいのです。

ガツ醤油(ガツの醤油焼き)は、単に私の好物です(笑)。特に今日は、燗酒をいただいていることもあって、醤油味との相性がいいこと。

午後6時まで、ちょうど1時間のもつ焼きタイム。お勘定は1,670円でした。

やっぱり行きつけのお店はくつろぎますねぇ。どうもごちそうさま。

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シャリキン赤ホッピー / レバ生 / お新香(キャベツ、キュウリ、カブ)

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タンシタ塩(下)とナンコツ塩 / 菊正宗・ぬる燗 / ガツ醤油(下)とシロたれ

店情報前回

《平成19(2007)年5月3日(木)の記録》

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今夜はほとんど顔見知り … もつ焼き「石松(いしまつ)」(中野)

大久保駅で渋谷方面に帰る3人と別れ、ひとり中央線でやってきたのは中野です。「近くの名店を探る」。2~3軒の新しいお店や久しぶりのお店を回ったあと、いつも最後は行きつけのお店でシメです。初回の荻窪~阿佐ヶ谷編では「ペルル」で、2回目の西国分寺~武蔵小金井編では「やき屋」でした。今回、高田馬場~大久保編のシメは、中野にあるもつ焼きの名店「石松」です。

中野駅の北側に広がる中野5丁目エリア。ここが中央線沿線でも有数の一大飲食店街なのです。ウロウロとその界隈を散策したあと、「石松」に到着したのは午後10時半。入れるかなぁ、と焼き台の窓から店内をのぞき込んでみると、なんと今日の店内はほとんど顔見知りの常連さんばかり。

「入れるよー!」と声をかけてもらって、みなさんの仲間入りです。

キープしている亀甲宮(キンミヤ)のボトルを出してもらって、今日も生茶割り。この店では、生茶はカウンター上にデンと置かれていて、自由に飲んでいいのです。……たぶん……。

出してくれたお通し(380円)は、センマイ刺しです。この店では、センマイ刺し、豚耳、モヤシ、冷奴など、何品かの定番のお通しがあって、何人かで行くと、それぞれ違うお通しを出してくれたりするのです。

目の前では、ちょうどツクネ(150円)の準備がはじまったばかり。さっそく私も便乗して、ツクネのタレ焼きと塩焼きを、それぞれ1本ずつ注文です。

ここのもつ焼きは、注文を受けてから下ごしらえをはじめ、串を打って、焼きあげるというのが大きな特長。鮮度抜群のもつ焼きをいただくことができるのです。

そのかわり、注文してから焼きあがるまでは、普通に下ごしらえを済ませてあるもつ焼き屋よりも、当然のことながら時間がかかる。カウンター7席、補助席まで入れても9席程度という狭い店内ながら、じっくりと待つ余裕が必要です。あまり空腹で行くと、つらいかも。

目の前で練り込まれたツクネは、クルリと同じ大きさの球形を作りながら、煮えたぎったお湯に入れて下茹で。これに串を打って、そのまま焼き上げてくれるのです。この店のメニューの中でも、5本指に入る人気の品です。

続いてはカシラ塩(100円)。これは豚の頭の肉で、けっこう脂分も多い部位。これに練り辛子をつけたり、チューブのワサビをつけたりして食べるのもおいしいんだそうで、今日はワサビでいただいてみました。「チューブのワサビは、洋風のワサビだから、肉の脂にも合うんだよ」。そんなことを教えてくれたのも、この店の常連さんだったように思います。

カウンターの上に、そのチューブのワサビや、練りガラシ、粒入りマスタード、ニンニク味噌、藻塩、一味や七味などの、いろんな調味料がズラァーッと並んでるのも面白いですよねぇ。みなさん、それぞれに好みの調味料があるようです。

ウズラ(玉子串、120円)はタレで焼いてもらいます。ウズラの玉子は、そのものの味が割りと一定なので、タレ焼きにしてもらうと、その店のタレの味がよくわかるのです。

最後は、このところ自分の定番となっているテッポウ(100円)の醤油焼きです。テッポウは、豚の直腸。トロとか上シロと呼ぶ店もあるテッポウは、表面のクニュクニュと柔らかい弾力感が、噛み締めるにつれて強くなるという、他には類似のものがない食感が人気。これが醤油の香ばしさとよく合うのです。

ちょうどボトルも空いたので、新しいボトル(1,500円)を入れて、ごちそうさま。日付けが変わる頃まで、1時間半ほどのもつ焼きタイム。お勘定は2,500円でした。みなさん、お先に!

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「石松」のお通しはセンマイ / ツクネたれ / ツクネ塩

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カシラ塩 / ウズラたれ / テッポウ醤油

このまま帰ればいいものを、西武新宿線で鷺ノ宮駅まで帰って来たところで、なんだかお腹がすいて、駅のすぐ近くにある「らーめん一兆」にふらり。連日、飲み歩いているので胃袋が大きくなっちゃったのかなぁ。

2004年6月7日にオープンしたこの店は、間もなく開店三周年。特製坦々麺(820円)が有名ですが、今日はあっさりと和風醤油らーめん(590円)で〆て終了。

夜はニラ玉(250円)、もやしの肉味噌和え(300円)、めんま焼(300円)、ネギめんま(300円)、枝豆(300円)、チャーシュー(400円)、ネギのせ餃子(400円)などをつまみながら、チューハイ(350円)や日本酒(「奥の松」純米吟醸、500円)を楽しむこともできるお店です。

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「らーめん一兆」 / 和風醤油らーめん / 参考:以前いただいた特製坦々麺

・「石松」の店情報前回

《平成19(2007)年5月2日(水)の記録》

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はじめての座敷席 … 居酒屋「くろがね」(大久保)

「近くの名店を探る」。第三弾の今日は高田馬場から大久保方面です。今日の3軒目は、久しぶりとなる「くろがね」。ここも「鳥やす本店」と同じく昭和42(1967)年創業と言いますから、今年でちょうど創業40周年。荻窪あたりに住んでいた作家の井伏鱒二氏も、開店のころから来ていたお客なのだそうです。

明日の早朝、故郷(いなか)に帰省する予定の呑んだフルさんは離脱され、「くろがね」にやってきたのは4人(ここっとさん、Mさん、宇ち中さんと私)。

「こんばんは」と店に入ると、「いらっしゃいませ」とちょうど入口近くに出て来ていた信子(しんこ)さんが迎えてくれます。店は創業者の女将と、その姪御さんである信子さんのふたりで切り盛りされているのです。

「4人です」と申告すると、「今日は連休前で、お料理があまりなんですけどよろしいですか」と確認してくれた上で、「ではこちらへ」と入口左手の小上がりの座敷席へ。

この座敷席へ入ったのは、これが初めて。座敷席は細長く、4人卓が4つ。途中に2個、衝立(ついたて)があって、となりのグループとの間を仕切れるようになっています。

午後8時半の店内は、先客は座敷奥のほうにひと組のみ。

ビール(キリンラガー大瓶)と燗酒を注文すると、お通しは、ひとり3粒ずつほどのラッキョウ醤油漬けです。

「お料理は、あるものを適当にお出ししますね」と言いながら出してくれたのは、おでんの盛り合わせと、ひじき(300円)を人数分。おでんは豆腐、焼き竹輪、薩摩揚げの3品です。

この店は、このひじきだとか、うの花、切干し大根(各300円)など、昔から変わらぬ肴をつつきながら、お酒を飲むことができるお店。こういうなんでもないようなつまみが、かえって目新しく感じたりします。あぁ、燗酒がうまいっ。

さらには、ごま奴(400円)と、ままかり(600円)も人数分、出されます。Mさんは岡山出身。ままかりの地元ですね。これがまたまた燗酒によく合うんです。

それにしても、出張のついでに買う、袋入りのままかりや、駅弁に付いてくるままかりは、どっちかというとお酢の味が勝っていて、魚はもう漬かりすぎ、みたいなのが多いのですが、ここのままかりは魚がしっかりとしていていいですねぇ。やっぱり、ままかりはこうでなくっちゃ!

ごま奴は、大きなままの豆腐の上に、細く刻んだキュウリをたっぷりとのせて、その上に、これまたたっぷりの白ごまをふりかけて、醤油ベースのタレをかけたもの。和風豆腐サラダって感じでもあります。

約1時間の滞在は4人で9,000円(ひとりあたり2,250円)でした。連休前の「もうそろそろ閉店しようか」という頃に押し寄せて失礼いたしました。どうもごちそうさま!

はじめて座敷に座ることができたこともさることながら、残った料理が少なくて、あるものを適当に出してもらったおかげで、今まで食べたことのない料理を食べることができたのが、とても良かったです。

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瓶ビールとお通しのラッキョ漬 / お品書き / 燗酒「桜吹雪」

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おでんは豆腐、焼き竹輪、薩摩揚げ / ひじき / ごま奴

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ままかり / 小上がりの座敷席 / 自分たちのテーブルの様子

店情報前回

《平成19(2007)年5月2日(水)の記録》

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リーズナブル中華の新店舗 … 中華料理「餃子市(ぎょうざいち)」(新大久保)

高田馬場から歩くこと30分(新大久保まで電車で行ったとしても、そこから歩くこと20分弱)。明治通り沿いに今年の2月にオープンした中華料理屋が「餃子市」です。ここは六本木に本店のある「中国茶房8」の系列店。中国で修業した料理人の料理が、リーズナブルな価格で食べられるところが人気を博したのか、その後「中国茶房8」は恵比寿店赤坂店と支店をオープンし、さらには似たようなメニュー構成ながら、「餃子市」という新しい店舗名で2005年に所沢店、そして今年に入って、ここ新大久保店と系列店を増やしてきたのでした。

大通り沿いに建つマンションの1階にオープンした「餃子市」は、席数80席とまずまずの大きさ。店の内外装などは「中国茶房8」と同じような感じです。

集まったメンバーは、この店を発見(?)したここっとさんと、その婚約者・Mさん、仕事を終えて新宿の「山根商店」で軽く立ち飲んできたという宇ち中さん、そして高田馬場から同道の呑んだフルさんと私の、計5人。午後7時過ぎの店内は、それほど込んでおらず、我われも奥のほうのテーブルにゆったりと腰を落ちつけて、まずはビール(アサヒスーパードライ中瓶、520円)を何本かもらって乾杯です。(これを書いてて思ったんですが、ビールはそれほど安くない、というかむしろ高いですね。)

この店(この系列の全店)の特徴的なメニューは北京ダックと前菜、水餃子の3種類。

北京ダックは一羽まるごと(1.8キロ)、3~4人前が3,680円。窯で焼きあげた北京ダックの皮を、料理人が目の前でさばいて出してくれるほか、残った鴨肉は炒め物に、骨などのガラはスープにして、丸ごと一羽を余すところなく出してくれるのです。

前菜はずらりとそろった30品ほどが210円均一。たとえば枝豆・大豆・落花生の三種和え、キュウリと豚耳の和え物、豚レバーの醤油煮、細切り鶏肉の山椒豆板醤がけ、バンバンジー、広東風蒸し鶏(塩ダレ)、豚足のニンニク和え、中国青島特性ピータン、白菜の甘酢漬け、北京風・姫タケノコの冷菜、ピーナッツの香辛料煮、鶏と葱の黒胡椒ソースがけ、広東風チャーシュー、豚タンの醤油煮、牛ハチノスの醤油煮、自家製ザーサイ、自家製キムチ、牛アキレスと葱の和え物、広東風・有頭エビの冷菜、当店特製にこごり、揚げ茄子のニンニクソースがけ、中華風冷やっこ、豆腐の冷菜・えびそぼろがけ、サザエとネギの和え物、くらげの醤油和え、キュウリとニンニク和え物、鶏砂肝の特製ソース煮、エビの高菜和え、揚げピーナッツの香酢和え、中国東北地方の切り干し大根、そば豆腐の醤油味などが、その210円均一前菜です。

もうひとつが水餃子。注文を受けてから作る手作りの水餃子は一皿3個で、なんと105円! 水餃子は、その具が30種類ほどあって、すべて同じ値段です。具はニンニクの芽、豆腐、竹の子、ほうれん草、白菜、インゲン、葱、セロリ、椎茸、韮、白菜漬(酸菜)、ピーマン、茄子、唐辛子、豆苗、大根、トマト、タマネギ、人参、キュウリ、モヤシ、しそ、キムチ、エビ、貝柱、タラコ、チャスグー(茶樹茸)、サザエ、シャケ、高菜など。

我われ呑兵衛にとっては、これら前菜と水餃子があれば、もう充分って感じですね。

飲み物もビールは若干高めながら、レモンハイ、ウーロンハイなどは310円、紹興酒(3年もの)も300mlが580円、ボトルでも1,200円と、それほど高くない飲み物も並んでおり、我われもさっそく紹興酒(3年)をボトルごと燗をつけてもらいます。

料理のほうは210円均一前菜の中から、豆好きな人が「枝豆・大豆・落花生の三種和え」を、茄子(なす)好きな人が「揚げ茄子のニンニクソースがけ」を、それぞれ注文します。

水餃子はセロリ、椎茸、貝柱の3品(それぞれ一皿3個で105円)を選択。水餃子は手作りだけに、できあがってくるのに少し時間がかかるんですよね。

そして焼き餃子。この店(及び系列店)では水餃子がクローズアップされるために、その後ろに隠れがちですが、実は焼き餃子も一皿6個が一人前で、「野菜餃子」という、ひき肉の入ったスタンダードな餃子が210円、玉子と春雨が入った「タマゴ餃子」が230円、「エビ韮餃子」は320円、そして唐辛子が効いた激辛の「唐辛子餃子」も320円と4種類がそろっているのです。

このお店、ランチタイム(11:00-15:00)は、セルフサービスながら烏龍茶、アイスコーヒーなどのソフトドリンクが飲み放題となり、デザートの杏仁豆腐も食べ放題、さらにはご飯もおかわり自由で、週替りの4種の定食が550円と、「さくら水産」と肩を並べるサラリーマンの味方のようです。

家族経営の大衆酒場が安かったり、大規模チェーン居酒屋が、その大規模さ(大量仕入れ・大量消費)ゆえに安かったりするのはわかるのですが、このグループのように数店舗しかないところで、この安さを実現している秘密はなんなんでしょうねぇ。実はものすごい巨大グループだったりして……。

あ。しかし、すべての料理が安いわけではなくて、前菜や餃子以外の普通の料理はそれなりの価格です。たとえばマーボー豆腐(中国四川の伝統、辛口)610円、レバニラ炒め 630円、黒酢で炒めた酢豚 955円、ホイコーロー 725円、燻製シャケ・レタスチャーハン 725円、五目あんかけチャーハン 725円、海鮮タン麺(塩味) 820円、上海風焼きソバ 725円、焼きビーフン 640円、エビのチリソース炒め 1,060円、海鮮中華おこげ 1,240円といったところ。メニューは全部で150品ほどと、品数が多いのも、このグループの特徴ですね。

デザート代わりに210円均一の小皿前菜から「中華風冷やっこ」をいただいて、「餃子市」での飲み会は終了。お勘定は5人で5,395円(ひとりあたり1,079円)でした。

このグループのお店すべて、小皿前菜や餃子を中心に、紹興酒あたりをガンガンいただくと安いですよぉ!

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枝豆・大豆・落花生の三種和え / 揚げ茄子のニンニクソースがけ / 紹興酒(3年)

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焼餃子 / セロリ、椎茸、貝柱の水餃子 / 中華風冷やっこ

店情報 〔参考:「中国茶房8」恵比寿店の店情報 (前回)〕

《平成19(2007)年5月2日(水)の記録》

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店情報: 中華料理「餃子市(ぎょうざいち)」(新大久保)

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  • 店名: 中華料理「餃子市」新大久保店
  • 電話: 03-5155-3638
  • 住所: 169-0072 東京都新宿区大久保2-2-11 ルート大久保マンション1F
  • 営業: 11:00-05:00、無休
  • 場所: JR山手線・新大久保駅北口から大久保通りに沿って、山手線の内側方面に徒歩約13分(700mほど)。大久保二丁目信号交差点で明治通りと交差するので、そこを左折し、明治通りに沿って北上すること5分弱(230mほど)、通り沿い右手。駅からの全行程は約17分(930m)。
  • メモ: 2007年2月11日オープン。昼前から朝5時まで営業で年中無休。80席。名物・手作り水餃子(30種類)は一皿3個で105円。前菜(30種類)は210円均一。丸ごと北京ダック(3~4人前)は3,680円。ぐるなびあり。

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創業40年の人気店 … 焼き鳥「鳥やす本店(とりやすほんてん)」(高田馬場)

9連休も中日(なかび)となる5日目(5月2日)。家族はみんな学校などで外出し、朝からひとりでのーんびりと過ごし、夕方、そろそろみんなが帰って来るかという頃に外出です。この連休のテーマは「近くの名店を探る」。第一弾は荻窪阿佐ヶ谷方面。第二弾は西国分寺武蔵小金井方面でした。第三弾となる今日は高田馬場から大久保方面に行ってみようと思っています。

まず高田馬場。この街には「真菜板」(03-3362-1198、高田馬場3-33-3)や「一歩」(03-3361-1375、高田馬場3-11-10)、「傘亭」(03-3364-5758、高田馬場3-33-5)、「樽一」など、行ってみたいお店が何軒かある地域ですが、今日はそんな中にあって「高田馬場と言えば」という冠詞を付けて呼ばれるほどの焼き鳥屋、「鳥やす本店」に行ってみたいと思います。

実は東京に出てきてすぐの頃(20年ほど前)、同じ「鳥やす」の支店には連れて行ってもらったことがあるのですが、栄通り商店街の奥にあるという本店に行くのは今回がはじめて。高田馬場駅で、今日は昼過ぎから飲んでいたという酒友・呑んだフルさんと合流し、ふたりで「鳥やす本店」を目指します。

店に着いたのは午後5時ちょっと過ぎ。この店は午後5時の開店なので、たった今、開いたばかりといったところですね。

店内は、入るとすぐに2階へと上る階段などがあり、その奥が1階フロア。右手に7~8席分の直線カウンターがあり、左手はずらりとテーブル席。

開店直後とあって、先客はカウンターにいる男性ひとり客だけ。我われもカウンターかな、と思っているところへ、男性店員さんが「こちらにどうぞ」とテーブル席を指し示してくれます。後でわかったのですが、カウンター席には、常連さんらしき男性ひとり客が、この後続々とやってきて、開店後40分ほどで全席が埋まってしまいました。このお客さんたちのために、カウンターを空けておこうとしたんですね。

さて、テーブル席に座った我われ。フルさんは生レモンサワー(470円)、私は得生ビール(490円)をもらって乾杯です。

この店の生ビールには普通の中ジョッキ(420円)と、それより大きめのサイズの「お得な生中ジョッキ、略して“得生”(490円)」(←メニュー上の表現)があるのだそうです。私は普通に「生ビール」と注文したのですが、自動的にこの“得生”になったようです。

またチューハイ類も、レモンサワー、ウーロンハイ、梅サワーなどは、普通のサワーグラスで出されて300円なのですが、生グレープフルーツサワーと生レモンサワーの2品は、“得生”と同じ大きなジョッキで出されて420円。けっこうなボリュームです。

お通しとして出されたのは、うずらの卵(生)が1個のった大根おろし(小おろし、60円)。店内には「通は『大おろし』で食う」というキャッチフレーズが張り出されていて、メニューにも「塩焼の手羽先・ぼんちり等は山盛りの大根おろしと一緒に食べると油が中和されてサッパリし、最高です。おろしがなくなったらおかわりを。大おろし(180円)、小おろし(60円)。ご来店時にご注文いただければお通しを大おろしでお出しします」と書かれています。

その大根おろしの相方となる焼き鳥は、なんと1本60円から! たとえばモツ(レバー)と砂肝が60円で、はさみ(ネギ間)や正肉、皮、ハツ(鶏)、ボンチリなどが70円、手羽先、ツクネなどが80円といったところ。この店にはいわゆるもつ焼き(豚の内臓等を串に刺して焼いたもの)はありません。すべて鶏の串焼きです。単品で注文する場合は2本からになるそうです。

昔から人気という焼き鳥盛り合わせ(490円)はモツ、砂肝、はさみ、ハツ、ボンチリ、手羽先、ツクネの7本を盛り合わせたもの。さっそくその盛り合わせと、これまた人気があるという煮込み(300円)を注文します。

ここの煮込みは手羽先と野菜(大根、人参等)を煮込んだ、「鳥やす」名物でもあるらしい煮込み(300円)と、コッテリと濃厚なもつ煮(300円)の2種類があるそうで、「煮込み」と言えば、通常は前者のほうが出されるそうです。明確に区別するときは前者を野菜煮込み、後者をもつ煮込みと呼んだりもするようです。すぐに出された煮込みには、大根がゴロゴロ入っているほか、コンニャクやツクネなども入った、あっさり塩味・透明スープ。

そして焼き鳥盛り合わせ。7本のうちモツ、はさみ、ツクネの3本はタレで、砂肝、ハツ、ボンチリ、手羽先の4本は塩です。それぞれ60~80円とは思えないような、立派な焼き鳥ですねぇ。大きいとは言えないけれど、小さくもない。人気のボンチリは、尾先の部分だけではなくて、まわりの脂や肉のところまで含んでいて、とってもジューシーです。

店内を動き回る店員さんたちのTシャツの背中に、「一串入魂」と書かれているのもいいですねぇ。

「一串入魂」の焼き鳥が出たところで、飲みもののおかわりは、ふたりともウーロンハイ(300円)です。

すでにカウンターにも、テーブル席にも大勢のお客さんが入っていて、どんどん注文が飛び交うようになって来ました。焼き鳥以外のメニューでは生野菜も人気がある様子。生野菜はキュウリ、人参、セロリ、キャベツ、大根、トマトなどがあって、それぞれ200円。こちらも盛り合わせにしてもらうこともできるようです。

さらにメニューの中には「酒の友」なんてコーナーもあって、そら豆、黒豆の枝豆、沖縄産もずく酢、酒盗などが各250円の他、鳥挽肉の中華風冷奴、豚モツ(ガツとシロ)の辛子酢味噌和え、白レバーのポン酢醤油、岩手県産生わかめと鶏肉のぬた300、納豆和え(納豆、オクラ、鶏肉、とろろ)などが各300円と、250~320円ほどの肴が20品ほど並んでいます。

これらの中から、胡麻と鶏肉のウニ和えだという「利久和え」(300円)をもらうと、これがまた三つ葉や刻み海苔なども加えられて、ウニの風味たっぷりのいい味です。

「こりゃ、日本酒にしましょうか!」

酒は京都伏見の辛口「冨翁(とみおう)」が280円で飲めるほか、地酒メニューもあって、それぞれ300ml瓶で、青森「じょっぱり」吟醸(950円)、岩手「酔仙(すいせん)」特選吟醸(950円)、山形「東光(とうこう)」純米吟醸(950円)、新潟「お福正宗」越乃吟醸(950円)、愛知「国盛(くにざかり)」吟醸(950円)、京都「鐵斎(てっさい)」純米吟醸(950円)、広島「宝寿(ほうじゅ)」純米吟醸(950円)、熊本「美少年(びしょうねん)」吟醸(950円)、新潟「越の誉(こしのほまれ)」大辛口(650円)、京都「富翁(とみおう)」本醸造生貯蔵酒(580円)といったラインナップ。これらの中から「美少年」をいただいて、「利久和え」に合わせます。

1時間半ほどの滞在は、ふたりで3,910円(3,720円+消費税。10円未満の端数は切り上げのようです。ひとりあたり1,955円)でした。

昭和42(1967)年の創業以来、今年で40周年。この店も、長きに渡って愛され続けている酒場なんですね!

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「鳥やす」本店 / 得生ビール、小おろしと生レモンサワー / 店内の様子

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煮込み / 奥のテーブル席 / 焼き鳥盛り合わせ

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2杯目はウーロンハイ / 胡麻と鶏肉のウニ和え / 「美少年」吟醸

店情報

《平成19(2007)年5月2日(水)の記録》

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店情報: 焼き鳥「鳥やす本店(とりやすほんてん)」(高田馬場)

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  • 店名: 雛鳥やきとり「鳥やす」本店
  • 電話: 03-3368-6459
  • 住所: 169-0075 東京都新宿区高田馬場3-5-7
  • 営業: 17:00-23:00、無休(正月は休み)
  • 場所: 高田馬場駅を北側に出て、駅前(山手線の外側)の栄通り商店街に入る。そのまま3分(170m)ほど進んだ、商店街の終点右手。
  • メモ: 昭和42(1967)年創業で「高田馬場と言えば」と言われるほど有名な焼き鳥店。7種類の焼き鳥(もつ(レバー)、すなぎも、はさみ(ネギ間)、はつ、ぼんちり、てばさき、つくね)が食べられる盛り合わせ(490円、価格はすべて税別表記)は昔からある定番メニュー。酒は京都伏見の辛口「冨翁(とみおう)」が280円。早稲田通り沿いに支店(03-3209-9987、高田馬場2-14-4)がある。
    〔焼鳥〕焼き物のご注文は単品2本から。もつ60、すなぎも60、はさみ70、正肉70、かわ70、はつ70、ぼんちり70、てばさき80、つくね80、なんこつ80、ささみ90、梅正肉100、柚子胡椒正肉100、辛子味噌正肉100、わさび正肉100、かも120、明太ささみ120、わさびささみ120、骨付ぶつぎり200、もも焼き400、〈数量限定〉ぼんにく90、すきみ120、アスパラ肉巻120。
    〔野菜焼き〕ピーマン100、ししとう100、にんにく100、ねぎ150、椎茸200、銀杏(冬季)150。
    〔御飯物〕焼き鳥丼500、親子丼500、鳥スープのお茶漬け(のり、わさび、梅、明太)450。
    〔和え物・酒の友〕そら豆250、黒豆の枝豆250、もずく酢250、酒盗250、もやしのナムル250、鳥挽肉の中華風冷奴300、帆立のわさび漬け300、豚モツ(ガツとシロ)の辛子酢味噌和え300、白レバーのポン酢醤油300、生わかめと鶏肉の中華ダレ和え300、岩手県産生わかめと鶏肉のぬた300、松前和え(三つ葉と鶏肉のワサビ醤油和え)300、利久和え(胡麻と鶏肉のウニ和え)300、梅香〆(うめかじめ。オクラと鶏肉の梅肉和え)300、うにくらげ300、納豆和え300、長芋うに和え300、合鴨のくんせい320、イカのチャンジャ320。
    〔当店自慢〕煮込み(手羽先と野菜の煮込み。鳥やすといえばコレです)300、もつ煮(コッテリとした濃厚な味です)300、御新香(自家製ぬか漬け)300。
    〔生野菜、各200、盛り合わせもできます〕きゅうり、人参、セロリ、キャベツ、大根、トマト。梅Q200。
    〔通は「大おろし」で食う〕塩焼の手羽先・ぼんちり等は山盛りの大根おろしと一緒に食べると油が中和されてサッパリし、最高です。おろしがなくなったらおかわりを。大おろし180、小おろし60。ご来店時にご注文いただければお通しを大おろしでお出しします。
    〔飲みもの〕生ビール(中)420、生ビール(得生←大きめのサイズのお得な生中ジョッキ)490、瓶ビール(黒ラベル中瓶)490、酒(「富翁」辛口、熱燗・常温)290、焼酎(水割り・お湯割り・ロック、米・麦・芋・紫蘇・そば・韓国焼酎)250、ウィスキー(リザーブ、ダブル)500、ワイン(グラス)300、生グレープフルーツサワー・生レモンサワー(得生中ジョッキ)各470、レモンサワー・ライムサワー・ウーロンハイ・梅サワー・チューハイ(梅干入りできます)各300、梅酒ソーダ・津軽りんごサワー・伊予柑サワー・白桃サワー・杏子サワー・巨峰サワー・グレープフルーツサワー・モスコミュール・ソルティドッグ・スクリュードライバー・カシスソーダ・カシスオレンジ・ジントニック・ピーチフィズ・カルピスサワー各350、〔果実酒(水割り・ロックもできます)〕梅酒・津軽りんご酒・巨峰酒・白桃酒・伊予柑酒・杏子酒・グレープフルーツ酒 各300、〔おすすめ〕ジーマ・スミノフ(ライム・レモン・グレープフルーツ)各380、眞路の梅酒・花泡香 各580、〔ソフトドリンク各250〕オレンジジュース・ウーロン茶・カルピスウォーター・カルピスソーダ・グレープフルーツジュース・コーラ。
    地酒・冷酒メニュー(各300mlボトル):青森「じょっぱり」吟醸(950円)、岩手「酔仙(すいせん)」特選吟醸(950円)、山形「東光(とうこう)」純米吟醸(950円)、新潟「お福正宗」越乃吟醸(950円)、愛知「国盛(くにざかり)」吟醸(950円)、京都「鐵斎(てっさい)」純米吟醸(950円)、広島「宝寿(ほうじゅ)」純米吟醸(950円)、熊本「美少年(びしょうねん)」吟醸(950円)、新潟「越の誉(こしのほまれ)」大辛口(650円)、京都「富翁(とみおう)」本醸造生貯蔵酒(580円)。(2007年5月調べ)

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つまみ3品、燗酒2本でセンベロ … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)

9連休4日目の「近くの名店を探る旅」は、中央線沿線。スタートの国立で、開店1時間で売り切れとなった「うなちゃん」に振られ、西国分寺は「鳥芳」の名物・チレヌタですっかり満腹になり、武蔵小金井の女性ばかりで切り盛りしている老舗大衆酒場「大黒屋」で広島・呉の酒「千福」をいただいて、荻窪まで帰ってきました。

荻窪にも、まだ行ったことのない行ってみたいお店は何軒かあるのですが、今日は飲み物も食べ物も、もう充分。課題店は次の機会にして、最後は行きつけのお店でくつろぎますか。

「こんばんは」と入った、立ち飲み「やき屋」の店内は、ゆるやかに8割程度の入り。珍しく右手のメインカウンターに空きがあったので、そこに立って、お酒(「北の誉」燗、230円)と自家製塩辛(150円)を注文します。

この店は、八戸直送の新鮮なイカ料理を中心とした肴が、150円(+税)均一(ただしシメサバのみ220円)で食べられる立ち飲み屋。そういう安い価格設定ながら、決して「安かろう、悪かろう」ではなくて、「安くて、うまい」のが大きな特長です。

こういう点、飲兵衛はとっても正直で、「安くて、うまい」店には、まるでアリが砂糖に群がるように、続々と飲兵衛もやってくるのですが、安くても、おいしくない店には、だれも寄り付かないのでした。

さらに、今いただいている自家製塩辛は、太田和彦さんをして「間違いなくこれは東京一のイカ塩辛。もう酒よりも完全に塩辛が主役だ。恥ずかしながら私はお代わりした」(「ひとりで、居酒屋の旅へ」より)と言わしめた一品。量も小鉢にたっぷりで、これだけで酒の2~3本はいけちゃうような代物(しろもの)なのです。

1本目のお酒は、じっくりとイカ塩辛でいただいて、2本目をおかわりするのと一緒に冷奴(150円)を追加注文です。塩辛を、そのまま塩辛として食べるのも、もちろんおいしいのですが、冷奴の上にちょいとのっけて、塩辛奴(しおからやっこ)にすると、これがまたいいつまみになるのです。考えてみれば、塩辛も冷奴も、それぞれエース級の酒の肴。それらがタッグを組むんだから、最強の組み合せですよねぇ。

ありゃっ? 飲みながら、なーんとなくメニューを眺めていたら、好物のひとつイカ生姜棒(150円)が、メニュー上から消えていることを発見。なんと、なんと。近くにいた女将さんに「イカボウ(←イカ生姜棒の符丁)、やらなくなったんですか?」と聞いてみると、「あるよ。食べる?」という返事がきたので、さっそく注文します。

「はい。お待たせ。メカブね」
「………」

そうか。こっちは「イカボウ」と聞いたつもりが、すでに本日通算5本目(+最初にビール大瓶1本)となる燗酒に、滑舌(かつぜつ)が悪くなっちゃってて、女将さんには「メカブ」と聞こえちゃったんですね。「イカボウ」と「メカブ」。確かに後半は似ているような…。

でも、ここのメカブも好きだし、いただくのも久しぶりなので、ちょうど良かったかも。イカ生姜棒がなくなったことを、ちょっと悲しみながら、トロリ・コリコリとしたメカブで、おいしく燗酒をいただいて、本日、終了。

約1時間の立ち飲みは、つまみが3品に燗酒2本で956円(910円+税)と、まさにセンベロ(←千円でベロベロに酔えること)。これで、うまいんだから言うことない。どうもごちそうさま。

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燗酒「北の誉」 / 自家製塩辛 / 冷奴

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冷奴を塩辛で / めかぶ

店情報前回

《平成19(2007)年5月1日(火)の記録》

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今晩のんで明日は仕事 … 居酒屋「大黒屋(だいこくや)」(武蔵小金井)

西国分寺(にしこくぶんじ)から再びJR中央線に乗り込んで、新宿・東京方面へ2駅。武蔵小金井(むさし・こがねい)です。近くの名店を探る旅。今日の2軒目は、この地で昭和30年から営業しているという「大黒屋」です。

ときどき雑誌などで紹介されることもあった、このお店は、木造の一軒家でとてもフォトジェニックな、いかにも昔の大衆酒場という風情だったのですが、残念ながらマンションの建設によって取り壊しとなり、現在はそのマンションの1階での営業となったのだそうです。

しかし、マンション入口には、古くから続くこの店の看板が出されており、この店オリジナルの有名なキャッチフレーズ「今晩のんで、明日は仕事」が迎えてくれます。

真新しい縄のれんをくぐり、真新しい店内に入ると、店内の雰囲気は(いい意味で)新しくなくて、いかにも昔の大衆酒場風。新築マンションでも、こんな造りの酒場ができるんですねぇ。

壁にずらりと張り出されたメニューが古びていることによるのか、壁も板張り、天井もヨシズ張りで、コンクリートが見えない状態にしていることによるのか、提灯なども含めて白熱灯主体の照明によるのか、あるいは椅子がすべて木製の丸椅子で、テーブルやカウンターも、比較的チープそうに見える木製であることによるものか、店を切り盛りするおかあさん方が、普段着にエプロン姿といったゆる~い風情で働いていることによるものか、おそらくはそれらすべての合わせ技なんでしょうが、店に入ると同時に、ここが新築マンションの1階であることは忘れ去って、何十年も続いている老舗酒場の世界に引き込まれるのです。

店内は右手がカウンター席で、左手はテーブル席。カウンター席はL字型なのですが、縦方向のまん中が分断されていて、店のおかあさんたちが、そこから出入することができるようになっています。分断された向こう側に4人、手前に4人、さらにL字の短辺に4人と、都合12人座ることができます。短辺のところに、ふたつ空席があったので、私はそこに着席し、まずは燗酒(千福、280円)と、名物らしいホルモンにこみ(400円)を注文します。

左手のテーブル席は、壁に作りつけられた8人掛け長テーブルが3つ。この長いテーブルを、ふたり連れ、三人連れのお客さんたちが分け合うように使っているのです。

大型連休中の谷間のような平日(5月1日・火)の午後7時過ぎの店内は、7割程度の入り。連休中ということもあるのでしょうが、お客さんはいかにも地元の人といった感じの人が多くて、サラリーマンは少ない。カウンターは年配のひとり客、ふたり客がほとんどで、テーブルは三、四十台の夫婦連れや、グループ客が多い。若いお客さんも、数は多くないものの何組か入っています。女性比率は2割程度といったところでしょうか。

店を切り盛りしているのは女性ばかり4名。ちょうど私の目の前、カウンターの一番手前が焼き台になっていて、ここでもつ焼き(やきとん)を焼いている、おかあさんが、どうやら女将さんのようです。もつ焼きを焼きつつも、客席や入口にも目配りし、お客さんが入ってくると真っ先に「いらっしゃいませ」と声をかける。やわらかい人あたりながら、かなりしっかりものの様子です。ほかの3人のうち、ひとりは若くて体格のしっかりした、きれいな顔立ちのおねえさんで、残る二人は女将さんと同世代くらいの女性です。女将さんも含めた4名の女性が、みなさんそれぞれちょっと小じゃれていて、いい女であり続けることを捨てていないのがいいですよねぇ。女酒場(女性ばかり、あるいは女性が主体となって切り盛りしている酒場)の女性たちは、みなさんそういうところがあるように思います。

さて、目の前の燗酒。酒は広島・呉の「千福(せんぷく)」で、猪口も「酒王 千福」のロゴが入った白字に、底が蛇の目模様のもの。徳利にも「今晩のんで、明日は仕事」という、この店のオリジナル・キャッチフレーズが入っているのがおもしろいなぁ。

自慢の煮込み(ホルモンにこみ)は、大きく切った豆腐やコンニャク、ジャガ芋がごろりと入っていて、もつ煮込みというよりは、肉じゃがというほうが近いような外観。しかし、汁の中には、たっぷりとシロが入っています。あまり濃くないミソ味なので、汁まで全部いただけます。

もつ焼き(やきとん)の注文もひっきりなしに入っていて、女将さんはほとんど焼き台の前にいる状態です。焼き台の幅は「ホルモン」「カッパ」「秋元屋」などと同じく、幅が80~90センチくらいのもの。ひとりがじっくりと串焼きに対峙するには、このくらいの幅が精一杯らしいのです。

そのもつ焼きはカシラ、ガツ、シロ、ナンコツ、テッポウ、タン、ハツ、子袋、レバーが、それぞれ1本90円で、1本から注文できます。ツクネは2本で300円。野菜の串焼きはギンナン、シシトウ、シイタケが1本150円です。味付けは、タレ、塩が選べますが、おもしろいのは、焼いてる途中で焼き台の横に置かれた「いの一番」(うまみ調味料)がパラパラっとかけられること。「いの一番」の特徴ある容器も久しぶりに見て懐かしいのですが、もつ焼きに化学調味料を使うというのもおもしろいですねぇ。考えてみれば、昔は何にでも「味の素」や「いの一番」などを振りかけてたからなぁ。

もつ焼き以外に、こぶくろ刺し(400円)やレバー刺し(400円)などのメニューもあります。

焼き台の中央にドンと置かれた大きな魚の開き。これはもしかするとクサヤかな!? どれどれとメニューを確認すると「あじくさや 500円」という表記があります。

「えっ!? クサヤは、この大きさで1人前なんですか!?」と目の前の女将さんに確認すると、
「これが2人前なんです」という返事。なるほど、半身で1人前のところを、ちょうど2人前の注文が入ったので、丸1尾を焼いているんですね。半身で500円なら納得(それでも安い)ですね。1尾の価格だと激安すぎる。

都内の大衆酒場では、クサヤはけっこう人気があります。「自宅ではなかなか焼いてもらえなくて」というおじさんたちも、酒場だと遠慮なく食べられますもんね。そんなわけで、クサヤが焼ける匂いが遠くから漂ってくる(それでも店中に匂いは広がります!)ことはよく経験するんですが、こうやって目の前で焼かれているクサヤの香りを、至近距離で嗅ぐのは初めてだなぁ。ズドォーンと強烈に臭い中にも、嗅ぎなれてくると、やや酸っぱいような、それだけで旨味をたっぷり含んだような香りであることがわかります。んーーー。この香りは、どっかで嗅いだことがあるんだけどなぁ。どこだったかなぁ………。

あっ、そうか! これは「御天」の、とんこつスープの香りと共通するところがあるんだ!

表面上の薫り(まずドカンと入ってくる匂い)は、とんこつスープとクサヤでは大きく違うんですが、その強烈な匂いの下にある、やや酸っぱいような、それだけで旨味をたっぷり含んだような香りには共通点があるような気がします。表面のドカンが、あまりにも強烈なので、イヤな人にとっては、その下にある旨そうな香りなんて全然気がつかない世界なんでしょうねぇ。

焼きあがったクサヤは、調理場でチャチャチャっと小さくほぐして、お皿に盛って出されます。若いおねえさんは、しっかりと両手に軍手をつけて、ほぐす作業を行うのですが、おかあさんたちは素手のままで、ものすごいスピードでほぐしてしまいます。うーむ、さすがベテランですねぇ。

このクサヤにも強烈に引かれたのですが、ちょっとボリュームがありすぎなので、今日は小さなイワシ丸干し(350円)を注文して、燗酒(280円)もおかわりします。それにしても、燗酒が(冷や酒も)280円というのは安くていいですねぇ。

ちなみにビールは大瓶が500円、小瓶が350円、焼酎は白波、玄海が各280円にチューハイが350円、ウーロンハイは380円といったところ。日本酒は、今いただいている「千福」(280円)のほかに、「八海山(本醸造)」(400円)も選べます。カウンターの中の棚に、名前を書いた「いいちこ」のボトルがずらりと並んでいるところを見ると、ボトルキープもできるようです。

メニューに「にんにく酒」(280円)ってのがあるんだけど、なんだろうなぁ。「ニンニク酒って、日本酒?」と女将さんに聞いてみると、「焼酎の中にニンニクを漬け込んだものなんですよ」という返事。となりのおじさんが、ちょうどニンニク酒を注文したので見てみると、かなりじっくりと漬け込まれていたのか全体が黄色っぽい。こりゃまた、効きそうですねぇ。

3本目となる燗酒(280円)をもらって、じっくりとメニューも観察。竹の子煮(400円)や、みょうが梅和え(300円)、山うど酢みそ和え(350円)といった季節の小料理や、おから(300円)、ほうれん草(250円)、小松菜からし醤油(250)、にこごり(300円)などの定番メニュー、さらにはもつ焼き中心の酒場では珍しいマグロ刺身/山かけ(500円)、カツオ刺身(450円)、イカそうめん(400円)、〆サバ(350円)などの生ものも並んでいます。

竹の子煮をたのもうか、どうしようかと迷ったのですが、けっこう量も多そうなので今日のところはパスしておきました。

約1時間半の滞在は、お酒を3本に、料理を2品いただいて、1,590円のお勘定でした。次の機会には、もつ焼きも食べなきゃね。ぜひまた来てみたいお店です!

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通りから見える看板 / 入口・縄のれん / 燗酒とホルモンにこみ

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カウンター内の様子 / 「いの一番」(左下)のある焼き台 / いわし丸干し

店情報

《平成19(2007)年5月1日(火)の記録》

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店情報: 居酒屋「大黒屋(だいこくや)」(武蔵小金井)

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  • 店名: 煮込・やきとん専門店「大黒屋」
  • 電話: 042-381-2600
  • 住所: 184-0004 東京都小金井市本町5-17-20-101
  • 営業: 17:00-22:00、日祝休(夏休み、年末年始休あり)
  • 場所: JR中央線・武蔵小金井北口を出て、向かい側にある西友の右側の路地を、その先の道路も渡って、突き当たるまで直進。突き当りを左に曲がると、右前方に「大黒屋」と書かれた電灯看板が見える。駅から徒歩3分ほど。西友の駐車場の裏側。
  • メモ: 昭和30(1955)年創業。マンション建築に伴い歴史ある店舗は取り壊し、2005年1月からマンション1階での営業となった。店は女性のみ4~5名で切り盛りしている。大ビール500、小ビール350、黒ビール380、たる酒380、八海山(本醸造)400、にんにく酒280、お酒・千福280、ウイスキダブル380、ジュース200、コーラ200、サイダー200、白波280、玄海280、ハイサワー350、チューハイ350、ライムサワー380、ウーロンハイ380、梅サワー380、もつやき(かしら、がつ、しろ、なんこつ、てっぽう、たん、はつ、子袋、レバー)1本90、酢の物・くらげ350、酢の物・もづく350、にんにく串焼1本150、ぎんなん串焼1本150、山いものり合え350、はんぺんあみ焼350、子持ししゃも350、いわし丸ぼし350、するめ400、あじくさや500、生いか塩焼400、おから300、そら豆300、エシャーレット300、ししとう1本150、しいたけ焼1本150、うるめいわし350、焼きあげ・ねぎづめ380、焼きあげ・なっとうづめ380、焼きあげ・チーズづめ380、おひたし・にら250、ほうれん草250、小松菜からし醤油250、キムチ300、みょうが梅合え300、とまと250、焼なす350、山うど酢みそ合え350、かいわれのハム巻き350、つくね焼2本300、さばの塩焼き380、にこごり300、竹の子煮400、〆さば350、なまこ350、ホヤ(酢の物 or わさび醤油)350、ぶりかまの塩焼450、イカそうめん400、かつお刺身450、まぐろ(さしみ or 山かけ)500、こぶくろ刺し400、レバー刺し400。(2007年5月調べ)

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国立から移動してチレヌタ … 焼き鳥「鳥芳(とりよし)」(西国分寺)

大型連休も4日目に入り、今日から5月。この春連休の間に、近くにあるのに、なかなか行けていないようなお店を探ろうということで「近くの名店を探る」をテーマに、わが家の近くをウロウロとしているところですが、今日は中央線に乗って国立までやってきました。

阿佐ヶ谷駅から国立駅までは中央線で30分弱(290円区間)。これが近いかどうかはさておいて、ふだんはなかなか国立方面まで行くこともできませんから、この休みの機会に行っておこうという考えなのです。

国立駅の北口を出て右へ。線路に沿ってしばらく歩くと、信号交差点の右向かいにあるのが、うなぎ串焼きなどの、うなぎ料理が食べられるという「うなちゃん」です。ここが今日、目指す1軒目なのです。

スゥーッと吸い込まれるように入っていくサラリーマンらしき、おじさん。私もその後ろから「ひとりです」と申告しながら引き戸を開けます。現在の時刻は午後6時。まさに世の中、これから飲み始めようか! という時間です。

「ごめんなさい。今日はもう、全部、売り切れてしまって、何も残ってないんです」

ガビーン。この店の開店時刻は午後5時。そもそもが午後8時まで、3時間しか時間がないのですが、それにしても1時間で完売ですか!

店内は、入口を入ってすぐがコの字のカウンター。ここにびっしりとお客さんがいるほか、奥や2階にも部屋があるようです。前を歩いていた、おじさんは奥にいるグループ客の一員だったようで、先発隊がすでに店に入ってたんですね。そうかぁ、この店でウナギにありつこうとしたら、開店と同時に一巡目の客として、なだれ込まなければダメなようですね。せっかくの休日なのに、もっと早く出かけてくればよかったなぁ。大反省です。

この「うなちゃん」から、ガードをくぐって線路の南側に出たところにあるのが、もつ焼きの「まっちゃん」です。「うなちゃん」「まっちゃん」ともに、となり合わせの屋台でスタートしたという、国立きっての老舗の2軒なのです。

「まっちゃん」は「お酒を召し上がりにならない方はご遠慮下さい。また、ご婦人の方は土曜日にご来店下さい。店主 」と明示されているほど硬派な居酒屋。そして、この店は、国立在住だった作家・山口瞳の小説「居酒屋兆治」のモデルとなったお店、今はなき谷保駅前の居酒屋「文蔵」の店主が修業したお店でもあるのだそうです。

うーん。どうするかなぁ。「うなちゃん」→「まっちゃん」とハシゴしようと思ってやってきたのに、ちょっと予定が狂っちゃいましたねぇ。また今度、国立デイを作ることにして、今日は次の候補地に向かいますか。

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「うなちゃん」 / 「まっちゃん」

国立駅から中央線に乗って、新宿方面にひと駅戻ると、そこが西国分寺です。この地に、チレヌタが名物で、地元で人気の老舗やきとり屋、「鳥芳」があるそうなのです。

「鳥芳」と言えば、かつて鷺ノ宮にあった名店「鳥芳」と同じ名前。そんなことから、店の外観も、その鷺ノ宮「鳥芳」と同じような感じの、いい意味で古びていて、小さなお店を想像していたのですが、こちら西国分寺「鳥芳」は木造二階建ての大きな一軒家。大箱店ではないものの、カウンターも奥に向かって長い上に、テーブル席、2階の席もあって、まずまずの中規模店。しかも創業30年という割りには店の内外ともにきれいなのです。もしかすると最近改装したのでしょうか。

午後6時過ぎの店内は満席に近い状態。入口レジのところで「いらっしゃいませ。少々お待ちください」と声を掛けてくれたおにいさんが、ちょっとカウンターを見渡して「こちらにどうぞ」と、かろうじて空いていた1席に案内してくれます。

席はびっしりと並んでいて、ひとり分のスペースはけっこう狭い。すぐ右側に座っているサラリーマンふたり連れのうち、年配のお客さんのほうが、やや斜めに構えて、他の人よりもスペースを取り気味に座っていることもあって、こちらに残った1席分の空間は両肩をすぼめて、やっと座れるくらいの隙間しかありません。

かろうじて席に着くと、おしぼりを受けとりつつ、さっそく瓶ビールとチレヌタを注文します。

瓶ビールはサッポロ黒ラベル大瓶が710円という、大衆酒場と比べるとちょっと高めの価格設定。串焼き(やきとり)も1本135円なので、全体的に少し高めの設定なのかな。でも、とにかく人気は高くて、私の後からもひっきりなしにお客さんが入ってくる状態。1階はもう満席なので、2階へ、2階へと案内されています。

瓶ビールと一緒に出されたキャベツは、この店の定番のお通し(60円)の様子。皿の横にちょいと添えられた味噌をつけながらいただきます。

先ほど「いらっしゃいませ」と迎えてくれた、おにいさんが店長さんらしいんだけど、1階フロアだけでも、その他に3人ほどの男女の店員さんがいて、みなさんとても若い。「創業30年の老舗」と聞くと、年配の店主夫婦が切り盛りしているようなイメージがあるのですが、これもまた意外な点でした。

店内はグループ客が多いのですが、ひとり客も何人かいるようです。私の左側に座っている男女も、最初はカップルかと思っていたのですが、それぞれがひとり客でした。おふたりとも常連さんのようで、男性のほうは、比較的若く見えるんだけど15年前ぐらいから、この店の常連さんなのだそうです。

カウンター内の焼き台や調理場も、ほぼフル回転状態なんだけど、いかんせんお客さんの数が多い。しばらくお通しのキャベツでつないでいるところへ、チレヌタ(530円)が出てきました。チレヌタは、脾臓とネギ・ニラのヌタ料理。大ぶりの器に、たっぷりとレタスを敷きつめた上に乗せられて、さらに白ゴマを振りかけています。

秋元屋」でチレ刺しをいただいたことはあったのですが、ヌタでいただくのは、これがはじめてですねぇ。

どーれどれ。

なるほど。こうやってマリネ風に仕上がったチレもおもしろいなぁ。どっちかというと、チレ刺しよりも、このチレヌタのほうが好みに合うかも。レタスにくるんで食べると、シャキっとしたレタスの食感の後に、クニュクニュとやわらかいチレの弾力感がやってきて、より楽しい。

しかし! 最初は少量に見えていたネギヌタですが、実は上に乗っかっているだけではなくて、器の下のほうまで、たっぷりとネギヌタ! 食べても食べてもネギヌタがなくなっていかない状況が、うれしいやら、つらいやら。

本当は、もつ焼きも2~3本食べて帰りたかったのですが、ネギヌタだけで、なんだか満腹。うーむ。一品料理はけっこうボリュームがあるようなので、グループで来たときに注文するのが無難なようです。だから、となりのおにいさん(15年来の常連さん)は、もつ焼きばかり注文してたのかなぁ。

そんなわけで、チレヌタだけをいただいて、約1時間の滞在は1,300円。「ごちそうさま」と、満席状態が続き、待つ人まで出てきそうな勢いの「鳥芳」を後にしたのでした。

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「鳥芳」 / 瓶ビールとお通しのキャベツ / チレヌタ

店情報

《平成19(2007)年5月1日(火)の記録》

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店情報: 焼き鳥「鳥芳(とりよし)」(西国分寺)

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  • 店名: 炭火焼串処「鳥芳」
  • 電話: 042-323-9956
  • 住所: 185-0024 東京都国分寺市泉町3-37-25
  • 営業: 16:30-23:00(22:30LO)、日祝休
  • 場所: JR中央線・西国分寺駅を南側に出て、東武ストアの裏手を線路沿いに国立・立川方面に100m弱進み、左側の路地に入った先、左手。駅からは徒歩2分程度。
  • メモ: 名物・チレヌタ530円。串焼きはタン・ハツ・ハツモト・レバ・頭・軟骨・しろ・子袋・若鳥・つくね・鳥皮・砂肝などが各135円。ビール大710円、中610円、小500円、地酒420~700円、焼酎420円、チューハイやサワー類530円など。ぐるなびあり。

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ぶらりと阿佐ヶ谷で休肝日 … とんかつ「鉄路(てつろ)」(阿佐ヶ谷)

大型連休二日目の昨日は、郊外に一戸建ての大きな家を建てた友人宅で、お祝いの宴会。新品の木の香りに包まれて、奥さまの手料理に舌鼓を打ちながら、日本酒を飲んだり、ワインを飲んだり、焼酎を飲んだりしているうちに、気がつくとすっかり酔っ払いのできあがりです。

そして連休三日目の今日は、「近くの名店を探る」という、この連休のテーマにそって、阿佐ヶ谷方面に出没です。

JR中央線・阿佐ヶ谷駅の北口を出ると、左手にドーンと広がるのがスターロード商店街(正式名称:阿佐谷北口駅前スターロード商店会)。阿佐ヶ谷駅周辺で、おそらく最も酒場密度の高い商店街です。すぐに線路沿いの、角に「コージーコーナー」がある通りに入ると、その先にあるのが小料理がおいしい「一休み」、さらにその先が年中無休の本格的バー(でも安価)「アルフォンソ」ですが、今日はその「コージーコーナー」の通りには入らずに、「松屋」の前を通りすぎて阿佐ヶ谷駅から見ると2本目。郵便局のある通りを荻窪方面に向かいます。その先の路地、右手にあるのが焼き鳥の「鳥久」。ここの鶏スープがおいしいんですよねぇ。

さらに荻窪方面に進み、右手のフィットネスクラブ、左手のもつ焼き「四文屋」を通りすぎると四つ角に出ます。この四つ角を右に行くと、おでんの「米久」や、レストラン「山猫軒」の入った不思議な建物・ラピュタなどがあります。

四つ角をまっすぐ進むと、「あるぽらん89」や、先日知ったばかりの、まだ新しい日本酒処「燗酒屋」、地酒と、それに合った珍味が豊富な「善知鳥」、焼酎の「かわ清」、そのとなりがチャーハンや中国茶が有名な台湾料理の「のっぺ」、さらに奥の隠れ家的地酒処「可わら」に至るという、阿佐ヶ谷の酒場ゾーンでも、もっとも濃い、酒場ファン垂涎のエリアに入ります。

今日は、その濃い方向へは進まずに、四つ角を左に曲がり、中央線のガードをくぐって駅の南側方面へと出ると、その先右手にあるのが、おでんの「花泉」、左手には高級焼き鳥の「バードランド阿佐ヶ谷店」です。その先を左に折れると、各テーブルにおでん鍋がセットされているという激安酒場「満塁ホームラン堂」の前を過ぎて、阿佐ヶ谷駅南口ロータリーへと出ます。

JR中央線と直角に交差する中杉通り(←中野区と杉並区を結んでいるので、この名称が付いたそうな)を渡ると、駅南側に長く続くアーケードの商店街が、仙台、平塚と並ぶ日本の三大七夕祭りのひとつ、「阿佐谷七夕まつり」が行われるパールセンター商店街(正式名称:阿佐谷商店街振興組合)です。七夕は有名なんだけど、酒場は少ない(私が知らないだけ?)商店街なので、ここはスルーして、マクドナルドの横の道を、中央線と並行して高円寺方面に入っていくと、小じゃれたバー「ミスティー・オーパース」や、古くから続く焼き鳥屋の「鳥正」「鳥平」。その先の四つ角をさらに進むと、なおとんさんの知り合いが開いたバー「なると」ですが、今日はこの四つ角を左へ折れて、中央線ガード下へ。

ここから阿佐ヶ谷駅にかけて、中央線のガード下に展開される2階建ての建物全体がゴールド街と呼ばれる商店街(正式名称:あさがやゴールド街商店会)です。ちなみに荻窪側のガード下商店街はダイヤ街です。先ほどのパールセンターと合わせて、真珠に金にダイヤ。なんともゴージャスなネーミングの商店街ですよねぇ(笑)

閑話休題。このゴールド街の建物の中は、阿佐ヶ谷駅近くの2階にある「TSUTAYA」以外は、まるで昭和時代から時計が止まったままじゃないかといった風情の店々が並んでいるのが、私にはうれしいところ。飲食店ではドイツパブ「G.G.C」や、天ぷらの「江戸竹」、うなぎ・とんかつの「和幸」、ふぐ割烹「福八」、あやしい居酒屋「葉山房」などなど。そして、忘れてはならないのが1階の阿佐ヶ谷駅から一番遠いところ(高円寺側)に、はす向かいにある「クロンボ」と「鉄路」の両食堂です。(「クロンボ」の真向かいが「和幸」で、そのとなりが「鉄路」という並びです。)

この2軒の特長は、値段が安くて、盛り(ボリューム)がすごいこと。昔はここの2階に「牛丼太郎」もあって、3軒で安さと量を競ってるような感じだったのですが、今は「クロンボ」「鉄路」の2軒のみが営業中です。

「クロンボ」は、たとえばハンバーグステーキ(ライス、みそ汁付き)が450円、ホークカツ(ライス、みそ汁付き)は500円、スパゲティー・ナポリタンなら420円。この他にハンバーグや目玉焼きなどなどを盛り合わせたA~Dまでのセットメニュー(500~650円)もあります。先日いただいたクロンボ定食(650円)はハンバーグ定食+スパゲティー・ナポリタンといった感じで、普通の人なら充分2食分といった量でした。

こうやってショーケースのメニューを眺めていると、ついついボリュームたっぷりの食事に引かれてしまいますねぇ。連休初日(土曜日)、二日目(日曜日)とたっぷりと飲んだし、月曜日の今日は休肝日にしますか!

「こんばんは」と入った月曜(だけど振替休日)午後7時半の「鉄路」は、先客はふたり。以前は、いつ入っても満席状態だったことを思うと、ちょっと寂しい状況です。「いらっしゃいませ。奥のテーブルにどうぞ」という、おかみさんの言葉に従って、テーブル席のひとつにゆっくりと腰をおろします。

この店によく来ていたときは、親父さんと、おかみさん、手伝いの女性と息子さんの4人で、カウンター10席ほど、テーブル(ぎゅっと詰めて)10席ほどの店内を切り盛りしていました。さっきも書いたとおり、営業時間中はいつ来ても、ほぼ満席状態で、それはそれは大にぎわいだったのです。

ところが4年ほど前から、しばらく営業を休んでいた。噂によると店主だった親父さんが病気で亡くなられたのだとか。その後、おかみさんと息子さんとで営業を再開したのですが、残念ながら親父さんのメニューをすべて再現させるにはいたらず、何品かのメニューを間引いた状態での営業となっているのでした。

私がこの店で一番好きだったのが「ポークソティライス」。大きな豚肉の塊から、厚さ3センチほどでスライスした肉を、ソテー専用のフライパンに入れて、蓋をしてじっくりと焼きあげったポークソティは、大きな金属皿からはみ出さんばかり。仕上げにかけられるバターとデミグラスソースとの相性もとてもよくて、ものすごいボリュームなのに、ついワシワシと完食してしまうという一品だったのです。残念ながら「ポークソティライス」は現在のメニューからは、はずされています。

ポークソティはないものの、“とんかつ「鉄路」”という店名だけあって、トンカツは現在のメニューでも、すべて健在。トンカツは昔から大、中、小と3種類あって、大カツ定食(大カツライス)は1,600円、中カツ定食(トンカツライス)は1,200円、そして小カツ定食(トンカツ定食)は900円です。

私も含めて、普通の胃袋の人は小カツ定食で充分というか、小カツ定食でも、ご飯がちょっと多すぎるくらいなので「小カツ定食をご飯少なめで」と注文するくらいが、ちょうどいいのではないかと思います。

最近はどうか知りませんが、親父さんがやってたころは、小カツ定食のトンカツは、すでに衣が付けられた状態で大型冷蔵庫の中にスタンバイされていて、注文を受けてから、それを揚げてくれてました。

これに対して、中カツ定食になると、先ほど説明したポークソティ同様に、大きな豚肉の塊から、厚さ3センチほどでスライスし、叩いてから衣をつけて揚げていきます。つまりポークソティと同じく、皿からはみ出さんばかりの肉がトンカツになるわけですね。そして、大カツ定食だと、この大きなトンカツが、なんと2枚になります! このあたりの構成は、今も同じなのでしょうか。もし同じであれば、おすすめは中カツ定食(トンカツライス)です。

しかし今日は、この店のもうひとつの名物である「ランチ」(750円)をいただくことにしました。

この「ランチ」。「ランチ」という名称ながら営業時間中はいつでも食べられるメニューで、昔から店内の何人かは必ず食べているほどの大人気メニューだったのです。千切りキャベツがたっぷりと敷かれたお皿に、エビフライ、イカフライ、煮込みハンバーグ、ゆで玉子、ハム、そして鳥唐揚げが3個、ところせましと乗せられています。そしてお皿に山盛りのライスと味噌汁、お新香が付いて一人前です。今日は、しばらくぶりに来たからか、小鉢の冷奴も付けてくれました。

以前は、親父さんとおかみさん、そして息子が、なにかと口喧嘩したりしながら、大忙しの店内をやりくりする様子もまたおもしろかったのですが、ふたりだと喧嘩にならないのか店内も静かです。

以前、好きだったメニューで、今はなくなっているものはポークソティのほかに、「スパゲティ」や「カツカレー」。

「スパゲティ」は、ハムや玉ネギなどと一緒に、ケチャップでチャチャッと仕上げる、いわゆるナポリタンで、食べても食べても量が減らなく見えるほど山盛りで出されるのでした。(最近、ネットを検索していて、懐かしい「鉄路」のスパゲティ画像を発見したのですが、その画像で見ると、あまり大量のスパゲティに見えないなぁ……。)

「カツカレー」のほうは、その前提となる「カレーライス」もメニューからなくなっています。ご飯たっぷり、ルーもたっぷりのカレーライスもさることながら、それにトンカツ定食(小カツ定食)のトンカツを乗せた「カツカレー」が、またおいしかったのです。なにしろトンカツ屋さんの揚げたてトンカツが乗りますからねぇ。

逆に、今もある好物メニューは「豚生が焼定食」(750円)に「ハヤシライス」(700円)、「鳥から揚定食」(950円)、そして「チキンソティ定食」(950円)です。

「豚生が焼定食」は、細かめにカットされた薄切りの豚肉がいいんですよねぇ。これが山盛りになってきますから、まさに「ワシワシ食べる」という表現がぴったりの、おかずになるのです。ご飯との相性も抜群です。

この「豚生が焼定食」と同じ豚肉を使いつつも、それを生姜醤油ベースの味つけではなくて、デミグラスソースで仕上げてご飯の上にかけたのが「ハヤシライス」です。これも豚肉を山のように食べることができる一品です。

「鳥から揚定食」は、今いただいている「ランチ」にも付いてる3個の鳥唐揚げが、8~10個くらい盛られた定食。1個1個が、こどもの握りこぶしほどの大きさですから、これまたボリュームたっぷりの人気の品です。

「チキンソティ定食」は、ポークソティと同様に、ほぼ半身に近いんじゃないかという大きさの鶏肉を、そのままじっくりとソテーしたもの。ポークソティが食べやすくスライスして出されるのに対して、チキンソティはカットしないまま出される代わりに、フォークとナイフが添えられます。あぁ。久しぶりに、この店のチキンソティも食べたいなぁ。

なにしろボリューム満点がこの店の売り。久しぶりなので完食できるかどうか、とても心配だったのですが、食べはじめるとまったく心配の必要もなく、ご飯もおかずも、きっちりと完食いたしました。どうもごちそうさま。

この店の唯一の欠点は、ここの定食を食べ続けると、確実に太ってしまうことです。あぁ、もう動きたくないほど満腹じゃぁーっ!!

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大根漬物と冷奴 / 名物・ランチ / ご飯にはゴマ塩を振って

店情報前回

《平成19(2007)年4月30日(月)の記録》

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おでんは今日まで … 酒どころ「与っ太(よった)」(阿佐ヶ谷)

阿佐ヶ谷駅北口に何軒かある銘酒居酒屋のうち、草分け的存在なのが「与っ太」です。この春連休の個人的なテーマである「近くの名店を探る」に従って久しぶり(6年ぶり)に、その「与っ太」にやってきました。

店内は手前側がL字型、約10席分ほどのカウンター席で、こちら側からは見えませんが奥にテーブル席もあります。土曜日・午後7時半の店内はカウンター席に先客が3人。奥の部屋にもグループ客が入っているようです。

この店の飲み物は生ビール(サッポロ、560円)か日本酒(本醸造730~840、純米酒840~1,000、吟醸酒1,000~1,260、大吟醸1,570~2,000)のみ。その日本酒は、ざっと40種類ほどそろっています。

本醸造は「十四代・本丸」「浦霞」の2品のみで、純米酒が一番多くて「正雪」「田酒」「豊盃」「くどき上手」「大七」「黒龍」「獺祭」「南」など25品ほど。吟醸酒は「手取川・山廃」「山桜桃・純吟」「十四代・純吟」の3品。残る10品ほどが大吟醸で、銘柄で言うと「十四代・山田大吟」「出羽桜」「久保田」「開運」「黒龍」「天狗舞・古々大吟」「酔鯨」など。

今日の一杯目は東広島市の「賀茂金秀」(特別純米・こいおまち・生酒)をいただくと、お通しとして出されたのは小鉢に盛られた蒲鉾と梅クラゲです。

銘酒居酒屋と呼ばれる酒場には、珍味系のつまみが多いのですが、この店にも、めふん、かにみそ、ほや塩辛、酒盗、晩菊(つけもの)、ねり梅などの珍味類が、420~520円くらいを中心価格帯としてずらりとそろっている他、珍味セット(840円)として(A)いか塩辛・ほや塩辛・明太子と(B)たたみいわし・焼のり・ねり梅の2種類が用意されているのです。

しっかりとした、いかにも日本酒らしい味わいの「賀茂金秀」は、お通しをつまみにいただいて、2杯目は、福島・会津の「飛露喜」(特別純米・無ろ過生原酒)をいただきます。

日本酒のメニューに「お酒1合を飲む間に、ほぼ同量の水を飲みながら、ゆっくりと飲むのがよい」と書かれていたので、お水ももらいます。そういえば、日本酒通のみなさんの中には、ペットボトルのお水をチェイサー代わりに飲みながら、日本酒を飲んでる人も多いですよね。

この店の冬場の名物のひとつが、カウンターの中にある、おでん鍋でクツクツ煮込まれている、おでん。毎年9月下旬から4月下旬までという季節限定品なのです。「今年のおでんは今日までよ」という、おかみさんの声に促されるように、私も豆腐と大根、ロールキャベツの3品をもらうと、「これはサービスね」と昆布を付けて出してくれます。

今日いただいた「賀茂金秀」も「飛露喜」も、どちらもBY18の新酒生原酒。BYというのはBrewaried Year、つまり醸造年度、お酒のヴィンテージのことです。通の人たちが飲むと「BY17に比べると、BY18は……」なんて、ワインと同じようなコメントができるのかもしれませんが、私としてはどちらもおいしい。(爆)

ゆっくりと2時間弱の滞在は3,000円。「どうもごちそうさま」と店を出て、トコトコと酔いを醒ましながら鷺ノ宮へと向かいます。

本日ラストは鷺ノ宮駅近くにあるバー「ペルル」です。1軒目、2軒目と数年ぶりとなるお店が続いたので、最後(今日の3軒目)は行きつけのお店でゆっくりとくつろぎたいですね。

大型連休初日の土曜日とあって、「ペルル」の店内は常連さんたちでいっぱい。ひとつのイスを分けあって座ったり、後ろ側の臨時テーブル席も使うほどの状況です。近所に住む酒友・にっきーさんもやってきて、閉店時刻の11時半まで。今日もお勘定は500円でした。

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「与っ太」 / 「賀茂金秀」新酒生原酒 / 棚に並ぶ地酒

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「飛露喜」新酒生原酒(右はお水) / おでん / 「ペルル」で水割

・「与っ太」の店情報前回) / 「ペルル」の店情報前回

《平成19(2007)年4月28日(土)の記録》

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店情報: 酒どころ「与っ太(よった)」(阿佐ヶ谷)

【このお店は現在閉店しています】

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  • 店名: 酒どころ「与っ太」
  • 電話: 03-3336-7650
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-15-4
  • 営業: 18:00-23:00(LO)、日祝休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅から北口アーケードを抜け、突き当りを左折。少し先の右手側。駅から徒歩2分程度。
  • メモ: 飲み物はサッポロ樽生ビール560、サントリー烏龍茶300、本醸造730~840、純米酒840~1,000、吟醸酒1,000~1,260、大吟醸1,570~2,000。

    食べ物はめふん(北海道)520、かにみそ(北海道)520、いか塩辛(宮城)420、ほや塩辛(宮城)520、酒盗(高知)520、焼のり(東京)320、イワシだんご(千葉)420、シラスおろし(静岡)420、子持ちシシャモ(北海道)840、こまい生干(北海道)840、いか沖漬(北海道)1,260、ほたるいか沖漬(富山)520、青アジくさや(東京)520、たたみイワシ(静岡)520、丸干うるめ(高知)420、えいひれ(長崎)520、剣先するめ(長崎)620、納豆(茨城)320、晩菊(つけもの、山形)420、ねり梅(和歌山)420、からし明太子(福岡)520。珍味セット(840円)は(A)いか塩辛・ほや塩辛・明太子と(B)たたみいわし・焼のり・ねり梅の2種類。

    他に生ゆば620、冷やっこ320、冷トマト320、梅きゅうり370、長いも梅あえ520、長いも千切り520、山いも短ざくあげ520、シューマイ520、茶そば840、やきとり2本300、やきとり6本840、梅じそつくね焼420、さつまあげ焼420、油あげ焼320、厚あげ焼420、いなり納豆420、玉子焼420、かますひもの840など。おでん(9月下旬から4月下旬まで)も人気。(2007年4月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (01.05.18)(00.10.19)

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荻窪でうなぎの串焼き … うなぎ「川勢(かわせい)」(荻窪)

この春連休の間に、近くにあるのに、なかなか行けていないようなお店を探ってみたい。題して「近くの名店を探る」。その第一弾としてやってきたのは荻窪駅です。この近くにも、いろんなお店があるのに、このところお馴染みの何軒かにしか行くことができてません。せっかくの大型連休なので、はじめて行くお店、久しぶりとなるお店に足を運んでみようと思っているのです。

その「近くの名店を探る」。栄えある1軒目は、久しぶり(4年ぶり?)となるお店、うなぎ串焼きの「川勢」です。

うなぎの串焼きといえば、中央線沿線だと新宿「カブト」や中野「川二郎」が有名。ここ「川勢」の店主は、その「川二郎」で修業をしてこの店を開いたんだそうで、今でも「川二郎」の店主のことを「親方」と呼んでいます。

土曜日午後5時半の店内は先客は5人。店内はL字カウンター10席分程度(←ギュッと詰めた場合)しかないので、これでももう半分が埋まった状態です。

ちょうど焼き台の前あたりに陣取って、まずは燗酒(新政、320円)と串焼きの一揃(ひとそろい)を注文すると、お通しには「川二郎」と同じく、小皿に盛られたキャベツの紫蘇和えが出されます。

今日はちょっと前まで雷をともなう大雨が降っていたのですが、その雨があがるとともに気温がグンと低下して、とてもゴールデンウイークとは思えないくらいの肌寒さ。あったかい燗酒が心地好いですねぇ。

まず出された3本はヒレ焼、バラ焼、キモ焼の3本(各190円)。

ヒレ焼というのはうなぎの背ビレや腹ビレを、ニラとともに串に巻いて焼いたもので、「川二郎」「川勢」グループの名物でもあります。ヒレといいつつも、なにしろうなぎのヒレなので、もともと細長いものだし、ニラと一緒に食べるということもあって、ざらついたりする食感はまったくなくて、うまみたっぷり。

バラ焼は、うなぎの腹骨のところを集めて串に刺し、焼いたもの。豚肉で言えばスペアリブ、仔羊肉で言えばラムラックに相当する部分です。これももともと骨が細いというこもあって、まったくざらつかない。骨ぎわの肉のうまみだけをギュッと凝縮したような一品なのです。

キモ焼は、うなぎの内臓のうち、レバー以外を串に刺して焼いたもの。居酒屋でウナギ串などの名前で出されるものと同じ内容ですが、「川二郎」「川勢」など、うなぎ串焼き専門店で食べるキモ焼は弾力感と口の中で感じる香りがまったく違う。これは、普通の居酒屋で出されるもつ焼きと、もつ焼き専門店のもつ焼きの違いと似ていると思います。素材の鮮度と焼き方でこんなに違いが出るのかと思わせる一品です。

2巡目で八幡巻(260円)、串巻(190円)、レバ焼(190円)の3本が出されて一揃(6本、1,210円)が出そろいます。

レバ焼は、さきほどキモ焼には入れられなかったレバーだけを集めて串焼きにしたもの。うなぎのレバーは小さくてもプリプリで、しかもまったくと言っていいほどクセがない。レバー嫌いの人でも絶対に食べることができると思います。

串巻はうなぎの身を、縦に細く割いてくねらせるように串に刺して焼いたもの。いわゆる、くりから焼という焼き方です。ヒレやバラ、キモもさることながら、やっぱりうなぎの身もおいしいなぁ、と改めて感じさせられる一品です。火の通りかたがちょうどいいのか、うなぎの身のプリプリとした食感もしっかりと残っています。

八幡巻は、串巻と同じ細割きのうなぎの身を、細長く切ったゴボウのまわりに巻いたもの。ドジョウとゴボウが合うように、うなぎとゴボウも実によく合うのです。ゴボウの淡泊さと、うなぎの脂っこさ。ゴボウのコリコリ感と、うなぎのふっくら感の対比がいいんでしょうか。

一揃のうなぎ串焼き6本が出終わったところで、メニューに残っているうなぎ串焼きはエリ焼(190円)とハス焼(190円)、短冊(260円)の3種類。これらの中からエリ焼を追加注文して、燗酒(320円)もおかわりです。

エリ焼は、まさにうなぎのエリ(首まわり)あたりの肉を焼いたもの。うなぎの串焼きを食べさせる店では、カブトとか頭といった名称で、うなぎの頭の部分全体を食べさせるところが多いのですが、「川二郎」「川勢」グループでは、その頭部分の下ごしらえにもう一手間かけて、頭の先や、中の硬い骨の部分を取り除き、首まわりの肉だけを取り出しています。したがって、できあがったエリ焼も、骨を出したりすることなく、すべて食べられるのです。

最後に肝吸い(200円)をもらって、それを肴に、このために残しておいた燗酒をちびちびといただいて終了です。お勘定は2,270円でした。

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お通しのキャベツと燗酒 / ヒレ焼、バラ焼、キモ焼 / 八幡巻、串巻、レバ焼

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エリ焼 / 肝吸い / 肝吸いに入っている肝

店情報前回

《平成19(2007)年4月28日(土)の記録》

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店情報: うなぎ「川勢(かわせい)」(荻窪)

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  • 店名: うなぎ「川勢」(かわせい)
  • 電話: 03-3392-1177
  • 住所: 167-0043 東京都杉並区上荻1-6-11
  • 営業: 12:00-14:00、17:00-22:00(売切れ次第閉店)、日休
  • 場所: 荻窪駅北口から、JR線に沿って阿佐ヶ谷方面に向かう。左手1本目の路地を左折し、しばらく進んだ右側。
  • メモ: 鰻の頭から尾までをすべて食べさせる串焼き専門の店。店主は中野の「川二郎」で修業をしてこの店を開いた。 〔飲み物〕ビール600、酒二級450、純米酒550、焼酎350(3杯まで)、酎ハイ400。 〔御飯物〕うな丼1,500(ランチサービス1,200)、上うな丼2,000、まぶし丼1,300、きも吸200、キャベツ150、つけもの350。 〔串物〕串巻220、八幡巻350、きも焼220、ひれ焼220、ばら焼220、れば焼220、ねぎ焼180、ししとう焼180、しいたけ焼180、えり焼220、はす焼220、短冊焼350。 〔一品〕きも刺650、カルシウム250。 『一揃』は八幡巻、串巻、きも焼、ひれ焼、ばら焼、れば焼の6本1セット(1,440円)だが、品切れのときは別のものに代わる。(2014年12月調べ)

    〔飲み物〕ビール600、酒二級400、純米酒500、焼酎350(3杯まで)。 〔御飯物〕うな丼1,500(ランチサービス1,100)、上うな丼1,900、まぶし丼1,300、きも吸200、キャベツ150、つけもの350。 〔串物〕串巻220、八幡巻340、きも焼220、ひれ焼220、ばら焼220、れば焼220、ねぎ焼180、ししとう焼180、しいたけ焼180、えり焼220、はす焼220、短冊焼340。 〔一品〕きも刺650、カルシウム250。 『一揃』は八幡巻、串巻、きも焼、ひれ焼、ばら焼、れば焼の6本1セット(1,440円)だが、品切れのときは別のものに代わる。(2014年3月調べ)

    串焼きは串巻、きも焼、ひれ焼、ばら焼、れば焼、えり焼、はす焼が各190円、八幡巻、短冊焼が各260円、ねぎ焼、ししとう焼、しいたけ焼が各180円という3種の価格帯。「一揃い」は八幡巻、串巻、きも焼、ひれ焼、ばら焼、れば焼の6種が1本ずつで1,210円。飲み物は焼酎(金宮、3杯まで)、日本酒が各320円。ウーロンハイ370円、純米酒390円、ビール大瓶600円。その他、キャベツ150円、つけもの350円、きも吸200円、きも刺し650円、うなぎ味噌漬650円、うな丼1,200円、上うな丼1,500円、まぶし丼(ご飯にたれをまわし、短冊焼と三つ葉、きざみ海苔を和えた丼) 1,100円など。お通しのキャベツは30円。カウンター12席。グループ用に2階席もあるようだ。(2008年11月調べ)
    〔飲み物〕ビール600、酒(二級)320、純米酒390、焼酎320(3杯まで)、ウーロンハイ370。 〔御飯物〕うな丼1,200、上うな丼1,500、まぶし丼1,100、きも吸200、キャベツ150、つけもの350。 〔串物〕串巻190、八幡巻260、きも焼190、ひれ焼190、ばら焼190、れば焼190、ねぎ焼180、ししとう焼180、しいたけ焼180、えり焼190、はす焼190、短冊焼260。 〔一品〕きも刺650、カルシウム250。 『一揃』は八幡巻、串巻、きも焼、ひれ焼、ばら焼、れば焼の6本1セット(1,210円)だが、品切れのときは別のものに代わる。(2011年2月追記)

  • HTML版(2003年以前): (03.02.13)

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連休前に中華で一献 … 中華料理「麗郷(れいきょう)」(渋谷)

ここっとさんと、その婚約者・Mさんと3人で、渋谷の台湾料理の老舗、「麗郷」です。金曜、午後9時の店内はびっしりと満席模様ながら、1階店内右手奥の壁にへばりつくように置かれている3人掛けテーブル席が空いていて、そこに座ることができました。

へぇー、こんな席があったんですね。この店の1階は比較的大き目(8~10人用程度)の円卓が並んでいるほか、カウンター席が10席分ほどあって、ひとりで来るとカウンターに、2~3人だと入れ込みで円卓の空いている部分に相席となることが多いのですが、その店の隅っこに、こんな卓があったとは知りませんでした。ここも実は円卓で、店の中央部に置けば4~5人くらいで囲むこともできそうなのですが、片側を壁にくっつけているので3人でちょうどです。

まずはビール(サッポロ黒ラベル中瓶、500円)をもらって乾杯し、料理のほうはニラレバ炒め(1,000円)に腸詰(800円)、春巻(800円)から開始です。

Mさんの選んだニラレバ炒め(韮菜炒豚肝)は、レバニラではなくて、ニラレバという名称のとおり、むしろニラがたっぷり。これに薄切りのレバーが混ざっている状態で、ニラそのもののおいしさが味わえます。

「ここの黄ニラ炒めもおいしいらしいんだけど、これだけがちょっと高いんですよ」と、ここっとさん。どれどれ、とメニューを確認してみると、青菜炒めが1,000円、空心菜炒めが1,200円、モヤシ炒めが900円と、千円前後の野菜炒めメニューが並ぶ中で、黄ニラ炒め(炒韮黄)だけが、なんと2,000円。たしかにこれだけが高いなぁ。

腸詰(煙腸(エンチャン))は、この店の名物のひとつ。カウンター席の上に、ずらずらと連なってぶら下げられているのが圧巻で、注文するとこれを斜めにスライスして、白髪ネギ、香菜(パクチー)を添えて出してくれます。

ここっとさんの選んだ春巻は、カリッと揚がった熱々のものが5個で1人前。カリッと齧った中から、あふれるように出てくる餡がいいですねぇ。

ビールをおかわりし、紹興酒(一合、700円)も燗してもらいます。料理のほうも焼豚(叉焼肉、1,500円)や、枝豆と高菜炒め(咸菜毛豆、1,300円)を追加します。

豚料理が多いのも、この店の特徴のひとつ。すでに注文した腸詰や叉焼肉のほか、豚耳、豚尾(各700円)、豚脚、豚舌(タン)、豚頭肉(カシラ)、豚心臓、炒豚肝(レバー炒め)、炒腰花(豚マメ炒め)、炒生腸(子袋炒め)、炒豚肚(ガツ炒め)(以上各800円)などがそろっています。もちろん、普通の中華料理屋にもある豚肉うま煮、豚肉から揚げ、豚肉天ぷら、酢豚、豚肉甘酢辛子炒め、回鍋肉(ホイコーロ)、炸丸子(肉だんご)、八宝菜(以上各1,500円)なども並んでいて、メニューの中の『豚料理』という項目のところだけでも、ざっと30品のメニューが並んでいるのです。

枝豆と高菜炒めは、餃子と並んで、ここっとさんがはまっている品物のひとつ。メニューの名称どおり、たっぷりの枝豆(サヤから取り出した豆のみ)を高菜とともに炒めて、仕上げにとろみがつけられています。サヤごとゆでた枝豆から、自分で豆を取り出しながらいただくのもおいしいのですが、こうやってたっぷりと盛られた豆を、大きいスプーンでガバッとすくって頬張ると、なんだか贅沢をしてるような感じになります。

最後に五目入り焼きそば(什景炒麺、900円)をいただいて終了。約2時間の滞在は3人で11,865円(ひとりあたり3,955円)でした。どうもごちそうさま。

さぁ、明日からはゴールデンウイークの9連休だ!

070427a 070427b 070427c
「麗郷」 / ビール / ニラレバ炒め

070427d 070427e 070427f
腸詰 / 春巻 / 焼豚

070427g 070427h 070427i
紹興酒(一合) / 枝豆と高菜炒め / 五目入り焼きそば

店情報前回

《平成19(2007)年4月27日(金)の記録》

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ゆっくりと蕎麦屋酒 … 手打そば「おおひら」(野方)

なおとんさん宇ち中さんと3人で「秋元屋」を出て、もう1軒と向かったのは、駅からほど近い、みつわ通り商店街に入ったところにある手打そばの店「おおひら」です。以前は「太平庵」という店名だったのですが、気がつくと手打そば「おおひら」という名前に変わってました。

野方という町は、基本的に食事の値段が安い町なのですが、ここ「おおひら」もそんなお店。都心部で食べると2千円近くはするだろうなぁ、というような天ぷらそばが1,260円くらいから食べられるほか、四季折々に合わせたそばを、ご飯も付いたセットで1,350円くらいで提供してくれるのです。

もちろん、そば前の酒や肴も用意されています。日本酒は長野県佐久市の「菊秀」1銘柄のみながら、本醸造(420円)と特別純米(720円)の2種類が選べます。この他、生ビール(エビス、580円)はありますが、焼酎はなし。肴は辛味大根(260円)、とろろ(420円)、板わさ(420円)、鴨焼き(790円)、あなご天ぷら(790円)、季節の野菜天ぷら(950円)、盛り合わせ天ぷら(1,260円)といった、そばの種にもなる、そば屋定番のつまみの他、冷奴(350円)、おしんこ(400円)、あげ出し豆腐(580円)なども選べます。

こうやって本格的なそばをリーズナブルな値段で食べられて、しかもちょいと飲んだりもできるので、地元でも大人気。いつもたいていお客さんがいっぱいで、特に日曜日の今日は家族連れも多くて、午後6時半過ぎの店内には、空いたテーブルはない状態です。しかしながら、ひとグループがちょうど計算中のようなので、しばらく外で待っていると、そのお客さんたちと入れ替わりに、すぐに店内に入ることができました。

店内は左手にテーブル席が4卓、右手には小上がりになっていて座卓が4卓並んでいます。テーブル席の一番手前は、真ん中に囲炉裏のある大きなテーブルで、ひとり客でも入れ込みで入れるカウンター代わりの席にもなります。我われ3人は、右手小上がりの一番手前、6人座れるテーブルに3人でゆったりと座ると、「いらっしゃいませ」と、まずはお茶と、サービスの揚げそばが出されます。お酒を飲まない場合でも、この揚げそばをポリポリ食べて、お茶を飲みながら、そばの出を待てばいいようになってるんですね。

しかし、我われはもちろんそば前のお酒(本醸造、420円)から。なおとんさんは冷やで、宇ち中さんと私は燗でいただくと、お酒にもお通しの青菜おひたしが出されます。

注文した肴は、板わさ(420円)、おしんこ(400円)に季節の野菜天ぷら(950円)。

そば屋の肴の定番中の定番・板わさは、蒲鉾板の上に厚めにカットされた蒲鉾が6切れ。横におろした本ワサビが添えられます。この店もそうですが、生ものを置いているそば屋は、チェーン店のそば居酒屋などをのぞくと、あまりありません。そういうそば屋で“刺身代わり”としていただける肴が板わさなんですね。

おしんこはキュウリ、カブ、ニンジン、大根、ナスの自家製ぬか漬け5品盛り。季節の野菜天ぷらはサツマイモ、ハス、たらの芽、ナス、カボチャ、マイタケなどが盛り合わされています。

今日は3人いるから問題ないけど、ひとりで注文したら板わさ、おしんこ、季節の野菜天ぷらのどれをとっても、1品で十分といったボリュームなのです。

これらをつまみながら、ひとり2合ずつほどお酒をいただいたところで、3合目のおかわりとともに、そばの注文です。

私はあっさりと、つけとろろそば(840円)。とろろの入ったつけ汁に、せいろそば。小皿にウズラの生卵と、刻みネギ、ワサビが添えられます。なにしろ、とろろがつまみになり、せいろそばがつまみになりますからねぇ。お酒を飲みながら、ゆっくりといただける一品です。

宇ち中さんの注文は鴨焼せいろ(1,370円)。陶板で、鴨肉がジュージュー焼かれながら出てきます。何枚かの鴨の抱き身(胸の肉)の上にたっぷりと盛られた白髪ネギ。ジュワーッと立ちのぼるものすごい湯気が、鴨肉のいい香りをふりまきます。これもまた、つまみにもなる一品ですね。

なおとんさんが「根菜せいろ(780円)の麺を、普通のそばから田舎そばに代えてもらえますか」と注文すると「はいはい。いいですよ」と、すんなりと受け入れられます。せいろ(580円)と田舎そば(730円)の差額は150円。後でレシートを見ると、根菜せいろ・田舎そばバージョンは、この差額150円が追加されて、930円でした。田舎そばは、普通のそばとくらべるとかなりの太麺。太いというよりも細めのキシ麺状とたとえたほうがイメージに近いでしょうか。その田舎そばの上に、千切りの大根と金平ゴボウがたっぷりとのっています。

最後はそば湯で割ったつけ汁で、残ったお酒をいただいて、ごちそうさま。約2時間のそば屋酒は、3人で8,270円(ひとりあたり2,757円ほど)でした。

070422j 070422k 070422l
手打そば「おおひら」 / 揚げそばとお茶 / 「菊秀」本醸造(燗)

070422m 070422n 070422o
板わさ / おしんこ / 季節の野菜天ぷら

070422p 070422q 070422r
つけとろろそば / 鴨焼せいろ / 根菜・田舎そば

店情報前回

《平成19(2007)年4月22日(日)の記録》

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店情報: 手打そば「おおひら」(野方)

    070422z
  • 店名: 手打そば「おおひら」
  • 電話: 03-3337-4082
  • 住所: 165-0027 東京都中野区野方5-19-11
  • 営業: 11:30-15:00 & 18:00-21:00(11月から2月までの夜の部は17:30-20:30)、土休
  • 場所: 西武新宿線・野方駅改札を出て左に。商店街を抜けて「松屋」の角を右折して、次のY字を左、みつわ通り側に入った左側。駅からは徒歩約5分ぐらい。
  • メモ: 〔冷しもの(そば・うどん)〕せいろ580、ざる680、田舎そば730、根菜せいろ(金平ごぼう、千切り大根)780、つけとろろそば840、つけおろしそば(辛味大根)840、豚汁せいろ900、地鶏汁せいろ1,000、鴨汁せいろ1,150、天せいろ1,260、あなご天せいろ1,260、天ざる1,370、野菜天せいろ1,370、鴨焼せいろ1,370、海老天せいろ(天然もの2尾)1,580。
    〔温かいもの(そば・うどん)〕かけそば580、山菜そば840、山かけそば840、天ぷらそば1,260、野菜天ぷらそば1,370、あなご天ぷらそば1,260、地鶏南そば1,000、鴨南そば1,260、カレーうどん900、肉うどん840、力うどん840、玉子とじうどん730、かき玉うどん730、あんかけうどん840。
    〔うどん〕カレーつけめんうどん900、冷し肉野菜うどん900、焼きうどん800、いかめんたい焼きうどん950。
    〔ご飯もの〕玉子丼730、地鶏親子丼950、カツ丼950、天丼1,050、野菜天丼1,150、盛り合わせ天丼1,260、あなご天丼1,150、野菜天ぷら定食1,150、盛り合わせ天ぷら定食1,580、ライス(小)110、(並)210、高菜ごはん(小)210、(並)310、いなり210。
    〔一品〕おしんこ400、辛味大根260、冷奴350、とろろ420、板わさ420、あげ出し豆腐580、鴨焼き790、あなご天ぷら790、季節の野菜天ぷら950、盛り合わせ天ぷら1,260。
    〔お飲みもの〕日本酒・菊秀(本醸造)420、(特別純米)730、エビス樽生(中ジョッキ)580、ジュース(オレンジ、りんご)310。
    〔季節もの〕天然・山菜天せいろ(山うど、ふきの塔、たらの芽、こごみ等、小ライス付き)1,350、山女魚(やまめ)天せいろ(ふき味噌仕立て、小ライス付き)1,260。(2007年4月調べ)
  • HTML版(2003年以前): (03.11.02)(02.11.10)(02.07.14)(01.10.21)

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最近、流行りの胡椒焼き … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

日曜日。なおとんさん宇ち中さんと示し合わせて「よじあき」(=日祝の開店時刻である午後4時に「秋元屋」)に行くと、今日も開店直後にもう満席。まずはシャリ金ホッピー(410円)と、煮込み玉子入り(380円)からはじめて、サイドメニューにキャベツ味噌(100円)ももらいます。なにしろ春キャベツのおいしい季節ですからね。なおとんさんもキャベツを味噌マヨ(味噌+マヨネーズ)でもらっています。

なおとんさんから「これ食べてみて」と渡されたのは、カシラの胡椒焼き。カシラに胡椒をたっぷりと振りかけてから焼きあげたもので、最近の「秋元屋」の流行(はやり)なんだそうです。黒胡椒をたっぷりとまぶしたペッパーステーキや、ラムチョップ(骨つきラム肉)のペッパー焼きなどの料理もあるくらいで、むしろなぜ今までなかったのかが不思議なぐらいですよねぇ。

「焼くのに時間がかかって大変なんですよー」と、この時間の焼き台を担当する三浦さんは苦笑い。そうか。肉の表面が胡椒でコーティングされた状態になっているから、普通よりも火が通りにくいのか。込み合ってるときは、ちょっと遠慮したほうがいい焼き方かもしれません。

宇ち中さんはメンチ味噌を注文。「秋元屋」にはメンチやハムカツ(各200円)や、コロッケ(180円)というメニューがあって、これを注文するとお惣菜として売られている市販のメンチ、ハムカツ、コロッケを炭火で炙って出してくれるのです。

これらは「秋元屋」が開店して間もないころ、店主が自分のつまみ用に準備していたものを、ちょっと出してくれたりする裏メニュー的な存在だったのです。「こりゃいいよ。ぜひ表メニューにしてよ」というお客さんたちの要求に、しばらくは「これはちゃんとした料理じゃないから」と断ったりしていた店主ですが、お客さんの人気には逆らえきれず、ついに表メニューとして、そればかりか毎日どんどん出ていく人気メニューとして定着したのでした。その人気たるや、お土産として持ち帰る人もいるほどなんだそうです。

「メンチやコロッケを買ってきて、自分の家で炙っても同じなのに…」と店主は謙遜しますが、なかなか自分の家に炭火が用意されている人はいませんもんね。

宇ち中さんの注文したメンチ味噌(これも200円)は、炙り終えたメンチを出すときに、上に「秋元屋」自慢の味噌ダレをかけたものです。こうなると、ますます自分の家ではマネできませんよね。完全に「秋元屋」オリジナルのメニューと化しています。

2杯目の飲み物は、なおとんさんと共にバイスサワー(350円)を注文。
「前回、全部入れたら、すごく甘かったんですよ」
「これは半分ずつ、2回に分けて飲むくらいがちょうどいいんです」となおとんさん。なるほど、やっぱりそうだったのか。今回はバイス(梅紫蘇の素)を半分だけ入れていただいてみると、うん、これなら大丈夫です。

それじゃ、私はいつものようにガツとテッポウを醤油焼きで1本ずつ! ガツは豚の胃袋。しっかりとした弾力感が売りもので、ミノ(牛の第1胃袋)ほど硬くなくて食べやすいのです。テッポウは豚の直腸。上シロと呼ばれたり、トロと呼ばれたりすることもあるテッポウは、やわらかいのに、グゥ~ッと噛みしめていくとジワァーッと弾力感が増していくタイプ。ぷつっと噛み切れる瞬間まで弾力が楽しめるのです。

なおとんさんはレバ塩のちょい焼きを注文し、仕上げにチューブのワサビを添えてもらっています。「ワサビをたっぷりつけて食べるのがうまいんだよ。食べてみて」と、こちらにもレバ塩の入ったお皿を回してくれます。先ほどの胡椒焼きもそうですが、ワサビを添えてみたり、練りガラシをつけたり、そうかと思えば「これは絶対に粒マスタードで食べなきゃダメなんだ」という品があったりと、モツ好きのみなさんは、それぞれに一家言もっているし、それがまた確かに美味しいんですよねぇ。その研究熱心さに脱帽です。

宇ち中さんがオニオンスライス(220円)を注文すると、これがまたお皿に山盛りです。

バイスサワーのナカ(焼酎のおかわり、250円)をもらって、私も注文してみたことのない、おかか梅(150円)をたのんでみます。「はい、おかか梅!」と、すぐに出された小鉢は、たっぷりと盛られたカツオ節だけが見えている状況。どれどれー、と山のようなカツオ節を左右に分けてみると、その下には大きな梅干がふたつ。

この梅干をチマチマとつつきながら飲むお酒がおいしいんだけど、梅干にバイスサワーというのは、冷しトマトをつまみにトマト割りを飲んでるようなもので、ちょっと合わなかったなぁ。日本酒か焼酎が合いそうです。

午後6時半までの滞在は、それぞれ個別会計で、私の分は1,840円。「ごちそうさまー」と、途切れることなく満席の「秋元屋」を、3人で後にしたのでした。

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シャリ金赤ホッピー / 煮込み玉子入り / キャベツ味噌

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メンチ味噌 / ガツとテッポウの醤油焼き / バイスサワー

070422g 070422h 070422i
レバー塩にワサビ / オニオンスライス / おかか梅

店情報前回

《平成19(2007)年4月22日(日)の記録》

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やっぱり最後はラーメンで … ラーメン「御天(ごてん)」(下井草)

渋谷での二次会を終えて、自宅が近くのにっきーさんとふたり、やって来たのは下井草駅から新青梅街道沿いに出たところにある博多長浜とんこつラーメン「御天」です。現在の時刻は午前1時ちょっと前。

ここはラーメン屋ながら、博多のラーメン屋台がそうであるように、酒や肴も用意されていて、どちらかというと「シメにラーメンも食べられる酒場」といった感じなのです。しかも午前3時まで(日曜の夜は午前1時まで)の営業なので、夜遅くにやってきても開いているところがうれしいんですよねぇ。

下井草にあるこの店が「御天」の本店(井草本店)で、ほかに千駄ヶ谷店があるほか、ラーメン屋ではありませんが、本店の地下に焼酎バーの「GOTEN’S BAR」があり、こちらも午前3時まで営業(日曜は休み)されています。(詳しくは「御天」の公式サイトをご覧ください。)

ここに来るといつも大体そうなのですが、まずは地下の「GOTEN’S BAR」へと入ります。店内は左手に直線カウンター、右手にはボックス席があり、バーらしく照明は暗め。ボックス席の入口側の壁には大型のプラズマTVがあるほか、店の置くにはダーツマシンも用意されています。

バックバー(カウンターの中の酒棚)にずらりと並ぶ、焼酎を中心とした一升瓶の数々を眺めながらにっきーさんが選んだのは、「魔王」などでおなじみの白玉醸造で造られた「さつまの梅酒」。私はこのところ各店でいただいている、かめ壺貯蔵の芋焼酎「蔵の師魂」をロックでいただきます。(焼酎類は大体一杯550~700円くらいです。)

「GOTEN’S BAR」には宮崎地鶏のたたきや炭火焼(各600円)や、博多鉄なべ餃子(2人前960円)などの料理もあるんだけど、このあといただくであろうラーメンのことを考えて、たいていは飲物ばかり。今日も1時間ほど地下で飲んでから、地上の「御天」に上がります。

午前2時の「御天」は、金曜日の夜ほどではないのですが、それでもけっこうお客さんが入っています。この時間帯、もちろんもう電車は動いていないので、みなさん近くの人たちなんでしょうねぇ。となりの鷺ノ宮駅周辺のお店もそうなんですが、このあたりは、むしろ夜が更けてからのほうがお客さんが多くなるようです。早い時間帯は都心部で飲んでいた人たちが、地元に帰ってきてからもう1軒とやってくる、というパターンなのでしょうか。

ここでも、すぐにラーメンということはなく、まずは玉露割り(400円)と、おつまみキムチ(300円)をもらって飲み始めます。「おつまみキムチ」とあえて「おつまみ」の文字が冠されているのは、ラーメンのトッピングとしてのキムチ(200円)と区別するためなんですね。

こちら「御天」も飲み物がビール、日本酒(地酒もあり)、紹興酒、梅酒と、「GOTEN’S BAR」ほどではないにしろ何種類かの焼酎と、酎ハイ類がそろっている他、おつまみのほうもマカロニサラダ(250円)、ポテトサラダ(300円)、手打ち水餃子(280円)、ネギチャーシュー(550円)、粗引きソーセージ(600円)、さらにはポークソテー(900円)などなど、100円から960円(←博多鉄なべ餃子)までの品がざっと30種類ほど並んでいるのです。まさにラーメン酒場ですねぇ!

ここで調子に乗って飲んでいると、閉店時刻の午前3時を過ぎてしまってラーメンを食いっぱぐれてしまいます。最後にラーメンを食べる時間をとっておくことが重要なのです。

ラーメン(680円)は注文するとすぐに出てくるのが博多長浜流。この店でもそれはしっかりと守られていて、できあがってくるのは早い早い。テーブル上に置かれている胡麻と紅生姜、そしておろしニンニクをいつものようにチャチャチャっと入れて、今日は高菜もちょっと入れてみました。

この高菜もテーブル上に置かれている薬味で、言ってみれば入れ放題なんですが、注意をしなければならないのは、この高菜はちょっとだけ入れても、ものすごく辛くなるということ。市販の辛子高菜とは違って、その辛さが強烈なのです! 辛いのが好きな人はぜひお試しあれ。

長くて楽しい土曜日の夜は、ピリッと辛いラーメンで幕を閉じたのでした。

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「GOTEN’S BAR」 / 「さつまの梅酒」 / 「蔵の師魂」

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玉露割り / おつまみキムチ / ラーメン

店情報前回

《平成19(2007)年4月21日(土)の記録》

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第1回匍匐ぜんしんオフ会 … 土佐料理「四万十(しまんと)」(青物横丁)

帰り道は、匍匐ぜんしん!~しとりで飲み歩き」のここっとさん。前から「匍匐ぜんしんオフ会をやろうよ」と言い続けてたんだけど「また今度」「また今度」と、なんとなく延び延びになっているうちに、おめでたいことに、ここっとさんのご婚約が相整った上に、ブログのほうも50万アクセスオーバーと「これは絶対にオフをやらなきゃ」って雰囲気になってきた。そんなわけで、今日は青物横丁の四国家庭料理「四万十」で「第1回匍匐ぜんしんオフ会」です。

せっかくの第1回オフ会なので、掲示板等も利用して大々的に、ってことも考えたのですが、がらにもなく(失礼!)「なんだか照れるなぁ」と恥ずかしがるここっとさんの気持ちをくんで、今回はひっそりと少人数でのオフ会です。

集まったのは、ここっとさんと婚約者Mさんのほか、ここっとさんの友人・かなちゃん、以下、ハンドル名五十音順に宇ち中さん、おっとこまえH氏、tamさん、泥酔院さん、同僚K田、にっきーさん、呑んだフルさん、ワイタベのレミングさん、そして私の12名。小規模と言いつつもけっこうな人数になりました。

まずはみんなで生ビールをもらって「おめでとう!」と乾杯すると、今日も料理は四万十のりからスタートです。

ここ「四万十」にはメニューはありません。食材は高知からの直送で、その日によってできる料理が変わり、それがおまかせで出されるのです。飲み物は生ビールのほかに、棚や冷蔵庫に高知産の日本酒(土佐鶴、司牡丹、酔鯨、亀泉、しらぎく、赤野、船中八策、美丈夫)や焼酎(竜馬(麦)、ダバダ火振(粟))がずらりと並んでいて、基本的にはそれを瓶ごともらってきて飲む。すると終わったときに残っている量を見て値段を決めてくれるのです。

この店には80人ほどが収容可能なので、料理もひとつひとつが大量に作られていて、それが人数に合わせて盛りつけられるのです。竹の子煮、肉じゃが、マカロニサラダ、アジ刺身と、先ほどまで四万十のりしかなかったテーブルに、続々と料理が並びます。

そして飲み物も日本酒に切り換えて、高知出身の酒場詩人・吉田類(よしだ・るい)さんおすすめの「美丈夫」をいただきます。

ここっとさんの書く「帰り道は、匍匐ぜんしん!」の分類はグルメサイト。ご自身が食べ歩いたり、飲み歩いたりした様子が記録されているのです。最初にそのブログを見たときには、文字が大きくなったり、小さくなったり、色が変わったり、顔文字がたくさん出てきたりでそれは驚いたものでした。ブログを書く人が多くなるにつれ、似たようなスタイルのブログもよく見かけるようになってきて、むしろ「帰り道は、匍匐ぜんしん!」のほうが地味に見えるし、最近はここっとさん自身も、あまり文字を変えたりしなくなってきて、むしろ落ち着いた感じのブログになっています。

しかしながら「帰り道は、匍匐ぜんしん!」ブログのサブタイトルが「しとりで飲み歩き」というだけあって、あちこちで飲んで帰るので、帰宅速度は結局、匍匐前進(ほふくぜんしん)並みという大酒豪。そして今日集まった面々も、そのここっとさんとほぼ対等に渡り合えるつわものぞろいで、見る見るうちにお酒が消費されていきます。

先に書いたとおり、この店はおまかせで飲み食いして、最後にお勘定をするのですが、件の吉田類さんによると「いくら飲み食いしても3,800円くらいなんだよ」ということですし、この店が紹介されている「ぐるなび」のページを見ても「飲んで食べても4,000円を超えることは珍しい」と書かれているのですが、このメンバーが本気で飲むと、いくらくらいになるか怖いなぁ。

料理のほうはおつまみ系から、ちょっとお腹にたまる系に。ペペロンチーノ風焼きそばに、この店の名物のひとつニラ饅頭。それと土佐料理と言ったら、なにしろこれという一品、カツオのたたきです。たっぷりとのせられたニンニクや玉ネギが土佐風ですね!

ここっとさんの婚約者Mさんは、ここっとさんによると、お酒そのものはそれほど飲まれないそうなのですが、それはあくまでもここっとさんと比較した場合のお話し。Mさんご自身も普通の人が普通に飲めるくらいは飲めるのです。これまでにも何度かごいっしょさせていただいているのですが、瀬戸内出身の温厚で明るい性格。いいですねぇ、瀬戸内出身!(自画自賛)

そして出された料理は、その瀬戸内でも名物である・じゃこ天です。ここのじゃこ天は、愛媛のじゃこ天が平たいものが多いのに対して、薩摩のつけ揚げ(薩摩揚げ)に近いふっくらとした形です。薩摩から土佐にかけて似たような料理もありますもんね。もっと言えば沖縄からはじまって、鹿児島、高知、和歌山、静岡をへて千葉の銚子あたりに至る、いわゆる呑兵衛県ゾーン。これを「黒潮文化圏」と呼んでいるのですが、いい酒、いい肴、そしていい呑兵衛がそろってますよねぇ。

これは日本だけに限らないようで、ヨーロッパでも、沖合いに暖流の流れるポルトガルからスペイン西岸、フランス西岸、イギリス西岸にかけていい酒、いい肴が多いらしい。当然、いい呑兵衛も多いのでしょうねぇ。なにしろ美味しいお酒を飲みながら、じっと待っているだけで、暖流がまるでベルトコンベアのようにいい魚をどんどん運んできてくれそうだからかなぁ。

そしてお店の定番料理らしいコロッケやサラダが出されて、飲み物は焼酎(土佐の栗焼酎「ダバダ火振」)も出されます。この時点で午後7時。オフ会開始からまだ1時間しかたっていないのに、さすがにいいペースでお酒が進んでますねぇ。

宇ち中さん持参のノートPCでは、参加したみなさんが持ち寄った「ここっとさん写真集」が上映され、参加者ひとりずつから、お祝いの言葉&近況報告です。

土佐と言えば皿鉢(さわち)料理といって、大皿に刺身や煮物などなどを盛り合わせたものを肴に飲むという郷土料理も有名。今やテーブル全体が大皿代わりとなって、ずらりと料理が並んでいる状態。お酒や焼酎も、一升瓶で続々と出てきます。

一次会が終了したのは午後10時前。4時間弱のロングラン・オフ会です。さぁ、そして恐る恐るのお会計。たくさん飲んだしなぁ。いくらかなぁ……。

ドキドキしながら待っていると、店のおねえさんの計算は、なんとみんな(12人)で45,000円。ひとりあたりに換算すると3,750円という安さだったのでした。うーむ。この店で飲み食いする酒豪たちは、もっともっと飲むのかなぁ。主賓のおふたりをのぞいて男性5千円、女性3千円会費とし、残金(3千円)は二次会費用の一部とさせていただきました。(←この部分、当日の会計報告です。>ご参加のみなさん)

ここで横浜方面のみなさんは帰路に着かれ、残る都内メンバーは、ここっとさん行きつけのお店、渋谷の「コング」へ。ここで駄菓子やらピザ、グラタンやら、名物料理のバグルト(鶏唐揚げヨーグルトソース)やニンニク爆弾(ニンニクソースのライスコロッケ?)をいただきながら、ビールやホッピーで、ちょうど日付けが変わるころまでの二次会で、お勘定は一次会の残金に加えて、ひとり1,500円ずつ程度でした。

ここっとさん、Mさん、改めておめでとうございます。そして「第1回匍匐ぜんしんオフ会」に出席いただいたみなさん、楽しい時間をありがとうございました。

070421a 070421b 070421c
四万十のり / 竹の子煮 / 肉じゃが

070421d 070421e 070421f
マカロニサラダ / アジ刺身 / 「美丈夫」

070421g 070421h 070421i
焼きそば(ペペロンチーノ風) / ニラ饅頭 / カツオたたき

070421j 070421k 070421l
じゃこ天 / コロッケ / 栗焼酎「ダバダ火振」

070421m 070421n 070421o
二次会は「コング」 / ピザや駄菓子や / ニンニク爆弾

・「四万十」の店情報前回) / 「コング」の店情報前回

《平成19(2007)年4月21日(土)の記録》

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80歳おめでとう! … バー「ペルル」(鷺ノ宮)

「ペルル」のマスターは昭和2(1927)年4月22日生まれ。この日曜日で80歳のお誕生日を迎えるのです。80歳ですよ! 80歳! 年齢だけ聞くと、すっごいおじいさんのイメージなんだけど、ここのマスターは、とても80歳とは思えないほど若々しいのです。ピシッと姿勢も良くて、ポンと出てくるジョークも冴えてて、しかも冬になるとスキーにまで行ったりするのですから!

ジャストお誕生日は日曜日なので、常連さんたちは明日の土曜日にお誕生会をやるのだそうです。その前にちょいとお祝いをとやってきてみたのですが、さすがに金曜日の夜だけあって今日もお客さんが多いこと。かろうじて空いていた手前側の1席に滑り込みます。

それにしてもすごいワインの数です。いくらマスターがワイン好きでも、これはすご過ぎじゃない!?

するとまわりのお客さんたちから、
「いやぁ、ソムリエのI野さんが、お誕生プレゼントにってワインオープナーを持ってきてくれてね。このワインオープナーがおもしろいんですよ」
「そうそう。一体どうなってるんだろうなんて、みんなが次々にワインをたのんでは開けてみてたら、こんなになっちゃった(笑)」
「でも、どうやって開くのか気になるでしょう? 1本ワインを入れたら開けられるよー!」
「あははは。ちょうどボクが1本もらうところだから、開けさせてあげる」と声が飛び交います。

わぁ、すみません。どーれどれ。まずはくるりと丸い付属のカッター(フォイルカッター)を、かぶせるようにワインボトルの頭に付けてクルリと回すと、コルクをおおっている口の包装(フォイルキャップ)がきれいに切り取られます。

そしていよいよワインオープナー。このオープナーは、ペンチのように左右に開いてボトルの口を挟みこむ部分と、それとは別に上下に動く取っ手の部分が付いています。この取っ手を一番下に下げた状態で、ペンチ部分を左右に開いてボトルの口を挟みこみます。そしてゆっくりと取っ手を上に上げていくと…。あーら不思議。クルクルクルとスクリュー部分(螺旋に巻いた金属の棒)がいとも簡単にコルクの中に入り込んでいきます。

取っ手が一番上まで上がったら、今度はそれをゆっくりと下げていく。さっきまでクルクルと回っていたスクリューが、今度はぴたりと止まって、取っ手の下降とともにスゥーッとコルクが抜けていきます。いやぁ、これは力要らずでいいですねぇ!

取っ手が一番下まで降りてくると、きれいにコルクが抜けてるのですが、秀逸なのはこの先。ワインオープナーをボトルからはずして、もう一度取っ手を上に上げるとクルクルとスクリューが回って、抜けたコルクがころりと出てくるのです。これはおもしろいなぁ。

さらにオープナーとカッターを、専用のスタンドに片づけるとまるで小さなウサギのような外観になって、デザイン的にもすぐれものです!

「すごいなぁ。オレも開けてみよ!」

向こうに座っているお客さんからもワインの注文が入ります。そんなに開けて大丈夫!? 全部飲みきれないんじゃない? と心配するほどです。

「ワインを開けた人は、お祝いの記念にワインオープナーにサインするんだよ」

ぷぷぷ。本当は自分でワインを入れて、それを開けた人じゃないとサインできないんだけど、私もちゃっかり名前を書いてしまいました。

なにしろ店に着いたのが午後10時半頃だったので、あっという間に閉店時刻の11時半になってしまいました。今日のお勘定は500円。ちょうど目の前に「バースデイケーキの寄付。1口500円」というのがあったので、私も1口参加。マスター、80歳のお誕生日、本当におめでとうございます。

地元在住のソムリエ・I野さんのプレゼントで店中が盛り上がった夜でした。しばらくはワインを飲む人が増えるな、こりゃ。

帰り道に「満月」に立ち寄ると、なんとF本さんがひとりでまったり中。となりでコーヒー割り(300円)を一杯いただいて帰宅したのでした。あぁ、今週も楽しい金曜日だったなぁ。

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水割りセット / ワインを抜栓中 / ワインオープナー

・「ペルル」の店情報前回) / 「満月」の店情報前回

《平成19(2007)年4月20日(金)の記録》

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じっくりとていねいに … もつ焼き「ホルモン」(沼袋)

金曜日の帰り道は、西武新宿線を沼袋駅で途中下車して「ホルモン」です。わが家のすぐ近くに、ここ「ホルモン」をはじめ、「石松」(中野)、「秋元屋」(野方)、「カッパ」(荻窪)ともつ焼きの名店がそろっていて、とてもうれしい状況にあるのです。

「ホルモン」に着いたのは午後9時過ぎ。この店は10時までの営業なので、残された時間は1時間弱ですね。まずは小瓶のビール(サッポロ黒ラベル、310円)とお新香(100円)からスタートすると、今日のお新香はキュウリとカブです。

この店は2列の平行カウンター(各6席程度ずつ)に、4人掛けのテーブル席が2卓。金曜の夜とあって、テーブル席は1つ空いているものの、カウンター席は最後に残っていた1席に私が座って満席です。今日は駅から遠い側、テーブル席がある側のカウンターの焼き台に近い場所。ここからはテレビは見にくいものの、店主がもつ焼きを焼いている様子がよく見えて、これはこれですごく楽しい。

その焼き物。今日の1巡目は、いつものようにレバーのちょい焼き2本(100円×2)を注文します。これは串刺しのレバー(普通のもつ焼き用のもの)をちょっとだけ炙って、おろし生姜と刻みネギを添えて、醤油(好みによってはポン酢醤油)をかけて出してくれる一品。ほぼレバ刺しといっていいもので、ちょっとだけ炙られたレバーの表面の食感もなかなかいいのです。

小瓶のビールで喉を潤したあとは、これまたいつものように焼酎(210円)。ここは焼酎も「サッポロ焼酎」で、冷蔵庫でよく冷やされたものを受け皿つきのコップにたっぷりと注いでくれます。これに梅エキスをちょいと落としていただくんですね。ックゥ~ッ。効きますなぁ。

焼酎ときたら、絶妙の相性を誇るアブラとオッパイですね。塩でお願いします。塩ついでにタンもお願いしようかな。(各100円)

その3本を冷蔵庫に取りに行った店主。
「今日は変わったものがないなぁ。ん、ちょっと待てよ。1本あったかな」
と一緒に焼いてくれたのはハツシタ。コリコリの食感が実にグッ!ですねぇ。

焼酎(210円)をおかわりして、今度はタレ焼き。ヒモとヒラ、それにウズラをお願いします(各100円)。

ヒモとヒラ、そしてテッポウは一連の腸の部分なのですが、ヒモ(シロ)が普通の腸の部分。テッポウは直腸の部分。そしてヒラはその中間的な部分なんだそうです。

さっきも書いたとおり、今日の席はもつ焼きを焼いている様子がとてもよく見える席。ヒモとヒラは焼きあがってから仕上げに1回だけタレをつけるのですが、ウズラは最初からタレをつけて、その後も何度も何度もタレをつけながらじっくりとていねいに焼き上げていきます。できあがったウズラのタレ焼きはタレがじっくりと染み込んだいい味わい。このていねいさが「ホルモン」のもつ焼きなんですね!

そして、今日も仕上げはテッポウとガツを醤油でお願いします(各100円)。これも先ほどのウズラと同様に、最初から醤油につけて、その後も何度も何度も醤油をつけながら、じっくりと醤油味を染み込ませていきます。できあがったもつ焼きは生醤油のフレッシュ感と、焼けた醤油の芳ばしさとがとてもよくバランスした状態。コリクニュとした食感ともあいまって、こりゃまた、たまりませんなぁ。

満足満足のうちに、もう10時。今日のお勘定は1,830円でした。どうもごちそうさま!

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ビール小瓶 / レバーちょい焼き2本 / お新香はキュウリとカブ

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焼酎 / アブラ、タン、オッパイを塩 / ハツシタ塩

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焼酎おかわり / ヒモ、ヒラ、ウズラをタレ / テッポウとガツを醤油

店情報前回

《平成19(2007)年4月20日(金)の記録》

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呑兵衛タウン大井町 … 居酒屋「大山酒場(おおやまさかば)」(大井町)

青物横丁から大井町へは1キロ弱。歩いて15~6分の距離。宇ち中さんとふたり、トコトコと歩いて大井町にやって来ました。

大井町も呑兵衛向けの街。うなぎ串焼きの「むら上」や、立ち飲みの「武蔵屋酒店」「肉の前川」、洋食の「ブルドック」に、立ち食い寿司の「いさ美寿司」、中華の「永楽」やハラミが旨い「ほんま」と、マニア(?)垂涎の名店がずらりと並んでいるのです。

そんなディープな大井町の中でも、これぞ大井町ならではの大衆酒場と言えるのが、駅のすぐ近くにある「大山酒場」。

「こんばんは、ふたりです」と入った、木曜午後8時前の「大山酒場」の1階フロアは満席状態。「いらっしゃいませ。お二階にどうぞ」と声がかかります。お。やったーっ。2階に上がるのは、これがはじめて。なんだか楽しみですねぇ。

「大山酒場」の2階席には4人掛けのテーブル席がずらりと並び、一番奥は小上がりの座敷席になっています。

「おふたりさま。こちらにどうぞ」と案内されたのは、小上がりに一番近いあたりの4人掛けテーブル席。さっそく焼酎の緑茶割り(300円)を2杯たのんで乾杯です。

この店は、昔からの大衆酒場らしいメニューが数多く(40種ほど)そろっていることでも有名。220円のチーズからはじまって、お新香(280円)、塩辛(280円)、目玉焼き(380円)、マグロぬた(450円)と続き、一番高くてもゴーヤチャンプルとハムチーズオムレツの600円。そうそう、オムレツの種類が多いのもこの店の特徴。プレーン、ねぎ、きゃべつのオムレツが各500円、チーズ、しらす、ハム、納豆のが各550円、そして先ほどの最高値品・ハムチーズオムレツが600円という、実に8種類のラインナップを誇ります。

もちろん大好物のハムエッグス(420円)もあるのでそれを注文し、さらにはじめて食べる豚ケチャップ炒め(550円)もいただいてみます。

学生時代に住んでいたアパートのすぐ近くに、豚肉を炒めてケチャップで仕上げてくれる豚肉ケチャップ炒め定食がある大衆食堂があって、よくそれを食べていたのを思い出したのです。出てきた豚ケチャップ炒めは、かなりそのイメージに近い。ただ、こっちのほうが玉ネギもたっぷりと入っていて高級っぽい(?)ですねぇ。

ハムエッグスは、玉子を2個使った半熟の目玉焼きに、まん中でふたつに切ったハムが1枚分(つまり半丸×2枚)。これを千切りのキャベツの上にのせて、仕上げに胡椒がたっぷりとふられています。

1階の左右にあるカウンターのうち、左側のカウンターに座ると、中が厨房なのでハムエッグスなどを作る様子を見ることができるのですが、2階席の料理はすべて1階で作られて、料理専用の小さいエレベータで上がってくる仕組み。「ブッ」という到着音とともに料理がやってくるのです。

緑茶割りを飲み終わったところで、次は清酒(銘柄は「連山」、300円)をいただきます。燗づけられて、大きな徳利(五合!?)に入れられている清酒を、店のおばちゃんが目の前で受け皿にこぼれるほど注いでくれます。

2階フロアは全体で50人ほどのキャパシティがありそうですが、これを白上着にエプロン、三角巾という、給食のおばちゃんスタイルのおかあさん2人で切り盛りしているのです。

お新香(280円)もいただくと、ナス、赤カブ、白菜の3種盛り。自家製ではなくて市販の漬物のようです。

ここでとなりのテーブルで飲んでいたサラリーマン5人組の同僚らしき3人がやってきます。ただでさえ4人掛けのテーブルを5人でチンマリと使っているところに、さらに3人。これは1テーブルではおさまりませんよね。店のおかあさんに「我われ、向こうに移動しましょうか?」と提案すると、「そうしてくれると助かるわ。どうもありがとう」とおかあさん。さっそくお酒とつまみをもって、入口近くのテーブルに移ります。こちらに来ると、さっきとは逆サイドから店内が見渡せて、また楽しいですねぇ。

1階と同じく2階にもテレビが置かれています。2人以上のグループ客がテレビを見ながら飲むことはあまりないので、2階にもひとり客が通されるってことですね。

チビチビと飲んでいるところへ、今度は8人くらいのサラリーマン団体客。我われの今いるところは、となりのテーブルも空いていて、つなげれば8人が並べる状態になります。そこで、またまた「移りますか?」と声をかけて、今度は店の中央部へ。「何度もごめんなさいね」といいながら、おかあさんがお酒を1杯ずつサービスしてくれました。いやいや。そんなつもりじゃなかったのに、どうもありがとうございます。

最後にザーサイ(250円)をもらうと、添えられたゆで玉子は中がトロトロの半熟状態。いやぁ、この店の玉子料理は、ゆで玉子まですばらしいですねぇ。

約2時間の滞在、ふたりで緑茶割り2杯に清酒を8杯(サービス分除く)、料理を3品いただいて4,500円(ひとりあたり2,250円)でした。やぁ、楽しかった。どうもごちそうさま。2階席もいいですねぇ!

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「大山酒場」の入口メニュー / 緑茶割り / 豚ケチャップ炒め

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ハムエッグス / お新香と清酒 / 清酒をおかわり

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酒置場あたり / ザーサイ / 店内の様子

店情報前回

《平成19(2007)年4月19日(木)の記録》

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飲んで食べて4千円弱! … 土佐料理「四万十(しまんと)」(青物横丁)

「土佐料理でオススメなのは、青物横丁にある「四万十」かな。飲んで、食べて、いつも大体3,800円くらいなんだよ」

高知出身の酒場詩人・吉田類さんに、そうご紹介いただいたのはもう1年以上前のこと。今日はたまたま品川での仕事だったので、その足で「四万十」に向かうことにしました。

店は京急本線・青物横丁駅から徒歩1分ほどの路地の中にあります。2階にある入口を入って「いらっしゃいませ」と迎えてくれたおねえさんに「ひとりです」と告げると、「こちらにどうぞ」と入口左側にある小さいカウンター席を指し示してくれます。

店内はまるで教室のように広くて、そのカウンター席6席分程度の他はテーブル席ばかり。入口から見て右手が小上がりの掘りごたつ的なテーブル席2列で20名ほど。左手はいろんな大きさのテーブル席になっていて、こちらも20名ほど。後からわかったのですが、さらに3階にも同じくらいの大きさの席があるらしくて、全体では84席あるのだそうです。

「飲み物はなににしましょう?」と聞いてくれるおねえさんに、まずはビールをお願いすると中ジョッキの生ビール(エビス)が出されます。

店内にはメニューはなくて、基本的におまかせ。最初に出されたのは小皿に盛られた四万十のりです。

ビールをググゥ~ッと飲みながら、四万十のりをつついていると、マカロニサラダ、竹の子の煮付け、肉じゃが、いたどり煮が次々と出されます。

カウンターの中にいる美人おねえさんがこの店の娘さん。店主である女将さんと、手伝いの男女2~3名で店を切り盛りしている様子です。「今日も予約でいっぱいで、カウンター席しか空いてないんですよ」とおねえさん。飲んで、食べて4千円弱ならねぇ。人気があるのもわかります。

「あったかいお酒をもらいたんですけど」と聞いてみると、「あったかいのは土佐鶴か司牡丹(つかさぼたん)です」とのことで「土佐鶴」をいただくことにしました。

そして出されたのは土佐名物・カツオのたたき。ひと切れひと切れがでっかいカツオの上に、玉ネギ、ニンニク、大葉、ネギがたっぷりとのせられて、ポン酢醤油です。この山盛りの野菜と一緒にいただくカツオがいいんですよねぇ。ックゥ~ッ。ニンニクがよく効いてますねぇーっ!

午後6時半ごろに仕事が終わった宇ち中さんも合流すると、宇ち中さんの前にもこれまでに出された品々がずらりと並びます。

カウンター上の大皿には、この店の名物であるらしい野菜コロッケやニラまんじゅうが大皿に盛られてスタンバイされており、予約客の到着を待つばかりの状態。店に入ったとき(5時半ごろ)は人もまばらだった店内も、現在はすでに半分以上の入りで、空いている席も予約済みの状態。ふらりとやって来たお客さんは「ごめんなさん。今日はいっぱいなんです」と断られています。

続く料理は焼きそば。これがシンプルなペペロンチーノ風で、これ自体がいい肴になります。そして大きな切り身の白身魚はトビウオだそうです。プリップリですねぇ。

吉田類さんに「やっと四万十にやってきました」とメールすると、類さんからは「酒は美丈夫(びじょうふ)がうまいよ」という返信。さっそくその「美丈夫」を注文すると、これがなんとうすにごり生酒。慎重に慎重に栓を抜くと、シューッという音とともにお酒の水面が上昇。ヤッと栓をしてしばらく待って、また水面が下がったところでじわりとゆるめるとまたまたシュワーッと上昇。これを何度か繰り返してやっと落ち着いてきます。

どーれどれ。ツツゥーッとひと口。なーるほど。発泡生酒は、まるでシャンパンのようです。これはいいなぁ。

日本酒や焼酎は、高知産のものがずらりとならんでいて、注文すると一升瓶のまま出されます。これは決してすべてを飲みきれというわけではなくて、お勘定をするときに瓶に残っている量をみて値段を決めてくれるのです。

午後7時半まで約2時間(宇ち中さんは約1時間)の滞在は、ふたりで7,200円(ひとりあたり3,600円)でした。どうもごちそうさま。また来ますね!

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2階の入口 / 生ビールと四万十のり / マカロニサラダ

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竹の子煮、肉じゃが、いたどり煮 / かつおたたき / かつお一切れのアップ

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土佐鶴(燗) / 野菜コロッケとニラまんじゅう / 焼きそば

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とびうお刺身 / 抜栓中の「美丈夫」 / 発泡生酒「美丈夫」

店情報

《平成19(2007)年4月19日(木)の記録》

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店情報: 土佐料理「四万十(しまんと)」(青物横丁)

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  • 店名: 四国の家庭料理「四万十」(しまんと)
  • 電話: 03-5461-1019
  • 住所: 140-0004 東京都品川区南品川2-7-17
  • 営業: 17:00-23:00、日祝休(土休の場合あり)
  • 場所: 京急本線・青物横丁駅の改札を出て、ガード下の横断歩道を渡って右へ約70m(1分)。左の路地に入った右手2階。
  • メモ: 料理は基本的におまかせ。飲んで食べて3~4千円といったところ。ぐるなびあり。

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ガンちゃん青のり!? … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)

日曜日の夕食前散歩。今週は自宅近くのもつ焼き屋さん、「秋元屋」です。家を出るのが少し遅れて、店に着いたのは開店30分後となる午後4時半。コの字カウンター15席に、店の奥のテーブル席10席ほど、そして入口横のテラス・テーブル席8席ほどの店内は、すでに満席近い状況。いつものことながらすごい人気ですねぇ。

入口で「やぁ、いらっしゃい」と笑顔で迎えてくれた店主が「ここか、向こうかな」とカウンターにある二つの空席を指し示してくれます。

まずはこのところ恒例のシャリ金赤ホッピー(410円)からいきますか。肴(さかな)はポテトサラダ(280円)をいただきましょう。この店はお通しはない(ただし席料100円)ので「まずとりあえず」というつまみを注文しておいて、メインのもつ焼きをおいおいと注文する、というのが一般的な流れになります。

この店のホッピーはけっこうオプションがあって、まず焼酎が宝か亀甲宮(金宮)かが選べます。宝のホッピーは380円、亀甲宮のホッピーは410円です。

次にホッピーの赤、黒が選べます。赤、黒というのはホッピー瓶の王冠の色で、赤は普通のホッピー、黒は黒ホッピーです。どちらを選んでも値段に変わりはありません。

そして氷の有り、無し。これも選択によって値段が変わることはありません。氷無しを選択した場合は、キンキンに冷えたジョッキに、キンキンに冷えた焼酎を入れてくれて、三キン状態のホッピーを楽しむことができます。もちろん冷凍庫内のジョッキのストックには限りがありますので、普通のジョッキのこともあります。

氷無しの場合は、通常ソト1・ナカ1(1回の注文で瓶入りホッピーを使い切る飲み方)になりますが、氷有りだとソト1・ナカ2、あるいはソト1・ナカ3くらいの飲み方ができます。ナカ(おかわりの焼酎)は宝が250円、亀甲宮は280円です。

氷無しで亀甲宮を選んだ場合のさらなるオプションとして、シャリシャリに凍結させた亀甲宮をもらうこともできるのです。これが今いただいているシャリ金ホッピーです。三キンホッピーよりも、さらにビシッと冷えていて喉越しが実にいいのです。

ホッピーという飲み物それ自体は、炭酸の入った喉越しは確かにいいのですが、味だけをとるとそれほど美味しいものではないと思います。むしろ味はないと言ってもいいくらい。しかし、もつ焼きやもつ煮込みと合わせることを考えると、この味のなさ(淡泊さ)が非常に重要になってきます。合いの手に飲むと、すっきりと舌直しになって、また次の料理が楽しめるのです。

焼き台にも余裕が出てきたようなので、ぼちぼちと焼き物を注文しますか。1巡目に何をもらうかが、いつも迷うところ。塩焼きならばカシラ、アブラ。味噌焼きならばハラミ、チレといったところでしょうか。タレ焼き、醤油焼きは2巡目以降かなぁ。
「えーと。1本ずつでレバ、ハラミ、アブラ(各100円)を塩でお願いします」
「はいっ」と、この時間帯の焼き台を担当している三浦さんの笑顔が返り、それと同時にクリさん(←店を手伝っているおにいさん)がカウンター内の冷蔵庫から、それらの品を取り出して焼き台横のバットに並べてくれます。

そこへやってきたのはガンちゃん。私がこの店にきたときに彼に会わなかったことはないほど、いつもやって来ている大常連さんです。そのガンちゃんが飲み物を注文して飲みはじめると、まわりの常連さんたちから「ガンちゃん。今日も青のりじゃないの!」と声がかかります。ガンちゃんはこのところ青のり(150円)にはまっているようで、いつも青のりを何回も注文しているのです。

「みんなからそう言われちゃしょうがないなぁ。青のりをダブルでお願いします」ガンちゃんも、みんなの期待(?)に応えて素直に青のりを注文します。「いつものでいいんだね」とガンちゃんに確認した店主、奥の厨房に向かって「ガンちゃん青のりダブルで!」と注文を通します。

「なんだよ、そのガンちゃん青のりってのは?」近くに座っている、これまた大常連のKさんが聞くと、店主が「普通のより酢が多いんですよ」と答えます。「じゃ、オレもそれをもらってみるか」とKさん。「はいよっ。ガンちゃん青のり、もうひとつ! Kさんね!」と厨房へ。

アハハ。「青のり、お酢多め」と注文を通すより、「ガンちゃん青のり」と言ったほうが内容が伝わりやすいんですね。こういう常連さんの人名を冠したメニューは他の店でもよく見かけます。

2巡目として注文したのはガツとテッポウを醤油で1本ずつ(各100円)。「醤油で」とお願いすると、素焼きで焼いたあと、仕上げに醤油をたらして焼きあげてくれます。焼けた醤油の芳ばしい香りがうれしいですねぇ。

件のガンちゃんがバイスサワー(350円)を注文していたので、私もそのバイスサワーをもらってみることにします。氷入りのジョッキに焼酎が入り、それとは別に180ml瓶入りのバイスが出されます。ドドォ~ッと勢いよく注ぐと、シュワワと泡立ちながら薄い赤紫色に染まっていきます。瓶1本でちょうどジョッキにすりきりいっぱい。ど~れどれ。なるほど梅系のすっぱさと甘さ。バイスって、もしかすると「梅酢」ってことなのかな!? でもちょっと甘めかなぁ。たーくさん飲んだあと、デザート的に飲むのがいいかもね。あるいは瓶1本分を入れ切らないで、ナカをおかわりしながら半分ずつ2回にわけて飲むとか。

「今日の煮込みはたっちゃん(=たっつんさん。店を手伝っているおにいさん)が気合いを入れて仕込んでたから、おいしいと思うよ」常連さんたちによく聞こえるように、店主が大きな声でつぶやきます(笑)

うぅ。今日はすでにポテトサラダにもつ焼き5本をいただいてて、このあと家に帰って夕食だからなぁ。ごめん、たっちゃん。煮込みは食べられそうにないので、その煮込みの汁でじっくりと煮込まれた煮玉子(100円)で許して。

ここの煮込みメニューは普通の煮込みが320円、それに煮玉子が入った煮込み玉子入りになると380円。煮玉子だけだと100円なのです。昔は煮豆腐もあったんだけど、最近はないんですね。

午後6時前まで、1時間半ほどの滞在は1,740円でした。どうもごちそうさま。

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ポテトサラダ / レバー塩 / ハラミ塩、アブラ塩

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テッポウ醤油、ガツ醤油 / バイスサワー / 煮たまご

店情報前回

《平成19(2007)年4月15日(日)の記録》

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地下の隠れ家 … 焼酎バー「くんちゃん」(野方)

「竹よし」の食事会を終えて、有志8名ほどで「秋元屋」へ。土曜日の遅い時間帯(午後10時半)、この人数では絶対に入れないなぁ、と思いつつも、念のため「8人ですけど…」と店をのぞくと、焼き台のところでもつ焼きと奮闘中の店主が「ごめん。8人は入れないなぁ」と予想どおりの返事。

それじゃ、と野方商店街を抜けて、みつわ通りに。ここの地下1階にあるのが焼酎バー「くんちゃん」です。看板には「本格焼酎専門店」「五十種類常備。1杯400円~」と書き出されています。

ここまでやって来たのは私も含めて5人。トコトコと階段を下りて「5人ですけど、入れますか?」と店内を見渡すと、カウンター5席、4人掛けテーブル1卓だけの小さい店内にはグループ客もいて、ちょっときびしい状況です。ところが、店主から返ってきたのは「片付いてないけど、となりの部屋を使ってもらえますか」という想定外の答え。

「えっ!? となりの部屋なんてあるんですか」と尋ねると、カウンターの中から出てきて店主がとなりを開けてくれます。なるほど。ここは元々「くんちゃん」のとなりの店で、スナックかなんかだったんですね。こちらも小さい部屋ながら小さいカウンター席とソファーのボックス席がひとつ。そうかぁ。こちらも「くんちゃん」の場所だったんですね。

この店に来たのは、これで2度目。1度目は昨年末(12月)ごろだったのですが、そのときはたくさん飲んでいて、「くんちゃん」で何をいただいたのかもあまり覚えていない状態だったのです。近くを通るたびに「もう1回来なきゃなぁ」と思いながら、今日やっとやって来れたのでした。

この店をひとりで切り盛りしている店主はマスコミ出身。2004年4月にこの店を開いたといいますから、ちょうど3年たったところなんですね。

「何をたのもうか」なんて相談しているところで、店内テーブル席にいたグループのお客さんがお勘定をして席を譲ってくれます。やぁ、すみません。さっそく店内に移り、テーブル席と、そのすぐ横のカウンター席を使って、みんなでテーブル席を囲みます。

カウンター上、そしてバックバーにずらりと並ぶ焼酎は、たとえば芋焼酎は松露、霧島、七夕などが500円、海、くじら、富乃宝山、不二才、もぐらなどが550円といったところ。麦焼酎や黒糖焼酎なども大体500円か550円といった価格帯です。それぞれ思い思いの焼酎を注文。私は「蔵の師魂(しこん)」をロックでいただきます。

料理もいろいろとそろっているのが、この店の特徴。ミックスナッツ、イカの塩辛などの300円ものからはじまって、カツオの酒盗などの350円、冷奴など400円と続き、一番高くても馬刺の800円と、その数ざっと40品以上。さらに食事ものも焼きめし、焼きそば、焼きうどん(各600円)とそろっています。その品書を「うーん」と眺めていたら、店主が「適当にお出ししますね」とチーズ揚げや、お新香、酢の物などを4品ほど出してくれました。

こうやって地下の小さい空間に入ると、本当に隠れ家に来たみたいでくつろぎますねぇ。

2杯目はウーロン割り(400円)をいただきます。ずらりとならぶ本格焼酎のほかにも緑茶割り、麦茶割り、ウーロン割りがそれぞれ400円、トマトジュース割り450円、生グレープフルーツ割り500円などの割り物もあります。焼酎以外の飲み物は生ビール(500円)があるくらいかな。

2杯目が終わったところで午前0時ごろ。上り方面の電車がそろそろ終わるのでお開きにすると、お勘定は5人で6,800円(ひとりあたり1,360円)でした。どうもごちそうさま!

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テーブル席 / バックバー / カウンター席

表に出て野方駅に向かうみんなを見送ったあと、「くんちゃん」で焼酎をもう1杯(500円)いただいて店を出ます。みつわ通りを鷺ノ宮方面へ向かいますが、ついふらりと近所のバー「ピュアー」に立ち寄ってギネスビール(630円)をもらうと、今日のお通し(310円)は生ハム。夕食会であんなにたくさん食べたのに、マスターに「こんな夜中に、やめといたほうがいいよー(笑)」と言われながらもパスタ(ペペロンチーノ小、520円)までいただいてしまいましたとさ。(爆)

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ギネスビール / お通しは生ハム / パスタ(小)

・「くんちゃん」の店情報 / 「ピュアー」の店情報前回

《平成19(2007)年4月14日(土)の記録》

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店情報: 焼酎バー「くんちゃん」(野方)

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  • 店名: 焼酎場ぁ~「くんちゃん」
  • 電話: 03-3310-5023
  • 住所: 165-0027 東京都中野区野方5-16-6(B1F)
  • 営業: 19:00-02:00、火休
  • 場所: 西武新宿線・野方駅の改札を抜けて左へ。商店街を約100m(2分弱)進み、右手の「松屋」の角を右折し約60m(1分強)、Y字を左(みつわ通り)に入り約90m(1分半ほど)先の左手地下。駅からは徒歩5分弱。
  • メモ: 2004年4月創業の焼酎バー。カウンター10席、2人掛けテーブル2卓(最大24名収容可)。席料(お通し付き)500、焼酎500~、サワー類400~、料理300~。(2009年8月更新)
    〔芋焼酎〕松露500、松露うすにごり550、たちばな550、霧島(白・黒)500、海550、くじら550、富乃宝山550、吉兆宝山550、不二才550、千鶴500、七夕くろ500、もぐら550など。〔麦焼酎〕凪海550、つくし黒500、一粒の麦500、黒さそり550など。〔黒糖焼酎〕里の曙500、花恋慕500、喜界島500など。〔泡盛〕久米仙500、久米島500、ちゅら蛍550など。〔その他焼酎〕信濃の仁右衛門(蕎麦)550、ダバダ火振(栗)550、紅乙女(胡麻)500、金瓶梅(粕とり)500など。〔その他〕緑茶割り、麦茶割り、ウーロン割り各400、トマトジュース割り、ジンジャエール割り各450、生グレープフルーツ割り、ワイルドベリー割り各500、生ビール500など。
    〔料理〕ミックスナッツ300、ピスタチオ300、柿の種300、さきいか300、タコわさび300、イカの塩辛300、カツオの酒盗350、マグロの酒盗350、黒豚味噌350、豆腐の味噌漬け400、いぶりガッコ450、冷奴400、ミミガーサラダ450、トマトのガーリックソース450、サーモンマリネ500、自家製燻製盛り合わせ500、漬物盛り合わせ500、チーズ酒盗のせ500、チーズ盛り合わせ500、ウインナー炒め(ゆで)500、ガーリックチキンステーキ600、チキンのトマトソース煮700、豚キムチ600、ポークジンジャ600、ピリ辛しらたき500、ナスの味噌炒め500、紫蘇昆布とレタス炒め550、ニンニクの芽と厚揚げ炒め600、グリーンカレー650、アラビアータ600、焼き飯600、焼きそば600、焼きうどん600、ドライカレー700、〔九州産地直送料理〕赤鶏の生ハム500、赤鶏のたたき500、赤鶏の炭火焼き600、せせりの炭火焼き600、合鴨の炭火焼き600、美人姉妹(豚足)600、美人チャーシュー600、五島サバの塩焼き600、鶏南蛮750、馬肉の炭火焼き750、馬肉の炭火焼き750、馬肉の刺身800など。(2007年4月調べ)

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沖縄料理の夕食会 … 魚料理「竹よし(たけよし)」(都立家政)

「竹よし」の第65回夕食会、テーマは「沖縄の料理に入門」です。メイン食材は沖縄の代表的な魚「ミーバイ」と、沖縄の県魚「グルクン」。これに「海ぶどう」と「ジーマーミ豆腐」が加わります。

「竹よし」の夕食会は、毎月1回、第2土曜日の午後5時から開催されていて、飲み物付きでひとり5千円の予約制です。

毎月、折々のテーマ食材が選ばれて、それを中心とした料理が展開されるのですが、店でよく出される定番の料理もあれば、今回のように店主も含めて、みんなで勉強会のような感じで、新しい食材にトライすることもある。どちらもとてもおもしろいのです。

「ミーバイ」というのはハタ類のこと。沖縄でも特においしい魚として有名な高級魚です。沖縄ではニンニクバター焼きや魚汁(ミーバイ汁)などで食べることが多いらしいのですが、今回の夕食会では刺身と潮汁。脂のよくのった白身はハタ類ならではですね。

唐揚げで「グルクン」は、和名ではタカサゴ。沖縄では年中とれて、食卓にのぼることが多い大衆魚なのだそうです。産卵前の初夏(6月頃)が最もおいしい時期なのだそうです。

「海ぶどう」は沖縄の海でとれる海藻で、和名はクビレヅタ。緑の粒々がずらりと並んでいて、食べるとプチプチとした食感が心地よい。グリーンキャビアとも呼ばれるんだそうです。「T井さん(←沖縄にも詳しい大常連さん)に冷蔵庫には入れるな、と言われていたのに、冷蔵庫に入れちゃったよ」と反省することしきりなのは店主。南国育ちの海ぶどうは低温(10度以下)が苦手で、冷蔵庫に入れると実が縮み、鮮やかな緑色がくすんでしまうんだそうです。

そして「ジーマーミ豆腐」。ジーマーミというのは落花生のこと。つまりジーマーミ豆腐はピーナッツ豆腐なんですね。普通の豆腐と同じように、ちょいと醤油をかけていただくと、もっちりとした食感のあと、鼻の奥から抜けてくるピーナッツ風味。やぁ、おいしい。泡盛が進むなぁ。ちなみに今日の夕食会用に、店主が「久米仙」の古酒(35度)を仕入れてくれてました。

このところ、夕食会のたびに手料理を作ってきてくれるなおとんさん。今回もテーマ食材に合わせて、豚足、豚尾に煮玉子。ゴーヤたっぷりの野菜サラダ(オイルフォンデュ風、おフランスパン添え)。ふーチャンプルー(麩の炒め物)などを作ってきてくれました。なおとんさんは、学生時代に居酒屋の厨房でバイトされていたこともあるそうで、料理の腕前もプロ級なのです。

今回の夕食会参加者は、なんと過去最高の19人! 店の定員は14人なので、カウンター席の椅子はすべて外に出して、立ち飲みモードです。今日は天気もよくて、店のすぐ横の八重桜もちょうど見ごろ。店の外にも特設テーブル席を用意して、今日は店の外でも盛り上がります。なにしろ、今年から人数制限をはずしてるので、何人でもウェルカム。人が多いほど、いろんな食材を楽しむことができるのです。

そんなわけで、人数が多くなったために急きょ用意された食材がカジキマグロの照り焼きと、黒マグロあごトロのヅケ。こうなると、今度は日本酒ですね。今回も出羽桜「桜花」吟醸からはじめて、手取川「吉田蔵」大吟醸、「越の誉」吟醸、「酔鯨」特別純米と次々に飲み進みます。

そして出されたにぎり寿司はカジキマグロと本マグロ脳天です。ここ「竹よし」では、通常営業のときもメニューににぎり寿司があって、トロが1個200円で、それ以外は基本的に1個100円。シメににぎりを2~4個くらいつまんで帰るお客さんも多いのです。

人数が多かったこともあって、夕食会が終わったのは午後10時過ぎ。最後は季節の竹の子ご飯でしめて、たっぷりと5時間以上の夕食会でした。

なお、次回夕食会(5月12日(土))の予定テーマは、高知県の郷土料理、「皿鉢料理(さわちりょうり)」だそうです。大皿に盛り合わされる宴席料理に、ますますお酒が進みそうですね!

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ミーバイ刺身 / ミーバイの潮汁 / グルクン唐揚げ

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海ぶどう / ジーマーミ豆腐 / 「久米仙」古酒

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豚足、豚尾に煮玉子 / 野菜サラダ / ふーチャンプルー

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黒マグロあごとろ(づけ) / カジキマグロ照り焼き / 出羽桜「桜花」吟醸

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手取川「吉田蔵」大吟醸 / 店外の特設テーブル席 / 「越の誉」吟醸

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カジキマグロと本マグロ脳天のにぎり寿司 / 「酔鯨」特別純米 / 竹の子ごはん

店情報前回

《平成19(2007)年4月14日(土)の記録》

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鯛腸塩辛で一献 … 酒亭「善知鳥(うとう)」(阿佐ヶ谷)

阿佐ヶ谷駅の近くには日本酒を売りにした酒場が数多い。ざっと考えただけでも「与っ太」「可わら」「燗酒屋」「志ノ蔵」などの名前が思いつきます。

阿佐ヶ谷駅北口、スターロード商店街の路地にある「善知鳥(うとう)」も、そんな日本酒を売りにした酒亭の1軒。「こんばんは。ひとりです」と店に入るなり、店主から「うちには日本酒しか置いていませんがいいですか」と確認されるほど、筋金入りの銘酒酒場なのです。

手渡された日本酒リストにずらりと並ぶのは「豊盃・純米大吟醸おまちどう」「龍・生原酒」「豊盃・ん」「大那・純米吟醸・那須五百万石」「天青」「美酒の設計」「鯉川・純米吟醸うすにごり」「喜久酔・特別本醸造」「天穏」などなど。これらの中から「龍・生原酒」(800円)を燗でいただくことにしました。「龍」は、この注文で封切り。一升瓶から徳利に入れられ、湯煎でゆっくりと燗がつけられます。

燗づけを待つ間に出されたお通し(500円)は小鉢に盛られたおでん。玉子、大根に豚バラ肉です。

店内はL字型7~8人分のカウンター席と小上がりだけの小さな店ながら、金曜日・午後10時なのに先客はなし。これは、いつもお客さんでいっぱいのこの店にしては、とても珍しいことなのです。「今日はどうしたんですか?」とたずねてみると、10人ほどの予約が入っていたのがキャンセルになったのだそうです。「今日はもう、店を閉めようかと思ってましたよ」と、この店をひとりで切り盛りしている店主の今(こん)さん。そうだったんですね。お店にとっては大変だけど、私にとってはラッキーだったかも。なにしろ2ヶ月ほど先まで予約でいっぱいという店なので、ふだんはフラリと入ったりもしにくいのです。

徳利をなんども両手で包み込むようにしながら燗の温度を確認し「どうぞ」とていねいに出してくれます。これを手酌で猪口についで、ツゥ~ッとまずひと口。ん~っ。いい温度ですねぇ。口の中いっぱいに、そして鼻腔の奥から味や香りがふくらんできます。

猪口2杯分くらいはじっくりとお酒だけを味わいながら、カウンター正面の壁に張り出されたメニューを眺めます。ここのメニューがまた渋いんですねぇ。生カラスミ、ズワイ内子、海老味噌、苦うるか、鯛腸塩辛、莫久来、くちこ、海鼠腸、鮑酒盗、沖漬け、黒作り、ちゅう、めふん、しお納豆、あけがらし、大山豆腐、川のり、さえずり、ポテトサラダ、いちご煮などなど、呑兵衛好みする品々のオンパレードです。

そんな中から鯛腸塩辛をいただくことにしました。

鯛腸塩辛は、猪口と同じくらいの大きさの、ふた付きの小さな器で出されます。今が旬の鯛(たい)。その鯛の腸の塩辛なんて、はじめていただきます。ひと切れつまんでチュルンと口に入れると、その弾力感がすばらしい。これはいいつまみになりますねぇ。

そこへ入ってきたのは、いかにも常連さんらしき若い女性ひとり客。「今日は仕事の飲み会だった」という彼女は、やっとひとりでじっくりと自分の好きなお酒を飲める場に来れたことがすごくうれしそうに、おいしそうに日本酒を飲みはじめます。

10時半を回って、予約のお客さんたちが帰られた後が、常連さんたちのお楽しみタイムなのだそうで、みなさんそれくらいの時間を見計らって三々五々やってくるのだそうです。

「海外では日本食ブームもあいまって、日本酒の消費量も増えているらしいのですが、国内での日本酒消費量は減っていくばかり。せっかくいい日本酒がたくさん造られてるのに残念です」と熱く語る店主の今さん。まさに全身全霊で日本酒を愛してる様子が伝わってきます。

女性常連さんは岡山出身。「私は愛媛出身なんですよ。」「え。この店の大常連さんにも愛媛出身の方がいらっしゃいますよ。」なんて話になり、よく聞いてみると、先日お会いした大将(←この地域に住んでいる酒仙の呼び名)のことのようです。「もしかして…」とお名前を出してみると、やはりそうでした。彼女や店主から「なんで知ってるんですか?」なんて聞かれているところへ、ガラリと入口が開いて入ってきたのは当の大将、その人です。まさに「噂をすれば影が差す」ということわざどおりですねぇ!

2本目も、同じく「龍・生原酒」(800円)の燗をおかわりすると、今度は燗をつけた後で、その徳利から片口にツツゥ~ッと燗酒を移して出してくれます。まるでワインのデキャンタージュのようですねぇ。「口開けでちょっと硬い感じでしたので」と店主。なるほど、こうすることで硬さがとれるんですね。明らかに変わる味わいにびっくりです!

夜が更けるにつれて、日本酒談義にも熱が入ります。大将の「それじゃ、そろそろ」というひと言で気がつけばもう1時半。うわぁ。遅くまで失礼いたしました。今日のお勘定は3千円。みんなで店を出ると、店主が店の外まで見送りに出てきてくれました。

日本酒をじっくりと味わうことができる名店です。

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「善知鳥」 / お通しのおでん / 龍 生原酒 燗

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鯛腸塩辛 / 燗をつけた後、片口に / 酒棚

店情報前回

《平成19(2007)年4月13日(金)の記録》

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店情報: 酒亭「善知鳥(うとう)」(阿佐ヶ谷)

【このお店は現在、西荻窪で営業しています→食べログ

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  • 店名: 酒亭「善知鳥」(うとう)
  • 電話: 03-3337-8734
  • 住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-4-7
  • 営業: 19:00-02:00(24:00LO)、日・連休末日休
  • 場所: JR阿佐ヶ谷駅北口を出て、左手側の不動産屋の先を左折し、スターロードに入る。しばらくスターロードを直進し、右手にある居酒屋、「ちゅうすけ」や「蘆葦家」の先の、右手前に美容院がある交差点を右折した先、左側。
  • メモ: 青森出身の今(こん)悟さんが営む、7~8人のカウンターと小上がりの小ぢんまりとした酒亭。全国の銘酒から厳選された約20種類の日本酒と、生カラスミ(1,300円)、ズワイ内子、海老味噌、苦うるか、鯛腸塩辛、莫久来、くちこ、海鼠腸、鮑酒盗、沖漬け、黒作り、ちゅう、めふん、しお納豆、あけがらし、アミの塩辛(500円)、大山豆腐(500円)、川のり、さえずり、ポテトサラダ、いちご煮などの様々な珍味が揃っている。お通し500円。
  • HTML版(2003年以前): (01.06.22)

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春の息吹をたっぷりと … おでん「米久(よねきゅう)」(阿佐ヶ谷)

今日はおでんを食べて帰ろうと立ち寄ったのは、JR中央線・阿佐ヶ谷駅すぐそばにあるおでん屋「米久」。おかあさんひとりで切り盛りするこの店は、店の奥に向かって長ーいカウンターだけのおでん専門店。年中いつでもおでんが食べられるのです。

「おかえりなさーい!」と迎えられた、金曜・午後8時半の店内はゆるやかに満席。かろうじてカウンター一番奥あたりが空いていたので、そこに座り、まずは瓶ビールを注文すると「アサヒ、キリン、サッポロのどれにする?」とおかあさん。そうか。この店も3銘柄そろってるんでしたね。久しぶりにサッポロをいただきます。

たいていの大衆酒場に、その店独特のルールがあるように、この店にも「まずはおでんから注文すること」という不文律が存在しています。店に入って飲み物をもらうと、おかあさんがおでん皿を手にとって「何にする?」とおでん鍋の前でスタンバイしてくれるのです。

ときどき、この不文律を知らない人が、いきなり「いもサラダ(←この店の名物のひとつ)とぉ~、…」なんて注文をはじめると、「最初はおでんを食べてからね」とやわらかく釘を刺されます。

今日は私のすぐ前に入ったお客さんがいたため、まずはそちらのお客さんから。「大根と玉子。それにハンペンね」とそのお客さんが注文すると、「ハンペンはさっき入れたばかりでまだできてないのよ。おそ松くんなら1本だけあるんだけど」とおかあさん。「じゃ、それにして」。しまった。最後の1本のおそ松くんがなくなっちゃったか。“おそ松くん”というのは、1本の串に上からハンペン、まんまるい薩摩揚げ、棒状に切った鳴門が刺されたもので、上から三角、丸、四角とならんだ様子は、漫画「おそ松くん」に登場するおでんのまんま! この店ならではの人気のあるおでん種なのです。

そのお客さんに続いて、今度は私の番。さあて、今日の一巡目は何にしようかなぁ。でっかいちくわぶ(1本丸ごと!?)もこの店ならではのものだし、里芋や、何種類もある練り物も捨てがたい。やや迷いつつ厚揚げとキャベツ巻きをもらうと、「ちょっとお待たせしちゃったからね」とおまけに昆布を付けてくれます。

豆腐(焼き豆腐)にも引かれたのですが、今日もらったのは厚揚げ。おでんに入っている、これら豆腐系の種も好きなんですよねぇ。

キャベツ巻きも、この店の名物のひとつ。ロールキャベツとは言わず(そう注文しても出してくれますが…)、キャベツ巻きと呼ぶところにも、この種の特徴が出ているように思います。ロールキャベツだと、キャベツは肉だんごを巻く皮といったイメージなのですが、ここのキャベツ巻きは肉だんごの部分よりもむしろぶ厚いくらいのキャベツの層で覆われていて、キャベツをじっくりと味わえる状態になっているのです。しかも肉だんごにはひき肉のみならず、椎茸や人参など、野菜もたっぷりと入っていて、ボリュームたっぷりながら、とってもヘルシーそうな一品に仕上がっているのです。

ビールの後は燗酒(小徳利)をもらって、二巡目のおでんは竹の子と玉子です。

この店のようなおでん専門店では、その季節ごとのおでん種を楽しむことができるのですが、今ぐらいの季節のおでん種が竹の子。長さ10センチほどの小さな竹の子を左右ふたつに割ったものを串に刺しています。ところどころに切り目を入れてくれているので食べやすい。それにしても竹の子の先のほうの濃縮されたコクのある味わいといったら! なんだか、春の生命をたっぷりいただいた感じがしますねぇ。

カウンターに居並ぶみなさんもおでんは一段落したのか、黒板に手書きでずらりと書かれた一品料理の注文が増えてきました。中でも「菜の花のおひたし」の人気が高い。「菜花(なばな)ちょうだい」とあっちこっちから注文が入っています。私もその菜花を便乗注文すると、すぐにガラスのお皿に盛られた菜花が出されます。これもまた春の味わいですよねぇ。

1時間ちょっとの滞在はビール(大)1本、燗酒(小)1本に、おでん4品、菜花1つで1,370円でした。どうもごちそうさま。

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「米久」 / サッポロ黒ラベル大瓶 / 厚揚げにキャベツ巻き。昆布はおまけ

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竹の子と玉子 / 燗酒(小) / 菜の花のおひたし

店情報前回

《平成19(2007)年4月13日(金)の記録》

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