つまみ3品、燗酒2本でセンベロ … 立ち飲み「やき屋(やきや)」(荻窪)
9連休4日目の「近くの名店を探る旅」は、中央線沿線。スタートの国立で、開店1時間で売り切れとなった「うなちゃん」に振られ、西国分寺は「鳥芳」の名物・チレヌタですっかり満腹になり、武蔵小金井の女性ばかりで切り盛りしている老舗大衆酒場「大黒屋」で広島・呉の酒「千福」をいただいて、荻窪まで帰ってきました。
荻窪にも、まだ行ったことのない行ってみたいお店は何軒かあるのですが、今日は飲み物も食べ物も、もう充分。課題店は次の機会にして、最後は行きつけのお店でくつろぎますか。
「こんばんは」と入った、立ち飲み「やき屋」の店内は、ゆるやかに8割程度の入り。珍しく右手のメインカウンターに空きがあったので、そこに立って、お酒(「北の誉」燗、230円)と自家製塩辛(150円)を注文します。
この店は、八戸直送の新鮮なイカ料理を中心とした肴が、150円(+税)均一(ただしシメサバのみ220円)で食べられる立ち飲み屋。そういう安い価格設定ながら、決して「安かろう、悪かろう」ではなくて、「安くて、うまい」のが大きな特長です。
こういう点、飲兵衛はとっても正直で、「安くて、うまい」店には、まるでアリが砂糖に群がるように、続々と飲兵衛もやってくるのですが、安くても、おいしくない店には、だれも寄り付かないのでした。
さらに、今いただいている自家製塩辛は、太田和彦さんをして「間違いなくこれは東京一のイカ塩辛。もう酒よりも完全に塩辛が主役だ。恥ずかしながら私はお代わりした」(「ひとりで、居酒屋の旅へ
」より)と言わしめた一品。量も小鉢にたっぷりで、これだけで酒の2~3本はいけちゃうような代物(しろもの)なのです。
1本目のお酒は、じっくりとイカ塩辛でいただいて、2本目をおかわりするのと一緒に冷奴(150円)を追加注文です。塩辛を、そのまま塩辛として食べるのも、もちろんおいしいのですが、冷奴の上にちょいとのっけて、塩辛奴(しおからやっこ)にすると、これがまたいいつまみになるのです。考えてみれば、塩辛も冷奴も、それぞれエース級の酒の肴。それらがタッグを組むんだから、最強の組み合せですよねぇ。
ありゃっ? 飲みながら、なーんとなくメニューを眺めていたら、好物のひとつイカ生姜棒(150円)が、メニュー上から消えていることを発見。なんと、なんと。近くにいた女将さんに「イカボウ(←イカ生姜棒の符丁)、やらなくなったんですか?」と聞いてみると、「あるよ。食べる?」という返事がきたので、さっそく注文します。
「はい。お待たせ。メカブね」
「………」
そうか。こっちは「イカボウ」と聞いたつもりが、すでに本日通算5本目(+最初にビール大瓶1本)となる燗酒に、滑舌(かつぜつ)が悪くなっちゃってて、女将さんには「メカブ」と聞こえちゃったんですね。「イカボウ」と「メカブ」。確かに後半は似ているような…。
でも、ここのメカブも好きだし、いただくのも久しぶりなので、ちょうど良かったかも。イカ生姜棒がなくなったことを、ちょっと悲しみながら、トロリ・コリコリとしたメカブで、おいしく燗酒をいただいて、本日、終了。
約1時間の立ち飲みは、つまみが3品に燗酒2本で956円(910円+税)と、まさにセンベロ(←千円でベロベロに酔えること)。これで、うまいんだから言うことない。どうもごちそうさま。
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