渋谷にも大衆酒場あり … 大衆酒場「細雪(ささめゆき)」(渋谷)
金曜日。横浜から東急東横線で渋谷です。若者のメッカのように思われている渋谷にも、何軒かの大衆酒場が残っていて、その典型的な1軒が、井の頭線渋谷駅のすぐわきにある「細雪」です。
店主夫婦らしき男女ふたりが切り盛りする店内は、テーブル席のみで全体で40名は入るでしょうか。お客さんは、ほとんど中年以上の男性で、女性は男性に連れられてきている女性だけといった感じ。渋谷の喧騒の中にありながら、一歩店内に入ったとたんに、まごうことなき大衆酒場の世界が広がっているのです。
店主夫婦のうち、ご主人は奥の厨房の中で料理を担当しており、奥さんがひとりホールでがんばっている。特筆すべきは、この奥さんの働きぶりで、ふらりと入っていっても、すぐに気がついて「いらっしゃい。おひとり? ここでいいかな」とすっと席に案内してくれるし、注文しそうな素振りのお客がいると、すぐに注文を聞いてくれる。「すみませーん」と大声で客が呼んでも、「はーい、少々お待ち下さい!」ばかりを繰り返すチェーン居酒屋の従業員さんたちに、ぜひ見習ってもらいたいものです。
そうは言っても、なにしろ40人も入っている店内なので、時には気が届かないところもあるのですが、そういうときに活躍するのが常連のお客さんたちなのです。
「ん? なにがいるんだって? 肉豆腐? はいよっ。おーい、こちらのお客さん肉豆腐だって!」
と注文の中継ぎをしてくれたり、厨房から出てきた品を、注文したお客さんのところへ持っていってくれたりと、お店全体で手不足の解消に励むのでした。
今日、案内されたのは、ちょうど店の中央部あたりにある4人掛けのテーブル席。反対側には、でっぷりと体格のいい年配の男性が燗酒(280円)を飲みながら、この店の名物のひとつ、マグロ刺身(650円)をつついています。このマグロ刺身が、この店の最高値のつまみで、かつ店の自信の品のようなのです。
「はい。今日のお刺身ね」
と紙に書き出された、刺身メニューを渡してくれる、おかみさんに、瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶、550円)を注文します。この店では、壁に張り出された肉豆腐(350円)、ポテトサラダ(300円)、塩辛(250円)、お新香(180円)などのほかに、その日仕入れた魚のメニューを紙に書き出して示してくれるのです。今日は、いつものマグロ刺身(650円)の他に、肝付きのカワハギが650円、カンパチ、カツオ、マダイ、コチ、ヒラメが各550円、コハダが400円というラインナップ。夏らしくタコ刺身(450円)をいただくことにします。
冬場は湯豆腐(450円)や、たらちり(550円)なんかもよさそうですねぇ。でも、今もメニューにのってるってことは、今、注文してもあるのかな?
1時間弱の滞在は、ちょうど千円でした。どうもごちそうさま。またゆっくりと飲みにきますね。
「細雪」を出て、隣接する渋谷マークシティ4階にある「ブラッスリー銀座ライオン」で、酒友たちと合流して、みんなで生ビールです。実はこちらが、あらかじめ予定されていた飲み会で、「細雪」は、それまでの時間調整も兼ねて行ったのでした。
年中やってるビアホール(ブラッスリーというのはフランス語でビヤホールの意)ながら、やっぱり夏場の生ビールは美味しいですよね。でも、ビアホールにも焼酎や地酒が置いてあるのは、ちょっと興醒めかなぁ。
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