ツルリとレバ生 … やきとん「秋元屋(あきもとや)」(野方)
5月3日「憲法記念日」。大型9連休も折り返し点を過ぎ、残すところ今日も含めて4日間となりました。
この連休中は「近くの名店を探る」をテーマとして、荻窪~阿佐ヶ谷方面、立川~小金井方面、そして高田馬場~大久保方面と、近くにあるのに普段あまり行くことができないあたりに出没してきました。
しかしながら、はじめて行くお店や、久しぶりとなるお店が続くと、なにやらちょっと疲れます。の~んびりとくつろぐために行く居酒屋で疲れてたんじゃ、まったくもって本末転倒ですね。ここらで休憩を取ることにいたしましょう。
そんなわけで、9連休6日目となる今日だけのテーマは「連休中もやっている自宅近くの馴染みのお店」。
とってもありがたいことに、わが家の近くにはゴールデンウィークだろうが、お盆だろうが、正月だろうが、わりと普通に営業してくれている酒場が多いのです。
年中無休の大手居酒屋チェーン店も多いので、ただ単に「飲む」という点だけに絞れば、まったく困ることはない状況なのですが、行きつけの酒場で「の~んびりとくつろぐ」ことができるのであれば、それに越したことはないですもんね。
今日の1軒目は、わが家から歩いて15分ほどのところにある、もつ焼き屋、「秋元屋」です。
平成16(2004)年の年明けにオープンした「秋元屋」は、今や店に入ることすらむずかしいほどの大人気店。昨年末に改装し、10人分ほど収容力が増えたのですが、焼け石に水状態なのです。
店に着いたのは開店時刻の午後5時ちょうど。この時刻なら大丈夫だろうと店内に進むと、なんとカウンター(15席ほど)も、外のテーブル席(10席ほど)もいっぱい。えぇーっ、なんでだ?? と思いつつも、入口のところで「いらっしゃい。ちょうど1席空けて待ってましたよ」と冗談を言いながら、焼き台の前にかろうじて空いていたカウンターの1席を指し示してくれる店主の案内に従って、そこに座ります。
そうかっ! 今日は祝日だから、日曜日と同じ営業時間なんだ!
「秋元屋」は、平日(火~金)は17:00~24:00の7時間営業。土曜日は開店時刻が午後4時になって、終わりは変わらず(8時間営業)。そして日曜・祝日は16:00-22:00の6時間営業となるのでした。
そんなわけで、祝日の今日は午後4時開店。今は開店から1時間後という、言ってみればピーク時間帯なのでした。しかも、明日からゴールデンウィークの4連休とのことで、今日はその前に「秋元屋」の“やきとん”を食べておこうというお客さんたちで大にぎわい。この時間によく入れたよなぁ。
今日も、まずはこのところ定番となっているシャリキン赤ホッピー(410円)でスタートです。シャリキンと言うのは、シャリシャリのフローズン状態まで凍らせた金宮焼酎のこと。これを王冠の色が赤い、普通のホッピーで割るのがシャリキン赤ホッピーなのです。
ホッピーは三冷(焼酎を冷し、ジョッキを冷し、そして割るホッピーも冷す)がおいしいと言われますが、シャリキン赤ホッピーは、もっともっと冷えています。その冷え具合たるや、冷たさが先に立って、ほとんどアルコール度数を感じないほど。それでいて、ホッピーの炭酸感(シュワシュワ感)はしっかりと感じますから、飲みやすいことこの上ない。気がつくとガッツリとやられちゃってるタイプなのです。
「さあて。なにから行こうかなぁ」と、壁の短冊メニューを眺めていると、なんとレバ生(300円)がある。やったぁ! レバ生があるのは平日(残っていれば土曜日も?)だけ。私がよく来る日曜日には、ないメニューなのです。
さっそくタッちゃん(店を手伝っているおにいさん)に、そのレバ生を注文すると、「食べ方は?」と確認が入ります。「ゴマ塩で!」と返事。これは「ゴマ油と塩で食べます」というのの省略形です。ゴマ塩の場合は、スライスして並べたレバーに塩をふって、横に刻みネギを添えて出してくれます。これにカウンター上に置かれているゴマ油を、好きな量かけたら完成です。他には「ニンニクで」とか「生姜で」といった選択肢があり、それぞれニンニク醤油や生姜醤油でいただくのです。
レバ生は、冷蔵庫から出された直後の、よく冷えている間にツルリといただくのが、より美味しい。キーンと冷えたホッピーを飲みつつ、ツルリ、ツルリと食べ終えます。
ちょうどヨッちゃん(店を手伝っている女性)が「あら、いらっしゃい」と近くに来たので「こんばんは」とあいさつしつつ、お新香(180円)を追加注文します。
角の丸い長方形皿に山盛りに盛られたお新香は、キャベツ、キュウリ、カブのミックス。
いつもは、こういう焼き物じゃない料理をつつきながら、焼き台が空くのを待つのですが、今日は待つことなく焼き台も空いています。これまでは、開店直後の、一斉に焼き物の注文が入る時間帯に来ることが多かったから待たなきゃいけなかったんですね。今日のように開店1時間後にやってくれば、すでに焼き台は渋滞していないんだ。これも新しい発見です。
とはいえ、いつ次の渋滞が起こるかわからないので、焼き台が空いている間に、もつ焼きをお願いしておきましょう。
「タンシタ(100円)とナンコツ(100円)を、塩で1本ずつお願いします」
「はいよっ!」
元気よく返事を返してくれるのは、この時間の焼き台を担当している三浦さんです。焼き台は店主の秋元さん、三浦さん、そしてタッちゃんが交代で担当しているようです。
今日はなんだか日本酒気分なので、次は燗酒(菊正宗、280円)をもらいましょうか。
燗酒はチロリで湯煎され、チロリごと出されます。これを別に出されるグラスに注いでいただくのです。ックゥ~ッ。うまいっ。本醸造タイプの日本酒は、もつ焼きにでも、刺身にでも、何にでも合うように感じますねぇ。
本格的な日本酒党のために、この店には菊正宗(上撰)以外にも、上喜元(純米)の燗酒(480円)が飲めるほか、地酒も八海山(480円)、磯自慢(480円)、夜明け前(にごり、480円)、黒龍・垂れ口(530円)、鳳凰美田(650円)、くどき上手・純米大吟醸(900円)などが用意されています。
焼酎のほうも、このブログでは亀甲宮(金宮、280円)や宝焼酎(250円)を紹介することが多いのですが、実はいわゆる銘柄焼酎も置いてあって、〈芋〉白玉の露、富乃宝山、吉兆宝山、元老院、喜六(きろく)、天誅(てんちゅう)、龍霞(りゅうがすみ)、くじら、〈栗〉ダバダ火振、〈黒糖〉朝日、長雲、〈麦〉中々、泰明、千が飛ぶ、おこげ、一粒の麦、〈梅酒〉梅乃宿・鶯梅(おうばい)、梅乃宿・にごり梅酒、〈カストリ焼酎〉七田(しちだ)などが、すべて1杯480円なのです。
なにしろ店主の秋元さんご自身が酒場好きなので、「もつ焼きがしっかりしていて、サイドメニューも豊富。飲み物は焼酎の梅割りやホッピーからはじまって、地酒や銘柄焼酎まで」と、自分が理想とする酒場を実現しているのでした。このあたりも幅広い呑兵衛層から支持されるところなんでしょうね。
もつ焼きのほうは、シロたれ(100円)とガツ醤油(100円)を1本ずつ焼いてもらいます。
シロたれ(シロのタレ焼き)は、その店の仕入れや、下ごしらえ、焼き方、タレの味などを総合的に知ることができる一品。ここも含めて、名店と言われるもつ焼き屋のシロたれは、まず間違いなくうまいのです。
ガツ醤油(ガツの醤油焼き)は、単に私の好物です(笑)。特に今日は、燗酒をいただいていることもあって、醤油味との相性がいいこと。
午後6時まで、ちょうど1時間のもつ焼きタイム。お勘定は1,670円でした。
やっぱり行きつけのお店はくつろぎますねぇ。どうもごちそうさま。

シャリキン赤ホッピー / レバ生 / お新香(キャベツ、キュウリ、カブ)

タンシタ塩(下)とナンコツ塩 / 菊正宗・ぬる燗 / ガツ醤油(下)とシロたれ
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